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【発明の名称】 ワークステージ装置
【発明者】 【氏名】小林 啓一

【氏名】川越 正文

【要約】 【課題】ワークの位置を高精度で、しかも、容易に設定できるワークステージ装置を提供すること。

【構成】基準ステージ1と、ワーク支持部材2との組み合わせを含む。基準ステージ1は、外周面11が円形状である。ワーク支持部材2は、外周面21が基準ステージ1よりも小径の円形状であって、軸方向の一面側に、中心O2を基準にして設定されたワーク取り付け部22を有する。このワーク支持部材2は、外周面21が基準ステージ1の外周面11に接して、基準ステージ1の外周面11の回りに配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準ステージと、ワーク支持部材との組み合わせを含むワークステージ装置であって、
前記基準ステージは、外周面が円形状であり、
前記ワーク支持部材は、外周面が前記基準ステージよりも小径の円形状であって、軸方向の一面側に、中心を基準にして設定されたワーク取り付け部を有し、前記外周面が前記基準ステージの前記外周面に接して、前記基準ステージの前記外周面の回りに配置される、
ワークステージ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたワークステージ装置であって、前記ワーク支持部材は、複数個であり、外周面が順次に接する関係で配置される、ワークステージ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたワークステージ装置であって、保持部材を備え、前記保持部材は、前記ワーク支持部材を前記基準ステージの外周面上に拘束する、ワークステージ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載されたワークステージ装置であって、前記ワーク取り付け部は凹状である、ワークステージ装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークステージ装置に関する。具体的には、微小電子部品の高精度位置決めに適したワークステージ装置に係る。
【背景技術】
【0002】
例えば、小型のインダクタに用いられるフェライトドラムコアは、断面が円形又は角形の素材に機械加工を施すことによって製造される。最終的に得られるフェライトドラムコアが大きければ、素材の段階でも形状の大きなものを用いることができるが、近年は、電子部品の小型化、薄型化が急速に進展しており、フェライトドラムコアとなるべき素材の大きさも著しく小径化、小型化されており、従来の固定手段とは異なる発想で、支持し、加工する技術が必要になっている。また、電子部品を製造するために供される装置は、電子部品が多量消費部品であることと、個々の値段が安価であることから、一般に、量産性に優れたものでなければ、工業的利用価値はない。
【0003】
そのような要求に応えるための手段の一つとして、特許文献1は、円板状のチャックホイールの面内に、その中心を基準にして、同一の半径位置に複数のチャックを等間隔で配置し、このチャックによってワーク(被加工物)を保持する装置を開示している。
【0004】
ところが、チャックを設けるに当たり、まず、チャックホイールの中心位置を割り出し、その中心位置を基準として、チャックの位置となる同一半径位置を割り出し、その後、チャックを取り付けるための穴加工などを実行し、更に、チャックを装着するという工程が必要になる。この加工工程に含まる工程のいずれにおいても、その性質上、誤差を生じるのを回避することができない。このため、各工程における誤差が集積され、最終的なワーク取り付け位置に誤差が発生してしまう。
【特許文献1】特開平10−335123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ワークの位置を高精度で、しかも、容易に設定できるワークステージ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係るワークステージ装置は、基準ステージと、ワーク支持部材との組み合わせを含む。前記基準ステージは、外周面が円形状の円板状部材である。前記ワーク支持部材は、外周面が前記基準ステージよりも小径の円形状であって、軸方向の一面側に、中心を基準にして設定されたワーク取り付け部を有している。前記ワーク支持部材は、外周面が前記基準ステージの前記外周面に接して、前記基準ステージの前記外周面の回りに配置される。
【0007】
本発明に係るワークステージ装置では、基準ステージは、外周面が円形状であるから、例えば、旋盤加工などによって、中心に対する寸法精度の非常に高い外周面を有する基準ステージを得ることができる。基準ステージに孔をあける従来技術と異なって、中心位置の割り出しなどは不要である。
【0008】
基準ステージと組み合わされるワーク支持部材も、外周面が円形状であるから、中心に対する寸法精度の非常に高い外周面を有するワーク支持部材を得ることができる。この場合も、中心位置の割り出しなどは不要である。
【0009】
ワーク支持部材は、基準ステージよりも小径であり、外周面が基準ステージの外周面に接する関係で、基準ステージの外周面の回りに配置される。ここで、基準ステージは、中心に対する寸法精度の非常に高い外周面を有しており、ワーク支持部材も、中心に対する寸法精度の非常に高い外周面を有するから、ワーク支持部材を、その外周面が、基準ステージの外周面に接するようにして、基準ステージの外周面の回りに配置した場合、基準ステージの中心に対するワーク支持部材の中心位置の寸法精度が、極めて高くなる。
【0010】
ワーク支持部材は、中心を基準にして設定されたワーク取り付け部を有しているから、ワークは、ワーク支持部材の中心を基準にして、ワーク支持部材上に取り付けられることになる。上述したように、基準ステージの中心に対するワーク支持部材の中心位置の寸法精度は、極めて高くなっているから、基準ステージの中心に対するワークの取り付け位置の寸法精度も、極めて高くなる。
【0011】
前記ワーク支持部材は、好ましくは、複数個であり、外周面が順次に接する関係で配置される。この配置によれば、ワーク支持部材の位置が、基準ステージの外周面の長さと、ワーク支持部材の半径との関係によって決定される。ワーク支持部材の位置は、基準ステージの中心を通る基準線を想定したとき、その基準線からの中心角度として、表現される。
【0012】
実際的な配置では、前記ワーク支持部材を前記基準ステージの外周面上に拘束する保持部材を備えることが好ましい。これにより、ワーク支持部材を基準ステージの外周面に拘束したままで、必要な加工を実行することができる。
【0013】
前記ワーク取り付け部の好ましい1つの形態は、凹状である。凹状であると、ワークを、ワーク取り付け部内にはめ込み、例えば真空吸着、磁気的吸着又は機械的結合手段などによって、ワーク支持部材に簡単かつ確実に固定することができる。凹部は、外周面が円形状であるワーク支持部材と、中心を共有する円孔として形成できる。この構成によれば、ワークの取り付け位置を、基準ステージの中心位置に対して、正確に位置合わせすることができる。
【0014】
本発明の他の特徴及びそれによる作用効果は、添付図面を参照し、実施例によって更に詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明に係るワークステージ装置の構成を示す平面図、図2は、図1の2−2線断面図である。図示のワークステージ装置は、基準ステージ1と、ワーク支持部材2との組み合わせを含む。基準ステージ1は、外周面11が、中心O1に対して、半径R1を有する円形状である。この基準ステージ1は、金属材料によって構成され、好ましくは、下面側に回転軸12を有する。
【0016】
ワーク支持部材2は、外周面21が半径R3を有する円形状である。半径R3は、基準ステージ1の半径R1よりも小径である。また、軸方向の一面側に、中心O2を基準にして設定されたワーク取り付け部22を有している。ワーク支持部材2は、外周面21が基準ステージ1の外周面11に接して、基準ステージ1の外周面11の回りに配置される。ワーク支持部材2は、好ましくは、同一の構成を有する複数個nであり、それぞれの外周面21が順次に接する関係で、基準ステージ1の外周面11の回りに配置される。この配置によれば、ワーク支持部材2の位置が、基準ステージ1の外周面11の長さと、ワーク支持部材2の半径R3との関係によって定まる。具体的には、ワーク支持部材2は、その中心O2の位置が、基準ステージ1の中心O1を基準として、基準ステージ1の半径R1と、ワーク支持部材2の半径R3との和で与えられる半径R2の円周上に乗ることになる。また、ワーク支持部材2の位置は、基準ステージ1の中心O1を通る基準線を想定したとき、その基準線からの中心角度として、表現される。
【0017】
もっとも、ワーク支持部材2は、基準ステージ1の外周面11の全周を覆うように、連続して配置されていることは、必ずしも必須ではない。複数備えられるワーク支持部材2のうちの少なくとも一つを基準とし、このワーク支持部材2を基準として他のワーク支持部材2の中心角度位置を算定してもよい。
【0018】
ワーク取り付け部22は、その内部にワーク(被加工物)を挿入し、かつ、固定できる構造を有する。ワークの固定に当たっては、ワークの有する物理的性質にもよるが、機械的固定手段、真空吸着手段又は磁気的吸着手段などを採用することができる。ワーク取り付け部22の形状は、ワークの有する外形に応じて変化させる。図示では、円形状の外周を持つワークを想定し、円形状の凹部となっている。ワークの形状によっては、凸状であってもよいし、円形状ではなく、角形状であってもよい。また、図示はされていないが、ワーク取り付け部22を自転させるような回転駆動機構を付加してもよい。
【0019】
図示のワークステージ装置は、更に、ワーク支持部材2を基準ステージ1の外周面上に拘束する保持部材3を備える。これにより、ワーク支持部材2の外周面21を基準ステージ1の外周面11に拘束したままで、ワークに対して必要な加工を実行することができる。保持部材3は、例えば、締め付けバンド構造として実現することができる。保持部材3には、底板31が備えられており、ワーク支持部材3は、この底板31の上に配置されている。
【0020】
実際的なワークステージ装置としては、図示はされていないが、従来一般の構成に従って、ワーク検査、組立位置決め装置等を備えることができる。
【0021】
上述したように、本発明に係るワークステージ装置では、基準ステージ1は、外周面11が円形状の円板状部材であるから、例えば、旋盤加工などによって、中心O1に対する寸法精度の非常に高い外周面11を有する基準ステージ1を得ることができる。中心O1の位置の割り出しなどは不要である。
【0022】
基準ステージ1と組み合わされるワーク支持部材2も、外周面21が円形状であるから、中心O2に対する寸法精度の非常に高い外周面21を有するワーク支持部材2を得ることができる。この場合も、中心O2の位置の割り出しなどは不要である。
【0023】
ワーク支持部材2は、基準ステージ1よりも小径(R3<R1)で、外周面21が基準ステージ1の外周面11に接する関係で、基準ステージ1の外周面11の回りに配置される。ここで、基準ステージ1は、中心O1に対する寸法精度の非常に高い外周面11を有しており、ワーク支持部材2も、中心O2に対する寸法精度の非常に高い外周面21を有するから、ワーク支持部材2を、その外周面21が、基準ステージ1の外周面11に接するようにして、基準ステージ1の外周面11の回りに配置した場合、基準ステージ1の中心O1に対するワーク支持部材2の中心O2の位置精度が極めて高くなる。
【0024】
ワーク支持部材2は、中心O2を基準にして設定されたワーク取り付け部22を有しているから、ワークは、ワーク支持部材2の中心O2を基準にして、ワーク支持部材2上に取り付けられることになる。上述したように、基準ステージ1の中心O1に対するワーク支持部材2の中心O2の位置寸法精度が、極めて高くなっているから、基準ステージ1の中心O1に対するワークの取り付け位置の寸法精度も、極めて高くなる。
【0025】
実施例では、ワーク支持部材2を基準ステージ1の外周面上に拘束する保持部材3を備えるから、ワーク支持部材2を基準ステージ1の外周面11に拘束したままで、必要な加工を実行することができる。
【0026】
ワーク取り付け部22の好ましい1つの形態は、凹状である。凹状であると、ワークを、ワーク取り付け部22の内部にはめ込み、例えば真空吸着などによって、ワーク支持部材2に簡単かつ確実に固定することができる。凹部は、外周面が円形状であるワーク支持部材2と、中心O2を共有する円孔として形成できる。この構成によれば、ワークの取り付け位置を、基準ステージ1の中心O1の位置に対して、正確に位置合わせすることができる。また、凹部は、内壁面が垂直な単純な筒状のほか、内壁面が傾斜面となっているような形状であってもよい。
【0027】
上述したワークステージ装置は、ワーク支持部材2におけるワーク取り付け部22の形状変更等、若干の変更を加えるだけで、種々の電子部品の加工に供することができる。そのうちの一例として、以下にフェライトドラムコアの加工に適用した例を説明する。フェライトドラムコアは、インダクタの主要部品として用いられる。
【0028】
図3は、本発明に係るワークステージ装置を用いたドラムコア等の加工装置の平面図、図4は図3の4−4線断面図である。図において、図1及び図2に現れた構成部分に相当する部分については、同一の参照符号を付してある。
【0029】
図3及び図4を参照するに、基準ステージ1の円形状の外周面11に沿って、半径R3を持つ複数個nのワーク支持部材2を、互いに接するようにして、順次に並べ、連続する環状配置を構成してある。連続する環状配置に必要なワーク支持部材2の個数nと、ワーク支持部材2の半径R3及び基準ステージ1の半径R1との関係は、簡単な数学的計算によって算出できる。もっとも、連続環状配置は必須ではない。
【0030】
基準ステージ1は、モータなどの駆動源6により、中心O1を回転軸にして、矢印C1の方向に回転駆動(公転)される。ワーク支持部材2のそれぞれも、モータなどの駆動源7により、矢印C2の方向に回転駆動(自転)される。図示では、矢印C2で示すワーク支持部材の自転方向は、矢印C1で示す基準ステージ1の公転方向と同一の方向に設定されている。
【0031】
更に、基準ステージ1、ワーク支持部材2及び保持部材3で構成されるワークステージ装置に隣接して、研削装置5が配置されている。研削装置5は、例えば、砥石などでなる薄円盤状の研削刃51を備え、矢印C3の方向に高速回転される。また、研削装置5には、図示しない送り装置により、矢印C4、C5で示す方向に直線送りが掛けられる。研削装置5の研削刃51は、その外周縁が、ワーク支持部材2の上面よりも少し上方の位置で回転する。
【0032】
上述した加工装置において、基準ステージ1の公転方向C1に関して、研削装置5よりも前の予め定められた位置で、複数個nのワーク支持部材2の一つであるワーク支持部材2Aに、フェライトドラムコアの素材であるワーク4が供給される。また、研削装置5よりも後の予め定められた位置にあるワーク支持部材2Bから、加工済のワーク(フェライトドラムコア)4が取り出される。
【0033】
研削装置5よりも前の予め定められた位置で、ワーク支持部材2Aに供給されたワーク4は、真空吸着、磁気的吸着又は機械的結合手段により、ワーク取り付け部22の内部に固定される。そして、基準ステージ1の矢印C1への公転により、研削装置5のある位置に送られ、研削装置5の研削刃51による研削を受ける。実施例では、ワーク4は円柱状のフェライトである。円柱状のフェライトでなるワーク4は、研削装置5のある位置で、ワーク支持部材2の矢印C2の方向への自転、及び、研削刃51の矢印C3で示す方向への回転により、その中間部が研削され、中間部に研削による巻線部を有するフェライトドラムコアが得られる。こうして得られたフェライトドラムコアは、基準ステージ1の矢印C1で示す方向への回転により、取り出し位置に導かれ、取り出し位置にあるワーク支持部材2Bから取り出される。上述した工程の繰り返しにより、フェライトドラムコアが量産性よく製造されることになる。基準ステージ1の公転による送り工程と、ワーク支持部材2の自転及び研削装置5の回転研削の工程とは、互いに干渉しあわないように、間欠的に実行される。
【0034】
上述した加工工程において用いられる基準ステージ1は、その中心O1に対する寸法精度の非常に高い外周面11を有しており、ワーク支持部材2も、中心O2に対する寸法精度の非常に高い外周面21を有するから、ワーク支持部材2を、その外周面21が、基準ステージ1の外周面11に接するようにして、基準ステージ1の外周面11の回りに配置した場合、基準ステージ1の中心O1に対するワーク支持部材2の中心O2の位置寸法精度が極めて高くなる。
【0035】
ワーク支持部材2は、その中心O2を基準にして設定されたワーク取り付け部22を有しているから、ワーク4は、ワーク支持部材2の中心O2を基準にして、ワーク支持部材2上に取り付けられることになる。基準ステージ1の中心O1に対するワーク支持部材2の中心O2の位置寸法精度が、極めて高くなっているから、基準ステージ1の中心O1に対するワーク4の取り付け位置の寸法精度も、極めて高くなる。
【0036】
実施例のワーク取り付け部22は、凹状であるから、ワーク4を、ワーク取り付け部22の内部にはめ込み、例えば真空吸着などによって、ワーク支持部材2に簡単かつ確実に固定することができる。凹部22は、外周面21が円形状であるワーク支持部材2と、中心O2を共有する円孔として形成できる。この構成によれば、ワーク4の取り付け位置を、基準ステージ1の中心O1に対して、正確に位置合わせすることができる。また、ワーク4を、ワーク支持部材2のワーク取り付け部22の内部に挿入するという簡単な操作で、ワーク4を研削加工に供することができる。
【0037】
このため、軸ぶれがなく、しかも、断面がほぼ真円の巻線部を有するフェライトドラムコアを、量産性よく製造することができる。
【0038】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るワークステージ装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】本発明に係るワークステージ装置を用いたドラムコア等の加工装置の平面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 基準ステージ
11 外周面
2 ワーク支持部材
21 外周面
22 ワーク取り付け部
3 保持部材
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100081606
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 美次郎

【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一


【公開番号】 特開2008−6571(P2008−6571A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182500(P2006−182500)