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【発明の名称】 ワーク搬送装置
【発明者】 【氏名】神谷 守夫

【要約】 【課題】ラインの稼働率の向上と低コスト化とを同時に達成することができるうえ、容易に製造可能であり汎用性の面で優れた高品質のワーク搬送装置を提供すること。

【構成】直線部分1、2および曲線部分3、4を有するループ状のガイド部5と、このガイド部5に沿って移動し、ワークWを把持するハンド部6を有するローダ部7とを備え、前記ガイド部5の直線部分1、2にラック8を、曲線部分3、4にチェーン9をそれぞれ設けてある一方、前記ラック8と噛み合うピニオンギア10と前記チェーン9と噛み合うスプロケット11とを前記ローダ部7に同軸状に設けてあり、また、前記ラック8の端部の歯の位置にチェーン9のピンの位置を合わせてあり、かつ、前記ピニオンギア10の歯またはスプロケット11の歯のいずれか一方の歯の全部が他方の歯の一部あるいは全部と位相が合致するようにしてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線部分および曲線部分を有するループ状のガイド部と、このガイド部に沿って移動し、ワークを把持するハンド部を有するローダ部とを備え、前記ガイド部の直線部分にラックを、曲線部分にチェーンをそれぞれ設けてある一方、前記ラックと噛み合うピニオンギアと前記チェーンと噛み合うスプロケットとを前記ローダ部に同軸状に設けてあり、また、前記ラックの端部の歯の位置にチェーンのピンの位置を合わせてあり、かつ、前記ピニオンギアの歯またはスプロケットの歯のいずれか一方の歯の全部が他方の歯の一部あるいは全部と位相が合致するようにしてあることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記ピニオンギアの歯の数がスプロケットの歯の数の2倍である請求項1に記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば工場内に点在配置されている各種工作機械等の加工ステーション間にわたって、例えばエンジン(シリンダブロック)等の工作物などのワークを搬送する場合に用いられるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエンジン等のワークを工場内に点在配置されている各種の加工装置間にわたって搬送するために、従来より種々のワーク搬送装置が用いられている。その一例を図13に示す。
【0003】
この図に示すワーク搬送装置では、まず、搬入装置(例えばコンベア)51に搬入させたワークを、第一ローダ部52のハンド52aにクランプ(把持)させる。その後、第一ローダ部52をガイド部材53に沿って移動させ、加工機M1〜M3に順次停止させる。ここで、各加工機Mに停止させた第一ローダ部52のハンド52aには、ワークの載せ換え、すなわち、クランプしているワークの加工機Mへの移載と、当該加工機Mによる加工が完了した別のワークのクランプとを行わせ、ラインの稼働率の向上を図っている。なお、図13において、53aはラックであり、このラック53aに対応するピニオンギア(図示していない)を第一ローダ部52に設けてある。
【0004】
また、上記加工機M1〜M3にて加工したワークを、第一ローダ部52により移送装置(例えばコンベア)54に移し、この移送装置54によって移送させたワークを、第二ローダ部55のハンド55aにクランプさせる。その後、第二ローダ部55をガイド部材56に沿って移動させ、加工機M4〜M6に順次停止させる。ここで、第一ローダ部52のハンド52aと同様に、各加工機Mに停止させた第二ローダ部55のハンド55aにワークの載せ換えを行わせる。なお、第二ローダ部55には図示していないピニオンギアを設けてあり、このピニオンギアと噛み合うラック56aをガイド部材56に設けてある。
【0005】
最後に、上記のようにして各加工機Mにて加工したワークを、第二ローダ部55により搬出装置(例えばコンベア)57に移し、次工程へと搬出する。
【0006】
上記の構成からなるワーク搬送装置では、ワークの搬送と各加工機Mによるワークの加工とを自動的に行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来のワーク搬送装置では、第一ローダ部52をガイド部材53に沿って直線走行させていたので、搬入装置51から移送装置54までのワークの搬送のための往路の走行の後に、移送装置54から搬入装置51に戻るための復路の走行を第一ローダ部52にさせる必要があり、それだけ余分に時間がかかっていた。なお、この点は第二ローダ部55についても同様である。
【0008】
また、ワークの搬送距離(ローダ部52、55の移動距離)を長くすると、各ローダ部52、55の上記復路の走行時間がそれだけ長くなり、このことに伴って、各加工機Mの加工の完了後から当該加工機Mにローダ部52、55が到着するまでの間に無駄な時間ができ、ひいてはこの時間が長くなることも考えられる。
【0009】
さらに、図13に示すようにライン配置されている加工機M1〜M3と加工機M4〜M6との間のワークの移送のために、2台のローダ部52、55が必要になるのに加えて、移送装置54も必要になり、装置のコスト(イニシャルコスト)が高くなってしまうという問題もあった。
【0010】
ここで、ガイド部材53をループ状にし、ローダ部52、55をループ走行させれば上記問題は解決されることから、前記ガイド部材53として、直線状のものに加えて曲線形状のものを採用することも考えられる。しかし、このような曲線形状のガイド部材53は汎用品ではなく特注品となり、コストが高く入手できるまでの時間もかかるため、曲線形状のガイド部材53を採用したワーク搬送装置は、高価で製造に長時間を要するものとなる上、曲線部分の形状を容易に変更することができず、汎用性のないものとなる。
【0011】
また、上記問題を解決するために、ガイド部材53を走行用レール構造にして、ローダ部52、55が車輪で走行するように構成することも考えられるが、この場合、ワークの受け渡しを確実に行わせるために加工機M前の正確な位置にローダ部52、55を停止させる必要があるため、加工機Mに対応する位置にあるガイド部材53の直線部分にはラック53aを設ける必要がある。そこで、ローダ部52、55が、ガイド部材53の直線部分においてはラック53aと噛み合うピニオンギアの回転駆動により移動し、曲線部分においてはローラ走行により移動するように構成することができるが、この場合、曲線部分から直線部分に移る際に、ラック53aの歯にピニオンギアが噛み合わず、ローダ部52、55が停止してしまい、最悪の場合、ラック53a、ピニオンギアの互いの歯が欠けてしまい、装置の破壊が生じるというおそれがある。
【0012】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ラインの稼働率の向上と低コスト化とを同時に達成することができるうえ、容易に製造可能であり汎用性の面で優れた高品質のワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るワーク搬送装置は、直線部分および曲線部分を有するループ状のガイド部と、このガイド部に沿って移動し、ワークを把持するハンド部を有するローダ部とを備え、前記ガイド部の直線部分にラックを、曲線部分にチェーンをそれぞれ設けてある一方、前記ラックと噛み合うピニオンギアと前記チェーンと噛み合うスプロケットとを前記ローダ部に同軸状に設けてあり、また、前記ラックの端部の歯の位置にチェーンのピンの位置を合わせてあり、かつ、前記ピニオンギアの歯またはスプロケットの歯のいずれか一方の歯の全部が他方の歯の一部あるいは全部と位相が合致するようにしてあることを特徴としている(請求項1)。
【0014】
また、上記ワーク搬送装置において、前記ピニオンギアの歯の数がスプロケットの歯の数の2倍であってもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0015】
請求項1および2に係る発明では、ラインの稼働率の向上と低コスト化とを同時に達成することができるワーク搬送装置が得られる。すなわち、この発明では、ローダ部をループ状のガイド部に沿って移動させるようにしてあることから、図13に示す従来例のようにローダ部が往復移動する場合に比べて、ローダ部が無駄に移動する時間を極力なくすことができ、これにより、ラインの稼働率の向上が達成される。そして、このことは、ローダ部の移動距離を長くしても同様である。
【0016】
また、この発明では、ローダ部の移動のためにはガイド部を設ければよいだけであり、図13に示す従来例のように、ガイド部の他に移送装置54を必要としないので、それだけ設備費用の低減を図ることができ、ひいては低コスト化が達成される。
【0017】
さらに、この発明のワーク搬送装置は、ガイド部の曲線部分に設けられるチェーンとして、汎用品を用いることにより低コストでかつ短期間で製造できるうえ、曲線部分の形状の設計の自由度や変更の容易性を確保でき、汎用性の面で優れている。
【0018】
また、この発明では、前記ラックの端部の歯の位置にチェーンのピンの位置を合わせてあり、かつ、前記ピニオンギアの歯またはスプロケットの歯のいずれか一方の歯の全部が他方の歯の一部あるいは全部と位相が合致するようにしてある。そのため、ローダ部が、ラックが設けられたガイド部の直線部分からチェーンが設けられたガイド部の曲線部分に移る際、あるいは逆に曲線部分から直線部分に移る際に、ラックとピニオンギアおよびチェーンとスプロケットがスムーズに噛み合い、ローダ部の移動もスムーズになるとともに、噛み合い不良によるラック等の破損を確実に防止することができ、その結果、高品質のワーク搬送装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係るワーク搬送装置の構成を概略的に示す説明図、図2は、前記ワーク搬送装置の構成を概略的に示す平面図、図3および図4は、前記ワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す側面図および部分拡大側面図、図5および図6は、前記ワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す正面図および部分拡大正面図、図7および図8は、前記ワーク搬送装置のハンド部を上昇させた状態の要部の構成を概略的に示す側面図および正面図である。
【0020】
まず、図1に示すように、本実施形態に係るワーク搬送装置は、二つの直線部分1、2および二つの曲線部分3、4を有するループ状のガイド部5と、このガイド部5に沿って移動し、ワークW(図5参照)を把持するハンド部6を有するローダ部7とを備えている。
【0021】
そして、図1および図2に示すように、前記ガイド部5の直線部分1、2にラック8を設け、曲線部分3、4にチェーン9を設けてある。これに対して、ローダ部7には、図4および図6に示すように、前記ラック8と噛み合うピニオンギア10と前記チェーン9と噛み合うスプロケット11とを同軸状に設けてあり、駆動装置(例えばモータ)12により共に回転するように構成してある。
【0022】
また、前記ガイド部5は、図3に示すように、架台部13により適宜の高さに支持されており、ローダ部7に設けた二つのハンド部6は、同じくローダ部7に設けた昇降装置(リフト)14により昇降するように構成されている。この昇降装置14は、ハンド部6を、図3および図5に示す下方位置P1と、図7および図8に示す上方位置P2とにわたって移動させることができるように構成されていればよく、公知の種々のものを採用することができる。そして、ハンド部6は、下方位置P1に位置する状態では、加工機M側に設けられワークWを保持する保持部15との間でワークWの受け渡しができるように構成されている。
【0023】
さらに、前記ローダ部7は、図3〜図8に示すように、ガイド部5に当接するローラ16を複数有しており、これにより、ローダ部7はガイド部5に沿ってがたつくことなく移動することができる。
【0024】
次に、前記ワーク搬送装置の作動について説明する。まず、前工程から搬入装置(例えばコンベア)17によりワークWを搬入するのであり、この実施の形態では、ワークWをガイド部5の直線部分1に対応する位置に搬入する。そして、このワークWを、図3および図5に示すように、ローダ部7のハンド部6がクランプするのであり、このときのハンド部6は下方位置P1にある。
【0025】
続いて、図7および図8に示すように、昇降装置14によりハンド部6を上方位置P2へと移動させた後、この状態で前記ハンド部6を有するローダ部7をガイド部5に沿って移動させ、ガイド部5の直線部分1に対応する位置に配した加工機M1〜M3前に順次停止させる。そして、各加工機M前に停止したローダ部7は、ハンド部6を下方位置P1に移動させ、ワークWを加工機Mに移載するとともに、加工機Mにて加工が完了したワークWをハンド部6によりクランプし、ハンド部6を上方位置P2へと移動させ、再び移動を開始するという操作を行う。
【0026】
上記のようにして加工機M1〜M3に順次停止しつつガイド部5の直線部分1を経たローダ部7は、曲線部分3を経て直線部分2に差しかかり、この直線部分2に配された加工機M4〜M6前に順次停止する。この点は、ローダ部7が上記直線部分1の加工機M1〜M3に順次停止したのと同様であり、また、各加工機M4〜M6に停止したローダ部7が行う操作も、加工機M1〜M3に停止した際に行った上記操作と同様である。その後、ローダ部7は、前記直線部分2に対応する位置に配した搬出装置(例えばコンベア)18にワークWを移載し、この搬出装置18はワークWを次工程に搬出する。
【0027】
さらに、ワークWを搬出装置18に渡したローダ部7は、再び移動を開始して、ガイド部5の直線部分2から曲線部分4に差しかかった後、前記搬入装置17により搬入されるワークWを受け取ることができる位置に戻るのであり、その後は上述の工程が繰り返されることになる。
【0028】
図9および図10は、ローダ部7がガイド部5の直線部分1、2から曲線部分3、4に差しかかる直前の状態のワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す平面図および横断面図、図11および図12は、ローダ部7がガイド部5の直線部分1、2から曲線部分3、4に差しかかった瞬間のワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す平面図および横断面図である。
【0029】
ここで、ローダ部7の前記直線部分1、2における移動は、直線部分1、2に設けたラック8に噛み合うピニオンギア10の回転駆動により行われ、前記曲線部分3、4における移動は、曲線部分3、4に設けたチェーン9に噛み合うスプロケット11の回転駆動により行われる。従って、ローダ部7が直線部分1、2と曲線部分3、4とに相互に差しかかる際に、ピニオンギア10は直線部分1、2に設けたラック8と噛み合わなければならず、また、スプロケット11は曲線部分3、4に設けたチェーン9と噛み合わなければならない。
【0030】
そこで、この実施の形態では、図9〜図12に示すように、直線部分1、2と曲線部分3、4との境界部分において、前記ラック8の端部の歯の位置にチェーン9のピン(ここでは、チェーンのピンあるいはこのピンを覆うローラをも意味する)の位置を合わせてあり、かつ、前記ピニオンギア10の歯またはスプロケット11の歯のいずれか一方の歯の全部を他方の歯の一部あるいは全部と軸方向において位相が合致するようにしてある。そして、このような構成により、ローダ部7が直線部分1、2から曲線部分3、4に差しかかる際および曲線部分3、4から直線部分1、2に差しかかる際のいずれにおいても、ピニオンギア10とラック8が噛み合わないまたはスプロケット11とチェーン9とが噛み合わないなどの不都合が生じず、品質に優れたワーク搬送装置が得られる。
【0031】
なお、この実施の形態では、図9〜図12に示すように、スプロケット11の歯の全部がピニオンギア10の歯の一部と位相が合致するようにしてあり、具体的には、ピニオンギア10の歯数をスプロケット11の歯数の2倍とし、ピニオンギア10の歯の一つおきにスプロケット11の歯の位相が合致するようにしてある。このように、ピニオンギア10の歯またはスプロケット11の歯のいずれか一方の歯の数が他方の歯の数の等倍または偶数倍としてあることが設計上好ましく、この実施の形態では、ローダ部7の位置決め等の点でより精密さが求められる直線部分1、2のラック8と噛み合うピニオンギア10の歯の数を多くすることがより好ましい。もちろん、いずれにしても、ピニオンギア10の歯同士の間隔は等間隔であり、また、スプロケット11の歯同士の間隔も等間隔であることはいうまでもない。
【0032】
なお、本発明のワーク搬送装置は、上記の実施の形態に限られず、種々に変形して実施することができる。例えば、図1には、二つの直線部分1、2と二つの曲線部分3、4を有するガイド部5を示しているが、ガイド部5は、三つ以上の直線部分と三つ以上の曲線部分を有していてもよい。
【0033】
また、設計上や作業性の点から、加工機Mや搬入装置17、搬出装置18はガイド部5の直線部分1、2に配置してあることが望ましいが、これに限らず、曲線部分3、4に配置してあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係るワーク搬送装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】前記ワーク搬送装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】前記ワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す側面図である。
【図4】前記ワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す部分拡大側面図である。
【図5】前記ワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す正面図である。
【図6】前記ワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す部分拡大正面図である。
【図7】前記ワーク搬送装置のハンド部を上昇させた状態の要部の構成を概略的に示す側面図である。
【図8】前記ワーク搬送装置のハンド部を上昇させた状態の要部の構成を概略的に示す正面図である。
【図9】ローダ部がガイド部の直線部分から曲線部分に差しかかる直前の状態のワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す平面図である。
【図10】ローダ部がガイド部の直線部分から曲線部分に差しかかる直前の状態のワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す横断面図である。
【図11】ローダ部がガイド部の直線部分から曲線部分に差しかかった瞬間のワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す平面図である。
【図12】ローダ部がガイド部の直線部分から曲線部分に差しかかった瞬間のワーク搬送装置の要部の構成を概略的に示す横断面図である。
【図13】従来例に係るワーク搬送装置の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 直線部分
2 直線部分
3 曲線部分
4 曲線部分
5 ガイド部
6 ハンド部
7 ローダ部
8 ラック
9 チェーン
10 ピニオンギア
11 スプロケット
W ワーク
【出願人】 【識別番号】000191353
【氏名又は名称】新明工業株式会社
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】 【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫


【公開番号】 特開2008−23631(P2008−23631A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197018(P2006−197018)