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【発明の名称】 眼鏡レンズ周縁加工装置
【発明者】 【氏名】武市 教児

【氏名】山本 忠正

【要約】 【課題】加工終了までの時間を知ることができ、作業の効率化を図ることができる眼鏡レンズ周縁加工装置を提供する。

【構成】レンズの材質及びレンズの周縁に施す加工モード等の加工条件を設定する設定手段を備え、設定された加工条件に従ってレンズ周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置において、前記加工条件設定手段により設定された加工条件に基づいて加工終了までに掛かる加工終了時間を演算する演算手段と、演算された加工終了時間を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの材質及びレンズの周縁に施す加工モード等の加工条件を設定する設定手段を備え、設定された加工条件に従ってレンズ周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置において、
前記加工条件設定手段により設定された加工条件に基づいて加工終了までに掛かる加工終了時間を演算する演算手段と、演算された加工終了時間を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工装置。
【請求項2】
請求項1の眼鏡レンズ周縁加工装置において、前記設定手段は、設定可能な加工条件として面取り加工、溝掘り加工、穴加工及びファセット加工の少なくとも1つを含み、面取り加工の設定においては面取り量を設定する手段を含み、溝掘り加工の設定においては溝幅と溝深さを設定する手段を含み、穴加工の設定においては穴径と穴深さを設定する手段を含み、ファセット加工の設定においてはファセット加工領域とその加工幅を設定する手段を含み、
前記演算手段は、面取り加工が設定されたときには面取り量の設定に基づいて面取り加工時間を求め、溝掘り加工が設定されたときには溝幅及び溝深さの設定に基づいて溝掘り加工時間を求め、穴加工が設定されたときは穴径、穴深さ及び穴数に基づいて穴加工時間を求め、ファセット加工が設定されたときはファセット領域の加工幅及びファセット領域の数に基づいてファセット加工時間を求め、設定された各加工工程の時間を加算して加工終了までに掛かる時間を演算することを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2の眼鏡レンズ周縁加工装置は、加工の進捗に伴って加工終了時間をカウントダウンして残りの時間を表示するカウトダウン手段と、該カウントダウンにより表示される時間について、各加工工程が終了毎に残りの加工工程の時間を基に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかの眼鏡レンズ周縁加工装置は、加工の進捗に応じてその進捗割合を表示する進捗割合表示手段と、該進捗割合表示手段により表示される進捗割合について、各加工工程が終了毎に残りの加工工程の時間を基に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの眼鏡レンズ周縁加工装置において、前記設定手段で設定可能なレンズ材質にはプラスチック及びポリカーボネイトが含まれ、前記演算手段は、ポリカーボネイトが設定されたときは、プラスチックに対して異なる演算により加工終了時間を求めることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかの眼鏡レンズ周縁加工装置は、前記演算された加工終了時間の信号及び加工終了の信号を無線発信する無線発信手段と、該無線発信手段からの信号を受信する受信手段を持ち、作業者が携帯可能な受信ユニットであって、加工終了の信号を受信したときに、加工終了の旨を音又は振動により通知する手段が設けられた受信ユニットと、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工装置。
【請求項7】
レンズの材質及びレンズの周縁に施す加工モード等の加工条件を設定する設定手段を備え、設定された加工条件に従ってレンズ周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置において、
加工終了の信号を無線発信する無線発信手段と、該無線発信手段からの信号を受信する受信手段を持ち、作業者が携帯可能な受信ユニットであって、加工終了の信号を受信したときに、加工終了の旨を音又は振動により通知する通知手段が設けられた受信ユニットと、を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工装置。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡レンズの周縁を加工する眼鏡レンズの加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレンズ周縁加工装置においては、粗加工、ヤゲン加工等の仕上げ加工まで行うものであったが、近年は多機能化により、面取り加工、鏡面加工、溝掘り加工を1台の装置で可能になり(例えば、特許文献1、2参照)、さらにはいわゆるツーポイントフレームのための穴加工を可能にした装置(特許文献3参照)、レンズ前面及びレンズ後面の外周角部を部分的にカットし、宝石のように多角面を形成するファセット加工までを可能にした装置(特許文献4参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2001−18155号公報
【特許文献2】特開平9−254000号公報
【特許文献3】特開2003−145328号公報
【特許文献4】特開2002−126983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように加工装置の多機能化が進み、様々な加工が可能になったが、それに伴って加工終了までに掛かる加工時間も長くなっている。粗加工及びヤゲン加工等の通常の仕上げ加工までであれば、加工終了までの加工時間に大きな差は少なく、作業者が経験的におおよその時間を把握することができた。しかし、経験の少ない作業者は加工終了時間が分からず、さらに多機能化によって加工工程が増えると、熟練者でもその予測は難しい。この場合、作業者は加工開始から加工の進捗状況をこまめに確認し、加工終了を待っていたため、作業効率が悪かった。また、レンズ加工が終了しても、作業者が確認をし忘れると、そのまま放置されたままであり、加工装置の使用効率が悪い問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、加工終了までの時間を知ることができ、作業の効率化を図ることができる眼鏡レンズ周縁加工装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0006】
(1) レンズの材質及びレンズの周縁に施す加工モード等の加工条件を設定する設定手段を備え、設定された加工条件に従ってレンズ周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置において、
前記加工条件設定手段により設定された加工条件に基づいて加工終了までに掛かる加工終了時間を演算する演算手段と、演算された加工終了時間を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の眼鏡レンズ周縁加工装置において、前記設定手段は、設定可能な加工条件として面取り加工、溝掘り加工、穴加工及びファセット加工の少なくとも1つを含み、面取り加工の設定においては面取り量を設定する手段を含み、溝掘り加工の設定においては溝幅と溝深さを設定する手段を含み、穴加工の設定においては穴径と穴深さを設定する手段を含み、ファセット加工の設定においてはファセット加工領域とその加工幅を設定する手段を含み、
前記演算手段は、面取り加工が設定されたときには面取り量の設定に基づいて面取り加工時間を求め、溝掘り加工が設定されたときには溝幅及び溝深さの設定に基づいて溝掘り加工時間を求め、穴加工が設定されたときは穴径、穴深さ及び穴数に基づいて穴加工時間を求め、ファセット加工が設定されたときはファセット領域の加工幅及びファセット領域の数に基づいてファセット加工時間を求め、設定された各加工工程の時間を加算して加工終了までに掛かる時間を演算することを特徴とする。
(3) (1)又は(2)の眼鏡レンズ周縁加工装置は、加工の進捗に伴って加工終了時間をカウントダウンして残りの時間を表示するカウトダウン手段と、該カウントダウンにより表示される時間について、各加工工程が終了毎に残りの加工工程の時間を基に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
(4) (1)〜(3)の何れかの眼鏡レンズ周縁加工装置は、加工の進捗に応じてその進捗割合を表示する進捗割合表示手段と、該進捗割合表示手段により表示される進捗割合について、各加工工程が終了毎に残りの加工工程の時間を基に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
(5) (1)〜(4)の何れかの眼鏡レンズ周縁加工装置において、前記設定手段で設定可能なレンズ材質にはプラスチック及びポリカーボネイトが含まれ、前記演算手段は、ポリカーボネイトが設定されたときは、プラスチックに対して異なる演算により加工終了時間を求めることを特徴とする。
(6) (1)〜(5)の何れかの眼鏡レンズ周縁加工装置は、前記演算された加工終了時間の信号及び加工終了の信号を無線発信する無線発信手段と、該無線発信手段からの信号を受信する受信手段を持ち、作業者が携帯可能な受信ユニットであって、加工終了の信号を受信したときに、加工終了の旨を音又は振動により通知する手段が設けられた受信ユニットと、を備えることを特徴とする。
(7) レンズの材質及びレンズの周縁に施す加工モード等の加工条件を設定する設定手段を備え、設定された加工条件に従ってレンズ周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置において、
加工終了の信号を無線発信する無線発信手段と、該無線発信手段からの信号を受信する受信手段を持ち、作業者が携帯可能な受信ユニットであって、加工終了の信号を受信したときに、加工終了の旨を音又は振動により通知する通知手段が設けられた受信ユニットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加工終了までの時間を知ることができ、作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る眼鏡レンズ周縁加工装置の加工部の概略構成図である。
【0009】
加工装置本体1のベース170上にはキャリッジ部100が搭載され、キャリッジ101が持つレンズチャック軸(レンズ回転軸)102L,102Rに挟持された被加工レンズLEの周縁は、砥石スピンドル161aに取り付けられた砥石群162に圧接されて加工される。砥石群162は、プラスチック用粗砥石162a、ヤゲン形成用の溝及び平坦加工面を持つ仕上げ用砥石162b及び鏡面仕上げ用砥石162c、ガラス用粗砥石162dから構成される。砥石スピンドル(砥石回転軸)161aは、モータ160により回転される。
【0010】
キャリッジ101の左腕101Lにレンズチャック軸102Lが、右腕101Rにレンズチャック軸102Rが、それぞれ回転可能に同軸に保持されている。レンズチャック軸102Rは、右腕101Rに取り付けられたモータ110によりレンズチャック軸102L側に移動され、レンズLEが2つのレンズチャック軸102R,102Lにより保持される。また、2つのレンズチャック軸102R,102Lは、左腕101Lに取り付けられたモータ120により、ギヤ等の回転伝達機構を介して同期して回転される。
【0011】
キャリッジ101は、レンズチャック軸102R,102L及び砥石スピンドル161aと平行に延びるシャフト103,104に沿って移動可能なX軸移動支基140に搭載されている。支基140の後部には、シャフト103と平行に延びる図示なきボールネジが取り付けられており、ボールネジはX軸移動用モータ145の回転軸に取り付けられている。モータ145の回転により、支基140と共にキャリッジ101がX軸方向に直線移動される。
【0012】
また、支基140には、Y軸方向(レンズチャック軸102R,102Lと砥石スピンドル161aの軸間距離が変動される方向)に延びるシャフト156,157が固定されている。キャリッジ101はシャフト156,157に沿ってY軸方向に移動可能に支基140に搭載されている。支基140にはY軸移動用モータ150が固定されている。モータ150の回転はY軸方向に延びるボールネジ155に伝達され、ボールネジ155の回転によりキャリッジ101はY軸方向に移動される。
【0013】
図1において、装置本体の手前側に面取り機構部200が配置されている。面取り機構部200の構成を図2に基づいて説明する。アーム220に回転可能に取り付けられた砥石スピンドル230に、レンズ前面用面取り砥石221a、レンズ後面用面取り砥石221b、レンズ前面用鏡面面取り砥石223a、レンズ後面用鏡面面取り砥石223bが同軸に取り付けられている。砥石スピンドル230は、アーム220内のベルト等の回転伝達機構を介してモータ221により回転される。モータ221は、支基ブロック201から延びる固定板202に固定されている。また、固定板202にアーム回転用のモータ205が固定され、モータ205の回転により砥石スピンドル230が退避位置から、図2に示す加工位置に移動される。砥石スピンドル230の加工位置は、レンズチャック軸102R,Lと砥石スピンドル161aとの間で、両回転軸が位置する平面上で平行となる位置である。砥石群162によるレンズ周縁加工と同様に、モータ150によりY軸方向にレンズLEを移動させ、また、モータ145によりX軸方向にレンズLEを移動させることにより、レンズ周縁に面取り加工が行える。ファセット加工は、面取り砥石221a,221b(鏡面加工時には、さらに面取り砥石223a,223b)が加工具として使用される。なお、ファセット加工具としては、エンドミルを使用することもできる。
【0014】
図1において、キャリッジ101の上方には、レンズコバ位置測定部(レンズ形状測定部)300F、300Rが設けられている。図3はレンズ前面のレンズコバ位置を測定する測定部300Fの概略構成図である。図1のベース170上に固設された支基ブロック300aに取付支基301Fが固定され、取付支基301Fに固定されたレール302F上をスライダー303Fが摺動可能に取付けられている。スライダー303Fにはスライドベース310Fが固定され、スライドベース310Fには測定子アーム304Fが固定されている。測定子アーム304Fの先端部にL型のハンド305Fが固定され、ハンド305の先端に測定子306Fが固定されている。測定子306FはレンズLEの前側屈折面に接触される。
【0015】
スライドベース310Fの下端部にはラック311Fが固定されている。ラック311Fは取付支基301F側に固定されたエンコーダ313Fのピニオン312Fと噛み合っている。また、モータ316Fの回転は、ギヤ315F、アイドルギヤ314F、ピニオン312Fを介してラック311Fに伝えられ、スライドベース310FがX軸方向に移動される。レンズコバ位置測定中、モータ316Fは常に一定の力で測定子306FをレンズLEに押し当てている。エンコーダ313Fはスライドベース310FのX軸方向の移動位置を検知する。この移動位置の情報、レンズチャック軸102L,102Rの回転角度の情報、Y軸方向の移動情報により、レンズLEの前面のコバ位置(前側屈折面形状)が測定される。
【0016】
レンズLEの後面のコバ位置を測定する測定部300Rの構成は、測定部300Fと左右対称であるので、図3に図示した測定部300Fの各構成要素に付した符号末尾の「F」を「R」に付け替え、その説明は省略する。
【0017】
レンズコバ位置測定の動作を簡単に説明する。測定子306Fがレンズ前面に当接され、測定子306Rがレンズ後面に当接される。この状態で玉型データに基づいてキャリッジ101がY軸方向に移動され、レンズLEが回転されることにより、レンズ前面及びレンズ後面のコバ位置データが同時に測定される。レンズコバ位置測定は、仕上げ加工後のコバ位置とそれより所定距離(例えば、1mm)だけ内側又は外側のコバ位置で測定される。これにより、レンズ前面及びレンズ後面について、それぞれ仕上げ加工後のコバ位置付近の傾斜角が求められる。
【0018】
図1において、キャリッジ部100の後方には、穴加工・溝掘り機構部400が配置されている。図4は機構部400の概略構成図である。機構部400のベースとなる固定板401は、図1のベース170に立設されたブロック(図示を略す)に固定されている。固定板401にはZ軸方向(XY軸平面に対して直交する方向)に延びるレール402が固定され、レール402に沿ってZ軸移動支基404が摺動可能に取り付けられている。移動支基404は、モータ405がボールネジ406を回転することによってZ軸方向に移動される。移動支基404には、回転支基410が回転可能に保持されている。回転支基410は、回転伝達機構を介してモータ416によりその軸回りに回転される。
【0019】
回転支基410の先端部には、回転部430が取り付けられている。回転部430には回転支基410の軸方向に直交する回転軸431が回転可能に保持されている。回転軸431の一端に穴加工工具としてのエンドミル435が同軸に取付けられ、回転軸431の他端に溝掘り加工具としての溝掘りカッター436が同軸に取付けられている。回転軸431は、回転部430及び回転支基410の内部に配置された回転伝達機構を介し、移動支基404に取り付けられたモータ440により回転される。
【0020】
上記のキャリッジ部100、レンズコバ位置測定部300F,300R、穴加工・溝掘り機構部400の構成は、基本的に特開2003−145328号公報に記載されたものを使用できるので、詳細は省略する。また、面取り機構部200については、特開2001−18155号公報に記載したものを使用できる。
【0021】
図5は、眼鏡レンズ周縁加工装置の制御ブロック図である。制御部50に眼鏡枠形状測定部2(特開平4−93164号公報等に記載したものを使用できる)、タッチパネル式の表示手段としてのディスプレイ5、スイッチ部7、メモリ51、キャリッジ部100、面取り機構部200、レンズコバ位置測定部300F,300R、穴加工・溝掘り機構部400等が接続されている。装置への入力信号は、ディスプレイ5の表示に対して、タッチペン(又は指)による接触により入力することができる。制御部50はディスプレイ5が持つタッチパネル機能により入力信号を受け、ディスプレイ5の図形及び情報の表示を制御する。ディスプレイ5の時間表示部550には、制御部50により演算される加工終了までの加工終了時間が表示される。また、制御部50には、レンズLEの周縁加工時にレンズの加工面に研削水を供給する研削水供給手段53、音発生手段としてのスピーカ54が接続されている。
【0022】
以上のような構成を持つ装置の動作を説明する。加工開始から加工終了までの加工終了時間はレンズ周縁に施す加工の工程によって変化する。まず、本装置におけるデータの入力及び加工条件の設定について説明する。
【0023】
眼鏡枠形状測定部2により測定された眼鏡枠(ダミーレンズ、型板)の玉型データ(rn,θn)(n=1,2,…,N)は、スイッチ部7が持つスイッチを押すことにより入力され、メモリ51に記憶される。rnは動径長、θnは動径角のデータである。ディスプレイ5の画面500には玉型図形FTが表示され、装用者の瞳孔間距離(PD値)、玉型の幾何中心に対する光学中心の高さ等のレイアウトデータを入力できる状態となる(図5参照)。レンズ周縁加工の基礎とする玉型は、メモリ51に記憶されているものから呼び出して使用することもできる。レイアウトデータは、図5に示すように、ディスプレイ5に表示される所定のボタンキー501,502,503等を操作することにより入力できる。
【0024】
また、加工条件は、ボタンキー510,511,512,513,514,515を操作して設定できる。ボタンキー510によりレンズの材質としてプラスチック、ガラス、ポリカーボネイトを選択できる。ボタンキー511により眼鏡枠の種類としてメタル又はセルを選択すると、ボタンキー512による加工モードとしてオートヤゲン加工モード、強制ヤゲン加工モードが選択できる。ボタンキー511によりナイロールを選択すると、ボタンキー512による加工モードとして平加工モードが設定されると共に、オート溝加工モード、強制溝加工モードが選択できる。
【0025】
溝加工モードを選択した場合、図6のシミュレーション画面にて、ボタンキー523により溝幅を設定でき、ボタンキー524により溝深さを設定できる。なお、このシミュレーション画面はレンズコバ位置測定後に表示され、溝のカーブ、レンズ前面に対する溝位置をボタンキー521,522により変更できる。シミュレーション画面には、玉型図形FTの横にカーソル526で指定されたコバ位置におけるコバ断面図形527が表示される。強制ヤゲン加工モードを選択した場合も、レンズコバ位置測定後にヤゲン加工用のシミュレーション画面が表示され、ヤゲンカーブ、ヤゲン位置が変更できる。
【0026】
図5の入力画面において、ボタンキー511によりツーポイントを選択すると、加工モードとして平加工モードと穴加工モードが設定される。穴加工モードにおいては、ボタンキー512を押して表示されるメニューから穴編集画面を選択して、穴加工に関するデータを入力することができる。図7は、穴編集画面の例である。穴加工タイプのアイコン530から、例えば、2つ穴タイプのアイコンをタッチペンで選択した後、画面に表示された玉型図形FT上の所望位置にドラッグすると、横方向に並んだ穴H01,H02が一度に設定される。鼻側の2つ穴H03,H04も同様に設定できる。穴位置を微調整する場合は、穴番号又はグループをボタンキー531で指定した後、x軸データ欄532a及びy軸データ欄532bの値を変更することにより、玉型中心FCに対する位置をそれぞれ変更できる。そして、入力欄533により穴径を入力でき、入力欄534により穴深さデータを入力できる。左眼用のレンズの穴データも同様に設定できる。
【0027】
図5の入力画面において、ボタンキー513により面取りの有無を選択できる。面取り有りの場合は、さらに面取りの大きさ、レンズ前面側及び後面側の何れに面取りを施すかを設定できる。面取りの大きさは、予め設定された大、中、小にて選択できる他、面取り幅を数値で直接入力することもできる。
【0028】
図5の入力画面において、ボタンキー514により、仕上げ加工後にさらに精密な仕上げ加工である鏡面加工の有無を選択できる。鏡面加工を選択し、さらにボタンキー513により面取り加工モードを選択している場合は、面取り加工においても鏡面加工が設定される。
【0029】
図5の入力画面において、ボタンキー515によりファセット加工を選択すると、さらにファセット加工の領域を設定する画面が表示される。図8はその画面例である。この設定画面は、レンズコバ位置測定後にも表示され、ファセット加工の領域を再設定するシミュレーション画面を兼ねる。ファセット加工面については、ボタンキー602によりレンズ前面とレンズ後面とを選択できる。図8は、レンズ前面の選択例である。
【0030】
ディスプレイ5の画面の中央には、玉型データに基づく玉型正面図形FTが表示される。図8において、玉型正面図形FTの幾何中心FCを基準として水平方向をx軸、上下方向をy軸とする。玉型正面図形FTの左側には、レンズのコバを左側から見たときの側面図形ETが並べて表示される。側面図形ETの輪郭は、初めはデフォルト値のコバ厚と玉型データとにより演算されて表示される。レンズコバ位置測定によるレンズ前面及びコバ位置の測定データが得られた後は、その測定データと玉型データとにより演算されて表示される。タッチペン等の操作により、玉型正面図形FTは中心FCを基準に回転され、側面図形ETが様々な方向から見たときの側面図形として表示される。
【0031】
ファセット加工領域の設定について説明する。ファセット加工領域は、基本的に玉型正面図形FT上にて、タッチペンで始点と終点を指定することにより設定される。ここでは、ファセット加工のスタイルが予め登録されている3つのパターン(A,B,C)から選択する場合を説明する。ファセットスタイルは、図8の画面におけるボタンキー604により選択できる。図8では、レンズ前面側にファセット領域(カット面)を4箇所設定した例を示している。玉型正面図形FT上の領域FAは、スタイルAにより設定された領域である。スタイルAでは、始点S1と終点F1の間に位置する中間点M1の最大の加工幅W1maxとしたとき、始点S1から中間点M1まで徐々に加工幅が増加し、中間点M1から終点F1まで徐々に加工幅が減少するようにファセットラインFLfa1が設定される。
【0032】
領域FBは、スタイルBの選択により設定された領域である。始点S2と終点F2を指定すると、スタイルBでは点S2から加工幅Wを徐々に大きくしていき、最大加工幅W2maxが現れる中間点M2に達した後は、玉型形状のコバに沿って最大加工幅W2maxを維持しつつ終点F2までファセットラインFLfa2が設定される。終点F2以降は、ファセットラインFLfa2の接線をそのままコバ位置F2eまで延長したファセットラインが設定される。
【0033】
領域FCは、スタイルCの選択により設定された領域である。始点S3と終点F3を指定すると、点S3より点F3に至るまで、玉型形状のコバに沿って最大加工幅W3maxで一定となるようなファセットラインFLfa3が設定される。そして、始点S3より外側部分は、ファセットラインFLfa3の接線をそのままコバ位置S3eまで延長したファセットラインが設定され、点F3より外側部分もファセットラインFLfa3の接線をそのままコバ位置F3eまで延長したファセットラインが設定される。スタイルCでは、両側部分以降を共にコバ位置まで見栄え良く直線的にカットする「切りっぱなし」のファセット加工が簡単な設定で行える。
【0034】
上記のようなファセットラインFLfにおいて、玉型正面図形FT上で設定する最大加工幅(ファセット幅)Wは、図8上に示す入力欄610をタッチすることで表示されるテンキーにより、入力欄610に数値を入力することができる。また、最大加工幅Wを入力する代わりに、コバ厚に対する面取り量(コバ側面側の加工幅)Tの比率trを入力することによっても、加工幅Wを設定できる。面取り比率は、入力欄611をタッチすることで表示されるテンキーにより入力できる。
【0035】
玉型正面図形FT上でレンズ前面側のファセットラインFLfを設定すると、コバ側面図形ET上にコバ側面からみたファセットラインELfが設定される。ファセットラインELfは、レンズ前面の加工幅Wとレンズ前面面取り砥石221aの加工面の傾斜角とにより計算される。また、ファセット加工領域は、ボタンキー602を押してレンズ後面を指定することにより、同じ要領でレンズ後面側にも設定できる。
【0036】
玉型正面図形FT上でファセットラインFLfを設定した場合に、コバ側面におけるファセット加工軌跡であるファセットラインELfの演算について、図9を使用して説明する。ここでは、レンズ前面側にファセット加工の領域を設定した場合を説明する。図9において、玉型正面図形FT上で設定された加工幅(レンズ前面のコバ位置Q1からレンズ前面のファセット加工点Q2までの距離)をW、レンズ前面のコバ位置Q1からコバ側面のファセット加工点Q3までの面取り量をCT、コバ位置Q1におけるレンズ前面の傾斜角をα、レンズ前面面取り砥石221aの加工面の傾斜角をβとする。なお、レンズ前面の傾斜角は、仕上げ加工後のコバ位置とそれより所定距離(例えば、1mm)だけ内側又は外側で2回のコバ位置測定を行うことで得られ、近似的に直線と見なしてもデザイン的なファセット加工では実用上の問題は少ない。加工幅Wを設定した場合、面取り量CTは、
CT=W×(tanβ−tanα)
として求められる。そして、面取り量CTにより、レンズ前面のコバ位置Q1に対するファセット加工点Q3の位置データが得られる。レンズ前面面取り砥石221aの加工面の傾斜角βは、予めメモリ51に記憶されている。
【0037】
以上の計算をファセット加工領域の範囲の微小動径角毎に行うことにより、コバ側面におけるファセット加工軌跡(rn,θn,zn)(n=1,2,…,N)が得られる。これにより、ディスプレイ5の画面の側面図形ET上にファセットラインELfが表示される。玉型正面図形FT上でファセットラインFLf及び側面図形ET上のファセットラインELfにより、ファセット加工後の正面および側面方向からの仕上がり形状を確認でき、ファセット加工後のコバの残りの厚さ、側面から見たファセット加工量等を知ることができる。これにより、ファセット加工の設定の適否を判断できる。
【0038】
以上のようなファセット加工の領域は複数箇所で設定できる。ファセット加工領域を複数箇所で設定する場合、現在編集中のファセットラインFLf,ELfが赤色で表示され、編集済の他のラインは青色で表示される。なお、ボタンキー602を押して、レンズ後面側のファセット加工領域を設定することが可能である。反対側の面のファセットラインFLrは、点線で表示され、レンズ前面と後面側のファセット加工領域を視覚的に区別できる。ファセットスタイルを組み合わせることで、ファセット加工領域の設定を自由にデザインできる。
【0039】
次に、加工工程毎に予測される時間の算出を説明する。初めに、レンズ材質がプラスチックの場合を説明する。加工終了までに掛かる加工終了時間Tは、基本的に各加工工程の時間を加算して求められる。
【0040】
<レンズコバ位置測定工程> レンズがレンズチャック軸102L,102Rにチャッキングされた後、スタートスイッチが押されると、レンズコバ位置測定部300F,300Rにより玉型データに基づいてレンズ前面及びレンズ後面のコバ位置が測定される。レンズコバ位置測定部300F,300Rの測定動作開始から測定動作終了までに掛かる測定工程時間は平均的に15秒であるので、加工終了時間Tの算出においては測定工程時間Tmを15秒とする。オートヤゲン加工モード、オート溝掘り加工モード等のように、コバ位置測定に続いてレンズ周縁加工が実行されるモード(加工が一時的に中断されないモード)が設定された場合は、この測定工程時間Tm(15秒)が加算されて加工終了時間Tが求められる。
【0041】
<粗加工工程> 粗砥石162aによるレンズLEの直接の粗加工は、未加工レンズの径、玉型サイズ、レンズ厚により多少変動するものの、レンズLEが5〜7回転で加工される。1回転あたり約7〜8秒掛かるものとすれば、粗加工時間は約30秒〜60秒でほとんどのものが加工される。プラスチックレンズの標準的な未加工レンズの直径が75mmであり、標準的な玉型(直径45mm)を加工した場合、粗砥石162aによる直接の粗加工時間は平均的に約45秒である。このため、レンズ厚が分かっていない段階では、粗加工時間を45秒とする。
【0042】
また、レンズコバ位置測定後に粗加工工程に移行した際は、初めに、加工準備として、砥石回転用のモータ160が高速回転され、モータの回転を安定させると共にモータ160に加工負荷が掛かっていない状態でのモータ電流がチェックされる。その加工準備として約5秒が掛かるものとする。そして、加工準備後にレンズLEが粗加工砥石162a側にゆっくり下降され、レンズLEの回転が始まるまで約4秒の時間が掛かるものとする。加工終了後にレンズLEが所定の退避位置まで戻されるまでに1秒掛かるものとする。したがって、これらの時間10秒を直接の粗加工時間に加え、粗加工工程の時間Trは55秒として演算される。
【0043】
なお、玉型サイズは玉型データの入力により分かるので、直径45mmの玉型サイズに対して15mm以上増加した場合は、上記のTr=55秒に7秒をマイナスし、15mm小さい場合は7秒をプラスして演算しても良い。さらに、レンズコバ位置測定後に時間Tを表示する場合は、屈折力が−4Dのレンズのレンズ厚を基準とし、レンズコバ位置測定結果からレンズ厚が一定量(例えば3mm)大きい場合は加工時間を7秒プラスし、レンズ厚が一定量小さい場合は加工時間を7秒マイナスして求めても良い。
【0044】
<仕上げ加工工程> 仕上げ用砥石162bによる仕上げ加工は、ヤゲン仕上げ加工と平仕上げ加工があるが、両者ともほぼ同時間であるので区別なく仕上げ加工工程時間Tfiが算出される。仕上げ加工は、粗加工後に残された仕上げ代1.5mm程が加工される。このとき、平均的に4回転(切り込み加工2回転、削りの残しの加工用に空回転を2回転)で仕上げ加工される。1回転当たり平均7秒の加工時間とすれば、4回転で28秒となる。そして、加工開始時及び加工終了時のキャリッジ101の移動に2秒掛かるとものとすると、仕上げ加工工程時間Tfiは30秒とされる。レンズ厚が標準より3mm厚ければ、切り込み加工が1回転余分に掛かることがあるので、この場合には7秒プラスして演算しても良い。
【0045】
<鏡面仕上げ加工工程> 鏡面仕上げ加工は、仕上げ用砥石162bによる仕上げ加工後のレンズ周縁が鏡面仕上げ用砥石162cにより鏡面加工される。鏡面仕上げ用砥石162cによる鏡面加工においても、ヤゲン仕上げ加工と平仕上げ加工があるが、両者ともほぼ同時間であるので区別なく鏡面仕上げ加工工程時間Tpoが算出される。この鏡面加工は、レンズが3回転(鏡面加工代分の切り込み加工1回転、艶だし用の空回転2回)される。レンズ1回転当たり平均15秒とすれば、その加工時間は45秒となる。これに、加工前後のキャリッジ101の移動時間2秒を加えると、鏡面仕上げ加工工程時間Tpoは47秒とされる。
【0046】
<面取り加工工程> 面取り加工は、仕上げ加工後のレンズ前面の角部が面取り砥石221aにより加工され、レンズ後面の角部が面取り砥石221bにより加工される。面取り加工工程時間Tcは、加工準備時間Tct、レンズ前面の面取り加工時間Tcf及びレンズ後面の面取り加工時間Tcrの合計とされる。加工準備時間Tctは、砥石スピンドル230の加工開始時の加工位置への移動時間及び加工終了時の退避位置への移動時間に5秒かかるものとする。面取り加工時間Tcf及びTcrは、図10に示すように、それぞれの面取り量(面取り幅)Dの設定により算出される。本実施形態の面取り加工においては、面取り加工の0.2mmの切り込みに対してレンズが1回転され、その後、削り残しの加工用に空回転が2回転される。面取り加工時間は、1回転当たり約7秒の時間が掛かるとして算出される。レンズ後面の面取り幅Dは、0.3mm(面取り小)、0.4mm(面取り中)、0.5mm(面取り大)から選択できる。レンズ前面の面取り幅Dは、標準では0.3mmに設定されている。これらは、個別に数値を入力して設定も可能である。
【0047】
レンズコバ位置測定前の段階で面取り加工時間Tcrを算出する場合、簡易的には、面取り幅Dの値を切り込み量として算出される。例えば、レンズ後面の面取り幅0.5mm(面取り大)が選択されている場合、切り込み加工の回転が3回転、空回転が2回転となり、レンズ後面の面取り加工時間Tcrは、7秒×5回転=35秒に、加工前後のキャリッジ101の移動時間2秒を加え、37秒として得られる。レンズ前面の面取り幅が0.3mmで設定されている場合、切り込み加工の回転が2回転、空回転が2回転となり、レンズ前面の面取り加工時間Tcfは、7秒×4回転=28秒に、加工前後のキャリッジ101の移動時間2秒を加え、30秒として得られる。そして、両面の面取りに掛かる加工工程時間Tcは、Tct+Tcf+Tcrにより、72秒として得られる。
【0048】
なお、レンズコバ位置測定によりコバ位置に対する切り込み量がわかれば、図9で説明したファセット加工と同じ方法により、設定された面取り幅Dを確保するために、コバ位置Q1からの切り込み量CTを求めて面取り加工時間を算出することができる。
【0049】
<鏡面面取り加工工程> 鏡面面取り加工は、上記の面取り加工後の加工面がさらに鏡面面取り砥石223a,223bにより加工される。鏡面面取り加工は、上記の面取り加工と異なり、面取り量に拘わりなく、レンズ前面及びレンズ後面の両者において、それぞれレンズが3回転(鏡面加工代分の切り込み加工1回転、艶だし用の空回転2回)で加工される。レンズ前面及びレンズ後面とも、レンズ1回転当たり平均15秒とすれば、それぞれの加工時間は45秒となる。片面についての加工前後のキャリッジ101の移動時間に2秒掛かるとすれば、片面の鏡面面取り加工工程時間は47秒となる。レンズ前面及びレンズ後面の両方の鏡面仕上げ加工工程時間Tcpは94秒とされる。
【0050】
<溝掘り加工工程> 溝掘り加工は、平仕上げ加工されたレンズ周縁が溝掘りカッター436により行われる。溝掘り加工工程時間Tgは、加工準備時間Tgtと、実際の加工時間Tgpの和として算出される。加工準備時間Tgtは、キャリッジ101の移動によるレンズLEの加工時の待機位置への移動時間(5秒)と、回転部430の加工位置への移動時間及び退避時間(5秒)の合計として、10秒とする。加工時間Tgpは、溝幅と溝深さの設定により算出される。溝掘り加工においては、溝深さとなる切り込み量0.2mmに対してレンズLEが1回転され、1回転当たり15秒の時間が掛かるものとして算出される。オート溝掘り加工モードが設定されている場合、溝幅はカッター436と同じ幅0.6mmで設定され、溝深さが0.6mmとされる。この場合、レンズが3回転されるので、溝掘り加工時間Tgpは45秒として得られる。そして、溝掘り加工工程時間Tgは、Tgt+Tgp=55秒とされる。
【0051】
強制溝掘り加工モードでは、オート溝掘り加工モードの設定に対して、溝深さと溝幅を変更できる。例えば、溝深さが0.8mmに設定され、溝幅が0.6mmより大きな0.8mmに設定された場合、図11(a)のように、レンズ前面側の溝面を確保するように0.6mm幅のカッター436により、溝掘り軌跡に基づいて指定された溝深さまで加工される。次に、レンズ後面側の溝面を確保するように、図11(b)の如く、0.2mmだけレンズ後面側に移動された溝掘り軌跡に基づいて指定された溝深さまで加工される。その後、中央に残った溝底部部分が0.1mmの送りで加工される。この場合、レンズ前面側の溝面の加工時にレンズが4回転され、レンズ後面側の溝面の加工時もレンズが4回転され、中央の溝底部部分の加工時にレンズが1回転される。なお、中央の溝底部部分の加工は、レンズ1回転当たり10秒で加工される。従って、この場合の溝掘り加工時間Tgpは130秒として算出され、溝掘り加工工程の全体の時間Tgは140秒とされる。
【0052】
<穴加工工程> 穴加工工程時間Thは、加工準備時間Thtと、穴加工時間Thpの和として算出される。加工準備時間Thtは、溝掘り加工と同じく、10秒とする。穴加工時間Thpは、穴の深さデータ(貫通穴の場合は、穴加工部分のレンズ厚)、穴径及び穴数に基づいて算出される。本装置のエンドミル435の直径は、0.8mmであり、この穴径のときはそのままレンズLE又はエンドミル435が移動されて加工される。エンドミルの435による加工では、加工屑を穴から出すために、穴深さ方向に0.2mmの切り込み毎にエンドミル435が出し入れされて加工される。2mmの深さを加工したときに約15秒を要しているので、この時間を基礎とし、穴深さに応じて1個の穴加工時間が算出される。穴深さが4mmの場合は、穴1個の加工時間は30秒となる。
【0053】
穴径の設定が0.8mmより大きいときは、まず設定された穴径の中心に穴深さ方向に向けて穴加工された後、穴中心に対してエンドミル435の軸中心が最大0.2mmピッチで偏心され、その状態でレンズLEが移動され、エンドミル435の側面で穴径が確保されるように加工される。すなわち、1つの穴加工時間は、穴の直径0.8mmに対して0.4mmまで大きくなるごとに、5秒がプラスされて算出される。そして、図7で示したように、穴を複数個加工する場合、穴加工時間Thpは各穴の加工時間の総和として算出される。
【0054】
なお、貫通穴を加工する場合、初めの加工条件の設定段階では各穴位置のレンズ厚データ(レンズコバ位置測定データ)が無いので、レンズ厚が平均的な2mmであるものとして、穴加工時間Thpが算出される。
【0055】
<ファセット加工工程> ファセット加工工程時間Tfaは、加工準備時間Tfatと、砥石による加工時間Tfapの和として得られる。加工準備時間Tfatは、面取り加工工程における加工準備時間Tctと同じく、5秒かかるものとする。加工時間Tfapは、ファセット加工領域の設定数と各加工領域における加工幅W(もしくは、面取り量CT)の設定に基づいて算出される。ここで、切り込み量は面取り量CTであるとすると、ファセット加工は、1つのファセット領域毎にレンズがアップカットの回転にて切り込み量0.2mm分だけ加工された後、レンズが逆回転される。最後の切り込み量0.2mm分は、片面全周のファセット領域をアップカットで加工するようにレンズが回転される。1つのファセット加工領域で切り込み量0.2mmの加工に5秒掛かるとし、逆回転が伴う面取り量CTが1mmとした場合、1つのファセット加工領域で25秒の加工時間が掛かる。そして、レンズ前面で同一のファセット領域が8箇所設定され、最後の切り込み量0.2mm分の1回転に10秒の時間が掛かるとすれば、レンズ前面の全てのファセット加工に210秒(3分30秒)掛かる。レンズ後面もレンズ前面と同じく8箇所のファセット加工領域が設定されているとすれば、両面のファセット加工時間Tfapは7分として算出される。そして、ファセット加工工程時間Tfaは、Tfapに加工準備時間Tfatが加えられた7分5秒として演算される。
【0056】
なお、ファセット加工の設定においては、通常、見栄えを良くするために、鏡面面取り砥石223a,223bによる鏡面加工工程が設定される。この場合、鏡面面取り加工工程と同じ時間47秒(片面当たりの時間)が加えられる。レンズ前面及びレンズ後面に鏡面加工を施す場合の加工工程時間Tpfaは、94秒とされる。
【0057】
<レンズ洗浄工程> 溝掘りカッター436による溝掘り加工及びエンドミル435による穴加工においては、研削水が供給されずに加工が行われるので、何れか一方が最終加工の場合には加工屑を取り除くために、レンズ洗浄が行われる。砥石群162付近に研削水が噴射されるノズルがあり、研削水が噴射される位置にレンズが移動される。レンズ洗浄は研削水が供給されながらレンズが1回転されて終了する。その洗浄時間を10秒とし、研削水が噴射される位置へのレンズの移動及び洗浄終了後に退避する移動時間を5秒とすれば、レンズ洗浄工程に掛かる時間Twは15秒とされる。
【0058】
溝掘り加工及び穴加工の後に、面取り加工工程又はファセット加工がある場合は、その加工時に研削水が使用されるので、このレンズ洗浄工程は省略される。なお、レンズ洗浄は、レンズを取り外した後に別の専用の洗浄装置にて実施される場合もあるので、加工条件の設定時に本装置側において実施するか否かを選択できる。
【0059】
レンズ材質がガラスの場合を説明する。この場合、粗加工はガラス用粗砥石162dが使用され、仕上げ加工は仕上げ用砥石162bが使用されるが、粗加工工程時間Tr、仕上げ加工工程時間Tfiは、プラスチックの場合とほぼ同じ時間で行われる。なお、ガラスレンズの場合、鏡面加工、溝掘り加工、穴加工、ファセット加工は、加工不可とされる。
【0060】
レンズ材質がポリカーボネイト(以下、ポリカと略す)の場合について、主にプラスチックレンズと異なる加工工程とその時間の算出を説明する。
【0061】
<粗加工工程> 熱可塑性のポリカレンズの粗加工では、プラスチックレンズと異なり、加工時には研削水供給手段53から研削水が供給されず、ドライ加工が行われる。加工時間としてはプラスチックの場合と同じとされる。
【0062】
<仕上げ加工工程> 仕上げ用砥石162bによるポリカレンズの仕上げ加工においては、砥石162cによる鏡面仕上げ加工の有無により加工工程が異なる。鏡面仕上げ加工が無い場合、研削水の供給無しで仕上げ代分を加工するドライ加工としてレンズが平均的に2回転され、研削水の供給による艶だしのウエット加工としてレンズが3回転される。レンズ1回転当たり7秒とすれば合計5回転であるので、その加工時間は35秒となる。これに、加工開始時及び加工終了時のキャリッジ101の移動時間2秒を加え、仕上げ加工工程時間Tfiは37秒とされる。
【0063】
一方、鏡面仕上げ加工が設定されている場合、仕上げ用砥石162bによる仕上げ加工は、研削水の供給無しのドライ加工としてレンズが2回転されて終了する。この場合、ドライ加工時間の14秒にキャリッジ101の移動時間2秒を加え、仕上げ加工工程時間Tfiは16秒とされる。
【0064】
なお、プラスチックレンズの場合と同様に、レンズコバ位置測定後はレンズ厚が分かるので、レンズ厚によって加工時間はプラスされる。
【0065】
<鏡面仕上げ加工工程> 砥石162cによる鏡面仕上げ加工が設定された場合は、先のドライ加工のみで終了した仕上げ加工後のレンズに対して、砥石162cによりドライ加工としてレンズが1回転される。次に、研削水供給手段53を用いたウエット加工としてレンズが3回転される。鏡面仕上げ加工ではレンズ1回転当たり平均15秒とすれば、レンズ4回転の加工時間は60秒とされる。これに、加工前後のキャリッジ101の移動時間2秒を加えると、鏡面仕上げ加工工程時間Tpoは62秒とされる。
【0066】
<面取り加工工程> 面取り砥石221a、221bによるポリカレンズの面取り加工は、仕上げ加工と同じく、その後の鏡面面取り加工の有無により加工工程が異なる。鏡面面取り加工が無い場合、プラスチックレンズと同じようにレンズ前面及びレンズ後面の切込み加工が、面取り幅の設定に応じてそれぞれドライ加工で行われる。その後、研削水の供給によるウエット加工としてレンズ前面及び後面にてそれぞれレンズが3回転される。ドライ加工及びウエット加工共に1回転あたり、プラスチックと同様に平均7秒で加工される。従って、レンズ前面及びレンズ後面とも、同じ面取り幅の設定のプラスチックレンズに対して、1回転余分に回転される。前述のプラスチックレンズの例と同じく、レンズ後面の面取り幅が0.5mm(面取り大)で設定され、レンズ前面の面取り幅が0.3mmで設定されている場合、レンズ後面の面取り加工時間Tcr及びレンズ前面の面取り加工時間Tcfは、プラスチックレンズに比べてそれぞれ7秒余分に掛かるものとして演算される。つまり、両面の面取りに掛かる加工工程時間Tcは、プラスチックレンズに比べて14秒余分に掛かるものとして演算される。なお、レンズの移動時間を無視できるものとする。
【0067】
鏡面面取り加工が設定されている場合、面取り砥石221a、221bによる切込み加工が面取り幅の設定に応じてドライ加工で行われて終了される。すなわち、加工時間はそれぞれ切り込みのレンズ回転分のみである。レンズ後面の面取り幅が0.5mmで設定され、レンズ前面の面取り幅が0.3mmで設定されている場合、Tcr及びTcfは加工前後のキャリッジ101に移動時間2秒を加え、それぞれ23秒及び16秒となる。これに、加工準備時間Tctとして砥石スピンドル230の加工開始時の加工位置への移動時間3秒を加え、面取り加工工程時間Tcは42秒とされる。
【0068】
<鏡面面取り加工工程> ポリカレンズの鏡面面取り加工では、ドライ加工までで終了したレンズ前面及びレンズ後面に対して、それぞれ鏡面面取り砥石223a,223bによりドライ加工としてレンズが1回転された後、ウエット加工としてレンズが3回転される。すなわち、プラスチックレンズの鏡面面取り加工に対して、それぞれレンズが1回転余分に回転されるものとして、その加工工程時間Tcpが47秒+15秒として算出される。レンズ後面及びレンズ前面の面取りが設定されている場合、Tcpは124秒とされる。
【0069】
なお、上記の各加工工程の加工時間においては、砥石等の加工具による直接の加工前後の移動時間は何れも2秒程であるので、各加工工程時間の算出においては誤差範囲となるので無視しても良い。
【0070】
次に、以上のような加工工程毎の加工時間と加工条件の設定により予測される加工終了時間Tの算出例とその表示動作を説明する(図13のフローチャート参照)。
【0071】
<例1> レンズ材質としてプラスチックが設定され、加工モードとしてオートヤゲン加工、鏡面加工、面取り加工の加工条件が設定された場合を説明する。面取りは、レンズ後面が面取り大(0.5mm)、レンズ前面の面取り幅が0.3mmで設定されたものとする。加工条件設定後(S−1)、スイッチ部7の加工スタートスイッチを押すと(S−2)、オートヤゲン加工では、レンズコバ位置測定後に加工を一旦停止するモードとはされず(S−3)、レンズコバ位置測定に続いてレンズ加工が実行される。
【0072】
この場合、初めのスタートスイッチが押されることにより加工終了時間Tが表示される(S−4)。各加工工程の時間は、レンズコバ位置の測定工程時間Tm=15秒、粗加工工程時間Tr=55秒、仕上げ加工工程時間Tfi=30秒、鏡面仕上げ加工時間Tpo=47秒、面取り加工時間Tc=72秒、鏡面面取り加工時間Tcp=94秒となる。加工終了時間Tは各加工工程の総和の5分13秒として演算され、時間表示部550に表示される(S−4)。作業者は、この加工終了までの予測時間を知ることにより他の作業に従事するための目安とすることができる。加工終了時間Tは、おおよその目安となれば良いので、15秒単位で丸めて表示しても良い。
【0073】
ここで、レンズコバ位置が測定される(S−5)と、玉型に対するレンズ厚が得られる。測定されたレンズ厚について、粗加工時間Tr、仕上げ加工時間Tfi等の算出の基礎とした標準のものより変動がある場合、それに応じてその後の加工工程の算出時間が補正される(S−6)。
【0074】
時間表示部550に表示される時間は、加工の進行と共にカウントダウンされる(S−11)。例えば、5秒ごとにカウントダウンされる。その際、加工工程が終了するごとに残りの加工工程の時間に補正される(S−14)。これにより、作業者は途中で残りの時間を知ることができ、他の作業に従事するか否か参考にすることができる。
【0075】
なお、加工終了までの残りの加工時間を報知する方法としては、時間を数値表示する代わりに(あるいは、時間の数値表示に加えて)、加工開始から加工終了までのトータルの加工終了時間を100%とし、加工の進捗状況に応じて進捗割合(%)を数値及び/又はグラフィックにて表示部550に表示しても良い。グラフィックで表示すれば、視覚的に分かりやすい。この場合も、加工の進捗状況によって各加工工程の終了毎に、加工条件の設定により算出される残りの加工時間を基に、その表示状態が補正される。
【0076】
例えば、上記の例1において、トータル時間は313秒であり、仕上げ加工工程の終了までの時間は100秒である。予想通りに仕上げ加工工程が終了すれば、その進捗割合は約32%であり、残りの加工時間の割合は68%である。ここで、仕上げ加工終了までの時間が予想より長く掛かった場合でも、進捗割合のグラフィックは、残りの加工時間を元にして仕上げ加工終了まで32%(残り68%)のままとする。あるいは、仕上げ加工終了までに実際に掛かった時間と残りの加工時間を加算し、これを基準に進捗割合を補正演算し直す。このような表示によっても、作業者は加工終了までのおおよその時間を知ることができる。
【0077】
全ての加工工程が終了すると、ディスプレイ5に加工終了の旨のメッセージが表示され、また、スピーカ54により加工終了を知らせる音が発生される(S−15)。
【0078】
<例2> レンズ材質としてプラスチックが設定され、加工モードとして強制溝掘り加工、鏡面加工、面取り加工の加工条件が設定された場合を説明する。溝掘り加工以外は、先の例1と同様な設定とする。強制溝掘り加工モードは、レンズコバ位置測定後に溝掘り加工のシミュレーション画面が表示され、加工が一時的に停止されるモードとされる。加工条件設定後、スイッチ部7の加工スタートスイッチを押すと(S−2)、レンズコバ位置測定が実行される(S−7)。
【0079】
その後、図6に示した溝掘り加工のシミュレーション画面に切換えられ、装置の動作は一旦停止される(S−8)。溝掘り加工のシミュレーション画面においては、溝掘りのカーブ、位置を変更できる。また、溝幅及び溝深さを変更できる。ここでは、溝深さが0.8mm、溝幅が0.8mmに設定されたものとする。未加工レンズの径、レンズ厚及び玉型サイズについては、標準的なものとする。
【0080】
シミュレーション画面に必要な条件を設定した後、スイッチ部7の加工スタートスイッチを押すと(S−9)、制御部50により加工終了までの時間Tが演算され、表示部550に表示される(S−10)。この設定における各加工工程の時間は、先の例と同じく、粗加工時間Tr=55秒、平加工の仕上げ加工時間Tfi=30秒、鏡面仕上げ加工時間Tpo=47秒、面取り加工時間Tc=72秒、鏡面面取り加工時間Tcp=94秒である。溝掘り加工は、図11により説明した手順にて行われ、その加工時間Tgは140秒として算出される。加工終了時間Tはこれらが加算された438秒となる。表示時間として、おおよその目安となれば良いので、15秒単位で丸められ、7分15秒となる。
【0081】
<例3> レンズ材質としてプラスチックが設定され、眼鏡枠の種類がリムレス(ツーポイント)が選択され、加工モードとして平仕上げ加工、穴加工モード、鏡面加工、面取り加工の加工条件が設定された場合を説明する。平仕上げ加工、穴加工以外は、先の例1と同様な設定とする。加工条件設定後、スイッチ部7の加工スタートスイッチを押すと(S−2)、表示部550に加工終了時間Tが表示され(S−4)、レンズコバ位置測定(S−5)に続いてレンズ加工が実行される。
【0082】
穴加工における加工時間は、穴の設定データに基づいて算出される。例えば、図7に示したように、4つの穴が設定され、各穴の直径が1.0mm、穴深さが貫通に設定されているものとする。レンズコバ位置測定前においては、穴加工のレンズ厚が不明であるので、0.8mmの貫通穴の加工に平均的な15秒を要するものとする。そして、穴の直径が1.0mmに設定されているので、貫通穴の径を広げる加工に5秒がプラスされる。1つの穴の加工時間は、20秒となる。そして、穴数が4個であるので、穴加工時間Thpは80秒とされ、これに加工準備時間Thtの10秒が加算され、穴加工工程時間Thは90秒とされる。
【0083】
ここで、穴加工が設定された場合のレンズコバ位置測定は、レンズ周縁加工のための測定に加え、穴位置に対応するレンズ前面のコバ位置と、穴位置におけるレンズ前面の傾斜角を得るために、穴位置より僅かに外側の2箇所で測定される。穴が複数個設定されている場合は、その数分の測定が行われる。1つの穴についての測定時間が3秒とすれば、4個の穴の測定に12秒掛かり、これにレンズ周縁加工用の測定工程時間15秒が加算され、測定工程時間Tmは27秒として算出される。
【0084】
各加工工程の時間は、加工工程順にTm=27秒、Tr=55秒、Tfi=30秒、Tpo=47秒、Th=90秒、Tc=72秒、Tcp=94秒となる。これらを合計すると、加工終了時間Tは388秒となる。表示部550には、丸められた時間6分30秒が表示される。
【0085】
レンズコバ位置測定より、玉型に対するレンズ厚が得られ、また、各穴位置のレンズ厚が得られる。これにより、レンズコバ位置測定測定後の加工終了時間Tが補正される(S−6)。例えば、各穴位置のレンズ厚が標準とした2mmより厚い4mmである場合、1つの貫通穴に対して15秒多く掛かり、穴数が4個であるので、穴加工工程時間Thは60秒プラスされる。また、玉型に対するレンズ厚が標準より厚い場合、粗加工工程時間Trは7秒プラスされ、仕上げ加工時間Tfiも7秒プラスされる。したがって、レンズコバ位置測定後の残りの加工終了時間Tは、333秒から407秒に補正される。そのときの表示時間は6分45秒に丸められた時間とされる。時間表示部550に表示される時間は加工工程の進行と共にカウントダウンされ、加工工程が終了するごとに残りの加工工程の時間に補正される。
【0086】
<例4> 例3の加工条件に対して、面取り加工が設定されていない場合について説明する。この場合、面取り加工のTc=72秒及びTcp=94秒が省かれ、代わりにレンズ洗浄工程の時間Tw=15秒が追加され、加工終了時間Tは237秒となる。
【0087】
<例5> 例3の加工条件の設定に対して、面取り加工の代わりにファセット加工が設定された場合を説明する。この場合、レンズコバ位置測定後に加工を一旦停止するモードとされる。加工条件設定後、スイッチ部7の加工スタートスイッチを押すと、レンズコバ位置測定が実行され、図8のファセット加工領域設定用のシミュレーション画面に切換えられ、装置の動作は一旦停止される。図8の側面図形ETには、レンズコバ位置測定結果が反映される。側面図形ETの輪郭とコバ側面に設定されたファセットラインELfとの関係を見ることにより、また、側面図形ETの観察方向をタッチペン等により指定することにより、ファセット加工領域及びその加工幅の設定の適否が判定できる。このシミュレーション画面にて、ファセット加工領域及びその加工幅の修正、再設定ができる。
【0088】
ここでは、先の説明と同じく、レンズ前面及びレンズ後面にファセット領域がそれぞれ8箇所設定されたものとする。また、各ファセット領域の最大加工幅Wの設定により、図9のコバ側での面取り量が1.2mmであったとする。この場合、先に説明した演算により、レンズ前面及びレンズ後面のファセット加工時間Tfa=7分5秒として求められる。
【0089】
例5の設定では、上記の例3(Tr=55秒、Tfi=30秒、Tpo=47秒、Tc=72秒、Tcp=94秒の合計298秒)に対してファセット加工時間Tfa=7分5秒が加算されるので、加工終了時間Tは723秒(12分3秒)となる。再びスタートスイッチが押されると(S−9)、表示部550には丸められて12分と表示される(S−10)。
【0090】
<例6> レンズ材質としてポリカが設定され、他の加工条件は例1と同じく、加工モードとしてオートヤゲン加工、鏡面加工、面取り加工の加工条件が設定された場合を説明する。ポリカの場合、粗加工、仕上げ加工(ヤゲン加工)、鏡面加工、面取り加工の工程で、プラスチックに対して異なる演算により各加工工程の時間が求められる。すなわち、Tm=15秒及びTr=55秒はプラスチックと同じであり、Tfi=16秒、Tpo=62秒、Tc=42秒、Tcp=124秒がプラスチックと異なる。これらが加算され、その加工終了時間Tは、314秒(表示は丸められ、6分15秒)となる。
【0091】
以上、加工終了時間の算出例の何れにおいても、表示部550に表示される時間は、加工動作スタートスイッチの信号入力後、加工進行と共にカウントダウンされる。前述したように、各加工工程が終了するごとに残りの加工工程の時間に補正される。これにより、作業者は途中で残りの時間を知ることができ、他の作業に従事するか否か参考にすることができる。加工が終了すると、ディスプレイ5に加工終了のメッセージが表示されると共に、スピーカ54から加工終了の旨の音が発せられる。
【0092】
また、加工センタや眼鏡店においてレンズを連続して加工する場合、加工終了が近づいたことを作業者に知らせるようにすると、作業者は次のレンズの加工の準備をしつつ効率良く加工を行うことができる。例えば、残りの加工時間が30秒になったら、スピーカ54から加工終了まで30秒である旨の音を発して作業者に知らせる。または、加工時間の表示とは別に、ランプ等の表示により加工終了まで30秒である旨を知らせる。
【0093】
図12は、上記の実施形態に対する変容例の構成図である。上記の実施形態では加工終了までの時間及び加工終了の旨を加工装置本体1に設けられたディスプレイ5に表示したが、この変容例の構成においては、作業者が携帯可能な受信ユニットに無線信号で通知する。
【0094】
図12において、装置本体1には無線発信機600が設けられ、無線発信機600は制御部50に接続されている。700は作業者が携帯可能な受信ユニットであり、例えば、携帯電話のように、作業者のポケットに入れることができる筐体を持つ。受信ユニット700は、無線発信機600からの無線信号(電波信号)を受信する受信機702と、加工時間終了時間等を表示する表示器704と、スピーカ(音発生手段)706と、バイブレータ(振動発生器)708と、これらに接続された制御部710と、を備える。
【0095】
装置本体1の制御部50にて求められた加工終了時間(カウントダウンされた加工終了までの時間を含む)の信号及び加工終了信号は、無線発信機600により発信される。受信ユニット700の制御部710は、受信機702にて受信された信号を基に表示器704に加工終了までの時間を表示させる。これにより、作業者が加工装置本体1から離れ、他の作業に従事している場合にも(例えば、眼鏡店の作業者が、本体1が設置された加工室から離れて接客をしている場合)、その作業者は携帯している受信ユニット700側にて加工終了までの時間を確認できる。
【0096】
また、本体1の無線発信機600から発せられた加工終了信号が受信されると、制御部710は加工終了のメッセージを表示器704に表示させると共に、スピーカ706にてブザー音を発生させる。あるいは、バイブレータ708を駆動して振動を発生させる。また、加工終了が近づいたこと(例えば、加工終了まで残り30秒)を音や振動で知らせるようにしても良い。これにより、作業者は、加工装置本体1から離れ、他の作業に従事している場合にも、加工終了又は加工終了が近づいたことを知ることができ、次のレンズの加工に移る等、作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】眼鏡レンズ周縁加工装置の加工部の概略構成図である。
【図2】面取り機構部の構成を説明する図である。
【図3】レンズコバ位置測定部の概略構成図である。
【図4】穴加工・溝掘り機構部の概略構成図である。
【図5】眼鏡レンズ周縁加工装置の制御ブロック図である。
【図6】溝加工モードのシミュレーション画面を説明する図である。
【図7】穴加工モードにおける穴編集画面を説明する図である。
【図8】ファセット加工領域の設定について説明する図である。
【図9】ファセットラインの演算について説明する図である。
【図10】面取り加工における面取り量を説明する図である。
【図11】溝掘り加工の加工手順を説明する図である。
【図12】本発明の変容例を説明する図である。
【図13】本実施形態におけるレンズ加工のフローチャートを説明する図である。
【符号の説明】
【0098】
1 加工装置本体
5 ディスプレイ
50 制御部
101 キャリッジ
102L、102R レンズチャック軸
162 砥石群
300F、300R レンズコバ位置測定部
400 穴加工・溝掘り機構部
435 エンドミル
436 溝掘りカッター






【出願人】 【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−12594(P2008−12594A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−182739(P2006−182739)