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【発明の名称】 自動締め付け装置
【発明者】 【氏名】佃 政親

【要約】 【課題】所要の締め付け精度を確保できるナット自動締め付け装置を提供する。

【解決手段】ナットを把持する一対の把持爪が取り付けられた回動盤を、ギヤ列及びラックを介してエアシリンダにより駆動する。エアシリンダの出力の目標値Ftarを、ナットの締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値Fmax、Fminの平均値Fave以下に設定する。この目標値Ftarに対応する値Po以上で且つ締め付けトルクの上限に対応する値Pmax未満になるように、エアシリンダへの加圧エアの圧力を調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに仮組みされた締結部品を把持し、所定範囲内のトルクにて締め付けるようにした自動締め付け装置であって、
前記締結部品を把持する把持部と、
空気圧アクチュエータの出力により前記把持部を駆動する駆動機構と、
前記空気圧アクチュエータへ供給する空気圧力を調整する空気圧調整器と、
前記駆動機構による把持部の駆動力を検出する駆動力検出器と、
前記空気圧アクチュエータへの空気の供給を制御し、前記駆動力検出器による駆動力の検出値が予め設定された目標値に達すれば、空気の供給を停止させる空気供給制御手段と、を備え、
前記駆動力に係る目標値は、前記締結部品の締め付けトルクの上限に対応する値未満で、且つその下限に対応する値よりも大きな値とされ、
前記空気圧調整器は、空気圧アクチュエータへ供給する空気圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応付けて予め設定した範囲になるように調整するものである
ことを特徴とする自動締め付け装置。
【請求項2】
前記駆動力に係る目標値は、前記締結部品の締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値の平均値以下とされ、
前記空気圧調整器は、空気圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応する値以上で、且つ前記締結部品の締め付けトルクの上限に対応する値未満になるように調整するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の自動締め付け装置。
【請求項3】
前記駆動力に係る目標値は、前記締結部品の締め付けトルクに係る平均値とその下限値との間で、相対的に該平均値寄りの値とされていることを特徴とする請求項2に記載の自動締め付け装置。
【請求項4】
前記空気圧調整器は、空気圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応する値と前記締め付けトルクの上限に対応する値との間で、相対的に該目標値寄りの値になるように調整するものであることを特徴とする請求項2又は3のいずれかに記載の自動締め付け装置。
【請求項5】
前記空気供給制御手段により空気圧アクチュエータへの空気の供給が停止された後に、前記駆動力検出器によって検出される駆動力が前記目標値よりも高い所定の判定値を越えると、締結部品の締め付けトルクが過大であると判定する判定手段を備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の自動締め付け装置。
【請求項6】
前記空気圧調整器は、空気圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応する値以下で、且つ前記締結部品の締め付けトルクの下限に対応する値よりも大きくなるように調整するものであることを特徴とする請求項1に記載の自動締め付け装置。
【請求項7】
前記空気圧調整器は、空気圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応する値と前記締め付けトルクの下限に対応する値との間で、相対的に該目標値寄りの値になるように調整するものであることを特徴とする請求項6に記載の自動締め付け装置。
【請求項8】
前記駆動力に係る目標値は、前記締結部品の締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値の平均値以上とされていることを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の自動締め付け装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに仮組みされた締結部品を把持して所定範囲内のトルクで締め付けるようにした装置に関し、特に締め込み過ぎを抑制するための制御の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボルト、ナット等の締結部品を自動で締め付けるための装置としては、例えば特許文献1に記載のような油圧トルクレンチが公知である。このものでは、油圧シリンダのピストンロッドにラックを結合するとともに、このラックに噛み合うピニオンギヤにラチェットギヤ等を介してソケットを取り付けており、このソケットをボルト、ナットに嵌め合わせて、油圧シリンダからの駆動力により回転させるようにしている。
【0003】
また、特許文献2には、油圧トルクレンチをセットする台板上で該トルクレンチの反力レバーの下圧部にロードセルを介設し、トルクレンチの駆動レバーに作用するトルクの反力をロードセルに加えて、トルクを検出するようにした計測装置が記載されている。このものでは、ロードセルの出力、即ち検出されたトルクが予め設定した値に達すると、油圧ポンプの回転を停止させて、シリンダへの加圧油の供給を停止させるようにしている。
【特許文献1】実用新案登録第2541317号公報
【特許文献2】実公平7−44991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記のように駆動源として油圧アクチュエータを用いた締め付け装置では、油圧ポンプやこれを駆動する原動機、さらには油圧配管等が必要になり、設備が大掛かりなものになってコスト高になり易い。
【0005】
また、油圧アクチュエータは、一般的に作動速度の高いものとは言えないので、締め付け作業に要する時間が比較的長くなるきらいがあり、そうならないように作動油の供給流量を多くするとオーバーシュートが大きくなってしまい、締結部品を過度に締め込み過ぎる虞れがある。
【0006】
この点、油圧アクチュエータに代えて空気圧アクチュエータを用いれば、工場の設備である高圧エアの供給ラインを利用できるので、低コスト化が図られる上に、アクチュエータの作動速度の向上により作業時間も短縮できるが、一般的に空気圧アクチュエータは、油圧アクチュエータに比べて制御性に劣ると考えられており、締め付け精度はむしろ低下する虞れがある。
【0007】
これに対し、本発明の発明者は、空気圧アクチュエータを用いた自動締め付け装置を試作し、該空気圧アクチュエータに供給する空気の圧力と、その空気の供給を停止させるタイミングとを種々、変更しながら、締結部品の締め付け状態について実験・研究を重ねた結果、前記供給空気圧力とその供給を停止するタイミングとを互いに対応付けて適切に設定すれば、充分な締め付け精度を確保できることを見出した。
【0008】
斯かる知見に基づいて、本発明の目的は、自動締め付け装置において、低コスト化及び作業時間の短縮を目的として空気圧アクチュエータを採用する場合にも、所要の締め付け精度を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本願の請求項1の発明は、ワークに仮組みされた締結部品を把持し、所定範囲内のトルクにて締め付けるようにした自動締め付け装置を対象として、前記締結部品を把持する把持部と、空気圧アクチュエータの出力により前記把持部を駆動する駆動機構と、前記空気圧アクチュエータへ供給する空気圧力を調整する空気圧調整器と、前記駆動機構による把持部の駆動力を検出する駆動力検出器と、前記空気圧アクチュエータへの空気の供給を制御し、前記駆動力検出器による駆動力の検出値が予め設定された目標値に達すれば、空気の供給を停止させる空気供給制御手段と、を備える。
【0010】
そして、前記駆動力に係る目標値を、前記締結部品の締め付けトルクの上限に対応する値未満で且つその下限に対応する値よりも大きな値に設定するとともに、前記空気圧調整器は、空気圧アクチュエータへ供給する空気圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応付けて予め設定した範囲になるように調整するものとする。
【0011】
すなわち、例えば前記駆動力に係る目標値を、前記締結部品の締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値の平均値以下とし、その上で、前記空気圧調整器により空気圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応する値以上で且つ前記締結部品の締め付けトルクの上限に対応する値未満になるように調整する(請求項2)。
【0012】
前記の自動締め付け装置により、ワークに仮組みされた締結部品を締め付ける際には、空気供給制御手段の制御により空気圧アクチュエータへ加圧空気が供給され、それにより把持部が駆動されて締結部品を締め付けることになるが、そうして締結部品を締め付ける力(駆動力)は駆動力検出器によって検出され、この検出値が予め設定した目標値に達すれば、空気圧アクチュエータへの加圧空気の供給が停止される。
【0013】
そうして加圧空気の供給が停止されたとき、空気圧アクチュエータには既に余剰の空気が供給されているため、さらに暫くの間、その出力は増大することになる(オーバーシュート)。特に、供給する加圧空気の圧力を空気圧調整器によって前記駆動力の目標値に対応する値以上に、つまり比較的高めに設定した場合は、空気圧アクチュエータの作動速度が高まる一方で、オーバーシュートは大きくなり易い。
【0014】
そこで、前記の構成では、前記のように加圧空気の供給を停止させる目安となる「駆動力に係る目標値」、即ちアクチュエータ出力の目標値を、前記締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値の平均値以下に、即ち、許容される締め付けトルクの範囲内において相対的に低めに設定し、その分、早めに加圧空気の供給を停止させるようにしている。このことで、空気圧アクチュエータの出力が目標値を超えてオーバーシュートしても、それが締め付けトルクの上限を越える可能性は低くなり、たとえ瞬間的に上限を越えたとしても、それは空気圧アクチュエータにおいて空気の圧縮により吸収されるので、締結部品が過度に締め込まれることは非常に少ない。
【0015】
つまり、空気圧アクチュエータへの加圧空気の供給を早めに停止することで、オーバーシュートにより締結部品が過度に締め込まれることを充分に抑制できるとともに、一方で供給する加圧空気の圧力は高めに設定することで、空気圧アクチュエータの作動速度を高め、締め付け作業に要する時間を短縮することができる。
【0016】
そうした場合に、好ましいのは、前記駆動力に係る目標値(空気圧アクチュエータの出力の目標値)を、前記締結部品の締め付けトルクに係る平均値とその下限値との間で、相対的に該平均値寄りの値に、即ち相対的には高めに設定することである(請求項3)。このことは、前記のように加圧空気の供給を早めに停止するようにしつつも、そうして供給停止タイミングを早める度合はあまり大きくしないということであり、こうすれば、締め込み不足を生じる虞れはまず、ないと言える。
【0017】
また、好ましいのは、前記空気圧調整器によって加圧空気の圧力を、前記駆動力に係る目標値に対応する値と前記締め付けトルクの上限に対応する値との間で、相対的に該目標値寄りの値に、即ち相対的には低めの圧力になるように調整することであり(請求項4)、こうすれば、空気圧アクチュエータの出力のオーバーシュートを適度に抑えることで、締結部品が過度に締め込まれることをより充分に抑制できる。
【0018】
さらに、好ましいのは、前記空気供給制御手段により空気圧アクチュエータへの空気の供給が停止された後に、前記駆動力検出器によって検出される駆動力が前記目標値よりも高い所定の判定値を越えると、締結部品の締め付けトルクが過大であると判定する判定手段を備えることである(請求項5)。
【0019】
こうすれば、万が一、空気圧アクチュエータの出力のオーバシュートによって締結部品が過度に締め込まれてしまったときに、このことが判定手段により判定されるので、そうして締め付け不良となったワークを確実に排除することが可能になる。
【0020】
以上、述べたように請求項2〜5の発明は、締結部品の締め込み過ぎを抑制しながら、空気圧アクチュエータの作動速度を高めて、作業時間を短縮しようとするものであるが、締め込み過ぎによる不良ワークの発生を極小化しようとすれば、空気圧調整器によって加圧空気の圧力を、駆動力に係る目標値に対応する値以下で且つ締結部品の締め付けトルクの下限に対応する値よりも大きくなるように調整するのがよい(請求項6)。
【0021】
こうすれば、空気圧アクチュエータに供給される加圧空気の圧力が、その供給を停止させる目安となるアクチュエータ出力(駆動力に係る目標値)に対して低くなるので、該空気圧アクチュエータへの加圧空気の供給が停止される前にその供給流量が急減することになり、供給停止後の出力のオーバーシュートは非常に小さいか、或いは殆ど生じないからである。
【0022】
そのように空気圧を低めに設定する場合には、それを、駆動力に係る目標値に対応する値と締め付けトルクの下限に対応する値との間で、相対的に該目標値寄りの値に、即ち相対的には高めの圧力になるように調整するのが好ましい(請求項7)。このことは、前記のように空気圧力を低めに設定しつつも、そうして圧力を低くする度合は小さいことを意味するから、空気圧アクチュエータの作動が遅くなり過ぎることはない。
【0023】
また、前記のように空気圧を低めに設定したことで、アクチュエータ出力のオーバーシュートが非常に小さくなれば、加圧空気の供給を停止させる目安となるアクチュエータ出力(駆動力に係る目標値)は、締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値の平均値以上に、即ち、相対的に高めに設定することができる(請求項8)。このことは、締結部品の万一の締め込み不足を防止する上で有利になる。
【発明の効果】
【0024】
以上、説明したように、本発明に係る自動締め付け装置によると、従来一般的な油圧アクチュエータに代えて空気圧アクチュエータを採用したことで、低コスト化が図られ、且つ締め付け作業に要する時間を短縮できるとともに、その空気圧アクチュエータに供給する加圧空気の圧力と、その供給を停止させるタイミングとを互いに対応付けて適切に設定することで、締め込み過ぎによる不良ワークの発生を充分に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
−自動締め付け装置の全体構成−
図1は、本発明の実施形態に係る自動締め付け装置Aの全体構成を概略的に示し、この装置Aは、例えばターンバックルのようなワークWをセットして、これに仮組みされたナット1(締結部品)を所定範囲内のトルクにて締め付けるようにしたものである。
【0027】
図示の如く、この実施形態の装置Aでは、ベース板20上の前側(図の右側)の部位に角パイプによって矩形ボックス状に組まれた作業台21が設置され、その上に配設された作業テーブル22上の後半部に、詳しくは後述するが、ナット1を把持する把持爪5,5が取り付けられた回動盤4と、これを図の時計回りに回動させる駆動機構とが一体的に設けられている。この駆動機構は、作業台21の後側に上向きに配置されたエアシリンダ23(空気圧アクチュエータ)の出力をラック&ピニオンを介して回動盤4に伝達し、これにより把持爪5,5,を駆動するものである。
【0028】
一方、前記作業テーブル22上の前半部には、ワークWを搭載して前後に移動する移動ステージ24が配設されている。詳細は図示しないが、移動ステージ24は、前記回動盤4の左右両側に分割され、それぞれ前後方向のレール25に沿ってスライド移動する一対のスライダ26上に配設されており、ワークWの左右両端部を保持して一体的に装置後方(図の左方)へ移動することで、それを回動盤4の中央に対応付けてセットすることができる。
【0029】
また、前記エアシリンダ23にはレギュレータ27を介して、工場の設備である加圧エア供給ライン(図示せず)から高圧のエアが供給されるようになっている。このレギュレータ27は、加圧エア供給ラインに分岐接続された配管28に介設されており、ラインから取り入れた加圧エアの圧力を調整(減圧)してエアシリンダ23に供給する空気圧調整器である。このレギュレータ27及びエアシリンダ23の間には電磁弁29が介設されていて、調圧されたエアのエアシリンダ23への供給流量を調整するようになっている。
【0030】
図の例では、前記電磁弁29の開度を制御する制御装置30(空気供給制御手段)が、ベース板20上の後側に配設されている。この制御装置30は、操作盤31からの信号と、エアシリンダ23の下端に取り付けられたロードセル32(エアシリンダ23の出力を検出する駆動力検出器)からの信号と、を少なくとも入力して、これらに応じて電磁弁29を制御し、エアシリンダ23への加圧エアの供給を制御するエア供給制御部(空気供給制御手段)30aと、ロードセル32の検出値が所定の判定値を越えたときに、締め付けトルクが過大であると判定するNG判定部30bとを、コンピュータ・プログラムの態様で備えている。
【0031】
尚、前記操作盤31は、作業台21と制御装置30の中間でベース板20から上方に延びる支持フレーム33の上部にに取り付けられていて、操作し易いように装置Aの前方において作業者の頭部くらいの高さに配置されている。また、図示しないが、操作盤31には液晶ディスプレーが設けられており、装置Aの運転条件や作動状態、或いはワークW毎のナット1の締め付け状態(OK,NG)等を表示するようになっている。
【0032】
−把持部及び駆動機構−
図2及び図3には前記回動盤4や把持爪5,5等を拡大して示し、回動盤4は、作業テーブル22上に立設された2枚のフレーム板2,3の間に挟まれるようにして、それらに対し回転自在に取り付けられている。詳しくは、まず、フレーム板2,3は、それぞれ鋼製の厚板からなり、ワークW(図2、3には示さず)に仮組みされたナット1の回動中心線Xを中心とする大径の丸穴2a,3aが厚み方向に貫通形成されているとともに、この丸穴2a,3aから装置Aの前方(図2の右方)の縁部まで略水平に延びるように切り欠き部2b,3bが形成されている。
【0033】
また、フレーム板2,3は、図2のように回動中心線Xに沿って見ると、丸穴2a,3a同士と、切り欠き部2b,3b同士とがそれぞれ合致するように配置されていて、図3に示すように概略回動盤4の厚みに相当する間隔を空けて、互いに組み合わされている。そして、フレーム板2,3の間には丸穴2a,3aの周縁に沿って樹脂製のガイドレール6が配設されており、これが回動盤4の外周部を周方向に移動自在に保持している。
【0034】
前記のようにガイドレール6によって保持されている回動盤4の外周には、後述する切り欠き部4cを除いた全周に亘って外歯4aが形成されている。また、ガイドレール6は、フレーム板2,3の切り欠き部2b,3bに対応する部位と、回動盤4の装置後方斜め上側の部位とでそれぞれ切り離されて、相対的に短い第1レール部材6aと、相対的に長い第2レール部材6bと、の2つの概略C字状のレール部材に分割されており、それら2つのレール部材6a,6bが互いに離間している装置後方斜め上側の部位において、前記回動盤4の外歯4aがギヤ列7に噛み合わされている。
【0035】
前記のギヤ列7は、各々フレーム板2,3の間に軸支され、互いに噛み合わされた中間ギヤ7aとピニオンギヤ7bとからなり、中間ギヤ7aが前記回動盤4の外歯4aと噛み合う一方、ピニオンギヤ7bはラック8に噛み合わされている。このラック8はローラ9,9,…によりガイドされて上下に移動するようになっていて、その下端がエアシリンダ23のロッドの先端に連結されている。つまり、ギヤ列7とラック8とによって、エアシリンダ23の出力を回動盤4に伝達する駆動機構が構成されており、これにより回動盤4が図の時計回りに(回動方向の一側に)回動されると、ナット1が締め付けられるようになる。
【0036】
前記回動盤4についてより詳しくは、図2に示すように装置Aを左側から見ると、その中央部を含んで略逆S字状をなす異形の長穴4bが、回動盤4を厚み方向に貫通して形成されている。この長穴4bには、中央部から回動盤4の外周に向かって真直ぐに延びるように切り欠き部4cが連続しており、図示の如く長穴4bが概略上下に延びるように位置付けられたとき、その中央部からから装置Aの前方に向かって切り欠き部4cが略水平に延びて、フレーム板2,3の切り欠き部2b,3bと連通するようになっている。
【0037】
そうして回動盤4の切り欠き部4cがフレーム板2,3の切り欠き部2b,3bと連通するのが回動盤4の待機位置であり、このときには、互いに連通する切り欠き部2b,3b,4cを通過させて、ナット1が回動盤4の長穴4bの略中央部に収容されるように、ワークWをセットすることができる。すなわち、上述したが、ワークWはその左右両端部を移動ステージ24上に保持されて、この移動ステージ24の前後のスライド移動により長穴4bの中央部にセットされ、また、そこから取り出されるようになっている。
【0038】
そのようにしてセットされたワークWと共に長穴4bの略中央に位置付けられるナット1を挟んで、上下に対向するように、回動盤4上には一対の把持爪5,5が配設されている。この一対の把持爪5,5は、それぞれ、長穴4b内において長手方向の両側に分かれて収容され、当該長穴4bの幅方向に架設された一対のブラケット11,11に対し各々支軸12により回動可能に支持されている。支軸12は回動盤4の回動中心線Xと平行に延びており、各把持爪5は、回動盤4の回動方向(周方向)一側及び他側にそれぞれ隣り合う長穴4bの内周面の間で回動される。
【0039】
ここで、図2のように回動中心線Xに沿って見ると、長穴4bの中心部を挟む長手方向両側の部位は、それぞれ、回動盤4の回動中心線Xから半径方向外方に離れるに連れて、その周方向他側に向かうように傾いており、それらの内部にそれぞれ収容されている各把持爪5は、各々支軸12から回動中心線Xに向かい、半径方向内方ほど周方向一側に位置するように傾いて延びる第1の位置(図2に示す位置)と、支軸12から回動中心線Xに向かい半径方向内方に略真直に延びる第2の位置(図5を参照)と、の間で回動するようになっている。
【0040】
そして、前記第2の位置では、各把持爪5の先端に設けられた把持面5aが最も半径方向内方に位置して、ナット1の外周面を把持することができる(以下、把持位置という)。一方、前記第1の位置では、前記把持位置に比べると各把持爪5の把持面5aが半径方向について外方に位置することになり、それはナット1の外周(最外周に位置する角部)から離間するようになる(以下、非把持位置という)。
【0041】
また、前記各把持爪5とその周方向一側に隣り合う長穴4bの一側内周面との間には、捻りばね13が介設されており、各把持爪5をその支軸12の周りに図2の時計回りに回動するように、つまり前記把持位置に向かうように回動付勢している。一方、各把持爪5の周方向他側に隣り合う長穴4bの他側内周面には、把持爪5の先端側の側部に当接してその回動変位を把持位置までに規制する突部4dが設けられている。
【0042】
そうして捻りばね13の付勢力を受ける各把持爪5は、その先端側の側部が長穴4bの他側内周面の突部4dに当接するまで、支軸12周りに回動可能になっているが、図2のように回動盤4が待機位置にあるときには、フレーム板2,3に取り付けられた位置決め部材14,15が各々把持爪5,5と係合して、それを回動盤6の回動方向一側(図の時計回り)に押圧するようになっており、これにより各把持爪5は、捻りばね13の付勢力に抗して支軸12周りに図の反時計回りに回動され、非把持位置に位置付けられる。
【0043】
すなわち、図3にも示すように、各把持爪5にはそれぞれ支軸12よりも先端側の部位にピン16が埋め込まれており、一方の把持爪5(図の下側に位置する把持爪)のピン16は装置左側に延びてフレーム板2よりも外方に突出し、他方の把持爪5(図の上側に位置する把持爪)のピン16は装置右側に延びてフレーム板3よりも外方に突出している。そして、フレーム板2,3には、回動盤4が待機位置にあるときの把持爪5,5のそれぞれの位置に対応付けて、その各々のピン16と当接して適切に位置決めするように、板材からなる位置決め部材14,15が固定されている。
【0044】
そうして位置決め部材14,15によりピン16を介して押圧されて非把持位置に位置付けられているとき、各把持爪5は、前記したように各々の支軸12から回動盤4の回動中心線Xに向かう半径方向に対して、該回動盤4の回動方向である周方向の一側に傾いて、即ち該回動盤4の回動方向一側に倒れて、延びている。一方、位置決め部材14,15との係合が外れて、捻りばね13の付勢力により支軸12の周りに回動されると、各把持爪5は回動盤4の半径方向に向けて徐々に起き上がり、その先端の把持面5aがナット1の外周面に近づくようになる。
【0045】
つまり、各把持爪5は、それが非把持位置にあるときにはナット1の外周に対し倒れた状態になっており、それが徐々に起き上がりつつ、先端側からナット1の外周に近づいてゆくので、先端がナット1の角部に引っ掛かることは少ない。しかも、この実施形態では各把持爪5の先端には、前記のように非把持位置にあるときにナット1の外周に近接する側の角部を削除したように、把持面5aに連続し且つ該把持面5aから離れるほど後退する傾斜面5bが形成されており、この傾斜面5bが最初にナット1の外周に接触することになるから、把持爪5の先端がナット1の角部に引っ掛かることは殆どないと言える。
【0046】
−自動締め付け装置の作動−
次に、前記のように構成された自動締め付け装置Aの作動について図4のフローチャートに基づき、図5、6を参照して詳細に説明する。図示のフローは主に、制御装置30において実行される制御ステップを示しており、該制御装置30は、作業者の操作入力に応じて操作盤31から出力される信号を受け入れて、エアシリンダ23を作動させるとともに、ロードセル32からの信号を受け入れて、ナット1の締め付けトルクが所定範囲内のものとなるよう、適切なタイミングでエアシリンダ23の作動を停止させる。
【0047】
図のフローには示さないが、まず、作業者は、例えばターンバックルであるワークWにナット1を仮組みして、図1のように作業テーブル21上の前半部に位置する移動ステージ24上に載置する。それから、移動ステージ24を装置後方に移動させると、その上に保持されているワークWはフレーム板2,3の切り欠き部2b,3bと、これに連通する回動盤4の切り欠き部4cとを通過してセットされ、該回動盤4の長穴4bの略中央にナット1が位置するようになる。
【0048】
この際、図1、2に示すように回動盤4は待機位置にあり、これに取り付けられている一対の把持爪5,5はそれぞれ位置決め部材14,15との係合により非把持位置に位置付けられているので、これらの把持爪5,5の先端側とワークWのナット1とが干渉することはなく、それら把持爪5,5の中間に挟まれるように、即ち回動盤4の回動中心線X上に位置するようにナット1を位置付けて、ワークWを容易にセットすることができる。
【0049】
それから、図4のフローのステップS1に示すように、作業者は、レギュレータ27に付設されているゲージを目視して、エアシリンダ23に供給される加圧エアの圧力が所定範囲内にあることを確認する。そして、所定範囲内になければ(NO)レギュレータ27のハンドルを操作して圧力を調整する一方、所定範囲内にあれば(YES)、操作盤31のスタート・スイッチを押して、自動締め付け装置Aを作動させる(ステップS2:サイクル・スタート)。
【0050】
そうすると、操作盤31からの信号を受けた制御装置30により電磁弁29が開かれて、加圧エアの供給が開始され(ステップS3)、これを受けたエアシリンダ23が作動してラック8が上昇する。これによりピニオンギヤ7bが図の時計回りに回動し、中間ギヤ7aを介して回動盤4も待機位置から図の時計回りに、即ちナット1を締め付ける向きである回動方向一側へ回動される。こうして回動盤4が待機位置から離れると、把持爪5,5と位置決め部材14,15との係合が解除され、各把持爪5は捻りばね13の付勢力によって支軸12の周りに把持位置に向けて回動されることになる。
【0051】
すなわち、一対の把持爪5,5が、それぞれ、回動盤4の回動中心線Xに向かう半径方向に対しその回動方向一側に倒れた状態から徐々に起き上がって、その先端側がナット1の外周面に近づいてゆき、まず、傾斜面5bがナット1の外周に接触した後、さらに起き上がって、図5(a)に模式的に示すように把持面5aがナット1の外周面に当接(把持)する。こうして傾斜面5bから接触するので、各把持爪5がナット1の角部に引っ掛かる可能性は低く、ナット1をしっかりと把持することができる。
【0052】
そうしてナット1の外周を把持した一対の把持爪5,5が、図5(b)のようにナット1を回動中心線Xの周りに時計回りに(回動方向一側に)回動させるとき、その反力は各把持爪5の先端側を回動中心線Xの周りに反時計回りに(回動方向他側に)向けるように、即ち各把持爪5をその支軸12周りの回動によってさらに起き上がらせるように作用することになるので、該各把持爪5の把持面5aがナット1の外周面に強く押し付けられ、ナット1はしっかりと締め付けられる。
【0053】
また、そうしてナット1を締め付ける際の反力は、回動盤4を介してギヤ列7及びラック8に伝達され、エアシリンダ23を下方に押圧することになる。この押圧力は、結局、回動盤4を駆動するエアシリンダ23の出力(駆動力)と一致し、これがロードセル32により検出されて制御装置30に信号として入力される。そして、図4のフローのステップS4に示すように、制御装置30においてロードセル32によるエアシリンダ出力の検出値は、予め設定されている目標値(駆動力に係る目標値)と比較され、サイクル・スタートから所定時間が経過するまでの間に出力の検出値が目標値に到達しなければ(NO)、何らかの不具合が発生していると判断して、後述のステップS9に進む。
【0054】
一方、エアシリンダ出力の検出値が目標値に到達すれば(ステップS4でYES)、この目標値に対応する締め付けトルクがナット1に加わっている、ということであるから、制御装置30は直ちに電磁弁29を閉じて、エアシリンダ23への加圧エアの供給を停止させる(ステップS5)。そうすると、エアシリンダ23のロッド及びラック8がその自重で下降し、ピニオンギヤ7bが図の反時計回りに回動して、図6(a)に模式的に示すように、回動盤4も図の反時計回りに(回動方向他側に)回動するようになる。
【0055】
このとき、ナット1から各把持爪5にはその先端側を回動中心線Xの周りに時計回りに(回動方向一側に)向けるように、即ち各把持爪5をその支軸12の周りに反時計回りに回動させて、その先端をナット1から離すような向きの力が作用することになるので、各把持爪5によるナット1の把持は解除され、回動盤4が回動方向他側に回動しても、ナット1が緩むことはない。尚、各把持爪5は捻りばね13の付勢力を受けているので、図6(b)の如く先端がナット1の外周に接触することになるが、前記のようにしっかりと締め付けられているナット1が緩むことはない。
【0056】
また、そうしてエアシリンダ23への加圧エアの供給を停止した後も、制御手段30はロードセル32からの信号を入力しており、図4のフローのステップS6に示すように、ロードセル32による検出値(シリンダ出力)を、エアシリンダ23の出力の目標値よりも高いNG判定値と比較している。これは、オーバーシュートにより目標値を超えて増大したエアシリンダ出力が過大なものになったかどうか判定するためであり、シリンダ出力がNG判定値以下であれば(YES)ナット1の締め付け状態は許容範囲にあるから、ステップS7にてサイクル終了となる。
【0057】
これに対し、ロードセル32の検出値がNG判定値を越えれば(ステップS6でNO)、エアシリンダ出力が過大になってナット1が締め込み過ぎになってしまったと判定し、ステップS8に進んで操作盤31の液晶ディスプレーに締め付けNGと表示させてから、サイクル終了となる(ステップS7)。尚、前記ステップS4にてエアシリンダ出力の検出値が目標値に到達しない(NO)と判定して進んだステップS9では、前記ステップS5と同様にエアシリンダ23への加圧エアの供給を停止させて、そのロッドやラック8を下降させた後に、前記ステップS8へ進んで締め付けNGと表示させ、サイクル終了となる(ステップS7)。
【0058】
そうしてナット1を締め付ける制御の1サイクルが終了したとき、回動盤4は待機位置に戻っており、図2を参照して上述したように、一対の把持爪5,5の各々が再び位置決め部材14,15と係合して非把持位置に位置付けられていて、その先端がナット1の外周から離間している。このため、移動ステージ24を装置前方へ移動させても、これに保持されたワークWのナット1が把持爪5,5と干渉することはなく、ナット1の締め付けが完了したワークWを容易に取り出すことができる。
【0059】
前記図4に示すフローのステップS3〜S5は、エアシリンダ23への加圧エアの供給を制御し、該エアシリンダ23の出力の検出値が予め設定された目標値に達すれば、加圧エアの供給を停止させる、というエア供給制御部30aによる制御手順を示している。また、ステップS6→S8の制御手順は、前記のように加圧エアの供給が停止された後に、エアシリンダ23の出力の検出値がNG判定値を越えれば、ナット1の締め付けトルクが過大であると判定するNG判定部30bに対応している。
【0060】
−エア圧力及びその供給停止タイミングの設定−
上述したように、この実施形態の自動締め付け装置Aでは、ロードセル32によりエアシリンダ23の出力をリアルタイムで検出し、この検出値が予め設定した目標値に到達すれば、加圧エアの供給を停止して、エアシリンダ23の作動を停止させるようにしている。このように制御されるエアシリンダ23の出力は、駆動機構における損失や回動盤4の半径等、機械的な要因を介在させてナット1の締め付けトルクに直接的に対応しており、従って、前記のように出力が目標値に達するまでエアシリンダ23を作動させることで、概ね所要のトルクにてナット1を締め付けることができる。
【0061】
しかしながら、エアシリンダ23へ供給される加圧エアの流れはかなり速いので、前記のようにロードセル32の検出値が目標値に到達したときに供給を停止するようにした場合、余剰の加圧エアがエアシリンダ23内に供給されてしまい、停止後も暫くは出力が増大することになる。この出力のオーバーシュートが大きいと、ナット1を過度に締め込み過ぎる虞れがあるので、これを防止するために加圧エアの圧力を低下させることも考えられるが、そうすると、ナット1を締め付けるエアシリンダ23の作動速度が低下して、作業時間が長くなってしまう。
【0062】
この点について、この実施形態では、エアシリンダ23に供給する加圧エアの圧力と、その供給を停止させるタイミングとを互いに対応付けて適切に設定することで、エアシリンダ23の作動速度を実質、低下させることなく、ナット1の締め込み過ぎを防止するようにしたものである。以下、具体的に説明する。
【0063】
まず、ナット1の締め付けトルクと、エアシリンダ23の出力と、該エアシリンダ23内のエアの圧力(静的な圧力)との間には、図7に示すような直接的な対応関係がある。これは、エアシリンダ23の出力が、その寸法とエアの圧力とによって決まるとともに、上述したが、駆動機構における損失や回動盤4の半径等、機械的な要因を介在させて、ナット1の締め付けトルクとも直接的に対応するからである。
【0064】
但し、供給される加圧エアがエアシリンダ23内へ流れ込んでいるときには、そうして供給される加圧エアの静的な圧力とシリンダ出力とは対応せず、流れの状態やシリンダ内への充填状態によって出力が変化することになり、その流れを遮断した後にじる出力のオーバーシュートの様子も流れの状態等によって変化する。
【0065】
すなわち、オーバーシュートの様子は、例えば図8に示すようにエアシリンダ23の出力の目標値と加圧エアの圧力との関係によって変化し、同図に実線及び破線でそれぞれ示すように、加圧エアの圧力が出力目標値に対応する値であるとき(実線のグラフ)、若しくはそれ以下であるとき(破線のグラフ)、エアシリンダ出力の上昇は、その目標値(図に点線で示す目標ライン)に到達する手前で大幅に鈍化し(グラフの傾きが緩やかになり)、目標値を超えてのオーバーシュートは非常に小さいか、殆ど生じないようになる。これは、エアシリンダ23に流れ込む加圧エアの流量が、供給停止の前に大幅に減少することによると考えられる。
【0066】
そうしてオーバーシュートが非常に小さくなり、エアシリンダ23の出力が漸近的に目標値に収束するようになれば、ナット1が過度に締め込まれる心配はないが、加圧エアの圧力をエアシリンダ出力の目標値に対応する値から低くしていくと、シリンダ出力が目標値に収束するまでの時間は急激に長くなり、締め付けに時間がかかり過ぎるという不具合を生じる。また、加圧エアの圧力を低くし過ぎると、締め付け不足が生じる虞れもある。
【0067】
一方、同図に一点鎖線及び二点差線でそれぞれ示すように、加圧エアの圧力をエアシリンダ出力の目標値に対応する値よりも高くしていくと、エアシリンダ出力の上昇が目標値に到達する手前でもあまり鈍化しないようになり、オーバーシュートが大きくなることが分かる。オーバーシュートはエア圧力が高いほど大きくなる。
【0068】
そうしてオーバーシュートが大きくなっても、その分、目標値を低めに設定しておけば、エアシリンダ23の出力が締め付けトルクの上限に対応する値を超えることは阻止できるとも考えられるが、図に二点差線で示すようにグラフの傾きが急になると、その頂点、即ちエアシリンダ出力の最大値のばらつき(締め付けトルクのばらつき)も大きくなってしまうので、それが上限値を越える可能性が高くなると言える。
【0069】
斯かる知見に基づいて、この実施形態の自動締め付け装置Aでは、前記図7に示すように、エアシリンダ23の出力の目標値Ftar(駆動力に係る目標値)を、ナット1の締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値Fmax,Fminの平均値Fave以下に、即ち、許容される締め付けトルクの範囲内において相対的に低めに設定し、その分、早めに加圧エアの供給を停止させるようにするとともに、そうして供給する加圧エアの圧力は、前記出力の目標値Ftarに対応する値P0以上に、即ち、比較的高めの圧力に調整するようにしている。
【0070】
そうして加圧エアの供給を早めに停止させるようにしたことで、エアシリンダ23の出力が目標値を超えてオーバーシュートしても、それが許容範囲(締め付けトルクの上限)を越える可能性は低くなる。また、加圧エアの圧力は比較的高めにすることで、エアシリンダ23の作動速度を高めて、締め付け作業に要する時間を短縮することができる。
【0071】
その際、加圧エアの圧力は、図7に示すように、エアシリンダ23の出力目標値Ftarに対応する値P0と締め付けトルクの上限に対応する値Pmaxとの間で、相対的には該出力目標値に対応する値P0寄りの範囲に(つまり両者の間では相対的に低めになるように)調整するのが好ましい。こうすれば、オーバーシュートの様子は、図8の実線のグラフと一点鎖線のグラフとの中間になり、それはあまり大きくはないので、エアシリンダ出力が瞬間的に許容範囲(締め付けトルクの上限)を越えることがあっても、それはエアシリンダ23においてエアの圧縮により吸収される程度であり、ナット1の締め込み過ぎは発生しない。
【0072】
また、エアシリンダ23の出力目標値Ftarは、前記のように締め付けトルクの上限、下限の平均以下(FminからFave)に設定すればよいが、その平均値Faveと下限値Fminとの間では相対的に平均値Fave寄りに、即ち相対的には高めに設定するのが好ましい。つまり、エアシリンダ23への加圧エアの供給を前記のように早めに停止すると言っても、その度合はあまり大きくはしないのがよく、こうすれば、ナット1の締め込み不足を生じる虞れはまず、ないと言える。
【0073】
したがって、この実施形態の自動締め付け装置Aによると、一対の把持爪5,5,により把持したナット1を締め付ける駆動力の源として、従来一般的な油圧アクチュエータに代えてエアシリンダ23を採用したことで、設備コストを大幅に低減できるとともに、締め付け作業に要する時間を短縮することができる。
【0074】
しかも、エアシリンダ23に供給する加圧エアの圧力と該エアシリンダ23の出力目標値とをナット1の締め付けトルクの許容範囲内で互いに対応付けて設定し、最適な圧力の加圧エアを供給するとともに、その供給を最適なタイミングで停止させるようにしたから、締め付け作業時間を充分に短縮しながら、締め込み不足や締め込み過ぎによる不良ワークの発生を充分に抑制できる。
【0075】
その上さらに、この実施形態では、前記のように加圧エアの供給を停止した後もエアシリンダ23の出力を検出し、この検出値に基づいてナット1の締め込み過ぎ(NG)を判定するようにしているので、万が一、ナット1の締め込み過ぎで不良ワークWが発生した場合でも、これを確実に排除することができる。
【0076】
−他の実施形態−
尚、前記した実施形態におけるエアシリンダ23の出力目標値やエア圧の設定の仕方は一つの例に過ぎず、本願発明の構成を限定するものではない。すなわち、前記実施形態では、ナット1の締め込み過ぎを抑制しながらも、エアシリンダ23への供給エア圧は高めにして、締め付け作業に要する時間を短縮するようにしているが、これに限らず、締め込み過ぎによる不良ワークの発生を極小化するような設定も可能である。
【0077】
この場合には、まず、供給する加圧エアの圧力をエアシリンダ23の出力目標値に対応する値以下に設定し、図8の実線若しくは破線のグラフのようにオーバーシュートが非常に小さくなるようにすればよい。但し、エアシリンダ23の作動速度が低くなり過ぎることがないように、加圧エアの圧力は、前記出力目標値に対応する値と締め付けトルクの下限に対応する値との間で、該出力目標値寄りの値に、即ち相対的には高めの圧力に設定するのが好ましい。
【0078】
また、そうして出力のオーバーシュートが非常に小さなものとなれば、エアシリンダ23の出力の目標値(駆動力に係る目標値)は、締め付けトルクの上限及び下限にそれぞれ対応する値の平均値以上に、即ち相対的に高めに設定することができ、こうすれば、万一のナット1締め込み不足を防止する上でも有利になる。
【0079】
前記した自動締め付け装置Aの機械的な構造は単なる例示に過ぎず、回動盤4や把持爪5の構成は勿論、駆動機構であるギヤ列7やラック8の構成も本願発明を限定するものではない。また、エアシリンダ23の代わりに例えばエアモータのような空気圧アクチュエータを用いるものであってもよい。
【0080】
さらに、前記の自動締め付け装置Aは、ワークWであるターンバックルに仮組みされた六角ナット1を締め付けるものとしているが、ワークWがターンバックルに限らないことは勿論であり、ナット1以外の例えばボルトのような締結部品を締め付けるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上、説明したように、本発明の自動締め付け装置は、空気圧アクチュエータを採用して低コスト化及び作業時間の短縮が図られるとともに、充分な締め付け精度を確保できるものなので、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施形態に係る自動締め付け装置の全体構成を示す左側面図である。
【図2】同装置の把持部及び駆動機構を拡大して示す左側面図である。
【図3】同正面図である。
【図4】同装置によるナットの締め付け手順を示すフローチャート図である。
【図5】ナットを締め付ける回動盤及び把持爪の動作を模式的に示す図2相当図である。
【図6】締め付けを終えて待機位置に戻るときの図5相当図である。
【図7】締め付けトルク、シリンダ出力及びエア圧力の対応関係を示す説明図である。
【図8】エア圧力によって変化するシリンダ出力のオーバーシュートの様子を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0083】
A 自動締め付け装置
W ワーク
1 ナット(締結部品)
4 回動盤(把持部)
5 把持爪(把持部)
7 ギヤ列(駆動機構)
8 ラック(駆動機構)
23 エアシリンダ(空気圧アクチュエータ)
27 レギュレータ(空気圧調整器)
30 制御装置
30a エア供給制御部(空気供給制御手段)
30b NG判定部(判定手段)
32 ロードセル(駆動力検出器)
【出願人】 【識別番号】000201869
【氏名又は名称】倉敷化工株式会社
【出願日】 平成18年10月12日(2006.10.12)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘

【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏

【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久

【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二

【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実

【識別番号】100115691
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 篤史

【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也

【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄

【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守

【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓

【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也


【公開番号】 特開2008−93792(P2008−93792A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−279027(P2006−279027)