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【発明の名称】 ボルト挿入治具
【発明者】 【氏名】寺田 勝彦

【要約】 【課題】簡単な構造のボルト挿入治具によって、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対し、ボルトを確実に一括挿入することを可能とする。

【解決手段】ボルト保持手段26のボルトガイド30が、複数の弾性棒状部材34を環状に並べられて構成されている。複数の弾性棒状部材34によって囲まれた空間に、その基端部からボルト18を受け入れ、弾性棒状部材34がボルト18の周囲に接触することにより、ボルト18を所定の姿勢に維持し、ボルト18が不用意に脱落することを防ぐことができる。又、ボルト押出手段28のピン44をボルトガイド30に挿入し、ピン44によりボルト18に押圧を加えることで、複数の弾性棒状部材34の弾性変形を促し、ボルトガイド30の先端部から、ボルト18を繰出すことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、前記弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなるボルト保持手段と、
前記複数のボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促すための、複数の突出部を備えた、ボルト繰出し手段とを有することを特徴とするボルト挿入治具。
【請求項2】
少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、前記弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなるボルト保持手段と、
少なくとも前記ボルトガイドを貫通してその先端部が前記ボルトガイド先端部から突出する長さを有する複数のピンが、前記ボルト保持手段のボルトガイドの各位置と一致する位置関係に固定されてなるボルト繰出し手段とを有することを特徴とするボルト挿入治具。
【請求項3】
少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、前記弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなるボルト保持手段と、
該ボルト保持手段のボルトガイドの各位置と一致する位置関係に固定された、複数のパイプを有し、該パイプの長さが、少なくとも前記ボルトガイドを貫通して、その先端部が前記ボルトガイド先端部から突出するように構成され、該パイプの外径が、前記ボルトガイドに挿通可能な直径以下に構成され、該パイプの内径が、挿入に係るボルト頭部の最大直径以上に構成されてなるボルト繰出し手段とを有することを特徴とするボルト挿入治具。
【請求項4】
前記ボルト繰出し手段の各パイプが、前記ボルト保持手段の各ボルトガイドに対し挿通された状態で、前記ボルト繰出し手段と前記ボルト保持手段とを互いに離間接近自在に連結するスライドガイドと、前記ボルト繰出し手段及び前記ボルト保持手段を、前記ボルトガイドの弾性体部分に弾性変形が生じない位置に保持する付勢手段とを備えることを特徴とする請求項3記載のボルト挿入治具。
【請求項5】
前記パイプの頂部には、挿入すべきボルトの種類を表示する表示手段が設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載のボルト挿入治具。
【請求項6】
前記ボルト保持手段は、複数のボルトガイドが、ボルトガイドホルダに取り付けられてなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のボルト挿入治具。
【請求項7】
前記ボルトガイドは、複数の弾性棒状部材が環状に並べられて構成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のボルト挿入治具。
【請求項8】
前記弾性棒状部材は、基端側端部が、挿入に係るボルト頭部の最大直径以上の円周上に配置され、かつ、先端側端部が挿入に係るボルト軸部の直径以下となるように互いに接近するように形成されていることを特徴とする請求項7記載のボルト挿入治具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト挿入治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンの組付ラインにおける、エンジンブロックに対するオイルパンの固定作業等、多数のボルトを用いて部品を固定する工程において、作業効率を高めるために、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対し、ボルトを一括挿入して後、ナットランナを用いて同時に締結作業を完了することが望ましい。
このため、従来から、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対しボルトを一括挿入するための、ボルト挿入装置が用いられている。例えば、複数のボルトの軸部を自動クランプ装置で把持して、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対しボルトを一括挿入するものや(例えば、特許文献1参照。)、ボルト頭部を把持すると共にボルト締付穴を貫通するガイドピンでボルトの軸部を下方から支えることによってボルトを軸方向からクランプし、ボルトを確実に挿入穴へと案内する機構が発案されている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
これら従来のボルト挿入装置は、何れもクランプ機構及びその制御装置を備えるものであり、構造の複雑化や設備コストの増大を避けることができないという欠点があった。そこで、本出願人は、簡単な構造でありながら、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対しボルトを一括挿入することが可能な治具として、図10に示されるボルト挿入治具を開発した。
図示のボルト挿入治具10は、プレート14とガイドパイプ16とからなるものである。プレート14には、エンジンに固定されるオイルパン12の複数のボルト締付穴の位置に合わせて、ボルトを挿通するための穴が複数形成されている。そして、各穴の周囲を囲むようにして、ボルトを挿通させるためのガイドパイプ16が、プレート14に固定されている。又、プレート14には、作業者が把持するためのグリップ15が固定されている。更に、ガイドパイプ16は、図11に示されるように、オイルパン12に形成された各ボルト締付穴のボルト座面20に到達する長さに形成され、かつ、その内径は、ボルト18の頭部18aの最大直径D(図示のフランジつきボルトの場合は、フランジ部の直径。)よりも大きく、ガイドパイプ16内をボルト18が円滑に落下するためのクリアランスが確保されている。なお、プレート14及びガイドパイプ16には透明な硬質プラスチックが用いられていることにより、作業者は、オイルパン12の各ボルト締付穴のボルト座面20に対するガイドパイプ16の位置決めを、目視により容易に行うことが可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開平3−121728号公報
【特許文献2】特開平10−249653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、ボルト挿入治具10を用い、エンジンブロックにオイルパン12を固定する手順は、以下の通りである。まず、エンジン組付ライン上を移動するエンジンブロックの下面を上方に向けて、オイルパン12を載置する。続いて、作業者がグリップ15を把持し、オイルパン12の各ボルト締付穴のボルト座面20にボルト挿入治具10の各ガイドパイプ16を位置合わせして、ボルト挿入治具10をオイルパン12上に載置する。そして、各ガイドパイプ16にボルト18を投入する。
一方、かかるボルト18の投入作業の際に、ガイドパイプ16の内径が、ボルト18の頭部18aの最大直径Dよりも大きく形成されているために、ガイドパイプ16に挿入されたボルト18に傾きが生じ、ボルト18の軸部18bの先端が、ボルト座面20に乗り上げてしまう虞がある。そこで、作業者はグリップ15を把持してボルト挿入治具10を水平に揺すり、ボルト座面20に乗り上げたボルト18の軸部18bの先端を、ボルト締付穴に確実に落とし込む必要がある。その後、ボルト挿入治具10を退けることで、各ボルト18がオイルパン12の各ボルト締付穴に一致した状態で残される。よって、ナットランナにより各ボルト18の締結を行うことができる。
【0006】
このように、図10、図11に示されたボルト挿入治具10においては、全てのボルト18をボルト締付穴に確実に落とし込むために、ボルト18の投入後にボルト挿入治具10を揺するといった、エンジン組付ライン上での無駄な作業を要求されるものであった。又、ガイドパイプ16の内径は、ボルト18が円滑に通過するように構成されているため、エンジン組付ラインの外で予めボルト挿入治具10のガイドパイプ16にボルト18を供給して、待機させておくことが出来ず、必ず、エンジン組付ライン上にてボルト挿入治具10のガイドパイプ16をボルト締付穴に一致させた状態でボルトを供給する必要があった。このため、エンジン組付ラインの構成に、ボルト18を挿入する作業に係る十分なライン長を確保する必要があり、エンジン組付ラインの長大化を来たす一因となっていた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構造のボルト挿入治具によって、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対し、ボルトを確実に一括挿入することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のボルト挿入治具は、複数のボルトを所定の姿勢に正確に保持することが可能で、かつ、必要なタイミングでその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドを備えることにより、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対し、ボルトを確実に一括挿入するものである。このボルト挿入治具は、ボルトを受け入れた状態でボルトの落下を防ぐことが出来るものであり、ボルト挿入治具に対するボルトの供給場所や、供給姿勢、ボルト締付穴に対するボルト挿入姿勢に制限を受けることがない。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0008】
(1)少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、前記弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなるボルト保持手段を有するボルト挿入治具。
本項に記載のボルト挿入治具は、少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に維持するボルトガイドを備えるものであることから、かかる弾性体部分の弾性力によってボルトを保持し、ボルト挿入治具のボルトガイドに供給されたボルトが、不用意に脱落することを防ぐことができる。従って、ボルト挿入治具に対するボルトの供給場所や、ボルトの供給姿勢に制限を受けることが無くなる。しかも、ボルト若しくはボルトガイド自体に押圧を付与すること等によって、ボルトガイドを構成する弾性体部分の弾性変形を促すことで、ボルトガイドの先端部からボルトを繰出すことが可能となっているので、例えば、水平方向又は下方から上方へと向けて、ボルトガイドの先端部からボルトを繰出すことが可能となり、ボルト締付穴に対するボルト挿入姿勢に制限を受けることがなくなる。
【0009】
しかも、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなることから、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴の各々に対し、ボルトを確実に一括挿入することが可能となる。
なお、ボルトガイドは、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に維持するものであれば、ボルトガイドを構成する弾性体部分は、ボルトガイドの全体であっても一部であっても良い。ボルトガイドの全体が弾性体部分によって構成されていれば、ボルトガイドは最も単純な構造となる。又、例えば、ボルトの周囲を囲むようにボルトに接触する部分については弾性変形に乏しい硬質の部材で構成し、かかる硬質の部材を、弾性体によって保持する構造とすることも可能である。
【0010】
(2)少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、前記弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなるボルト保持手段と、前記複数のボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促すための、複数の突出部を備えた、ボルト繰出し手段とを有するボルト挿入治具(請求項1)。
本項に記載のボルト挿入治具は、(1)の構成に加え、複数のボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促すための、複数の突出部を備えた、ボルト繰出し手段を有するものである。この、ボルト繰出し手段の複数の突出部によって、ボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促すことで、ボルトガイドに保持されたボルトを、ボルトガイドの先端部から繰出すことが可能となる。しかも、各ボルトガイドの先端部から、ボルトを同時に繰出すことが可能となる。当然に、(1)の構成により得られる作用効果を(2)の構成によっても得ることができる。
【0011】
(3)少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、前記弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなるボルト保持手段と、少なくとも前記ボルトガイドを貫通してその先端部が前記ボルトガイド先端部から突出する長さを有する複数のピンが、前記ボルト保持手段のボルトガイドの各位置と一致する位置関係に固定されてなるボルト繰出し手段とを有することを特徴とするボルト挿入治具(請求項2)。
本項に記載のボルト挿入治具は、上記(1)の構成に加え、少なくとも前記ボルトガイドを貫通してその先端部が前記ボルトガイド先端部から突出する長さを有する複数のピンが、前記ボルト保持手段のボルトガイドの各位置と一致する位置関係に固定されてなるボルト繰出し手段とを有するものである。この、ボルト繰出し手段の複数のピンを、ボルト保持手段のボルトガイドの位置に一致させ、ピンをボルトガイドに挿入して、ボルトガイドに供給されたボルトに当接させる。そして、ピンによってボルトに押圧を加えることで、ボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促し、その先端部からボルトを繰出すことが可能となる。当然に、(1)の構成により得られる作用効果を(3)の構成によっても得ることができる。
【0012】
なお、ピンは、ボルトに押圧を加えることが可能なだけの強度を備えていれば、金属製であっても、樹脂製であっても良い。また、その形状は、最も単純な例は一定の断面形状を有する丸棒若しくは角棒であるが、他の形状を採用することも可能である。要するに、ピンは、ボルトに押圧を加えることが可能なだけの強度を備え、かつ、少なくとも前記ボルトガイドを貫通してその先端部が前記ボルトガイド先端部から突出する長さを有するものであれば良い。
【0013】
(4)少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、前記弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴と一致する位置関係に固定されてなるボルト保持手段と、該ボルト保持手段のボルトガイドの各位置と一致する位置関係に固定された、複数のパイプを有し、該パイプの長さが、少なくとも前記ボルトガイドを貫通して、その先端部が前記ボルトガイド先端部から突出するように構成され、該パイプの外径が、前記ボルトガイドに挿通可能な直径以下に構成され、該パイプの内径が、挿入に係るボルト頭部の最大直径以上に構成されてなるボルト繰出し手段とを有するボルト挿入治具(請求項3)。
【0014】
本項に記載のボルト挿入治具は、上記(1)の構成に加え、前記ボルト保持手段のボルトガイドの各位置と一致する位置関係に固定された、複数のパイプを有し、該パイプの長さが、少なくとも前記ボルトガイドを貫通して、その先端部が前記ボルトガイド先端部から突出するように構成され、該パイプの外径が、前記ボルトガイドに挿通可能な直径以下に構成され、該パイプの内径が、挿入に係るボルト頭部の最大直径以上に構成されてなるボルト繰出し手段とを有するものである。
そして、ボルト繰出し手段の複数のパイプを、予めボルト保持手段のボルトガイドの位置に一致させて、前記弾性体部分の弾性変形が生じない深さまでボルトガイドに挿入した状態で、パイプにボルトを供給することができる。そして、各パイプに供給されたボルトは、パイプ内を通過してボルトガイドに到達し、ボルトガイドの弾性体部分の弾性力によって保持されるので、ボルト挿入治具のボルトガイドに供給されたボルトが、不用意に脱落することを防ぐことができる。かかる状態から、ボルト繰出し手段の各パイプによってボルトガイドに押圧を加えることで、ボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促し、ボルトガイドの直径を拡大させることにより、その先端部からボルトを繰出すことが可能となる。このように、ボルトガイドの直径の拡大をパイプによって行うことにより、ボルトガイドからからボルトを繰出す際に、ボルトの軸部がボルトガイドと摺動することによるダメージを受けることがない。又、当然に、(1)の構成により得られる作用効果を(4)の構成によっても得ることができる。
なお、パイプは、挿入に係るボルトを所定の姿勢に維持し、かつ、ボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促す機能を備えるものであれば良いことから、その断面形状は、単純な円形に限らず、多角形、星形、楕円形等、必要に応じ種々に構成することが望ましい。又、パイプの断面積は、必ずしもその全長にわたって一定である必要はなく、ボルトを所定の姿勢に維持しながら挿通することが可能であればよい。更に、パイプの強度についても、上記機能を発揮し得る強度を備えていればよく、材質もプラスチック、ゴム、金属等適宜選択することが可能である。
【0015】
(5)上記(4)において、前記ボルト繰出し手段の各パイプが、前記ボルト保持手段の各ボルトガイドに対し挿通された状態で、前記ボルト繰出し手段と前記ボルト保持手段とを互いに離間接近自在に連結するスライドガイドと、前記ボルト繰出し手段及び前記ボルト保持手段を、前記ボルトガイドの弾性体部分に弾性変形が生じない位置に保持する付勢手段とを備えるボルト挿入治具(請求項4)。
本項に記載のボルト挿入治具は、(4)の構成に加え、ボルト繰出し手段とボルト保持手段とが、スライドガイドを介して連結されることにより、ボルト繰出し手段とボルト保持手段とが、常時、一体をなしている。よって、ボルト保持手段に対しボルト繰出し手段をセットする手間が無くなり、ボルト挿入作業の所要時間が短縮される。なお、前述のように、ボルト繰出し手段のパイプの内径が、挿入に係るボルト頭部の最大直径以上に構成されていることから、当然に、ボルト繰出し手段の各パイプがボルト保持手段の各ボルトガイドに挿通された状態で、パイプを介してボルトをボルト保持手段の各ボルトガイドに投入することが可能である。又、ボルト繰出し手段とボルト保持手段とが、付勢手段によって、ボルトガイドの弾性体部分に弾性変形が生じない位置に保持されることにより、ボルト繰出し手段のパイプを通過したボルトの先端部が、ボルトガイドによって確実に保持されることとなる。そして、ボルトガイドの先端からボルトを繰出す際には、付勢手段に対抗して、ボルト繰出し手段をボルト保持手段に接近させ、ボルト繰出し手段の各パイプによってボルトガイドに押圧を加えることで、ボルトガイドの弾性体部分の弾性変形を促し、ボルトガイドの直径を拡大させることにより、その先端部からボルトを繰出すことが可能となる。
【0016】
(6)前記パイプの頂部には、挿入すべきボルトの種類を表示する表示手段を備えることを特徴とするボルト挿入治具(請求項5)。
本項に記載のボルト挿入治具は、(4)、(5)の構成において、各ボルトガイドに挿入されたパイプへと供給すべきボルトの種類が、パイプの頂部に設けられた表示手段によって把握され、ボルトの供給作業を確実に行うことが可能となる。
【0017】
(7)前記ボルト保持手段は、複数のボルトガイドが、ボルトガイドホルダに取り付けられてなることを特徴とするボルト挿入治具(請求項6)。
本項に記載のボルト挿入治具は、複数のボルトガイドがボルトガイドホルダに取り付けられてなる、すなわち、複数のボルトガイドとボルトガイドホルダとは別体であることから、ボルトガイドホルダに対するボルトガイドの位置を変更することで、ボルト締付穴の位置が異なるボルト締付対象物に対し、ボルトガイドの位置を変更して用いることが容易となり、汎用性が高まるものとなる。
なお、ボルトガイドホルダは、各ボルトガイドを所定の位置関係に固定可能なものであれば良く、かつ、ボルトガイドの先端位置が視認可能であることが望ましい。よって、ボルトガイドホルダには、従来のボルト挿入治具のプレートと同様に透明板を用いることとしてもよく、又、棒状又は板状の部材を組み合わせて、所定の位置にボルトガイドを保持することが出来るように構成したフレームを、ボルトガイドホルダとして用いることも可能である。
【0018】
(8)前記ボルトガイドは、複数の弾性棒状部材が環状に並べられて構成されることを特徴とするボルト挿入(請求項7)。
本項に記載のボルト挿入治具は、複数の弾性棒状部材が環状に並べられて構成されるものであり、複数の弾性棒状部材によって囲まれた空間に、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、複数の弾性棒状部材の弾性変形を促すことによって、その先端部からボルトを繰出すことが可能な、複数のボルトガイドが構成されるものである。
【0019】
なお、ボルトガイドを構成する複数の弾性棒状部材の配列は、単純な円形に限らず、多角形、星形、楕円形等、必要に応じ種々に構成することが望ましい。又、弾性棒状部材に代えて、例えば短冊状の弾性部材を並べ、複数の短冊状の弾性部材によって囲まれた空間に、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、複数の短冊状の弾性部材の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能なボルトガイドを構成することも可能である。更には、例えばゴム等の弾性体からなる管状一体の部材を用い、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、なおかつ、管状一体の部材の弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能なボルトガイドを構成することとしても良い。要するに、ボルトガイドは、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に保持し、全体として、弾性変形を促すことによってその先端部からボルトを繰出すことが可能な管状の形態を有していれば良く、それが、複数の部材の集合体であってもよく、一体の部材であっても良い。
【0020】
(9)前記弾性棒状部材は、基端側端部が、挿入に係るボルト頭部の最大直径以上の円周上に配置され、かつ、先端側端部が挿入に係るボルト軸部の直径以下となるように互いに接近するように形成されていることを特徴とするボルト挿入治具(請求項8)。
本項に記載のボルト挿入治具は、ボルトガイドを構成する弾性棒状部材の基端側端部が、挿入に係るボルト頭部の最大直径以上の円周上に配置されていることにより、その基端部からボルトを円滑に受け入れることができる。そして、先端側端部が挿入に係るボルト軸部の直径以下となるように互いに接近するように形成されていることで、かかる先端側端部が周囲を囲むようにボルトに接触することにより、ボルトを所定の姿勢に維持することができる。
【0021】
ここで、各弾性棒状部材は、基端部において互いに平行で、途中から先端部にかけて互いに接近するように折れ曲がる(若しくは弓状に湾曲する)形状であってもよく、又、基端部から先端部に向けて全体がすり鉢状に直径を減少させるものであっても良い。これらの形態例は、前述のごとく複数の短冊状の弾性部材によってボルトガイドが構成される場合であっても、ゴム等の弾性体からなる管状一体の部材によってボルトガイドが構成される場合であっても同様である。又、先端側端部がボルト周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に維持することが可能であれば、先端側端部の配置が挿入に係るボルト軸部の直径を超えるものであっても良い。そして、何れの場合であっても、ボルトガイド先端部から、ボルト軸部の先端が突出するようにしてボルトが保持される場合には、ボルト軸部の先端自体が、ボルト締付穴との位置合せを行う際のガイド手段として機能する。一方、ボルトガイド先端部から、ボルト軸部の先端が突出しないようにしてボルトが保持される場合には、ボルトガイド先端部が、ボルト締付穴との位置合せを行う際のガイド手段として機能する。
【0022】
(10)ボルトガイドの長さが異なる、又は、ボルトガイドの長さは同一であるが、ボルトガイドホルダの各ボルトガイド取り付け位置に、段差が設けられていることを特徴とするボルト挿入治具。
本項に記載のボルト挿入治具は、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴のボルト座面に高低差があるような場合であっても、ボルトガイドの長さが異なる、又は、ボルトガイドの長さは同一であるが、ボルトガイドホルダの各ボルトガイド取り付け位置に、段差が設けられている、更にはこれらが組み合わされた構造とすることにより、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴の各々に対し、ボルトを確実に一括挿入することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明はこのように構成したので、簡単な構造のボルト挿入治具によって、ボルト締付対象物の複数のボルト締付穴に対し、ボルトを確実に一括挿入することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分には同一符号を付し、詳しい説明を省略する。
本発明の第1の実施の形態に係るボルト挿入治具22は、図1に示されるように、エンジンブロック24にオイルパン12を固定するボルト18の挿入治具であり、ボルト保持手段26と、ボルト繰出し手段28とを有している。
【0025】
ボルト保持手段26は、図2、図3に示されるように、ボルトガイド30と、ボルトガイドホルダ32とを備えている。ボルトガイド30は、少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルトを受け入れて周囲を囲むようにボルト18に接触することによりボルト18を所定の姿勢に保持し、なおかつ、弾性体部分の弾性変形を促すことによってその先端部からボルト18を繰出すことが可能となっている。そして、複数のボルトガイド30が、オイルパン12の複数のボルト締付穴と一致する位置関係で、ボルトガイドホルダ32に固定されてなるものである。
【0026】
本実施の形態では、ボルトガイド30は、複数の金属製の弾性棒状部材34が、ボルトを挿通するための、複数の穴36の周囲に固定されてなるものである。ボルトガイドホルダ32の穴36は、オイルパン12の複数のボルト締付穴の位置に合わせて形成されている。
より詳細には、各弾性棒状部材34は、ボルトガイドホルダ32の穴36に嵌合するボスを備えるブラケット38に固定されており、ブラケット38をボルトガイドホルダ32にネジ止めすることによって、弾性棒状部材34がボルトガイドホルダ32の穴36の周囲に固定されるものである。各弾性棒状部材34は、ボルト18の頭部18aの最大直径D(図4参照)以上の直径を有する円周上に等間隔で配置されている。又、各弾性棒状部材34は、基端部において互いに平行となっており、途中から先端部にかけて互いに接近するように折れ曲がり、先端側端部がボルト軸部18bの直径以下となるよう、互いに接近するように形成されている。
【0027】
又、ボルトガイドホルダ32は、本実施の形態では、透明な硬質プラスチック板であり、ボルトガイドホルダ32には、ボルトガイド30に加え、オイルパン12の所定の位置決め穴と係合する位置決めピン40(三箇所)及びグリップ42がネジ止めされている。
【0028】
一方、ボルト繰出し手段28は、図1、図6に示されるように、少なくともボルトガイド30を貫通してその先端部がボルトガイド30先端部から突出する長さを有する複数のピン44(突出部)が、ボルト保持手段26のボルトガイド30の各位置と一致する位置関係に固定されてなるものである。本実施の形態では、ピン44は金属製の丸棒であり、各ピン44が、透明な硬質プラスチック板からなるピンホルダ46に、ネジ止めによって固定された構造を有している。なお、ピン44の長さは、図1のごとく、ボルト保持手段26のボルトガイド30に、ボルト繰出し手段28のピン44が挿入され、ボルト繰出し手段28のピンホルダ46の下面が、ボルト保持手段26のグリップ42(図2、図3参照)に当接するように重ねられた状態で、ピン44の先端部がボルトガイド30先端部から突出するように構成されている。
【0029】
本発明の第1の実施の形態に係るボルト挿入治具22を用い、エンジンブロック24にオイルパン12を固定する手順は、以下の通りである。
まず、予め、エンジン組付ラインの側方等メインラインから外れた場所で、ボルト保持手段26の各ボルトガイド30にボルト18を投入する。
このとき、図4に示されるように、各弾性棒状部材34は、ボルト18の頭部18aの最大直径D以上の直径を有する円周上に等間隔で配置され、かつ、各弾性棒状部材34は、基端部において互いに平行となっていることから、ボルト18はボルトガイド30の基端部から、複数の弾性棒状部材34によって囲まれた空間を落下する。そして、各弾性棒状部材34が、途中から先端部にかけて互いに接近するように折れ曲がり、先端側端部がボルト軸部18bの直径以下となるよう、互いに接近するように形成されていることから、弾性棒状部材34の先端側端部がボルト18の軸部18の側面に当接し、弾性棒状部材34の各先端部を結ぶ円の直径を若干押し広げるようにして、弾性棒状部材34を弾性変形させる。そして、ボルト18の軸部18aの先端が、ボルトガイド30の先端部から突出するようにしてボルト18が保持される。この状態で、ボルト18はボルトガイド30によって保持された状態となり、ボルト保持手段26を横向きとし、あるいは、裏返すような操作をしても、ボルト18がボルトガイド30から脱落することはない。なお、各ボルトガイド30に対するボルト18の投入作業には、フィーダーを用い自動化を図ることが可能である。
【0030】
続いて、エンジン組付ライン上を移動するエンジンブロック24に載置されたオイルパン12のボルト締付穴48に対し、図5に示されるように、ボルト保持手段26の先端部から突出するボルト18の軸部18aの先端を一致させる。この際、ボルトガイド30を構成する弾性棒状部材34、ボルトガイドホルダ32の変形により、若干の位置ずれを吸収し、確実にボルトの軸部18aをボルト締付穴48に落とし込むことが可能である。なお、ボルト保持手段26は、位置決めピン40をオイルパン12の位置決め穴50に係合させた状態で、オイルパン12上に載置される。
【0031】
続いて、図1、図6に示されるように、ボルト繰出し手段28の複数のピン44を、ボルト保持手段26の各ボルトガイド30の位置に一致させ、ピン44をボルトガイド30に挿入することで、ボルトガイド30に供給されたボルト18の頭部18aに当接させる。そして、ピン40によってボルト18の頭部18aに押圧を加えることで、ボルトガイド30の弾性棒状部材34の弾性変形を促し、ボルトガイド30の先端部からボルト18を繰出す。
なお、ボルトガイド30の先端部からボルト18を繰出す際の、実際の作業手順としては、ピン44をボルトガイド30に挿入し、ボルトガイド30に供給されたボルト18の頭部18aにピン44が当接した時点で、作業者は、ボルト保持手段26及びボルト繰出し手段28の周端部を一緒に掴み、ボルト保持手段26を、ボルト繰出し手段28に向けて引き上げる。そして、ボルト保持手段26及びボルト繰出し手段28を一体に持ち上げる、といった手順となる。
【0032】
さて、上記構成をなす本発明の第1の実施の形態によって得られる作用効果は、以下の通りである。
まず、ボルト保持手段26のボルトガイド30が、少なくとも一部分が弾性体で構成され、その基端部からボルト18を受け入れて周囲を囲むようにボルトに接触することによりボルトを所定の姿勢に維持するものであることから、かかる弾性体部分(本実施の形態では、弾性棒状部材34)の弾性力によってボルト18を保持し、ボルトガイド30に供給されたボルト18が、ボルト挿入治具22から不用意に脱落することを防ぐことができる。従って、ボルト挿入治具22に対するボルト18の供給場所を、従来のごとくエンジン組付ライン上に設定する必要がなく、ボルト挿入治具22に対するボルト18の供給姿勢に制限を受けることも無くなる。
【0033】
しかも、ボルトガイド30を構成する弾性体部分の弾性変形を促すことによって、ボルトガイド30の先端部からボルト18を繰出すことが可能となっているので、例えば、水平方向又は下方から上方へと向けて、ボルトガイド30の先端部からボルト18を繰出すことが可能となり、ボルト締付穴に対するボルト18の挿入姿勢に制限を受けることがなくなる。
このため、例えば、エンジンブロック24の側面にチェーンカバーを固定する際の、チェーンカバーボルトの挿入作業を、横方向から行うことも可能となる。又、必要に応じ、エンジンブロック24の上下方向を逆にすることなく、エンジンブロック24の下方から、オイルパン12を装着し、この際、下方からボルト18を供給することも可能となる。なお、下方からボルト18を供給する場合には、ボルトガイド30の先端部からピン44でボルト18を押出してしまうと、重力でボルト18が落下してしまう。そこで、ボルトガイド30でボルト18を保持した状態で、ボルトガイド30内にソケットを入れ、直接ボルト18の締付作業を行うこととする。
【0034】
又、複数のボルトガイド30が、ボルト締付対象物(本実施の形態では、オイルパン12)の複数のボルト締付穴48と一致する位置関係に固定されていることから、ボルト締付対象物12の複数のボルト締付穴48の各々に対し、ボルト18を確実に一括挿入することが可能となる。本実施の形態に係るボルト挿入治具22によれば、従来のボルト挿入治具10(図10、図11)のごとく、ボルト18の軸部18bの先端が、ボルト座面20に乗り上げてしまう虞が無く、作業者はボルト挿入治具22を水平に揺すり、ボルト座面20に乗り上げたボルト18の軸部18bの先端を、ボルト締付穴48に落とし込む作業が不要となる。かかる作業が不要となることによる時間短縮効果の一例として、本発明の第1の実施の形態に係るボルト挿入治具22を用い、2つのオイルパン及びチェーンカバーのボルト挿入を行った場合、従来のボルト挿入治具10との差として、各部品毎に3秒、合計9秒の時間短縮を図ることが可能となる。
【0035】
又、ボルト繰出し手段28が、少なくともボルトガイド30を貫通してその先端部がボルトガイド30の先端部から突出する長さを有する複数のピン44を、ボルト保持手段26のボルトガイド30の各位置と一致する位置関係に固定されてなるものであることから、ピン44をボルトガイド30に挿入し、ボルトガイド30に供給されたボルト18に当接させて、ピン44によりボルト18に押圧を加えることで、ボルトガイド30の弾性体部分34の弾性変形を促し、ボルトガイド30の先端部から、ボルト18を繰出すことが可能となる。よって、ボルト挿入治具22から不用意にボルト18が脱落することはなく、必要な時に必要な場所に対し、確実にボルト18を供給することが可能となる。
【0036】
又、ボルト保持手段26は、複数のボルトガイド30が、ボルトガイド30とは別体のボルトガイドホルダ32に取り付けられてなることにより、ボルトガイドホルダ32に対するボルトガイド30の位置を変更することで、ボルト締付穴の位置が異なるボルト締付対象物に対し、ボルトガイド30の位置を変更して用いることが容易となる。よって、ボルト挿入治具22としての汎用性が高まるものとなる。
又、ボルト保持手段26のボルトガイド30は、複数の弾性棒状部材34が環状に並べられて構成されることにより、複数の弾性棒状部材34によって囲まれた空間に、その基端部からボルト18を受け入れて周囲を囲むようにボルト18に接触することにより、ボルト18を所定の姿勢に保持し、なおかつ、複数の弾性棒状部材34の弾性変形を促すことによって、その先端部からボルト18を繰出すことが可能となる。
【0037】
更に、ボルトガイド30を構成する弾性棒状部材34の基端側端部が、ボルト頭部18aの最大直径D以上の円周上に配置されていることにより、その基端部からボルト18を受け入れることとができる。そして、弾性棒状部材34の先端側端部がボルト軸部18bの直径以下となるように互いに接近するように形成されていることで、弾性棒状部材34がボルト18の周囲を囲むようにボルト18に接触し、ボルト18を所定の姿勢に維持することができる。
【0038】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るボルト挿入治具について、図7から図9を参照しながら説明する。ここで、本発明の第1の実施の形態と同一部分、若しくは相当する部分には同一符号を付し、詳しい説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態に係るボルト挿入治具52も、ボルト保持手段26とボルト繰出し手段54とを備えている。ここで、ボルト保持手段26は、本発明の第1の実施の形態に係るボルト挿入治具22のボルト保持手段26と同様の構成を有することから、詳しい説明を省略するが、ボルト繰出し手段54は以下の特徴を有している。
【0039】
具体的には、図7から図9に示されるように、ボルト挿入治具52のボルト繰出し手段54は、少なくともボルトガイド30を貫通してその先端部がボルトガイド30先端部から突出する長さを有する複数のパイプ56(突出部)が、ボルト保持手段26のボルトガイド30の各位置と一致する位置関係に固定されてなるものである。又、パイプ56の外径は、ボルトガイド30に挿通可能な直径以下に構成され、パイプ56の内径は、挿入に係るボルト18のボルト頭部18aの最大直径以上に構成されている。なお、本実施の形態では、各パイプ56が、格子状に形成された透明な硬質プラスチック板からなるパイプホルダ58に、ネジ止めによって固定された構造を有している。
【0040】
又、ボルト挿入治具52は、ボルト繰出し手段54の各パイプが、ボルト保持手段26の各ボルトガイド30に対し挿通された状態で、ボルト繰出し手段54とボルト保持手段26とを互いに離間接近自在に連結するスライドガイド60と、ボルト繰出し手段54及びボルト保持手段26を、ボルトガイド30の弾性体部分(弾性棒状部材34)に弾性変形が生じない位置に保持する付勢手段62とを備えている。本実施の形態では、図8に示されるように、スライドガイド60は、オイルパン12の所定の位置決め穴と係合する位置決めピン40(四箇所)を構成するスリーブと、該スリーブの中心部に立設され、パイプホルダ58を貫通し、先端部にナット等の抜け止め64が取り付けられたロッド66と、パイプホルダ58に固定され、ロッド66沿って摺動し、位置決めピン40の内部に格納されるスプール68とで構成されているが、他の構造のスライドガイドを用いることも可能である。
又、付勢手段62は、本実施の形態ではコイルばねが用いられ、かかるコイルばね62は、スプール68を囲むように配置され、ボルトガイドホルダ32とパイプホルダ58との間に挟持されているが、他の弾性手段を用いることも可能である。なお、ボルト保持手段26のボルトガイドホルダ32には、パイプホルダ58のパイプホルダ58を避ける位置に、グリップ42がネジ止めされている。
【0041】
そして、ボルト繰出し手段54は、通常は、付勢手段62によって、図9(a)に実線で示されるように、ボルト保持手段26に対し離間した互いに保持されている。又、パイプ56の先端が、ボルトガイド30を構成する各弾性棒状部材34の、互いに平行な基端部の途中から、先端部にかけて互いに接近するように折れ曲がる部分を、押し広げることのない高さに保持されている。一方、付勢手段62に対抗して、ボルト繰出し手段54のパイプホルダ58を、図9(a)に仮想線で示されるように、ボルト保持手段26のボルトガイドホルダ32へと接近させることで、パイプ56の先端が、ボルトガイド30を構成する各弾性棒状部材34の、互いに平行な基端部の途中から、先端部にかけて互いに接近するように折れ曲がる部分を、押し広げる。
【0042】
又、図9(a)、(b)に示されるように、各パイプ56の頂部56aには、パイプホルダ58の穴70にパイプ56が嵌合した状態で、パイプ56をパイプホルダ58にネジ止めするためのブラケット72が固定されている。そして、挿入すべきボルトの種類を表示する表示手段として、ブラケット72に、ボルトの種類が印字、刻印され、又は、ボルトの種類に応じて定められた色付けが施されることで、透明な硬質プラスチック板からなるパイプホルダ58を介して、作業者がブラケット72の表示を視認することができる。なお、パイプホルダ58の穴70を貫通して上部から視認可能なパイプ56の頂部56aや内壁等を、着色することとしてもよく、パイプホルダ58が不透明の場合に有効である。
【0043】
以上の構成を有する、本発明の第2の実施の形態に係るボルト挿入治具52を用い、エンジンブロック24にオイルパン12を固定する手順は、以下の通りである。
まず、予め、エンジン組付ラインの側方等メインラインから外れた場所で、ボルト押出し手段54のパイプホルダ58上に開口するパイプ56へと、ボルト18を投入する。
このとき、ボルト18はパイプ56内部を落下し、第1の実施の形態と同様に、弾性棒状部材34の先端側端部がボルト18の軸部18の側面に当接し、弾性棒状部材34の各先端部を結ぶ円の直径を若干押し広げるようにして、弾性棒状部材34を弾性変形させる。そして、ボルト18の軸部18aの先端が、ボルトガイド30の先端部から突出するようにしてボルト18が保持される。この状態で、ボルト18はボルトガイド30によって保持された状態となり、ボルト保持手段26を横向きとし、あるいは、裏返すような操作をしても、ボルト18がボルトガイド30から脱落することはない。
【0044】
続いて、第1の実施の形態と同様に、エンジン組付ライン上を移動するエンジンブロック24に載置されたオイルパン12のボルト締付穴48に対し、ボルト保持手段26の先端部から突出するボルト18の軸部18aの先端を一致させる。
そして、ボルト繰出し手段54のパイプホルダ58を、図8、図9(a)に仮想線で示されるように、ボルト保持手段26のボルトガイドホルダ32へと接近させることで、パイプ56の先端が、ボルトガイド30を構成する各弾性棒状部材34の弾性変形を促し、弾性棒状部材34の互いに平行な基端部の途中から、先端部にかけて互いに接近するように折れ曲がる部分を押し広げることにより、ボルトガイド30の先端部からボルト18を繰出すことができる。
【0045】
さて、上記構成をなす本発明の第2の実施の形態によって得られる作用効果は、以下の通りである。
本実施の形態では、ボルト繰出し手段54の複数のパイプ56を、予めボルト保持手段26のボルトガイド30の位置に一致させて、各弾性棒状部材34の弾性変形が生じない深さまでボルトガイド30に挿入した状態で、パイプ56にボルト18を供給することができる。そして、各パイプ56に供給されたボルトは、パイプ56内を通過して、ボルトガイド30の弾性体部分の弾性力によって保持されるので、ボルト挿入治具52のボルトガイド30に供給されたボルト18が、不用意に脱落することを防ぐことができる。一方、ボルト繰出し手段52の各パイプ56によってボルトガイド30に押圧を加えることで、ボルトガイド30の各弾性棒状部材34の弾性変形を促し、ボルトガイド30の直径を拡大させることにより、その先端部からボルト18を繰出すことが可能となる。このように、ボルトガイド30の直径の拡大をパイプ56によって行うことにより、ボルト18の軸部18bがボルトガイド30の各弾性棒状部材34と摺動することによるダメージを受けることがなくなる。
【0046】
又、ボルト繰出し手段54とボルト保持手段26とが、スライドガイド60を介して連結され、ボルト繰出し手段54とボルト保持手段26とが、常時、一体をなしていることから、ボルト保持手段26に対しボルト繰出し手段54をセットする手間が無くなる。一例として、本発明の第1の実施の形態との比較において、一回のボルト挿入作業につき4秒の時間短縮となる。なお、ボルト繰出し手段54のパイプ56の内径が、挿入に係るボルト18のボルト頭部18aの最大直径以上となっていることから、当然に、ボルト繰出し手段54の各パイプ56がボルト保持手段26の各ボルトガイド30に挿通された状態で、パイプ56を介してボルト18をボルト保持手段26の各ボルトガイド30に投入することが可能である。
【0047】
又、ボルト繰出し手段54とボルト保持手段26とが、付勢手段62によって、ボルトガイド30の各弾性棒状部材34に弾性変形が生じない位置に保持されることから、ボルト繰出し手段54のパイプ56を通過したボルト18の先端部が、ボルトガイド30によって確実に保持されることとなる。更に、ボルトガイド30の先端からボルト18を繰出す際には、付勢手段62に対抗して、ボルト繰出し手段54をボルト保持手段26に接近させ、ボルト繰出し手段54の各パイプ56によってボルトガイド30に押圧を加えることで、ボルトガイド30の各弾性棒状部材34の弾性変形を促し、ボルトガイド30の直径を拡大させることにより、その先端部からボルト18を繰出すことが可能となる。
【0048】
しかも、各ボルトガイド30に挿入されたパイプ56へと供給すべきボルト18の種類が、パイプ18の頂部に設けられた表示手段によって把握され、ボルトの供給作業を確実に行うことが可能となる。かかる表示手段としては、各パイプ56の上端部に固定されたブラケット72を、挿入すべきボルトの種類を表示するための表示部として利用したり、又、パイプ56の頂部56aを表示部として利用することができる。
その他、本発明の第1の実施の形態と同様の作用効果については、詳しい説明を省略する。
【0049】
以上のごとく、本発明の第1、第2の実施の形態は、ボルト繰出し手段28、52が、複数のボルトガイド30の弾性体部分の弾性変形を促すための、複数の突出部(ピン44、パイプ56)を備えたものである。そして、ボルト繰出し手段28、52の複数の突出部(ピン44、パイプ56)によって、ボルトガイド30の弾性棒状部材34の弾性変形を促すことで、ボルトガイド30に保持されたボルト18を、ボルトガイド30の先端部から繰出すことが可能となる。しかも、各ボルトガイド30の先端部から、ボルト18を同時に繰出すことが可能となるものである。
なお、本発明の各実施の形態では、本発明に係るボルト挿入治具を、エンジンブロックに対するオイルパンの固定用ボルトの挿入作業に利用した場合を例示して説明したが、この他の、多数のボルトを用いて部品を固定する工程にも、同様に用いることが可能であることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るボルト挿入治具を、エンジンブロック及びオイルパンと共に示した斜視図である。
【図2】図1に示されるボルト挿入治具の、ボルト保持手段の単体図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図である。
【図3】図1に示されるボルト挿入治具の、ボルト保持手段の斜視図である。
【図4】図2、図3に示されるボルト保持手段の、ボルトガイドの拡大図である。
【図5】図1に示されるボルト挿入治具を用いたボルト挿入作業を示す斜視図である。
【図6】図5に続く、ボルト挿入作業を示す側面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るボルト挿入治具を示した斜視図である。
【図8】図7に示されるボルト挿入治具を、オイルパンと共に示した側面図である。
【図9】図7に示されるボルト挿入治具の、ボルト保持手段のボルトガイドとボルト繰出し手段のパイプとを示すものであり、(a)はボルト繰出し手段のパイプが、ボルト保持手段のボルトガイドに挿通された状態を示す側面図、(b)はボルトガイド及びパイプの単体図である。
【図10】従来のボルト挿入治具を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図11】従来のボルト挿入治具を用いたボルト挿入作業における問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
12:オイルパン、18:ボルト、 22、52:ボルト挿入治具、24:エンジンブロック、 26:ボルト保持手段、 28、54:ボルト繰出し手段、30:ボルトガイド、32:ボルトガイドホルダ、34:弾性棒状部材、36、:穴、38:ブラケット、44:ピン、46:ピンホルダ、48:ボルト締付穴、56:パイプ、56a:頂部、58:パイプホルダ、60:スライドガイド、62:付勢手段、64:抜け止め、66:ロッド、68:スプール、70:穴、72:ブラケット
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成19年3月22日(2007.3.22)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫


【公開番号】 特開2008−73835(P2008−73835A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2007−74949(P2007−74949)