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【発明の名称】 工作機械の主軸給油方法及び主軸装置
【発明者】 【氏名】清都 俊之

【氏名】松村 秀弓

【氏名】吉村 宏

【要約】 【課題】特殊な工具ホルダを必要とせず、高速回転数でも吐出量が安定する工作機械の主軸方法及び装置を提供する。

【構成】水と油をそれぞれ圧縮空気によって第一の混合ミスト81と第二の混合ミスト82に生成し、第一及び第二の混合ミスト81,82を個々に油膜付水滴生成部14に供給し、次いで第一及び第二の混合ミスト81,82を油膜付水滴生成部14で混合して油膜付水滴に生成した後に、主軸装置10へ油膜付水滴を供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々に供給される第一の液体と第二の液体をそれぞれ圧縮空気によって第一の混合ミストと第二の混合ミストに生成し、前記第一及び第二の混合ミストを個々に油膜付水滴生成部に供給し、次いで前記第一及び第二の混合ミストを前記油膜付水滴生成部で混合して油膜付水滴に生成した後に、主軸装置へ瞬時に油膜付水滴を供給することが可能な工作機械の主軸給油方法。
【請求項2】
主軸内へ圧縮空気と第一の液体との第一の混合ミストと圧縮空気と第二の液体との第二の混合ミストとを別々に供給する二系統の供給路を設けると共に、前記二系統の供給路により供給された前記第一の混合ミストと前記第二の混合ミストとを混合させて油膜付水滴を噴出する油膜付水滴生成部を主軸の先端部内又は工具ホルダー内に設けたことを特徴とする工作機械の主軸装置。
【請求項3】
圧縮空気と第一の液体とを第一の混合ミストに生成する第一混合ミスト部と、
圧縮空気と第二の液体とを第二の混合ミストに生成する第二混合ミスト部と、
前記第一の混合ミスト及び第二の混合ミストを混合させて油膜付水滴を生成し該油膜付水滴を噴出する油膜付水滴生成部と、
を備えることを特徴とする工作機械の主軸装置。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、油膜付水滴生成部を主軸に内蔵した工作機械の主軸装置に関し、さらに詳細には油膜付水滴加工に対応した工作機械の主軸給油方法及び主軸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の工作機械の主軸装置は油を空気流によって霧状化する油霧化室と、水を水滴化して水滴の表面に油膜が形成された油膜付水滴を生成する水滴化室と、油膜付水滴を放出するトップノズルと、から構成される油膜付水滴生成部を内蔵し、前記トップノズルは工具ホルダの回転軸上で工具の後端部に隣接して設けられ、トップノズルから放出された油膜付水滴は、工具の回転軸上に挿通して形成された供給路を介して工作物に供給されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
さらに他の工作機械の主軸装置では、主軸内への気体と液体を個々に供給するための二系統の供給路を設けると共に、これらの供給路を通じて供給された気体と液体を混合させてミストを噴出させるためのミスト発生装置を主軸の先端部内或いは工具ホルダ内に設ける工作機械用主軸が記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特願2005−100553号
【特許文献2】特許第2687710号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のものは、油を空気流によって霧状化する油霧化室と、水を水滴化して水滴の表面に油膜が形成された油膜付水滴を生成する水滴化室と、油膜付水滴を放出するトップノズルと、から構成される油膜付水滴生成部を工具ホルダに内蔵し、トップノズルは工具ホルダの回転軸上で工具の後端部に隣接して設けられるが、工具ホルダに油膜付生成部を内蔵するため、工具ホルダの重量が重く、該工具ホルダの全長が長くなる。さらに、工具ホルダの外周部から回転軸心に向かって油、水を供給する構造を有するため、回転を高速化にすると遠心力により吐出量が減少するという問題を呈する。
【0004】
また、特許文献2のものは、液体が主軸の先端部或いは工具ホルダ内まで主軸内に充填されるため、ミストの供給を停止した際、液だれが生じないようにミスト発生装置の直前に液体が一定圧以下であるときに閉鎖状態に保持される閉止弁を設けるという問題があった。
【0005】
本発明は上記した問題点を解決するためになされたもので、特殊な工具ホルダを必要とせず、高速回転数でも吐出量が安定する工作機械の主軸給油方法を提供することを目的とする。
さらに、生成された油膜付水滴を工作物へ供給する際、応答性が高く、かつ工作物へ十分な容量(流量)の油膜付水滴を供給できる特別な閉止弁を設ける必要がない工作機械の主軸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、請求項1に係る発明は、個々に供給される第一の液体と第二の液体をそれぞれ圧縮空気によって第一の混合ミストと第二の混合ミストに生成し、前記第一及び第二の混合ミストを個々に油膜付水滴生成部に供給し、次いで前記第一及び第二の混合ミストを前記油膜付水滴生成部で混合して油膜付水滴に生成した後に、主軸装置へ瞬時に油膜付水滴を供給することを特徴とする。
すなわち、別々に供給する第一の液体と第二の液体をそれぞれ気体によって混合ミストに生成して個々に供給して油膜付水滴生成部で混合し油膜付水滴に生成して主軸装置へ瞬時に油膜付水滴を供給するようにしたので、第一及び第二の液体は混合ミストとして高速で油膜付水滴生成部に供給されるので、主軸装置の比較的深遠部まで第一及び第二の混合ミストを供給することができる。また、液だれがなく必要量だけ供給することができ、かつ油膜付水滴を加工部へ供給、遮断を瞬時に行うことができる。
【0007】
請求項2に係る発明は、主軸内へ圧縮空気と第一の液体との第一の混合ミストと圧縮空気と第二の液体との第二の混合ミストとを別々に供給する二系統の供給路を設けると共に、前記二系統の供給路により供給された前記第一の混合ミストと前記第二の混合ミストとを混合させて油膜付水滴を噴出する油膜付水滴生成部を主軸の先端部内又は工具ホルダ内に設けたことを特徴とする。
本発明によれば、主軸装置又は工具ホルダの回転数により第一及び第二の混合ミストの圧力及び流量を任意に制御することができるのでよい。
請求項3に係る発明は、圧縮空気と第一の液体とを第一の混合ミストに生成する第一混合ミスト部と、圧縮空気と第二の液体とを第二の混合ミストに生成する第二混合ミスト部と、前記第一の混合ミスト及び第二の混合ミストを混合させて油膜付水滴を生成し該油膜付水滴を噴出する油膜付水滴生成部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、第一及び第二の混合ミストを別々に設けたので、保守点検が容易になるのでよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、主軸装置の比較的深遠部まで第一及び第二の混合ミストを供給することができる。また、液だれがなく必要量だけ供給することができ、かつ油膜付水滴を主軸装置へ供給、遮断を瞬時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る工作機械の主軸装置を図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る工作機械の主軸装置10の概略構造を示す縦断面図である。図1に示すように工作機械の主軸装置10は、主軸部11と、圧縮空気と第一の液体(水)とを第一の混合ミストに生成する第一混合ミスト部12と、圧縮空気と第二の液体(油)とを第二の混合ミストに生成する第二混合ミスト部13と、前記主軸部11に装着され前記第一の混合ミスト及び第二の混合ミストを混合させて油膜付水滴を生成し該油膜付水滴を噴出する油膜付水滴生成部14とを、備える。
【0010】
主軸部11は、工作機械の主軸台15に鍔部を当接し、かつ該主軸台15に円筒部を嵌挿した前ハウジング16が装着されている。前記前ハウジング16の小径穴17には、主軸18の一側を回転自在に支持する軸受19、19が固定され、主軸18の他側は該前ハウジング16の端部に固定された後ハウジング20に装着された軸受21、21により回転自在に支持されている。前記前ハウジング16の大径穴22には主軸18を駆動させるモータ23が装着されている。前記モータ23は、ステータ24が前ハウジング16の大径穴22に嵌着されると共に、ロータ25が主軸18に固着されている。前記軸受19、19及び21、21はその外輪が主軸18に嵌挿されたスペーサ26a、27a、31により軸心方向の位置が規制され、ハウジング28及び蓋29により前ハウジング16、後ハウジング20に位置決めされている。なお、軸受19、19及び21、21の内輪はスペーサ26b及び27bを介して軸受ナット30及び32により軸心方向の位置が規制されている。
【0011】
主軸18は、一側(図1で左側)から順に断面円形状の段付開口部34と、該段付開口部34に連通する小径孔35と、小径孔35に連通する大径孔36とを、備える。前記小径孔35には中央の軸心方向に細孔37を設けた中空状のドローバー38の一端部が軸心方向に変位可能に支持されると共に、該ドローバー38の中間部及び他端部が大径孔36に軸心方向に配設されたばね部材、例えば螺旋皿ばね39により支持され、該螺旋皿ばね39の弾発力により該大径孔36に軸心方向に変位可能に嵌挿されている。前記螺旋皿ばね39はドローバー38の外周部に嵌挿されたスペーサ41、42により軸心方向の位置がなされ、ドローバー38に螺合するナット部材33によりドローバー38内の位置が確保されている。
【0012】
さらに、ドローバー38の一端部(図1で左端)には、主軸18に形成された段付開口部34に嵌挿されたクランプ機構45が係着されている。前記クランプ機構45は、ドローバー38の一端部に半径方向に指向する凹凸部により該ドローバー38に係合し、ドローバー38に一端部の端面に当接するクランプバー46と、主軸18の段付開口部34に摺動自在に嵌挿された段付円筒形状のクランプスリーブ47と、該クランプスリーブ47の小径穴に摺動自在に嵌合されかつクランプバー46の大径部に摺動自在に嵌合された保持部材48と、該保持部材48に円周方向に回動自在に軸支されると共に、クランプバー46の大径部に形成された断面半径状の溝50及びクランプスリーブ47の円周方向に形成され傾斜面を有する溝51に係合するボール部材52と、前記保持部材48に凹凸部49により係合し、内周部を該保持部材48の外周部に軸心方向に摺動自在に嵌入されたクランプ部材53とを、備える。
【0013】
さらに、ドローバー38の他端部(図1で右端)には図示しない駆動源、例えば油圧シリンダにより軸心方向に変位するクランプセンサー59が嵌挿されナット部材44によりドローバー38に固着されている。また、主軸18の他端部(図1で右端)には図示しないボルト部材によりブラケット54が固着されている。
油圧シリンダの作動によりブラケット54が軸心方向に図1で左行するとドローバー38が螺旋皿ばね39の弾発力に抗して協動し、クランプバー46の左行によりボール部材52が該クランプバー46の溝50に係合し、該ボール部材52がクランプバー46の溝50及びクランプスリーブ47の溝51に嵌挿される。よって、クランプ部材53はその先端部が凹凸部49を支点にして半径方向の内方に変位して保持部材48の外周部に近接するようになる。これにより、クランプスリーブ55のテーパー部58に嵌着された工具ホルダー56はクランプ部材53との係合が解除され、工具ホルダー56はアンクランプの状態になる。
【0014】
一方、油圧シリンダを非作動の状態にすると螺旋皿ばね39の弾発力によりドローバー38が図1で右行するようになる。ドローバー38の右行によりクランプバー46が協動し保持部材48に保持されているボール部材52がクランプバー46の溝50より離脱し
該ボール部材52が溝50の縁及び溝51の傾斜面に挟まれ図1の状態になる。よって、クランプ部材53はその先端部が凹凸部49を支点にして半径方向の外方に変位して保持部材48の外周部に近接するようになる。これにより、クランプスリーブ55のテーパー部58に嵌着された工具ホルダー56はクランプ部材53に係合しクランプの状態になる。
【0015】
前記第一混合ミスト部12は、水(第一の液体)を収納する水タンク60と、管路61を介して水タンク60内の水を吸上げ、吐出する水ポンプ62と、管路63に連通されて水ポンプ62により吐出された水圧を調整するレギュレーター64と、圧縮空気を供給する圧縮空気源65と、管路66a、66bにより圧縮空気源65から供給される圧縮空気を供給、遮断するバルブ67と、管路68により供給された水と管路66a、66bを介して供給された圧縮空気とを混合して第一の混合ミスト81を生成する第一のミキシングノズル69と、を備える。
【0016】
前記第二混合ミスト部13は、油(潤滑油)(第二の液体)を収納する油タンク70と、管路71を介して油タンク70内の潤滑油を吸上げ、吐出する油ポンプ72と、管路73に連通して油ポンプ72により吐出された油圧を調整するレギュレーター74と、圧縮空気を供給する圧縮空気源65と、管路66a、66bにより圧縮空気源65から供給される圧縮空気を供給、遮断するバルブ67と、管路75を介して供給された圧縮空気と管路77により供給された潤滑油とを混合して第二の混合ミスト82を生成する第二のミキシングノズル76と、を備える。なお、圧縮空気源65により供給される圧縮空気、水ポンプ61吐出される水及び油ポンプ72により吐出潤滑油の流量、流速はそれぞれ圧縮空気源65、ポンプ61及び油ポンプ72により調整可能に設定される。
【0017】
参照符号78は、主軸18及びドローバー38の他端部に固着されたブラケット54に図示しないボルト部材により回転継手であって、該回転継手78には管路79、80を介して第一及び第二のミキシングノズル69、76が連結されている。
油膜付水滴生成部14はドローバー38の後端部に形成された開口部43に嵌入されブラケット54により該開口部43内に固着されており、該油膜付水滴生成部14は一端部がドローバー38の細孔37に連通する共に、他端部が回転継手78に連通している。よって、回転継手78より個々に油膜付水滴生成部14に供給された第一の混合ミスト81、第二の混合ミスト82は該油膜付水滴生成部14において混合され第三の混合ミスト83に生成されて細孔37内を流れて工具ホルダー56に装着された工具57内に流入し、切削加工時の切削液又は切削加工時の冷却液に供される。
図1において、第三の混合ミスト83は油膜付水滴生成部14からドローバー38内より工具ホルダー56に供給しているが、該油膜付水滴生成部14から配管により工具57に噴射してもよい。
【0018】
本発明の実施の形態に係る工作機械の主軸装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作及び作用効果について説明する。
モータ23を駆動すると主軸18及びドローバー38が回転する。この状態で水ポンプ62が駆動して水タンク60に収納されている水は管路61、63よりレギュレーター64に流入し、該レギュレーター64において所定圧力に調整されて管路68より第一の
ミキシングノズル69に流入し、圧縮空気源65により生成された圧縮空気は管路66a、バルブ67を経て管路66bより第一及び第二のミキシングノズル69、76に流入する。
そして、第一のミキシングノズル69に流入した水及び圧縮空気は、ミキシングノズル69内で水と圧縮空気とを混合した第一の混合ミスト81に生成される。
【0019】
一方、油タンク70に収納されている油(潤滑油)は、油ポンプ72の駆動により管路71、73を流れ、レギュレーター74で所定圧力に調整された後に管路77より第二のミキシングノズル76に流入する。第二のミキシングノズル76に流入した油及び圧縮空気は、該ミキシングノズル76内で油と圧縮空気とを混合した第二の混合ミスト82に生成される。なお、水及び油及び圧縮空気の流量は、それぞれ水ポンプ62、油ポンプ72及び圧縮空機源65により調整される。
【0020】
次いで、第一及び第二のミキシングノズル69、76で生成された第一及び第二の混合ミスト81、82のそれぞれは管路79、80より回転継手78に供給され、該回転継手78内を流れて油膜付水滴生成部14に供給され、該油膜付水滴生成部14において第一及び第二の混合ミスト81、82が互いに混合された油膜付水滴を有する第3の混合ミスト83に生成される。第三の混合ミスト83はドローバー38の細孔37を通過し、工具57の流路57aを通り加工物(図示しない)に噴射される。
【0021】
この実施の形態では、水と圧縮空気の第一の混合ミスト81と油と圧縮空気の第二の混合ミスト82とを互いに混合させて生成した第三の混合ミスト83は、より均一に混合した状態に確保される。また、第三の混合ミスト83は第一及び第二の混合ミスト81、82の状態で混合されるので混合時間が短く、油膜付水滴の劣化することが殆んどない。
さらに、第三の混合ミスト83は水滴粒が細かく均一に混合されているので、冷却効果及び潤滑効果にすぐれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る工作機械の主軸装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0023】
10 工作機械の主軸装置 11 主軸部
12 第一混合ミスト部 13 第二混合ミスト部
14 油膜付水滴生成部 18 主軸
23 モータ 38 ドローバー
45 クランプ機構 46 クランプバー
47 クランプスリーブ 48 保持部材
49 凹凸部 53 クランプ部材
54 ブラケット 55 クランプスリーブ
56 工具ホルダー 57 工具
69、76 ミキシングノズル 78 回転継手
81〜83 混合ミスト


【出願人】 【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
【識別番号】591001282
【氏名又は名称】大同メタル工業株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100077997
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 潤二


【公開番号】 特開2008−12619(P2008−12619A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185429(P2006−185429)