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【発明の名称】 ガラス基板の研磨量管理方法
【発明者】 【氏名】中辻 幸敏

【氏名】杉本 章

【要約】 【課題】ガラス基板の研磨加工工程において、簡単な構成によって高精度に研磨量を管理することのできる方法を提供する。

【構成】研磨対象である複数のガラス基板の中から測定対象のガラス基板を特定する基板特定ステップと、特定ガラス基板の重量を測定する研磨前重量測定ステップと、特定ガラス基板と他のガラス基板とを研磨加工する研磨ステップと、研磨加工した後の特定ガラス基板の重量を測定する研磨後重量測定ステップと、特定ガラス基板の重量が所定範囲内に存するか否かを判断する判断ステップと、を備えて、前記研磨ステップと前記研磨後重量測定ステップと前記判断ステップとを繰り返すことによって、ガラス基板の研磨量を管理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨対象である複数のガラス基板の中から測定対象のガラス基板を特定する基板特定ステップと、
特定ガラス基板の重量を測定する研磨前重量測定ステップと、
特定ガラス基板と他のガラス基板とを研磨加工する研磨ステップと、
研磨加工した後の特定ガラス基板の重量を測定する研磨後重量測定ステップと、
特定ガラス基板の重量が所定範囲内に存するか否かを判断する判断ステップと、を備えて、
前記研磨ステップと前記研磨後重量測定ステップと前記判断ステップとを繰り返すことによって、ガラス基板の研磨量を管理することを特徴とする、ガラス基板の研磨量管理方法。
【請求項2】
研磨加工において使用するキャリアに目印を付することによって、重量測定対象のガラス基板を特定することを特徴とする、請求項1記載のガラス基板の研磨量管理方法。
【請求項3】
前記ガラス基板が磁気記録用ディスクであることを特徴とする、請求項1記載のガラス基板の研磨量管理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板の研磨量管理方法に関し、詳細には、所定のスペックを満足するように情報記録媒体用ガラス基板が研磨加工されているかを管理するための研磨量管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体用ディスクの小型・高密度化に伴い、表面平滑性及び機械的強度が優れたガラス基板を磁気記録用ディスクとして利用することが多くなっている。情報記録媒体用ガラス基板は、ガラス素板の表裏の記録面をラッピング加工したあとさらに研磨加工することが行われている。
【0003】
情報記録媒体用ガラス基板を研磨加工する際には、例えば、ダミーの基板を使って研磨速度を予め測定しておき、その測定結果に基づいて、所定時間だけ研磨を行うことが行われている。しかしながら、この方法では、基板と研磨パッドとの密接状態、研磨液の供給具合、ガラス基板自体の寸法バラツキ等の僅かな違いが研磨量のバラツキを招来するという問題がある。
【0004】
また、特許文献1には、基板に対して照射手段からの光を照射して、研磨度合いに応じて変位する光を検出手段で検出することが提案されている。特許文献1に開示された方法では、基板表面が研磨液の被膜で覆われている状態で測定するために、測定結果に大きなバラツキが発生すること、あるいは大掛かりな測定装置になってしまうこと等の問題がある。
【0005】
さらにまた、研磨加工中のガラス基板を適宜抜き取って、ガラス基板の厚みをマイクロメータで機械的に測定することも行われている。しかしながら、この方法では、マイクロメータ自体の測定精度があまり高くないために、研磨量の管理を高精度で行うことができないという問題がある。
【特許文献1】特開2000−133622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、ガラス基板の研磨加工工程において、簡単な構成によって高精度に研磨量を管理することのできる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および作用・効果】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明によれば、以下のガラス基板の研磨量管理方法が提供される。
【0008】
すなわち、本発明に係るガラス基板の研磨量管理方法は、
研磨対象である複数のガラス基板の中から測定対象のガラス基板を特定する基板特定ステップと、
特定ガラス基板の重量を測定する研磨前重量測定ステップと、
特定ガラス基板と他のガラス基板とを研磨加工する研磨ステップと、
研磨加工した後の特定ガラス基板の重量を測定する研磨後重量測定ステップと、
特定ガラス基板の重量が所定範囲内に存するか否かを判断する判断ステップと、を備えて、
前記研磨ステップと前記研磨後重量測定ステップと前記判断ステップとを繰り返すことによって、ガラス基板の研磨量を管理することを特徴とする。
【0009】
電子天秤等の電子的な重量計測器では、重量センサの感度が優れているために、例えば、100g秤量のもので0.1乃至0.2mg程度の精度で容易に計測することができる。また、重量測定に供されるガラス基板の形状も、所定の範囲内に存するように予め厳格に管理されているので、特定ガラス基板の違いによる個別のバラツキの発生も抑制されている。したがって、上記方法によれば、特定のガラス基板を重量測定の対象物と決めて、その特定ガラス基板の重量変化を追うことによって、特定ガラス基板の研磨量をモニター(管理)することができるので、簡単な構成によって高精度に研磨量を管理することができる。
【0010】
測定対象の特定ガラス基板に対して個々に目印を付することも可能であるが、特定ガラス基板に目印を毎回付することが必要になるので、手間になってコストアップの要因となってしまう。したがって、研磨加工において使用するキャリアに目印を付することによって、重量測定対象のガラス基板を特定することが好ましい。
【0011】
本発明に係る研磨量管理方法は様々なガラス基板に適用可能であるが、特にシビアな形状管理(研磨量管理)が要求される磁気記録用ディスクに好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係るガラス基板の研磨量管理方法の一実施形態を、図1を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
本発明において研磨加工されるガラス基板の素板は、例えば、ハードディスクドライブに内蔵される磁気記録用ガラス基板に使用されるものであって、1.8インチサイズのものや2.5インチサイズのものである。一例として、2.5インチサイズものについて説明する。ガラス基板の材質としては、ソーダライムガラス、ソーダカリガラス、ソーダアルミノケイ酸塩ガラス、アルミノボレートガラス、アルミノボロシリケートガラス(例えば、特開2004−277230号公報を参照すること。)である。このような磁気記録用ガラス基板の素板は、熔融ガラスを上下の金型でプレス成形することによって作成される。
【0014】
アルミノボロシリケートガラスからなる磁気記録用ガラス基板の素板は、両面ラッピング装置を用いて、平均粒径11.5μmのGC砥粒で約60分間ラッピングすることにより、例えば、表面粗さRmaxが約6μm、厚さが0.65mmであるラップ板に加工される。
【0015】
両面研磨用装置の定盤上に不織布製硬質研磨布を装着した後、ラップ加工板をセットし、定盤を20乃至60rpmで回転させて、平均粒径約1乃至3μmの酸化セリウムを約10重量%の濃度に水で懸濁させたスラリーを供給しながら、約150g/cm2の研磨荷重で60分間粗研磨することによって、厚さが0.64mmである粗研磨板に加工する。粗研磨時の研磨速度は、おおよそ0.5乃至1.5μm/分である。
【0016】
粗研磨された粗研磨板は、研磨キャリアに設けられた複数の穴の中にそれぞれセットされて研磨工程が開始される(ステップ#100)が、ある特定の穴には、目印(色付け、微小な刻み付け等の容易に視認できるが研磨によって消えにくいもの)を付けておいて、その目印の付された穴にセットされた粗研磨板を特定ガラス基板用の粗研磨板として特定し(ステップ#110)、当該特定された粗研磨板に関して仕上げ研磨時の重量変化をモニターする。
【0017】
仕上げ研磨加工を開始する前に、特定された粗研磨板の重量を精密電子天秤(フルスケール50g、測定精度±5mg)によって測定する(ステップ#120)。例えば、特定された粗研磨板の重量が4.700gであることを記録する。
【0018】
次に、平均粒径約0.5μmの酸化セリウムを含有した研磨液を供給しながら約60g/cm2の研磨荷重でおおよそ15分間仕上げ研磨すること(ステップ#130)によって、厚さが0.635mmである磁気記録用ガラス基板を作成する。
【0019】
上記仕上げ研磨加工の最中に、定盤の回転を止めて、研磨キャリア中の特定ガラス基板を適宜抜き取ってその重量を精密電子天秤によって測定する(ステップ#140)。特定ガラス基板の重量が所定の範囲内に、例えば、4.676乃至4.670gの範囲に収まっているか、すなわち、24乃至30mgの重量が減少しているかをモニター(判断)する(ステップ#150)。このような重量減少量が3乃至3.5μmの厚み減少量(研磨量)に相当することが、事前の予備実験によって関係付けられている。特定ガラス基板の重量が4.676乃至4.670gの範囲に収まっていれば、所定のスペックを満足しているものとして取り扱われて、ガラス基板の研磨を終了する(ステップ#160)。なお、仕上げ研磨時の研磨速度は、おおよそ0.1乃至0.3μm/分である。仕上げ研磨した磁気記録用ガラス基板の平均表面粗度(Ra)を触針式表面粗さ計で測定すると、平均表面粗度(Ra)が約5nmである。なお、念のために、仕上げ研磨した磁気記録用ガラス基板の厚みをマイクロメータで測定しておくことも有効である。
【0020】
仕上げ研磨済みの各ガラス基板は、研磨キャリアから取り出されて、洗浄工程において中性洗剤やイソプロピルアルコールや純水による洗浄処理を行ったあと、後続の磁気記録膜の形成工程等に供される。
【0021】
上述した方法によれば、特定のガラス基板を重量測定の対象物と決めて、その特定ガラス基板の重量変化を追うことによって、特定ガラス基板の研磨量をモニター(管理)することができるので、簡単な構成によって高精度に研磨量を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るガラス基板の研磨量管理方法のフローチャートである。
【出願人】 【識別番号】303000408
【氏名又は名称】コニカミノルタオプト株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100103115
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 康廣


【公開番号】 特開2008−825(P2008−825A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169731(P2006−169731)