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【発明の名称】 多段棚運搬台車および生産ラインシステム
【発明者】 【氏名】森山 幸治

【氏名】永元 恭一

【要約】 【課題】必要となる配置スペースの拡大抑制を図りつつ、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図る多段棚運搬台車を提供する。

【構成】第1移動台43と、第1移動台43の下側に位置する第2移動台44と、第1移動台43および第2移動台44を移動可能に収容するフレームボデー42と、フレームボデー42を運搬する走行本体10とを備える。そして、第1移動台43および第2移動台44の初期位置においては、第1移動台43は上方視において第2移動台44と重なるように位置し、走行本体10が前進走行することにともなって、上方視において第2移動台44とずれた位置に第1移動台43を初期位置から移動させるとともに、第2移動台44を初期位置から上方に移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品が置かれる第1の棚と、
前記第1の棚の下側に位置し、第2の部品が置かれる第2の棚と、
前記第1の棚および前記第2の棚を移動可能に収容するフレームボデーと、
走行車輪を有し、前記フレームボデーを運搬する走行装置と、
前記第1の棚を前記フレームボデーに対して上下方向と交差する方向に移動させる第1横移動機構と、
前記第2の棚を前記フレームボデーに対して上下方向に移動させる第1昇降機構と、
を備え、
前記第1の棚および前記第2の棚の初期位置においては、前記第1の棚は上方視において前記第2の棚と重なるように位置し、
前記走行装置が前進走行することにともなって、前記第1横移動機構は上方視において前記第2の棚とずれた位置に前記第1の棚を初期位置から移動させるとともに、前記第1昇降機構は前記第2の棚を初期位置から上方に移動させる多段棚運搬台車。
【請求項2】
前記第2の棚の下側に位置し、第3の部品が置かれる第3の棚と、
前記第2の棚を上下方向と交差する方向に移動させる第2横移動機構と、
前記第3の棚を上下方向に移動させる第2昇降機構と、
を備え、
前記第3の棚の初期位置においては、前記第2の棚は上方視において前記第3の棚と重なるように位置し、
前記走行装置が前進走行することにともなって、前記第2横移動機構は上方視において前記第3の棚とずれた位置に前記第2の棚を初期位置から移動させるとともに、前記第2昇降機構は前記第3の棚を初期位置から上方に移動させる請求項1記載の多段棚運搬台車。
【請求項3】
前記走行装置が前進位置から初期位置まで後退走行することにともなって、前記第1横移動機構は前記第1の棚を初期位置に移動させるとともに、前記第1昇降機構は前記第2の棚を初期位置に移動させる請求項1または2記載の多段棚運搬台車。
【請求項4】
前記走行装置は、走行用電動モータを有した自走式であり、
前記第1および第2の部品を取り出す作業者が前進移動するか否かおよび後退移動するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記作業者が前進移動すると判定した場合には前記走行装置を前進走行させ、かつ、前記作業者が後退移動すると判定した場合には前記走行装置を後退走行させるように前記電動モータを駆動制御する走行制御手段と、
を備える請求項3記載の多段棚運搬台車。
【請求項5】
前記第1の部品をワークに対して処理する第1設備、および前記第1の部品の処理が施されたワークに対して前記第2の部品を処理する第2設備を有する生産ラインに適用され、
前記判定手段は、
前記第1設備を運転起動させる第1スイッチの出力信号に基づいて、前記第1設備近傍から前記第2設備近傍まで前記作業者が前進移動すると判定するとともに、
前記第2設備を運転起動させる第2スイッチの出力信号、または前記第1および第2設備とは別の設備を運転起動させる別のスイッチの出力信号に基づいて、前記第2設備近傍または前記別の設備近傍から前記第1設備近傍まで前記作業者が後退移動すると判定する請求項4記載の多段棚運搬台車。
【請求項6】
前記第1の部品をワークに対して処理する第1設備、および前記第1の部品の処理が施されたワークに対して前記第2の部品を処理する第2設備を有する生産ラインに適用され、
前記走行装置が前記第1設備近傍に位置する場合には、前記第1の棚および前記第2の棚は初期位置に位置し、
前記走行装置が前記第1設備近傍から前記第2設備近傍に前進走行すると、前記第1横移動機構により上方視において前記第2の棚とずれた位置に前記第1の棚は移動するとともに、前記第1昇降機構により前記第2の棚は上方に移動する請求項1から5のいずれか一項記載の多段棚運搬台車。
【請求項7】
第1の部品が置かれる第1の棚と、
前記第1の棚の下側に位置し、第2の部品が置かれる第2の棚と、
前記第1の棚および前記第2の棚を移動可能に収容するフレームボデーと、
走行車輪を有し、前記フレームボデーを運搬する走行装置と、
前記第1の棚を前記フレームボデーに対して上下方向と交差する方向に移動させる第1横移動機構と、
前記第2の棚を前記フレームボデーに対して上下方向に移動させる第1昇降機構と、
を備え、
前記走行装置が前進走行して前進位置にいる場合には、前記第1の棚は上方視において前記第2の棚とずれるように位置し、
前記走行装置が前記前進位置から後退走行することにともなって、前記第1横移動機構は上方視において前記第2の棚と重なる初期位置に前記第1の棚を移動させるとともに、前記第1昇降機構は前記第2の棚を下方に移動させる多段棚運搬台車。
【請求項8】
前記第2の棚の下側に位置し、第3の部品が置かれる第3の棚と、
前記第2の棚を上下方向と交差する方向に移動させる第2横移動機構と、
前記第3の棚を上下方向に移動させる第2昇降機構と、
を備え、
前記走行装置が前進走行して前進位置にいる場合には、前記第2の棚は上方視において前記第3の棚とずれるように位置し、
前記走行装置が前記前進位置から後退走行することにともなって、前記第2横移動機構は上方視において前記第3の棚と重なる初期位置に前記第2の棚を移動させるとともに、前記第2昇降機構は前記第3の棚を下方に移動させる請求項7記載の多段棚運搬台車。
【請求項9】
前記第1横移動機構が前記第1の棚を移動させる方向は水平方向である請求項1から8のいずれか一項記載の多段棚運搬台車。
【請求項10】
前記第1昇降機構は、多段棚運搬台車の外部に固定された傾斜レールの上に載せられたローラーと、前記ローラーと前記第2の棚とを連結する連結部材とを有し、
前記第2の棚は、前記走行装置の前進走行にともない前記ローラーが前記傾斜レールにより上方に押される力により上昇するとともに、前記第2の部品の自重で下降する請求項1から9のいずれか一項記載の多段棚運搬台車。
【請求項11】
前記第1の棚にはストッパが設けられており、
前記第1横移動機構は、前記走行装置が走行する際に前記ストッパが多段棚運搬台車の外部設備に固定されたドッグと当接することにより、前記第1の棚を前記フレームボデーに対して機械的に移動させる機構である請求項1から10のいずれか一項記載の多段棚運搬台車。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか一項記載の多段棚運搬台車と、
前記第1の部品をワークに対して処理する第1設備と、
前記第1の部品の処理が施されたワークに対して前記第2の部品を処理する第2設備と、
を備え、
前記走行装置が前記第1設備近傍に位置する場合には、前記第1の棚および前記第2の棚は初期位置に位置し、
前記走行装置が前記第1設備近傍から前記第2設備近傍に前進走行すると、前記第1横移動機構により上方視において前記第2の棚とずれた位置に前記第1の棚は移動するとともに、前記第1昇降機構により前記第2の棚は上方に移動する生産ラインシステム。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の部品を運搬する多段棚運搬台車、およびその多段棚運搬台車を備えた生産ラインシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、生産ラインにて部品組立作業を行う作業者の近傍に配置され、複数種類の部品を運搬する運搬台車が知られている(特許文献1および特許文献2参照)。また、この種の運搬台車には、複数の棚を有する多段棚運搬台車があり(特許文献2参照)、異なる種類の部品を各々の棚に分けて置いている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−263937号公報
【特許文献2】特開平7−005917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2記載の多段棚運搬台車では、複数の棚を上下方向に並べて配置しているので、作業者が棚から部品を取り出す際に、最も下に位置する棚から取り出す作業については作業体勢が悪い。そのため、作業者の疲労増大を招くとともに作業能率が低下する。
なお、複数の棚を水平方向に並べて配置して、全ての棚を作業体勢が良好となる高さにすることが考えられるが、このような棚の配置では多段棚運搬台車が要する配置スペースが大きくなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、必要となる配置スペースの拡大抑制を図りつつ、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図る多段棚運搬台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、走行装置が前進走行することにともなって、第1横移動機構は上方視において第2の棚とずれた位置に第1の棚を初期位置から移動させるとともに、第1昇降機構は前記第2の棚を初期位置から上方に移動させる。
これによれば、走行装置を前進走行させる前の時点において作業者が第1の棚から第1の部品を取り出す作業を行うにあたり、第1の棚を作業体勢が良好となる高さに設定しておけば、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。また、走行装置を前進走行させた前進位置で作業者が第2の棚から第2の部品を取り出す作業を行うにあたり、第1の棚は上方視において第2の棚とずれた位置に移動しているので邪魔になることはなく、しかも、第2の棚は上方に移動しているため、作業体勢を良好にでき、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
【0007】
そして、請求項1記載の発明では、第1の棚および第2の棚の初期位置においては、第1の棚は上方視において第2の棚と重なるように位置する。そのため、多段棚運搬台車が要する配置スペースの拡大抑制を図ることができる。特に、生産ラインの稼働停止時等に、第1の棚と第2の棚とを重なるように配置しておけば、多段棚運搬台車が要する配置スペースの拡大抑制の効果が有効に発揮される。
【0008】
因みに、特許請求の範囲に記載の「ずれた位置」とは、上方視において(多段棚運搬台車の上方から視て)第2の棚の少なくとも半分以上が見えている状態の位置のことである。また、「重なるように位置」とは、上方視において第2の棚の少なくとも半分以上が第1の棚に隠れた状態の位置のことである。また、「上下方向」とは重力方向のことであり、「水平方向」とは重力方向に対して垂直な方向のことである。
【0009】
請求項2記載の発明では、第3の部品が置かれる第3の棚を第2の棚の下側に備える。そして、走行装置が前進走行することにともなって、第2横移動機構は上方視において第3の棚とずれた位置に第2の棚を初期位置から移動させるとともに、第2昇降機構は第3の棚を初期位置から上方に移動させる。
これによれば、走行装置を前進走行させた前進位置で作業者が第3の棚から第3の部品を取り出す作業を行うにあたり、第2の棚は上方視において第3の棚とずれた位置に移動しているので邪魔になることはなく、しかも、第3の棚は上方に移動しているため、作業体勢を良好にでき、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
【0010】
請求項3記載の発明では、走行装置が前進位置から初期位置まで後退走行することにともなって、第1横移動機構は第1の棚を初期位置に移動させるとともに、第1昇降機構は第2の棚を初期位置に移動させる。
これによれば、第1の棚および第2の棚を初期位置に移動させるにあたり、第1の棚および第2の棚を作業者が手動で移動させることを不要にできるので、作業者のより一層の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
【0011】
請求項4記載の発明では、走行装置は、走行用電動モータを有した自走式であり、作業者が前進移動するか否かおよび後退移動するか否かを判定する判定手段と、作業者が前進移動すると判定した場合には走行装置を前進走行させ、かつ、作業者が後退移動すると判定した場合には走行装置を後退走行させるように電動モータを駆動制御する走行制御手段と、を備える。
これによれば、移動する作業者に追従して多段棚運搬台車は走行することとなる。よって、多段棚運搬台車を作業者が押して手動で走行させる場合に比べ、作業者のより一層の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
【0012】
請求項5記載の発明では、多段棚運搬台車は、第1の部品をワークに対して処理する第1設備、および第1の部品の処理が施されたワークに対して第2の部品を処理する第2設備を有する生産ラインに適用されている。そして、判定手段は、第1設備を運転起動させる第1スイッチの出力信号に基づいて、第1設備近傍から第2設備近傍まで作業者が前進移動すると判定する。また、第2設備を運転起動させる第2スイッチの出力信号、または第1および第2設備とは別の設備を運転起動させる別のスイッチの出力信号に基づいて、第1設備近傍まで作業者が後退移動すると判定する。
【0013】
そのため、作業者が第1スイッチを操作して第1設備を運転起動させた後すぐに第2設備近傍まで前進移動するレイアウトの生産ラインであれば、第1スイッチの出力信号に基づいて第2設備近傍まで作業者が前進移動すると判定することにより、第2設備近傍まで前進移動する作業者に追従して多段棚運搬台車は前進走行することとなり、好適である。
同様に、作業者が第2スイッチまたは別のスイッチを操作した後すぐに第1設備近傍まで後退移動するレイアウトの生産ラインであれば、第2スイッチまたは別のスイッチの出力信号に基づいて第1設備近傍まで作業者が後退移動すると判定することにより、第1設備近傍まで後退移動する作業者に追従して多段棚運搬台車は後退走行することとなり、好適である。
【0014】
請求項6記載の発明では、多段棚運搬台車は上述の生産ラインに適用され、走行装置が第1設備近傍に位置する場合には、第1の棚および第2の棚は初期位置に位置し、走行装置が第1設備近傍から第2設備近傍に前進走行すると、第1横移動機構により上方視において第2の棚とずれた位置に第1の棚は移動するとともに第1昇降機構により第2の棚は上方に移動する。
これによれば、作業者が第2設備近傍で第2の部品を取り出す作業を行うタイミングで、第2の棚は上方に移動することとなり、好適である。
【0015】
請求項7記載の発明では、走行装置が前進走行して前進位置にいる場合には、第1の棚は上方視において第2の棚とずれるように位置し、走行装置が前進位置から後退走行することにともなって、第1横移動機構は上方視において第2の棚と重なる初期位置に第1の棚を移動させるとともに、第1昇降機構は第2の棚を下方に移動させる。
これによれば、第1の棚および第2の棚を初期位置に移動させるにあたり、第1の棚および第2の棚を作業者が手動で移動させることを不要にできるので、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
【0016】
請求項8記載の発明では、第3の部品が置かれる第3の棚を第2の棚の下側に備える。そして、走行装置が前進位置から後退走行することにともなって、第2横移動機構は上方視において第3の棚と重なる初期位置に第2の棚を移動させるとともに、第2昇降機構は第3の棚を下方に移動させる。
これによれば、第3の棚を初期位置に移動させるにあたり、第3の棚を作業者が手動で移動させることを不要にできるので、作業者のより一層の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
【0017】
請求項10記載の発明では、第1昇降機構は、多段棚運搬台車の外部に固定された傾斜レールの上に載せられたローラーと、ローラーと第2の棚とを連結する連結部材とを有し、第2の棚は、走行装置の前進走行にともないローラーが傾斜レールにより上方に押される力により上昇するとともに、第2の部品の自重で下降する。これによれば、第1昇降機構は機械的に第2の棚を昇降できるので、電動モータを用いて第1昇降機構を駆動させる場合に比べ、多段棚運搬台車のコストダウンを図ることができる。
【0018】
請求項11記載の発明では、第1の棚にはストッパが設けられており、第1横移動機構は、走行装置が走行する際にストッパが多段棚運搬台車の外部設備に固定されたドッグと当接することにより、第1の棚を前記フレームボデーに対して機械的に移動させる機構である。これによれば、電動モータを用いて第1横移動機構を駆動させる場合に比べ、多段棚運搬台車のコストダウンを図ることができる。
【0019】
請求項12記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項記載の多段棚運搬台車を備えた生産ラインシステムであり、走行装置が第1設備近傍に位置する場合には、第1の棚および第2の棚は初期位置に位置し、走行装置が第1設備近傍から第2設備近傍に前進走行すると、第1横移動機構により上方視において第2の棚とずれた位置に第1の棚は移動するとともに第1昇降機構により第2の棚は上方に移動する。
これによれば、作業者が第2設備近傍で第2の部品を取り出す作業を行うタイミングで、第2の棚は上方に移動することとなり、好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による多段棚運搬台車を図1〜図10に示す。
図1は多段棚運搬台車1の全体構成を示す正面図であり、この多段棚運搬台車1は、図2に示す如く部品組立の生産ラインに設置されている。そして、多段棚運搬台車1は、複数種類の部品を、生産ラインにて部品組付作業を行う作業者の近傍まで運搬する自走式である。
【0021】
<生産ライン概要>
図2を用いてより具体的に説明すると、本実施形態では、第1の部品W1、第2の部品W2および第3の部品W3(図9参照)が多段棚運搬台車1により運搬される。そして、生産ラインには、第1の部品W1をワークに組み付けて加工処理する第1設備M1と、第2の部品W2をワークに組み付けて加工処理する第2設備M2、第3の部品W3をワークに組み付けて加工処理する第3設備M3とが順に並べて設置されている。
【0022】
作業者の作業手順を以下に説明すると、先ず作業者は第1設備M1の正面に立ち、第1の部品W1を第1設備M1にセットし、第1設備M1の起動スイッチSW1(第1スイッチ)をオン操作する。次に、第2設備M2の正面に移動して第2の部品W2を第2設備M2にセットし、第2設備M2の起動スイッチSW2(第2スイッチ)をオン操作する。その後、第3設備M3の正面に移動して第3の部品W3を第3設備M3にセットし、第3設備M3の起動スイッチSW3をオン操作する。その後、第3設備M3の正面から第1設備M1の正面に移動し、上記セット作業および移動を繰り返す。
そして、作業者が上記移動をする毎に、多段棚運搬台車1は作業者に追従して作業者の隣の位置に自走移動する。なお、多段棚運搬台車1の作動の詳細は後述する。
【0023】
以下、走行移動する多段棚運搬台車1の位置に関し、第1設備M1の作業者の隣の位置を初期停止位置T1(図2に示す位置)、第2設備M2の作業者の隣の位置を第1停止位置T2、第3設備M3の作業者の隣の位置を第2停止位置T3と呼ぶ。また、多段棚運搬台車1の走行動作に関し、初期停止位置T1から第1停止位置T2までの走行を第1前進走行、第1停止位置T2から第2停止位置T3までの走行を第2前進走行、第2停止位置T3から初期停止位置T1までの走行を後退走行と呼ぶ。
【0024】
<多段棚運搬台車1の構造>
次に、多段棚運搬台車1の構造を説明する。
図1に示すように、多段棚運搬台車1は、第1〜第3の部品W1〜W3が置かれる台車40と、台車40を運搬する走行本体(走行装置)10とで構成された自走式である。図1は走行本体10に台車40が搭載された状態を示しており、図3および図4は走行本体10単体を示し、図6および図7は台車40単体を示す図である。
【0025】
<走行本体10の構造>
以下、図3〜図5を用いて走行本体10の構造を詳細に説明する。
図3は走行本体10の上面図、図4は図3のIV矢視図、図5は走行本体10の電気回路を示すブロック図であり、これら図3および図4に示すように、走行本体10はバッテリー11、12およびステッピングモータ13を備え、バッテリー11により電力供給されるステッピングモータ13の駆動により走行移動する自走式である。
【0026】
また、走行本体10は次の各種部品14〜27を備えている。すなわち、アルミ製の本体ボデー14、ランプ15、バンパー16、操作ボックス17、駆動用ギヤ18、モータドライバー19、車軸20、走行車輪21、分電盤等を収容する第1制御ボックス22、シーケンサー231等を収容する第2制御ボックス23、バッテリーホルダ24、ガイド25、レール26およびメイン電源スイッチ27等を走行本体10は備えている。
【0027】
そして、本体ボデー14には車軸20が回転可能に取り付けられており、車軸20の両端には走行車輪21が固定されている。車軸20には駆動用ギヤ18が取り付けられており、ステッピングモータ13の出力回転軸に取り付けられた駆動用ギヤ18から動力が伝達される。また、ステッピングモータ13の出力回転軸の回転は、駆動用ギヤ18により減速される。
【0028】
図5に示すように、バッテリー11、12は、本体ボデー14に取り付けられたバッテリーホルダ24に支持されている。これらのバッテリー11、12には電動工具用の12Vが採用されており、バッテリー11は、12Vを2個直列に接続して24Vの駆動用電源を構成し、バッテリー12は、12Vを2個直列に接続して24Vの制御用電源を構成する。
【0029】
駆動用電源を構成するバッテリー11は、メイン電源スイッチ27がオン操作されると第1制御ボックス22の分電盤等に電力供給し、この分電盤からステッピングモータ13に電力供給される。
一方、制御用電源を構成するバッテリー12は、メイン電源スイッチ27がオン操作されると第1制御ボックス22の分電盤を介して第2制御ボックス23のシーケンサー231等に電力供給する。
【0030】
そして、電力供給されたシーケンサー231は、起動スイッチSW1、SW2、SW3から出力される起動信号に基づきモータドライバー19に、ステッピングモータ13の回転数および正転、反転の指令を情報として含むモータ制御信号を出力する。
モータドライバー19は、シーケンサー231からのモータ制御信号に基づきステッピングモータ13に駆動信号を出力し、分電盤から電力供給されたステッピングモータ13は、モータドライバー19からの駆動信号にて指定されたパルス数に相当する回転数だけ正転または反転する。
【0031】
従って、走行本体10は、指定パルス数に応じた任意の距離だけ直線の前進走行(図3の上側への走行)および後退走行(図3の下側への走行)することが可能であり、軌道、誘導信号、停止信号等を不要としている。
なお、特許請求の範囲に記載の「判定手段」はシーケンサー231に相当し、特許請求の範囲に記載の「走行制御手段」はシーケンサー231およびモータドライバー19に相当する。
【0032】
このようにステッピングモータ13が駆動して走行本体10が走行している間には、ランプ15が点滅して走行中である旨を周囲の作業者に報知する。また、操作ボックス17には、走行本体10の走行を手動で操作するための操作スイッチ28(図5参照)および非常停止スイッチ等が備えられている。また、上記操作スイッチ28は操作ボックス17に脱着可能に取り付けられており、リモコン式の操作スイッチとしても機能する。
【0033】
また、本体ボデー14の前後には衝突停止スイッチを有するバンパー16が取り付けられており、このバンパー16に外部物体が衝突すると衝突停止スイッチがオン作動して、衝突停止スイッチは衝突検出信号を第2制御ボックス23のシーケンサー231に出力する。シーケンサー231は、衝突検出信号が入力されると、ステッピングモータ13の駆動を停止する旨の情報を含むモータ制御信号をモータドライバー19に出力する。これにより、バンパー16に外部物体が衝突すると走行本体10は緊急停止する。
【0034】
また、本体ボデー14の左右両側には前後方向に延びるレール26が取り付けられており、このレール26上を台車40の台車車輪41が転がることで、走行本体10上を台車40が前後方向に移動可能となっている。これにより、例えば、走行本体10上の台車40に載せられていた第1の部品W1、第2の部品W2および第3の部品W3がなくなり、別の台車40に走行本体10上の台車40を別の台車40に取り替える場合において、走行本体10への台車40の積み降ろし作業の作業性を良好にできる。
【0035】
また、本体ボデー14の左右両側には前後方向に延びるガイド25が取り付けられている。そして、上述の如く走行本体10上を台車40が前後方向に移動する際には、台車40は、ガイド25によって左右方向に位置決めされた状態で、ガイド25によって前後方向に案内される。
【0036】
<台車40の構造>
以下、図6および図7を用いて走行本体10の構造を詳細に説明する。図6は台車40の正面図、図7は図6のVI矢視図であり、これら図6および図7に示すように、台車40は、次の各種部品41〜54、431、441、451を備えている。
すなわち、台車車輪41、フレームボデー42、第1移動台(第1の棚)43、第1スライドパック431、第2移動台(第2の棚)44、第2スライドパック441、第3移動台(第3の棚)45、第3スライドパック451、ガイドローラー46、昇降用バランサー47、バランサーワイヤ48、上昇用ワイヤ49、上昇用ワイヤローラー50、スライド用ワイヤ51、スライド用ワイヤローラー52、スライド戻し用ウエイト53およびウエイトワイヤ54等を台車40は備えている。
【0037】
フレームボデー42の下端部分には台車車輪41が取り付けられている。そのため、フレームボデー42を作業者が手で押せば、台車車輪41を転がしながら台車40を手動にて移動できる。よって、例えば、走行本体10上の台車40を別の台車40に取り替える場合に台車40の移動を容易にできる。
【0038】
図1に示すように、第1移動台43の上には第1の部品W1を収容するパレットP1が置かれ、第2移動台44の上には第2の部品W2を収容するパレットP2が置かれ、第3移動台45の上には第3の部品W3を収容するパレットP3が置かれる。但し、図6および図7ではパレットP1〜B3が置かれていない状態の台車40を示している。
そして、これらの第1移動台43、第2移動台44および第3移動台45は、フレームボデー42に移動可能に収容されている。第1移動台43は前後方向に水平にスライド移動可能である。第2移動台44は前後方向に水平にスライド移動可能、かつ、上下方向に昇降可能である。第3移動台45は上下方向に昇降可能である。
【0039】
なお、第1、第2および第3スライドパック431、441、451はフレームボデー42に取り付けられており、第1スライドパック431は第1移動台43を前後方向にスライド移動可能に支持する。第2スライドパック441は第2移動台44を前後方向にスライド移動可能に支持する。第3スライドパック451は、第2移動台44および第3移動台45を上下方向に昇降可能に支持する。
【0040】
<昇降機構の構造>
フレームボデー42の側方にはガイドローラー46が回転自在に取り付けられている。このガイドローラー46は、多段棚運搬台車1の外部に固定された傾斜レール2(図10参照)の上に載せられている。傾斜レール2は、第1設備M1の正面位置から第3設備M3の正面位置までに亘って延びる形状であり、第1設備M1から第3設備M3に向かうほど高さが高くなるように傾斜している。
【0041】
従って、走行本体10が前進走行して多段棚運搬台車1が第3設備M3に近づくにつれ、ガイドローラー46は傾斜レール2上を転がりながら上方に移動する。そして、ガイドローラー46は、連結部材461を介して第3移動台45および第2移動台44と連結しているため、ガイドローラー46が上方に移動すると、第3移動台45および第2移動台44も上方に移動する。
【0042】
ここで、フレームボデー42には上昇用ワイヤローラー50が回転可能に取り付けられており、この上昇用ワイヤローラー50には上昇用ワイヤ49が掛けられている。そして、上昇用ワイヤ49の一端は第3移動台45に固定され、他端はバランサーワイヤ48を介して昇降用バランサー47に接続されている。従って、第3移動台45は、昇降用バランサー47の重量により常に上向きの力で引っ張られている。そのため、走行本体10が前進走行することにより傾斜レール2がガイドローラー46を押し上げるにあたり、昇降用バランサー47がその押し上げの補助の役割を果たすので、傾斜レール2がガイドローラー46を押し上げるその押上力を低減できる。
【0043】
一方、走行本体10が後退走行して多段棚運搬台車1が第1設備M1に近づくにつれ、ガイドローラー46は傾斜レール2上を転がりながら下方に移動する。すなわち、第2移動台44、第3移動台45、第2の部品W2および第3の部品W3の総重量の自重により、第2移動台44および第3移動台45は下降する。なお、このように自重で下降可能とするように、昇降用バランサー47の重量は、前述の総重量の自重および後述のスライド戻し用ウエイト53よりも小さい重量(例えば500g)に設定されている。
【0044】
なお、特許請求の範囲に記載の「第1昇降機構」および「第2昇降機構」は、本第1実施形態では同一の機構であり、これらの昇降機構は、第3スライドパック451、ガイドローラー46、連結部材461、昇降用バランサー47、バランサーワイヤ48、上昇用ワイヤ49、および上昇用ワイヤローラー50から構成されている。
【0045】
<横移動機構の構造>
第1移動台43にはストッパ432が固定されており、このストッパ432は多段棚運搬台車1の外部に固定されたドッグ3(図10参照)に当接するように配置されている。
そのため、走行本体10の前進走行にともないストッパ432の前方側(図10の右側)の面がドッグ3の後方側の面に当接すると、第1移動台43を残したまま走行本体10が前進走行することとなる。その結果、第1移動台43はフレームボデー42に対して後方にスライド移動する。
【0046】
ここで、ドッグ3は弾性変形可能な材質(例えばエアー配管用のチューブ等)で形成されている。そのため、上述の如くストッパ432の前方側がドッグ3の前方側の面に当接した状態でさらに走行本体10を前進走行させると、ドッグ3が弾性変形して、ストッパ432はドッグ3よりも前方側に位置することとなる(図10参照)。
一方、走行本体10の後退走行にともないストッパ432の後方側(図10の左側)の面がドッグ3の前方側の面に当接すると、第1移動台43を残したまま走行本体10が後退走行することとなる。その結果、第1移動台43はフレームボデー42に対して前方にスライド移動する。
【0047】
ここで、フレームボデー42にはスライド用ワイヤローラー52が回転可能に取り付けられており、このスライド用ワイヤローラー52にはスライド用ワイヤ51が掛けられている。そして、スライド用ワイヤ51の一端は第2移動台44に固定され、他端はバランサーワイヤ48を介して昇降用バランサー47に接続されている。また、第2移動台44にはウエイトワイヤ54の一端が固定され、ウエイトワイヤ54の他端にはスライド戻し用ウエイト53が固定されている。
【0048】
従って、第2移動台44は、スライド戻し用ウエイト53により前方(図6の右側)にスライド移動する向きに力を受け、昇降用バランサー47により後方(図6の左側)にスライド移動する向きに力を受ける。そして、前述の如くガイドローラー46の上昇にともなって昇降用バランサー47が下降すると、第2移動台44はスライド用ワイヤ51に引っ張られて後方にスライド移動する。一方、ガイドローラー46の下降にともなって昇降用バランサー47が上昇すると、第2移動台44はウエイトワイヤ54に引っ張られて前方にスライド移動する。
【0049】
なお、特許請求の範囲に記載の「第1横移動機構」は、本第1実施形態では第1スライドパック431およびストッパ432から構成されている。また、特許請求の範囲に記載の「第2横移動機構」は、本第1実施形態では第2スライドパック441、昇降用バランサー47、バランサーワイヤ48、スライド用ワイヤ51、スライド用ワイヤローラー52、スライド戻し用ウエイト53およびウエイトワイヤ54から構成されている。
また、特許請求の範囲に記載の「生産ラインシステム」は、多段棚運搬台車1、傾斜レール2、ドッグ3、第1設備M1、第2設備M2および第3設備M3から構成される生産ラインシステムに相当する。
【0050】
<多段棚運搬台車1の作動>
以下、図2、図8、図9および図10を用いて多段棚運搬台車1の作動を説明する。
はじめに、図2に示すように作業者が第1の部品W1を第1設備M1にセットする際には、走行本体10は初期停止位置T1に位置する(図9(a)、図10参照)。走行本体10が初期停止位置T1にいる場合には、第1移動台43および第2移動台44は、フレームボデー42に対して最も前進した側(図10の右側)にスライド移動した初期位置に移動している(図8(a)、図9(a)参照)。また、第2移動台44および第3移動台45は、フレームボデー42に対して最も下側に下降移動した初期位置に移動している(図8(a)参照)。
そして、走行本体10が初期停止位置T1で停止しているとき、第1移動台43、第2移動台44および第3移動台45は上方視において重なるように位置している(図9(a)参照)。
【0051】
その後、作業者が第1の部品W1を第1設備M1にセットし、第1設備M1の起動スイッチSW1をオン操作すると、走行本体10は第1前進走行して第1停止位置T2で停止する(図9(b)、図10参照)。
走行本体10が第1停止位置T2まで移動すると、第1移動台43および第2移動台44は、フレームボデー42に対して後退した側(図10の左側)にスライド移動して図8(b)および図9(b)に示す位置で停止する。具体的には初期位置から約50mmスライド移動する。
また、第2移動台44および第3移動台45は、フレームボデー42に対して上側に上昇移動して図8(b)に示す位置で停止する。具体的には初期位置から約50mm上昇する。
そして、走行本体10が第1停止位置T2で停止しているとき、第1移動台43は上方視において第2移動台44とずれるように位置しており、第2の部品W2を収容するパレットP2が上方視において第1移動台43と干渉しない位置となっている(図9(b)参照)。
【0052】
その後、作業者が第2の部品W2を第2設備M2にセットし、第2設備M2の起動スイッチSW2をオン操作すると、走行本体10は第2前進走行して第2停止位置T3で停止する(図9(c)、図10参照)。
走行本体10が第2停止位置T3まで移動すると、第1移動台43および第2移動台44は、フレームボデー42に対して最も後退した側(図10の左側)にスライド移動して図8(c)および図9(c)に示す位置で停止する。具体的には初期位置から約100mmスライド移動する。
また、第2移動台44および第3移動台45は、フレームボデー42に対して最も上側に上昇移動して図8(c)に示す位置で停止する。具体的には初期位置から約100mm上昇する。
そして、走行本体10が第2停止位置T3で停止しているとき、第1移動台43および第2移動台44は上方視において第3移動台45とずれるように位置しており、第3の部品W3を収容するパレットP3が上方視において第1移動台43および第2移動台44と干渉しない位置となっている(図9(c)参照)。
【0053】
その後、作業者が第3の部品W3を第3設備M3にセットし、第3設備M3の起動スイッチSW3をオン操作すると、走行本体10は後退走行して初期停止位置T1で停止する(図9(a)、図10参照)。走行本体10が初期停止位置T1まで移動すると、第1移動台43、第2移動台44および第3移動台45は上述した初期位置に戻る。
【0054】
以上により、本第1実施形態によれば、走行本体10が第1前進走行することにともなって、第2移動台44とずれた位置に第1移動台43はスライド移動するとともに、第2移動台44は上昇移動する。そのため、作業者がパレットP2から第2の部品W2を取り出す作業を行うにあたり、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
また、走行本体10が第2前進走行することにともなって、第3移動台45とずれた位置に第2移動台44はスライド移動するとともに、第3移動台45は上昇移動する。そのため、作業者がパレットP3から第3の部品W3を取り出す作業を行うにあたり、作業者の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
また、走行本体10が後退走行することにともなって、第1移動台43、第2移動台44および第3移動台45は上方視において重なる位置に移動する。そのため、多段棚運搬台車1が要する配置スペースの拡大抑制を図ることができる。
【0055】
また、第1設備M1の起動スイッチSW1をオン操作すると、走行本体10は第1前進走行して第1停止位置T2で停止し、第2設備M2の起動スイッチSW2をオン操作すると、走行本体10は第2前進走行して第2停止位置T3で停止し、第3設備M3の起動スイッチSW3をオン操作すると、走行本体10は後退走行して初期停止位置T1で停止する。そのため、移動する作業者に追従して多段棚運搬台車1は走行することとなる。よって、多段棚運搬台車1を作業者が押して手動で走行させる場合に比べ、作業者のより一層の疲労軽減および作業能率向上を図ることができる。
【0056】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図11〜図14を用いて以下に説明する。図11は多段棚運搬台車1の正面図、図12は図11のXII矢視図、図13および図14は本第2実施形態による走行本体10の作動を示す図である。第1実施形態と実質的に同一の構成部分には同一符号を付す。
本第2実施形態による多段棚運搬台車1は、上記第1実施形態による多段棚運搬台車1の走行本体10を改良したものであり、台車40の構造は第1実施形態による多段棚運搬台車1と同じであるため、以下、台車40の説明は省略する。
【0057】
本第2実施形態による走行本体10は、図11および図12に示す以下の各種部品31〜38を備えている。すなわち、スロープ部材31、スロープ可動用ワイヤ32、ワイヤガイド部材33、プレート34、ガイドレール35、台車側ドッグ36、脱着部材としてのマグネット37および脱着部材としての鉄板38を走行本体10は備えている。
【0058】
本体ボデー14の後退側(図11の左側)には、図示しない蝶番等によりスロープ部材31が回転可能に取り付けられている。図13(b)、(c)および図14(b)はスロープ部材31が床面と接触する使用位置まで回転した状態を示し、図13(a)および図14(a)、(c)はスロープ部材31を格納位置まで回転した状態を示す。
そして、スロープ部材31を使用位置に回転させれば、多段棚運搬台車1を走行本体10に載せるにあたり、台車車輪41はスロープ部材31を転がり上がってレール26上まで案内される。
【0059】
ここで、第1〜第3の部品W1〜W3を補充するときには、台車40ごと交換して補充を行うが、床面よりも高い位置にレール26がある。この点を鑑み本第2実施形態ではスロープ部材31を備えるので、作業者が台車40を手で押して走行本体10に載せる作業は、図13(c)、図13(b)、図13(a)の手順で行うことができるので、その作業を容易にできる。また、作業者が台車40を手で押して走行本体10から降ろす作業は、図13(a)、図13(b)、図13(c)の手順で行うことができるので、その作業を容易にできる。
【0060】
本体ボデー14にはガイドレール35が固定されており、ガイドレール35はプレート34を前後方向(図11の左右方向)にスライド移動可能に支持している。そして、プレート34は、台車40のフレームボデー42に固定された台車側ドッグ36に当接するように配置されている。
【0061】
そのため、台車40を走行本体10の所定位置に搭載させる場合において、台車40を手で押して前方側(図14の右側)に移動させることにともない、図14(c)に示す如く台車側ドッグ36の前方側の面がプレート34の後方側の面に当接すると、プレート34は台車40とともに前進移動することとなる。その結果、プレート34は本体ボデー14に対して前方にスライド移動する。すると、スロープ可動用ワイヤ32がプレート34により前方側に引っ張られ、その結果、スロープ部材31は使用位置から格納位置に回転する。
【0062】
ここで、台車側ドッグ36は弾性変形可能な材質(例えばエアー配管用のチューブ等)で形成されている。そのため、上述の如く台車側ドッグ36の前方側の面がプレート34に当接した状態でさらに台車40を前方側に移動させると、台車側ドッグ36が弾性変形して、台車側ドッグ36はプレート34よりも前方側に位置することとなる(図14(a)参照)。そして、台車40を走行本体10の収納位置まで前進移動させると、台車40に固定されたマグネット37が走行本体10に固定された鉄板38に密着する。これにより、台車40が走行本体10に固定される。
【0063】
次に、走行本体10の格納位置に搭載された台車40を走行本体10から降ろす場合において、台車40を手で押して後方側(図14の左側)に移動させることにともない、図14(b)に示す如く台車側ドッグ36の後方側の面がプレート34の前方側の面に当接すると、プレート34は台車40とともに後退移動することとなる。その結果、プレート34は本体ボデー14に対して後方にスライド移動する。すると、スロープ可動用ワイヤ32がプレート34により後方側に押され、その結果、スロープ部材31は格納位置から使用位置に回転する。
なお、上述の如く台車側ドッグ36の後方側の面がプレート34に当接した状態でさらに台車40を後方側に移動させると、台車側ドッグ36が弾性変形して、台車側ドッグ36はプレート34よりも後方側に位置することとなる(図13(c)参照)。
【0064】
以上により、本第2実施形態によれば、台車40の前進移動および後退移動にともなってスロープ部材31が機械的に駆動して、格納位置と使用位置とに回転移動するので、電動モータを用いてスロープ部材31を駆動させる場合に比べて多段棚運搬台車1のコストダウンを図ることができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、ステッピングモータ13およびバッテリー11、12等を走行本体10に備えて多段棚運搬台車1を自走式にしているが、本発明の実施にあたり、走行本体10を廃止して、台車40のみとした手動走行式としてもよい。この場合には、台車40の台車車輪41が特許請求の範囲に記載の「走行装置」に相当することとなる。
【0065】
また、上記各実施形態では、走行本体10に台車40を脱着できる構成にして台車40ごと入れ替えることで第1〜第3の部品W1〜W3の補充を行っているが、本発明の実施にあたり、走行本体10に台車40を固定して、パレットP1〜P3を入れ替えることで第1〜第3の部品W1〜W3の補充を行うようにしてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態による多段棚運搬台車の全体構成を模式的に示す正面図。
【図2】図1の多段棚運搬台車を備えた生産ラインシステムの全体を模式的に示す斜視図。
【図3】図1の走行装置単体を模式的に示す上面図。
【図4】図3のIV矢視図。
【図5】図1の走行装置の電気回路を示すブロック図。
【図6】図1の台車単体を模式的に示す正面図。
【図7】図1のVII矢視図。
【図8】図1の多段棚運搬台車の作動を説明する斜視図。
【図9】図1の多段棚運搬台車の作動を説明する上面図。
【図10】図1の多段棚運搬台車の作動を説明する正面図。
【図11】本発明の第2実施形態による多段棚運搬台車の全体構成を模式的に示す正面図。
【図12】図11のXII矢視図。
【図13】図11の多段棚運搬台車の作動を説明する正面図。
【図14】図11の走行装置の作動を説明する正面図。
【符号の説明】
【0067】
1:多段棚運搬台車、2:傾斜レール、10:走行本体(走行装置)、11、12:バッテリー、13:ステッピングモータ、19:モータドライバー(走行制御手段)、21:走行車輪、40:台車、42:フレームボデー、43:第1移動台(第1の棚)、431:第1スライドパック(第1横移動機構)、432:ストッパ(第1横移動機構)、44:第2移動台(第2の棚)、441:第2スライドパック(第2横移動機構)、45:第3移動台(第3の棚)、M1:第1設備、M2:第2設備、M3:第3設備、SW1:第1起動スイッチ、SW2:第2起動スイッチ、SW3:第3起動スイッチ、W1:第1の部品、W2:第2の部品、W3:第3の部品、451:第3スライドパック(第1昇降機構、第2昇降機構)、46:ガイドローラー(第1昇降機構、第2昇降機構)、461:連結部材(第1昇降機構、第2昇降機構)、47:昇降用バランサー(第1昇降機構、第2昇降機構、第2横移動機構)、48:バランサーワイヤ(第1昇降機構、第2昇降機構、第2横移動機構)、49:上昇用ワイヤ(第1昇降機構、第2昇降機構)、50:上昇用ワイヤローラー(第1昇降機構、第2昇降機構)、51:スライド用ワイヤ(第2横移動機構)、52:スライド用ワイヤローラー(第2横移動機構)、53:スライド戻し用ウエイト、54:ウエイトワイヤ(第2横移動機構)、231:シーケンサー(走行制御手段)。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀

【識別番号】100125885
【弁理士】
【氏名又は名称】南島 昇


【公開番号】 特開2008−23605(P2008−23605A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195331(P2006−195331)