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【発明の名称】 ピン打ち装置及びピン打ち方法
【発明者】 【氏名】田平 弘樹

【氏名】中野 淳一

【要約】 【課題】下端に係止爪を備えたピン部の上端に脆弱部を介して柄部を設けてなる連結ピンにおいて、ピン打ち作業の作業時間を安定させて、生産性を高めることができる技術を提供する。

【構成】ピン打ち装置は、柄部を把持する把持部51と、円弧ガイド部160を有し、この円弧ガイド部160を介して把持部51を支える把持部支持部材92と、円弧ガイド部160に沿って把持部51を脆弱部42を中心に回動させる回動機構58とを備えた。円弧ガイド部160には、外側円弧ガイド部169と、内側円弧ガイド部168とを含み、この内側円弧ガイド部168の回動終端163と脆弱部42とを結ぶ線よりも、外側円弧ガイド部169の回動終端164がはみ出すように、外側円弧ガイド部169は長く設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に係止爪を備えたピン部の上端に脆弱部を介して柄部を設けてなる連結ピンを取り扱う装置であり、前記柄部を把持して前記連結ピンを移動し、予め積層した複数の板材の挿入孔へ前記ピン部を挿入し、次に前記柄部を切除する、一連の作業を行うことができるピン打ち装置であって、
このピン打ち装置は、前記柄部を把持する把持部と、前記挿入孔に挿入した連結ピンにおける脆弱部を中心に描かれる円弧ガイド部を有し、この円弧ガイド部を介して前記把持部を支える把持部支持部材と、前記円弧ガイド部に沿って前記把持部を前記脆弱部を中心に回動させる把持部回動機構と、この把持部回動機構並びに前記把持部支持部材を一括して昇降させる昇降機構と、を備えたことを特徴とするピン打ち装置。
【請求項2】
前記円弧ガイド部には、外側円弧ガイド部と、この外側円弧ガイド部よりも前記脆弱部に近づけて設けられる内側円弧ガイド部とを含み、この内側円弧ガイド部の回動終端と前記脆弱部とを結ぶ線よりも、前記外側円弧ガイド部の回動終端がはみ出すように、前記外側円弧ガイド部を長く設定したことを特徴とする請求項1記載のピン打ち装置。
【請求項3】
下端に係止爪を備えたピン部の上端に脆弱部を介して柄部を設けてなる連結ピンを取り扱う方法であり、前記柄部を把持して連結ピンを移動し、予め積層した複数の板材の挿入孔へ前記ピン部を挿入し、次に柄部を切除する、一連の作業を行うピン打ち方法であって、
前記柄部を切除する工程は、前記挿入孔に挿入した連結ピンにおける脆弱部を中心に前記柄部を回動させる柄部回動工程と、前記脆弱部から前記柄部の略長手軸方向にある所定位置を中心にさらに回動させて前記脆弱部を剪断破断させる脆弱部破断工程との2工程からなることを特徴とするピン打ち方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、積層した複数の板材に連結ピンを打ち込んで、これらの板材同士を締結する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下端に係止爪を備えたピン部と、このピン部の上端に脆弱部を介して設けられる柄部とからなる樹脂製の連結ピンを、積層した複数の板材に打ち込んで、これらの板材同士を締結する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−147460公報(図8)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図9は従来技術に係る積層した薄板に連結ピンを挿入することを説明する図であり、下端に係止爪201を備えたピン部202の上端に脆弱部203を介して柄部204を設けてなる樹脂製の連結ピン200を、積層した板材205、206に同軸に設けられた挿入孔211、212に挿入し、板材同士205、206、207を締結することを示す。このような構成をもった連結ピン200を挿入孔211、212に挿入した後、柄部204を把持して折り曲げ、柄部204の下端に形成されている脆弱部203でピン部202から柄部204を切除する。なお、柄部204の切除は、作業者が柄部204をつかみ、傾けることにより行っている。
【0004】
柄部204の切除は、人手で行うため、作業時間に不可避的にばらつきが発生する。個人差により作業時間が長いときには生産性が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、下端に係止爪を備えたピン部の上端に脆弱部を介して柄部を設けてなる連結ピンにおいて、ピン打ち作業の作業時間を安定させて、生産性を高めることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、下端に係止爪を備えたピン部の上端に脆弱部を介して柄部を設けてなる連結ピンを取り扱う装置であり、柄部を把持して連結ピンを移動し、予め積層した複数の板材の挿入孔へピン部を挿入し、次に柄部を切除する、一連の作業を行うことができるピン打ち装置であって、このピン打ち装置は、柄部を把持する把持部と、挿入孔に挿入した連結ピンにおける脆弱部を中心に描かれる円弧ガイド部を有し、この円弧ガイド部を介して把持部を支える把持部支持部材と、円弧ガイド部に沿って把持部を脆弱部を中心に回動させる把持部回動機構と、この把持部回動機構並びに把持部支持部材を一括して昇降させる昇降機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、円弧ガイド部には、外側円弧ガイド部と、この外側円弧ガイド部よりも脆弱部に近づけて設けられる内側円弧ガイド部とを含み、この内側円弧ガイド部の回動終端と脆弱部とを結ぶ線よりも、外側円弧ガイド部の回動終端がはみ出すように、外側円弧ガイド部を長く設定したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、下端に係止爪を備えたピン部の上端に脆弱部を介して柄部を設けてなる連結ピンを取り扱う方法であり、柄部を把持して連結ピンを移動し、予め積層した複数の板材の挿入孔へピン部を挿入し、次に柄部を切除する、一連の作業を行うピン打ち方法であって、柄部を切除する工程は、挿入孔に挿入した連結ピンにおける脆弱部を中心に柄部を回動させる柄部回動工程と、脆弱部から柄部の略長手軸方向にある所定位置を中心にさらに回動させて脆弱部を剪断破断させる脆弱部破断工程との2工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、ピン打ち装置に、把持部と、円弧ガイド部を有し、この円弧ガイド部を介して把持部を支える把持部支持部材と、円弧ガイド部に沿って把持部を脆弱部を中心に回動させる把持部回動機構と、この把持部回動機構並びに把持部支持部材を一括して昇降させる昇降機構とが備えられている。
【0010】
すなわち、ピン打ち装置は、連結ピンの柄部を把持して移動し、予め積層した複数の板材の挿入孔へピン部を挿入し、次に柄部を切除することができる装置としたので、作業者をピン打ち作業に介在させることなく、ピン打ち作業の自動化を図ることができる。
ピン打ち作業を自動化したので、ピン打ち作業の作業時間が一定となり、生産性を大幅に高めることが可能となる。
【0011】
脆弱部でうまく切断できるか否かは、柄部の回動速度が重要な因子となる。すなわち、ゆっくりと柄部を回動させると、脆弱部で樹脂が伸びてしまい、切断できなくなる。一方、素早く柄部を回動させると、伸びる前に切断が完了する。
本発明では、柄部の回動を自動化したので、回動速度を高めることができ、生産性を向上させることができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、円弧ガイド部には、外側円弧ガイド部と、この外側円弧ガイド部よりも脆弱部に近づけて設けられる内側円弧ガイド部とを含み、この内側円弧ガイド部の回動終端と脆弱部とを結ぶ線よりも、外側円弧ガイド部の回動終端がはみ出すように、外側円弧ガイド部を長く設定したので、把持部が内側円弧ガイド部の回動終端に達した後、この回動終端を中心に回動させることができる。把持部の回動中心が内側円弧ガイド部の回動終端になることで、連結ピンの脆弱部には曲げ力に加え剪断力がかかるので、柄部をピン部から確実に切除することができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、柄部を切除する工程は、脆弱部を中心に柄部を回動させる柄部回動工程と、脆弱部から柄部の略長手軸方向にある所定位置を中心にさらに回動させて脆弱部を剪断破断させる脆弱部破断工程との2工程からなるので、柄部をピン部から分離することができる。柄部をピン部から分離することによって、柄部をピン部から確実に切除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明で取り扱う単位燃料電池の分解斜視図であり、単位燃料電池10は、電解膜構造体11と、この電解膜構造体11の厚さ方向の両側に設けられる一対の板材12であるセパレータ13、14と、これらセパレータ13、14の外周近傍に複数設けられる連結ピン16・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)と、からなる。電解膜構造体11は、図示せぬ一対の電極を有している。なお、後述するように、各々の連結ピン16・・・の一部は、締結後に切除される。
【0015】
セパレータ13、14の左右上下に各々開口21〜24が形成され、セパレータ13、14の上下端部中央部分に各々開口25〜28が形成されている。
セパレータ13、14の金属プレートの両面には絶縁樹脂をコーテイングしたシール層31、32が一体的に設けられている。
【0016】
セパレータ13、14の外周近傍に、金属プレートの外周縁に形成した切欠部を絶縁樹脂で塞いでなる締結基部33・・・が8箇所設けられ、これら締結基部33・・・に挿入孔34・・・が形成されている。これら挿入孔34・・・は、セパレータ13、14同士を重ねたときに同軸となる位置に設けられている。
【0017】
なお、1つの締結基部33には2つの挿入孔34、34が設けられているが、製品の仕様等によって、どちらか一方の孔34が選択され、連結ピン16・・・が挿入される。
連結ピン16・・・によって締結された単位燃料電池10を複数積層することによって燃料電池スタックが構成される。36、36は固定孔である。
【0018】
図2は本発明に係るピン打ち装置に備えられている把持部の断面図である。
連結ピン16は、下端から上端に向け順に、連結ピン16の本体であるピン部41と、このピン部41の上部に設けられ破断を起こさせる部位である脆弱部42と、この脆弱部42の上部に設けられ連結ピン16を把持する柄部43と、からなる。なお、ピン部41には、板材12、12同士を締結する係止爪44と鍔部45とが備えられている。
すなわち、連結ピン16は、下端に係止爪44を備えたピン部41の上端に脆弱部42を介して柄部43を設けてなる。47、47は金属プレートである。
【0019】
このような構成をもつ連結ピン16をピン打ち装置50の把持部51で把持し、セパレータ13、14に形成されている挿入孔34a、34bの上方に連結ピン16を移動させて、係止爪44の軸心を挿入孔34a、34bの軸心に合わせる。
【0020】
以下、柄部43を把持して連結ピン16を移動し、予め積層した複数の板材であるセパレータ13、14に設けられている挿入孔34へピン部41を挿入し、次に柄部43を切除するという、一連の作業を自動で行うピン打ち装置50の構成について説明する。
【0021】
図3は本発明に係るピン打ち装置の原理図であり、ピン打ち装置50に、基部53と、この基部53に設けられワークである積層体をセットするテーブル54と、基部53に設けられるメインフレーム52と、テーブル54上に移動可能に設けられ連結ピン(図2の符号16)を把持する把持部51と、この把持部51を移動可能にする移動機構55と、が備えられている。
【0022】
移動機構55は、連結ピン(図2の符号16)を把持する把持部51をテーブルの左右及び前後に移動可能にする水平移動機構56と、この水平移動機構56に取り付けられ把持部51を図上下に昇降可能にする昇降機構57と、この昇降機構57に取り付けられ把持部51を回動させる回動機構58と、を有する。
水平移動機構56、昇降機構57及び回動機構58の詳細は後述する。
【0023】
昇降機構57の昇降手段61として、エアシリンダ62が適用されており、回動機構58の回動手段63として、エアシリンダ64が適用されている。
回動手段63には、管部材71a、71bを介して圧縮空気の方向を切り替える昇降制御用電磁弁72が連結され、把持手段73には、管部材74を介して圧縮空気の方向を切り替える把持制御用電磁弁75が連結されている。
【0024】
この他、水平移動機構56に、供給する圧縮空気の方向を切り替える2つの水平移動制御用電磁弁が連結されているが、回動手段63が有する電磁弁と同様な構成であり省略した。
【0025】
図中、78はベンチュリ管、79はサイレンサ、81〜83は各々管部材、84は圧縮空気供給口、85〜87は制御手段91と電磁弁等との間を接続する制御ケーブルである。
なお、本実施例において、水平移動機構56の駆動手段として、エアシリンダを利用したが、ボールねじとサーボ機構、あるいはリニアモータなどの駆動手段を利用することは差し支えない。
【0026】
図4は本発明に係るピン打ち装置の側面図であり、ピン打ち装置50は、メインフレーム52と、このメインフレーム52に取り付けられ把持部(図3の符号51)を図左右及び表裏方向に移動可能にする水平移動機構56と、この水平移動機構56に取り付けられ把持部(図3の符号51)を支持する把持部支持部材92と、この把持部支持部材92及び把持部51を図上下に昇降可能にする昇降機構57と、この昇降機構57に取り付けられ把持部51を回動する回動手段63(「回動駆動手段63」とも云う。)とを備える。
【0027】
水平移動機構56は、図左右に設けられる第1レール部94と、この第1レール部94に摺動可能に設けられる第1スライダ95と、メインフレーム52に取り付けられるとともにこの第1スライダ95を駆動する第1水平駆動手段96と、第1スライダ95上に図表裏に設けられる第2レール部97、97と、この第2レール部97、97に摺動可能に設けられる第2スライダ98と、第1スライダ95上に設けられるとともにこの第2スライダ98を駆動する第2水平駆動手段99と、からなる。
【0028】
ピン打ち装置50は、基部53と、この基部53から立ち上げられたメインフレーム52と、このメインフレーム52に取り付けられる第1及び第2水平駆動手段96、99によって把持部51を水平方向に移動可能にさせる水平移動機構56と、この水平移動機構56から垂下され昇降手段61によって把持部を上下に移動可能にさせる昇降機構57と、この昇降機構57に取り付けられる把持部支持部材92及び把持部(図2の符号51)と、を備えた装置である。
従って、テーブル54の上方に、把持部支持部材92及び把持部51とが移動自在に設けられている。
【0029】
図5は本発明に係るピン打ち装置の要部側面図、図6は図5の6矢視図である。以下、図5及び図6を参照して説明を行う。
昇降機構57の下端部57bに、把持部支持部材92を保持するホルダ部材111が取り付けられ、このホルダ部材111に第1支持軸112を介して昇降可能に回動機構58(「把持部回動機構58」とも云う。)並びに把持部支持部材92が設けられている。
以下、回動機構58の詳細な構成について説明する。
【0030】
回動機構58には、下方に第1支持軸112によって回動可能に取り付けられる回動手段63と、この回動手段63のロッド先端部114に取り付けられる連結部材115と、この連結部材115に第1ピン116を介して回動可能に取り付けられるL字状のL型リンク118と、このL型リンク118の屈曲部119に配置される第2支持軸122と、L型リンク118の他端118bに第2ピン123を介して回動可能に設けられるローラ部材124と、このローラ部材124に押圧され連結ピン16の脆弱部42を中心に回動される把持部本体125と、この把持部本体125から水平に図手前に向け設けられている第1〜第3ガイド軸127〜129と、これら第1〜第3ガイド軸127〜129に係合するとともに把持部支持部材92に形成されている第1〜第3円弧溝131〜133と、把持部支持部材92から図手前に水平に突出される保持軸135と第2ガイド軸128間に掛け渡され、把持部支持部材92と第2ガイド軸128間の相対位置を一定範囲内に規制するばね部材136と、が備えられている。
【0031】
把持部支持部材92の詳細な構成について説明する。
把持部支持部材92は、昇降手段(図4の符号61)のロッド先端部141に水平に取り付けられる横部材142と、この横部材142の左右端部から下方に延設される左右の縦部材143L、143Rと、これら縦部材143L、143Rの下端部の前部に掛け渡される横補強部材144と、からなる中空の矩形断面形状を有する部材である。
【0032】
これら縦部材143L、143Rから水平方向外方に水平部材145、146が延設され、これら水平部材145、146から下方にばね軸147・・・が取り付けられ、これらばね軸147・・・に板材保持ばね148・・・が挿通され、これらばね軸147・・・の下端に板材12の表面を押圧する板材押さえ部149、149が取り付けられている。
【0033】
これら縦部材143L、143Rの内方に回動手段63のロッド先端部114が下方に向け配置されている。
第1支持軸112は、その両端部がホルダ部材111によって支持されており、第2支持軸122は、その両端部が把持部支持部材92の一部である縦部材143L、143Rによって支持されている。
【0034】
従って、回動機構58は、第1支持軸112と第2支持軸122とを基準軸として、把持部本体125と把持部支持部材92間に掛け渡したばね部材136と回動手段63とを備えたので、回動手段63のロッド先端部114を伸縮させることによって、把持部本体125を回動することができる。
【0035】
把持部支持部材92に、円弧ガイド部160が形成されており、脆弱部42の側に配置され、脆弱部42を中心に一端161aに回動を開始する開始点162と他端161bに回動を終了する終了点(回動終端)163とが設けられている第1円弧ガイド部161と、この脆弱部42から離れた側に配置され、第1円弧ガイド部161の終了点(回動終端)163を中心に把持部51を回動可能にする延設部165が設けられている第2円弧ガイド部166と、第2円弧ガイド部166の外側に設けられている第3円弧ガイド部167と、からなる。
【0036】
第3円弧ガイド部167及び第3ガイド軸129は、原理上は不要であるが、把持部51の回動を円滑にするために設けられたものである。
すなわち、円弧ガイド部160には、第2円弧ガイド部166としての外側円弧ガイド部169と、この外側円弧ガイド部169よりも脆弱部42に近づけて設けられる第1円弧ガイド部161としての内側円弧ガイド部168とを含み、この内側円弧ガイド部168の回動終端163と脆弱部42とを結ぶ線174よりも、外側円弧ガイド部169の回動終端164がはみ出すように、外側円弧ガイド部169は長く設定されている。
【0037】
本実施例において、円弧ガイド部160は円弧ガイド溝とし、これら円弧ガイド溝に係合する第1〜第3ガイド軸127〜129を設け、ガイド溝に沿って脆弱部42を中心に第1〜第3ガイド軸127〜129が回動するようにしたが、この他、例えば、円弧ガイド部160を円弧ガイドレールとし、この円弧ガイドレールに係合する凹部材を設け、円弧ガイドレールに沿って凹部材が移動する構成にしても良い。
【0038】
図6において、保持軸135と第2ガイド軸128と前記保持軸135と前記第2ガイド軸128間に掛け渡されるばね部材136とは、回動手段63の右方に設けられているが、回動手段63の左方に加えて設けることは差し支えない。このように左右両側から把持部本体125を支持することにより、把持部本体125をより安定的に回動させることができる。
【0039】
図2に戻って、連結ピン把持部51の詳細な構造を説明する。
連結ピン把持部51に、把持部本体125の下端部に配置され連結ピン16の柄部43の外周面に嵌合する嵌合部171と、この嵌合部171と連通し嵌合部171から圧縮空気を供給又は排出する口である空気口172とが備えられている。そして、制御手段(図3の符号91)の指令により、前述の把持制御用電磁弁(図3の符号75)が作動し、圧縮エアの流れを変化させることにより、連結ピン16の柄部43を吸着又は排出する。
【0040】
図3に戻って、連結ピン把持手段73は、図示せぬエア供給手段とベンチュリ管78と、ベンチュリ管73に接続される把持制御用電磁弁75と、把持制御用電磁弁75に接続される管部材74とを主要な構成要素とするものである。
【0041】
図5に戻って、ピン打ち装置50は、回動手段63によって把持部支持部材92に設けられる第1円弧ガイド部161としての内側円弧ガイド部168に沿って脆弱部42を中心に傾動する回動機構58と、この回動機構58に取り付けられた連結ピン把持手段(図3の符号73)によって連結ピン16の柄部(図2の符号43)を把持又は把持を解除する把持部51と、を備えた。
【0042】
以上に述べたピン打ち装置の作用を次に述べる。
図7は柄部把持工程から柄部回動工程までの説明図である。
(a)において、把持部51を図示せぬ連結ピンストッカに移動させ、連結ピン16を吸着して把持するとともに、移動機構(図3の符号55)により、連結ピン16が把持されている把持部51を水平及び上下に移動させ、挿入孔34の上方の所定位置で停止させる。すなわち、柄部43を把持して連結ピン16を所定の位置に移動させる柄部把持工程を示す。
【0043】
(b)において、昇降機構(図4の符号57)によって把持部51を下降させ、連結ピン16を板材12としてのセパレータ13、14の挿入孔34に打ち込む連結ピン挿入工程を示す。
このとき、板材12の上面は、板材押さえ部(図6の符号149)によって押圧されている。
【0044】
(c)において、把持部51を連結ピン16の脆弱部42を中心に回動させるとともに、回動機構58によって第1ガイド軸127を第1円弧ガイド部161の回動終端163まで移動させ、柄部43を脆弱部42で切除する柄部回動工程を示す。このとき、板材12の表面は、板材押さえ部(図6の符号149)によって押圧されている。
【0045】
図8は脆弱部破断工程から把持部退避工程までの説明図である。
(a)において、把持部51を、第1ガイド軸127を中心に回動させるとともに、第2ガイド軸128を第2円弧ガイド部166の回動終端164まで移動させ、柄部43を切除する脆弱部破断工程を示す。このとき、板材12の表面は、板材押さえ部(図6の符号149)によって押圧されている。
【0046】
すなわち、柄部43を切除する工程は、挿入孔34に挿入した連結ピン16における脆弱部42を中心に柄部43を回動させる柄部回動工程と、脆弱部42から柄部43の略長手軸43J方向にある所定位置としての第1ガイド軸127を中心にさらに回動させて脆弱部42を剪断破断させる脆弱部破断工程との2工程からなる。
【0047】
図5に戻って、円弧ガイド部160には、外側円弧ガイド部169と、この外側円弧ガイド部169よりも脆弱部42に近づけて設けられる内側円弧ガイド部168とを含み、この内側円弧ガイド部168の回動終端163と脆弱部42とを結ぶ線よりも、外側円弧ガイド部169の回動終端164がはみ出すように、外側円弧ガイド部169を長く設定したので、把持部51が内側円弧ガイド部168の回動終端163に達した後、この回動終端163を中心に回動させることができる。把持部51の回動中心が内側円弧ガイド部168の回動終端163になることで、脆弱部42には曲げ力に加え剪断力がかかるので、柄部43をピン部41から短時間で且つ確実に切除することができる。
【0048】
図8(b)において、第2ガイド軸128をその回動開始点まで戻すとともに第1ガイド軸127をその回動開始点162まで戻すという把持部復帰工程を示す。このとき、板材12の上面は、板材押さえ部(図6の符号149)によって押圧されている。
【0049】
(c)において、昇降機構57を上昇させ、把持部51を退避させるという把持部退避工程を示す。このとき、板材押さえ部(図6の符号149)による板材12の上面の押圧は解除される。
そして、把持されている柄部43を把持部51から排出することで、連結ピン打ち込みの1サイクルが終了する。
【0050】
ピン打ち装置50は、連結ピン16の柄部43を把持して移動し、予め積層した複数の板材の挿入孔34へピン部41を挿入し、次に柄部43を切除する、一連の作業を行うことができる装置としたので、作業者をピン打ち作業に介在させることなく、ピン打ち作業の自動化を図ることができる。
ピン打ち作業を自動化したので、ピン打ち作業の作業時間が一定となり、生産性を大幅に高めることが可能となる。
【0051】
脆弱部でうまく切断できるか否かは、柄部の回動速度が重要な因子となる。すなわち、ゆっくりと柄部を回動させると、脆弱部で樹脂が伸びてしまい、切断できなくなる。一方、素早く柄部を回動させると、伸びる前に切断が完了する。
本発明では、柄部43の回動を自動化したので、回動速度を高めることができ、生産性を向上させることができる。
【0052】
尚、本発明に係るピン打ち装置は、実施の形態では単位燃料電池の締結用に適用したが、予め積層した複数の板材の締結用としても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のピン打ち装置は、電極膜構造体とこの電極膜構造体を挟持する一対のセパレータとからなる単位燃料電池の締結に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明で取り扱う単位燃料電池の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るピン打ち装置に備えられている把持部の断面図である。
【図3】本発明に係るピン打ち装置の原理図である。
【図4】本発明に係るピン打ち装置の側面図である。
【図5】本発明に係るピン打ち装置の要部側面図である。
【図6】図5の6矢視図である。
【図7】柄部把持工程から柄部回動工程までの説明図である。
【図8】脆弱部破断工程から把持部退避工程までの説明図である。
【図9】従来技術に係る積層した薄板に連結ピンを挿入することを説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
12…板材、16…連結ピン、34…挿入孔、41…ピン部、42…脆弱部、43…柄部、43J…柄部の長手軸、44…係止爪、50…ピン打ち装置、51…把持部、57…昇降機構、58…把持部回動機構、92…把持部支持部材、160…円弧ガイド部、163…内側円弧ガイド部の回動終端、164…外側円弧ガイド部の回動終端、168…内側円弧ガイド部、169…外側円弧ガイド部。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎

【識別番号】100094020
【弁理士】
【氏名又は名称】田宮 寛祉


【公開番号】 特開2008−876(P2008−876A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175748(P2006−175748)