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【発明の名称】 ミーリングカッタ用アーバ
【発明者】 【氏名】西尾 周一

【要約】 【課題】クーラントを内部に通して供給する機能を有するミーリングカッタ用アーバにおいて、カッタを取付ける取付ボルトの強度低下とクーラント噴射圧の変動を無くし、同時にアーバの利用範囲も拡大したミーリングカッタ用アーバを提供する。

【構成】ツールシャンク2及びそれと一体に形成されるアーバ本体3の内部に、ツールシャンク2の後端からアーバ本体3の先端近くまで延びるクーラント通路6を設け、さらに、アーバ本体3の先端中心に形成された工具取付軸4に分岐孔9を複数設け、各分岐孔9を、工具取付軸4の中心に設けられるねじ孔8の周囲に配置して連絡通路10を介してクーラント通路6に連通させ、クーラント通路6に導入したクーラントを分岐孔9からカッタに供給するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーバ本体(3)の先端中心に工具取付軸(4)を設け、その工具取付軸(4)をカッタ(20)の中心の取付穴(22)に挿入し、前記工具取付軸(4)の中心のねじ孔(8)に螺合させる取付ボルト(12)でカッタ(20)を締付けてそのカッタ(20)をアーバ本体(3)の先端に固定するミーリングカッタ用アーバにおいて、
ツールシャンク(2)及びそのツールシャンクと一体に形成されるアーバ本体(3)の内部に、ツールシャンク(2)の後部からアーバ本体(3)の先端近くまで延びるクーラント通路(6)を設け、さらに、前記工具取付軸(4)を軸方向に貫通する複数の分岐孔(9)を前記ねじ孔(8)の周囲に設け、出口を工具取付軸(4)の先端に開口させた前記分岐孔(9)の各々をアーバ本体(3)の内部に設けた連絡通路(10)を介して前記クーラント通路(6)に連通させたことを特徴とするミーリングカッタ用アーバ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、クーラントを切削部に供給する機能を有しているミーリングカッタ用アーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ミーリングカッタの刃先の潤滑、冷却、或いは切屑の強制排出などを目的として切削部にクーラントを供給しながら加工を行うことは従来から行われている。
【0003】
そのクーラントを、内部に設けた通路に通して切削部に供給するアーバ及び回転工具が知られている(下記特許文献1参照)。また、クーラント通路をアーバの内部にのみ設け
、そのクーラント通路の噴出口をカッタ径に対応させたアーバ本体の大径先端部のカッタ背面に対向させた端面に設けることでカッタ自体にクーラント通路を設けずに切削部に確実にクーラントを供給可能としたカッタ用アーバが下記特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2004−237401号公報
【特許文献2】特開2004−338000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なアーバは、カッタ中心の取付穴に挿入される工具取付軸(特許文献1は嵌合部と称している)を先端中心に有しており、その工具取付軸の中心に取付ボルト(キャップボルトと称される六角穴付きボルト)を螺合させ、その取付ボルトを締付けてカッタをアーバ本体に固定する。
【0005】
前掲の特許文献1が開示しているアーバと回転工具は、上述した取付ボルトの外周に軸方向に延びる溝を設け、その溝を介してアーバ本体の中心に設けられたクーラント通路をカッタに設けられた噴射口に連通させているが、この構造では、溝の加工によって取付ボルトの強度が低下する。また、カッタの取付ボルトで締付ける部分の厚みが変化すると取付ボルトに設けた前記溝のアーバ先端からの突出量が変動し、溝によって形成される通路の出口サイズが変動してクーラントの噴射圧が安定しない。取付ボルトの外周の溝に代えて取付ボルトの中心に孔をあけ、その孔の出口をボルトの外周に開口させたアーバもあるが、これも同様の問題を有する。
【0006】
さらに、特許文献2が開示しているアーバは、クーラントを工具取付軸よりも後方から外部に噴出させる構造であり、取付ボルトにはクーラント通路が存在しない。従って、上述したボルトの強度低下の問題は起こらないが、噴出口を切刃に対向させる必要があるので取付け可能なカッタの大きさや形状が制限され、利用範囲が狭い。
【0007】
この発明は、クーラントを内部に通して供給する機能を有するミーリングカッタ用アーバにおいて、カッタを取付ける取付ボルトの強度低下とクーラント噴射圧の変動を無くし、同時にアーバの利用範囲も拡大することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明においては、ミーリングカッタ用のアーバの内部でクーラント通路を複数に分岐させ、各分岐孔を工具取付軸の先端に開口させ、アーバ本体の内部に導入されたクーラントを各分岐孔から工具取付軸の前方に噴出させるようにした。
具体的には、ツールシャンク及びそのツールシャンクと一体に形成されるアーバ本体の内部に、ツールシャンクの後端からアーバ本体の先端近くまで延びるクーラント通路を設け、さらに、アーバ本体の先端中心に形成された工具取付軸に、この工具取付軸を軸方向に貫通する分岐孔を複数設け、各分岐孔を、工具取付軸の中心に設けられるねじ孔の周囲に配置してアーバ本体の内部に設ける連絡通路を介して前記クーラント通路に連通させた

【発明の効果】
【0009】
この発明のアーバは、クーラント通路に導入されたクーラントが途中で分岐され、工具取付軸に設けた分岐孔からカッタ中心に設けられる取付穴の奥端面とその取付穴に挿入される工具取付軸との間の空間に吐出される。各分岐孔は、工具取付軸の中心に設けられる取付ボルト螺合用ねじ孔の周囲に配置されており、クーラントを取付ボルトのねじ込み部を通さずにカッタに供給することができる。従って、取付ボルトにクーラント通路となる溝や孔を設ける必要がなく、これによって、取付ボルトの強度低下の問題が解消される。
【0010】
また、クーラントが取付ボルトのねじ込み部を通らずにカッタに供給されるので、カッタの厚み変動によるクーラント通路の出口サイズの変化が起こらず、クーラントの噴射圧も安定する。
【0011】
さらに、クーラントを最後まで内部から供給する構造にしているので、取付け可能なカッタの大きさや形状の規制が緩和されてアーバの利用範囲も拡大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面の図1〜図3に基づいて、この発明のアーバの実施の形態を説明する。例示のミーリングカッタ用アーバ1は、ツールシャンク2の先端にアーバ本体3を一体に設けて構成されている。
【0013】
アーバ本体3は、先端中心に本体と同心の工具取付軸4を有する。また、アーバ本体3の前面から前方に突出させるトルク伝達用のキー5(これはアーバ本体3の前面の溝に埋め込まれている)を工具取付軸4の周囲に複数個(図示のアーバは2個)有している。
【0014】
ツールシャンク2とアーバ本体3の中心には、ツールシャンク2の後部からアーバ本体3の先端近くまで延びるクーラント通路6が設けられている。ツールシャンク2の後部中心にはねじ孔7を設けており、そのねじ孔7にねじ込まれるプルスタッド(図示せず)の中心に貫通孔が設けられ、その貫通孔が入口となってそこからクーラント通路6にクーラントが導入される。
【0015】
工具取付軸4の中心には、取付ボルトをねじ込むためのねじ孔8が工具取付軸4の先端に開口して設けられている。そのねじ孔8の周囲に、工具取付軸4を軸方向に貫通する分岐孔9が周方向に定ピッチで複数個(図のアーバは4個)設けられ、さらに、ねじ孔8の奥端よりも後方においてアーバ本体3の内部に連絡通路10が設けられ、その連絡通路10経由で各分岐孔9がクーラント通路6につながれている。
【0016】
連絡通路10は、アーバ本体3にあけた2つの径方向の孔によって作り出されている。径方向の孔のひとつは中心対称位置の2個の分岐孔9,9の軸心を結ぶ位置に形成され、他の一つは、他の2個の中心対称位置の分岐孔9,9の軸心を結ぶ位置に形成される。その2つの孔がアーバ中心で交差してクーラント通路6につながり、これにより、連絡通路10と各分岐孔9が分岐路として機能し、クーラント通路6に導入されたクーラントが各分岐孔9から工具取付軸4の前方に噴射される。なお、2つの径方向孔の外端はプラグ11によって塞がれる。
【0017】
このように構成したアーバ1は、図3に示すようなカッタ20と組み合わせて使用する
。図3のカッタ20は、前掲の特許文献1が開示しているものと同様のフライスカッタである。このようなカッタ20を工具取付軸4の外周に嵌め、アーバ本体の先端のトルク伝達用のキー5をカッタ本体21の背面に対応して設けたキー溝(図示せず)に係合させ、この状態で取付ボルト12を締付けてアーバ本体3の先端にカッタ20を固定する。
【0018】
そのカッタ20は、カッタ本体21の内部に本体を径方向に貫通する噴射口23を複数個備えている。噴射口23は、入口がカッタ本体21の中心に設けられた取付穴22の奥端面に開口し、また、その出口がカッタ本体の外周に周方向に間隔をあけて設けられた切屑ポケット24に開口している。
【0019】
また、カッタ本体21の外周には切屑ポケット24とペアにしたチップ座25が形成されており、各チップ座にクランプ駒やクランプねじなどの周知のクランプ手段(図示せず)を用いて切れ刃チップ26が装着される。
【0020】
その切れ刃チップ26の刃先に向けてクーラントが噴射される。そのクーラントは、ツールシャンク2の後部から導入され、アーバ本体3の内部で各分岐孔9に流れた後、取付穴22の奥端面と工具取付軸4の先端との間に生じた空間に一旦放出され、その後、噴射口23から刃先に向けて噴射される。
【0021】
このように、クーラントを最後まで内部に通して供給する構造になっているので、アーバ本体3との径差が大きいカッタを装着することもできる。
【0022】
なお、アーバ本体3の長さなどは特に限定されず、分岐孔9の数も例示の4つに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明のアーバの一例を示す部分破断側面図
【図2】図1のアーバのアーバ本体の正面図
【図3】図1のアーバをカッタと組み合わせた状態の断面図
【符号の説明】
【0024】
1 ミーリングカッタ用アーバ
2 ツールシャンク
3 アーバ本体
4 工具取付軸
5 キー
6 クーラント通路
7、8 ねじ孔
9 分岐孔
10 連絡通路
11 プラグ
12 取付ボルト
20 カッタ
21 カッタ本体
22 取付穴
23 噴射口
24 切屑ポケット
25 チップ座
26 切れ刃チップ
【出願人】 【識別番号】593087950
【氏名又は名称】株式会社ビーシーテック
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2008−12599(P2008−12599A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183047(P2006−183047)