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【発明の名称】 研磨装置及び研磨方法
【発明者】 【氏名】清水 菊夫

【氏名】深堀 雄二

【要約】 【課題】ロータリーキルンの炉体外周に固着される金属製タイヤや当該タイヤを支持するローラの偏摩耗などを容易かつ安全に補修することのできる簡便な装置を提供する。

【構成】所定の高さを有する架台1と、架台1上に固定される固定ベース20と、固定ベース20の上面に沿って一方向に移動可能に設けられる第1テーブル21と、第1テーブル21の上面に沿って該第1テーブル21の移動方向と直交する方向に移動可能に設けられる第2テーブル22と、第2テーブル22の上面に取り付けられるグラインダ3とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーキルンの炉体外周に固着される環状の金属製タイヤ、又はそのタイヤを支持するローラを補修するための研磨装置であって、
所定の高さを有する架台と、この架台上に固定される固定ベースと、この固定ベースの上面に沿って一方向に移動可能に設けられる第1テーブルと、この第1テーブルの上面に沿って該第1テーブルの移動方向と直交する方向に移動可能に設けられる第2テーブルと、この第2テーブルの上面に取り付けられるグラインダと、を具備して構成されることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
グラインダは、モータのロータ軸の一端部に円盤状の粗目砥石を固着すると共に、前記ロータ軸の他端部に前記粗目砥石よりも研磨材の平均粒径が小さい円盤状の仕上用砥石を固着して構成される請求項1記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に係わり、特にロータリーキルン(ロータリードライヤを含む)の炉体外周に固着される環状の金属製タイヤ、又はそのタイヤを支持するローラの偏摩耗や傷などを容易に補修することのできる簡便な研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロータリーキルンは、円筒形の炉体の外周に環状の金属製タイヤを直接溶接又は金具を介した溶接などによって所定の間隔に固着すると共に、それら金属製タイヤをローラにより支持して構成されるが、係るタイヤ及びローラは、偏荷重、材質の選定不良、アライメント不良(心ずれ)、焼入れムラなどの原因により、偏摩耗したり表面に傷を生じたりすることがある。
【0003】
この偏摩耗や傷を放置したままロータリーキルンの運転を続けると、タイヤ及びローラの偏摩耗、傷が急速に進行し、装置寿命が大幅に低下するのみならず、振動や騒音を発生することになる。
【0004】
そこで、従来はタイヤやローラに偏摩耗や傷が生じた場合、それらを取り外し、これを旋盤その他の工作機械によって補修したり新規なものと交換したりしているが、その間は当然ながら装置の運転を休止せざるを得ず、これによって業務が大幅に遅延してしまうという問題があった。
【0005】
尚、金属部材の摩耗などを補修する工具として、電動機のロータ軸に円盤状の砥石を取り付けたグラインダが一般に良く知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】実開平5−56352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるようなグラインダでは、ロータリーキルンを運転しながら砥石を金属製タイヤやローラの外周面に押し付けて、それを補修することも可能であるが、グラインダを作業者が保持したまま補修作業を行うものでは高精度な補修は到底期待することはできない。
【0008】
又、ロータリーキルンの炉体は大きなトルクで回転されるので、グラインダを手にしてタイヤやローラの補修を行う方法では、タイヤとローラの間に補修作業者が腕などを巻き込まれる危険性があり、安全上好ましくない。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的はロータリーキルンの炉体外周に固着される金属製タイヤや当該タイヤを支持するローラの偏摩耗などを容易かつ安全に補修することのできる簡便な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するため、
ロータリーキルンの炉体外周に固着される環状の金属製タイヤ、又はそのタイヤを支持するローラを補修するための研磨装置であって、
所定の高さを有する架台と、この架台上に固定される固定ベースと、この固定ベースの上面に沿って一方向に移動可能に設けられる第1テーブルと、この第1テーブルの上面に沿って該第1テーブルの移動方向と直交する方向に移動可能に設けられる第2テーブルと、この第2テーブルの上面に取り付けられるグラインダと、を具備して構成されることを特徴とする。
【0011】
又、上記のような研磨装置において、グラインダは、モータのロータ軸の一端部に円盤状の粗目砥石を固着すると共に、前記ロータ軸の他端部に前記粗目砥石よりも研磨材の平均粒径が小さい円盤状の仕上用砥石を固着して構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、架台上に第1テーブルおよび第2テーブルを介してグラインダが設けられると共に、第1テーブルおよび第2テーブルが互いに直交する方向に移動可能とされていることから、それら第1テーブルおよび第2テーブルの移動により、グラインダの位置調整を行いながらロータリーキルンの金属製タイヤやローラの表面を研磨して、それらの偏摩耗や傷を精度よく容易に補修することができる。
【0013】
特に、本発明の研磨装置によれば、金属製タイヤやローラを取り外さず、ロータリーキルンを運転したままで回転する金属製タイヤやローラの全周を研磨することができ、しかもグラインダが架台などで支持されるのでロータリーキルンを運転したままでも作業者が腕を巻き込まれる危険なくして補修作業を安全に行うことができる。
【0014】
又、グラインダは、モータのロータ軸の一端部に円盤状の粗目砥石を固着すると共に、ロータ軸の他端部に粗目砥石よりも研磨材の平均粒径が小さい円盤状の仕上用砥石を固着して成ることから、粗目砥石により金属製タイヤやローラの表面を粗く研磨した後、仕上用砥石により金属製タイヤやローラの表面を緻密に仕上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係る研磨装置を部分的に破断して示した側面図である。
【0016】
図1において、1は所定の高さを有する架台であり、この架台1は等辺山形鋼を接合するなどして構成され、その上部は所定の角度に曲げられた傾斜部11とされる。そして、傾斜状を成す架台1の上面12にはXYテーブルユニット2が設けられる。
【0017】
XYテーブルユニット2は、架台1の上面12に固定される平板状の固定ベース20と、固定ベース20に平行して該固定ベース20上に設けられる第1テーブル21と、第1テーブル21に平行して該第1テーブル21上に設けられる第2テーブル22とを具備して構成される。
【0018】
特に、第1テーブル21は、固定ベース20の上面に沿って所定の一方向(図1における図面直角方向であり、これをX方向とする)に往復移動可能に設けられる。又、第2テーブル22は、第1テーブル21の上面に沿って該第1テーブル21の移動方向と直交する方向(架台1の上面12の傾斜方向であり、これをY方向とする)に往復移動可能に設けられる。
【0019】
一方、第2テーブル22の上面にはグラインダ3が取り付けられる。グラインダ3は、モータ31により円盤状の砥石32を回転駆動させるもので、第2テーブル22上には砥石32の周囲を部分的に覆う安全カバー4が設けられる。
【0020】
本例において、グラインダ3を構成するモータ31は、ロータ軸31Aの両端が外部に突出される電動機であり、そのロータ軸31Aは第1テーブル21の移動方向(X方向)に向けられる。そして、係るロータ軸31Aの両端部に砥石32が相対向して固着される構成としてある。尚、砥石32は粗目砥石32Aと仕上用砥石32Bで構成されるが、これについては後述する。
【0021】
図2はXYテーブルユニット2を示した平面図、図3は同XYテーブルユニット2を示した正面図である。図2および図3において、51は固定ベース20の上面に2本平行に固設されるリニアガイド、52は第1テーブル21の下面に固設したガイド軸受で、そのリニアガイド51およびガイド軸受52は摺動自在に係合されて第1テーブル21をX方向に移動可能に支持する第1の移動案内手段を構成する。尚、本例において、リニアガイド51は角形のレールタイプとされるが、これを丸軸タイプとしてもよい。
【0022】
又、固定ベース20には2本のリニアガイド51,51の間で軸受ユニット53が固着され、その軸受ユニット53により、一端にハンドル54を備える操作軸55が回転自在に支持されている。尚、操作軸55は表面に螺旋状の溝を形成したネジ軸であり、これはリニアガイド51に平行して設けられる。そして、第1テーブル21の下面には操作軸55に螺合するナット56が固着され、そのナット56と操作軸55とにより第1テーブル21をX方向に移動させる第1の送り機構が構成される。
【0023】
一方、第2テーブル22の下面には、リニアガイド51に直交して2本のリニアガイド61が平行に固設される。更に、第1テーブル21の上面には、リニアガイド61と摺動自在に係合するガイド軸受62が固設される。そして、そのリニアガイド61およびガイド軸受62により、第2テーブル22をY方向に移動可能に支持する第2の移動案内手段が構成される。尚、本例において、リニアガイド61も角形のレールタイプとされるが、これを丸軸タイプとしてもよい。
【0024】
又、第1テーブル21の上面には、2本のリニアガイド61,61の間で軸受ユニット63が固着され、その軸受ユニット63により、一端にハンドル64を備える操作軸65が回転自在に支持されている。尚、操作軸65は、表面に螺旋状の溝を形成したネジ軸であり、これはリニアガイド61に平行して設けられる。そして、第2テーブル22の下面には操作軸65に螺合するナット66が固着され、そのナット66と操作軸65とにより第2テーブル22をY方向に移動させる第2の送り機構が構成される。
【0025】
次に、図4はグラインダ3を示した平面概略図である。この図で明らかなように、モータ31のロータ軸31Aの一端部には、砥石32として円盤状の粗目砥石32Aが固着される。この粗目砥石32Aは研磨材(砥粒)を結合剤で結合するなどして構成されるもので、その中心部には取り付け用の孔が穿設される。又、ロータ軸31Aの他端部には、粗目砥石32Aとは別の仕上用砥石32Bが固着される。この仕上用砥石32Bも研磨材(砥粒)を結合剤で結合するなどして構成されるが、その研磨材は粗目砥石32Aの研磨材よりも平均粒径が小さくされる。
【0026】
しかして、その粗目砥石32Aおよび仕上用砥石32Bはモータ31の起動により同時に回転され、そのいずれか一方を研磨対象に押し付けることで研磨対象を研磨することができる。尚、図4には安全カバー4(図1参照)を示していないが、図1に示した安全カバー4は粗目砥石32A側に設けられ、仕上用砥石32Bはモータ31に固着される図示せぬカバーにより部分的に覆われている。
【0027】
次に、以上のように構成される研磨装置の使用態様について説明する。図5および図6において、7はロータリーキルンを構成する円筒状の炉体であり、その外周には環状の金属製タイヤ8が固着され、その金属製タイヤ8がローラ9により支持される構成となっている。尚、一般に100〜400℃で固体を乾燥させるものをロータリードライヤと呼んでロータリーキルンとは区別するが、本発明でいうロータリーキルンはロータリードライヤを含む。
【0028】
そして、本発明に係る研磨装置は、専らロータリーキルンの金属製タイヤ8、又はこれを支持するローラ9を補修するのに用いられる。
【0029】
金属製タイヤ8を補修する場合には、図5のように炉体7の軸線と砥石32(粗目砥石32Aおよび仕上用砥石32B)の軸線が平行するようにして本願研磨装置を金属製タイヤ8の近傍に置き、しかしてロータリーキルンを運転したまま、図2などに示したハンドル64の操作により第2テーブル22をY方向に移動せしめてグラインダの砥石32を金属製タイヤ8の表面に押し付け、次いで図2などに示したハンドル54の操作により第1テーブル21をX方向(炉体7の軸方向)に移動させるのであり、これによれば金属製タイヤ8の偏摩耗や傷を容易かつ適正に補修することができる。尚、以上のような補修作業において、最初は粗目砥石32Aを金属製タイヤ8に押し付けてその表面を粗く研磨し、その後で仕上用砥石32Bを金属製タイヤ8の表面に押し付けてその表面を高精度に研磨することが好ましい。
【0030】
一方、ローラ9を補修する場合には、金属製タイヤ8の補修時よりも架台1を高さの低いものに交換する。そして、図6のようにローラ9の軸線と砥石32の軸線が平行するようにして本願研磨装置をローラ9の近傍に置き、しかしてロータリーキルンを運転したまま、図2などに示したハンドル64の操作により第2テーブル22をY方向に移動せしめてグラインダの砥石32をローラ9の表面に押し付け、次いで図2などに示したハンドル54の操作により第1テーブル21をX方向(ローラ9の軸方向)に移動させるのであり、これによればローラ9の偏摩耗や傷を容易かつ適正に補修することができる。尚、以上のようなローラ9の補修作業においても、最初は粗目砥石32Aをローラ9に押し付けてその表面を粗く研磨し、その後で仕上用砥石32Bをローラ9の表面に押し付けてその表面を高精度に研磨することが好ましい。
【0031】
以上、本発明について好適な一例を説明したが、係る研磨装置は上記のような構成に限定されるものでなく、例えばグラインダのモータ31に油圧モータを利用することもできる。又、上記例では、固定ベース20の上面にリニアガイド51を固着してこれに係合するガイド軸受52を第1テーブル21の下面に固着する一方、第2テーブル22の下面にリニアガイド61を固着してこれに係合するガイド軸受62を第1テーブル21の上面に固着したが、固定ベース20の上面にガイド軸受52を固着すると共にリニアガイド51を第1テーブル21の下面に固着したり、第2テーブル22の下面にガイド軸受62を固着すると共にリニアガイド61を第1テーブル21の上面に固着したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る研磨装置を示す側面図
【図2】同装置を構成するXYテーブルユニットの平面概略図
【図3】同XYテーブルユニットの正面概略図
【図4】グラインダを示す平面概略図
【図5】金属製タイヤを補修する状態を示す説明図
【図6】ローラを補修する状態を示す説明図
【符号の説明】
【0033】
1 架台
2 XYテーブルユニット
20 固定ベース
21 第1テーブル
22 第2テーブル
3 グラインダ
31 モータ
32A 粗目砥石
32B 仕上用砥石
7 炉体
8 金属製タイヤ
9 ローラ
【出願人】 【識別番号】302038855
【氏名又は名称】株式会社深堀鉄工所
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘

【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 希望


【公開番号】 特開2008−6554(P2008−6554A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180998(P2006−180998)