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【発明の名称】 多軸テーブル
【発明者】 【氏名】原 外満

【要約】 【課題】本発明の目的は、コンパクト化と高精度な運動とを両立することのできる多軸テーブルを提供することにある。

【構成】固定体12と、可動体14と、固定体12上に可動体14を浮上させた状態で移動自在に支持する軸受16と、該可動体14の重心26に対して等しい一次モーメントとなるように該可動体14に配置された第一軸推力発生手段18a,18b及び第二軸推力発生手段18c,18dと、該第二軸推力発生手段18c,18dが該可動体14の第一軸方向への移動に引きつられて第一軸方向のみに移動自在とする第一軸リニアガイド20a,20bと、該第一軸推力発生手段18a,18bが該可動体14の第二軸方向への移動に引きつられて第二軸方向のみに移動自在とする第二軸リニアガイド20c,20dと、を備えたことを特徴とする多軸テーブル10。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一軸方向と第二軸方向とで規定される固定体側軸受面が水平で平滑な固定体と、
前記固定体側軸受面上において浮上した状態で移動自在に支持されるように、水平で平滑な可動体側軸受面をもつ可動体と、
少なくとも前記固定体側軸受面と前記可動体側軸受面との間に設けられ、該固定体側軸受面と該可動体側軸受面とが平行で且つ所定の離隔距離を保つように、該固定体上において該可動体を浮上させた状態で移動自在に支持する軸受と、
互いに離隔距離をおいて相対向する固定体側第一軸アクチュエータ及び可動体側第一軸アクチュエータを含み、前記可動体の重心に対して等しい第二軸方向の一次モーメントとなるように該可動体に配置され、該固定体側第一軸アクチュエータが非接触に該可動体側第一軸アクチュエータに第一軸方向への推力を発生し、該可動体の第一軸方向への推力とする第一軸推力発生手段と、
互いに離隔距離をおいて相対向する固定体側第二軸アクチュエータ及び可動体側第二軸アクチュエータを含み、前記可動体の重心に対して等しい第一軸方向の一次モーメントとなるように該可動体に配置され、該固定体側第二軸アクチュエータが非接触に該可動体側第二軸アクチュエータに第二軸方向への推力を発生し、該可動体の第二軸方向への推力とする第二軸推力発生手段と、
前記可動体が第一軸方向に移動すると、前記第二軸推力発生手段が、前記固定体側第二軸アクチュエータ及び前記可動体側第二軸アクチュエータを離隔状態のまま、該可動体の第一軸方向への移動に引きつられて、第一軸方向のみに移動自在となるように、前記固定体と該固定体側第二軸アクチュエータとの間に設けられた第一軸リニアガイドと、
前記可動体が第二軸方向に移動すると、前記第一軸推力発生手段が、前記固定体側第一軸アクチュエータ及び前記可動体側第一軸アクチュエータを離隔状態のまま、該可動体の第二軸方向への移動に引きつられて、該第一軸推力発生手段を第二軸方向のみに移動自在となるように、前記固定体と該固定体側第一軸アクチュエータとの間に設けられた第二軸リニアガイドと、
を備えたことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項2】
請求項1記載の多軸テーブルにおいて、
前記軸受は、前記固定体上に前記可動体を空気膜を介して支持する空気軸受を含み、
前記第一軸推力発生手段は、第一軸リニアモータを含み、
前記第二軸推力発生手段は、第二軸リニアモータを含むことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項3】
請求項1又は2記載の多軸テーブルにおいて、
前記可動体の第一軸方向の位置情報を検出し、第一軸位置信号を出力する第一軸変位センサと、
前記可動体の第二軸方向の位置情報を検出し、第二軸位置信号を出力する第二軸変位センサと、
前記第一軸変位センサからの第一軸位置信号に基づき推定された第一軸位置、及び前記第二軸変位センサからの第二軸位置信号に基づき推定された第二軸位置が、所望の位置となるように、前記第一軸推力発生手段及び前記第二軸推力発生手段の動作を制御し、前記可動体の位置決めを行う位置制御手段と、
を備えたことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項4】
請求項3記載の多軸テーブルにおいて、
前記第一軸変位センサは、前記可動体の重心位置に対して等しい第一軸回りの一次モーメントとなるように、該可動体に配置された二の第一軸反射鏡と、
それぞれ対応する前記第一軸反射鏡に可干渉光を入射し、その反射光とで干渉を起こさせ、干渉縞を計数し、該干渉縞計数情報を含む第一軸位置信号を出力する二の第一軸干渉式変位計と、
を備え、前記第一軸反射鏡は、前記可動体の第二軸方向に互いに離隔距離をおいて配置され、かつ、それぞれ光軸を第一軸方向に向けて配置され、
また、前記第二軸変位センサは、前記可動体の重心位置に対して等しい第二軸回りの一次モーメントとなるように、該可動体に配置された二の第二軸反射鏡と、
それぞれ対応する第二軸反射鏡に可干渉光を入射し、その反射光とで干渉を起こさせ、干渉縞を計数し、該干渉縞計数情報を含む第二軸位置信号を出力する二の第二軸干渉式変位計と、
を備え、前記第二軸反射鏡は、第一軸方向に互いに離隔距離をおいて配置され、かつ、それぞれ光軸を第二軸方向に向けて配置されており、
前記位置制御手段は、前記第一軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報に基づき推定された第一軸位置、及び前記第二軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報に基づき推定された第二軸位置が、所望の位置となるように、前記第一軸推力発生手段及び前記第二軸推力発生手段の動作を制御し、前記可動体の位置決めを行うことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項5】
請求項4記載の多軸テーブルにおいて、
前記位置制御手段は、前記各第一軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報を含む第一軸位置信号の加算平均に基づいて推定された可動体の第一軸位置が、所望の第一軸位置に来るように、前記可動体の位置決めを行い、
また、前記位置制御手段は、前記各第二軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報を含む第二軸位置信号の加算平均に基づいて推定された可動体の第二軸位置が、所望の第二軸位置に来るように、前記可動体の位置決めを行うことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項6】
請求項5記載の多軸テーブルにおいて、
前記位置制御手段は、前記各第一軸位置信号の和信号を前記各第一軸発生手段に接続し、
また、前記位置制御手段は、前記各第二軸位置信号の和信号を前記各第二軸発生手段に接続したことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の多軸テーブルにおいて、
前記第一軸推力発生手段は、前記固定体側第一軸アクチュエータと前記可動体側第一軸アクチュエータとを非接触に、前記固定体上において前記可動体をその重心を中心に回転自在とし、
また、前記第二軸推力発生手段は、前記固定体側第二軸アクチュエータと前記可動体側第二軸アクチュエータとを非接触に、前記固定体上において前記可動体をその重心を中心に回転自在としたことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項8】
請求項7記載の多軸テーブルにおいて、
前記位置制御手段は、前記各第一軸変位センサからの干渉縞計数情報を含む第一軸位置信号の差信号に基づいて推定された回転体の回転角度が常に零となるように、前記第一軸推力発生手段の動作を制御し、
又は前記位置制御手段は、前記各第二軸変位センサからの干渉縞計数情報を含む第二軸位置信号の差信号に基づいて推定された回転体の回転角度が常に零となるように、前記第二軸推力発生手段の動作を制御することを特徴とする多軸テーブル。
【請求項9】
請求項8記載の多軸テーブルにおいて、
前記位置制御手段は、前記可動体の回転を打ち消すトルクが発生するように、前記各第一軸位置信号の差信号を、一方の第一軸推力発生手段への制御信号に加え、他方の第一軸推力発生手段への制御信号から引き、
又は、前記位置制御手段は、前記可動体の回転を打ち消すトルクが発生するように、前記各第二軸位置信号の差信号を、一方の第二軸推力発生手段への制御信号に加え、他方の第二軸推力発生手段への制御信号から引くことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれかに記載の多軸テーブルにおいて、
前記リニアモータは、互いに離隔距離をおいて相対向するコイル部及び二の磁石部を備え、
前記リニアスライダに設けられ、前記コイル部を保持するケースと、
前記コイル部を間に挟み、前記二の磁石部が対向配置されるように、該二の磁石部を前記可動体の側部に保持する、縦断面略コの字状のヨークと、
を備えたことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の多軸テーブルにおいて、
前記リニアモータを、コアを持たないコアレスタイプとしたことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項12】
請求項10又は11記載の多軸テーブルにおいて、
前記磁石部と前記コイル部とが接触しないように、該磁石部と該コイル部との間において互いに離隔距離を保つための滑り手段を備え、
前記滑り手段は、摩擦係数が小の、固定体側滑り案内及び可動体側滑り案内を備え、
前記固定体側滑り案内は、前記可動体側滑り案内と対向するように、前記ケースに設けられ、
前記可動体側滑り案内は、前記固定体側滑り案内と対向するように、前記ヨークに設けられたことを特徴とする多軸テーブル。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の多軸テーブルにおいて、
前記軸受は、前記固定体上に前記可動体を空気膜を介して浮上させる空気軸受を含み、
前記可動体側軸受面において開口し、該開口から前記空気膜を形成する空気を前記固定体側軸受面と該可動体側軸受面との間に噴き出す縦穴と、
前記可動体側壁の前記可動体側軸受面近くにおいて開口し、該開口から該可動体周囲の前記固定体軸受面上に空気を噴き出す横穴と、
を備えたことを特徴とする多軸テーブル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は多軸テーブル、特にその駆動機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、精密測定機器による精密測定をはじめ、精密加工装置による精密加工、組立作業を高精度に行うため、ワークを載置するXYテーブルが用いられている。
従来は、以下のXYテーブルがある。
【0003】
(1)XYテーブルは従来、二段重ね構造を採用している(例えば、特許文献1参照。)、
二段重ね構造のXYテーブルは、一軸方式のテーブルを直角に重ねたものであり、定盤と、定盤上においてX軸方向に移動自在に設けられたX軸テーブルと、X軸テーブル上においてX軸方向に移動自在に設けられたY軸テーブルと、を備える。
このXYテーブルは、X軸テーブルと共にY軸テーブルをX軸方向に移動したり、X軸テーブル上においてY軸テーブルをY軸方向に移動したりすることにより、Y軸テーブルを所望のXY位置に位置決めしている。
【0004】
(2)また、従来は、くりぬき構造を採用したXYテーブルもある。
くりぬき構造を採用したXYテーブルは、一軸方式のテーブルを、くりぬき構造部分において重ねたものであり、X軸方向に移動するX軸テーブルと、X軸テーブルのくりぬき部分においてY軸方向に移動自在に設けられたY軸テーブルとを備える。
そして、このXYテーブルは、X軸テーブルと共にY軸テーブルをX軸方向に移動したり、X軸テーブルのくりぬき部分においてY軸テーブルをY軸方向に移動したりすることにより、Y軸テーブルを所望のXY位置に位置決めしている。
【0005】
(3)また、従来は、クロスガイド構造を採用したXYテーブルもある(例えば、特許文献2,3参照。)。
クロスガイド構造のXYテーブルは、一軸方式の直動ガイドを直交するように重ねたものであり、Y軸ガイドと共にテーブルをX軸方向に移動するX軸ガイドと、X軸ガイドと共にX軸方向に移動自在に設けられ、またY軸方向にテーブルを移動自在となるようにテーブルを貫通するY軸ガイドとを備える。
そして、このXYテーブルは、テーブルを貫通するY軸ガイドをX軸ガイドと共にX軸方向に移動したり、テーブルをY軸ガイドに沿ってY軸方向に移動したりすることにより、テーブルを所望のXY位置に位置決めしている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−303196号公報
【特許文献2】特開平8−323567号公報
【特許文献3】特開2002−118050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、多軸テーブルは、単軸テーブルに比較し、テーブルの移動方向が増えるので、作業性に優れている。
しかしながら、多軸テーブルは、単軸テーブルに比較し、多軸方向への移動を行うための機構も増えるので、大型化してしまったり、運動誤差が生じやすい。
前記精密測定、精密加工、組立作業の作業性や精度は、多軸テーブルの性能が重要な鍵となる。このため、多軸テーブルには、コンパクト化と高精度な運動との両立が望まれていた。
【0008】
しかしながら、前記従来方式のXYテーブルにあっても、コンパクト化と運動精度との両立は、改善の余地が残されていたものの、従来は、これを解決することのできる適切な技術も存在しなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、コンパクト化と高精度な運動とを両立することのできる多軸テーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが前記課題について鋭意検討した結果、多軸テーブルの運動精度を低下させる原因が、各軸の運動誤差が互いに影響を及ぼし合うことにあることを発見し、さらに、固定体上において多軸方向に非接触に運動自在な可動体と、各軸が独立かつ可動体の重心を中心に対称な構造とした推力発生手段及びリニアスライダとを組み合せることにより、多軸テーブルのコンパクト化と運動精度との両立を図ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる多軸テーブルは、固定体と、可動体と、軸受と、第一軸推力発生手段と、第二軸推力発生手段と、第一軸リニアガイドと、第二軸リニアガイドと、を備えることを特徴とする。
ここで、前記固定体は、第一軸方向と第二軸方向とで規定される固定体側軸受面を、水平で平滑なものとする。
また、前記可動体は、前記固定体側軸受面上において浮上した状態で移動自在に支持されるように、水平で平滑な可動体側軸受面をもつ。
前記軸受は、少なくとも前記固定体側軸受面と前記可動体側軸受面との間に設けられ、該固定体側軸受面と該可動体側軸受面とが平行で且つ所定の離隔距離を保つように、該固定体上において該可動体を浮上させた状態で移動自在に支持する。
【0011】
前記第一軸推力発生手段は、前記互いに離隔距離をおいて相対向する固定体側第一軸アクチュエータ及び可動体側第一軸アクチュエータを含む。該第一軸推力発生手段は、前記可動体の重心に対して等しい第二軸方向の一次モーメントとなるように該可動体に配置される。該第一軸推力発生手段は、該固定体側第一軸アクチュエータが非接触に該可動体側第一軸アクチュエータに第一軸方向への推力を発生し、該可動体の第一軸方向への推力とする。
前記第二軸推力発生手段は、互いに離隔距離をおいて相対向する固定体側第二軸アクチュエータ及び可動体側第二軸アクチュエータを含む。該第二軸推力発生手段は、前記可動体の重心に対して等しい第一軸方向の一次モーメントとなるように該可動体に配置される。該第二軸推力発生手段は、該固定体側第二軸アクチュエータが非接触に該可動体側第二軸アクチュエータに第二軸方向への推力を発生し、該可動体の第二軸方向への推力とする。
前記第一軸リニアガイドは、前記可動体が第一軸方向に移動すると、前記第二軸推力発生手段が、前記固定体側第二軸アクチュエータ及び前記可動体側第二軸アクチュエータを離隔状態のまま、該可動体の第一軸方向への移動に引きつられて、前記第二軸推力発生手段を第一軸方向のみに移動自在となるように、前記固定体と固定体側第二軸アクチュエータとの間に設けられたものとする。
前記第二軸リニアガイドは、前記可動体が第二軸方向に移動すると、前記第一軸推力発生手段が、前記固定体側第一軸アクチュエータ及び前記可動体側第一軸アクチュエータを離隔状態のまま、該可動体の第二軸方向への移動に引きつられて、該第一軸推力発生手段を第二軸方向のみに移動自在となるように、前記固定体と該固定体側第一軸アクチュエータとの間に設けられたものとする。
【0012】
なお、本発明においては、前記軸受が前記固定体上に前記可動体を空気膜を介して支持する空気軸受を含み、前記第一軸推力発生手段が第一軸リニアモータを含み、前記第二軸推力発生手段が第二軸リニアモータを含むことが好適である。
【0013】
また、本発明においては、第一軸変位センサと、第二軸変位センサと、位置制御手段と、
を備えることが好適である。
ここで、前記第一軸変位センサは、前記可動体の第一軸方向の位置情報を検出し、第一軸位置信号を出力する。
また、前記第二軸変位センサは、前記可動体の第二軸方向の位置情報を検出し、第二軸位置信号を出力する。
前記位置制御手段は、前記第一軸変位センサからの第一軸位置信号に基づき推定された第一軸位置、及び前記第二軸変位センサからの第二軸位置信号に基づき推定された第二軸位置が、所望の位置となるように、前記第一軸推力発生手段及び前記第二軸推力発生手段の動作を制御し、前記可動体の位置決めを行う。
【0014】
本発明においては、前記第一軸変位センサが、二の第一軸反射鏡と、二の第一軸干渉式変位計と、を備え、前記第一軸反射鏡が、前記可動体の第二軸方向に互いに離隔距離をおいて配置され、かつ、それぞれ光軸方向を第一軸方向に向けて配置されることが好適である。
ここで、前記各第一軸反射鏡は、前記可動体の重心位置に対して等しい第一軸回りの一次モーメントとなるように、該可動体に配置されたものとする。
また、前記各第一軸干渉式変位計は、それぞれ対応する前記第一軸反射鏡に可干渉光を入射し、その反射光とで干渉を起こさせ、干渉縞を計数する。該各第一軸干渉式変位計は、それぞれ干渉縞計数情報を含む第一軸位置信号を出力する。
また、本発明においては、前記第二軸変位センサが、二の第二軸反射鏡と、二の第二軸干渉式変位計と、を備え、前記第二軸反射鏡は、前記可動体の第一軸方向に互いに離隔距離をおいて配置され、かつ、それぞれ光軸方向を第二軸方向に向けて配置されることが好適である。
ここで、前記各第二軸反射鏡は、前記可動体の重心位置に対して等しい第二軸回りの一次モーメントとなるように、該可動体に配置されたものとする。
また、前記各第二軸干渉式変位計は、それぞれ対応する第二軸反射鏡に可干渉光を入射し、その反射光とで干渉を起こさせ、干渉縞を計数する。該各第二軸干渉式変位計は、それぞれ干渉縞計数情報を含む第二軸位置信号を出力する。
前記位置制御手段は、前記第一軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報に基づき推定された第一軸位置、及び前記第二軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報に基づき推定された第二軸位置が、所望の位置となるように、前記第一軸推力発生手段及び前記第二軸推力発生手段の動作を制御し、前記可動体の位置決めを行うことが好適である。
【0015】
本発明においては、前記位置制御手段が、前記各第一軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報を含む第一軸位置信号の加算平均に基づいて推定された可動体の第一軸位置が、所望の第一軸位置に来るように、前記可動体の位置決めを行うことが好適である。
また、本発明においては、前記位置制御手段は、前記各第二軸干渉式変位計からの干渉縞計数情報を含む第二軸位置信号の加算平均に基づいて推定された可動体の第二軸位置が、所望の第二軸位置に来るように、前記可動体の位置決めを行うことも好適である。
【0016】
本発明においては、前記位置制御手段が、一方の第一軸位置信号と他方の第一軸位置信号との和信号を前記各第一軸推力発生手段に接続し、また、前記位置制御手段が、一方の第二軸位置信号と他方の第二軸位置信号との和信号を前記各第二軸推力発生手段に接続することが好適である。
【0017】
本発明においては、前記第一軸推力発生手段が、前記固定体側第一軸アクチュエータと前記可動体側第一軸アクチュエータとを非接触に、前記固定体上において前記可動体をその重心を中心に回転自在とし、また、前記第二軸推力発生手段は、前記固定体側第二軸アクチュエータと前記可動体側第二軸アクチュエータとを非接触に、前記固定体上において前記可動体をその重心を中心に回転自在とすることが好適である。
【0018】
本発明においては、前記位置制御手段が、前記第一軸変位センサからの干渉縞計数情報を含む第一軸位置信号の差信号に基づいて推定された回転角度が常に零となるように、前記第一軸推力発生手段の動作を制御すること、又は、
前記位置制御手段が、前記第二軸変位センサからの干渉縞計数情報を含む第二軸位置信号の差信号に基づいて推定された回転角度が常に零となるように、前記第二推力発生手段の動作を制御することが好適である。
【0019】
本発明において、前記位置制御手段は、前記可動体の回転を打ち消すトルクが発生するように、各第一軸位置信号の差信号を、一方の第一軸推力発生手段への制御信号に加え、一方の第一軸推力発生手段への制御信号から引き、又は、
前記位置制御手段は、前記可動体の回転を打ち消すトルクが発生するように、各第二軸位置信号の差信号を、一方の第二軸推力発生手段への制御信号に加え、一方の第二軸推力発生手段への制御信号から引くことが好適である。
【0020】
本発明においては、前記リニアモータが、互いに離隔距離をおいて相対向するコイル部及び二の磁石部を備える。また、本発明においては、ケースと、縦断面略コの字状のヨークと、を備えることが好適である。
ここで、前記ケースは、前記リニアスライダに設けられ、前記コイル部を保持する。
また、前記縦断面略コの字状のヨークは、前記コイル部を間に挟み、前記二の磁石部が対向配置されるように、該二の磁石部を前記可動体の側部に保持する。
【0021】
本発明においては、前記リニアモータを、運動精度に優れた、コアを持たないコアレスタイプとすることが好適である。
【0022】
本発明においては、滑り手段を備え、前記滑り手段が、摩擦係数が小の、固定体側滑り案内及び可動体側滑り案内を備えることが好適である。
ここで、前記滑り手段は、前記磁石部と前記コイル部とが接触しないように該磁石部と該コイル部との間において互いに離隔距離を保つためのものとする。
また、前記固定体側滑り案内は、前記可動体側滑り案内と対向するように、前記ケースに設けられたものとする。
前記可動体側滑り案内は、前記固定体側滑り案内と対向するように、前記ヨークに設けられたものとする。
【0023】
本発明においては、前記軸受が、前記固定体上に前記可動体を空気膜を介して浮上させる空気軸受を含み、縦穴と、横穴と、を備えることが好適である。
ここで、前記縦穴は、前記可動体側軸受面において開口し、該開口から前記空気膜を形成する空気を前記固定体側軸受面と該可動体側軸受面との間に噴き出す。
また、前記横穴は、前記可動体側壁の前記可動体側軸受面近くにおいて開口し、該開口から該可動体周囲の前記固定体軸受面上に空気を噴き出す。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる多軸テーブルによれば、固定体上において多軸方向に非接触に移動自在な可動体と、各軸が独立かつ可動体の重心を中心に対称な構造とした、第一推力発生手段及び第二推力発生手段、並びに第一リニアスライダ及び第二リニアスライダとを組み合せることとしたので、従来極めて困難であった、多軸テーブルのコンパクト化と高精度な運動との両立を、極めて高いレベルで実現することができる。
【0025】
また、本発明においては、前記変位センサと前記位置制御手段とを設けることにより、高精度な位置決めを行うことができるので、前記可動体の高精度な運動を、より確実に行うことができる。
本発明においては、前記変位センサが、前記反射鏡と前記変位式干渉計とを含むことにより、前記高精度な運動を、より確実に行うことができる。
【0026】
本発明においては、前記アクチュエータが可動体の回転角度を調節自在とすることにより、前記高精度な運動を、より確実に実現することができる。
本発明においては、前記位置制御手段が可動体の回転角度を制御することにより、前記高精度な運動を、より確実に行うことができる。
【0027】
本発明においては、前記リニアモータをコアレスタイプとすることにより、前記高精度な運動を、より確実に行うことができる。
本発明においては、前記ケース及び前記ヨークを用いて前記リニアモータのコイル部及び磁石部を前記可動体の側部に配置することにより、前記高精度な運動を、より確実に行うことができる。
本発明においては、前記リニアモータに前記滑り手段を設けることにより、前記高精度な運動を、より確実に行うことができる。
本発明においては、前記空気軸受が可動体に設けられた前記縦穴及び前記横穴を含むことにより、前記高精度な運動を、より確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかる多軸テーブルの概略構成が示されている。
同図に示すXYテーブル(多軸テーブル)10は、固定体12と、可動体14と、空気軸受(軸受)16と、X軸リニアモータ(第一軸推力発生手段)18a,18bと、Y軸リニアモータ(第二軸推力発生手段)18a,18dと、X軸リニアガイド(第一軸リニアガイド)20a,20bと、Y軸リニアガイド(第二軸リニアガイド)20c,20dと、を備える。
【0029】
ここで、固定体12は、X軸(第一軸方向)とY軸(第二軸方向)とで規定される固定体側軸受面22を、定盤のように水平で平滑なものとする。
また、可動体14は、横断面四角形の四角柱(正方体又は直方体)よりなる。可動体14は、その底面として、固定体側軸受面22上において浮上した状態で運動自在に支持されるように、定盤のように水平で平滑な可動体側軸受面24をもつ。可動体14は、X軸方向及びY軸方向に直動自在としており、また、回転運動自在とする。
空気軸受16は、少なくとも固定体側軸受面22と可動体側軸受面24との間に設けられる。空気軸受16は、固定体側軸受面22と可動体側軸受面24とが平行で且つ所定の離隔距離を保つように、固定体12上において可動体14を空気浮上させた状態で運動自在に支持する。
【0030】
X軸リニアモータ18a,18bは、コアを持たないコアレスリニアモータよりなる。X軸リニアモータ18a,18bは、可動体14の重心26に対して等しいY軸方向の一次モーメントとなるように可動体14の側壁に配置される。X軸リニアモータ18a,18bは、X軸方向への推力を発生し、可動体14のX軸方向への推力とする。
Y軸リニアモータ18c,18dは、X軸リニアモータ18a,18bと同様のコアレスリニアモータよりなる。Y軸リニアモータ18c,18dは、可動体14の重心26に対して等しいX軸方向の一次モーメントとなるように可動体14の側壁に配置される。Y軸リニアモータ18c,18dは、Y軸方向への推力を発生し、可動体14のY軸方向への推力とする。
【0031】
X軸リニアガイド20a,20bは、可動体14がX軸方向に移動すると、Y軸リニアモータ18c,18dが、可動体14の動きに引きつられて、X軸方向のみに移動自在となるように、固定体12上にY軸リニアモータ18c,18dをX軸方向のみに移動自在に支持する。
Y軸リニアガイド20a,20bは、可動体14がY軸方向に移動すると、X軸リニアモータ18a,18bが、可動体14の動きに引きつられて、Y軸方向のみに移動自在となるように、固定体12上にX軸リニアモータ18a,18bをY軸方向のみに移動自在に支持する。
【0032】
なお、本実施形態においては、X軸リニアガイド20a,20bは、固定体12上の同一のX軸線上に設けられているが、互いに離隔距離をおいて配置されている。Y軸リニアガイド20c,20dは、固定体12上の同一のY軸線上に設けられているが、互いに離隔距離をおいて配置されている。
ここで、本実施形態においては、X軸リニアガイド20a,20bとY軸リニアガイド20c,20dとは、前述のように固定体12上、つまり同一の平面上に設けられているが、互いに独立構造としている。
また、本実施形態においては、X軸リニアガイド20a,20bとY軸リニアガイド20c,20dとは、可動体14の重心26を中心に対称な構造、及び配置としている。
【0033】
本実施形態にかかるXYテーブル10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
本実施形態にかかるXYテーブル10は、固定体12上においてXY方向に非接触に直動自在な可動体14を用いている。このため、XYテーブル10のコンパクト化に優れている。
そして、本実施形態においては、この可動体14を、固定体12上において空気軸受16を介して高精度に運動自在とするため、各軸が独立かつ可動体14の重心26を中心に対称な構造としたX軸リニアモータ18a,18b及びY軸リニアモータ18c、18d、並びに、X軸リニアスライダ20a,20b及びY軸リニアスライダ20c、20dを組み合せることとした。このため、XYテーブル10の高精度な運動を実現することができる。
したがって、本実施形態においては、XYテーブル10のコンパクト化と高精度な運動とを極めて高いレベルで両立することができる。
【0034】
以下に、前記作用について、より具体的に説明する。
XYテーブル10は、各軸を独立した構造とするため、軸受に空気軸受16を採用している。
図2に示されるように空気軸受16は、固定体側軸受面22と可動体側軸受面24との間に設けられている。
固定体12上において可動体14を、空気軸受16を介して浮上させた状態でX軸及びY軸方向に移動自在としている。本実施形態においては、一の可動体14をX軸方向及びY軸方向に移動自在とすることにより、一軸方式のテーブルを二段重ねしたものに比較し、背丈が低くなるので、XYテーブル10のコンパクト化を図ることができる。
本実施形態においては、固定体12上において空気軸受16という非接触な軸受を介して可動体14を支持することにより、X軸とY軸とを独立した構造とすることができる。このため、接触式の軸受を用いたものに比較し、各軸の誤差が互いに影響を及ぼしあうのを大幅に低減することができるので、高精度な運動を実現することができる。
本実施形態においては、推力発生手段として、コイル部と磁石部間の反発力を利用し、非接触に推力を発生するリニアモータを用いている。このため、接触式の推力発生手段を用いたものに比較し、各軸の誤差が互いに影響を及ぼし合うのを確実に防ぐことができるので、XYテーブル10の、より高精度な運動を実現することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、軸受に空気軸受16、推力発生手段にX軸リニアモータ18a,18b、及びY軸リニアモータ18c,18dという、各軸が独立かつ可動体14の重心26を中心に対称な構造を採用している。これにより、各軸の誤差が互いに影響を及ぼしあうのを大幅に低減することができるので、より高精度な運動を実現することができる。しかしながら、可動体14が所望方向以外の方向に移動したのでは、満足のゆく運動を実現することは困難である。
ここで、一般的なX軸ガイド及びY軸ガイドを設けたのでは、可動体の移動範囲が狭くなったり、満足のゆく運動精度が得られなかったり、背丈が高くなったりすることがある。
そこで、本発明においては、リニアガイドとして、一般的なX軸ガイドとY軸ガイドを、用いるのでなく、各軸が独立かつ可動体14の重心26を中心に対称な構造のものを採用しており、これにより、固定体と可動体とを実質的な非接触構造も実現している。また、各リニアガイドを固定体12上に、つまり一の平面上に配置している。
【0036】
同図においては、固定体12と可動体14との間にY軸リニアガイド20c,20dを設けているが、固定体12と可動体14との間には、空気軸受16による浮力、X軸リニアモータ18a,18bのコイル部30と磁石部32a,32bとの間の反発力等による実質的な空隙があるので、固定体12と可動体14とを実質的な非接触構造としている。
【0037】
そして、X軸リニアガイド20a,20bは、可動体14がX軸方向に移動するとき、Y軸リニアモータ18c,18dが可動体14の動きに引きつられて、Y軸リニアモータ18c,18dをX軸方向のみに移動させる。このとき、Y軸リニアモータ18c,18dは、コイル部(固定体側第二軸アクチュエータ)30と磁石部(可動体側第二軸アクチュエータ)32a,32bとが、これらの反発力等により離隔状態のままとしている。
また、Y軸リニアガイド20c,20dは、可動体14がY軸方向に移動するとき、X軸リニアモータ18a,18bが可動体14の動きに引きつられて、X軸リニアモータ18a,18bをY軸方向のみに移動させる。このとき、X軸リニアモータ18a,18bは、コイル部(固定体側第一軸アクチュエータ)30と磁石部(可動体側第一軸アクチュエータ)32a,32bとが、これらの反発力等により離隔状態のままとしている。
【0038】
このようにX軸リニアモータ18a,18bは、コイル部30と磁石部32a,32bとが非接触である。同様にY軸リニアモータ18c、18dは、コイル部30と磁石部32a,32bとが非接触である。この結果、固定体12と可動体14との非接触状態を良好に保つことができる。
また、本実施形態においては、さらにX軸リニアガイド20a,20b及びY軸リニアガイド20c,20dを組み合せている。これにより、可動体14が所望方向以外に移動するのを確実に防ぐことができると共に、各軸が独立かつ可動体14の重心26を中心に対称な構造の採用により、各軸の誤差が互いに影響を及ぼしあうのを大幅に低減することができるので、XYテーブル10のより高精度な運動を実現することができる。
また、本実施形態においては、前記X軸リニアガイド20a,20b及びY軸リニアガイド20c,20dを、固定体12上、つまり同一の平面上に設けている。このため、本実施形態においては、従来方式、つまり一軸方式のガイドを二段重ねしたものに比較し、背丈を低くすることができるので、XYテーブル10の更なるコンパクト化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態においては、可動体14に、同一のX軸リニアモータ18a,18b、及びY軸リニアモータ18c,18dが配置されている。また、可動体14に、同一のX軸リニアガイド20a,20b、及びY軸リニアガイド20c,20dが配置されている。
すなわち、X軸リニアモータ18a,18b及びY軸リニアモータ18c,18d、並びに、X軸リニアガイド20a,20b及びY軸リニアガイド20c,20dが、可動体14の重心26を中心に対称に配置されている。
例えば図3に示されるように、X軸リニアモータ18a,18bは、可動体14の重心26に対して等しいY軸方向の一次モーメントとなるように配置されている。また、Y軸リニアモータ18c,18dは、可動体14の重心26に対して等しいX軸方向の一次モーメントとなるように配置されている。
また、X軸リニアガイド20a,20bは、可動体14の重心26に対して等しいX軸周りの一次モーメントとなるように配置されている。また、Y軸リニアガイド20c,20dは、可動体14の重心26に対して等しいY軸周りの一次モーメントとなるように配置されている。
この結果、固定体12上に空気軸受16を介して可動体14を非接触に運動自在に支持したときの、重心のずれによる運動誤差を低減することができるので、XYテーブル10の高精度な運動を実現することができる。
【0040】
前述のようにしてXYテーブル10を構成することにより、以下のように高精度なXY移動を行うことができる。
図4に示されるようなXY移動を行うことができる。
すなわち、同図(A)に示されるように、X軸リニアモータ18a,18bが同じ−x軸方向に同じ大きさの推力(F−x)を発生すると、可動体14を−X軸方向に直線運動することができる。このとき、Y軸リニアモータ18c,18dは、可動体14の動きに引きつられて、−X軸方向のみに移動する。このとき、Y軸リニアモータ18c,18dは、コイル部30と磁石部32a,32bとが、これらの反発力等により離隔状態のままである。この結果、可動体14の高精度なX移動を行うことができる。
また、同図(B)に示されるように、Y軸アクチュエータ22,24が同じ+Y軸方向に同じ大きさの推力(F+y)を発生すると、可動体14を+Y軸方向に直線運動することができる。このとき、X軸リニアモータ18a,18bは、可動体14の動きに引きつられて、+Y軸方向のみに移動する。このとき、Y軸リニアモータ18c,18dは、コイル部30と磁石部32a,32bとが、これらの反発力等により離隔状態のままである。この結果、可動体14の高精度なY移動を行うことができる。
【0041】
ところで、本発明は、以下の点に着目しなされたものである。
すなわち、従来より、単軸テーブルがあるが、移動方向が一軸方向である。一方、多軸テーブルは移動方向が例えばXY軸方向に増えるので便利である。
しかしながら、多軸テーブルでは多軸方向への移動を行うための機構が増えるので、大型化してしまったり、誤差が生じやすいことがわかった。
【0042】
また、前記従来方式では、可動体の高精度な運動とテーブル全体のコンパクト化との両立を極めて高いレベルで実現するのは、以下の点で困難であることがわかった。
すなわち、本発明者により、従来の2段重ね方式では、下記の問題点があることがわかった。
(1)背丈が高くなる。
(2)上段は小さくなる。ストロークも短くなる。
(3)細長くなる。構造的に弱い、すわりが悪い。
(4)上段の間所によっては下段がない、空中に飛び出す、いわゆるオーバーハングした構造になる。
(5)下段の運動誤差が上段の運動誤差になる。
【0043】
また、従来のくりぬき方式やクロスガイド方式では、下記の問題点があることもわかった。
(1)非常に大きくなる。大きさの割りに可動範囲が狭い。
(2)下段の運動誤差が上段の運動誤差になる。
【0044】
また、従来においても、背丈の低いXYテーブル自体は存在する(例えば、特開2006−84227号公報参照)。
しかしながら、従来方式であっても、運動方向を規制するガイドがないため、高精度な運動性能が得られない。一方、運動方向を規制するX軸ガイド、Y軸ガイドを二段構造に設けたのでは、移動範囲が狭くなったり、運動精度が悪化したりすることがある。このため背丈の低いXYテーブルであっても、高精度な運動との両立が困難であった。
このため、多軸テーブルに関しては、従来、高精度な運動とコンパクト化との両立は事実上、困難と考えられていた。
【0045】
これに対し、本発明者が背丈の低いXYテーブルについて鋭意検討の結果、前記従来方式のガイドを設けると、運動範囲が狭くなったり、運動精度が悪化したりするのは、テーブルやガイドの重ね構造に原因があることを発見した。
すなわち、本発明者が、XYテーブルについて検討を重ねた結果、前記従来方式のXYテーブルにおいて運動精度を低下させる原因が、各軸の運動誤差が互いに影響を及ぼし合うことにあることを発見した。例えば下段のガイドやテーブルの運動誤差が上段のガイドやテーブルの運動誤差に重畳されることにあることを発見した。
このような原因の発見に基づき、コンパクト化と高精度な運動とを実現するため、背丈の低い可動体14と、各軸が独立かつ可動体の重心を中心に対称な構造としたX軸リニアモータ18a,18b及びY軸リニアモータ18c,18dと、X軸リニアガイド20a,20b及びY軸リニアガイド20c,20dとを組み合せることにより、XYテーブル10のコンパクト化と運動精度との両立を図ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0046】
すなわち、本実施形態においては、軸受に空気軸受、推力発生手段にリニアモータという組み合せを採用しており、固定体上において空気軸受を介して可動体をXY軸方向に移動している。
このため、本実施形態においては、一軸方式のテーブルやガイドを直角に重ねたものに比較し、XYテーブルの背丈を低くすることができるので、XYテーブルをコンパクト化することができる。
また、本実施形態においては、固定体と可動体との間に空気軸受を設け、可動体の側壁にリニアモータを設けることにより、XYテーブルの背丈を、より低くすることができるので、XYテーブルを、よりコンパクト化することができる。
また、本実施形態においては、空気軸受と、リニアモータと、リニアガイドという各軸が独立した構造を採用することにより、X軸で発生する誤差がY軸に重畳されるのを確実に回避するので、高精度な運動を実現することができる。
また、本実施形態においては、可動体の重心を中心に同一のリニアモータ、及び同一のリニアガイドを配置することとしたので、可動体の高精度な運動を実現することができる。
このようなXYテーブルは、コンパクトかつ高精度な運動の要求される装置、例えば小さな機械部品の組立作業を行う装置のXYテーブル、マスクアライメント装置等のXYテーブル等に用いることができる。
【0047】
高精度化
<空気軸受>
ところで、本実施形態においては、運動の更なる高精度化のため、前記空気軸受として、以下の空気軸受を用いることも非常に好ましい。
図5及び図6には、本実施形態において好適な空気軸受16の概略構成が示されている。
図5は空気軸受16の分解斜視図、図6は空気軸受16を側方より見た図である。
同図において、固定体12は、固定体側軸受面22を、非常に平坦に研磨することにより、水平で平滑なものとしている。
可動体14は、可動体側軸受面24も、非常に平坦に研磨することにより、水平で平滑なものとしている。
【0048】
すなわち、本実施形態においては、固定体12上に可動体14を空気膜を介して浮上させる空気軸受16を形成するため、可動体14に、縦穴40と、X軸横穴(横穴)42a及びY軸横穴42b(横穴)と、が設けられている。
ここで、縦穴40は、可動体側軸受面24において開口し、開口から空気膜を形成するための圧縮空気を固定体側軸受面22と可動体側軸受面24との間に噴き出す。また、X軸横穴42a及びY軸横穴42bは、可動体14の側壁の可動体側軸受面24の近くにおいて開口し、開口から可動体14の周囲の固定体軸受面上12に空気を噴き出す。
【0049】
本実施形態においては、図5に示されるように、縦穴40が、圧縮空気44aを通す細穴を含み、可動体14の縦方向に開けられている。縦穴40は、可動体14の可動体側空気軸受面24に向けて内径が次第に小となる絞りが設けられており、非常に小さな約0.2mmの細穴が、可動体側軸受面24まで貫通している。
また、本実施形態においては、X軸横穴42a及びY軸横穴42bが、それぞれ空気44bを通す細穴を含む。X軸横穴42aは、可動体14のX軸方向に開けられている。Y軸横穴42bは、可動体14のY軸方向に開けられている。
【0050】
この結果、図6に示されるように、圧縮空気44aは、縦穴40を高速で通過し、固定体側軸受面22と可動体側軸受面24との間に広がって空気膜による空気軸受16を確実に形成することができるので、可動体14を確実に非接触支持することができる。
可動体14は、空気軸受16が構成されている状態でX軸方向及びY軸方向に直線運動したり、回転角度を調節することができる。これにより、本実施形態においては、接触式の軸受を用いたものに比較し、可動体14の、より高精度な運動を実現することができる。
【0051】
また、空気44bは、X軸横穴42a及びY軸横穴42bを通過し、固定体側軸受面22上の可動体14の周囲に供給されるので、固定体軸受面22上の可動体14の周囲に均一に空気膜を形成することができる。これにより、固定体側軸受面22と可動体側軸受面24との間において空気膜を形成している空気が、固定体側軸受面22と可動体側軸受面24との間から余分に抜けないようにしている。このため、より適切な空気膜を維持することができるので、固定体12上において可動体14を、確実に所望の離隔距離をおいて且つ平行に支えながら、移動させることができる。これにより、可動体14の高精度な運動を実現することができる。
【0052】
<リニアモータ>
また、本実施形態においては、運動の更なる高精度化のため、リニアモータとして、コア(鉄心)を持たないタイプ、つまりコアレスリニアモータを用いることも非常に好ましい。
図7には、本実施形態において好適なリニアモータの概略構成が示されている。
同図に示すリニアモータ18は、互いに離隔距離をおいて相対向する、コイル部(固定体側アクチュエータ)30、及び磁石部(可動体側アクチュエータ)32a,32bを備える。
ここで、コイル部30は、複数のコイルが直線方向に配置されている。
また、磁石部32a,32bは、それぞれ複数の永久磁石部が直線方向に配置されたものである。磁石部32a,32bは、コイル部30を間に挟み、対向配置されている。
【0053】
なお、リニアモータを三相電流で駆動する場合は、コイル部及び磁石部が、3ペアの倍数で、必要な長さの分だけ並べられている。また、リニアモータを単相電流で駆動する場合は、コイル部及び磁石部が、偶数ペアで必要な長さの分だけ並べられている。二の磁石部間の間隙中央に配置されたコイル部に電流を流すことにより、二の磁石部に推力が発生する。
【0054】
本実施形態においては、このようなリニアモータを適切に使用するため、以下のカバー及びヨークと共に用いている。
図8には本実施形態において好適なリニアモータの使用例が示されている。
同図に示すリニアモータ18は、ケース50と、縦断面略コの字状のヨーク52と共に用いている。
ここで、ケース50は、リニアスライダ20に設けられ、コイル部30を保持する。
また、ヨーク52は、コイル部30を間に挟み、二の磁石部32a,32bが対向配置されるように、二の磁石部32a,32bを可動体14の側壁に保持する。
【0055】
以下に、前記リニアモータの使用例について、より具体的に説明する。
すなわち、本実施形態においては、コイル部30と磁石部32a,32bとの相対構造を維持したまま、磁石部32a,32bにはヨーク52と呼ばれる鉄でできた枠がはめられる。コイル部30には、配置が崩れないように、薄くても頑丈なケース50に入れられている。
リニアモータ18の磁石部32a,32bは、ヨーク52にアッセンブリされたものであり、ヨーク52を介して、リニアモータ18の磁石部32a,32bは、それぞれ対応する可動体14の側壁に取り付けられている。
【0056】
可動体14をX軸方向に動かすときは、X軸リニアモータ18aとX軸リニアモータ1
8bとに、同じ極性の電流を流すと、同じX軸方向への推力、例えば+X軸方向への推力が発生するので、可動体14のY軸方向への推力を得ることができる。一方、可動体14の回転角度を調整するときは、X軸リニアモータ18aとX軸リニアモータ18bとに、互いに逆極性の電流を流すと、逆のX軸方向への推力、つまり+X軸方向への推力と−X軸方向への推力とが発生するので、可動体14の回転力を得ることができる。
Y軸リニアモータ18c,18dも同様に電流を流すことにより、可動体14のY軸方向への推力、可動体14の回転力を発生することができる。
【0057】
<リニアガイド>
また、本実施形態においては、運動の更なる高精度化のため、以下のようにリニアガイドを構成することも非常に好ましい。
例えば本発明において、可動体14がX軸方向に移動するとき、Y軸リニアモータ18c,18dは可動体14の動きに引きつられてX軸方向のみに移動させる。
このため、X軸リニアモータ18a,18bは、それぞれ磁石部32とコイル部30とを、可動体14に対し推力方向がX軸方向となるように取り付けている。
X軸リニアモータ18a,18bのコイル部30は、それぞれ対応するY軸リニアガイド20c,20d上に取り付けられている。
【0058】
本実施形態においては、図9及び図10に示されるようなリニアガイドを用いている。図9はリニアガイドの斜視図、図10はリニアガイドを上方より見た図である。
同図において、各リニアガイド20a〜20dはそれぞれ、レール54と、スライダ56と、を備える。
レール54は、固定体12に固定されている。
スライダ56は、レール54上を直線運動自在に設けられ、リニアモータ18のコイル部30に結合されている。
【0059】
例えばY軸リニアモータ18cのコイル部30の取り付けに関しては、まずX軸リニアガイド20aのレール54を固定体12に締め付け、X軸リニアガイド20aのスライダ56を厳密にX軸方向のみにスライドするようにしておく。X軸リニアガイド20aのスライダ56に、Y軸リニアモータ18cのコイル部30を取り付ける。
このような組立構造において、Y軸リニアモータ18cのコイル部30に電流を流すと、Y軸リニアモータ18cの磁石部に非接触に推力がY軸方向に発生する。
Y軸リニアガイド20cの移動方向はX軸方向のみであり、Y軸リニアガイド20cはY軸方向に動けないので、X軸リニアモータ18cのコイル部30の発生するY軸方向の推力は、X軸リニアガイド20aで支えることができる。すなわち、X軸リニアガイド20aは、Y軸方向の反作用をY軸リニアモータ18cのコイル部30に与えることができる。逆にみれば、Y軸リニアモータ18cのコイル部30は、X軸リニアガイド20aを介して固定体12に足場を持つことになる。
したがって、Y軸リニアモータ18cのコイル部30の反作用としてY軸リニアモータ18cの磁石部に推力が働くので、Y軸リニアモータ18cは可動体14をY軸方向に動かすことができる。
【0060】
ここで、可動体14がX軸方向に動いても、X軸リニアガイド20aは、X軸方向に逃げるので、Y軸リニアモータ18cは、コイル部30及び磁石部がX軸方向に移動する。したがって、このような組立構造においては、Y軸リニアモータ18cが、Y軸方向に推力を発生し、かつX軸方向に自由に動ける。
なお、Y軸リニアモータ20dも、Y軸リニアモータ30cと同様の組立構造をもつ。
また、X軸リニアモータ20a、20bも、前記Y軸リニアモータ20cと同様の組立構造をもつので、前記組立構造と同様の働きが保証される。
【0061】
<滑り手段>
ここで、リニアモータの推力と直交方向に、該リニアモータ全体が少し動かされた場合は、該リニアモータのコイル部と磁石部とは、これらの反発力により離隔状態を維持している。一方、リニアモータの推力と直交方向に可動体が急に移動し、リニアモータのコイル部と磁石部間の反発力よりも大の力で動かされた場合は、リニアモータのコイル部と磁石部とが接触するのは、好ましくない。更なる高精度化のためには、リニアモータのコイル部と磁石部との接触を確実に防ぐことが非常に重要である。
【0062】
本実施形態においては、推力と直交方向にリニアモータ全体が動かされても、リニアモータのコイル部と磁石部との接触を確実に防ぐため、以下の滑り手段を設けることも非常に好ましい。
図11及び図12には、本実施形態において好適な滑り手段の概略構成が示されている。
図11は本実施形態において好適な滑り手段の斜視図、図12は滑り手段近傍を側方より見た図である。
同図に示す滑り手段は、固定体側滑り案内58a、及び可動体側滑り案内58bを備える。
固定体側滑り案内58aは、可動体側滑り案内58bと対向するように、コイルベース(ケース下部)59の両外壁に設けられる。
可動体側滑り案内58bは、固定体側滑り案内58aと対向するように、ヨーク52の下部両内壁に設けられる。
この結果、固定体側滑り案内58a及び可動体側滑り案内58bは、コイル部30と磁石部32a,32bとが接触しないように、コイル部30と磁石部32a,32bとの間において互いに離隔距離を保つことができる。
また、本実施形態においては、固定体側滑り案内58aと可動体側滑り案内58bとが接触している状態であっても、ヨーク52とケース50とを推力発生方向に極めて小さな静止摩擦係数、動摩擦係数で相対運動自在とするため、固定体側滑り案内58aと可動体側滑り案内58bとを静止摩擦係数、動摩擦係数の極めて小さな物体より構成している。
【0063】
以下に、前記滑り手段の作用について、より具体的に説明する。
すなわち、図12(A)に示されるように、可動体14がX軸リニアモータ18a,18bのヨーク52と共にY軸方向にゆっくり押し寄せてきた場合は、X軸リニアモータ18a,18bのコイル部30と磁石部32a,32bとの間隙が狭まるが、コイル部30と磁石部32a,32bとの間の反発力により、コイル部30と磁石部32a,32bとの間隙は確実に保たれている。
さらに、可動体14がX軸リニアモータ18aのヨーク52と共にY軸方向に押し寄せてきた場合は、同図(B)に示されるように、まずX軸リニアモータ18a,18bのヨーク52の可動体側滑り案内58bが、ケース50の固定体側滑り案内58aに当たって、コイル部30をY軸方向(図中、右方向)に押す。X軸リニアモータ18a,18bのコイル部30がY軸方向(図中、右方向)に押されると、一方のX軸リニアモータ18aのコイル部30に結合されているY軸リニアガイド20cのスライダ56がレール54に対して、他方のX軸リニアモータ18bのコイル部30に結合されているY軸リニアガイド20dのスライダ56がレール54に対して、それぞれY軸方向(図中、右方向)に、自由に逃げられる。
このため、X軸リニアモータ18a,18bのコイル部30と磁石部32a,32bとの接触を、確実に防ぐことができる。また、可動体14がY軸リニアモータ18c,18dのヨーク52と共にX軸に押し寄せてきた場合も同様に、X軸リニアガイド20a,20bが、Y軸リニアモータ18c,18dのコイル部30と磁石部32a,32bとが接触するのを確実に防ぐことができる。
【0064】
<回転角度調節>
本実施形態においては、XYテーブル10のより高精度な直線運動を実現するため、XYテーブル10の回転運動を止めることも非常に重要である。
本実施形態においては、X軸リニアモータ18a,18bは、コイル部30と磁石部32a,32bとを非接触に、固定体12上において可動体14の回転角度を、重心26を中心に調節自在としている。
また、Y軸リニアモータ18c,18dは、コイル部30と磁石部32a,32bとを非接触に、固定体12上において可動体14の回転角度を、重心26を中心に調節自在としている。
そして、可動体14に回転が生じると、その回転を打ち消す回転トルクが可動体14に発生するように、つまり可動体14の回転角度が常に零となるように、X軸リニアモータ18a,18bないしY軸リニアモータ18c,18dの動作を制御する。
【0065】
例えば図13(A)に示されるように可動体14に、外力(F−θ)による反時計周りの回転運動が生じると、位置制御手段が、例えばX軸リニアモータ18a,18bのコイル部30に互いに逆極性の電流を流す。これにより、X軸リニアモータ18a,18bのコイル部30が磁石部32に+X軸方向への推力を発生させる。すると、X軸リニアモータ18a,18bが、可動体14に時計周りの回転運動を生じる回転トルク(F+θ)を発生させる。
図13(A)に示されるような反時計周りの回転運動(F―θ)が可動体14に生じても、その回転を打ち消す回転トルク(F+θ)が発生するように、X軸リニアモータ18a,18bの動作を制御することにより、可動体14の回転角度を常に零とすることができるので、可動体14が直線運動する際に運動精度を低下させるであろう、回転体14の余計な回転を確実に抑止することができる。
【0066】
このような可動体14の回転運動を抑止する動作も、リニアモータ18a〜18dのコイル部30と磁石部32a,32bとを非接触に行うことができるので、各軸の誤差の影響が互いに影響を及ぼし合うのを大幅に低減することができる。これにより、XYテーブル10の直線運動を、より高精度化することができる。
【0067】
<位置決め機構>
本実施形態においては、高精度化のため、以下の位置決め機構を設けることも非常に好ましい。
図14には、本実施形態において好適な位置決め機構の概略構成が示されている。
同図に示す位置決め機構は、X軸変位センサ(第一軸変位センサ)60aと、Y軸変位センサ(第二軸変位センサ)60bと、X軸位置制御手段(位置制御手段)62a、Y軸位置制御手段(位置制御手段)62bと、を備える。
ここで、X軸変位センサ60aは、可動体14のX軸方向の位置情報を検出し、X位置信号(第一軸位置信号)X,Xを出力する。
また、Y軸変位センサ60bは、可動体14のY軸方向の位置情報を検出し、Y位置信号(第二軸位置信号)Y,Yを出力する。
X軸位置制御手段62aは、X軸変位センサ60aからのX位置信号X,Xに含まれるX位置情報に基づき推定された可動体14のX位置が、所望のX位置となるように、X軸リニアモータ18a,18bのコイル部30への電流を制御し、可動体14のX位置の位置決めを行う。
Y軸位置制御手段62bは、Y軸変位センサ60bからのY位置信号Y,Yに含まれるY位置情報に基づき推定された可動体14のY位置が、所望のY位置となるように、Y軸リニアモータ18c,18dのコイル部30への電流を制御し、可動体14のY位置の位置決めを行う。
【0068】
<変位センサ>
本実施形態においては、高精度化のため、変位センサとして、下記の干渉式変位センサ等を用いることも非常に好ましい。
図14には本実施形態において好適な変位センサの概略構成が示されている。
同図に示すX軸変位センサ60aは、干渉計よりなり、同一のX軸反射鏡(第一軸反射鏡)64a,64bと、X軸干渉式変位計(第一軸干渉式変位計)66a,66bと、を備える。
Y軸変位センサ66bは、干渉計よりなり、前記X軸反射鏡64a,64bと同一のY軸反射鏡(第二軸反射鏡)64c,64dと、Y軸干渉式変位計(第二軸干渉式変位計)66c,66dと、を備える。
【0069】
本実施形態においては、同一のX軸反射鏡64a,64bが、可動体14の重心26の位置に対して等しいX軸回りの一次モーメントとなるように、可動体14に配置されている。X軸反射鏡64a,64bは、可動体14のY軸方向に互いに所定の離隔距離をおいて配置され、かつ、それぞれ光軸方向をX軸方向に向けて配置される。
X軸干渉式変位計66a,66bは、それぞれ対応するX軸反射鏡64a,64bに可干渉光を入射し、その反射光とで干渉を起こさせ、干渉縞を計数する。X軸干渉式変位計66a,66bは、それぞれ対応する干渉縞計数情報を含むX位置信号X,Xを出力する。
また、本実施形態においては、Y軸反射鏡64a,64bがX軸反射鏡64a,64bと同一のものであり、可動体14の重心26に対して等しいY軸回りの一次モーメントとなるように、可動体14に配置されている。Y軸反射鏡64c,64dは、可動体14のX軸方向に互いに所定の離隔距離をおいて配置され、かつ、それぞれ光軸方向をY軸方向に向けて配置される。
Y軸干渉式変位計66c,66dは、それぞれ対応するY軸反射鏡64c,64dに可干渉光を入射し、その反射光とで干渉を起こさせ、干渉縞を計数し、該干渉縞計数情報を含むY位置信号Y,Yを出力する。
【0070】
そして、本実施形態においては、可動体14を回転させることなく直線運動させるため、下記の制御を行う。
すなわち、可動体14の回転を止めるため、X軸位置制御手段62aが、X軸干渉式変位計66a,66bからの干渉縞計数情報を含むX位置信号X,Xの差信号(X−X)に基づいて推定された回転角度が常に零となるように、X軸リニアモータ18a,18bの動作を制御している。又は、Y軸位置制御手段62bが、Y軸干渉式変位計66c,66dからの干渉縞計数情報を含むY位置信号Y,Yの差信号(Y−Y)に基づいて推定された回転角度が常に零となるように、Y軸リニアモータ18c,18dの動作を制御している。
また、本実施形態においては、可動体14をX軸方向に直線運動し所望のX位置に位置決めするため、X軸位置制御手段62aが、X軸干渉式変位計66a,66bからの干渉縞計数情報を含むX位置信号X,Xの加算平均(X+X)に基づいて推定されたX位置が所望のX位置に来るように、可動体14の位置決めを行う。
また、本実施形態においては、可動体14をY軸方向に直線運動し所望のY位置に位置決めするため、Y軸位置制御手段62bが、Y軸干渉式変位計66c,66dからの干渉縞計数情報を含むY位置信号Y,Yの加算平均(Y+Y)に基づいて推定されたY位置が所望のY位置に来るように、可動体14の位置決めを行う。
【0071】
以下に、前記変位センサについて、具体的に説明する。
本実施形態においては、X軸変位センサ60aとして、法線方向(直交方向)がX軸を向く可動体14の一平面上に、互いにY軸方向に距離を離して且つ法線(光軸)がX軸を向くように、平面反射鏡よりなるX軸反射鏡64a,64bを2個取り付けている。X軸反射鏡64a,64bは、可動体14の重心26から等しいX軸回りの一次モーメントとなるようにし、このX軸反射鏡64a,64bに可干渉光をそれぞれ入射させ、反射光とで干渉を起こさせて干渉縞を計数する。
このようにして得られた二のX位置信号X,Xの加算平均(X+X)を、可動体14が動いたX軸距離とみなす。また、二のX位置信号X,Xの差(X−X)を、一方のX軸干渉式変位計66aの可干渉光と他方のX軸干渉式変位計66bの可干渉光との離隔距離(間隔)Lで割った値を、可動体14の回転角度とみなしている。この結果、本実施形態においては、可動体14のX位置を正確に検出することができる。
【0072】
以下に、前記変位センサの作用について、より具体的に説明する。
同図においては、レーザ干渉式変位計を4台、つまり干渉式変位計66a〜66dを固定体12に固定し、各反射鏡64a〜64dにそれぞれ可干渉光を照射し、その反射光との干渉縞をカウント(計数)することにより、可動体14の変位を測定する。
ここで、二のX軸干渉式変位計66a,66bが同じカウント(干渉縞計数)を示す場合は、可動体14がX軸に平行移動したことになる。
一方、二のX軸干渉式変位計66a,66bが異なるカウント(干渉縞計数)を示す場合は、回転体14が回転していることになる。この回転体14の回転角度は、二のX軸干渉式変位計66a,66bのカウント差(干渉縞計数差)に基づく変位を、一方のX軸干渉式変位計66aの可干渉光と他方のX軸干渉式変位計66bの可干渉光との離隔距離(間隔)Lで割った値となる。
【0073】
本実施形態においては、X軸方向の変位を検出する際に、可動体14がY軸方向に変位しても、X位置信号が不動になるように、つまりその影響をX位置信号の検出に与えないように、厳密に反射鏡64の平面法線(光軸)の向きをX軸に揃えている。
また、本実施形態においては、XYテーブル10なので、回転運動は抑えることが非常に重要であり、回転運動を抑えるための角度制御が必要であるが、角度制御の残留誤差に伴い、微小な角度変化に対して変位係数が狂わないように、可干渉光のビーム径を太くしておく必要がある。
本実施形態においては、変位センサとして、前記干渉式変位計等を用いたので、一般的なスケールを用いたものに比較し、高精度な位置検出を行うことができる。
XYテーブル10は、最終的に、変位センサからリニアモータへのフィードバックをかけて位置決め制御を行っている。
【0074】
<位置制御手段>
前述のようにXYテーブルは、可動体の回転をできるだけ抑えながら、可動体を直線運動させるため、二のX位置信号の差を、二の可干渉光の間隔で割った値を、可動体の回転角度とみなし、この回転角度が常にゼロとなるように角度制御している。
また、二のX位置信号の加算平均を可動体が動いたX軸距離とみなし、別途指令されるX指令値にX位置が来るように位置制御している。また、二のY位置信号の加算平均を可動体が動いたY軸距離とみなし、別途指令されるY指令値にX位置が来るように位置制御している。
【0075】
以下に、前記制御について、より具体的に説明する。
可動体14を回転させることなく直線運動させるため、例えばX軸では、二の位置信号の和(加算平均)、及び差をとり、差信号を一方のX軸リニアモータへの制御信号に加え、他方のX軸リニアモータへの制御信号から引き、結果として発生する回転トルクが、可動体14の回転方向を打ち消すようにしている。
この結果、本実施形態においては、X軸位置制御手段62aが、二のX軸干渉式変位計66a,66bからの干渉縞計数情報を含むX位置信号X,Xの差信号(X−X)に基づいて推定された可動体14の回転角度が常に零となるように、X軸リニアモータ18a,18bの動作を制御することができる。
また、Y軸位置制御手段62bが、二のY軸干渉式変位計66c,6dからの干渉縞計数情報を含むY位置信号Y,Yの差信号(Y−Y)に基づいて推定された可動体14の回転角度が常に零となるように、Y軸リニアモータ18c,18dの動作を制御することもできる。
【0076】
また、可動体14を直線運動させるため、例えばX軸では、二のX位置信号X,Xの和の信号(X+X)はそのまま二のX軸リニアモータ18a,18bに接続している。
この結果、本実施形態においては、X軸干渉式変位計66a,66bからの干渉縞計数情報を含むX位置信号X,Xの加算平均(X+X)に基づいて推定されたX位置が、所望のX位置に来るように、可動体14の位置決めを行うことができる。
Y位置の位置決めも、前記X位置の位置決めと同様に行うことができる。
【0077】
以下に、前記位置制御手段について、より具体的に説明する。
図15には、本実施形態において好適な位置制御手段の概略構成が示されている。同図では、位置制御手段を代表して、Y軸位置制御手段の例について説明するが、X軸位置制御手段もY軸位置制御手段と同様の構成である。
同図に示すY軸位置制御手段62bは、可動体14の回転を止める制御を行いながら、可動体14のY軸方向への直線移動を行わせる。
このためにY軸位置制御手段62bは、減算器70と、加算器72と、制御機74a,74bと、を備える。
そして、Y軸位置制御手段62bは、干渉式変位計66c,66dからの位置信号Y,Yの和信号(Y+Y)と、差信号(Y―Y)と、を得ている。
Y軸位置制御手段62bは、和信号(Y+Y)を、そのまま二のY軸リニアモータ18c,18dに接続する。
Y軸位置制御手段62bは、差信号(Y―Y)を、一方のY軸リニアモータ18cには加え、他方のY軸リニアモータ18dには引き、結果として発生する回転トルクが、可動体14の回転方向を打ち消すようにしている。
【0078】
すなわち、減算器70は、Y軸干渉式変位計66cからの位置信号Yと、Y軸干渉式変位計66dからの位置信号Yとの差(Y―Y)を求める。
そして、制御機74a,74bは、減算器70により得られた差(Y―Y)を、二の可干渉光の離隔距離(間隔)Lで割った値を、可動体14の回転角度とみなし、この回転角度がいつもゼロとなるように、Y軸リニアモータ18cのコイル部30、及びY軸リニアモータ18dのコイル部30の動作を制御している。
このようにY軸位置制御手段62bは、減算器70が、差信号(Y―Y)を作り、制御機74a,74bが、可動体に外乱角度誤差を打ち消す方向に回転トルクが発生するように二のY軸リニアモータ18c,18dのコイル部30c、30dに差信号(Y―Y)を加えるので、可動体14の回転を確実に止める制御を行うことができる。
【0079】
また、加算器72は、Y軸干渉式変位計66cからのY位置信号Yと、Y軸干渉式変位計66dからのY位置信号Yとの和(Y+Y)を求める。同図では、これを加算平均とする。
位置制御手段62は、加算器72で得られたY位置信号YとY位置信号Yとの和(Y+Y)の加算平均を、可動体14が動いたY軸距離とみなし、制御機74a,74bが、別途指令されるY指令値にY位置が来るように、リニアモータ18cのコイル部30、リニアモータ18dのコイル部30の動作を制御している。
【0080】
このようにY軸位置制御手段62bは、二のY位置信号Y,Yの差(Y−Y)を、二の可干渉光の間隔Lで割った値を、可動体14の回転角度とみなし、この回転角度がいつもゼロとなるように角度制御を施し、かつ、二のY位置信号Y,Yの加算平均(Y+Y)を可動体14が動いたY軸距離とみなし、別途指令されるY指令値にY位置が来るように位置制御している。また、X軸位置制御手段も同様の制御を行っているので、可動体14の高精度なXY運動を実現することができる。
【0081】
なお、本発明は前記構成に限定されるものでなく、発明の要旨の範囲内であれば、種々の変形が可能である。
例えば、前記構成では、水平面をXY軸と呼ぶ例について説明したが、該水平面を指すのであれば、YZ軸、又はZX軸と呼ぶこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態にかかるXYテーブルの概略構成の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるXYテーブルの各構成部材の構造の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるXYテーブルの各構成部材の配置の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるXYテーブルのXY運動の説明図である。
【図5】本実施形態にかかるXYテーブルに好適な空気軸受の概略構成の説明図(斜視図)である。
【図6】本実施形態にかかるXYテーブルに好適な空気軸受の概略構成の説明図(側方より見た図)である。
【図7】本実施形態にかかるXYテーブルに好適なリニアモータの概略構成の説明図である。
【図8】図7に示したリニアモータの好適な使用例の説明図である。
【図9】本実施形態にかかるXYテーブルに好適なリニアガイドの概略構成の説明図(斜視図)である。
【図10】本実施形態にかかるXYテーブルに好適なリニアガイドの概略構成の説明図(上方より見た図)である。
【図11】本実施形態にかかるXYテーブルに好適な滑り手段の概略構成の説明図である。
【図12】図11に示した滑り手段の作用の説明図である。
【図13】本発明の一実施形態にかかるXYテーブルの回転抑止作用の説明図である。
【図14】本実施形態にかかるXYテーブルに好適な変位センサの概略構成の説明図である。
【図15】本実施形態にかかるXYテーブルに好適な位置制御手段の概略構成の説明図である。
【符号の説明】
【0083】
10 XYテーブル(多軸テーブル)
12 固定体
14 可動体14
16 空気軸受(軸受)
18,20 X軸リニアモータ(第一軸推力発生手段)
22,24 Y軸リニアモータ(第二軸推力発生手段)
26,28 X軸リニアガイド(第一軸リニアガイド)
30,32 Y軸リニアガイド(第二軸リニアガイド)
60a X軸変位センサ(第一軸変位センサ)
60b X軸変位センサ(第一軸変位センサ)
62a X軸位置制御手段(位置制御手段)
62b X軸位置制御手段(位置制御手段)
64a,64b X軸反射鏡(第一軸反射鏡)
64c,64d Y軸反射鏡(第二軸反射鏡)
66a,66b X軸干渉式変位計(第一軸干渉式変位計)
66c,66d Y軸干渉式変位計(第二軸干渉式変位計)
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司


【公開番号】 特開2008−12638(P2008−12638A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188318(P2006−188318)