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【発明の名称】 位置決め装置
【発明者】 【氏名】岡田 誠司

【氏名】大関 理幸

【氏名】伊藤 茂

【要約】 【課題】積層体を搬送する際に該積層体の構成部品の位置ズレを防ぐことが可能な位置決め装置を提供する。

【構成】積層体は、外周壁に凸部を有するドリブンプレートと内周壁に凸部を有するリテーニングプレートとを含む。パレット201と一体的に構成された位置決め装置200は外方位置決め部204a〜204cと内方位置決め部206とスペーサ208a〜208fとが基板202上に立設されている。積層体はスペーサ208a〜208f上に載置され、その際、外方位置決め部204a〜204cの外方係合部210a〜210cが凸部対同士の間の凹部に係合するとともに、内方位置決め部206の内方係合部212a〜212cが凹部と係合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が設けられ且つ外側に複数個の第1凸部が突出形成された第1ワークと、貫通孔が設けられ且つ内側に複数個の第2凸部が突出形成された第2ワークとを有し、それぞれ複数枚含む積層体の前記第1凸部同士の位置及び前記第2凸部同士の位置を位置決め固定する位置決め装置であって、
基板と、
前記基板上に立設され、前記第1ワークにおける前記第1凸部同士の間に係合する第1係合部位を有する第1立設部と、
前記基板上に立設され、前記第2ワークにおける前記第2凸部同士の間に係合する第2係合部位を有する第2立設部と、
を具備し、
前記第1係合部位及び前記第2係合部位の各々が複数個設けられ、
前記第1係合部位が前記第1凸部同士の間に介在することで前記第1凸部の各々を位置決め固定するとともに、前記第2係合部位が前記第2凸部同士の間に介在することで前記第2凸部の各々を位置決め固定することを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
請求項1記載の位置決め装置において、前記基板上に、該基板と前記積層体との間にクリアランスを設けるための複数個のスペーサがさらに設けられたことを特徴とする位置決め装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の位置決め装置において、前記第1係合部位又は前記第2係合部位のいずれかが正多角形の頂点に配置されたことを特徴とする位置決め装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置決め装置において、前記第1ワーク及び前記第2ワークがともに円環状プレートであり、前記第1係合部位が前記第1ワークの前記第1凸部同士の間の外周壁に当接するとともに、前記第2係合部位が前記第2ワークの前記第2凸部同士の間の内周壁に当接することを特徴とする位置決め装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置決め装置において、前記積層体は、多板式クラッチを構成するクラッチ板であることを特徴とする位置決め装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の位置決め装置において、当該位置決め装置は、前記積層体を搬送するための搬送部材に設けられたことを特徴とする位置決め装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔が設けられ且つ外壁に複数個の第1凸部が突出形成された第1ワークと、貫通孔が設けられ且つ内壁に複数個の第2凸部が突出形成された第2ワークとをそれぞれ複数枚含む積層体の前記第1凸部同士の位置及び前記第2凸部同士の位置を位置決め固定する位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関等のエンジンとトランスミッションとの間に取り付けられるクラッチの1種として多板式クラッチが広汎に用いられている。一般的に、この種の多板式クラッチは、ドリブンプレートやリテーニングプレート等の如く種々の円環状プレートを互いに積層した積層体を有する。この積層体が、クラッチ板として機能する。
【0003】
ここで、ドリブンプレートの外周壁には、複数個の凸部が直径方向外方に向かって突出形成されている。一方、リテーニングプレートの内周壁には、複数個の凸部が直径方向内方に向かって突出形成されており、積層体を形成する際には、これらの凸部を所定の位置に位置決めする必要がある。換言すれば、積層体を構成するに際し、ドリブンプレートやリテーニングプレートの如き円環状プレートの位相合わせをした上で積層しなければならない。この種の多板式クラッチの位相合わせ装置としては、特許文献1に示すようなものがある。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−127924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1記載の多板式クラッチの位相合わせ装置は、プレートの供給機構によってプレートを積層し、移送機構によって積層されたプレートを把持し、組み付け機構に移送した後、組み付け機構でクラッチの位相合わせを行っていることから、構成が複雑になり、設備投資が高騰するという不具合がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を考慮してなされたものであって、積層されたプレートの凸部を位置決め固定することにより積層体の位相ズレを防ぐことが可能な位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、貫通孔が設けられ且つ外側に複数個の第1凸部が突出形成された第1ワークと、貫通孔が設けられ且つ内側に複数個の第2凸部が突出形成された第2ワークとをそれぞれ複数枚含む積層体の前記第1凸部同士の位置及び前記第2凸部同士の位置を位置決め固定する位置決め装置であって、
基板と、
前記基板上に立設され、前記第1ワークにおける前記第1凸部同士の間に係合する第1係合部位を有する第1立設部と、
前記基板上に立設され、前記第2ワークにおける前記第2凸部同士の間に係合する第2係合部位を有する第2立設部と、
を具備し、
前記第1係合部位及び前記第2係合部位の各々が複数個設けられ、
前記第1係合部位が前記第1凸部同士の間に介在することで前記第1凸部の各々を位置決め固定するとともに、前記第2係合部位が前記第2凸部同士の間に介在することで前記第2凸部の各々を位置決め固定することを特徴とする。
【0008】
このように、本実施においては、第1立設部と第2立設部によって、第1ワークの第1凸部と第2ワークの第2凸部とを位置決め固定し、この状態で例えば、搬送することが可能である。従って、所定の作業ステーションに搬送した後、積層体を移送するのみで位相を保持したまま他の部材に組み込むことが可能となる。
【0009】
また、前記基板上に、該基板と前記積層体との間にクリアランスを設けるための複数個のスペーサをさらに設けることが好ましい。この場合、積層体を下端面側から支持する支持部を有するクランプ装置の前記支持部をクリアランスから挿入することが可能となる。
【0010】
さらに、前記第1係合部位又は前記第2係合部位のいずれかが正多角形の頂点に配置されていてもよい。これにより、位置決め固定が一層確実となる。
【0011】
さらにまた、前記第1ワーク及び前記第2ワークがともに円環状プレートである場合、前記第1係合部位が前記第1ワークの前記第1凸部同士の間の外周壁に当接するとともに、前記第2係合部位が前記第2ワークの前記第2凸部同士の間の内周壁に当接させることが好ましい。このように深い位置まで第1係合部位及び第2係合部位が進入することで第1ワークと第2ワークの位相ズレを一層確実に防止することができる。
【0012】
さらにまた、前記積層体は、多板式クラッチを構成するクラッチ板であってもよい。
【0013】
さらにまた、当該位置決め装置は、前記積層体を搬送するための搬送部材に設けられていてもよい。この場合、位置決め装置は、搬送部材と同一部材として一体的に形成されていてもよいし、別部材として搬送部材に組み込まれたものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、第1立設部と第2立設部によって、第1ワークの第1凸部と第2ワークの第2凸部とをそれぞれ位置決め固定することにより、例えば、積層体を搬送する際の位相ズレを防止することができる。また、基板と積層体との間にクリアランスを設けるための複数個のスペーサが設けられていることで、積層体をクランプ装置でクランプする際に、下端面側から支持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る位置決め装置につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
はじめに、位置決め装置によって位相が固定されるワークにつき説明する。
【0017】
図1は、ワークである積層体10の概略全体斜視図である。この積層体10は、後述するクラッチドラムに収容されて多板式クラッチを構成する。すなわち、該積層体10は、多板式クラッチにおけるクラッチ板である。
【0018】
この積層体10は、ドリブンプレート(第1ワーク)12とリテーニングプレート(第2ワーク)14とを含む。図1〜図3から諒解されるように、ドリブンプレート12及びリテーニングプレート14は、各中心部に貫通孔16、18がそれぞれ設けられた円環状プレートである。
【0019】
この中、ドリブンプレート12の外周壁には、一対の凸部(第1凸部)20a、20bが直径方向外方に向かって複数個突出形成されている。一対の凸部20a、20bは互いに近接して設けられて凸部対22をなし、このため、凸部対22をなす凸部20a、20b同士の間に凹部24が形成され、隣接する凸部対22同士の間に凹部25が設けられる。
【0020】
この場合、凸部対22同士の間隔は、凸部対22をなす凸部20a、20b同士の間隔に比して大きく設定されている。 一方、リテーニングプレート14の内周壁には、複数個の凸部(第2凸部)26が直径方向内方に向かって等間隔で突出形成されている。以下においては、説明の便宜上、隣接する凸部26、26同士の間を凹部28と称する。
【0021】
図1に示すように、リテーニングプレート14は、凹部28がドリブンプレート12の凹部24の位置に対応するように位相合わせされる。すなわち、積層体10は、ドリブンプレート12とリテーニングプレート14とが、互いの凹部24、28の位置が対応するように交互に積層されることによって構成される。
【0022】
そして、積層体10が構成されると、ドリブンプレート12の貫通孔16と、リテーニングプレート14の貫通孔18とによって、貫通孔30が形成される。
【0023】
ドリブンプレート12とリテーニングプレート14の位相合わせ、すなわち、凸部対22と凸部26の位置決め固定は、位置決め装置を用いて、以下のようになされる。
【0024】
本実施の形態に係る位置決め装置200の概略斜視図を図4に示し、その概略平面図を図5に示す。この位置決め装置200は、積層体10を搬送するパレット(搬送部材)201の一部として形成されており、前記パレット201の底部に設けられている基板202と、該基板202に立設された3本の外方位置決め部(第1立設部)204a〜204cと、内方位置決め部(第2立設部)206と、略同一円周上に等間隔で配置された6本のスペーサ208a〜208fを具備している。
【0025】
柱状に形成された外方位置決め部204a〜204cは、各々内方位置決め部206に対面する端面210a〜210c(以下、外方係合部と称する)を有する。図6及び図7に示されるように、これらの外方係合部210a〜210cは、積層体10が外方位置決め部204a〜204cと内方位置決め部206との間に配置されたとき、ドリブンプレート12の凹部25に臨入する第1係合部位である。
【0026】
内方位置決め部206は、略三角柱形状の各頂部212a〜212c(以下、内方係合部と称する)が湾曲形成されるとともに内方係合部212a〜212c同士に連なる側面が内方へ凹んだ湾曲面として形成されている。この内方位置決め部206の各内方係合部212a〜212cがリテーニングプレート14に形成された凹部28に臨入する(図6及び図7参照)。なお、内方係合部212a〜212c同士は、内方位置決め部206が三角柱状であるとき正三角形の頂点に位置する関係にある(図5及び図7参照)。
【0027】
このように、本実施の形態では、3個の外方位置決め部204a〜204cの各々に外方係合部210a〜210cが形成され、内方位置決め部206に3個の内方係合部212a〜212cが設けられる。なお、本実施の形態において外方係合部210a〜210cはドリブンプレート12の凹部25の底部に当接するとともに、内方係合部212a〜212cはリテーニングプレート14に形成された凹部28の底部に当接する。
【0028】
スペーサ208a〜208fは円柱形状であり、その中心は互いに仮想される真円上に存在する。すなわち、スペーサ208a〜208fは、略同一円周上に配置されている。また、スペーサ208a〜208fの立設方向の高さは、後述する可動爪44a〜44cの端面支持部82の厚みよりも十分に高く設定されている。
【0029】
前記スペーサ208a〜208fは、図5から容易に諒解されるように、内方位置決め部206を囲繞して配置され、外方位置決め部204a〜204cは、スペーサ208a〜208fの中心を結んで形成される仮想円よりも大径な仮想円上に配置されている。
【0030】
積層体10は、パレット201に収容されて、所定の作業ステーションに搬送された後、図8及び図9に示すクランプ装置でクランプされる。
【0031】
次に、このクランプ装置につき説明する。前記クランプ装置40は、図1に示す積層体10をワークとしてクランプするための装置であり、図8から諒解されるように、基本的には、ブラケット盤46と、カム盤48と、収容盤50からなる。この中のブラケット盤46に、固定爪42a〜42cが係止されるとともに前記可動爪44a〜44cが変位自在に係止されている。
【0032】
ブラケット盤46は、第1〜第3の湾曲部52a〜52cによって全体としてリング状の円環部54として形成され、前記円環部54と同心的に且つその内側に円盤部56が設けられ、前記円環部54と円盤部56との間は、互いに略同形状の3本の橋架部58a〜58cによって連結されている。この場合、橋架部58a〜58c同士は、互いに等間隔、すなわち、120°で離間している。
【0033】
ブラケット盤46には、円盤部56から円環部54にかけて、且つ橋架部58の長手方向に沿ってガイド溝60が設けられている。このガイド溝60には、固定爪42aを係止するとともに可動爪44aを摺動自在に係止するための段部62が設けられている。すなわち、図8及び図10に示すように、固定爪42aは、係止部64を有し、この係止部64にはその両側上端部の一部を切り欠くように一対の係止溝68、68が形成されている。これら係止溝68、68は前記段部62が係合する。可動爪44aも、同様に係止部66を有し、この係止部66にはその両側上端部を切り欠くようにして一対の係止溝70、70が形成され、この係止溝70、70は段部62に係合する。この際、係止部64の上端面とブラケット盤46の上端面とが面一となる。
【0034】
ここで、固定爪42aは、係止部64に設けられたねじ穴に螺入するピン止ネジ72を介して前記係止部64の下端面に取り付けられた略円柱状の把持用ピン74を有する。一方、係止部64の上端面には位置決め用ピン76が突設されており、該位置決め用ピン76の上端部は、固定爪42aがブラケット盤46の段部62に装着されたとき、該ブラケット盤46よりも上方へと突出して前記カム盤48に臨む。
【0035】
一方、可動爪44aは、係止部66の下部から延在するL字状支持部78を有する(図8参照)。このL字状支持部78は、図8における鉛直下方に向かって延在する内周壁支持部(内壁支持部)80と、該内周壁支持部80の先端から固定爪42aに指向して水平方向に延在する端面支持部82とを有する。
【0036】
内周壁支持部80には、取付ネジ86、86によって半円柱状棒体84が固定されている。
【0037】
可動爪44aを構成する係止部66の上端面には、案内ピン88が突設されている。前記案内ピン88の上端部は、可動爪44aがブラケット盤46の段部62に装着されたとき、該ブラケット盤46よりも上方へと突出して、前記位置決め用ピン76と同様に、前記カム盤48に臨む。
【0038】
橋架部58b、58c、固定爪42b、42c及び可動爪44b、44cは、前記橋架部58a、固定爪42a及び可動爪44aと同様に構成されるものであり、従って、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0039】
上記したように、橋架部58a〜58c同士が互いに120°で離間しているため、ブラケット盤46の外周端の段部62に装着される固定爪42a〜42c同士は、仮想の正三角形の頂点に位置することになる。前記固定爪42a〜42cに対して等間隔で位置決めされる可動爪44a〜44c同士も同様に、仮想の正三角形の頂点に位置する。
【0040】
円盤部56の中心部には貫通孔90が設けられ、円環部54は前記橋架部58a〜58cの外端部近傍にボルト穴92が形成されている。
【0041】
カム盤48は略円盤形状であり、その直径は前記ブラケット盤46の直径(円盤部56の中心部から円環部54の外周壁までの距離)に比して小さく設定され、該カム盤48の円周方向に沿って同心的に且つ湾曲した3本の弧状長穴94a〜94cが貫通形成されている。図11に示すように、前記固定爪42a〜42cの各位置決め用ピン76が各弧状長穴94a〜94cに挿入され、固定爪42a〜42cが位置決めされる。一方、前記弧状長穴94a〜94cの内方には、カム盤48の中心部側から側周壁(外端部)側に接近するように湾曲した3本のカム溝96a〜96cが等間隔で貫通形成されている(図8及び図11参照)。、前記可動爪44a〜44cを構成する案内ピン88が各カム溝96a〜96cに挿入され、可動爪44a〜44cが位置決めされる(図11参照)。カム盤48の中心部には貫通孔98が設けられているとともに、その円周には、ハンドルバー100a〜100cの各ネジ部が螺合される3個のネジ穴102が形成されている。
【0042】
収容盤50は、その直径が前記ブラケット盤46の直径と略同等に設定された円盤形状であって、カム盤48に臨む端面には、該カム盤48が摺接自在に収容される収容部104が設けられている(図8及び図14参照)。収容盤50の中心には、環状段部106が設けられた貫通孔108が形成されている(図8参照)。ブラケット盤46、カム盤48及び収容盤50は、貫通孔90、98、108の位置が合致するように重畳され、これら貫通孔90、98、108には、図示しない懸吊部材、例えば、作業ステーションの天井に設けられたクレーンワイヤ等を係止するための懸吊用プラグ(懸吊部材係合部)110が貫通する。前記懸吊用プラグ110の該ネジ部にナット112が螺合して、該懸吊用プラグ110の抜け止めがなされる。
【0043】
懸吊用プラグ110の先端部には、その軸線と直交するように係止用孔114が貫通形成され、この係止用孔114に対し、例えば、クレーンワイヤ等に設けられたフック(図示せず)が係止されることで、クレーン装置の作動下にクランプ装置40が昇降動作可能となる。
【0044】
収容盤50には、前記貫通孔108を囲繞するように、扇形形状の孔部116a〜116cが貫通形成されている。図8及び図12に示すように、前記孔部116a〜116cの直径方向外方には、収容盤50の円周方向に沿って3本の湾曲した長穴118a〜118cが貫通形成される。前記ハンドルバー100a〜100cの先端は、前記長穴118a〜118cを貫通して前記カム盤48に設けられたネジ穴102(図8参照)に螺合する。なお、前記長穴118a〜118cは、カム盤48の弧状長穴94a〜94cに対してより中心部側に形成されている。
【0045】
ここで、図9は可動爪44a〜44cが固定爪42a〜42cに対して最も接近した位置にある状態を示し、一方、図11及び図12は、可動爪44a〜44cが固定爪42a〜42cに対して最も離間した位置にある状態を示している。
【0046】
さらに、収容盤50の周壁近傍には、ブラケット盤46に設けられた前記ボルト穴92に対応する位置に、挿入孔120が形成されている。この挿入孔120にボルト122を挿入して前記ボルト穴92に螺合することにより、ブラケット盤46と収容盤50とが互いに連結される。
【0047】
収容盤50の側周壁には、該収容盤50の直径方向外方に延在するように把持用バー124a、124bが設置されている。作業者は、これら把持用バー124a、124bを把持してクランプ装置40を所定の位置に変位させることが可能である。
【0048】
次に、本実施の形態に係る位置決め装置200の作用について説明する。
【0049】
はじめに、パレット201を用意し、内方位置決め部206の内方係合部212a〜212cがリテーニングプレート14の凹部28と係合するようにリテーニングプレート14をスペーサ208a〜208f上に載置する。次に、前記リテーニングプレート14に積層して、外方位置決め部材204の外方係合部210a〜210cがドリブンプレート12の凹部25と係合するようにドリブンプレート12を載置する。以下、リテーニングプレート14とドリブンプレート12をこの順序で交互に積層することにより、積層体10を構成する(図6及び図7参照)。場合によっては、その他のプレートを含めて、積層体10を構成するようにしてもよい。
【0050】
このようにして形成された積層体10では、すべてのドリブンプレート12の凹部25に外方係合部210a〜210cが係合する。このため全ドリブンプレート12が凸部対22同士、ひいては凸部20同士の位置が合致した状態で位置決め固定される。しかも、3箇所の凹部25に外方係合部210a〜210cが係合しているので、位置決め固定が一層確実となる。換言すれば、複数枚のドリブンプレート12が相互に位相ズレを生ずることが回避される。
【0051】
同様にすべてのリテーニングプレート14の凹部28に内方係合部212a〜212cが係合する。このため、全リテーニングプレート14の凸部26同士の位置合わせが行われ、位相が一致した状態で位置決め固定される。しかも、3箇所の凹部28に内方係合部212a〜212cが係合していることから、リテーニングプレート14の位相ズレが回避される。
【0052】
本実施の形態によれば、このように外方係合部210a〜210cでドリブンプレート12の位相ズレを回避する一方、内方係合部212a〜212cでリテーニングプレート14の位相ズレを回避するようにしている。従って、積層体10において凹部24、28同士が揃って位置決め固定される。
【0053】
さらに、本実施の形態では、外方係合部210a〜210cを凹部25の座部(ドリブンプレート12の外周壁)に当接させるとともに、内方係合部212a〜212cを凹部28の座部(リテーニングプレート14の内周壁)に当接させるようにしている。このように凹部25、28の深い位置まで外方係合部210a〜210c及び内方係合部212a〜212cが進入することで、ドリブンプレート12とリテーニングプレート14の位相ズレをさらに一層確実に回避することができる。
【0054】
このようにして、位置決め固定された積層体10はパレット201に収容された状態で所定の作業ステーションに搬送される。その後、クランプ装置40によってパレット201から取り出される。
【0055】
クランプ装置40の懸吊用プラグ110には、例えば、クレーン装置を構成するクレーンワイヤがフックを介して係止される。これにより、クレーン装置を作動させることでクランプ装置40の全体を昇降動作・変位動作させることが可能である。
【0056】
クランプ装置40は、図9、図13、及び図12のX−X線矢視断面図である図14に示すように、可動爪44a〜44cが固定爪42a〜42cから最も離間した位置にある状態、換言すれば、クランプ部が開いた状態で、ワークである積層体10(図1参照)が設けられた位置まで移動され、該積層体10に対して下降する。この時、積層体10はスペーサ208a〜208fによって浮いた状態にある(図15参照)。その後、図17に示すように、可動爪44a〜44cがスペーサ208a〜208fによって形成されたクリアランス214に挿入され、この可動爪44a〜44cと固定爪42a〜42cとの間に積層体10が配置される(図17参照)。なお、その際、クランプ装置40では、積層体10を構成するドリブンプレート12の外周壁に設けられて前記凸部対22をなす凸部20、20間の凹部24に固定爪42a〜42cが配置される一方、可動爪44a〜44cはリテーニングプレート14の凹部28に対向するように、位置合わせがなされる。
【0057】
以上のようなクランプ装置40の積層体10に対する挿入及び位置合わせは、作業者が把持用バー124a、124bを把持して実施される。
【0058】
次いで、作業者は、ハンドルバー100a〜100cの中の少なくともいずれか1本、好ましくは2本を把持し、図13及び図16中の矢印A方向に該ハンドルバー100a〜100cを回動させる。これにより、カム盤48がその中心部を回転中心として矢印A方向に回転動作する。
【0059】
この際、ハンドルバー100a〜100cは、収容盤50に形成された湾曲長穴118a〜118cに案内される。このため、カム盤48を、回転ズレを起こすことなく回転動作させることができる。この場合、カム盤48の弧状長穴94a〜94cは、該カム盤48の円周方向に沿って湾曲している。従って、該弧状長穴94a〜94cに挿入された位置決め用ピン76は、カム盤48が回転動作された場合においても、クランプ装置40の直径方向内方又は外方に向かって移動することがない。このため、固定爪42a〜42cがブラケット盤46のガイド溝60に沿って位置を変えることもない。換言すれば、弧状長穴94a〜94cをカム盤48の外周壁と同心円状となるように形成することにより、固定爪42a〜42cの位置を変えることなくガイド溝60に係止することが可能となる。
【0060】
一方、カム溝96a〜96cは、前記のとおり、カム盤48の中心部側から側周壁側に接近するように延在している。このため、カム盤48が回転動作するに従って、カム溝96a〜96cに挿入された可動爪44a〜44cの案内ピン88は、カム盤48の中心部側から側周壁(外端部)側に移動する。すなわち、、可動爪44a〜44c全体がガイド溝60に案内されながらカム盤48の外端部側、すなわち、固定爪42a〜42c側に向けて変位し、図18の矢印Bに示すように、可動爪44a〜44cが固定爪42a〜42cに対して接近する。
【0061】
最終的に、ハンドルバー100a〜100cが図11、図12及び図19に示す位置まで回動動作されることにより、可動爪44a〜44cの半円柱状棒体84がリテーニングプレート14の凹部28に係合するに至る(図19参照)。この係合によって、可動爪44a〜44cの各内周壁支持部80が貫通孔30の内周壁側から積層体10を支持する一方、固定爪42a〜42cが積層体10の外周壁側から該積層体10を支持する状態となり、結局、図20に示すように、該積層体10がクランプされることになる。
【0062】
その後、クランプ装置40は、前記図示しないクレーンワイヤが巻き上げられることで上方に変位され、この状態で、該クレーン装置によって図20に示すクラッチドラム130の上方まで搬送される。その後、クレーンワイヤが送り出されてクランプ装置40が下方に変位され、作業者が把持用バー124a、124bを把持して、ドリブンプレート12の凸部対22とクラッチドラム130の係合凹部132との位置合わせを行う。次に、クレーンワイヤがさらに送り出されてクランプ装置40が一層下方に変位し、その結果、図21に示すように、クラッチドラム130の所定位置に積層体10が収容される。
【0063】
積層体10が収容された後、作業者は、図13及び図16中の矢印A方向とは逆方向にハンドルバー100a〜100cを回動動作させ、これにより、カム盤48を上記とは逆方向に回転動作させる。この回転動作に追従して可動爪44a〜44cの案内ピン88がガイド溝60に案内されながら固定爪42a〜42cに対して離間する方向に変位する。すなわち、積層体10に対するクランプが解除される。
【0064】
その後、クレーンワイヤが巻き上げられてクランプ装置40が上方(矢印C方向)に変位し、クラッチドラム130から離間する。
【0065】
なお、上記した実施の形態においては、積層体10からなるクラッチ板をワークとして例示して説明したが、ワークは特にこれに限定されるものではなく、貫通孔が設けられたものであればよい。すなわち、例えば、矩形形状のワークであってもよい。勿論、貫通孔も断面円形状に限定されるものではなく、断面四角形状であってもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、パレット201上で、ドリブンプレート12とリテーニングプレート14を交互に積層しながら、ドリブンプレート12とリテーニングプレート14の位相合わせをしながら積層体10を構成しているが、この順序に限定されるものではなく、積層体10を構成した後にパレット201に収容するようにしてもよい。すなわち、図1に示すようにドリブンプレート12の凹部24の位置に、リテーニングプレート14の凹部28を対応させながら、ドリブンプレート12とリテーニングプレート14を交互に積層し積層体10を構成する。次に、凹部24と凹部28の位相ズレが起きないように、内方位置決め部206の内方係合部212a〜212cをリテーニングプレート14の凹部28と係合させ、且つ外方位置決め部材204の外方係合部210a〜210cをドリブンプレート12の凹部24と係合させながら、積層体10をスペーサ208a〜208f上に載置してもよい。
【0067】
さらに、位置決め装置200はパレット201の一部として形成せずに、パレット201の中敷きとして設けてもよい。
【0068】
さらにまた、外方位置決め部204a〜204cの個数は3個に限定されるものではなく、正多角形を構成できる個数であればよい。また、外方係合部210a〜210c同士は、正多角形の頂点に位置していてもよい。
【0069】
さらにまた、外方係合部210a〜210cと凹部25及び内方係合部212a〜212cと凹部28は係合している場合に限定されるものではなく、当接の場合でもよい。また、外方係合部210a〜210cは凹部25と係合させている場合に限定されるものではなく、凹部24と係合する外方係合部211a〜211cを設けるようにしてもよい(図22参照)。勿論、凹部25と係合する外方係合部210a〜210cと、凹部24と係合する外方係合部211a〜211cの双方を設けるようにしてもよい(図23参照)。
【0070】
さらにまた、内方係合部212a〜212c同士は、正三角形の頂点に位置する関係に限定されるものではなく、正多角形の頂点の位置に関係にあってもよい。
【0071】
さらにまた、スペーサ208a〜208fは円柱形状に限定されるものではなく、上面と下面が平行である柱状であればよい。また、個数は6個に限定されるものではなく、2個以上であればよい。
【0072】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】クランプ装置にクランプされる積層体の全体分解斜視図である。
【図2】図1の積層体を構成するドリブンプレートの平面図である。
【図3】図1の積層体を構成するリテーニングプレートの平面図である。
【図4】位置決め装置の一部省略斜視図である。
【図5】位置決め装置の一部省略平面図である。
【図6】位置決め装置に積層体を載置した状態の一部省略斜視図である。
【図7】位置決め装置に積層体を載置した状態の一部省略平面図である。
【図8】本実施の形態に係るクランプ装置の分解斜視図(分解状態)である。
【図9】図8に示すクランプ装置の組立状態を示す斜視図(組立状態)である。
【図10】図8に示すクランプ装置の固定爪の円盤部側から一部省略平面図である。
【図11】図8のクランプ装置のクランプ部が閉じた状態の際の一部断面平面図である。
【図12】図8のクランプ装置の平面図である。
【図13】図8のクランプ装置のクランプ部が開いた状態の一部断面平面図である。
【図14】図12のX−X線矢視断面図である。
【図15】位置決め装置に載置された積層体をクランプ装置でクランプする状態を示す一部省略斜視図である。
【図16】図8のクランプ装置のクランプ部が閉じた状態を示す要部断面図である。
【図17】積層体の貫通孔に図8のクランプ装置の可動爪が挿入されるとともに、前記積層体の外周壁側に固定爪が配置された状態を示す一部縦断面図である。
【図18】図14に示す状態からクランプ装置のクランプ部が閉じた状態を示す要部縦断面図である。
【図19】図17に示す状態からクランプ部が閉じ、積層体が可動爪と固定爪とでクランプされた状態を示す平面図である。
【図20】積層体を可動爪と固定爪とでクランプしてクラッチドラムの上方まで搬送した状態を示す概略斜視説明図である。
【図21】積層体をクラッチドラムに収容してクランプを解除した状態を示す概略斜視説明図である。
【図22】位置決め装置に積層体を載置した状態の一部省略平面図である。
【図23】位置決め装置に積層体を載置した状態の一部省略平面図である。
【符号の説明】
【0074】
10…積層体 12…ドリブンプレート
14…リテーニングプレート 20、20a、20b、26…凸部
22…凸部対 24、25、28…凹部
30…貫通孔 40…クランプ装置
42a〜42c…固定爪(第1爪) 44a〜44c…可動爪(第2爪)
46…ブラケット盤 48…カム盤
50…収容盤 58a〜58c…橋架部
60…ガイド溝 68、70…係止溝
74…把持用ピン 76…位置決め用ピン
78…L字状支持部 80…内周壁支持部
82…端面支持部 84…半円柱状棒体
88…案内ピン 94a〜94c…弧状長穴
96a〜96c…カム溝 100a〜100c…ハンドルバー
104…収容部 110…懸吊用プラグ
114…係止用孔 118a〜118c…湾曲長穴
124a、124b…把持用バー 130…クラッチドラム
132…係合凹部 200…位置決め装置
201…パレット 202…基板
204a〜204c…外方位置決め部 206…内方位置決め部
208a〜208f…スペーサ
210a〜210c、211a〜211c…外方係合部
212a〜212c…内方係合部 214…クリアランス
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏

【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸

【識別番号】100142066
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 直樹

【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫


【公開番号】 特開2008−55531(P2008−55531A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−233396(P2006−233396)