トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 自動締め付け装置
【発明者】 【氏名】佃 政親

【氏名】戸田 和公

【要約】 【課題】ワークをセットするだけで、それに仮組みされている締結部品を自動で把持し、締め付けることのできる自動締め付け装置を提供する。

【解決手段】ワークに仮組みされたナット1の回動中心線Xの周りに回動される回動盤4と、ナット1を挟んで対向するよう回動盤4に配置され、支軸12の周りに回動可能に支持された一対の把持爪5と、を備え、回動盤4が待機位置から回動方向一側へ回動されてナット1を締め付けるときに、その回動動作に連動して各把持爪5がそれぞれ支軸12の周りに回動し、先端の把持面5aによりナット1の外周面を把持するように構成する。各把持爪5は捻りばね13によって把持位置に向けて回動付勢する一方、回動盤4が待機位置にあるときには位置決め部材14,15と係合させて、非把持位置に位置付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに仮組みされた締結部品を把持し、これを駆動源からの力により回動させて締め付けるようにした自動締め付け装置であって、
前記駆動源からの力を受けて、締結部品の回動中心の周りに回動される回動部材と、
前記締結部品を挟んで対向するよう前記回動部材に配置され、該回動部材の回動中心と平行な支軸の周りに回動可能に支持された一対の把持爪と、を備え、
前記回動部材は、所定の待機位置から回動方向の一側へ回動されて締結部品を締め付けるものであり、
前記一対の把持爪は、それぞれ、
その支軸から前記回動部材の回動中心に向かい、且つ該回動部材の回動方向の前記一側に傾いて延び、その先端の把持面が前記締結部品の外周から離間する非把持位置と、
前記支軸から回動部材の回動中心に向かい略真直に延びて、その先端の把持面が前記締結部品の外周面を把持する把持位置と、
の間で回動可能に構成されており、
さらに、前記各把持爪をそれぞれの支軸の周りに前記把持位置に向けて回動するように付勢する付勢部材と、
前記回動部材が前記待機位置にあるときに前記各把持爪と係合し、これを前記付勢部材の付勢力に抗して前記非把持位置に位置付ける位置決め部材と、を備えている
ことを特徴とする自動締め付け装置。
【請求項2】
把持爪の先端には、該把持爪が非把持位置にあるときに締結部品に近接する側において把持面に連続し且つ該把持面から離れるほど後退するように傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動締め付け装置。
【請求項3】
回動部材には、把持爪と係合してその回動変位を把持位置までに規制するストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の自動締め付け装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに仮組みされた締結部品を把持して、自動的に締め付けるようにした装置に関し、特に締結部品の把持を自動化するための構成に係る。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボルト、ナット等の締結部品を自動で締め付けるための装置としては、例えば特許文献1に記載のような油圧トルクレンチが公知である。このものでは、油圧シリンダのピストンロッドにラックを結合するとともに、このラックに噛み合うピニオンギヤにラチェットギヤ等を介してソケットを取り付けており、このソケットをボルト、ナットに嵌め合わせて、油圧シリンダからの駆動力により回転させるようにしている。
【特許文献1】実用新案登録第2541317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のような油圧トルクレンチではボルト、ナット等を自動で締め付けることができるので、省力化を図れるものであるが、例えば六角形のボルトの頭部やナットをソケットに手作業できちんと嵌め合わせなくてはならず、この点で作業者の負担を軽減する余地が残されている。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ワークをセットするだけで、それに仮組みされている締結部品を自動で把持し、締め付けることのできる自動締め付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明の自動締め付け装置では、締結部品を挟んで対向するように配置された一対の把持爪が、該締結部品を締め付けるために回動する回動部材の動作に連動して、それを把持するように構成したものである。
【0006】
すなわち、請求項1の発明は、ワークに仮組みされた締結部品を把持し、これを駆動源からの力により回動させて締め付けるようにした自動締め付け装置であって、前記駆動源からの力を受けて締結部品の回動中心の周りに回動される回動部材と、その締結部品を挟んで対向するよう前記回動部材に配置され、当該回動部材の回動中心と平行な支軸の周りに回動可能に支持された一対の把持爪と、を備えている。
【0007】
そして、前記回動部材を、所定の待機位置から回動方向の一側へ回動されて締結部品を締め付けるものとし、また、前記一対の把持爪は、それぞれ、その支軸から前記回動部材の回動中心に向かい且つ該回動部材の回動方向の前記一側に傾いて延び、その先端の把持面が前記締結部品の外周から離間する非把持位置と、前記支軸から回動部材の回動中心に向かい略真直に延びて、その先端の把持面が前記締結部品の外周面を把持する把持位置と、の間で回動可能に構成する。
【0008】
その上で、前記各把持爪をそれぞれの支軸の周りに前記把持位置に向けて回動するように付勢する付勢部材と、前記回動部材が前記待機位置にあるときに前記各把持爪と係合し、これを前記付勢部材の付勢力に抗して前記非把持位置に位置付ける位置決め部材と、を備える構成とする。
【0009】
前記構成の自動締め付け装置では、まず、作業者がワークをセットするときには、回動部材が待機位置にあって、これに配設されている一対の把持爪がそれぞれ位置決め部材との係合により非把持位置に位置付けられているので、これらの把持爪の先端側との干渉を招くことなく、それら一対の把持爪の中間に締結部品が位置するように、ワークをセットすることができる。
【0010】
そして、装置が作動し、駆動源からの力を受けた回動部材が待機位置から回動方向の一側へ、即ち締結部品を締め付ける向きに回動されると、位置決め部材との係合が解除された各把持爪は、付勢部材の付勢力によって把持位置に向けて回動される。すなわち、該各把持爪は、回動部材の回動中心に向かう半径方向に対してその回動方向一側に倒れた状態(非把持位置)から徐々に起き上がって、先端の把持面が締結部品の外周面に近づくようになるので、締結部品の外形が例えば六角形であってもその角部には引っ掛かり難く、当該締結部品の外周を把持することができる。
【0011】
また、そうして起き上がった一対の把持爪が締結部品の外周を把持して、それを前記回動方向一側に回動させるときに、その反力は各把持爪の先端を前記回動方向の他側に向けるように、即ち該各把持爪をその支軸周りの回動によって、さらに起き上がらせるような向きに作用することになる。つまり、締結部品を締め付ける力の反力によって各把持爪の把持面が締結部品の外周面に押し付けられることになり、このことで締結部品をしっかりと締め付けることができる。
【0012】
そうして締結部品を締め付けた後に、回動部材が前記の締め付け時とは反対の向きに、即ち回動中心の周りに回動方向他側に回動されると、今度は、締結部品から各把持爪にはその先端側を前記回動方向の一側へ向けるような、即ち該各把持爪をその支軸の周りに非把持位置に向けて回動させて、その先端を締結部品から離すような向きの力が作用することになる。よって、各把持爪による締結部品の把持は解除され、回動部材が回動方向他側に回動しても、締結部品が緩むことはない。
【0013】
その際、各把持爪は付勢部材の付勢力によって把持位置に向かうように付勢されているので、その先端は締結部品の外周に接触することになるが、その付勢力を適度の大きさに設定しておけば、前記のようにしっかりと締め付けられている締結部品が緩むことはない。そして、回動部材が待機位置に戻れば、把持爪は再び位置決め部材と係合して非把持位置に位置付けられることになり、その先端が締結部品の外周から離間するので、この締結部品との干渉を招くことなく、締結部品の締め付けが完了したワークを容易に取り出すことができる。
【0014】
前記のような自動締め付け装置において、各把持爪の先端には、それが非把持位置にあるときに締結部品に近接する側において把持面に連続し、且つ該把持面から離れるほど後退するように傾斜面を形成するのが好ましい(請求項2の発明)。こうすれば、例えば六角形の締結部品の角部に把持爪の先端の角部が引っ掛かることをより確実に阻止することができる。
【0015】
また、前記回動部材には、把持爪と係合してその回動変位を把持位置までに規制するようにストッパ部を設けることが好ましく(請求項3の発明)、こうすれば、把持爪がその支軸の周りに把持位置を越えて回動することがないので、万一の締結部品からの脱落も防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明したように、本発明に係る自動締め付け装置によると、締結部品の締め付けのために回動部材を回動させる機構を利用し、この回動に連動させて一対の把持爪をそれぞれ非把持位置から把持位置まで回動させるようにしたので、作業者は、ワークをセットする際にそれに仮組みされた締結部品が一対の把持爪の中間に挟まれるように位置付けるだけでよっく、例えば六角形のナット等をソケットにきちんと嵌め合わせるという面倒な作業が不要になって、その負担が従来より一層、軽減される。
【0017】
また、非把持位置にあるときには各把持爪の先端がナットの外周から離間するようになっているので、それら把持爪との干渉を避けながらワークをセットすることは容易であり、締結部品の締め付けが完了した後のワークを取り出すことも容易である。
【0018】
しかも、そのような把持爪の動作は、ナットを締め付けるために必要な回動部材の回動を利用して行われるので、別途、駆動源を備える必要もなく、簡略な構成でコストの上昇も抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
(自動締め付け装置の構成)
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る自動締め付け装置Aの要部の構成を示し、この自動締め付け装置Aは、図示しないが例えばターンバックルのようなワークをセットすると、これに仮組みされたナット1(締結部品:図1にのみ示す)を自動で把持して、所定のトルクで締め付けるようにしたものである。
【0021】
図示の如く、この実施形態の自動締め付け装置Aでは、その前後方向に延びる2枚のフレーム板2,3の間に挟まれるようにして、概略円形の回動盤4(回動部材)が取り付けられており、この回動盤4上に配設された一対の把持爪5,5によりナット1を把持して回動させるようになっている。すなわち、まず、前記フレーム板2,3は、それぞれ鋼製の厚板からなり、図示のようにセットされるワークのナット1の回動中心線Xを中心とする大径の丸穴2a,3aが厚み方向に貫通形成されているとともに、この丸穴2a,3aから装置Aの前方(図1の右方)の縁部まで略水平に延びるように切り欠き部2b,3bが形成されている。
【0022】
また、フレーム板2,3は、図1のように回動中心線Xに沿って見ると、丸穴2a,3a同士と、切り欠き部2b,3b同士とがそれぞれ合致するように配置されていて、図2に示すように概略回動盤4の厚みに相当する間隔を空けて、互いに組み合わされている。そして、フレーム板2,3の間には丸穴2a,3aの周縁に沿って樹脂製のガイドレール6が配設されており、前記回動盤4は、その外周部をガイドレール6によって周方向に移動自在に保持されて、フレーム板2,3に対し回動中心線Xの周りに回転自在に取り付けられている。
【0023】
前記のようにガイドレール6によって保持されている回動盤4の外周には、後述する切り欠き部4cを除いた全周に亘って外歯4aが形成されている。また、ガイドレール6は、フレーム板2,3の切り欠き部2b,3bに対応する部位と、回動盤4の装置後方斜め上側の部位とでそれぞれ切り離されて、相対的に短い第1レール部材6aと、相対的に長い第2レール部材6bと、の2つの概略C字状のレール部材に分割されており、それら2つのレール部材6a,6bが互いに離間している装置後方斜め上側の部位において、前記回動盤4の外歯4aがギヤ列7に噛み合わされている。
【0024】
前記のギヤ列7は、各々フレーム板2,3の間に軸支され、互いに噛み合わされた中間ギヤ7aとピニオンギヤ7bとからなり、中間ギヤ7aが前記回動盤4の外歯4aと噛み合う一方、ピニオンギヤ7bはラック8に噛み合わされている。このラック8はローラ9,9,…によりガイドされて上下に移動するようになっていて、その下端は、図1にのみ模式的に示すが、例えばエアシリンダのような駆動源10に連結されている。そして、ラック8が上方に移動されてピニオンギヤ7bが図の時計回りに回動すると、中間ギヤ7aを介して回動盤4も図の時計回りに(回動方向の一側に)回動され、詳しくは後述するが、ナット1が締め付けられるようになる。
【0025】
また、前記回動盤4には厚み方向に貫通する異形の長穴4bが、該回動盤4の中央部を含むように形成されている。この長穴4bは、図1に示すように装置Aを左側から見て略逆S字状をなしており、その中央部から回動盤4の外周に向かって真直ぐに延びるように切り欠き部4cが連続している。図示の如く長穴4bが概略上下に延びるように位置付けられたとき、その中央部からから装置Aの前方に向かって切り欠き部4cが略水平に延び、フレーム板2,3の切り欠き部2b,3bと連通するようになる。
【0026】
そうして回動盤4の切り欠き部4cがフレーム板2,3の切り欠き部2b,3bと連通すれば、これらの切り欠き部2b,3b,4cを通過させて、ナット1が回動盤4の長穴4bの略中央部に収容されるように、ワークをセットすることができる。こうしてワークのセットや取り出しが行われるのが回動盤4の待機位置であり、図示しないが、ワークは、フレーム板2,3の左右両側にてそれぞれステージ上に固定された状態で、該ステージの前後方向の移動によりセットされ、また、取り出されるようになっている。
【0027】
そのようにしてセットされたワークと共に長穴4bの略中心に位置付けられるナット1を挟んで上下に対向するように、回動盤4上には一対の把持爪5,5が配設されている。この一対の把持爪5,5は、それぞれ、回転盤4の長穴4b内において長手方向の両側に分かれて収容され、長穴4bの幅方向に架設された一対のブラケット11,11に対して各々支軸12により回動可能に支持されている。支軸12は回動盤4の回動中心線Xと平行に延びており、各把持爪5は、回動盤4の回動方向(周方向)一側及び他側にそれぞれ隣り合う長穴4bの内周面の間で回動されるようになっている。
【0028】
ここで、図1のように回動中心線Xに沿って見ると、長穴4bの中心部を挟む長手方向両側の部位は、それぞれ、回動盤4の回動中心線Xから半径方向外方に離れるに連れて、その周方向他側に向かうように傾いており、それらの内部にそれぞれ収容されている各把持爪5は、各々支軸12から回動中心線Xに向かい、半径方向内方ほど周方向一側に位置するように傾いて延びる第1の位置(図1に示す位置)と、支軸12から回動中心線Xに向かい半径方向内方に略真直に延びる第2の位置(図3に示す位置)と、の間で回動するようになっている。
【0029】
そして、前記第2の位置では、各把持爪5の先端に設けられた把持面5aが最も半径方向内方に位置し、図3に示すようにナット1の外周面を把持することができる(以下、把持位置という)。一方、前記第1の位置では、前記把持位置に比べると各把持爪5の把持面5aが半径方向について外方に位置することになり、それはナット1の外周(最外周に位置する角部)から離間するようになる(以下、非把持位置という)。
【0030】
また、前記各把持爪5とその周方向一側に隣り合う長穴4bの一側内周面との間には、捻りばね13(付勢部材)が介設されており、各把持爪5をその支軸12の周りに図1の時計回りに回動するように、つまり前記把持位置に向かうように回動付勢している。一方、各把持爪5の周方向他側に隣り合う長穴4bの他側内周面には、把持爪5の先端側の側部に当接してその回動変位を把持位置までに規制する突部4d(ストッパ部)が設けられている。
【0031】
そうして捻りばね13の付勢力を受ける各把持爪5は、その先端側の側部が長穴4bの他側内周面の突部4dに当接するまで、支軸12周りに回動可能になっているが、図1のように回動盤4が待機位置にあるときには、フレーム板2,3に取り付けられた位置決め部材14,15が各々把持爪5,5と係合して、それを回動盤6の回動方向一側(図の時計回り)に押圧するようになっており、これにより各把持爪5は、捻りばね13の付勢力に抗して支軸12周りに図の反時計回りに回動され、非把持位置に位置付けられる。
【0032】
すなわち、図2にも示すように、各把持爪5にはそれぞれ支軸12よりも先端側の部位にピン16が埋め込まれており、一方の把持爪5(図の下側に位置する把持爪)のピン16は装置左側に延びてフレーム板2よりも外方に突出し、他方の把持爪5(図の上側に位置する把持爪)のピン16は装置右側に延びてフレーム板3よりも外方に突出している。そして、フレーム板2,3には、回転盤4が待機位置にあるときの把持爪5,5のそれぞれの位置に対応付けて、その各々のピン16と当接して適切に位置決めするように、鋼板からなる位置決め部材14,15が固定されている。
【0033】
そうして位置決め部材14,15によりピン16を介して押圧されて非把持位置に位置付けられているとき、各把持爪5は、前記したように各々の支軸12から回動盤4の回動中心線Xに向かう半径方向に対して、該回動盤4の回動方向である周方向の一側に傾いて、即ち該回動盤4の回動方向一側に倒れて、延びている。一方、位置決め部材14,15との係合が外れて、捻りばね13の付勢力により支軸12の周りに回動されると、各把持爪5は回動盤4の半径方向に向けて徐々に起き上がり、その先端の把持面5aがナット1の外周面に近づくようになる。
【0034】
つまり、各把持爪5は、それが非把持位置にあるときにはナット1の外周に対し倒れた状態になっており、それが徐々に起き上がりつつ、先端側からナット1の外周に近づいてゆくので、先端がナット1の角部に引っ掛かることは少ない。しかも、この実施形態では各把持爪5の先端には、前記のように非把持位置にあるときにナット1の外周に近接する側の角部を削除したように、把持面5aに連続し且つ該把持面5aから離れるほど後退する傾斜面5bが形成されており、この傾斜面5bが最初にナット1の外周に接触することになるから、把持爪5の先端がナット1の角部に引っ掛かることはない。
【0035】
尚、前記傾斜面5bの大きさや傾斜角度等は、各把持爪5の支軸12から先端までの長さやその支軸12と先端の把持面5aとの相対的な位置関係に応じて決められるものであるが、所謂面取りに比べて大きくする必要があり、例えば把持面5aの少なくとも1/5以上の面積を有し、且つ該把持面5aに対し30〜45°の範囲の傾斜角をなすことが好ましい。
【0036】
(自動締め付け装置の作動)
次に、前記のように構成された自動締め付け装置Aの作動について説明すると、まず、作業者は、例えばターンバックルのようなワークにナットを仮組みして、装置Aの前部に位置するステージ上に載置する。このステージが後方に移動すると、その上に載置されているワークがフレーム板2,3の切り欠き部2b,3bと、これに連通する回転盤4の切り欠き部4cとを通過して、該回動盤4の長穴4bの略中央にナット1が収容されるようになる。
【0037】
この際、図1に示すように回動盤4は待機位置にあり、これに取り付けられている一対の把持爪5,5はそれぞれ位置決め部材14,15との係合により非把持位置に位置付けられているので、これらの把持爪5,5の先端側とワークのナット1とが干渉することはなく、それら把持爪5,5の中間に挟まれるように、即ち回動盤4の回動中心線X上に位置するようにナット1を位置付けて、ワークを容易にセットすることができる。
【0038】
続いて駆動源10によりラック8が上向きに移動されて、ピニオンギヤ7bが図の時計回りに回動すると、この回動力を中間ギヤ7aを介して受けた回動盤4も待機位置から図の時計回りに、即ちナット1を締め付ける向きである回動方向一側へ回動される。こうして回動盤4が待機位置から離れると、把持爪5,5と位置決め部材14,15との係合が解除され、各把持爪5は捻りばね13の付勢力によって支軸12の周りに把持位置に向けて回動されることになる。
【0039】
すなわち、各把持爪5は、回動盤4の回動中心線Xに向かう半径方向に対しその回動方向一側に倒れた状態から徐々に起き上がって、その先端側がナット1の外周面に近づいてゆき、まず、傾斜面5bがナット1の外周に接触した後、さらに起き上がって、図3(a)に模式的に示すように把持面5aがナット1の外周面に当接(把持)するようになる。こうして傾斜面5bから接触することで、その接触部位がナット1の角部であっても両者が引っ掛かることはなく、把持爪5,5によってナット1をしっかりと把持することができる。
【0040】
そうしてナット1の外周を把持した一対の把持爪5,5が、図3(b)のようにナット1を回動中心線Xの周りに時計回りに(回動方向一側に)回動させるとき、その反力は各把持爪5の先端側を回動中心線Xの周りに反時計回りに(回動方向他側に)向けるように、即ち各把持爪5をその支軸12周りの回動によってさらに起き上がらせるように作用することになるので、該各把持爪5の把持面5aがナット1の外周面に強く押し付けられ、ナット1はしっかりと締め付けられる。
【0041】
しかも、この実施形態では、前記把持位置にてナット1の外周を把持している各把持爪5の先端側側部が、長穴4bの他側内周面の突部4dに当接しており、前記のように反力を受けていても、各把持爪5が把持位置を越えて支軸12の周りに図の時計回りに回動することはないから、それがナット1の外周から脱落する虞れはない。
【0042】
そして、前記のようにナット1をしっかりと締め付けた後に、駆動源10によりラック8が下向きに移動され、ピニオンギヤ7bが図1の反時計回りに回動すると、図4(a)に模式的に示すように、回動盤4も図の反時計回りに(回動方向他側に)回動されるようになる。このときには、ナット1から各把持爪5の先端側を回動中心線Xの周りに時計回りに(回動方向一側に)向けるように、即ち各把持爪5をその支軸12の周りに反時計回りに回動させて、その先端をナット1から離すような向きの力が作用することになるので、各把持爪5によるナット1の把持は解除され、回動盤4が回動方向他側に回動しても、ナット1が緩むことはない。
【0043】
尚、そうして各把持爪5によるナット1の把持が解除されても、各把持爪5が捻りばね13の付勢力を受けているので、図4(b)の如く各把持爪5の先端はナット1の外周に接触するようになるが、捻りばね13の力が過度に強くなければ、前記のようにしっかりと締め付けられているナット1が緩むことはなく、その外周を滑るように各把持爪5の先端が移動するようになる。
【0044】
そして、回動盤4が回動方向他側に回動して待機位置にまで戻れば、一対の把持爪5,5の各々が再び位置決め部材14,15と係合して非把持位置に位置付けられることになり、図1を参照して上述したように各把持爪5の先端がナット1の外周から離間するので、このナット1との干渉を招くことなく、互いに連通している切り欠き部2b,3b,4cを通過させて、ナット1の締め付けが完了したワークを容易に取り出すことができる。
【0045】
したがって、この実施形態に係る自動締め付け装置Aによると、ワークに仮組みされたナット1を締め付けるための回動盤4の回動を利用して、一対の把持爪5,5を非把持位置から把持位置まで回動させ、これによりナット1を把持するようにしたので、作業者は、テーブル上に載置したワークをセットして装置Aを作動させるだけでよく、六角形のナット1をソケット等にきちんと嵌め合わせるような面倒な作業が不要になる。よって、その負担を従来より一層、軽減できる。
【0046】
また、そうして装置Aにワークをセットするときには回動盤4が待機位置にあって、一対の把持爪5,5が非把持位置にあり、それらの先端がナット1の外周と干渉することがないので、ワークを容易にセットすることができる。同様に、ナット1の締め付けが完了した後のワークも容易に取り出すことができる。
【0047】
さらに、前記のようにナット1を自動で把持する把持爪5,5の動作は、ナット1を締め付けるための回動盤4の回動を利用して行われるので、駆動源10の他に別途、把持爪5,5の動作のためのアクチュエータを設ける必要がなく、簡略な構成でコストの上昇も抑えられる。
【0048】
尚、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、その他の種々の構成をも包含する。すなわち、前記の実施形態では、回動盤4において長穴4bの他側内周面に突部4dを形成し、これを把持爪5の先端側側部に当接させて、その回動変位を把持位置までに規制するストッパ部としているが、このようなストッパ部は設けなくてもよい。
【0049】
また、前記の実施形態では回動盤4に異形の長穴4bを設けて、その内部に把持爪5,5を収容しているが、把持爪5,5は回動盤4のいずれか一方の面上に配置することもできる。また、回動盤4の外周に外歯4aを形成することも必須の構成ではないし、該回動盤4が円形に限るものでもない。
【0050】
さらに、前記回動盤4を駆動する機構も前記実施形態のものには限定されず、ラック&ピニオン以外の如何なる機構を用いてもよいし、駆動源10もエアシリンダに限らず、油圧アクチュエータや電動モータであってもよい。
【0051】
また、前記実施形態の自動締め付け装置Aは、一例としてターンバックルに仮組みされた六角ナット1を締め付けるものであるが、ワークがターンバックルに限定されないことは勿論であり、ナット1以外の例えばボルトのような締結部品を締め付けるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上、説明したように、本発明は、自動締め付け装置において作業者の負担を可及的に軽減でき、コストの大幅な上昇を招くこともなく、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態の自動締め付け装置の要部構成を示す左側面図である。
【図2】同正面図である。
【図3】ナットを締め付ける回動盤及び把持爪の動作を模式的に示す図1相当図である。
【図4】締め付けを終えて待機位置に戻るときの図3相当図である。
【符号の説明】
【0054】
A 自動締め付け装置
X ナット及び回動盤の回転中心線
1 ナット(締結部品)
4 回動盤(回動部材)
4d 突部(ストッパ部)
5 把持爪
5a 把持面
5b 傾斜面
10 駆動源
12 把持爪の支軸
13 捻りばね(付勢部材)
14,15 位置決め部材
【出願人】 【識別番号】000201869
【氏名又は名称】倉敷化工株式会社
【出願日】 平成18年10月3日(2006.10.3)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘

【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏

【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久

【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二

【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実

【識別番号】100115691
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 篤史

【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也

【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄

【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守

【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓

【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也


【公開番号】 特開2008−87121(P2008−87121A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−271908(P2006−271908)