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【発明の名称】 構造物組立て制御方法および構造物組立て制御装置
【発明者】 【氏名】丸井智敬

【氏名】黒澤伸好

【要約】 【課題】建造物・移動体(自動車・船舶・航空機)といった構造物の自動組立て、宇宙空間でのドッキングやステーションなどの宇宙構造物建設にて、時間短縮や組合せ部材同士の衝突・干渉をさける適切かつ有効な組立て制御技術を提供する。

【構成】構造部品姿勢データのベクトルが同一直線にない第1姿勢ベクトル1、10、第2姿勢ベクトル2、20で、結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動A、Bし結合させて組み立てる。その制御ステップにて、第1ベクトル11を軸とした回転Bによる移動制御を行う構造物組立て制御技術。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
姿勢センサーを具備し該姿勢センサーが検知する姿勢データを遠隔送信する姿勢センサー付電子タグが配設された複数の構造部品を移動し結合させて構造物を組み立てる構造物組立法であって、各構造部品に配設された姿勢センサー付電子タグが遠隔送信する姿勢データが、完成構造物設計上の基準線方向ベクトルに対する該構造部品の基準線のベクトル量で表された姿勢であり、前記姿勢データを結合する2つの構造部品の姿勢センサー付電子タグより受信し、前記結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てる姿勢センサー付電子タグを用いた構造物組立法において、
前記構造部品姿勢データのベクトルが、同一直線にない第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルであり、
前記結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てるための制御が、2つの構造部品の第1姿勢ベクトルの差を減ずる方向に該構造部品を移動する第1制御ステップおよび該第1制御ステップに続く第2制御ステップからなり、
前記第2制御ステップが第1ベクトルを軸とした回転によって2つの構造部品の第2姿勢ベクトルの差を減ずる方向に構造部品を移動する制御ステップである構造物組立て制御方法。
【請求項2】
姿勢センサーを具備し該姿勢センサーが検知する姿勢データを遠隔送信する姿勢センサー付電子タグが配設された複数の構造部品を移動し結合させて構造物を組み立てる構造物組立法であって、各構造部品に配設された姿勢センサー付電子タグが遠隔送信する姿勢データが、完成構造物設計上の基準線方向ベクトルに対する該構造部品の基準線のベクトル量で表された姿勢であり、前記姿勢データを結合する2つの構造部品の姿勢センサー付電子タグより受信し、前記結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てる姿勢センサー付電子タグを用いた構造物組立法において、
前記構造部品姿勢データのベクトルが、同一直線にない複数の第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルの組合せセットであり、
前記結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てるための制御が、第1および第2姿勢ベクトルのひとつの組合せセットを実施セットとして選択し、該実施セットの第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルについて、2つの構造部品の第1姿勢ベクトルの差を減ずる方向に該構造部品を移動する第1制御ステップおよび該第1制御ステップに続く第2制御ステップからなり、
前記第2制御ステップが第1ベクトルを軸とした回転によって2つの構造部品の第2姿勢ベクトルの差を減ずる方向に構造部品を移動する制御ステップであり、さらに、
前記実施セットの選択が、複数の第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルの組合せセットによる前記の制御ステップを仮想的に実行し、該仮想実行にて構造部品の移動所要時間および/または移動における構造部品同士の干渉の見積もりに基づいて選択されるものである構造物組立て制御方法。
【請求項3】
同一直線にない第1姿勢ベクトルまたは第2姿勢ベクトルのいずれかが、鉛直上方方向ベクトルまたは鉛直下方方向ベクトルであり、姿勢データが鉛直上方方向ベクトルまたは鉛直下方方向ベクトルに対して構造部品の基準線がなすベクトル量で表されている請求項1または請求項2の構造物組立て制御方法。
【請求項4】
同一直線にない第1姿勢ベクトルまたは第2姿勢ベクトルのいずれかが、水平方向ベクトルであり、姿勢データが前記水平基準線方向ベクトルに対して構造部品の基準線がなすベクトル量で表されている請求項1または請求項2の構造物組立て制御方法。
【請求項5】
完成構造物が移動体であり、水平面内の基準線方向ベクトルが、移動体が水平に直進する方向のベクトルであり、姿勢データが前記水平直進方向に対して構造部品の基準線がなすベクトル量で表されている請求項4の構造物組立て制御方法。
【請求項6】
完成構造物が建築物であり、水平面内の基準線方向ベクトルが、該建築物敷地の地理的方位に基づく方向ベクトルまたは該建築物の正面・背面の方位に基づく方向ベクトルであり、姿勢データが前記方位に基づく方向ベクトルに対して構造部品の基準線がなすベクトル量で表されている請求項4の構造物組立て制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載された姿勢センサー付電子タグを用いた構造物組立制御法を実施する装置であって、組み合わせ部品の姿勢センサー付電子タグより遠隔送信される該部品の第1および第2姿勢ベクトルに対する姿勢の角度偏差を受信する手段、結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てるための制御指令を出す手段を有し、
前記制御指令が、 2つの構造部品の第1姿勢ベクトルのベクトル的な差を減ずる方向に該構造部品を移動する第1の制御指令および該第1制御指令に続く第2制御指令とからなり、
前記第2制御指令が、第1ベクトルを軸とした回転によって2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動する制御指令である構造物組立て制御装置。
【請求項8】
請求項2に記載された姿勢センサー付電子タグを用いた構造物組立制御法を実施する装置であって、組み合わせ部品の姿勢センサー付電子タグより遠隔送信される該部品の第1および第2姿勢ベクトルに対する姿勢の角度偏差を受信する手段、結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てるための制御指令を出す手段を有し、
前記制御指令が、ひとつの組合せセットを実施セットとして選択し、該実施セットの第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルについて、2つの構造部品の第1姿勢ベクトルのベクトル的な差を減ずる方向に該構造部品を移動する第1の制御指令および該第1制御指令に続く第2制御指令とからなり、
前記第2制御指令が、第1ベクトルを軸とした回転によって2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動する制御指令であり、さらに、
ひとつの組合せセットを実施セットとして選択するために任意の第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルの組合せセットによって前記の制御ステップを仮想的に実行する仮想実行手段、該仮想実行手段にて仮想的に実行される構造部品の移動所要時間および/または移動における構造部品同士の干渉を見積もる手段、前記見積もり手段の結果に基づいてひとつの組合せセットを実施セットとして選択する選択手段を有する構造物組立て制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特許文献2(WO 2006/41180 (PCT/JP2005/19011)公報「姿勢センサー付電子タグを用いた構造物組立方法および構造物組立装置、構造物保守のためのデータ記憶装置」)の改良に関する。次段落は特許文献2と同一記載である。
【0002】
本案は、センサー付電子タグを応用した技術であって、建築・橋梁・船舶などの大型構造物の組立法および構造物組立装置、構造物を保守するためのデータ記憶装置に関するものである。 ここで、電子タグとは、ICチップとアンテナを内蔵したタグのことであり、この中に個別の識別情報等を格納し、識別情報等を電波で読み書きすることで「自動認識システム」とすることが可能である。電波を利用することで、接触することなく読み書きすることや、複数個のタグの情報を同時に読み取ることが可能である。電子タグとICタグ、無線電子タグ、無線ICタグなどはすべて同じものである。大型構造物の組立は、いわゆる高精度アライメントと呼ばれる精密な位置合わせを必要とする作業も含まれる。
【背景技術】
【0003】
電子タグについて、ならびに公知の3軸加速度センサー(3軸姿勢センサー)については特許文献3に詳しい記載があるので略す。同様に発明者が出願済みの特許文献3に記載された電子タグの一形態である情報受発信装置も特許文献3に詳しい記載があるので略す。以下、第7段落まで特許文献2とほぼ同様の記載である。
【0004】
本案は建築・橋梁・船舶などの大型構造物の組立法および構造物組立装置に関する。本案のような構造物建設現場でも、電子タグの利用は始まっている。しかし姿勢センサーを有するセンサー付電子タグを建設現場で応用した実例は、まだ少ない。
【0005】
大型構造物は複数の多種多様な部品(以下「構造部品」と記載する)からなる。構造部品を組み合わせ結合して構造物が組み立てられる。たとえば、図1が船舶、図3が建築物の組立の例である。こういった組立作業についてはクレーンが使われる。クレーン作業の効率化で「クレーン(吊り荷作業)の自動化」という制御技術の一分野がある。特許文献1はこの自動化技術の例である(図5、図6参照)。また、構造部品の組み合わせによっては、いわゆる高精度アライメントと呼ばれる精密な位置合わせを必要とする場合もある。
【0006】
図5は、特許文献1の吊り作業補助装置の説明図(特許文献1図3)、図6は、吊り作業の問題点の説明図(特許文献1図9)である。図6で、(a)構造部品の接続面が斜めである場合、(b)構造部品の設置面が水平ではない場合の例であり、図5のように構造部品の接合対象面に姿勢(傾斜)センサーが配設されている。あらかじめ姿勢(傾斜)データを測定した被接合対象面のデータと対象面のセンサーの傾斜測定データとを一致させるように傾斜駆動し部品を接合し組み立てる。このようにすれば、図6(a)、(b)のような場合でも部品同士の接合・組立作業がやりやすいと主張している。
【0007】
特許文献1は、構造物の部品同士の接合すべき面のなす傾斜角を最小にする、という考え方であって、面ウラ・オモテの概念がない。ゆえに、180°転回された位置関係にある部品同士の接合には不具合(誤接合)が生じる。
【0008】
特許文献4は、組立て要素同士の位置あわせ技術を開示したものであって自動組立て技術の一要素である。目的位置に対する組立て要素のずれ状態によっては、回転移動も行うものであるが、本案のように具体的な回転移動の方策は開示されていない。
【0009】
特許文献5ならびに特許文献6は、距離センサーなどで相対的な組立て要素の位置関係を自動認識する技術を応用した自動組立て技術を開示したものであるが、本案のように回転を組合せた具体的な移動の方策を開示していない。
【0010】
特許文献7ならびに特許文献8は、主にトンネル施工用セグメントの敷設に関するもので、回転を含む自動位置決め、衝突干渉回避の技術記載があるが、前記施工用途に限定されたもので本案のような汎用性に欠けている。
【0011】
特許文献9は、自動組立てへ応用できる画像センサーを開示したものである。かかる画像センサー用カメラを回転させて適切な位置に移動(マニピュレート)する技術が開示されているが、組立て要素に関するものではない。
【0012】
特許文献10は、自動組立てへ応用すべく全方位(全方向ベクトル)移動のための回転を含むアクチュエータ(移動装置)技術を開示したものであるが、どう移動するか、どう回転させるかの指令制御については記載がない。
【0013】
以上の特許文献4から10に開示された技術は本案の自動組立てに応用される技術であるので、本案実施に際して利用しても良い。
【0014】
【特許文献1】特開2004-067355号公報「吊り作業補助装置、傾斜角センサー治具および吊り作業補助方法」三菱電機株式会社
【特許文献2】WO 2006/41180 (PCT/JP2005/19011)公報「姿勢センサー付電子タグを用いた構造物組立方法および構造物組立装置、構造物保守のためのデータ記憶装置」株式会社アイ・ピー・ビー
【特許文献3】特願2004-247996号公報「物体の姿勢に関連付けた固定情報を通信する装置」株式会社アイ・ピー・ビーほか
【特許文献4】特開平9 -64598号公報「自動組立装置の位置合わせ方法」オリンパス光学工業株式会社
【特許文献5】特開2003-114105号公報「大型構造物の建造方法」JFEエンジニアリング株式会社
【特許文献6】特開平11-81686号公報「構成部材の計測・ハンドリング協調形組立システム」鹿島建設株式会社
【特許文献7】特許第3240221号公報「セグメント自動組立装置及び方法」株式会社間組、日立建機株式会社
【特許文献8】特許第2667759号公報「セグメントの組立位置決め方法」日立建機株式会社
【特許文献9】特開平9−144495号公報「セグメント組立装置及び組立方法」日立建機株式会社
【特許文献10】特許第3498044号公報「全方向移動装置の制御装置」川崎重工業株式会社、財団法人新産業創造研究機構
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
たとえば、図6(c)のように部品接合先の被接合対象面と同一の傾きの面が対称位置にあって紛らわしい、逆に図6(d)のように接合対象面同一の傾きの面が対称位置にあって紛らわしい、などでクレーン制御を誤りやすい。従来はこれらの誤り排除が完全にできていない。さらに、接合する構造部品が180°転回された逆さまの状態となると、しかもとりわけ、正しい接合面と90°の角度差の異なる面が付近にあると接合対象ミスを犯しやすい。同様に、接合先の被接合構造部品が180°転回された逆さの状態で仮置きされていると、移動中の部品中で正しい接合面と90°の角度差の異なる面があると、そちらを接合してしまうミスを犯しやすい。
【0016】
造船所では、組立て時間短縮や作業の安全、部品損傷を避けるために構造部品が180°転回された状態で組立て作業を行うことも多い。たとえば、プロペラのメインエンジンは、船底部品を180°転回された逆さの状態で、メインエンジン自体も180°転回された逆さで接合組立てを行うこともある。
【0017】
また、建築現場でも、プレファブ構造部品の形状によっては、180°転回された逆さの状態で仮置きされることも多い。こういった180°転回状態が想定される組立て作業では、クレーン運転者が注意深く目視チェックしつつ運転することが必要となり、自動化の阻害要因、かつ工程時間短縮の阻害要因であった。
【0018】
さらに、大型船舶(タンカー)や大型建築物(高層ビル)では、当然のことながら多彩な部品をさまざまな姿勢(傾斜)で接合するので、何千何万の部品の接合・組立の姿勢(傾斜)条件のうちの対象部品の条件を、その都度現場で把握せねばならない。接合面の傾斜などの条件は、設計時から統一的に容易に入力され、その入力データを現場で適宜容易に利用できるようにしておかないと現場作業は手間どり問題である。
【0019】
さらにまた、宇宙空間でのドッキングやステーションなどの宇宙構造物建設において、さらに適切かつ有効な組立て制御方法も求められている。時間短縮や組合せ部材同士の衝突・干渉をさける制御技術である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の本質は、図7に示すモーションで構造部品を組み立てることであって、特に回転モーションを特定したことである。本発明のもうひとつの本質は、基準とするベクトルの取り方に自由度があることに注目し、組立てに都合のよいベクトルを選択的に採用する工程と手段を付加したことである。このことで、組立てのための部品移動軌跡を、組合せ部材同士の衝突・干渉をさけることが可能となる。本来は特許文献2の一実施態様で、特許文献2のサブクレームにあってもおかしくない発明といえる。これを以下に説明する。
【0021】
図7にて、1が、姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の他方の第1姿勢ベクトル、10が姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の一方の第1姿勢ベクトル、11が、1と10の偏差が最小になされた状態(第1制御ステップの完了状態)、2が、姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の他方の第2姿勢ベクトル、20が、姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の一方の第2姿勢ベクトル、22が、2と20の偏差が最小になされた状態(第2制御ステップの完了状態)であり、Wが、姿勢センサー付電子タグが配設された一方の構造部品、Xが、姿勢センサー付電子タグが配設された他方の構造部品にて、本発明組立て制御の初期状態、Yが、Xに対して第1制御ステップの動作が完了した状態、Zが、Xに対して第2制御ステップの動作が完了した状態である。また、Aが、第1制御ステップの動作、Bが、第2制御ステップの動作(第1姿勢ベクトルを軸とした回転)、bが、第1姿勢ベクトル方向の回転軸である。
【0022】
図7は、制御用ベクトルのみの図でわかりにくいので、本発明のもっとも簡単な組み立て制御例を図8に示した。もっとも簡単な、という意味は、第1姿勢ベクトルが図示されているフランジ付き円筒の構造部品の対称軸に一致しているからである。本来は必ずしも一致させる必要はない。図8は、フランジ付き円筒のフランジ接合を例としたもので、フランジ面の接合マーク(一方および他方の構造部品の接合部の位置を示すマーク)として、x(○がこみ小文字x)、y(○がこみ小文字y)、z(○がこみ小文字z)がフランジ面に記入されている。第2制御ステップの動作でフランジ面のxyzを一致させている。
【0023】
特許文献2の請求項の記載にある、姿勢センサーを具備し該姿勢センサーが検知する姿勢データを遠隔送信する姿勢センサー付電子タグが配設された複数の構造部品を移動し結合させて構造物を組み立てる構造物組立法は有効である。すなわち、各構造部品に配設された姿勢センサー付電子タグが遠隔送信する姿勢データが、完成構造物設計上の基準線方向ベクトルに対する該構造部品の基準線のベクトル量で表された姿勢であり、前記姿勢データを結合する2つの構造部品の姿勢センサー付電子タグより受信し、前記結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てる姿勢センサー付電子タグを用いた構造物組立である。
【0024】
本発明は(請求項1)、前記特許文献2の請求項に加えて、構造部品姿勢データのベクトルが、同一直線にない第1姿勢ベクトル(図7、図8の1)および第2姿勢ベクトル(図7、図8の2)であり、前記結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てるための制御が、2つの構造部品の第1姿勢ベクトルの差を減ずる方向に該構造部品を移動する第1制御ステップ(図7、図8のX)および該第1制御ステップに続く第2制御ステップ(図7、図8のY)からなり、前記第2制御ステップが第1ベクトルを軸(図7、図8のb)とした回転によって2つの構造部品の第2姿勢ベクトルの差を減ずる方向に構造部品を移動する制御ステップである構造物組立て制御方法である。
【0025】
また本発明は、基準とするベクトルの取り方に自由度があることに注目し、組立てに都合のよいベクトルを選択的に採用する工程と手段を付加した。すなわち、(請求項2、図12参照)、構造部品姿勢データのベクトルが、同一直線にない「複数の」第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルの「組合せセット」であり、結合する2つの構造部品姿勢データのベクトル的な差を減ずる方向に一方の構造部品を移動し結合させて組み立てるための制御が、第1および第2姿勢ベクトルの「ひとつの組合せセット」を実施セットとして選択し、該実施セットの第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルについて、2つの構造部品の第1姿勢ベクトルの差を減ずる方向に該構造部品を移動する第1制御ステップおよび該第1制御ステップに続く第2制御ステップからなり、前記第2制御ステップが第1ベクトルを軸とした回転によって2つの構造部品の第2姿勢ベクトルの差を減ずる方向に構造部品を移動する制御ステップであり、さらに、前記「実施セットの選択」が、複数の第1姿勢ベクトルおよび第2姿勢ベクトルの組合せセットによる前記の制御ステップを仮想的に実行し、該仮想実行にて構造部品の移動所要時間および/または移動における構造部品同士の干渉の見積もりに基づいて選択されるものである構造物組立て制御方法である。
【0026】
図9が、図8と同様の本発明のもっとも簡単な組み立て制御例であって、図10が、図9に他の組合せ構造物その他によって形成された障害物を示す斜線を付加したものである。この図10に対比される制御の別例を図11に示す。かかる別例では、第1姿勢ベクトルが図示されているフランジ付き円筒の構造部品の対称軸に一致していない。また、図11中に記入された他の組合せ構造物その他によって形成された障害物を示す斜線にてわかるように、図11では障害物と構造部品との干渉が上手く回避される方向に姿勢ベクトルが設定されている。12が、1と非平行の1に代わる構造部品の他方の第1姿勢ベクトル、13が、10と非平行の10に代わる構造部品の一方の第1姿勢ベクトルである。
【0027】
こういった第1・第2姿勢ベクトルの選択的変更は、特許文献のいくつかに引用された自動化技術をもってすれば、きわめて簡単である。やや定性的な説明になるが、図7、図8の1の第1姿勢ベクトルの単位ベクトル(大きさが基準値であるベクトル)と図11の12の第1姿勢ベクトルの単位ベクトルとのなす立体角がθであれば、θ角度の単位ベクトルのベクトル乗算で変更できる。かかるベクトル乗算を第1制御ステップの制御指令演算に施せばよい。第2姿勢ベクトルに関しても同様であり、立体角θではなく、3軸方向にα、β、γの角度をなすとしてもそれぞれα角度の単位ベクトル、β角度の単位ベクトル、γ角度の単位ベクトルを乗算すればよい。こういった線形代数演算は公知で制御ソフトへの組み込みも単純な演算の付加のみで実現できる。
【0028】
図10と図11を対比してわかるように、理想的には第1・第2姿勢ベクトルは、他の組合せ構造物その他によって形成された障害物の間隙にうまくフィットするように選択するとよい。このような理想的選択(最適選択)を実行するソフトを、公知の3次元の計算機支援設計ソフトや自動位置決めソフトを応用して開発して利用してもよい。
【0029】
前記のような理想的選択(最適選択)をトップダウン式になさなくとも、図12のフローチャートに例示するように、姿勢ベクトルすべてについて他の組合せ構造物その他によって形成された障害物との干渉を演算し、干渉の程度を評価関数として最も適切なものを選ぶ、というボトムアップ式の選択を行ってもよい。
【0030】
以上の制御方法を実施するための装置は、請求項7および請求項8に記載された通りである(転記略す)。また、本発明の同一直線にない第1姿勢ベクトルまたは第2姿勢ベクトルについては、特許文献2のサブクレームに記載された実施態様と同様のものでよい。これは特許文献2のサブクレームと同様である(転記略す)。
【発明の効果】
【0031】
本発明によって、船舶・自動車や建築物の自動組立て制御の自動化、半導体などのハイテク機器の組立て制御の自動化、宇宙空間でのドッキングやステーションなどの宇宙構造物建設自動化が実現される。特に、時間短縮や組合せ部材同士の衝突・干渉をさける適切な自動制御が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
前項までに説明したので略す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】船舶の組立のため構造部品を移動する作業の説明図:(a)プロペラ支持部品がa1→a2→a3→a4と移動して接合される、(b)操舵部品がa1→a2→a3→a4と移動して前工程で接合したプロペラ支持部品に接合される、(c)接合完了状態
【図2】(a)船舶の水平直進方向ベクトルSに対してプロペラ支持部品の基準線ベクトルの差を減じるようにA1→A2→A3→A4と移動する。船舶の水平直進方向ベクトルSはプロペラ支持部品が接合される構造部材(既に接合済み)から与えられる(図示略)。鉛直上方方向ベクトルQもプロペラ支持部品が接合される構造部材(既に接合済み)から与えられ、プロペラ支持部品の鉛直上方方向ベクトルとの差を減じるように移動する。(b)Sと操舵部品の基準線ベクトルの差を減じるようにB1→B2→B3→B4と移動する。船舶の水平直進方向ベクトルSは操舵部品が接合される構造部材A0(既に接合済み)から与えられる。
【図3】建築物の組立のため構造部品(屋外階段部品)を移動する作業の説明図:屋外階段部品がa1→a2→a3→a4と移動して前工程で接合した建築物部品に接合される。
【図4】建築物の正面背面の基準に基づく方位の方向ベクトルSに対して屋外階段部品の基準線ベクトルの差を減じるようにA1→A2→A3→A4と移動する。建築物の正面背面の基準に基づく方位の方向ベクトルSは既に接合済みの構造部品から与えられる(図示略)。鉛直上方方向ベクトルQもプロペラ支持部品が接合される構造部材(既に接合済み)から与えられ、プロペラ支持部品の鉛直上方方向ベクトルとの差を減じるように移動する。
【図5】特許文献1の吊り作業補助装置の説明図(特許文献7(特開2004-067355)の図3)
【図6】吊り作業の問題の説明図(特許文献1(特開2004-067355)の図9):(a)構造部品の接続面が斜めである場合、(b)構造部品の設置面が水平ではない場合の例、(c)(d)被接合対象面と同一の傾斜で、かつ、被接合対象面と対称位置にある構造部品の面があると誤接合しやすい。対称位置とは面のオモテ・ウラにある関係の面であって、それぞれ180°転回されたものである。
【図7】第1制御ステップ、第2制御ステップの説明図
【図8】もっとも簡単な組み立て制御ステップ例
【図9】もっとも簡単な組み立て制御ステップ例
【図10】もっとも簡単な組み立て制御ステップ例で障害物に干渉する例
【図11】もっとも簡単な組み立て制御ステップ例で障害物に干渉しない例
【図12】請求項2(請求項8)フローチャート
【符号の説明】
【0034】
A 第1制御ステップの動作
B 第2制御ステップの動作(第1姿勢ベクトルを軸とした回転)
b 第1姿勢ベクトル方向の回転軸
P 3軸姿勢センサー(単軸圧電センサーA−a、B−b、C−cが互いに軸を直交して固定されている)
Pto Mtoの内部に固定配設されている3軸姿勢センサー(P)
Q 鉛直上方方向ベクトル
S 完成構造物の設計基準線方向ベクトルで、移動体構造物では水平直進方向ベクトル(図2)、建築構造物では建築物の正面背面の基準水平方位の方向ベクトル(図4)
W 姿勢センサー付電子タグが配設された一方の構造部品
X 姿勢センサー付電子タグが配設された他方の構造部品にて、本発明組立て制御の初期状態
Y Xに対して第1制御ステップの動作が完了した状態
Z Xに対して第2制御ステップの動作が完了した状態
x(○がこみ小文字x)一方および他方の構造部品の接合部の位置を示すマーク
y(○がこみ小文字y)一方および他方の構造部品の接合部の位置を示すマーク
z(○がこみ小文字z)一方および他方の構造部品の接合部の位置を示すマーク
1 姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の他方の第1姿勢ベクトル
10 姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の一方の第1姿勢ベクトル
11 1と10の偏差が最小になされた状態(第1制御ステップの完了状態)
12 1と非平行の1に代わる構造部品の他方の第1姿勢ベクトル
13 10と非平行の10に代わる構造部品の一方の第1姿勢ベクトル
2 姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の他方の第2姿勢ベクトル
20 姿勢センサー付電子タグが配設された構造部品の一方の第2姿勢ベクトル
22 2と20の偏差が最小になされた状態(第2制御ステップの完了状態)
【出願人】 【識別番号】502037638
【氏名又は名称】株式会社アイ・ピー・ビー
【出願日】 平成18年9月12日(2006.9.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−68336(P2008−68336A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−247086(P2006−247086)