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【発明の名称】 テープ状金属基材の表面研磨システム及び研磨方法
【発明者】 【氏名】渡邉 武洋

【氏名】堀本 真樹

【氏名】永峯 拓也

【氏名】堀江 祐二

【要約】 【課題】高速で効率良く数百メートル単位のテープ状金属基材の表面を均一に研磨するための研磨システム及び方法を提供する。

【構成】テープ状金属基材の被研磨面を連続研磨するための研磨システムは、テープ状金属基材を連続走行させるための装置と、テープ状金属基材に所定のテンションを加えるための装置と、テープ状金属基材の被研磨面をランダムに初期研磨するための第1研磨装置と、テープ状金属基材の被研磨面を走行方向に沿って仕上げ研磨するための第2研磨装置と、から成り、仕上げ研磨により、被研磨面に走行方向に沿った研磨痕が形成される、ところの研磨システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状金属基材の被研磨面を連続研磨するための研磨システムであって、
前記テープ状金属基材を連続走行させるための装置と、
前記テープ状金属基材に所定のテンションを加えるための装置と、
前記テープ状金属基材の被研磨面をランダムに初期研磨するための第1研磨装置と、
前記テープ状金属基材の被研磨面を走行方向に沿って仕上げ研磨するための第2研磨装置と、
から成り、
前記仕上げ研磨により、前記被研磨面に走行方向に沿った研磨痕が形成される、
ところの研磨システム。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨システムであって、前記第1研磨装置は、連続して送り出される研磨テープが前記被研磨面と垂直な軸線の回りに回転する機構を有する研磨ヘッドと、前記テープ状金属基材を前記研磨テープに押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含む、ところの研磨システム。
【請求項3】
請求項1に記載の研磨システムであって、前記第2研磨装置は、前記テープ状金属基材の走行方向に沿って回転する円筒形状の研磨ドラムを有する研磨ヘッドと、前記テープ状金属基材を前記研磨ドラムに押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含む、ところの研磨システム。
【請求項4】
請求項1に記載の研磨システムであって、前記第1研磨装置は、プラテンに貼り付けられた研磨パッドが前記被研磨面と垂直な軸線の回りに回転する機構を有する研磨ヘッドと、前記テープ状金属基材を前記研磨パッドに押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含む、ところの研磨システム。
【請求項5】
請求項1に記載の研磨システムであって、前記第2研磨装置は、前記テープ状金属基材の走行方向に沿って回転するテープ体を有する研磨ヘッドと、前記テープ状金属基材を前記テープ体に押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含む、ところの研磨システム。
【請求項6】
請求項2に記載の研磨システムであって、前記第1研磨装置は2段の研磨ステーションから成り、1段目の研磨ヘッドの回転方向と、2段目の研磨ヘッドの回転方向が逆である、ところの研磨システム。
【請求項7】
請求項3に記載の研磨システムであって、前記第2研磨装置は2段の研磨ステーションから成り、1段目及び2段目の研磨ドラムの回転方向は、前記走行方向と逆である、ところの研磨システム。
【請求項8】
請求項1に記載の研磨システムであって、さらに、研磨処理された前記テープ状金属基材を洗浄するための少なくともひとつの洗浄装置を含む、研磨システム。
【請求項9】
請求項1に記載の研磨システムであって、さらに、前記テープ状金属基材の位置ずれを防止するために、少なくともひとつの幅規制ガイドを含む、研磨システム。
【請求項10】
請求項1に記載の研磨システムであって、さらに、研磨処理後の前記被研磨面の状態を観測するための検査装置を含む、ところの研磨システム。
【請求項11】
請求項1に記載の研磨システムであって、前記テープ状金属基材は、ニッケル、ニッケル合金、及びステンレスから成るグループから選択され、幅が2mm〜100mm、長さが100m〜1000m、厚さが0.05mm〜0.5mmである、ところの研磨システム。
【請求項12】
請求項1に記載の研磨システムを使って、テープ状金属基材を研磨する方法であって、
前記連続走行させるための装置により、前記テープ状金属基材を20m/h以上の速度で走行させる工程と、
前記第1研磨装置により、前記テープ状金属基材の被研磨面をランダムに研磨する第1研磨工程と、
前記第2研磨装置により、前記テープ状金属基材の被研磨面を前記走行方向に沿って研磨する第2研磨工程と、
から成る方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、さらに、研磨の際にスラリーを供給する工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記スラリーは研磨砥粒、水及び水に添加剤を加えたものから成り、前記研磨砥粒は、Al2O3、SiO2、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、単結晶若しくは多結晶ダイヤモンド、cBN、及びSiCからなるグループから選択される少なくともひとつである、ところの方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記第1研磨工程で使用される前記スラリーの研磨砥粒の平均粒径は0.05μm〜3μmであり、前記第2研磨工程で使用されるスラリーの研磨砥粒の平均粒径は0.03μm〜0.2μmである、ところの方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、前記第1研磨工程は、前記テープ状金属基材の被研磨面の平均表面粗さRaを10nm以下に研磨する工程から成る、ところの方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法であって、前記第2研磨工程は、前記テープ状金属基材の被研磨面の平均表面粗さRaを5nm以下に研磨し、かつ、前記走行方向に沿った研磨痕を被研磨面に形成する工程から成る、ところの方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法であって、さらに、研磨処理後に、前記テープ状金属基材を洗浄する工程を含む、ところの方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状金属基材を所定の表面粗さに研磨する装置及び方法に関する。特に、超伝導、強誘電体、強磁性特性を示す機能薄膜を形成するための基材となるテープ状金属の表面研磨システム及び研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ状金属基材の上に機能薄膜を形成して使用する製品において、基板材料の表面処理が重要な課題である。
【0003】
一般に、テープ状金属基材は、冷間圧延または熱間圧延によって、テープ状に加工される。しかし、この加工処理は、圧延により形成されるスクラッチまたは結晶欠陥のために、これらを除去しないと目的の機能薄膜性能が得られない。
【0004】
このため、表面を研磨することによって、スクラッチまたは結晶欠陥を除去すると同時に、表面を平坦かつ平滑にする方法が実施されてきた。
【0005】
例えば、走行するステンレス製の金属帯を、回転駆動するエンドレス研磨ベルトに押付ながら研磨する装置及び方法が、ここに参考文献として組み込む特開平8−294853及び特開2001−269851に開示されている。
【特許文献1】特開平8−294853号公報
【特許文献2】特開2001−269851号公報
【0006】
しかし、いずれもミクロンオーダーの表面粗さの仕上がりで、その上に機能薄膜を形成するために十分な研磨表面が得られていない。
【0007】
形成される機能薄膜によっては、テープ状金属基材表面の結晶性及び結晶の配向性が機能薄膜の性能に影響を及ぼす。
【0008】
一方、多結晶体の基材上に各種の配向膜を形成する技術が利用されている。例えば、光学薄膜、光磁気ディスク、配線基板、高周波導波路または高周波フィルタ、または空洞共振器などの分野において、基板上に膜質の安定した良好な配向性を有する多結晶薄膜を形成することが課題となっている。すなわち、多結晶薄膜の結晶性が良好であれば、その上に形成される光学薄膜、磁性薄膜、配線用薄膜などの膜質が向上するので、基材上に結晶配向性の良い光学薄膜、磁性薄膜、配線用薄膜などを直接形成できれば、さらに好ましい。
【0009】
最近では、酸化物超伝導体が液体窒素温度を超える臨界温度を示す優れた超伝導体として注目されているが、現在、この種の酸化物超伝導体を実用化するためには、種々の問題が存在する。
【0010】
その問題のひとつは、酸化物超伝導体の臨界電流密度が低いという点である。これは、酸化物超伝導体の結晶自体に電気的な異方性が存在することが大きな原因である。特に、酸化物超伝導体はその結晶軸のa軸方向とb軸方向には電流が流れやすいが、c軸方向には電流が流れ難いことが知られている。したがって、酸化物超伝導体を基材上に形成してこれを超伝導体として使用するためには、基材上に結晶配向性の良好な状態の酸化物超伝導体を形成し、電流を流そうとする方向に酸化物超伝導体の結晶のa軸あるいはb軸を配向させ、その他の方向に酸化物超伝導体のc軸を配向させることが必要となる。
【0011】
この方法として、ここに参考文献として組み込む米国特許第6,908,362号に、ニッケルまたはニッケル合金のテープ表面を精密に研磨した後、酸化物超伝導体膜を形成する方法が開示されている。
【特許文献3】米国特許第6,908,362号明細書
【0012】
他の方法として、ここに参考文献として組み込む特開平6−145977号及び特開2003−36742には、長尺のテープ状金属基材の表面に結晶配向を制御した中間層を設け、その上に酸化物超伝導体薄膜を成膜する方法が開示されている。この方法によれば、結晶粒間の結合性が向上し、高い臨界電流密度が得られる。
【特許文献4】特開平6−145977号
【特許文献5】特開2003−36742
【0013】
以上の従来技術は、いずれも基材表面を平坦かつ平滑に研磨しておくことが重要であることを教示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、さらに高い臨界電流密度を得るためには、テープ状金属基材の表面が十分平坦で、結晶配向をしやすい面を形成する必要がある。したがって、薄膜を形成すべきテープ状金属基材の表面は、ナノメートルのオーダーで均一に研磨仕上げし、かつ結晶配向の良い表面を形成する必要がある。また、研磨仕上げされたものに酸化膜または不要な異物が付着しないようにする必要がある。さらに、超伝導コイルとして使用される基材は、数百m単位で処理されるため、この基材表面を連続的に高速でかつナノメートルオーダーの表面粗さに均一に研磨する必要がある。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、本発明の目的は、臨界電流を向上させるために、テープ状金属基材の表面の結晶配向性を高めるための表面研磨システム及び研磨方法を提供することである。
【0016】
また、本発明の他の目的は、高速で効率良く数百m単位のテープ状金属基材の表面を均一に研磨するための研磨システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のひとつの態様において、テープ状金属基材の被研磨面を連続研磨するための研磨システムは、
テープ状金属基材を連続走行させるための装置と、
テープ状金属基材に所定のテンションを加えるための装置と、
テープ状金属基材の被研磨面をランダムに初期研磨するための第1研磨装置と、
テープ状金属基材の被研磨面を走行方向に沿って仕上げ研磨するための第2研磨装置と、
から成り、
仕上げ研磨により、被研磨面に走行方向に沿った研磨痕が形成される。
【0018】
ここで、第1研磨装置は、連続して送り出される研磨テープが被研磨面と垂直な軸線の回りに回転する機構を有する研磨ヘッドと、テープ状金属基材を研磨テープに押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含むことができる。
【0019】
また、第2研磨装置は、テープ状金属基材の走行方向に沿って回転する円筒形状の研磨ドラムを有する研磨ヘッドと、テープ状金属基材を前記研磨ドラムに押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含むことができる。
【0020】
他に、第1研磨装置は、プラテンに貼り付けられた研磨パッドが被研磨面と垂直な軸線の回りに回転する機構を有する研磨ヘッドと、テープ状金属基材を研磨パッドに押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含むものであってもよい。
【0021】
また他に、第2研磨装置は、テープ状金属基材の走行方向に沿って回転するテープ体を有する研磨ヘッドと、テープ状金属基材をテープ体に押し付けるための押圧機構から成る研磨ステーションを、少なくともひとつ含むものであってもよい。
【0022】
好適には、第1研磨装置は2段の研磨ステーションから成り、1段目の研磨ヘッドの回転方向と、2段目の研磨ヘッドの回転方向が逆である。
【0023】
また好適には、第2研磨装置は2段の研磨ステーションから成り、1段目及び2段目の研磨ドラムの回転方向は、前記走行方向と逆である。
【0024】
付加的に、本発明に係る研磨システムは、研磨処理された前記テープ状金属基材を洗浄するための少なくともひとつの洗浄装置を含むことができる。
【0025】
さらに、本発明に係る研磨システムは、テープ状金属基材の位置ずれを防止するための、少なくともひとつの幅規制ガイドを含むことができる。
【0026】
本発明の他の態様において、上記研磨システムを使って、テープ状金属基材を研磨する方法は、
連続走行させるための装置により、テープ状金属基材を20m/h以上の速度で走行させる工程と、
第1研磨装置により、テープ状金属基材の被研磨面をランダムに研磨する第1研磨工程と、
第2研磨装置により、テープ状金属基材の被研磨面を走行方向に沿って研磨する第2研磨工程と、
から成る。
【0027】
付加的に、当該方法は、研磨の際にスラリーを供給する工程を含む。
【0028】
具体的には、スラリーは研磨砥粒、水及び水に添加剤を加えたものから成り、研磨砥粒は、Al2O3、SiO2、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、単結晶若しくは多結晶ダイヤモンド、cBN、及びSiCからなるグループから選択される少なくともひとつである。
【0029】
好適には、第1研磨工程で使用されるスラリーの研磨砥粒の平均粒径は0.05μm〜3μmであり、第2研磨工程で使用されるスラリーの研磨砥粒の平均粒径は0.03μm〜0.2μmである。
【0030】
本発明に係る方法に従う第1研磨工程は、テープ状金属基材の被研磨面の平均表面粗さRaを10nm以下に研磨する工程から成る。
【0031】
本発明に係る方法に従う第2研磨工程は、テープ状金属基材の被研磨面の平均表面粗さRaを5nm以下に研磨し、かつ、走行方向に沿った研磨痕を被研磨面に形成する工程から成る。
【0032】
付加的に、当該方法は、研磨処理後に、テープ状金属基材を洗浄する工程を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本願を詳細に説明する。ここで説明される実施例は本発明を制限するものではない。
【0034】
本発明に従う研磨システムで研磨されるテープ状金属基材の材料として、少なくともニッケル、ニッケル合金、ステンレス、銅、銀等が使用される。これらの材料は圧延技術により、厚さ0.05mm〜0.5mm、幅2mm〜100mm、長さ数百メートルに加工される。金属圧延材料は、多結晶から成り、圧延方向に配向した結晶構造を有する。
【0035】
このテープ状金属基材は、圧延方向に線状のスクラッチまたは結晶欠陥が形成されている。本発明では、先ず、圧延によって形成された表面のスクラッチまたは結晶欠陥を、ランダムな回転研磨方式で除去し、平均表面粗さRaを10nm以下、好ましくは5nm以下とし、その後、走行方向に研磨痕が残るように最終研磨して、平均表面粗さRaを5nm以下、好ましくは1nm以下に仕上げる研磨システムを提供する。
【0036】
また、本発明の研磨システムによれば、20m/h〜250m/hの送り速度が得られる。
【0037】
1.本願発明の概要
まず、本発明に従う研磨システムの構成及び動作の概要を説明し、その後、各構成装置について詳細に説明する。図1は、本発明の研磨システムの好適実施例を略示したものである。本発明に係る研磨システム100は、送り出し部101a、バックテンション部102、第1研磨処理部103、第2研磨処理部104、洗浄処理部105、検査部160、ワーク送り駆動部106、及び巻き取り部101bから成る。
【0038】
本発明において、送り出し部101aの巻き出しリールに巻かれたテープ状金属基材110は、バックテンション部102を通過し、第1研磨処理部103に入る。まず、テープ状基材110に対して、第1研磨処理部103で、以下に詳細に説明する第1研磨工程が実行される。続いて、テープ状基材110は第2研磨処理部104に進み、そこで以下に詳細に説明する第2研磨工程が実行される。その後、テープ状基材110は洗浄処理部105に進み、そこで最終清浄工程が実行される。こうして仕上げられたテープ状基材110は、以下で詳細に説明する検査部160において、表面粗さRa及び研磨痕が観測される。その後、テープ状基材110はワーク送り駆動部106を通過し、最終的に巻き取り部101bの巻取りリールに巻き取られる。
【0039】
研磨工程を実行後に、テープ状基材110を水洗浄(120a、120b、120c)するのが好ましい。そうすることにより、残留砥粒、研磨屑及びスラリー残渣が除去される。
【0040】
以下で詳細に説明するように、テープ状基材の走行は、バックテンション部102とワーク送り駆動部106とにより、所定のテンションを保持した状態で制御される。また、テープ状基材の位置ずれを防止するために、以下で詳細に説明する複数の幅規制ガイド(140a、140b、140c)が適当な間隔で配置される。さらに、緩み検知センサー(150a、150b)を巻き出しリールの下流側及び巻取りリールの上流側に配置することにより、テープ状基材110の緩みを検知し、巻き取りリールの回転速度を制御することができる。
【0041】
次に、本発明に係る研磨方法の好適実施例について説明する。本発明はこれに限定されるものではなく、他のさまざまな修正及び変形が可能である。
【0042】
本発明に係るテープ状金属基材110の研磨方法は、第1研磨工程と第2研磨工程から成る。第1研磨工程の目的は、圧延によって形成されたテープ状金属基材110の表面のスクラッチ、突起及び/または結晶欠陥を除去することである。
【0043】
具体的には、研磨ヘッドの主面に研磨パッドまたは研磨テープを配置し、裏面から押圧機構により押し付けて、研磨パッドまたは研磨テープを被研磨面に対して垂直な軸線の回りに回転させながら研磨を行う。回転方向は、時計回りあるいは反時計回りのどちらでもよく、複数段で研磨する場合には、それぞれの回転方向を逆にするのが好ましい。また、回転方向を同一にして研磨パッドまたは研磨テープの回転中心をテープ状基材に関して互いに反対方向にずらすことによって研磨方向を逆にしてもよい。そうすることにより、加工能率及び面精度を向上させることができるからである。研磨の際、研磨粒子、水及び水に添加剤を加えたものから成るスラリーを、研磨テープまたは研磨パッド表面に流し込むのが好ましい。研磨粒子としては、例えば、Al2O3、SiO2、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ダイヤモンド(単結晶または多結晶)、cBN、SiCなどが使用可能である。
【0044】
他に、研磨テープを送りながらテープ状基材の面内で回転させて研磨してもよい。また、プラテン上に樹脂系パッドを貼り付けて回転させて研磨してもよい。
【0045】
さらに、第1研磨処理を複数段設けた場合、最初は研磨粒子の大きい粗研磨を行い、徐々に研磨粒子を小さくして仕上げ研磨を実行してもよい。
【0046】
結果として、第1研磨工程において、テープ状基材110の表面粗さRaを、10nm以下、好ましくは5nm以下に仕上げることができる。
【0047】
次に、第2研磨工程について説明する。第2研磨工程の目的は、第1研磨工程でテープ状基材表面に形成されたランダム研磨痕を除去し、テープ状基材の走行方向に研磨痕を形成し、テープ状基材の長手方向の結晶配向性を高めることである。
【0048】
具体的には、円筒ドラムに樹脂系パッドを巻きつけて固定したものを回転させるか、または研磨テープ(例えば、織布、不織布及び発泡ポリウレタンから成るもの)をテープ状基材の走行方向またはその逆方向に送りながら研磨を行う。研磨の際、スラリーを研磨テープまたは研磨パッド表面に流し込むのが好ましい。研磨粒子としては、例えば、Al2O3、SiO2、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ダイヤモンド(単結晶または多結晶)、cBN、SiCなどが使用可能である。
【0049】
付加的に、第2研磨処理を複数段設けることもできる。これにより、研磨速度を向上させることができる。
【0050】
結果として、第2研磨工程において、テープ状基材110の表面粗さRaを、5nm以下、好ましくは1nm以下に仕上げることができ、中間層及び超伝導体の結晶配向性を高めることができる。
【0051】
2.研磨システムの構成装置の詳細な説明
次に、本願発明に係る研磨システムを構成する各装置について詳細に説明する。本発明において、研磨対象物は、上記したように、厚さ0.05mm〜0.5mm、幅2mm〜100mm、長さ数百メートル、という極めて特殊な構造を有するテープ状金属基材であることから、研磨システムとして、さまざまな工夫が施されている。
【0052】
(i)送り出し部101a及び巻き取り部101b
図2(A)及び(B)は、それぞれ、送り出し部101a及び巻き取り部101bを拡大して示したものである。送り出し部101aは、テープ状金属基材110が巻かれた巻き出しリール210及び緩み検知センサー150から成る。付加的に、テープ状金属基材表面に保護紙または保護フィルム211が付着されている場合には、保護紙巻取りリール212を含む。送り出し部101aと巻き取り部101bは対称的な構成を有し、対応する構成要素は同一であるため同一符号で示してある。
【0053】
巻き出しリール210から引き出されたテープ状金属基材110は、研磨システム100内に送られた後、以下で詳細に説明するバックテンション機構により、所定のテンションを与えられる。テープ状金属基材110の間に保護紙または保護フィルム211が巻かれている場合には、保護紙または保護フィルム211は保護紙巻取りリール212へ同時に巻き取られる。巻き出しリール101aとバックテンション部102との間には緩み検知センサー150が配置されており、該センサーがテープの緩みを検知し、巻き出しリール210及び巻取りリール220のモータ回転速度を制御する。これにより、過度の引っ張りによる巻き絞まりのために生じる傷、または緩みによる巻き乱れを防止することができる。このような巻き出し及び巻取り装置として、例えば、双葉電子工業株式会社製の「操出装置」:ARV50C/100C(オートリール)、TRV20B(テンションリール)、「巻取り装置」ARV50C/100C(オートリール)、TRV20B(テンションリール)などが使用できる。
【0054】
(ii)バックテンション部102及びワーク送り駆動部106
テープ状基材110は上記したように、バックテンション部102とワーク送り駆動部106とにより、研磨中、所望のテンションを与えられる。
【0055】
バックテンション部102は、ローラ駆動機構300、幅規制ガイド140a、及びワーク受けローラ130aから成る。図3(A)及び(B)は、それぞれローラ駆動機構300の正面図及び側面図である。図3(A)を参照すると、上部ローラ301及び下部ローラ302が平行に配置され、これらは連結ギア303及び304により連結されている。連結ギアにはテンションを調節するためのパウダーブレーキ305が結合されている。ローラの上部には加圧シリンダ306が配置され、ローラへの加圧がエアーシリンダにより調整される。上部ローラ301の上方には、上部ローラ301と下部ローラ302との平行度を調整するための、ローラ高さ調整ボルト307が設けられている。上部ローラ301及び下部ローラ302のそれぞれのローラ面308a及び308bには硬度90度の樹脂材料パッド(例えば、ポリウレタン、ウレタンゴム等)が巻きつけられている。本発明の好適実施例において、押付圧力は最大60kgであり、テープ状金属基材に加えられるバックテンションは最大12N/mである。
【0056】
ローラ駆動機構300の下流側には、以下で詳細に説明する幅規制ガイド140aが配置されている。さらにその下流側にはワーク受けローラ130aが配置されている。幅規制ガイドとワーク受けローラの数及び間隔は任意に決定することができる。
【0057】
図11(A)、(B)及び(C)は、本発明に係る研磨システムで使用される幅規制ガイドの好適実施例の平面図、正面図及び側面図をそれぞれ示す。幅規制ガイドはこれに限定されるものではない。幅規制ガイド700は、テープ状基材110の幅に相当する間隔で離隔して配置された2本の円柱状ローラ701、ローラ701を回転可能に軸支するステンレス製シャフト702、2本のシャフト702を垂直に支持する支持板704から成る。ローラ701の材料として、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン系の樹脂が使用される。支持板704には溝705が設けられており、シャフト702を該溝に沿ってスライドさせて、幅規制ローラ701の間隔を調整することができる。
【0058】
一方、ワーク送り駆動部106は、ニップローラ駆動機構500、幅規制ガイド140c、及びワーク受けローラ130eから成る。図10(A)及び(B)は、それぞれニップローラ駆動機構500の正面図及び側面図を示したものである。図10(A)を参照すると、上部ローラ501及び下部ローラ502が平行に配置され、これらは連結ギア503及び504により連結されている。下部ローラ502の下方には駆動モータ505が配置されている。連結ギア504と駆動モータ505に無終端ベルト509が架けられ、駆動モータ505の回転動力が下部ローラ502に伝達されるようになっている。ローラの上部には加圧シリンダ506が配置され、ローラへの加圧がエアーシリンダにより調整される。上部ローラ501の上方には、上部ローラ501と下部ローラ502との平行度を調整するための、ローラ高さ調整ボルト507が設けられている。ニップローラ駆動機構500のローラ軸の材料としてステンレスが使用され、上部ローラ501及び下部ローラ502のそれぞれのローラ面508a及び508bには、硬度90度の樹脂材料パッド(例えば、ポリウレタン、ウレタンゴム等)が巻きつけられている。
【0059】
図10(B)に示すように本発明の好適実施例において、ニップローラ駆動機構500は2台設けられる。こうすることにより、テープ状金属基材110の緩みが生じなくなる。
【0060】
エアーシリンダによる押付圧力は、最大60kgであり、5kg/cm2〜0.5kg/cm2の範囲で変更可能である。テープ状金属基材110の材質、形状及び研磨仕上げ条件等に応じて、バックテンション部102及びワーク送り駆動部106において、加圧条件が適宜調整され、両者の間で、テープ状金属基材110は所望の一定のテンションが保持される。
【0061】
ローラ駆動機構500の下流側には、ワーク受けローラ130eが配置されている。さらにその下流側には幅規制ガイド140cが配置されている。幅規制ガイドとワーク受けローラの数及び間隔は任意に決定することができる。
【0062】
(iii)第1研磨処理部103
一定のテンションが与えられたテープ状金属基材110は第1研磨処理部103において、第1研磨工程にかけられる。図1の本発明に係る研磨システムでは、テープ状金属基材110の下側面111を研磨するように描かれているが、本願はこれに限定されるものではなく、テープ状基材の上側面を研磨するようにシステムを構成することもできる。
【0063】
第1研磨処理部103は、研磨ヘッド401及び押圧機構440から成る少なくともひとつの研磨ステーション(103a、103b)、並びに研磨ステーションの下流側に設けられた少なくともひとつの洗浄装置(120a、120b)から成る。図4(A)、(B)、(C)は、それぞれ、本発明に係る研磨ヘッド401の好適実施例の正面図、平面図及び側面図を示したものである。研磨ヘッド401は、研磨テープ410を研磨テーブル413上に送り出すための送り出し機構部と、研磨テーブル413を研磨面に垂直な軸線xの回りに回転させるための回転機構部とから成る。
【0064】
送り出し機構部は、研磨テープ410が巻かれた送り出しリール411と、少なくともひとつの支持ローラと、研磨後の研磨テープを巻き取るための巻取りリール412と、送り出しリール411と巻取りリール412に動的に連結した駆動モータ(図示せず)から成る。これらはハウジング414内に収容されている。研磨テープ410として、合成繊維製の織布、不織布または発泡体から成るテープが使用可能である。付加的に、ハウジング414は研磨中にスラリーが外部に飛散するのを防止するためのカバー420に覆われている。モータを駆動することにより、研磨テープ410が送り出しリール411から送り出され、支持リールを介して、研磨テーブル413上を通過し、最後に巻取りリール412に巻き取られる。研磨テーブル413上には常に未使用の研磨テープ410が送られ、テープ状金属基材110の被研磨面を研磨する。研磨の際には、上記したスラリーを供給するのが好ましい。
【0065】
一方、回転機構部は、上記ハウジング414の下方にあって研磨テーブル413の上記回転軸xと同軸に結合されたスピンドル416と、モータ417と、モータ417の回転動力をスピンドル416に伝達するためのベルト415とから成る。さらに、モータ417とハウジング414を支持するための支持台419が設けられる。スピンドル416は支持台419の内部にあって支持台419に関して回転可能に取り付けられている。付加的に、支持台419は2本のレール421に載置されており、研磨ステーションをレール上で移動させるためのハンドル420が支持台419に結合されている。モータ417を駆動することにより、ベルト415を介して回転動力がスピンドル416に伝達され、ハウジング414が軸線xの回りに回転する。さらに、研磨ステーションを複数段設けることも可能である。この場合、ハウジングの回転方向(すなわち、研磨テープの回転方向)を反対にすることにより、研磨効率を上げることができる。
【0066】
変形的に、図4(D)に示されるように、モータ417’が支持台419の内部に収容されてもよい。
【0067】
図4(E)は、研磨ヘッドの他の実施例を示したものである。図4(E)に示す実施例では、研磨テープの代わりに研磨パッドが使用される。研磨ヘッド430は、テープ状基材110を研磨する研磨パッド431が貼り付けられたプラテン432、プラテン432を支持するスピンドル433、ベルト436及びモータ434から成る。スピンドル433は支持台435に回転可能に取り付けられており、モータ434は該支持台435の内部に収容されている。モータ435を駆動することにより、ベルト436を介して回転動力がスピンドル433に伝達され、研磨パッド431が回転してテープ状基材110を研磨する。研磨の際には、上記したスラリーを研磨パッド431の略中心部に供給するのが好ましい。
【0068】
次に、押圧機構440について説明する。図5(A)及び(B)は、それぞれ本発明に係る研磨システムで使用される押圧機構440の正面図及び側面図を示す。押圧機構440は、エアーシリンダ441、加圧板443、テープ状基材の走行方向に沿って加圧板443の中心線上に設けられた押さえ板445から成る。押さえ板445の下面にはテープ状基材110の幅に対応する案内溝446が設けられ、研磨処理中におけるテープ状基材110の位置ずれの発生が防止される。押さえ板445は、テープ状金属基材110のサイズ(幅、厚み)に応じて、適宜交換可能である。付加的に、押圧機構440の側面には位置調整ハンドル442が結合されており、テープ状金属基材110の幅の中心と押圧機構440の中心が一致するように調整される。そうすることにより、エアーシリンダ441からの圧力が加圧板443及び押さえ板445を介して、テープ状基材110に伝達される。さらに、加圧板443の上部には調整ネジ444が設けられている。研磨処理前に、該調整ネジ444により、加圧板443と研磨テーブル413との平行度が調整される。加圧機構は、これに限定されるものではなく、他の加圧機構が使用されてもよい。
【0069】
洗浄装置は、洗浄ノズル120aから成り、該ノズルから洗浄液として水が噴射される。ここで水以外の洗浄液が使用されてもよい。洗浄ノズル120aの下流側にはワーク受けローラ130bが設けられている。複数段の研磨ステーションを使用する場合には、各研磨ステーションの下流側に洗浄装置を配置するのが好ましい。洗浄装置により、第1研磨処理工程で発生した研磨くずがテープ状金属基材110の被研磨面から除去される。
【0070】
上記した第1研磨処理部103において、テープ状金属基材110は、第1研磨工程にかけられる。図1に示す本発明に係る研磨システムの好適実施例において、第1研磨工程は2段階で実行される。まず、1段目の研磨ステーションにおいて研磨ヘッドを時計回りに回転させて粗研磨を行い、2段目の研磨ステーションにおいて研磨ヘッドを反時計回りに回転させて中間仕上げ研磨を行う。研磨に際して、研磨粒子、水及び水に添加剤(例えば、潤滑剤及び砥粒分散剤)を加えたものから成るスラリーを使用するのが好ましい。これを湿式研磨と呼ぶ。砥粒として、これに限定されないが、SiO2、Al2O3、ダイヤモンド、cBN、SiCなどが使用できる。
【0071】
ひとつの実施例において、1段目の研磨工程では平均粒径が0.05〜3.0μmの範囲のものを使用し、2段目の研磨工程では平均粒径が0.03〜0.2μmのものを使用することができる。他の実施例において、1段目と2段目の研磨を平均粒径が同一である同一種類の砥粒を使って実行してもよい。
【0072】
第1研磨工程を経たテープ状金属基材110の平均表面粗さRaは10nm以下、好ましくは5nm以下である。第1研磨工程により、テープ状金属基材110の被研磨面にはランダム研磨痕が形成される。
【0073】
(iv)第2研磨処理部104
第1研磨処理部103でランダム研磨されたテープ状金属基材110は、続いて第2研磨処理部104において、第2研磨工程にかけられる。
【0074】
第2研磨処理部104は、研磨ヘッド610及び押圧機構440から成る少なくともひとつの研磨ステーション(104a、104b)、並びに研磨ステーションの下流側に設けられた少なくともひとつの洗浄装置120cから成る。
【0075】
図6(A)及び(B)は、それぞれ本発明に係る第2研磨工程で使用される研磨ヘッド610の好適実施例の正面図及び側面図である。研磨ヘッド610は、例えば、ステンレス製の円筒ドラムベースに樹脂製シート602を巻きつけた円筒ドラム601、円筒ドラム601を回転させるための駆動モータ603、駆動輪等の駆動機構(図示せず)から成る。樹脂製シート602として、発泡ポリウレタン、織布、不織布などが使用される。円筒ドラム601はハウジング606内に収容されている。付加的に、円筒ドラム601をテープ状基材110の走行方向に対して直角方向にオッシレーション動作させるためのモータ605を含むことができる。このオッシレーション動作により、テープ状金属基材110が円筒ドラム601の同一箇所で研磨されることが防止される。研磨の際には、上記したスラリーを樹脂製シート602の上に供給するのが好ましい。
【0076】
図7(A)及び(B)は、それぞれ本発明に係る第2研磨工程で使用される研磨ヘッド620の他の実施例の正面図及び側面図である。研磨ヘッド620は、研磨ベルト621をテープ状基材110に押し付けるためのコンタクトローラ622、研磨ベルト駆動手段623、支持ローラ625、研磨ベルト駆動手段623に結合する駆動モータ624から成る。コンタクトローラ622、支持ローラ625及び研磨ベルト駆動手段623は、ハウジング628内に収容されている。研磨ベルト621として、合成繊維製の織布若しくは不織布または発泡体から成るテープが使用される。駆動モータ624を作動させると、ベルト駆動手段623により研磨ベルト621がコンタクトローラ622及び支持ローラ625を介して走行し、テープ状基材110の被研磨面を研磨する。研磨の際には、上記したスラリーを研磨ベルト621の上に供給するのが好ましい。付加的に、コンタクトローラ622をテープ状基材110の走行方向に対して直角方向にオッシレーション動作させるためのモータ626を含むことができる。このオッシレーション動作により、テープ状金属基材110が研磨ベルト621の同一箇所で研磨されることが防止される。
【0077】
上記研磨ヘッド610及び620の特徴は、円筒ドラム601あるいは研磨ベルト621の研磨面がテープ状基材110の走行方向またはその逆方向に回転する点にある。研磨ヘッド610または620は、図5で説明した加圧機構440とともに研磨ステーションを構成する。第2研磨工程において、複数段の研磨ステーションを直列に配置することが可能である。この場合には、各研磨ステーションの下流側に上記した洗浄装置を配置するのが好ましい。
【0078】
上記した第2研磨処理部104において、テープ状金属基材110は、第2研磨工程にかけられる。図1に示す本発明に係る研磨システムの好適実施例において、第2研磨工程は2段階で実行される。まず、1段目の研磨ステーションにおいて研磨ドラムをテープ状基材走行方向と反対方向に回転させて研磨を行い、さらに2段目の研磨ステーションにおいて研磨ドラムをテープ状基材走行方向と反対方向に回転させて研磨を行う。研磨に際して、研磨粒子、水及び水に添加剤(例えば、潤滑剤及び砥粒分散剤)を加えたものから成るスラリーを使用するのが好ましい。砥粒として、これに限定されないが、SiO2、Al2O3、ダイヤモンド、cBN、SiC、コロイダルシリカなどが使用できる。使用する砥粒の平均粒径は0.02〜0.1μm、好ましくは0.02〜0.07μmである。
【0079】
第2研磨工程を経たテープ状金属基材110の平均表面粗さRaは5nm以下、好ましくは1nm以下である。また、テープ状金属基材110の被研磨面には、長さ方向に研磨痕が形成される。
【0080】
(v)洗浄処理部105
第2研磨処理部104を通過したテープ状基材110は、洗浄処理部105において最終洗浄処理される。図8は、本発明に係る研磨システムで使用される洗浄処理部105の好適実施例を略示したものである。洗浄装置105は、洗浄ノズル801、ブラシローラ802、エアーノズル(803,806)及び拭き取りローラ804から成る。洗浄ノズル801は、上下に配置された個々のノズルを有し、そこからイオン交換水または蒸留水を噴射する。付加的に、上記した幅規制ガイド140bが適宜配置されてもよい。最終洗浄装置105は、好適には、ハウジング820内部に収容されている。
【0081】
図9(A)及び(B)は、ブラシローラ802の正面図及び側面図をそれぞれ示す。ブラシローラ802は、平行な2本のステンレス製シャフト(810,811)、駆動モータ814及びギヤ(812a,812b)から成る。ステンレス製シャフト(810,811)の外周には、例えば、ナイロン繊維から成るブラシシート(810a,811b)がそれぞれ取り付けられている。付加的に、ローラブラシの加圧を調整するためのバネ815がシャフトの両端部に配置される。
【0082】
次に、上記最終洗浄装置105を使用した最終洗浄処理工程について説明する。テープ状基材110は、まず、洗浄ノズル801により、水洗浄される。続いてブラシローラ802により、水洗浄で残った固形物が除去される。次に、エアーノズル803から噴射されたエアーを吹き付けることにより、テープ状基材110の表面の水分が吹き飛ばされる。続いて、拭き取りローラ804によりテープ状基材110の残存水分が絞り取られる。最後に、エアーノズル806から噴射されたエアーの吹き付けによりテープ状基材110が完全に乾燥される。
【0083】
(vi)検査部106
最終洗浄処理を経たテープ状金属基材110は検査部106において、表面粗さRa及び研磨痕が観測される。Raは従来の検査装置を使って測定することができる。例えば、有限会社ビジョンサイテック製Micro Mux, VMX-2100などが使用可能である。測定結果が所望の範囲にない場合には、テープ状基材のテンション、幅規制ガイドの配置及び個数、テープ状基材の走行速度、研磨ステーションの数及び押圧力、研磨ヘッドの回転数等を適宜調整する。
【0084】
以上、本発明に係る研磨システム及び研磨方法について詳細に説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例えば、図1に記載される研磨システムのフットプリントは、全長約6mで、バックテンション部102からワーク送り駆動部106までは約4mであるが、研磨ステーションの個数に応じて、フットプリントをそれより長く、または短くすることが可能である。
【実施例】
【0085】
図1に示す本発明に係る研磨システムを使用して、テープ状金属基材を研磨する実験をしたので説明する。
【0086】
1.実験条件
(1)テープ状金属基材:ニッケル合金(Ni:58.0wt%、Cr:15.5wt%、Fe:5.0wt%、W:4.0wt%、他にCo等を含む)幅10mm、長さ100m、厚さ0.1mm
(2)第1研磨工程:研磨テープとして、PETフィルム上に発泡ポリウレタンを形成した幅150mm、厚さ500μmのテープ体を使用
研磨ヘッドの回転数(rpm):1段目 30〜80、2段目 30〜80
回転方向:1段目 時計回り、 2段目 反時計回り
加圧力(g/cm2):1段目 100〜500、2段目 100〜500
スラリー流量(ml/min):1段目 5〜30、2段目 5〜30
(3)第2研磨工程:円筒ドラムに使用するパッドとして、ポリエステル繊維から成る不織布を使用
研磨ヘッドの回転数(rpm):1段目 20〜60、2段目 20〜60
回転方向:1段目 反走行方向、 2段目 反走行方向
加圧力(g/cm2):1段目 100〜300、2段目 100〜300
スラリー流量(ml/min):1段目 5〜30、2段目 5〜30
(4)研磨材料:Al2O3砥粒(花王株式会社製デモールEP、pH2〜6に調整)、多結晶ダイヤモンド砥粒(グリコール化合物、グリセリン、脂肪酸を添加した20wt%〜50wt%の水溶液を使用、pH6〜8)、コロイダルシリカ砥粒(花王株式会社製デモールEPに、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸カリウム、グリセリンを添加した水溶液を使用、pH8〜10)
(5)研磨条件:実験は、研磨材の種類、粒径、スラリー中の含有量及びテープ状金属基材の送り速度を変えて行われた。表1は実験で使用した研磨材料と基材送り速度の条件ぶりを示したものである。
【0087】
【表1】


2.結果
表2は、実験結果を示したものである。
【0088】
【表2】


上記結果より、本発明に係る研磨システムによれば、60m/hという高速な送り速度において、5nm以下の最終的な表面粗さRaを達成することができた。また、最終的な研磨痕の形状を長さ方向に形成することができ、結晶配向性の高い表面研磨ができた。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、本発明に係る研磨システムの好適実施例を略示したものである。
【図2】図2(A)及び(B)は、本発明に係る研磨システムで使用されるテープ状金属基材の巻き出し機構及び巻取り機構をそれぞれ示す。
【図3】図3(A)及び(B)は、本発明に係る研磨システムで使用されるバックテンションローラ部の正面図及び側面図をそれぞれ示す。
【図4】図4(A)、(B)、(C)は、本発明に係る研磨システムで使用される第1研磨処理部の研磨ヘッドの正面図、平面図、側面図をそれぞれ示し、(D)は、研磨ヘッドの他の実施例を示し、(E)は研磨パッドを使用した変形例を示す。
【図5】図5(A)及び(B)は、本発明に係る研磨システムで使用される押圧機構の正面図及び側面図をそれぞれ示す。
【図6】図6(A)及び(B)は、本発明に係る研磨システムの第2研磨処理部で使用される研磨ヘッドの正面図及び側面図をそれぞれ示す。
【図7】図7(A)及び(B)は、本発明に係る研磨システムの第2研磨処理部で使用される研磨ヘッドの他の実施例の正面図及び側面図をそれぞれ示す。
【図8】図8は、本発明に係る研磨システムで使用される洗浄装置を示す。
【図9】図9(A)及び(B)は、図8の洗浄装置のブラシローラ部の正面及び側面拡大図をそれぞれ示す。
【図10】図10(A)及び(B)は、本発明に係る研磨システムで使用されるテープ状金属基材の送り機構の正面図及び側面図をそれぞれ示す。
【図11】図11(A)、(B)及び(C)は、本発明に係る研磨システムで使用される幅規制ガイドの平面図、正面図及び側面図をそれぞれ示す。
【出願人】 【識別番号】390037165
【氏名又は名称】日本ミクロコーティング株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100069899
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 澄夫

【識別番号】100096725
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 明▲ひこ▼


【公開番号】 特開2008−12620(P2008−12620A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185455(P2006−185455)