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【発明の名称】 ワーク加工機
【発明者】 【氏名】朝見 政信

【要約】 【課題】例えば長尺ワークの対向の加工を行う場合であっても、加工寸法精度の保持を可能としたワーク加工機を提供する。

【構成】テーブル上にワーク1を上方からクランプし、クランプしたワークの側面部を加工するワーク加工機において、テーブル上を移動自在な可動部11を設け、この可動部11にクランプ用の機構部を設け、当該クランプを解除して可動部を移動する際に、ワーク1を保持する補助クランプ部50を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル上にワークを上方からクランプし、クランプしたワークの側面部を加工するワーク加工機において、
前記テーブル上を移動自在な可動部を設け、
この可動部に前記クランプ用の機構部を設け、
当該クランプを解除して可動部を移動する際に、ワークを保持する補助クランプ部を設けたことを特徴とするワーク加工機。
【請求項2】
前記補助クランプ部が、加工領域を避けた側面部の下部をクランプすることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工機。
【請求項3】
前記テーブルに、上昇してワークを所定位置に案内すると共に、下降してワークをワーク載置面に載置する複数の搬送ローラを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のワーク加工機。
【請求項4】
前記可動部が、前記テーブルあるいはワークに、油を噴射するシャワーノズルを備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワーク加工機。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル上にワークを上方からクランプし、クランプしたワークの側面部を加工するワーク加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワーク加工機には、横型マシンや立型マシンが知られている(例えば、特許文献1)。立型マシンは、テーブル上に載置したワーク(加工物)を横方向からクランプし、上方から加工するマシンであり、横型マシンは、テーブル上に載置したワークを上方よりクランプし、横方向から加工するマシンである。立型マシンは上方からの加工となるため、テーブルが邪魔になって、上下方向からの加工(いわゆる対向の加工)が困難になる。これに対し、横型マシンは横方向からの加工であり、一対の側面部からの加工が容易になって、いわゆる対向の加工に適する。
【0003】
従来の横型マシンでは、クランプ機構が固定であり、例えば、長さが数m〜数十mにも及ぶ長尺なワークを加工する場合には、ワークを一部加工した後に、クランプ機構を一時的に解除して当該ワークを長手方向に移動し、クランプし、側面部に加工し、この加工が完了したら、再び、クランプ機構を解除して当該ワークを移動し、クランプし、加工し、の手順を繰り返して行う構成であった。
【特許文献1】特開2005−262375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成では、ワークを長手方向に移動する段階で、切粉がワークとテーブルとの間、またはワークとクランプ治具との間に挟まって、ワークの搬送ミスを生じる等の問題があった。また、ワーク移動毎に、クランプ・アンクランプを繰り返すため、加工寸法の精度保持が困難であった。これを解消するため、クランプ機構フレームを横型マシンの長手方向に延長し、長尺ワークを移動させずに、常時クランプの状態で横方向から加工する方式が提案されるが、この方式では機構フレームが強度的に耐えられず、加工寸法精度の保持が困難となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、例えば長尺ワークの対向の加工を行う場合であっても、加工寸法精度の保持を可能としたワーク加工機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、テーブル上にワークを上方からクランプし、クランプしたワークの側面部を加工するワーク加工機において、前記テーブル上を移動自在な可動部を設け、この可動部に前記クランプ用の機構部を設け、当該クランプを解除して可動部を移動する際に、ワークを保持する補助クランプ部を設けたことを特徴とする。
【0007】
本構成では、加工時にワークが移動せずに、クランプ機構を搭載した可動部が移動する構成のため、従来のワークの移動時、またはクランプ・アンクランプの繰り返し時に生じるトラブルが解消し、加工寸法精度の保持が可能となる。また、可動部の移動時には、補助クランプ部によりワークを保持するため、ワークに位置ずれが生じることがなく、これによっても加工寸法精度の保持が可能となる。
【0008】
この場合において、補助クランプ部が、加工領域を避けた側面部の下部をクランプしてもよい。この補助クランプ部は、加工領域を避けた側面部の下部をクランプするだけで補助クランプ機能が保たれるため、加工ユニットによる加工動作の阻害となることを防止することができる。なお、補助クランプ部が、ワークの側面に対して、斜め方向にワークをクランプする構成とすれば、補助クランプ部の推力が横方向と縦方向との分力としてワークに作用するので、より確実にワークを支持できるという効果が得られる。
【0009】
テーブルに、上昇してワークを所定位置に案内すると共に、下降してワークをワーク載置面に載置する複数の搬送ローラを設けてもよい。この搬送ローラによりワークのテーブル上への搬入が容易になる。
【0010】
可動部は、テーブルあるいはワークに、油を噴射するシャワーノズルを備えてもよい。すべての加工が完了したワークは、テーブル外に搬出されるとともに、つぎに加工するワークがテーブル上に搬入される。シャワーノズルからの油は、加工時には切削油として機能するとともに、加工完了後のワークのテーブル外への搬出に先立って、シャワーノズルから油を例えばワーク上に噴射すれば、ワーク上面に残存した切粉等を洗い流し、当該ワークを清掃し、あるいは、つぎのワークの搬入に先立って、シャワーノズルから油を例えばテーブル上に噴射すれば、テーブル上面に残存した切粉を洗い流し、当該テーブル上面を清掃することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、加工時にワークが移動せず、クランプ機構を搭載した可動部が移動する構成のため、従来のワークの移動時、またはクランプ・アンクランプの繰り返し時に生じるトラブルが解消され、従って、加工寸法精度の保持が可能となる。また、可動部の移動時には、補助クランプ部でワークを保持するため、ワークに位置ずれが発生せず、加工寸法精度の保持が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る横型のワーク加工機100の正面図、図2は、図1の平面図、図3は、図1及び図2の側面図である。なお、本実施の形態の説明では、図1における紙面垂直方向を横方向、紙面上下方向を上下方向とする。
ワーク加工機100は、図1に示すように、主に長さが数m〜数十mにも及ぶ長尺なワーク1の側面部1A及び反対側の側面部1B(図4参照)をそれぞれ切削加工(対向の加工)するための工作機械であり、この長尺なワーク1の長手方向が水平方向(図1及び図2の紙面左右方向)に向けて取り付けられるようになっている。このワーク加工機100は、ワーク1を長手方向に沿って固定するための治具ユニット10と、この治具ユニット10を挟んで反対側にそれぞれ配置された二つの加工ユニット20A,20B(図2参照)と、これらの治具ユニット10及び加工ユニット20A,20Bの下側に位置するベッド30とを備えている。
ベッド30は、高さ調節が可能な複数の脚部31を備えており、ベッド30の上面が略水平となるように、床面40の上に配置されている。このベッド30は、図2に示すように、平面視において矩形に形成されている。
【0013】
加工ユニット20Aは、図1に示すように、加工ユニット本体21と、この加工ユニット本体21を載せるスライドテーブル29と、図2に示すように、このスライドテーブル29が水平方向(図1及び図2の紙面左右方向)に移動自在にベッド30上に配置される一対の略平行なレール22と、一対のレール22の間に、加工ユニット本体21及びスライドテーブル29の移動方向に延びるボールねじ24と、このボールねじ24の端部に設けられた加工ユニット駆動装置23とを備えている。
【0014】
スライドテーブル29の上面には、図2及び図3に示すように、治具ユニット10に向かって延びる一対の本体レール32が設けられている。加工ユニット本体21は、この本体レール32上に配置され、治具ユニット10に向かって移動自在(矢印D方向)に取り付けられている。
加工ユニット駆動装置23は、加工ユニット本体21が移動するときの駆動力を発生させるための駆動装置である。この加工ユニット駆動装置23は、サーボモータを駆動することにより、ボールねじ24を回転させる。これにより、加工ユニット駆動装置23がボールねじ24に取り付けられたスライドテーブル29を移動させ(矢印B方向)、加工ユニット本体21がレール22に沿って移動することになる。
【0015】
加工ユニット本体21は、図3に示すように、治具ユニット10側の側部に、治具ユニット10に向かって突出する主軸25と、この主軸25の先端部に取り付けられた切削工具26と、加工ユニット本体21の上部に突出して設けられた昇降モータ27と、加工ユニット本体21の下部に設けられた送りモータ28とを備えている。
切削工具26は、主軸25の先端部に取り外し自在に取り付けられており、図示せぬ主軸モータが回転することによって、主軸25と共に回転するようになっている。
【0016】
昇降モータ27は、サーボモータであり、図示せぬボールねじを回転させることにより、このボールねじに取り付けられた主軸25を上下方向に昇降(図3における矢印C方向)させる。
送りモータ28は、サーボモータであり、図示せぬボールねじの端部に取り付けられている。このボールねじは、一対の本体レール32の間に、回転自在に設けられている。送りモータ28は、ボールねじを回転させることにより、加工ユニット本体21を、本体レール32の延在する方向に沿って移動(図3における矢印D方向)させる。これにより、送りモータ28は、治具ユニット10に保持されたワーク1に対して、主軸25を送る、あるいは、主軸25を戻すといった動作を行うようになっている。
本実施形態における加工ユニット20Bは、加工ユニット20Aと同一の構成であり、治具ユニット10を挟んで加工ユニット20Aと対象に設けられている。なお、同一の部分には同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。
【0017】
治具ユニット10は、図2に示すように、ベッド30の中央に配置された加工テーブル(テーブル)12と、図1に示すように、この加工テーブル12上にワーク1の長手方向に移動自在に配置された移動式治具(可動部)11と、この移動式治具11の移動方向に沿って延びるボールねじ14と、このボールねじ14の端部に設けられた治具駆動装置13とを備えている。
【0018】
加工テーブル12は、水平方向(図1及び図2の紙面左右方向)に延びており、その断面は、図3に示すように、略矩形に形成されている。加工テーブル12の中央には、上方に突出し、水平方向に延びる凸部12Aが形成されている。加工テーブル12は、凸部12Aの上面に形成されたワーク載置面16と、両側面にそれぞれ設けられたレール15と、図1に示すように、このワーク載置面16に略等間隔に配列された搬送ローラ18及び補助クランプ部50とを備えている。
ワーク載置面16は、加工テーブル12の長手方向の略全域にわたって略水平に形成されている。
【0019】
搬送ローラ18は、ワーク載置面16に略等間隔に形成された複数の凹部17の中に、それぞれ設けられており、加工テーブル12の上に載置されたワーク1を当該ワーク1の長手方向へ搬送するようになっている。ここで、本実施形態では、治具駆動装置13から最も遠い位置にある搬送ローラ18(図6参照)は、凹部17に設けられておらず、加工テーブル12の端部に設けられている。搬送ローラ18の幅は、図2に示すように、ワーク載置面16の幅と略同寸法に形成されており、加工テーブル12の長手方向と略垂直であって、水平方向に延びる図示せぬ軸を中心に回転する。すなわち、搬送ローラ18は、搬送ローラ18の上に載置されたワーク1を、加工テーブル12の長手方向に沿って搬送可能な向きに回転自在に設けられている。
また、搬送ローラ18は、昇降構造を備えており、ワーク1をワーク載置面16に載置したときに、搬送ローラ18がワーク載置面16から上方に向かって突出しない位置まで下降して退避する。また、ワーク1を搬送するときには、ワーク載置面16から上方に向かって突出しない位置に上昇する。これにより、搬送ローラ18が下降したときには、ワーク1はワーク載置面16によって下方から支持され、搬送ローラ18が上昇したときには、ワーク1は搬送ローラ18によって下方から支持される。
【0020】
図4は、治具ユニット10の側面を示す拡大図である。
補助クランプ部50は、図4に示すように、ワーク載置面16の幅方向における一方の端部に設けられた突起部19と、突起部19が設けられていない側に略等間隔に配設された複数の爪部51とを備えている。なお、本実施形態では、爪部51は、搬送ローラ18に隣り合って設けられている。
爪部51は、加工テーブル12の凸部12Aに設けられた補助クランプ部油圧シリンダ53によって動作する。この補助クランプ部油圧シリンダ53は、シャフト53Aが水平から右下がりに角度θだけ傾いた方向に伸縮自在に取り付けられている。これにより、爪部51は、突起部19から離れるにつれて斜め上方に移動し、突起部19に近づくにつれて斜め下方に移動する。また、爪部51の先端部であり、ワーク1に接触する爪先端部51Aは、補助クランプ部油圧シリンダ53の伸縮する方向と略平行に、ワーク載置面16から角度θだけ傾いた向きに移動する。
このため、爪先端部51Aがワーク1に接触するワーク載置面16からの位置は、ワーク1の幅が大きい場合には高い位置で接触し、例えば、幅が小さいワーク1Sが載置されている場合には、幅が大きいワーク1が載置されている場合よりも低い位置で接触するため、ワーク1の大きさに応じて、爪先端部51Aがワーク1に接触する位置を調節することができる。
【0021】
突起部19は、図4に示すように、略矩形断面を有しており、ワーク載置面16の長手方向に沿って延在している。ワーク1の側面部1Bと接する側面には、ワーク1の座標位置の基準となる基準面19Aが形成されている。
基準面19Aは、ワーク載置面16と略垂直に形成されており、爪先端部51Aが突起部19に向かって斜め下方に移動したときに、ワーク1の側面部1A,1Bの下部を挟み込む。このとき、爪先端部51Aが突起部19に向かって斜め下方に移動することにより、爪先端部51Aは、ワーク1を基準面19Aに向かって側方に押し付けるとともに、ワーク1を載置面16に向かって下方に押し付けるようになっている。すなわち、補助クランプ部油圧シリンダ53の推力をFとすると、分力により、爪先端部51Aからワーク1に対して、横方向すなわち基準面19Aに向かう方向にFCos(コサイン)θ、縦方向すなわち載置面16に向かう方向にFSin(サイン)θの力が加わる。
【0022】
レール15は、略矩形断面を有し、ワーク載置面16の長手方向に沿って延在している。このレール15には、ワーク1の側方及び上方を覆う態様で、移動式治具11が取り付けられている。
治具駆動装置13(図2参照)は、移動式治具11が移動するときの駆動力を発生させるための駆動装置である。この治具駆動装置13は、サーボモータを駆動することにより、ボールねじ14を回転させる。これにより、治具駆動装置13が移動式治具11をワーク載置面16の長手方向(図2における矢印A方向)に移動するようになっている。
【0023】
移動式治具11は、加工テーブル12の長手方向における長さよりも短く形成され、図4に示すように、加工テーブル12を上方から跨ぐようにレール15に取り付けられるメインフレーム9と、このメインフレーム9の側部9Aとレール15との間に介在する4つの直動ベアリング60と、図5に示すように、メインフレーム9の長手方向の端部に設けられた搬送用ハンド52と、ワーク載置面16の長手方向に沿ってメインフレーム9の上部9Bの中央に配列して設けられた三本の本クランプ部油圧シリンダ(機構部)61と、これら三本の本クランプ部油圧シリンダ61の下端にワーク載置面16の長手方向に沿って設けられた当接部62と、この当接部62の周りに設けられた複数のシャワーノズル64とを備えている。
また、移動式治具11は、ワーク1の大きさ等を判別する判別センサと、多数の資材が置かれたストックヤードからワーク1が搬入された時にワーク1の到着を検知する到着検知センサと、ワーク1の座標位置を検知する位置検知センサとを備えている。これにより、図示せぬ制御部が各センサで検知した情報を取得し、この情報に基づいてワーク加工機100全体の各モータや各油圧シリンダ等を制御することにより、ワーク加工機100は自動で動作するようになっている。
【0024】
搬送用ハンド52は、油圧シリンダが動作することにより、ワーク載置面16の幅方向に両側から挟み込んでワーク1を掴むようになっている。これにより、移動式治具11は、ワーク1を掴んで加工テーブル12の長手方向(矢印A方向)に沿って搬送する。ここで、搬送用ハンド52は、ワーク1を掴んでいない状態、すなわち、挟持力を開放した状態にあるときには、ワーク載置面16の幅方向に広がった状態となってワーク1から退避するようになっている。これにより、ワーク1が搬送用ハンド52を自由に貫通するため、移動式治具11は、加工テーブル12の長手方向(矢印A方向)に自由に移動する。
【0025】
メインフレーム9は、図4に示すように、一対のメインフレーム9の側部9A,9Aとメインフレーム9の上部9Bとで門形状に形成されており、加工テーブル12を跨ぐように、メインフレーム9の側部9A,9Aにそれぞれ二つずつ設けられた直動ベアリング60を介して、レール15に取り付けられている。
ボールねじ14側のメインフレーム9の側部9Aには、下端の中央に、ボールねじ14と嵌め合わされて、移動式治具11を加工テーブル12の長手方向(矢印A方向)に移動させるナット部8が設けられている。
メインフレーム9の側部9A,9Aには、図5に示すように、開口65がそれぞれ形成されている。この開口65は、図4に示すように、加工ユニット20A,20Bの切削工具26のみならず、主軸25も通り抜け可能な大きさであり、切削工具26がワーク1に到達可能に形成されている。また、開口65は、加工テーブル12の長手方向に幅広に形成されているため、移動式治具11がワーク1を一度保持しただけで、加工ユニット20A,20Bは開口65内の複数の位置を加工することができる。
【0026】
直動ベアリング60は、レール15側が開放されたコ字状断面構造を有し、レール15を上下方向から挟み込むようにレール15に嵌め合わされている。このため、加工テーブル12に取り付けられた移動式治具11は、加工テーブル12の長手方向に移動自在であるが、加工テーブル12の上下方向への移動が規制されるようになっている。
【0027】
本クランプ部油圧シリンダ61は、下端が上下に伸縮自在にメインフレーム9の上部9Bに取り付けられている。
当接部62は、略矩形断面を有し、メインフレーム9の側部9A及び上部9Bと略同寸法の長さでワーク載置面16の長手方向に延在しており、下面が略平面状に形成されている。この当接部62は、本クランプ部油圧シリンダ61が上下方向に伸縮することにより、ワーク1に接触し、ワーク1を下方に向かってワーク載置面16に押し付ける。ここで、移動式治具11は、直動ベアリング60が上下方向への移動が規制されてレール15に取り付けているため、移動式治具11は、当接部62がワーク1に当たっても上方に移動してしまうことがない。
シャワーノズル64は、当接部62の周りに設けられた支持フレーム63に、当接部62の長手方向に沿って間隔を空けて取り付けられている。このシャワーノズル64は、ワーク1を加工する際にワーク1及び切削工具26に切削油を噴射したり、ワーク1及び加工テーブル12に油を噴射して洗浄したりするようになっている。
【0028】
図6は、移動式治具11が移動して、加工テーブル12の中央に位置している状態の正面図、図7は、図6の平面図である。
以下、ワーク加工機100の動作について説明する。
ワーク加工機100がワーク1を加工するときには、先ず、図7に示すように、補助クランプ部50が開いた状態になるとともに、図6に示すように、搬送ローラ18がワーク載置面16から上方に突出する位置に上昇する。
【0029】
次に、ストックヤードからワーク1が搬入され、移動式治具11の到着検知センサがワーク1の到着を検知し、到着したワーク1を判別センサが判別する。
ワーク1を判別すると、搬送用ハンド52がワーク1を掴み、図1に示すように、加工テーブル12の端まで搬送する。ワーク1が加工テーブル12の端まで搬送されると、搬送ローラ18がワーク載置面16から上方に突出しない位置に下降し、ワーク1がワーク載置面16に載置される。
搬送ローラ18が下降すると、移動式治具11は、位置検出センサでワーク1の座標位置を検出する。搬送用ハンド52は、挟持力を開放して、ワーク1をワーク載置面16に設置すると、ワーク1から退避し、ワーク1が搬送用ハンド52を自由に貫通できる状態となる。
【0030】
ワーク1がワーク載置面16に設置されると、補助クランプ部50の爪部51が突起部19に向かって移動し、爪先端部51A(図4参照)と基準面19A(図4参照)との間にワーク1を挟み込んで保持する。
補助クランプ部50がワーク1の左右方向を保持すると、移動式治具11がレール15に沿ってワーク1の加工位置に移動する。
移動式治具11が加工位置に到達すると、当接部62が下方に移動し、ワーク1をワーク載置面16に向かって上方から押し付けてワーク1の上下方向を保持する。
【0031】
移動式治具11がワーク1を保持すると、加工ユニット20A,20Bがそれぞれの加工位置に移動する。
加工ユニット20A,20Bは、それぞれの加工位置に移動すると、ワーク1の加工を開始する。このとき、移動式治具11のシャワーノズル64からワーク1の加工位置に向けて切削油が噴射され、切削工具26及び加工部位が潤滑されるとともに、付着した切粉が洗浄される。
ここで、加工ユニット20Aの加工位置と、加工ユニット20Bの加工位置とは、移動式治具11の開口65の内側であれば同じ位置である必要はなく、例えば、ワーク1に複数の孔を配列させて形成するときには、加工ユニット20Aと加工ユニット20Bとが隣り合う孔を両側から同時に加工することにより、短時間で加工することができる。
【0032】
最初の加工位置における加工が終了し、加工位置を変更するときには、先ず、移動式治具11は、当接部62を上昇させてワーク1の保持を終了し、シャワーノズル64から油を噴射してワーク1上の切粉を洗浄している状態で、図6に示すように、次の加工位置に向かって移動する。このとき、ワーク1は補助クランプ部50によって、ワーク載置面16及び基準面19Aに押し付けられた状態で保持されている。
移動式治具11は、次の加工位置に移動すると、当接部62を下方に移動させてワーク1をワーク載置面16に向かって押し付け、加工ユニット20A,20Bがワーク1の加工を開始する。
【0033】
一連の加工が終了すると、移動式治具11は、当接部62を上昇させてワーク1の上下方向の保持を解除する。
当接部62による保持が解除されると、移動式治具11は、シャワーノズル64から油を噴射しながら加工テーブル12の長手方向(矢印A方向)に往復移動を行い、ワーク1及び加工テーブル12上に蓄積された切粉を洗浄する。
次に、図7に示すように、補助クランプ部50の爪部51が開き、ワーク1の左右方向の保持を解除する。
ワーク1の保持が解除されると、搬送ローラ18がワーク載置面16から上方にはみ出る位置に上昇し、搬送用ハンド52がワーク1を掴んでストックヤードに搬出する。
移動式治具11は、ワーク1を搬出すると、シャワーノズル64から油を噴射してワーク載置面16を洗浄し、次のワーク1の搬入に備える。
【0034】
本実施形態では、ワーク1を上方から押さえて保持する移動式治具11を、加工テーブル12の長手方向に沿って移動自在に備えるとともに、移動式治具11の移動時等にワーク1を保持する補助クランプ部50を備えるため、補助クランプ部50がワーク1を固定する固定力を維持して保持するため、加工する際にワーク1を移動させず、例えば、従来のワークの移動時、またはクランプ・アンクランプの繰り返し時に生じるトラブルが解消し、さらには、ワーク1に位置ずれが生じることがなく、ワーク1の加工寸法精度を保持することができる。このとき、加工テーブル12は、上昇してワーク1を所定位置に案内すると共に、下降してワーク1をワーク載置面16に載置する複数の搬送ローラ18を備えているため、ワーク1の加工テーブル12上への搬入が容易になる。
【0035】
また、本実施形態では、補助クランプ部50は、ワーク1の加工領域を避けた側面部1A,1Bの下部をクランプするだけで補助クランプ機能が保たれるため、加工ユニット20A,20Bの加工動作の阻害となることを防止することができる。
このとき、補助クランプ部50は、突起部19と、この突起部19とともにワーク1を挟み込む爪部51とを備え、この爪部51は、突起部19に近づくにつれて斜め下方に移動し、爪先端部51Aがワーク1に接触するワーク載置面16からの位置は、ワーク1の幅が大きい場合には高い位置で接触し、ワーク1の幅が小さい場合にはワーク1の幅が大きい場合よりも低い位置で接触するため、ワーク1の大きさに応じて、爪先端部51Aがワーク1に接触する位置を調節することができる。これにより、爪部51は、ワークが小さい場合であっても、加工ユニット20A,20Bの加工動作の阻害とならない低い位置でワークを保持するため、ワーク加工機100は、様々な大きさのワーク1に対応することができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、移動式治具11は、ワーク1及び加工テーブル12に油を噴射する複数のシャワーノズル64を備えているため、切削油を供給して切削工具26及び加工部位を潤滑させ、さらには、ワーク1及び加工テーブル12等に付着した切粉を洗い流して洗浄し、切粉がワーク1と加工テーブル12や当接部62との間に入ってしまうのを防止することができる。
【0037】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態では、二つの加工ユニット20A,20Bを備えるワーク加工機100を用いて説明しているが、これに限定されず、例えば、一つの加工ユニットを備えるワーク加工機等であってもよい。
また、上記実施形態では、爪部51は、搬送ローラ18に隣り合って設けられているが、これに限定されず、爪部と搬送ローラとが離れた位置に設けられていてもよい。
さらには、上記実施形態では、補助クランプ部50は、ワーク1が搬入されてワーク載置面16に載置されると、ワーク1が搬出されるまで常にワーク1を保持しているが、これに限定されず、移動式治具11が移動するときにワーク1を保持していれば、移動式治具11がワーク1を保持している間等は、ワーク1の保持を解除してもよい。
さらにまた、上記実施形態では、ワーク1を水平方向に載置しているが、これに限定されず、例えば、ワーク1を高さ方向に縦に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるワーク加工機を示す正面図である。
【図2】ワーク加工機を示す平面図である。
【図3】ワーク加工機を示す側面図である。
【図4】治具ユニットを示す側面図である。
【図5】移動式治具を示す正面図である。
【図6】治具ユニットを示す正面図である。
【図7】治具ユニットを示す平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ワーク
1A 側面部
1B 側面部
11 移動式治具(可動部)
12 加工テーブル(テーブル)
16 ワーク載置面
18 搬送ローラ
50 補助クランプ部
61 本クランプ部油圧シリンダ(機構部)
64 シャワーノズル
100 ワーク加工機

【出願人】 【識別番号】593004289
【氏名又は名称】株式会社ヒガシ
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100091823
【弁理士】
【氏名又は名称】櫛渕 昌之

【識別番号】100101775
【弁理士】
【氏名又は名称】櫛渕 一江


【公開番号】 特開2008−865(P2008−865A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175169(P2006−175169)