トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 ねじ部材締結装置および組立て体の製造方法
【発明者】 【氏名】柴 岳人

【氏名】古矢 正明

【要約】 【課題】本発明は、ねじ部材のいずれに対しても大きな荷重を作用させることなく、ナットの軸芯をねじ軸の軸芯に自動的に倣わせて、互いの軸芯合せを円滑に行い、かつ自動締結を可能とするねじ部材締結装置および組立て体の製造方法を提供する。

【解決手段】ねじ部材締結装置Tとして、駆動軸4aを備えた固定の駆動モータ4と、従動軸24を有し変位自在な締付け部2と、駆動軸と締付け部とを連結するガイド機構Rと、従動軸とナット保持部とを連結するフローティング機構Fを備え、上記ガイド機構は、駆動軸に設けられる駆動ギヤ9と、従動軸に設けられる従動ギヤ25と、従動軸と駆動軸との間に介在され従動軸との軸間距離と駆動軸との軸間距離とを同一に設定されたアイドラ軸45aと、このアイドラ軸に設けられ駆動ギヤと従動ギヤの双方に噛合するアイドラギヤ45と、駆動軸とアイドラ軸とを回動自在に接続する第1のリンクアーム11と、アイドラ軸と従動軸とを回動自在に接続する第2のリンクアーム20とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を備えた駆動源と、上記駆動軸によって回転駆動される従動軸を有し、保持するナットをねじ軸に螺合する締付け部とを備えたねじ部材締結装置において、
上記駆動軸の位置を固定する一方で、上記締付け部が水平方向に変位可能となるよう、駆動軸と締付け部とを連結するガイド機構と、
上記締付け部におけるナット保持部がねじ軸に対して垂直方向に弾性的に当接するよう、従動軸とナット保持部とを連結するフローティング機構とを具備し、
上記ガイド機構は、
位置を固定とする上記駆動軸に設けられる駆動ギヤと、
位置が変位自在な上記従動軸に設けられる従動ギヤと、
位置が変位自在であるとともに、上記従動軸と上記駆動軸との間に介在され、かつ従動軸との軸間距離と駆動軸との軸間距離を同一に設定されたアイドラ軸と、
このアイドラ軸に設けられ、上記駆動ギヤと上記従動ギヤの双方に噛合するアイドラギヤと、
上記駆動軸と上記アイドラ軸とを回動自在に接続する第1のリンクアームと、
上記アイドラ軸と上記従動軸とを回動自在に接続する第2のリンクアームと
を備えたことを特徴とするねじ部材締結装置。
【請求項2】
駆動軸を備えた駆動源と、上記駆動軸によって回転駆動される従動軸を有し、保持するナットをねじ軸に螺合する締付け部とを備えたねじ部材締結装置において、
上記駆動軸の位置を固定する一方で、上記締付け部が水平方向に変位可能となるよう、駆動軸と締付け部とを連結するガイド機構と、
上記締付け部におけるナット保持部がねじ軸に対して垂直方向に弾性的に当接するよう、従動軸とナット保持部とを連結するフローティング機構とを具備し、
上記ガイド機構は、
位置を固定とする上記駆動軸に設けられる駆動ギヤと、
位置を固定とする上記従動軸に設けられる従動ギヤと、
位置を固定とするとともに、上記従動軸と上記駆動軸との間に介在されたアイドラ軸と、
このアイドラ軸に設けられ、上記駆動ギヤと上記従動ギヤの双方に噛合するアイドラギヤと、
上記アイドラ軸に設けられ、所定の一方向のみ変位自在な第1のガイド板と、
上記従動軸に設けられ、上記第1のガイド板の移動方向は第1のガイド板とともに移動し、かつ第1のガイド板の移動方向とは直交する方向にはそれ自体のみ移動可能な第2のガイド板と
を備えたことを特徴とするねじ部材締結装置。
【請求項3】
上記請求項1および請求項2のいずれかに記載のねじ部材締結装置を用いて、ナットとねじ軸とを締結する工程を有することを特徴とする組立て体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ軸(ボルト)の軸芯に対してナットの軸芯を自動的に合せるとともに、ナットを自動回転させて締結するねじ部材締結装置および、このねじ部材締結装置を用いた組立て体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばノート型のパーソナルコンピューター(以下、「ノートパソコン」と呼ぶ)である組立て体を製造するのに、各構成部品の組立ておよび組立てられた構成部品を筐体に締結(取付け)するにあたって、ねじ軸(ボルト)とナットからなるねじ部材が多数必要である。しかも、対象とする組立て体が小型であるので、ねじ部材のねじ径が小さく、人手によるねじ締結作業では工数がかかってしまう。
そこで、二つの部材を、ナットとねじ軸とからなるねじ部材で自動締結するのに、ねじ部材締結装置である、いわゆるナットランナが多用されていて、生産性の向上および省力化によるコストの低減化が図られている。
【0003】
この種のナットランナにおいて、ナットを保持する六角孔を備えた締付け具の軸芯と、ねじ軸との軸芯とが一致し、互いの芯合せが正確であるときは問題がないが、実際には正確な芯合せが困難で、ズレが生じている場合が多い。このとき、ねじ軸に対してナットが斜め方向から嵌められ、締付け不良が発生する。
そこで、図7に示すように、締付け具Kの六角孔r形状をナットNの外形よりも大に形成しておくことで、締付け具Kを回転させれば、ナットNの頂角qが必然的に六角孔rの辺部に当接する。締付け具Kの六角孔rとナットNは互いに角度ズレがあるが、両者の中心は一致するので、ナットNは円滑に回転してねじ軸に螺着される。
【0004】
このような構成では、上述の寸法設定から予め、締付け具Kの六角孔rにナットNを保持することができない。まず、作業者がねじ軸にナットNを正しく芯合せしてナットNを保持し、そのうえでナットNが位置ズレしたり、傾かないようにして締付け具Kの六角孔rを掛合し、そのままの状態でナットNを回転させなければならない。
特に、締付け具Kの六角孔rをナットNに掛合すると、ナットNの保持ができなくなる。そして、締付け具Kを回転させると六角孔rのいずれかの辺部が先にナットNの頂角qに当たって、ナットNの姿勢が傾き易い。すなわち、ねじ軸の軸芯に対してナットNの軸芯がズレ易く、正しいねじ締めが困難となる。
【0005】
[特許文献1]には、ねじ部材を自動で締結するナットランナが開示されている。この明細書中には特に記載がないが、装置全体が水平方向にある程度移動できる余裕(ガタ)を持たせている。そのため、締付け具に保持した締結部材と、螺合すべき相手方の締結部材の軸芯が互いにズレたとしても、装置全体のガタにより芯ズレの吸収が可能である。
しかしながら、重量のある駆動源を含めた装置全体が移動しなければならないので、円滑な動きを保証することができない。そして、芯合せができた際に、装置の全重量がねじ部材のねじ部にかかり、衝撃を受けたねじ部が傷付く虞れが大である。
[特許文献2]は、駆動軸と、この駆動軸によって回転される被駆動軸との間に、たわみ軸継手を備えたナットランナが開示されている。上記たわみ軸継手を備えることにより、締結部材相互に芯ズレがあっても、ズレを確実に吸収して適正な締結を円滑に行える、とある。
【特許文献1】特開平9−108963号公報
【特許文献1】特開平6− 55383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、[特許文献2]のナットランナは、駆動軸と被駆動軸の端部に、軸芯と直角な断面が正多角形であり内壁各面が平面状である凹部を設けている。たわみ軸継手は、外壁各面が外方へ凸の曲面であり軸芯と直角な断面が正多角形であり、最大部分で凹部の内側に沿う膨出部を両端に有する伝導体を形成し、伝動体両端の膨出部を各凹部に嵌め入れたことを特徴としている。
このように、たわみ軸継手を構成する伝動体は極めて複雑な形状であり、製作に手間がかかる。駆動軸と被駆動軸の凹部に伝動体を正確に嵌め入れするには、高精度加工を必要とする。さらに、駆動軸に、被駆動軸を弾性支持する弾性体支持を等間隔で複数個取付ける必要があり、互いの弾性力のバランス調整に手間がかかり困難である。
【0007】
本発明は上記事情にもとづきなされたものであり、その目的とするところは、ねじ部材のいずれに対しても大きな荷重を作用させることなく、ナットの軸芯をねじ軸の軸芯に自動的に倣わせて、互いの軸芯合せを円滑に行い、かつ自動締結を可能とするねじ部材締結装置および、ねじ部材締結装置を用いて組立て体を製造する組立て体の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を満足するため本発明のねじ部材締結装置は、駆動軸を備えた駆動源と、駆動軸によって回転駆動される従動軸を有し保持するナットをねじ軸に螺合する締付け部とを備え、駆動軸の位置を固定する一方で締付け部が水平方向に変位可能となるよう駆動軸と締付け部とを連結するガイド機構と、締付け部におけるナット保持部がねじ軸に対して垂直方向に弾性的に当接するよう従動軸とナット保持部とを連結するフローティング機構とを具備し、
上記ガイド機構は、位置を固定とする駆動軸に設けられる駆動ギヤと、位置が変位自在な従動軸に設けられる従動ギヤと、位置が変位自在であるとともに従動軸と駆動軸との間に介在されかつ従動軸との軸間距離と駆動軸との軸間距離を同一に設定されたアイドラ軸と、このアイドラ軸に設けられ駆動ギヤと従動ギヤの双方に噛合するアイドラギヤと、駆動軸とアイドラ軸とを回動自在に接続する第1のリンクアームと、アイドラ軸と従動軸とを回動自在に接続する第2のリンクアームとを備えた。
【0009】
さらに、上記目的を満足するため本発明の組立て体の製造方法は、上記ねじ部材締結装置を用いて、ナットとねじ軸とを締結する工程を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ねじ部材のいずれに対しても大きな荷重を作用させることなく、ナットの軸芯をねじ軸の軸芯に自動的に倣わせて、互いの軸芯合せを円滑に行い、かつ自動締結を可能とする効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
図1は第1の実施の形態におけるねじ部材締結装置Tの縦断正面図、図2は同実施の形態におけるガイド機構Rの平面図、図3はガイド機構Rの基本構成図である。
図1に示すねじ部材締結装置Tは、駆動部1と、フローティング機構Fを備えた締付け部2と、これら駆動部1と締付け部2との間に介在する中間駆動部3とから構成される。
はじめに、上記駆動部1から説明すると、駆動源である駆動モータ4が駆動軸4aを下方に向けた状態で、支持具5を介してベース板6に支持される。上記ベース板6は、駆動部1から中間駆動部3を介して締付け部2まで水平方向に延設される。
【0012】
上記駆動モータ4の駆動軸4aには、駆動軸4aと同一方向に延出する延長軸7が嵌着固定される。この延長軸7は、上記ベース板6に設けられる孔部aを挿通し、さらに下方部位へ突出している。上記ベース板6の孔部aには軸受け具8の外輪部が嵌め込まれ、この軸受け具8の内輪部に上記延長軸7が嵌着固定される。
延長軸7のベース板6から下方へ突出する部位には駆動ギヤ9が嵌着固定され、ベース板6とモータ支持具5との間の延長軸7部位には軸受け具10を介して第1のリンクアーム11の一端部が取付けられる。上記駆動ギヤ9は、上記ベース板6の下面部に取付けられるカバー12によって覆われる。このカバー12は中間駆動部3を介して締付け部2まで延設される。
【0013】
上記締付け部2は、上記ベース板6に設けられる開口部bに挿入され、かつベース板6から上方へ突出し後述するようにして支持されるドライバ軸部13を備えている。このドライバ軸部13は、軸芯が上下方向に向けられた円筒体であって、上端部には倣いプレート14が水平方向に取付けられる。
上記ベース板6の上面で、かつ上記ドライバ軸部13を間にして左右に、X方向(紙面の前後方向)に向けられた一対のXリニアガイド(一方のみ図示)15のレール部15aが載設される。Xリニアガイド15のレール部15aに対して移動自在なガイド部15b上には、中間プレート16が取付けられる。
【0014】
上記中間プレート16上面には、Y方向(図の左右方向)に向けられた一対のYリニアガイド(一方のみ図示)17のレール部17aが載設される。Yリニアガイド17のレール部17aに対して移動自在なガイド部17b上には、上記ドライバ軸部13の上端部に設けられる上記倣いプレート14が取付けられる。
したがって、上記倣いプレート14がXリニアガイド15とYリニアガイド17を介してベース板6に支持されることとなり、この倣いプレート14と一体の上記ドライバ軸部13は、X方向とY方向に自由に変位自在となっている。
【0015】
上記ドライバ軸部13の下端部外周面には軸受け具18の内輪部が嵌め込まれていて、この軸受け具18の外輪部には第2のリンクアーム20の一端部が嵌着固定される。そのため、上記第2のリンクアーム20とドライバ軸部13とは、互いに回転自在となっている。
ドライバ軸部13の内周面には上下に間隔を存して軸受け具22,23の外輪部が嵌め込まれていて、これら軸受け具22,23の内輪部には円筒状の従動軸24が嵌め込まれる。すなわち、この従動軸24は、軸受け具22,23を介してドライバ軸部13に支持され、かつドライバ軸部13に対して回転自在である。
【0016】
下部側の軸受け具23から、下方へ突出する従動軸24の外周面には従動ギヤ25が嵌着固定され、さらに従動ギヤ25の下部側における従動軸24の外周面に回転アーム26が嵌め込まれている。したがって、従動ギヤ25および回転アーム26は、従動軸24と一体に回転自在である。
上記回転アーム26は、従動軸24の下端面からさらに下方に延出形成されていて、この下端部にはカムフォロア27を介してビット軸部28が吊持されている。すなわち、ビット軸部28とカムフォロア27は回転アーム26に設けられるカムフォロア支持部cの範囲内で上下方向に移動自在である。
【0017】
上記ビット軸部28は、回転アーム26下端から下方へ突出する略円筒体である。この上部側に対して下部側の内外径がわずかに大に形成され、これらの境目部分における内径側には段部d,eが突設される。ビット軸部28の下端内径側には、ねじ部材を構成するナットNの外形形状および外径寸法と一致する六角孔28aが設けられている。
ビット軸部28の外径側段部eには、薄板からなるセンサドグ30が水平方向に嵌着固定される。上記センサドグ30に対向して、図示しない支持具に支持される高さセンサ31が配置される。高さセンサ31の検知信号が図示しない制御部へ送られることで、高さセンサ31とセンサドグ30との間隔を計測できるようになっている。
【0018】
従動軸24の内径部からビット軸部28の内径部に亘って、パイプ体からなる固定軸32が挿通される。この固定軸32の外径寸法は、保持するナットNの内径寸法と同一もしくは、わずかに小である。固定軸32の下端縁はビット軸部28の下端縁と略同一位置に揃えられ、固定軸32の上端部は従動軸24上端縁から上方へ突出している。
上記倣いプレート14上には、断面略逆L字状の押え板33が設けられ、この押え板33の水平部に挿通用孔fが設けられる。上記固定軸32の上端部は押え板33の挿通用孔fに挿通され、さらに上方へ突出する。固定軸32の上端部外周面に止め板34が嵌着固定され、この止め板34が押え板33上に支持される。固定軸32上端部は止め板34を介して押え板33に吊持される。
【0019】
従動軸24内周面と固定軸32外周面との間、およびビット軸部28内周面と固定軸32外周面との間には、それぞれロータリーブッシュ35が介在される。これらロータリーブッシュ35の存在により、従動軸24およびビット軸部28が回転駆動されても固定軸32は影響を受けることがなく、いわゆる連れ回りの現象は生じない。
さらに、ロータリーブッシュ35の存在により、固定軸32は従動軸24およびビット軸部28に対して自由に上下方向への移動が可能であり、互いに移動の影響を受けることがない。
【0020】
固定軸32の従動軸24上端面から突出する部位における外周面に、受け板37が嵌着固定されている。受け板37と上記押え板33の水平部との間には、圧縮ばねからなる軸加圧ばね38が介設される。上記輪加圧ばね38の存在により、固定軸32が押上げ付勢力を受けて上方へ移動しようとすると、軸加圧ばね38が圧縮変形して反発力を生じ、固定軸32を押し下げる作用をなす。
従動軸24の下端面とビット軸部28の上端面との間に、圧縮ばねからなるビット加圧ばね39が介設される。上述したようにビット軸部28はカムフォロア27を介し上下方向に移動自在であり、ビット軸部28が押上げ付勢力を受けて上方へ移動しようとすると、ビット加圧ばね39が圧縮変形して反発力を生じ、ビット軸部28を押下げる作用をなす。
【0021】
このようにして、上記締付け部2における従動軸24に対する固定軸32と回転アーム26およびビット軸部28の組立てと、軸加圧ばね38とビット加圧ばね39およびロータリーブッシュ35の配置の組合せから、上記フォローティング機構Fが構成されることとなる。
上記固定軸32の止め板34から上方へ突出する端部にはホース継手が設けられ、ここに真空ポンプ等の真空吸着源と連通するホースが接続される(いずれも図示しない)。したがって、固定軸32の内径孔はホースを介して真空吸着源と連通する真空用孔32aとなっている。
【0022】
上記真空用孔32a下端には先端軸部40が密に嵌め込まれていて、真空用孔32a下端は閉塞される。この先端軸部40は、固定軸32下端面から下方へ突出する円錐状先端gを備えている。後述するように、ねじ部材を構成するねじ軸(ボルト)Gの端部に設けられる軸端テーパ部hと、先端軸部40の円錐状先端gは全く同一形状をなす。
【0023】
先端軸部40が嵌め込まれた固定軸32下端部位と、ビット軸部28の内径段部dと対向する部位との間には、固定軸32の周面に沿い所定間隔を存して複数の連通孔32bが設けられる。これら連通孔32bの存在により、固定軸32の真空用孔32aとビット軸部28下端内径部との間が連通されることになる。
すなわち、ビット軸部28の六角孔28aに外形が掛合され、固定軸32の外周面に内径部が嵌め込まれるナットNに対して、真空ポンプから接続ホースを介して固定軸32の真空用孔32aに導かれる真空圧が作用する。このことから、ナットNをビット軸部28に真空吸着して保持する、ナット保持部Wが構成される。
【0024】
上記中間駆動部3は、上記第1のリンクアーム11の他端部に外輪部が嵌め込まれる軸受け具42と、上記第2のリンクアーム20の他端部に外輪部が嵌め込まれる軸受け具43および、これら軸受け具42,43の内輪部に挿通し、かつ嵌着固定されるアイドラ軸45aと、このアイドラ軸45aに設けられるアイドラギヤ45とから構成される。
上記アイドラギヤ45は、駆動部1に設けられる駆動ギヤ9と、締付け部2に設けられる従動ギヤ25との双方に噛合される。そして、アイドラ軸45aは第1のリンクアーム11と第2のリンクアーム20との両方に支持されるので、それぞれのリンクアーム11,20における変位の影響を受けることとなる。
【0025】
具体的には、図2に示すように構成される。
第1のリンクアーム11一端部の軸芯を構成する駆動軸4aと、他端部の軸芯を構成するアイドラ軸45aとの軸間距離寸法Lと、第2のリンクアーム20一端部の軸芯を構成するアイドラ軸45aと他端部軸芯を構成する従動軸24との軸間距離寸法Lは、互いに同一に設定されている。
上記駆動軸4aの位置は固定であり、第1のリンクアーム11は、この端部を支点として、アイドラ軸45aに枢支する第1のリンクアーム11の他端部および第2のリンクアーム20の一端部位置が、回動変位自在である。
さらに、これらアイドラ軸45aに枢支する第1のリンクアーム11の他端部と第2のリンクアーム20の一端部位置を支点として、従動軸24に枢支する第2のリンクアーム20の他端部位置が回動変位自在である。
【0026】
このようにして、駆動部1から中間駆動部3を介し締付け部2に亘って、第1のリンクアーム11および第2のリンクアーム20を備えるとともに、駆動ギヤ9とアイドラギヤ45および従動ギヤ25からなるガイド機構Rが構成される。
駆動ギヤ9と従動ギヤ25およびアイドラギヤ45のいずれも、同一の歯数であり、同一のギヤ径のものが用いられている。図2において、第1のリンクアーム11に対し第2のリンクアーム20が90°交差しているので、アイドラギヤ45を中心として、駆動ギヤ9と従動ギヤ25は互いに90°の角度を存して位置している。
上述したように、第1のリンクアーム11の駆動軸4a側端部を支点として、アイドラ軸45aが取付けられる端部が半径Lの範囲で変位自在である。そして、アイドラ軸45aが取付けられる端部を支点として、第2のリンクアーム20の従動軸24が設けられる端部が半径Lの範囲で変位自在な直角2自由度方向のガイド機構Rが構成される。
【0027】
上述のガイド機構Rであるから、第1のリンクアーム11および第2のリンクアーム20がどの位置に回動変位しても、駆動ギヤ9に対するアイドラギヤ45の噛合状態に変化がなく、また、アイドラギヤ45に対する従動ギヤ25の噛合状態に変化がない。
基本的には、図3に示すようなガイド機構Rを具体化したものである。
図中、Cギヤの中心軸位置は固定であり、このCギヤに噛合するBギヤは図に示すX方向に移動可能である。Bギヤに噛合するAギヤは、BギヤとともにX方向に移動可能であり、かつX方向と直交するY方向に移動可能である。結局、位置が変動しないCギヤに対してAギヤはX−Y方向に自由に移動自在である。
【0028】
Cギヤは駆動部1の駆動ギヤ9に相当し、この駆動ギヤ9の中心軸である駆動軸4a位置は固定である。Bギヤは中間駆動部3のアイドラギヤ45に相当し、このアイドラギヤ45は駆動ギヤ9に噛合する。アイドラギヤ45の中心軸であるアイドラ軸45aはX方向に移動可能である。
Aギヤは締付け部2の従動ギヤ25に相当し、この従動ギヤ25はアイドラギヤ45に噛合する。アイドラギヤ45の中心軸であるアイドラ軸45aは、アイドラギヤ45とともにX方向に移動可能であり、かつX方向と直交するY方向に移動可能である。結局、中心位置が変動しないCギヤ(駆動ギヤ9)に対し、Aギヤ(従動ギヤ25)はX−Y方向に移動自在となっている。
【0029】
つぎに、上記ねじ部材締結装置Tを用いて、たとえばノートパソコンである組立て体の筐体に対し、部品である被締結部材を取付け、製造する方法について説明する。
はじめに、ねじ部材締結装置Tの締付け部2におけるビット軸部28の先端に形成されるナット保持部WにナットNを吸着保持する。このとき、真空ポンプが駆動され固定軸32の真空用孔32aと連通孔32bを介してビット軸部28の先端内径部に真空圧がかけられる。
ナットNは外形をビット軸部28に設けられる六角孔28aに掛合し、内径部を固定軸32端部外周面に掛合した状態で真空圧を受け、確実に保持される。この状態で、ねじ部材締結装置Tの直下部に、たとえばノートパソコンの筐体が移動してきて上昇駆動される。逆に、ねじ部材締結装置Tを昇降機構に支持し、筐体に対して降下するようにしてもよい。
【0030】
予め、上記筐体には構成部品等の被締結部材が載置され、この被締結部材にはねじ軸(ボルト)が挿通される。上記ねじ軸は、ナット保持部Wに保持されるナットNと螺合すべき相手方となるものであり、ねじ軸のねじ部が上方へ向けてセットされている。そして、ビット軸部28の先端軸部40がねじ軸に接近し、ついには接触する。
図4は先端軸部40がねじ軸Gに接触した状態での、ねじ軸Gの軸芯Lbに対する先端軸部40(すなわち、ナットN)の軸芯Laの位置ズレ状態と、その補正量(=偏心量)δを現す図、図5はこのときに発生する反力の状態を現す図である。
先端軸部40がねじ軸Gに接触した状態で、ねじ軸Gの軸芯Lbに対して先端軸部40の軸芯Laが必ずしも一致するとは限らず、ほとんどの場合、図4に示すように位置ズレしてしまう。このときの位置ズレ量が、ねじ軸Gの軸芯Lbに対する先端軸部40の軸芯Laの偏心量であり、後述するように締付け部2のねじ軸Gに対する補正量δとなる。
【0031】
図5に示すように、先端軸部40の軸芯Laがねじ軸Gの軸芯Lbとは偏心した位置で当接すると、接触位置から先端軸部40に対して接触反力FWが発生する。この接触反力FWは斜め方向に作用するから、水平方向と垂直方向のそれぞれに、水平分力Fhと垂直分力Ftが発生する。
水平分力Fhは、駆動部1から中間駆動部3を介して締付け部2に亘って設けられるガイド機構Rが吸収する。垂直分力Ftは、締付け部2に構成されるフローティング機構Fが吸収する。そして、水平分力Fhと垂直分力Ftの両方が完全吸収された状態で、ねじ軸Gの軸芯Lbと先端軸部40の軸芯Laが一致し、すなわちねじ軸Gの軸芯LbとナットNの軸芯Laが一致することとなる。
【0032】
具体的には、先端軸部40の円錐状先端40aがねじ軸Gとは軸芯が偏心した位置で当接することで、先端軸部40および固定軸32が垂直分力Ftを受けて一旦は上昇する。このとき、固定軸32に対して軸加圧ばね38が接触反力FWを吸収するので、ねじ軸Gおよび固定軸32とも接触時における衝撃の発生はない。
先端軸部40の円錐状先端gは、軸加圧ばね38の弾性反発力によりねじ軸Gの軸端テーパ部hに対し垂直方向に押し付けられるとともに、上記したガイド機構Rにおける第1のリンクアーム11と第2のリンクアーム20の作用で、締付け部2とともに先端軸部40はX−Y方向に移動する。
【0033】
すなわち、先端軸部40の円錐状先端gがねじ軸Gの軸端テーパ部hに接触しながら、円錐状先端gは軸端テーパ部h形状に倣って移動する。そして、ついには円錐状先端gが軸端テーパ部hに完全に嵌り込み、互いの軸芯La,Lbが一致する。同時に、ナットNのねじ部Naとねじ軸Gのねじ部Gaとが正しく一致する。
このときも、ナットNおよびねじ部Gの双方に少しの衝撃も発生しないが、ねじ軸Gの押上げ作用が継続し、もしくは締付け部2の押下げ作用が継続する。ナットNのねじ部Naとねじ軸Gのねじ部Ga相互が接触し、今度はナットNを保持するビット軸部28が押上げられる。ビット軸部28に一体に設けられるセンサドグ30は上昇して、高さセンサ31に接近する。
【0034】
ビット軸部28と従動軸24の間に設けられるビット加圧ばね39が圧縮変形し、弾性反発力を作用させる。そのため、ナットNのねじ部Naとねじ軸Gのねじ部Ga相互に大きな荷重が加わることがなく、互いのねじ部Na,Gaの損傷が確実に防止される。
ねじ軸Gの押上げ作用、もしくは締付け部2の押下げ作用が継続することで、ビット加圧ばね39の弾性反発力にかかわらずセンサドグ30は高さセンサ31に接近し続ける。上記高さセンサ31の検知信号は制御部へ送られているので、制御部は高さセンサ31とセンサドグ30との間の寸法が、予め記憶された基準寸法と異なることを判断する。
【0035】
そして、制御部は、ねじ軸Gの押上げ作用もしくは締付け部2の押下げ作用を停止する制御信号を送る。そのあと、高さセンサ31とセンサドグ30との間が基準寸法となる位置まで、ねじ軸G位置もしくは締付け部2を戻すよう制御する。
つぎに、制御部は駆動モータ4に制御信号を送り、駆動軸4aの駆動を開始させる。駆動軸4aに延長軸7を介して取付けられる駆動ギヤ9が回転駆動され、この駆動ギヤ9に噛合するアイドラギヤ45と従動ギヤ25が回転する。したがって、従動ギヤ25は駆動ギヤ9と同方向に回転駆動されることとなる。
【0036】
上記従動ギヤ25は、従動軸24と回転アーム26を介してビット軸部28を同時に回転させ、ナット保持部Wに保持されるナットNが回転駆動される。上述したように、ナットNの軸芯Naがねじ軸Gの軸芯Gaに正しく合せられた状態でナットNが回転駆動されるので、ねじ軸Gに対してナットNが傾くことがなく、円滑にして、かつ速やかにねじ締めが行われ、筐体に被締結部材が締結される。
ナットNをねじ軸Gにねじ込んでいる間、ビット軸部28はカムフォロア27とともに降下する。同時に、ビット加圧ばね39は一定の加圧力(すなわち、弾性反発力)をビット軸部28に付勢するので、ナットNを保持するビット軸部28の回転がより円滑化される。
【0037】
所定量、ビット軸部28が降下することで、ねじ軸Gに対してナットNが確実にねじ込まれ、筐体に被締結部材を締結することになる。高さセンサ31はビット軸部28の所定量移動を検知し、その検知信号を受けた制御部は駆動モータ4の駆動を停止する。そして、ねじ部材締結装置TはつぎのナットNを受け取り、被締結部材に挿通するねじ軸Gに対して上述の作用を繰り返す。
【0038】
このようにして本発明のねじ部材締結装置Tは、締付け部2に備えたフローティング機構Fと、駆動部1から中間駆動部3を介して締付け部2に至るガイド機構Rとの組合せにより、ねじ軸Gの軸芯Gaに対してナットNの軸芯Naを倣わせて、速やかに一致させることができる。
しかも、互いの芯合せの間に、ねじ軸GおよびナットNに対する衝撃の発生が無く、したがってねじ軸GとナットNの姿勢が一定に保持され傾きが無いので、円滑なねじ込み作業を行うことができる。
図6は、先に説明したガイド機構Rを代用する、第2の実施の形態としてのガイド機構Raを説明する図であり、模式的に示している。
【0039】
駆動ギヤ9の軸芯とアイドラギヤ45の軸芯を結ぶ線Lcに対して、アイドラギヤ45の軸芯と従動ギヤ25の軸芯を結ぶ線Ldが90°で交差する。ここでは、駆動ギヤ9とアイドラギヤ45および従動ギヤ25ともに軸芯位置は移動せず、その場で回転自在に支持される。
各ギヤ9,45,25の回転軸端部に軸受け具を介して基板が設けられ、それぞれの基板は回転軸の回転にかかわらず、位置が固定である。アイドラギヤ45の回転軸に軸受け具を介して取付けられる基板上には、X方向にガイドする一対のXリニアガイド50を介して第1のガイド板51が載設される。
【0040】
従動ギヤ25の回転軸に軸受け具を介して取付けられる基板上には、Y方向にガイドするYリニアガイド60を介して第2のガイド板61が載設される。この第2のガイド板61は第1のガイド板51とともにX方向には同時に移動するけれども、Y方向にはそれ自体(第2のガイド板61)のみが移動し、第1のガイド板51は同方向には移動しないよう掛合状態にある。
上記第2のガイド板61には、上述したフローティング機構Fが構成され取付けられている。このことから、第2のガイド板61にフローティング機構Fを介してビット軸部28の先端であるナット保持部WにナットNが保持される。
【0041】
上記フローティング機構Fと、上記ガイド機構Raとの組合せにより、ねじ軸Gの軸芯Gaに対してナットNの軸芯NaをX−Y方向に倣わせて、速やかに一致させることができる。互いの芯合せの間に、ねじ軸GおよびナットNに対する衝撃の発生が無く、ねじ軸GとナットNの姿勢が一定に保持され傾きが無いので、円滑に締結作業が行われる。
なお、本発明は上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。そして、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明における第1の実施の形態に係る、ねじ部材締結装置の概略の断面図。
【図2】同実施の形態に係る、ガイド機構の平面図。
【図3】同実施の形態に係る、ガイド機構の基本構成図。
【図4】同実施の形態に係る、芯ズレ状態を説明する図。
【図5】同実施の形態に係る、芯ズレ時の反力を説明する図。
【図6】本発明における第2の実施の形態に係る、ガイド機構の模式的な説明図。
【図7】従来のナット締付け作業を説明する図。
【符号の説明】
【0043】
4a…駆動軸、4…駆動モータ(駆動源)、24…従動軸、N…ナット、G…ねじ軸、2…締付け部、R…ガイド機構、W…ナット保持部、F…フローティング機構、9…駆動ギヤ、25…従動ギヤ、45a…アイドラ軸、45…アイドラギヤ、11…第1のリンクアーム、20…第2のリンクアーム、51…第1のガイド板、61…第2のガイド板。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年9月20日(2006.9.20)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−73797(P2008−73797A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−254713(P2006−254713)