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研磨方法、研磨装置及び薄膜トランジスタ基板の製造方法 - 特開2008−832 | j-tokkyo
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【発明の名称】 研磨方法、研磨装置及び薄膜トランジスタ基板の製造方法
【発明者】 【氏名】平松 雅人

【要約】 【課題】例えば液晶パネル用のガラス基板のように大面積であり、表面に大きなうねりを有する研磨対象物を均一に研磨することが可能な研磨方法及び研磨装置を提供する。また、銅配線の採用を可能とし、液晶パネルを構成した場合に高精細化と高開口率化及び狭額縁化とを両立することが可能な薄膜トランジスタ基板の製造方法を提供する。

【構成】ガラス基板51の一主面側に形成された半導体層52、ゲート絶縁膜53及びゲート電極54を覆って層間絶縁膜55を形成し、層間絶縁膜55に配線溝57を形成し、配線溝57に配線材料58を埋め込んだ後、ガラス基板51を層間絶縁膜55の形成面の反対側の面から複数の吸着部材で吸着するとともに、被研磨面のうねりの形状に応じて吸着部材の吸着面の位置をガラス基板1の厚み方向に独立に変化させることによりガラス基板1を変形させ、被研磨面を略平坦化した状態で研磨を行うことにより余剰の配線材料58を除去して配線59を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともガラス基板を有する研磨対象物を被研磨面の反対側の面から複数の吸着部材で吸着するとともに、被研磨面のうねりの形状に応じて前記吸着部材の吸着面の位置を前記研磨対象物の厚み方向に独立に変化させることにより前記研磨対象物を変形させ、被研磨面を略平坦化した状態で研磨することを特徴とする研磨方法。
【請求項2】
前記吸着部材は細幅の直方体形状であり、研磨対象物の被研磨面に存在するうねりの長手方向に沿って前記吸着部材を配列することを特徴とする請求項1記載の研磨方法。
【請求項3】
前記研磨対象物の被研磨面を上方に向けた状態で研磨することを特徴とする請求項1又は2記載の研磨方法。
【請求項4】
前記研磨としてCMP法による研磨を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の研磨方法。
【請求項5】
ガラス基板の一主面側に形成された半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆って層間絶縁膜を形成し、前記層間絶縁膜に配線溝を形成し、前記配線溝に配線材料を埋め込んだ後、前記ガラス基板を前記層間絶縁膜の形成面の反対側の面から複数の吸着部材で吸着するとともに、被研磨面のうねりの形状に応じて前記吸着部材の吸着面の位置を前記ガラス基板の厚み方向に独立に変化させることにより前記ガラス基板を変形させ、被研磨面を略平坦化した状態で研磨を行うことにより余剰の配線材料を除去して配線を形成することを特徴とする薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項6】
前記配線材料として銅を用いることを特徴とする請求項5記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法。
【請求項7】
少なくともガラス基板を有する研磨対象物の被研磨面を研磨する研磨手段と、
前記研磨対象物の被研磨面と反対側の面から前記研磨対象物を保持する保持手段とを備え、
前記保持手段は、前記研磨対象物の被研磨面と反対側の面に吸着する複数の吸着部材と、
前記吸着部材にそれぞれ設けられ、被研磨面のうねりの形状に応じて前記吸着部材の吸着面の位置を前記研磨対象物の厚み方向に独立に変化させる変位部材とを備えることを特徴とする研磨装置。
【請求項8】
前記吸着部材は幅細の直方体形状であり、研磨対象物の被研磨面に存在するうねりの長手方向に沿って配列されることを特徴とする請求項7記載の研磨装置。
【請求項9】
前記保持手段は被研磨面を上方に向けた状態で前記研磨対象物を保持することを特徴とする請求項7又は8記載の研磨装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともガラス基板を有する研磨対象物を研磨する研磨方法及び研磨装置に関する。また、本発明は、前記研磨方法を利用した薄膜トランジスタ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の表示部に用いられる液晶パネルの画面サイズとしては対角2インチクラスのものが現在の主流を占めており、現状においては1/4VGA(QVGA)程度の精細度を持つ製品が市場に出荷されている。ワンセグ放送の普及に伴って携帯電話を用いるコンテンツの成長が予測されることから、現在のQVGA表示から1/2VGA表示、さらにはVGA表示等への対応が必要になると考えられるが、携帯電話等においては画面サイズのこれ以上の拡大は見込めない。このため、液晶パネルの精細度の向上が望まれている。
【0003】
ところで、液晶パネルの高精細化と高開口率化及び狭額縁化とはトレードオフの関係にあるため、電子機器等における表示部の面積を変更することなく液晶パネルの精細度を単純に高めると、開口率低下と額縁の肥大化を引き起こす。高精細化を達成しつつ開口率低下や額縁の肥大化を防止する施策としては、薄膜トランジスタに接続する信号線等の配線を微細化することが考えられる。
【0004】
しかしながら、TFTに接続する配線を細くすると、今度は配線抵抗が増大するという別の問題が生じる。この問題は配線材料として低抵抗な金属材料を用いることで解決可能であるものの、現在一般的に用いられている配線材料であるアルミニウムやアルミニウム合金よりも抵抗率の小さな金属材料としては、銅、銀等のように限られた種類しかない。そして、アルミニウムやアルミニウム合金はドライエッチングによる微細加工が容易である一方、銀や銅等はドライエッチング加工が難しいという問題がある。
【0005】
そこで、単結晶シリコン基板を用いた半導体製造プロセスにおいては、ダマシン法により銅配線を形成する技術が量産レベルで採用されている。ダマシン法とは、層間絶縁膜に配線溝を形成し、銅等の配線材料を埋め込んだ後、余剰の配線材料を化学的及び機械的に研磨する、いわゆるCMP(Chemical Mechanical Polishing: CMP)法による研磨を行って除去することにより、銅配線を形成する方法である。このようなダマシン法による配線形成法をガラス基板等を用いた発光装置の製造プロセスに転用することも考えられている。例えば特許文献1においては、CMP法により層間絶縁膜上の電極を加工する方法が開示されている。具体的には、円状の回転定盤の上に研磨布(研磨パッド)を貼り付けるとともに、回転定盤の上方に設けた円状の研磨ヘッドにガラス基板を真空吸着し、ガラス基板を回転定盤上の研磨布に押し付けてCMP法による研磨を行っている。
【特許文献1】特開2003−84683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ガラス基板には厚みムラやうねり等が存在しており、単結晶シリコン基板に比較すると平坦性が良好であるとは言えない。また、近年、液晶パネル用ガラス基板の大型化が著しいが、これに伴い基板表面のうねりも大きくなる傾向にあり、うねりによる凹凸の高低差が最大で10μm程度にも及ぶことがある。このような平坦性の悪さゆえ、ダマシン法によって液晶パネル用ガラス基板上に配線形成を行うことは困難であり、TFT基板の配線材料に銅を採用することの妨げとなっている。
【0007】
なお、前記特許文献1においては、CMP法によって電極を加工する方法が記載されているものの、研磨ヘッドに吸着させたガラス基板を回転定盤上の研磨布に上側から押し付けつつ研磨を行うような研磨装置の構成から明らかなように、基板表面のうねりの小さい比較的小型の基板を研磨することを想定しており、基板表面のうねりを考慮した研磨を行うものではない。
【0008】
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば液晶パネル用のガラス基板のように大面積であり、表面に大きなうねりを有する研磨対象物を均一に研磨することが可能な研磨方法及び研磨装置を提供することを目的とする。また、本発明は、銅配線の採用を可能とし、液晶パネルを構成した場合に高精細化と高開口率化及び狭額縁化とを両立することが可能な薄膜トランジスタ基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するために、本発明に係る研磨方法は、少なくともガラス基板を有する研磨対象物を被研磨面の反対側の面から複数の吸着部材で吸着するとともに、被研磨面のうねりの形状に応じて前記吸着部材の吸着面の位置を前記研磨対象物の厚み方向に独立に変化させることにより前記研磨対象物を変形させ、被研磨面を略平坦化した状態で研磨することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る研磨装置は、少なくともガラス基板を有する研磨対象物の被研磨面を研磨する研磨手段と、前記研磨対象物の被研磨面と反対側の面から前記研磨対象物を保持する保持手段とを備え、前記保持手段は、前記研磨対象物の被研磨面と反対側の面に吸着する複数の吸着部材と、前記吸着部材にそれぞれ設けられ、被研磨面のうねりの形状に応じて前記吸着部材の吸着面の位置を前記研磨対象物の厚み方向に独立に変化させる変位部材とを備えることを特徴とする。
【0011】
研磨対象物の被研磨面の反対側に吸着させた複数の吸着部材によって被研磨面におけるうねりを低減する方向に研磨対象物を変形させ、被研磨面を略平坦化した状態で研磨することで、単結晶シリコン基板に比較して平坦性に劣るガラス基板を研磨対象とする場合であっても被研磨面の均一な研磨が達成される。
【0012】
さらに、本発明に係る薄膜トランジスタ基板の製造方法は、ガラス基板の一主面側に形成された半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆って層間絶縁膜を形成し、前記層間絶縁膜に配線溝を形成し、前記配線溝に配線材料を埋め込んだ後、前記ガラス基板を前記層間絶縁膜の形成面の反対側の面から複数の吸着部材で吸着するとともに、被研磨面のうねりの形状に応じて前記吸着部材の吸着面の位置を前記ガラス基板の厚み方向に独立に変化させることにより前記ガラス基板を変形させ、被研磨面を略平坦化した状態で研磨を行うことにより余剰の配線材料を除去して配線を形成することを特徴とする。
【0013】
以上のような薄膜トランジスタ基板の製造方法によれば、余剰の配線材料を除去するための研磨に際して被研磨面におけるうねりを略平坦化した状態とするので、配線加工プロセスの制約が減り、CMP法による研磨工程を含むダマシン法を配線形成に採用することが可能となる。このため、ダマシン法による加工が必須である銅を薄膜トランジスタ基板の配線材料に採用することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被研磨面にうねりを有するガラス基板を含んだ研磨対象物を均一に研磨することができるので、例えば液晶パネル用の薄膜トランジスタ基板において、銅を配線材料として採用することが可能となる。したがって、配線抵抗の増大を招くことなく配線の微細化が可能となり、液晶パネルにおける狭額縁化及び高開口率化とさらなる高精細化とを両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を適用した研磨方法、研磨装置及び薄膜トランジスタ(TFT)基板の製造方法について詳細に説明する。
【0016】
本発明において研磨対象物となるガラス基板の表面には図1に示すような大きなうねりが存在しているため、均一に研磨することが難しい。ガラス基板表面のうねりは互いに略平行に形成されており、うねりの長手方向(y方向)は、溶融した硝材を薄板状に加工するために一次元方向に引き出す方向と一致している。
【0017】
本発明では、図2に示すような研磨装置を用いて被研磨面におけるうねりを略平坦化するように研磨対象物を変形させ、この状態で研磨を行う。
【0018】
この研磨装置は、少なくともガラス基板を含んだ研磨対象物1を例えばCMP法により研磨するための装置であり、研磨対象物1の被研磨面1aを研磨するための研磨手段11と、研磨対象物1を保持する保持手段21とを備えるものである。保持手段21上に保持された研磨対象物1は、被研磨面1aが上方を向くように配置される。また、研磨装置は、研磨対象物1の被研磨面1aの表面形状について調べる検知手段31と、検知手段31で取得した被研磨面1aの情報に基づき、保持手段21等を制御する制御手段41をさらに備える。
【0019】
研磨手段11は研磨対象物1の被研磨面1aの上方に設けられ、例えば円盤状のヘッド12の表面に研磨パッド13が研磨面を下に向けた状態で取り付けられ、回転軸14を中心に回転するとともに揺動可能な構成とされる。研磨手段11のヘッドは円盤状に限らず棒状でもよい。
【0020】
本発明の研磨装置は、従来の半導体製造プロセスに用いられるCMP装置とは異なり、研磨対象物1の被研磨面1aを上に向けた状態で研磨を行う。研磨対象物となるガラス基板は単結晶シリコンウェハーに比べて大面積であるため、保持手段上に吸着保持することで安定性が確保されるとともに、研磨対象物より小面積の研磨パッドを揺動させた方が均一な研磨が達成されるからである。
【0021】
図3は保持手段21を拡大した斜視図である。保持手段21は、研磨対象物1の被研磨面1aと反対側の面(以下、裏面と称する。)21bに対して吸着する複数の吸着部材22と、各吸着部材22を上下動させ、被研磨面1aのうねりの形状に応じて吸着面22aの位置を研磨対象物1の厚み方向に独立して制御する変位部材23とを備え、これらが例えば支持体24上に配列されている。支持体24の大きさは、研磨対象物1の大きさに対応して適宜設定すればよく、例えば鋼鉄製の板からなる。
【0022】
図3に示す吸着部材22は、細幅の直方体形状であり、支持体24の上面に設けられた複数の溝25に嵌め込まれることで互いに平行に配列されている。また、吸着部材22は、例えば10mm間隔で互いに平行に複数配列される。なお、各吸着部材22の長さは全て同じでもよく、異なっていてもよい。
【0023】
吸着部材22の吸着面22aには、幅方向中央に沿って複数の真空吸着孔22bが開口している。真空吸着孔22bには、図示しない排気経路を介して真空ポンプ等の排気系が接続される。吸着部材22は、例えば吸着面22aを与える弾性材と金属部材とが一体に形成されて構成されており、弾性材としてはシリコーンゴム等を使用できる。一方、金属部材としては適度な剛性、可撓性及び弾力性を兼ね備えた材料を使用でき、具体的にはアルミニウム等が挙げられる。
【0024】
溝25の底部には変位部材23が配置されている。変位部材23は、支持体24と吸着部材22との間に介在して設けられ、電気信号により上下方向(z方向)の変位量を調整可能な素子である。変位部材23の変位量は例えば±10〜30μmである。変位部材23としては、微小変位量の高精度な制御が可能であるとともに応答速度が速く、且つ発生応力が大きい等の特長を持つことから圧電素子が好適に用いられるが、例えば空気圧調整装置、ボールスクリュー等のモータ駆動機構等も用いることができる。
【0025】
なお、本実施形態では溝25内に変位部材25が埋め込まれたような構造の保持手段21を図示したが、吸着部材22の吸着面22aの高さ位置を変位部材23により調節可能な構成であれば、このような構成に限るものではない。また、1つの帯状の変位部材23で1つの吸着部材22の全体を支持する構造を示したが、複数の変位部材23で1つの吸着部材22を支持するような構造でも構わない。
【0026】
また、本実施形態においては、研磨対象物の被研磨面におけるうねりを略平坦化させるために、変位部材23自身の変位量を独立に制御して研磨対象物1を変形させるが、例えば変位部材23に代えて、吸着部材22による真空吸着力に分布を持たせることにより、研磨対象物1を変形させてもよい。
【0027】
検知手段31は、例えば、研磨対象物1の被研磨面1aに向けて所定の角度でレーザー光を照射する半導体レーザーと、被研磨面1aにおいて正反射した光をレンズを介して受光するとともに、受光量に応じた電流を検出する位置検出装置(PSD)とを備えている。なお、検知手段31は、研磨対象物1の被研磨面1aの表面形状についての情報を取得可能であれば前述のようなPSDを利用した構成に限定されるものではなく、例えば光の干渉や触針等を利用したものであってもよい。また、検知手段31は、保持手段21上で研磨対象物1の被研磨面1aの表面形状についての情報を取得する構成に限らず、保持手段21に保持される前に研磨対象物1の表面形状の情報を取得する構成であっても構わない。
【0028】
制御手段41は、検出手段51から出力された被研磨面1aの表面形状についての情報に基づいて、被研磨面1aにおけるうねりを略平坦化するために必要な変位部材23の変位量を個別に求め、各変位部材23へ出力する。制御手段41としては例えばパーソナルコンピュータ等が用いられる。
【0029】
前述の研磨装置を用いて研磨対象物1を研磨する際には、先ず、研磨対象物1を保持手段21で保持する。このとき、研磨対象物1の被研磨面1aにおけるうねりの長手方向(y方向)と、各吸着部材22の長手方向(y方向)とが一致するように研磨対象物1を位置決めする。
【0030】
その後、真空ポンプを作動させて真空吸着孔22bに真空吸引作用を発生させることで、吸着部材22によって研磨対象物1の裏面21bを吸着保持する。それとともに、検知手段31からの情報に基づいて、被研磨面1aにおけるうねりが略平坦化されるように変位部材23の変位量を制御手段41において個々に求め、変位部材23を独立に駆動させ、吸着部材22を上下動させる。例えば、研磨対象物1の被研磨面1aの凸部については変位部材23の収縮量を大とし、吸着部材22の吸着面22aを低くする一方、研磨対象物1の被研磨面1aの凹部については変位部材23の収縮量を相対的に小とし、吸着面22aを相対的に高くすることで、研磨対象物1を変形させ、被研磨面1aのうねりを略平坦化する。なお、研磨対象物1の被研磨面1aにおけるうねりを略平坦化するとは、被研磨面1aの最も高い位置と最も低い位置との差を1μm以内におさめることを言う。
【0031】
そして、被研磨面1aにおけるうねりを略平坦化した状態で、研磨パッド13を研磨対象物1の被研磨面1aに押し当て、図示しないノズルより被研磨面1aに研磨剤を供給しながら、研磨パッド13を保持したヘッド12を軸14を中心として回転させるとともに揺動させ、研磨対象物の研磨を行う。
【0032】
以上のように、図2に示す研磨装置を用いることで、研磨対象物1の被研磨面1aにおけるうねりを略平坦化した状態で研磨を行うことができるので、研磨対象物1の均一な研磨が達成される。
【0033】
また、ガラス基板の製法に起因するうねりは図1に示したように互いに平行に形成されているので、このうねりの修正は一次元方向に行えばよく、簡単な装置構成で平坦化が可能である。すなわち、うねりの平坦化を行うための吸着部材22の形状を細幅の直方体形状とするとともに、吸着部材22をうねりの長手方向に沿って配列し吸着させることで、二次元的な凹凸を修正する場合に比較して、研磨装置の構成を簡単にすることができる。また、各吸着面22aの高さ位置を調節するための変位部材23の変位量制御も容易となる。
【0034】
前述のような研磨装置を用いた研磨方法を利用することで、液晶パネルのTFT基板の配線を形成することができる。以下、本発明の研磨方法を利用した液晶パネル用のTFT基板の製造方法について説明する。
【0035】
TFT基板を作製するには、先ず、図4(a)に示すように、ガラス基板51上に多結晶シリコンからなる半導体層52、ゲート絶縁膜53、ゲート電極54を形成し、その後、PECVD法等によりシリコン酸化膜等を堆積させて層間絶縁膜55を形成する。次に、図4(b)に示すように、ゲート絶縁膜53及び層間絶縁膜55をエッチングして接続孔56を形成するとともに、層間絶縁膜55の表面をエッチングして配線溝57を形成する。次に、図4(c)に示すように、層間絶縁膜55等に形成した接続孔56及び配線溝57に配線材料58を埋め込む。配線材料としては例えば銅等の低抵抗な金属材料が好適である。
【0036】
次に、CMP法による研磨を行って層間絶縁膜55の表面を平坦化するとともに余剰の配線材料58を除去することで、図4(d)に示すような半導体層52のソース領域及びドレイン領域に接続する配線59を形成する。この際、前述の研磨装置を用いてガラス基板51の表面のうねりを略平坦化し、研磨を行う。
【0037】
先に説明したように、ガラス基板の表面には大きなうねりが存在している。TFTの高さがせいぜい1μm程度であるのに対し、ガラス基板のうねりの高さは最大で高低差10μm程度と非常に大きい。このため、CMP法による研磨を行う際に何ら対策を施さない場合、うねりの凹部に対応した領域に位置する配線材料58は全く除去されない一方、ガラス基板51のうねりの凹部に対応した領域においては配線材料58や層間絶縁膜55のみならず、ゲート電極54等も研磨除去するおそれがある。
【0038】
これに対し、本発明に係るTFT基板の製造方法では、被研磨面におけるうねりを略平坦化した状態で研磨を行うため、ガラス基板が大面積化して大きなうねりを生じている場合であっても、ガラス基板の全面にわたって均一な研磨を行うことが可能となる。このため、プロセス中にCMP法による研磨工程を含むダマシン法によってTFT基板の配線を形成することが可能となり、TFT基板への銅配線の採用が実現される。銅配線を採用したTFT基板においては配線抵抗の増大を招くことなく配線の微細化が可能となり、これを用いた液晶パネルにおいて狭額縁化及び開口率向上とさらなる高精細化とを両立することができる。また、本発明を適用して作製したTFT基板を用いた液晶パネルにおいては、配線が低抵抗な銅により形成されているので、精細度を落とすことなく高速駆動を実現することができる。
【0039】
なお、配線59を形成するためのCMP法による研磨の際に用いる研磨剤としては、CMP法で用いられる公知の研磨剤を使用可能である。ただし、配線材料58としての銅は、図5に示すように酸性領域において高い研磨レートを示すことから、研磨剤のpHを3〜6.5とすることで、銅の選択的なエッチングが可能となる。研磨剤のpHを前記範囲内とするには、予め前記範囲内に調整されたpHを有する研磨剤を用いてもよいし、市販の研磨剤に酸化剤を添加してpH調整を行ってもよい。
【0040】
また、前述の実施形態では、研磨対象物としてTFT基板を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らずガラス基板を含むあらゆる研磨対象物を研磨する際に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ガラス基板表面のうねりを説明するための模式図である。
【図2】本発明を適用した研磨装置の一例を示す模式図である。
【図3】保持手段の拡大斜視図である。
【図4】TFT基板の製造方法の一例を示す概略断面図であり、(a)は層間絶縁膜形成工程、(b)は接続孔及び配線溝形成工程、(c)は銅埋め込み工程、(d)は研磨工程を示す。
【図5】CMP法による研磨の際に用いる研磨剤のpHと、銅配線又は層間絶縁膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 研磨対象物、11 研磨手段、12 ヘッド、13 研磨パッド、14 回転軸、21 保持手段、22 吸着部材、23 変位部材、24 支持体、25 溝、31 検知手段、41 制御手段、51 ガラス基板、52 半導体層、53 ゲート絶縁膜、54 ゲート電極、55 層間絶縁膜、56 接続孔、57 配線溝、58 配線材料、59 配線

【出願人】 【識別番号】302020207
【氏名又は名称】東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平


【公開番号】 特開2008−832(P2008−832A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170352(P2006−170352)