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【発明の名称】 平面研磨装置
【発明者】 【氏名】小田桐 茂

【氏名】中條 吉広

【要約】 【課題】ピン歯車式のサンギア及びインターナルギアを備えた研磨装置において、ピンに装着されたカラーの抜け出しを防止するための機構を、構成が簡単で歯部の保守管理が容易であると共に、必要数のカラーを簡単かつ効率良く交換できるように構成する。

【構成】サンギア及びインターナルギアの歯を形成するピン20に、下端部にフランジ21aを有するカラー21を装着し、該カラー21のピン20からの抜け出し防止するカラー押さえ26を、円環状をなすピン列の内周側又は外周側の何れか一方に、複数のピン20に沿って延在すると共に、上記フランジ21aの一部に上方から係止することによって複数のカラー21の抜け出しを同時に防止可能なるように配設し、ギア本体3Aに螺子27で着脱自在に取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアに噛合して該キャリアを回転させるピン歯車形式のサンギア及びインターナルギアと、上記キャリアに保持されたワークを両側から挟んで研磨する上下の定盤とを備えた平面研磨装置において、
上記サンギア及びインターナルギアが、円形のギア本体と、このギア本体上に一定ピッチで円環状に取り付けられた複数のピンと、各ピンに嵌合する円筒状のカラーと、このカラーに係止して該カラーがピンから抜け出すのを防止するカラー押さえとを有し、
上記両ギアのうち少なくとも一方においては、上記カラーが、上記キャリアとの噛合位置より下方の外周部分に係止用のフランジを有し、また、上記カラー押さえが、円環をなすピン列の内周側又は外周側の何れか一方に、複数のピンに沿って延在すると共に、上記カラーのフランジの一部に上方から係止することによって複数のカラーの抜け出しを同時に防止可能なるように配設され、上記ギア本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする平面研磨装置。
【請求項2】
上記カラー押さえがリング状をしていることを特徴とする請求項1に記載の平面研磨装置。
【請求項3】
複数のカラー押さえが上記ピン列に沿ってリング状に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の平面研磨装置。
【請求項4】
上記カラー押さえが円弧状をしていることを特徴とする請求項3に記載の平面研磨装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどの平板状をしたワークの表面を研磨する平面研磨装置に関するものであり、更に詳しくは、ピン歯車形式のサンギアとインターナルギアとを有し、これら両ギアに噛合して回転するキャリアに保持されたワークの両面を上下の定盤で研磨する平面研磨装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハやガラスウエハあるいはセラミックスウエハのような平板状をしたワークの表面を研磨する平面研磨装置として、ピン歯車形式のサンギアとインターナルギアとを有し、これら両ギアに噛合して回転するキャリアに保持されたワークの両面を上下の定盤で研磨するようにしたものは、例えば特許文献1〜3に示すように、従来から各種構成のものが提案されている。
【0003】
この種の研磨装置における上記サンギア及びインターナルギアは、一般に、それらの歯が、一定のピッチで円環状に配設された複数のピンによって形成されており、各ピンにはそれぞれ円筒状のカラーが嵌着され、このカラーを介してキャリアと噛合するようになっている。また、上記カラーがピンから抜け出すのを防止するため、様々な工夫が施されている。
【0004】
上記特許文献1に記載されたものにおいては、ピンの上端に螺子などからなるカラー押さえを取り付け、このカラー押さえにカラーを係止させてその抜け出しを防止するようにしている。しかし、このように各ピンに個別にカラー押さえを取り付ける方式では、カラーの交換を行う場合に、カラーの数だけカラー押さえの着脱作業を行わなければならず、手数と時間とがかかって作業効率が悪い。
【0005】
一方、特許文献2及び3においては、リング状あるいは円弧状をしたカラー押さえを使用し、このカラー押さえで複数のカラーの抜け出しを同時に防止するようにしており、カラーの交換に伴う上述した問題点は解消されている。
しかし、特許文献2の場合は、リング状をしたカラー押さえをピン列の外周を取り囲むように配設し、このカラー押さえから内側に張り出したフランジを各カラーの頂部に上から係止させるようにしているため、該カラー押さえをピンよりも高さの高い大形の部材として形成しなければならず、その製造や着脱時の取り扱いが面倒である。しかも、このカラー押さえによってピン列が殆ど覆い隠されてしまうため、研磨終了後にピン列の部分を清掃する場合や、各ピンやカラーの破損状態等を点検するような場合に、それらの作業を行いにくい。
【0006】
また、特許文献3の場合は、リング状又は円弧状をしたカラー押さえ(ホルダー)に複数個のカラーを保持させ、これら複数個のカラーをホルダーごと交換するようにしているため、ホルダーに保持された全てのカラーを同時に交換する場合には便利であるが、一部のカラーが破損してそれだけを交換すれば良い場合でも、同じホルダーに保持された無傷のカラーまでも一緒に交換しなければならず、無駄が多い。
【0007】
【特許文献1】実開平2−130748号公報
【特許文献2】特開平9−174433号公報
【特許文献3】特開2006−43815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、ピン歯車式のサンギア及びインターナルギアを備えた平面研磨装置において、ピンに装着されたカラーの抜け出しを防止するための機構を、構成が簡単で歯部の保守管理が容易であると共に、必要数のカラーを簡単かつ効率良く交換できるように構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の平面研磨装置は、ピン歯車形式のサンギア及びインターナルギアが、円形のギア本体と、このギア本体上に一定ピッチで円環状に取り付けられた複数のピンと、各ピンに嵌合する円筒状のカラーと、このカラーに係止して該カラーがピンから抜け出すのを防止するカラー押さえとを有し、上記両ギアのうち少なくとも一方においては、上記カラーが、上記キャリアとの噛合位置より下方の外周部分に係止用のフランジを有し、また、上記カラー押さえが、円環をなすピン列の内周側又は外周側の何れか一方に、複数のピンに沿って延在すると共に、上記カラーのフランジの一部に上方から係止することによって複数のカラーの抜け出しを同時に防止可能なるように配設され、上記ギア本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、上記カラー押さえがリング状をしていても良く、あるいは、複数のカラー押さえが上記ピン列に沿ってリング状に配設されていても良い。後者の場合には、各カラー押さえが円弧状をしていることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カラー押さえが、ピン列の内周側又は外周側の何れか一方に複数のピンに沿うように延在し、各カラーの低位置に形成されたフランジの一部に係止することによって複数のカラーの抜け出しを同時に防止するように構成されているため、従来の研磨装置に比べ、抜け出し防止のための構成が簡単で、カラー押さえの簡略化も可能である。しかも、ピン列がカラー押さえで覆い隠されないため、研磨終了後にピン列の部分を清掃する場合や、各ピンやカラーの破損状態等を点検するような場合に、それらの作業を行い易い。また、上記カラー押さえを取り外すことにより、このカラー押さえに係止するカラーのうちの必要なカラーのみを交換することができるため、交換作業も容易で効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1及び図2は、本発明に係る平面研磨装置の要部を概略的に示すものである。この研磨装置は、半導体ウエハや、フォトマスク等に用いられるガラスウエハあるいはセラミックスウエハといったような、薄板状をしたワークの表裏両面を研磨するためのもので、軸線L1を中心にして同心状に位置する円環形の上下の定盤1,2と、下定盤2の中央に位置するサンギア3と、この下定盤2の外周を取り囲むように位置するインターナルギア4とを有していて、上記両定盤1,2と両ギア3,4とが、それぞれ駆動軸10,11,12,13を介して図示しないモーターに連結され、必要な方向に必要な速度で個別に回転駆動されるようになっている。なお、サンギア3又はインターナルギア4は固定であっても良い。
【0013】
上記上定盤1は、定盤受け14及び定盤吊り15を介して昇降用シリンダのロッド16に取り付けられ、この昇降用シリンダで昇降自在となっており、ワークWの研磨時に該上定盤1が下降すると、上記定盤受け14に取り付けられたフック14aが駆動軸10の上端のドライバ10aに係合し、このドライバ10aを介して回転駆動されるようになっている。しかし、上定盤1を支持及び昇降させる機構はこのようなものに限定されない。
【0014】
また、上記サンギア3及びインターナルギア4は、それぞれピン歯車としての形態を有するもので、円形のギア本体3A,4Aに、歯を形成する多数のピン20が、一定のピッチで鉛直に取り付けられ、これらのピン20によって円環状のピン列20Aが形成されている。これらのサンギア3及びインターナルギア4における歯の構成については、後で詳述するものとする。
【0015】
上記平面研磨装置でワークWを研磨する時には、外周に歯5aを備えた複数のキャリア5が上記下定盤2上に円周方向にほぼ等間隔で配置され、該キャリア5と上記両ギア3,4とが互いに噛合せしめられる。そして、各キャリア5のワーク保持孔5b内に板状の上記ワークWを嵌合、保持させ、上記サンギア3を回転させるか又はサンギア3とインターナルギア4の両方を回転させることにより、上記各キャリア5を自転させると共にサンギア3の回りを公転させながら、上下両定盤1,2の間に研磨液を供給し、回転するこれらの定盤1,2の作業面1a,2aによって上記ワークWの表裏面を研磨する。
【0016】
ここで、上記サンギア3及びインターナルギア4における歯の具体的構成について説明する。
先ず、サンギア3について説明すると、このサンギア3は、図3からも分かるように、円形をした上記ギア本体3Aを有していて、このギア本体3Aの外周部上面の外周端寄りの位置に、その全周にわたって凹段部23が形成され、この凹段部23の位置に、円柱状をした上記複数のピン20が、全体として円環状のピン列20Aを構成するように一定ピッチで取り付けられている。このピン20は、上記凹段部23に形成した取付孔24の内部に基端部が挿入されてギア本体3Aに固定されており、該ピン20の上端部は、下定盤2の作業面2aよりも上方の位置まで延びている。
【0017】
上記各ピン20には、円筒状をしたカラー21が、該ピン20との間に介在する若干のギャップによって回転自在かつ着脱自在に嵌着され、このカラー21を介して該ピン20が上記キャリア5と噛合するようになっている。上記カラー21は、上記キャリア5が噛合する位置よりも下方における外周部分に、側方に張り出す係止用のフランジ21aを有している。図示の実施例では、カラー21の下端部にフランジ21aが形成されているが、下端部よりも上方の位置に形成されていても良い。また、該カラー21は、上下両端部が開放していて、下端部が上記ギア本体3Aの凹段部23の上面に当接し、上端部が上記ピン20の上端部より僅かに高い位置を占めているが、該カラー21の上端部は、ピン20の上端部と同じ高さにあっても、それより若干低い位置にあっても構わない。なお、上記フランジ21aは、カラー21とは別の部材によって構成することもできる。
【0018】
上記ギア本体3Aの上面3aには、上記カラー21がピン20から抜け出すのを防止するためのカラー押さえ26が、複数の固定具27で着脱自在に取り付けられている。このカラー押さえ26は、リング形をした一つの平板状部材からなる一体型のもので、円環状をなす上記ピン列20Aの内周側の位置に、該ピン列20A中の全てのピン20に沿うように配設され、該カラー押さえ26の外周の係止縁26aが各カラー21の下端のフランジ21aの一部に上方から係止するようになっており、このようなカラー押さえ26の配置により、該カラー押さえ26で全てのカラー21のピン20からの抜け出しが同時に防止されている。この場合、上記係止縁26aは、各カラー21のフランジ21aの上部に僅かなギャップを介して位置しているため、該カラー21のキャリア5との噛合に伴う自由回転が阻害されることはない。
上記カラー押さえ26は、研磨液に対して耐腐食性のある材質によって形成することができる。
【0019】
上記構成を有するサンギア3において、カラー21の交換を行う場合には、上記カラー押さえ26をギア本体3Aから取り外す。これにより、全てのカラー21がピン20から取り外し可能な状態となるため、破損した一部のカラー21だけを選択的に交換する場合には、そのカラー21をピン20から取り外して新しいものを装着し、また、全てのカラー21を交換する場合には、全てのカラー21をピン20から取り外して新しいものを装着し、そのあと再び上記カラー押さえ26をギア本体3Aに取り付ければ良い。
【0020】
次に、上記インターナルギア4における歯の具体的構成について説明する。このインターナルギア4は、図2及び図4に示すように、円形(円環形)をした上記ギア本体4Aを有していて、このギア本体4Aの上面の内周側の位置に、その全周にわたって凹段部30が形成され、この凹段部30上に、円柱状をした複数の上記ピン20が、全体として円環状のピン列20Aを構成するように一定ピッチで取り付けられ、各ピン20にカラー21が装着されている。しかし、これらのピン20及びカラー21に関する構成とその好ましい変形例とについては、上記サンギア3の場合と実質的に同じであるため、サンギア3に付した符号と同じ符号を付してそれらの具体的説明は省略するものとする。
【0021】
上記ギア本体4Aの上面4aには、上記カラー21がピン20から抜け出すのを防止するためのカラー押さえ32が取り付けられている。このカラー押さえ32は、円弧状をした平板状の部材からなるもので、複数のカラー押さえ32が、円環状をなす上記ピン列20Aの外周側の位置に、該ピン列20Aに沿って全体としてリング状をなすように配設され、それぞれのカラー押さえ32が複数の固定具33でギア本体4Aの上面4aに着脱自在に取り付けられている。
【0022】
上記カラー押さえ32は、複数のピン20に跨る長さを有していて、内周側の係止縁32aが各ピン20に形成されたフランジ21aの一部に上方から係止するように配設されており、これによって複数のカラー21の抜け出しを同時に防止している。そして、上記複数個全てのカラー押さえ32により、上記ピン列20A中の全てのピン20におけるカラー21の抜け出しが防止されている。
【0023】
図示した例では、リングを8分割したような形の8つのカラー押さえ32が設けられていて、それらの周方向長さは互いに同じあるが、各カラー押さえ32の長さは必ずしも等しい必要はなく、互いに異なっていても良い。また、カラー押さえ32の数は、8つに限るものではなく、2つ以上の複数であれば幾つであっても構わない。しかし、各カラー押さえ32の長さは何れも複数のピン20に跨る長さでなければならない。
【0024】
上記構成を有するインターナルギア4において、カラー21の交換を行う場合には、交換が必要なカラー21に係止するカラー押さえ32をギア本体4Aから取り外す。即ち、破損した一部のカラー21だけを選択的に交換する場合には、そのカラー21に係止するカラー押さえ32だけを取り外して該カラー21の交換を行い、全てのカラー21を交換する場合には、上記全てのカラー押さえ32を取り外してカラー21の交換を行うようにする。
【0025】
また、上記サンギア3及びインターナルギア4において、上記カラー押さえ26及び32は平板状をしていて、ピン20の高よりも厚さが薄い比較的小形の部材であり、それらがピン20の下端部寄りの低い位置に取り付けられるため、それらを取り付けた状態においても、各ピン20(カラー21)は殆ど覆い隠されることなく外部に露出した状態となる。このため、研磨終了後にピン列20Aの部分をシャワーで洗浄する場合や、各ピン20やカラー21の破損状態等を点検するような場合に、それらの作業を行い易い。
しかし、上記カラー押さえ26,32は、完全な平板である必要はなく、表面に多少の段差等があっても良い。
【0026】
なお、上記実施形態においては、サンギア3のカラー押さえ26がリング状をした一体型のものとして形成され、インターナルギア4のカラー押さえ32が円弧状をした分割型のものとして形成されているが、その逆に、サンギア3のカラー押さえ26を分割型のものとし、インターナルギア4のカラー押さえ32を一体型のものとして良い。あるいは、サンギア3及びインターナルギア4の両方のカラー押さえ26及び32を、何れも一体型のものにすることも分割型のものにすることも可能である。
【0027】
また、研磨装置の規模等によっては、上記サンギア3又はインターナルギア4の何れか一方だけに上述したようなフランジ21a付きのカラー21とカラー押さえ26又は32とを使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る平面研磨装置の要部を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の平面研磨装置の上定盤を取り除いた状態の平面図である。
【図3】図1におけるサンギアの部分の要部拡大図である。
【図4】図1におけるインターナルギアの部分の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0029】
1 上定盤
2 下定盤
3 サンギア
4 インターナルギア
5 キャリア
20 ピン
20A ピン列
21 カラー
21a フランジ
26,32 カラー押さえ

【出願人】 【識別番号】000107745
【氏名又は名称】スピードファム株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏

【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹

【識別番号】100100804
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏太郎

【識別番号】100141438
【弁理士】
【氏名又は名称】吉迫 大祐


【公開番号】 特開2008−12623(P2008−12623A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185893(P2006−185893)