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【発明の名称】 搬送作業方法及びその装置
【発明者】 【氏名】野口 純男

【氏名】山室 英哉

【氏名】高橋 貢

【氏名】安達 正和

【要約】 【課題】ワークを搬送しつつワークに対して作業手段により所定の作業を行うとき、作業手段のワークに対する作業中にワークの搬送が停止される事態が生じても、ワークに対する精度の高い作業を続行させて生産効率の低下を抑えることができる搬送作業方法及びその装置を提供する。

【構成】ワーク搬送手段3によりワークを搬送し、その搬送経路1に設けた作業領域A〜Hでワーク搬送手段3と同期して可動台9を移動させて、可動台9に設けた作業手段によりワークに対する所定の作業を行う。ワーク搬送手段3の移動が停止されとき、作業領域A〜Hにおいて可動台9をワーク搬送手段3と同期停止させてワークに対する所定の作業を続行し1サイクルの作業を完了させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送しつつワークに対して所定の作業を行う搬送作業方法において、
ワークを所定位置に保持するワーク搬送手段により該ワークを搬送し、該ワーク搬送手段によるワークの搬送経路に沿って設けられた作業領域にわたって該ワーク搬送手段と同期して可動台を移動させる作業領域搬送工程と、該作業領域搬送工程において前記可動台に設けられたワーク支持手段によりワーク搬送手段からワークを離脱させて支持し且つ該可動台に設けられた作業手段によってワーク支持手段のワークに対して所定の作業を行う作業工程とを備え、
該作業工程は、作業領域におけるワーク搬送手段の移動と同期して可動台を移動させた状態でワークに対する所定の作業を完了させる搬送時作業工程と、作業領域において前記ワーク搬送手段の移動が停止されて該搬送時作業工程が中断されたとき、可動台を前記ワーク搬送手段と同期停止させてワークに対して所定の作業を完了させる停止時作業工程とを備えることを特徴とする搬送作業方法。
【請求項2】
前記可動台は、前記作業領域搬送工程において作業領域の移動を駆動する駆動モータを備え、該駆動モータは、搬送時作業工程及び停止時作業工程においてワーク搬送手段の移動速度に対応してトルク制御されることを特徴とする請求項1記載の搬送作業方法。
【請求項3】
前記ワーク搬送手段は、無端状に形成された前記搬送経路を循環移動し、
該搬送経路に沿って、ワークに対する作業内容の異なる作業領域が複数設けられており、
前記作業工程は、各作業領域毎に独立して行われることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送作業方法。
【請求項4】
ワークを搬送しつつワークに対して所定の作業を行う搬送作業装置において、
ワークを所定位置に保持して搬送するワーク搬送手段と、
該ワーク搬送手段によるワークの搬送経路に沿って所定の距離にわたって設けられた作業領域と、
該作業領域に設けられ、前記ワーク搬送手段と同期移動自在の可動台と、
該可動台に設けられ、前記ワーク搬送手段からワークを離脱させて支持するワーク支持手段と、
該可動台に設けられ、前記ワーク支持手段に支持されたワークに対して所定の作業を行う作業手段と、
前記可動台を前記作業領域にわたって移動させる可動台駆動手段と、
該可動台駆動手段による可動台の移動速度がワーク搬送手段の移動速度に合致するように可動台駆動手段を制御する可動台駆動制御手段と、
前記作業領域内において作業手段のワークに対する所定の作業を完了させると共に、作業手段の作業中に前記ワーク搬送手段の移動が停止されたとき、前記作業領域において作業手段が行う所定の作業を完了させる作業制御手段とを備えることを特徴とする搬送作業装置。
【請求項5】
前記可動台駆動手段は、駆動モータであり、
可動台駆動制御手段は、該駆動モータをトルク制御することにより、ワーク搬送手段の移動速度に対応して可動台の移動を制御することを特徴とする請求項4記載の搬送作業装置。
【請求項6】
前記ワーク搬送手段は、無端状に形成された前記搬送経路を循環移動し、
該搬送経路に沿って、ワークに対する作業内容の異なる作業領域が複数設けられており、
前記可動台は、各作業領域毎に独立して設けられることを特徴とする請求項4又は5記載の搬送作業装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを搬送しつつワークに対して所定の作業を行う搬送作業方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に見られるように、台車にワークを保持して搬送し、台車の搬送経路に沿って設けられたロボット等の作業手段を搭載した可動台を台車と同期移動させて、搬送中のワークに対して所定の作業を行う搬送作業装置が知られている。この装置では、可動台が台車の搬送経路の両側に一対設けられており、両可動台が台車と同期移動中に、両可動台の夫々に備える受取り装置によりワークの両側を両可動台で受け取って支持し、各作業手段による作業完了後にワークをもとの台車に移して搬送する。
【0003】
一般に、この種の搬送作業装置は、ワークの製造ラインにおいて台車の搬送経路に沿って設けられた複数の作業領域の夫々に設けられる。これによって、台車により搬送されて各作業領域を通過するワークに対して、各作業領域に設けられた作業手段により所定の作業が行われる。
【特許文献1】特開昭61−146690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の搬送作業装置においては、ワークを搬送中に台車が停止する事態が生じたとき、作業手段によるワークに対する作業が途中である場合には、台車の搬送が再開されるまで作業手段によるワークに対する作業が中断される。これにより、ワークの製造ラインの各作業領域において作業が中断されるので、生産効率が著しく低下する不都合がある。
【0005】
本発明は、かかる不都合に鑑みてなされたもので、作業手段のワークに対する作業中にワークの搬送が停止される事態が生じても、ワークに対する精度の高い作業を続行させて生産効率の低下を抑えることができる搬送作業方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明は、ワークを搬送しつつワークに対して所定の作業を行う搬送作業方法において、ワークを所定位置に保持するワーク搬送手段により該ワークを搬送し、該ワーク搬送手段によるワークの搬送経路に沿って設けられた作業領域にわたって該ワーク搬送手段と同期して可動台を移動させる作業領域搬送工程と、該作業領域搬送工程において前記可動台に設けられたワーク支持手段によりワーク搬送手段からワークを離脱させて支持し且つ該可動台に設けられた作業手段によってワーク支持手段のワークに対して所定の作業を行う作業工程とを備え、該作業工程は、作業領域におけるワーク搬送手段の移動と同期して可動台を移動させた状態でワークに対する所定の作業を完了させる搬送時作業工程と、作業領域において前記ワーク搬送手段の移動が停止されて該搬送時作業工程が中断されたとき、可動台を前記ワーク搬送手段と同期停止させてワークに対して所定の作業を完了させる停止時作業工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、前記作業領域搬送工程において前記作業工程が行われる。前記作業工程においては、状況に応じて前記搬送時作業工程と前記停止時作業工程とが選択的に行われる。即ち、前記搬送時作業工程は、作業領域の搬送経路に沿って移動するワークに対する所定の作業を完了させる。可動台のワーク支持手段に支持されて所定の作業が完了したワークは、作業領域の終端側で移動するワーク搬送手段に受け渡され、可動台は作業領域の始端側に戻される。該搬送時作業工程においては、前記可動台がワーク搬送手段の移動に同期するので、ワーク搬送手段が作業領域を通過している間にワークに対して所定の作業を完了させることができ、極めて高い生産効率を得ることができる。
【0008】
また、前記停止時作業工程は、作業領域において前記ワーク搬送手段の移動が停止されて該搬送時作業工程が中断されたときに行われる。前記ワーク搬送手段は、異常等が発生した場合に停止されることがある。このときには、前記搬送時作業工程が停止され、ワークに対する所定の作業も中断されることになる。そこで、本発明においては、ワーク搬送手段の移動が停止されたときに、前記停止時作業工程を行い、ワークに対する作業を続行させて所定の作業を完了させる。こうすることにより、ワーク搬送手段が作業領域で停止している間にワークに対する作業を完了させることができ、更には、可動台のワーク支持手段から停止中のワーク搬送手段に作業が完了したワークを受け渡すことができる。これにより、ワーク搬送手段の復帰を待たずに、ワークに対する作業の完了させ、可動台を作業領域の始端側に戻すことができるので、ワーク搬送手段が復帰した際に迅速に搬送時作業工程を行うことができ、ワーク搬送手段の停止に伴う生産効率の低下を抑えることができる。
【0009】
また、本発明の方法において、前記可動台は、前記作業領域搬送工程において作業領域の移動を駆動する駆動モータを備え、該駆動モータは、搬送時作業工程及び停止時作業工程においてワーク搬送手段の移動速度に対応してトルク制御されることを特徴とする。
【0010】
作業領域において可動台の駆動モータをトルク制御してワーク搬送手段の移動速度に合致させることにより、作業領域の始端側におけるワーク搬送手段からワーク支持手段へのワークの受け渡しと、作業領域の終端側におけるワーク支持手段からワーク搬送手段へのワークの受け渡しとを精度良く行うことができる。また、例えば、ワーク搬送手段が作業者による停止操作により停止するときには、ワーク搬送手段は、移動時の惰性によって次第に速度を低下させて停止する。本発明においては、可動台の駆動モータがワーク搬送手段の移動速度に対応してトルク制御されるので、停止時のワーク搬送手段の速度低下に同期して可動台を減速させ、ワーク搬送手段と同期停止させることができる。これにより、急激な可動台の停止が防止でき、ワークに衝撃等を与えることがなく可動台を停止させることができるので、停止時作業工程における所定の作業の続行を円滑に行うことができる。
【0011】
また、本発明の方法において、前記ワーク搬送手段は、無端状に形成された前記搬送経路を循環移動し、該搬送経路に沿って、ワークに対する作業内容の異なる作業領域が複数設けられており、前記作業工程は、各作業領域毎に独立して行われることを特徴とする。
【0012】
これにより、ワーク搬送手段が無端状に移動して各作業領域を通過する間に、各作業工程を行うことができ、生産効率が向上する。更に、各作業領域において、その夫々が停止時作業工程を備えるので、ワーク搬送手段が停止する事態が生じても、各作業領域における各作業工程を行うことができ、ワーク搬送手段の停止に伴う生産効率の低下を抑えることができる。
【0013】
また、本発明は、ワークを搬送しつつワークに対して所定の作業を行う搬送作業装置において、ワークを所定位置に保持して搬送するワーク搬送手段と、該ワーク搬送手段によるワークの搬送経路に沿って所定の距離にわたって設けられた作業領域と、該作業領域に設けられ、前記ワーク搬送手段と同期移動自在の可動台と、該可動台に設けられ、前記ワーク搬送手段からワークを離脱させて支持するワーク支持手段と、該可動台に設けられ、前記ワーク支持手段に支持されたワークに対して所定の作業を行う作業手段と、前記可動台を前記作業領域にわたって移動させる可動台駆動手段と、該可動台駆動手段による可動台の移動速度がワーク搬送手段の移動速度に合致するように可動台駆動手段を制御する可動台駆動制御手段と、前記作業領域内において作業手段のワークに対する所定の作業を完了させると共に、作業手段の作業中に前記ワーク搬送手段の移動が停止されたとき、前記作業領域において作業手段が行う所定の作業を完了させる作業制御手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、ワーク搬送手段がワークを搬送して作業領域に入ると、先ず、可動台駆動制御手段の可動台駆動手段に対する制御により、可動台がワーク搬送手段との同期移動を開始する。次いで、作業領域の始端側で可動台のワーク支持手段がワーク搬送手段からワークを受け取り、作業制御手段の制御によって作業手段がワークに対して所定の作業を行う。この間、ワーク搬送手段と可動台とは同期移動をしており、ワーク搬送手段が作業領域を通過している間に、作業制御手段の制御により作業手段による所定の作業を完了させる。そして、作業領域の終端側で可動台のワーク支持手段のワークをワーク搬送手段に受け渡し、可動台は可動台駆動手段の駆動により作業領域の始端側に戻る。一方、作業手段の作業中に前記ワーク搬送手段の移動が停止されたときには、可動台駆動制御手段が可動台をワーク搬送手段の移動速度に合致するように移動させているので、ワーク搬送手段の停止に追従して可動台も停止される。このとき、作業制御手段は、ワーク搬送手段と可動台とが停止した状態であっても、作業領域において作業手段が行う所定の作業を完了させる。これによって、所定の作業が完了したワークを即座にワーク支持手段からワーク搬送手段に受け渡し、可動台を作業領域の始端部に戻すことができるので、ワーク搬送手段の移動が再開されたときには、続いてワーク搬送手段に搬送されるワークに対する作業が行える態勢とすることができる。このようにして、ワーク搬送手段が停止しても作業領域において作業手段が行う所定の作業を完了させることができるので、ワーク搬送手段の停止に伴う生産効率の低下を抑えることができる。
【0015】
また、本発明の装置において、前記可動台駆動手段は、駆動モータであり、可動台駆動制御手段は、該駆動モータをトルク制御することにより、ワーク搬送手段の移動速度に対応して可動台の移動を制御することを特徴とする。
【0016】
これによれば、可動台を駆動する駆動モータが可動台駆動制御手段のトルク制御によりワーク搬送手段の移動速度に対応して同期移動されるので、例えば、ワーク搬送手段が作業者による停止操作により停止するときに移動時の慣性によって次第に速度を低下させるときも、それに合致させて可動台の速度を低下させることができ、可動台の急激な停止を防止しつつワーク搬送手段と同期停止させることができる。これにより、ワークに衝撃等を与えることがなく可動台を停止させることができるので、可動台停止後の所定の作業の続行を円滑に行うことができる。
【0017】
また、本発明の装置において、前記ワーク搬送手段は、無端状に形成された前記搬送経路を循環移動し、該搬送経路に沿って、ワークに対する作業内容の異なる作業領域が複数設けられており、前記可動台は、各作業領域毎に独立して設けられることを特徴とする。
【0018】
これにより、ワーク搬送手段が無端状に移動して各作業領域を通過する間に、各作業手段による作業を効率よく行って、生産効率を向上させることができる。更に、各作業領域において、その夫々が作業制御手段を備えるので、ワーク搬送手段が停止する事態が生じても、各作業領域における各作業手段による所定の作業を続行して行うことができ、ワーク搬送手段の停止に伴う生産効率の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の搬送作業装置を備える製造ラインを模式的に示す説明図、図2は本実施形態の搬送作業装置の概略平面図、図3は本実施形態の搬送作業装置の概略側面図、図4は連結手段の説明的平面図、図5は連結手段の作動説明図、図6は本実施形態の搬送作業装置の作動を示す説明図である。
【0020】
本実施形態に係る搬送作業装置は、自動車のドア製造ラインとして設けられ、図1に示すように、楕円状の搬送経路1に沿って自動車のドアであるワーク2(図2及び図3参照)を搬送する無端状のワーク搬送手段3を備えている。ワーク搬送手段3は、複数の移動プレート4を無端状に連結することにより搬送面を形成するコンベアであり、移動プレート4は、図示しない駆動手段の駆動により楕円状の搬送経路に沿って循環移動する。ワーク搬送手段3には、ワーク2が所定間隔を存して保持される。更に詳しくは、図2及び図3に示すように、ワーク搬送手段3におけるワーク2の保持は、各移動プレート4上に所定間隔を存して設けられた複数のワーク保持部5により行われる。ワーク2はパレット6に支持された状態でワーク保持部5に保持され、ワーク保持部5には、パレット6が着脱自在に保持される。
【0021】
また、図1に示すように、搬送経路1の一部には、ワーク2をワーク搬送手段3のワーク保持部5に投入する投入部7と、ワーク保持部5のワーク2を排出する排出部8とが設けられている。なお、ワーク搬送手段3は、必要に応じて、或いは、搬送経路1上で何らかの不具合が生じた場合等に、作業者の操作によって停止できるようになっており、本実施形態においては、ワーク搬送手段3を停止するための図示しない非常停止ボタンが搬送経路1の周囲に複数設けられている。
【0022】
更に、図1に示すように、ワーク搬送手段3による搬送経路1には、上流から下流にかけて複数の作業領域A〜Hが配設されており、各作業領域A〜Hにおいては、ワーク搬送手段3によって搬送されて通過するワーク保持部5上のワーク2に対して夫々異なる所定の作業が行われる。各作業領域A〜Hには、図2に示すように、ワーク搬送手段3の搬送経路に沿って移動自在の可動台9が設けられている。可動台9は、ロボット等の作業手段10を備え、当該作業領域の略全長にわたり移動する。
【0023】
図1を参照して、ワーク搬送手段3は一方向にワーク2を搬送する。一方、可動台9は、ワーク搬送手段3によって搬送されて通過するワーク2に対して所定の作業を行うときに、ワーク搬送手段3の搬送方向と同一方向に同期して移動する。そして、当該作業領域の終端部に移動するまでに、ワーク2に対する所定の作業を完了させる。その後、可動台9は、次に搬送されて来るワーク2が当該作業領域に入る前に、ワーク搬送手段3の搬送方向と逆方向に移動して当該作業領域の始端部で待機する。こうして、投入部7から順次ワーク搬送手段3に連続投入された複数のワーク2は、最上流の作業領域Aから最下流の作業領域Hにわたって搬送移動された状態を維持して各作業が進められ、最下流の作業領域Hを通過したワーク2は、投入部7に隣接する排出部8によりワーク搬送手段3から連続排出される。
【0024】
本実施形態におけるワーク搬送手段3の移動プレート4は、図3に示すように、その下面両側に複数の搬送ローラ11を備え、下面中央部にガイドローラ12を備えている。搬送ローラ11は、床13に搬送経路1(図1参照)に沿って敷設された搬送レール14上を転がり、ガイドローラ12は床13に搬送経路1に沿って延設されたガイドレール15に挟まれるようにして搬送方向に案内される。
【0025】
本実施形態における可動台9は、図3に示すように、その下面両側に一対の摺動部材16を備え、各摺動部材16は、基台17に設けられたレール18に摺動自在に係合している。レール18は、移動プレート4の移動方向に沿って、当該可動台9が設けられた作業領域の全域にわたって延設されている。
【0026】
また、可動台9は、その後端部に可動台駆動手段としての駆動モータ19を備え、駆動モータ19の回転軸20の先端にピニオンギヤ21を備えている。そして、ピニオンギヤ21は、基台17の側端に搬送方向に沿って延設されたラック22と噛合している。駆動モータ19は、図2に示す可動台駆動制御手段23によりその駆動制御が行われる。
【0027】
また、図3に示すように、可動台9は台座フレーム24を備えており、台座フレーム24上には、前記作業手段10が搭載されている。作業手段10は、図2に示す作業制御手段25により当該作業領域で行われる所定の作業に応じて制御される。更に、図3に示すように、台座フレーム24には、ワーク2が支持されたパレット6をワーク搬送手段3のワーク保持部5から離脱させて支持するワーク支持手段26が設けられている。ワーク支持手段26は、パレット連結体27を進退自在に備えている。
【0028】
パレット連結体27は、詳しくは図示しないが、パレット6にその下方から連結する連結手段とパレット6を上昇させてワーク保持部5から離脱させるシリンダ等の昇降手段とを備えている。更に、パレット連結体27は、その下面にレール28を備え、台座フレーム24に設けられた摺動部材29に沿ってレール28を案内させることで、進退自在とされている。そして、パレット連結体27は、台座フレーム24に固定されたシリンダ30のロッド31に連結され、シリンダ30によるロッド31の伸縮によって進退駆動される。
【0029】
また、可動台9は、図2及び図3に示すように、ワーク搬送手段3の移動プレート4と機械的に連結するための連結手段32を備えている。連結手段32は、図4及び図5に示すように、可動台9の側縁に取付部材33を介して設けたシリンダ34と、シリンダ34のロッド35に取り付けたロック爪取付部材36に軸37を中心に回動自在に取り付けたロック爪38と、ロック爪38とロック爪取付部材36との間に取り付けられ、ロック爪38がロック状態になるように収縮するスプリング39とを備えている。更に、ロック爪38には、係合凹部40が形成されており、ワーク搬送手段3の移動プレート4には、係合凹部40に係合させる係合ピン41が設けられている。なお、42はシリンダ34のガイド部材である。また、連結手段32には、図示しないが、係合ピン41が係合凹部40に係合した状態にあるとき、係合ピン41から係合凹部40に受ける荷重を検出する荷重検出手段が設けられている。荷重検出手段は、可動台9の移動速度とワーク搬送手段3の搬送速度との差に応じた係合ピン41から係合凹部40に受ける荷重の変化を検出する。
【0030】
連結手段32の作動を説明すれば、ワーク搬送手段3のワーク保持部5を備える移動プレート4が当該作業領域に入ると、図5(a)に示すように、先ず、移動プレート4の係合ピン41が、ロック爪38の傾斜部43に当接しながら、更にスプリング39の収縮力に抗してロック爪38を下方に押圧する。次いで、ロック爪38が軸37を中心に回動して係合ピン41が係合凹部40に係合すると、ロック爪38はスプリング39の収縮力により元の状態になる。こうして、可動台9はワーク搬送手段3のワーク保持部5を備える移動プレート4に連結された状態となる。また、連結手段32による連結状態を解除するときには、シリンダ34のロッド35を収縮させる。これにより、図5(b)に示すように、ロック爪38及びロック爪取付部材36が下方に移動して係合ピン41が係合凹部40から離脱し、係合ピン41が拘束状態から解放される。
【0031】
次に、本実施形態の搬送作業装置の作動を説明する。作業手段10による作業内容は各作業領域A〜Hにおいて異なるものであるが、各作業領域A〜Hに設けられている各可動台9の駆動制御は概ね同様に行われる。そこで、各作業領域A〜Hのうちの一つについて説明する。
【0032】
図2及び図3を参照して、ワーク搬送手段3の移動プレート4は、略一定の速度(本実施形態においては、約86mm/sec)でワーク2を搬送している。当該作業領域の始端部には、可動台9が停止状態で待機している。ワーク保持部5にワーク2を保持した移動プレート4が当該作業領域に接近すると、可動台9がその駆動モータ19の駆動により移動を開始する。このとき、可動台9の駆動モータ19に対しては、可動台駆動制御手段23により可動台9の移動速度を所定の速度(本実施形態においては、約40mm/sec)まで上昇させる速度制御を行う。そして、ワーク2を保持した移動プレート4が当該作業領域に入ると、可動台9の移動速度が移動プレート4の移動速度よりも遅いことにより、移動プレート4が可動台9に追い着いて、可動台9が連結手段32により移動プレート4に連結される。この時点から、可動台9の駆動モータ19に対しては、可動台駆動制御手段23によるトルク制御が行われ、可動台9が移動プレート4と同期移動する。このトルク制御は、連結手段32に備える前記荷重検出手段が検出する荷重変化に基づいて行われ、これによって、可動台9が連結されたワーク搬送手段3に過剰な負荷を掛けることなく、可動台9とワーク搬送手段3とを精度良く同期させることができる。更に、前述したように可動台駆動制御手段23は連結手段32による連結に先立って可動台9の駆動モータ19に対する速度制御を行うので、これが可動台9の助走となって連結手段32による連結に伴ってワーク搬送手段3が受ける衝撃を十分に緩和することができる。
【0033】
次いで、図3を参照して、可動台9の台座フレーム24に設けられたワーク支持手段26のパレット連結体27を、ワーク保持部5のパレット6の下方に進出させ、パレット連結体27によってパレット6を連結すると共にパレット6を上昇させる。これにより、ワーク保持部5の直上位置において可動台9のワーク支持手段26にワーク2が支持され、ワーク搬送手段3の移動プレート4に同期移動した状態の可動台9がパレット6に支持されたワーク2を搬送する(作業領域搬送工程)。
【0034】
続いて、可動台9がワーク搬送手段3の移動プレート4に同期移動した状態を維持して、前記作業制御手段25の制御によって可動台9の作業手段10を制御してワーク2に対して所定の作業を行い、当該作業領域内でその作業を完了させる(搬送時作業工程)。このとき、可動台9のワーク支持手段にワーク2が支持されているので、作業手段10とワーク2との相関位置を高精度に維持することができ、作業手段10によるワーク2に対する作業を高精度に行うことができる。
【0035】
作業手段10によるワーク2に対する所定の作業が完了すると、当該作業領域の終端部において、可動台9のワーク支持手段26がワーク2とパレット6とを移動プレート4のワーク保持部5に受け渡して、パレット連結体27をワーク保持部5上のパレット6の下方から後退させる。次いで、連結手段32による可動台9と移動プレート4との連結を解除して可動台9が当該作業領域の始端側に戻り、次のワーク2が搬送させれてくるまで待機する。
【0036】
次に、前述の作業領域搬送工程が停止され、搬送時作業工程が中断される事態が生じた場合について図6を参照して説明する。先ず、前述の通り、ワーク2を保持した移動プレート4が当該作業領域に入り、可動台9がワーク2を受け取って作業手段10による所定の作業が行われる。図6において、線a(実線)はワーク搬送手段3の移動プレート4の移動速度を示しており、線b(破線)は可動台9の移動速度を示している。当該作業領域において可動台9が連結手段32によって移動プレート4に連結され、その後、可動台9は駆動モータ19に対する可動台駆動制御手段23のトルク制御により移動プレート4と同期移動する。
【0037】
ここで、ワーク搬送手段3は、必要に応じて、或いは、各作業領域A〜Hを含む搬送経路1上で何らかの不具合が生じた場合等に、作業者が非常停止ボタンを操作することで停止できることは前述した通りである。当該作業領域において搬送時作業工程が行われている最中に、作業者によって非常停止ボタンが操作されると、ワーク搬送手段3が停止し、搬送時作業工程における作業も停止する。そして即座に、前記作業制御手段25は、中断された所定の作業のうち残りの作業を続行し完了するように作業手段10を制御する(停止時作業工程)。このとき、図6に示すように、ワーク搬送手段3の移動プレート4はその駆動手段による駆動が解除され、短時間であるが惰性によって次第に速度を低下させて停止する。一方、可動台9は連結手段32により移動プレート4に連結されており、可動台9の駆動モータ19に対しては前記可動台駆動制御手段23によりトルク制御が行われていることにより、移動プレート4の惰性による速度低下に追従して、可動台9の速度が低下し、同期停止される。これによって、可動台9には移動プレート4の速度低下に伴う衝撃が発生せず、可動台9の速度が低下しているときにも、作業手段10は高い精度を維持して残りの作業を続行し、所定の作業を完了させることができる。その後、所定の作業が完了したワーク2を可動台9のワーク支持手段26から移動プレート4のワーク保持部5に受け渡し、次いで、連結手段32による可動台9と移動プレート4との連結を解除して可動台9が当該作業領域の始端側に戻る。なお、停止時作業工程はワーク搬送手段3が停止した状態で行われるが、停止時作業工程によって作業手段10による所定の作業の続行中にワーク搬送手段3の移動が再開されても、可動台9の駆動モータ19に対しては前記可動台駆動制御手段23によりトルク制御が行われていることにより、ワーク搬送手段3の移動に可動台9が追従して同期移動を再開し、支障なく作業手段10による所定の作業を完了させることができる。
【0038】
そして、ワーク搬送手段3の停止時には、各作業領域A〜Hにおいて概ね同様にして夫々の所定の作業を完了させることができるので、ワーク搬送手段3の移動が再開されたときには、各作業領域A〜Hの夫々に割り当てられた1サイクルの作業が完了している。従って、本発明は、ワーク搬送手段3の停止が各作業領域A〜H同士の作業進行に悪影響を及ぼすこともなく、無端状の搬送経路を搬送されるワーク2に対して複数の作業領域A〜Hで独立した作業を行う製造ラインに好適に採用することができ、ワーク搬送手段3の停止に伴う生産効率の低下を確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の搬送作業装置を備える製造ラインを模式的に示す説明図。
【図2】本発明の一実施形態の実施形態の搬送作業装置の概略平面図。
【図3】本実施形態の搬送作業装置の概略側面図。
【図4】連結手段の説明的平面図。
【図5】連結手段の作動説明図。
【図6】本実施形態の搬送作業装置の作動を示す説明図。
【符号の説明】
【0040】
A,B,C,D,E,F,G,H…作業領域、1…搬送経路、2…ワーク、3…ワーク搬送手段、9…可動台、10…作業手段、19…駆動モータ(可動台駆動手段)、23…可動台駆動制御手段、25…作業制御手段、26…ワーク支持手段。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100077805
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 辰彦

【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏


【公開番号】 特開2008−23689(P2008−23689A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201844(P2006−201844)