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【発明の名称】 回転治具機構
【発明者】 【氏名】西方 拓

【要約】 【課題】車体パネル等の加工組立ラインに設置される回転治具機構のコストダウンを図る。

【構成】加工ロボット20のアーム21に取り付けられた加工装置22、例えば溶接装置に回転操作ピン23を取り付ける。この回転操作ピン23を回転制御板9に設けられた貫通孔に挿入させて、回転操作ピン23を用いて回転制御板9を回転させる。これにより回転部材5が中心軸4を中心に回転し、回転部材5の外周上に設けられたワーク位置決め治具8cをワーク加工位置まで移動させる。その後、加工ロボット20はアーム21を延ばして、ワーク7aに対して、加工装置22を用いて溶接等の加工を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心に回転する回転部材に設けた複数の治具取付面に、ワークに対応させた位置決め治具を取り付け、この位置決め治具でワークを位置決め固定させ、このワークを回転部材の回転により、所定のワーク加工位置まで回転移動させるようにした回転治具機構において、
ワークに加工を施す加工ロボットを動力源として用いて、回転部材を回転させるようにしたことを特徴とする回転治具機構。
【請求項2】
回転部材の中心軸を中心に回転部材と一体に回転する回転制御板を設け、加工ロボットがこの回転制御板を回転させることにより回転部材を回転させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の回転治具機構。
【請求項3】
加工ロボットのアームに取り付けられた加工装置に回転操作ピンを取り付け、この回転操作ピンを回転制御板に設けられた孔に挿入させて、回転操作ピンを直線運動又は円運動させることにより、回転制御板を回転させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の回転治具機構。
【請求項4】
前記回転部材をクランプするクランプ機構を設けたことを特徴とする請求項2、3に記載の回転治具機構。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、回転治具機構に関し、特に、回転部材にワークに対応させたワーク位置決め治具を取り付け、このワーク位置決め治具でワークを位置決め固定させ、回転部材を回転させることにより、所定のワーク加工位置まで回転移動させる回転治具機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体パネル等の加工組立ラインにおいて、回転治具機構が用いられている。この回転治具機構は、水平な中心軸を中心に回転する回転部材の複数の治具取付面の各々に、複数種のワークに対応させた複数種のワーク位置決め治具を設け、回転部材をサーボモータ、エアシリンダ等のアクチュエータで正逆両方向に回転させ、ワークを所定のワーク加工位置まで回転移動させるものである。
【0003】
このような回転治具機構によれば、複数種のワーク毎に異なるワーク位置決め治具の交換を円滑に行えるので、加工組立ラインの生産性を向上させることができる。
【特許文献1】特開平7−1189号公報
【特許文献2】特開2000−288784号公報
【特許文献3】特開2001−334421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の回転治具機構は、回転部材を回転させる動力源として、アクチュエータを用いていたので、その設備コストが高くなるという問題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、中心軸を中心に回転する回転部材に設けた複数の治具取付面に、ワークに対応させた位置決め治具を取り付け、この位置決め治具でワークを位置決め固定させ、このワークを回転部材の回転により、所定のワーク加工位置まで回転移動させるようにした回転治具機構において、ワークに加工を施す加工ロボットを動力源として用いて、回転部材を回転させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車体パネル等の加工組立ラインに設置されている加工ロボットを動力源として利用して、回転部材を回転させるようにしたので、アクチュエータが不要となり、回転治具機構のコストダウンを図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の第1の実施の形態による回転治具機構について、回転部材が三角柱の形状である場合を例として説明する。図1は、回転治具機構の正面図である。また、図2は、図1の部分側面図である。図2は回転部材、回転制御板を中心に図示しており、加工ロボット等は省略されている。
【0008】
基台1から立設された支柱2、2の上端に軸受3、3を介して中心軸4が回転自在に取り付けられ、その中心軸4に回転部材5が固定されている。回転部材5は三角柱の形状を呈しており、その三角柱の3つの面に対応する、3つの治具取付面6a、6b、6cに、3種類のワーク7a、7b、7cに対応させて、それぞれ3種類のワーク位置決め治具8a、8b、8cを取り付ける。
【0009】
回転部材5の前方の中心軸4の外周には円板状の回転制御板9が取り付けられている。回転部材5は、回転制御板9と一体に回転する。回転制御板9には、3つの治具取付面6a、6b、6cに対応して、回転制御板9の中心方向に細長い3つの貫通孔10a、10b、10cが形成されている。
【0010】
また、回転部材5のクランプ機構として、回転制御板9の裏面側の中心軸4に、外周に切り欠き部11a、11b、11cが形成された円板状のクランプ板11が取り付けられている。このクランプ板11にシリンダー12から延びるクランプピン13の先端が嵌合することにより、回転部材5がクランプされるように構成されている。図2の例では、ワーク位置決め治具8a、8b、8cのいずれかが上面のワーク加工位置に静止した際に、シリンダー12からクランプピン13が延びてクランプ板11の切り欠き部11a、11b、11cのいずれかに嵌合することにより、回転部材5がクランプされる。
【0011】
一方、加工ロボット20には、そのアーム21に取り付けられた加工装置22、例えば溶接装置に回転操作ピン23が取り付けられており、この回転操作ピン23を回転制御板9に設けられた貫通孔10a、10b、10cのいずれかに挿入させて、回転操作ピン23を直線運動させることにより、回転制御板9を回転させ、これにより回転部材5を回転させることができる。直線運動の回数は回転の角度に応じて適宜決定され、1回でも2回でもよい。
【0012】
なお、回転制御板9の3つの貫通孔10a、10b、10cを円形とし、これに挿入された回転操作ピン23を円運動させることで、回転制御板9を回転させてもよい。また、回転制御板9の3つの貫通孔10a、10b、10cの代わりに、図3に示すように、回転制御板9の外周にU字形等の溝14a、14b、14cを設けて、これらの溝のいずれかに回転操作ピン23を嵌合し、回転操作ピン23を円運動させることで、回転制御板9を回転させてもよい。
【0013】
次に、回転治具機構の動作例について説明する。いま、図1、図2のように、ワーク位置決め治具8aがワーク加工位置に静止している場合、加工ロボット20は、図4のように、図1の状態からアーム21を延ばし、ワーク位置決め治具8aに取り付けられたワーク7aに対して、加工装置22を用いて溶接等の加工を行う。その加工が終わると、加工ロボット20は、ワーク7aをワーク位置決め治具8aから取り外し、ワーク7aを次のステーションに移送する。
【0014】
その後、加工ロボット20は、図5(A)のように、回転操作ピン23を回転制御板9の貫通孔10bに挿入し、図中の矢印の方向に直線運動させる。回転操作ピン23の直線運動は水平方向に1回でもよいし、斜め下方に1回、続いて斜め上方に1回の合計2回の屈曲した直線運動をさせてもよい。これにより、回転制御板9を時計回りに120度回転させ、図5(B)のように、ワーク位置決め治具8cが上面のワーク加工位置に静止させ、回転部材5をクランプする。
【0015】
その後、加工ロボット20は再びアーム21を延ばして、ワーク7cに対して、加工装置22を用いて溶接等の加工を行う。その加工が終わると、加工ロボット20は、ワーク7cをワーク位置決め治具8cから取り外し、ワーク7cを次のステーションに移送する。
【0016】
その後、加工ロボット20は、図6(A)のように、回転操作ピン23を回転制御板9の貫通孔10bに挿入し、図中の矢印の方向に直線運動させる。ここで、回転操作ピン23の直線運動は矢印イの方向への2回の直線運動でもよいし、矢印イの方向への直線運動と矢印ロの方向への直線運動の組合せでもよい。
【0017】
これにより、回転制御板9を反時計回りに240度回転させ、図6(B)のように、ワーク位置決め治具8bが上面のワーク加工位置に静止させ、回転部材5をクランプする。その後、加工ロボット20は再びアーム21を延ばして、ワーク7bに対して、加工装置22を用いて溶接等の加工を行う。その加工が終わると、加工ロボット20は、ワーク7bをワーク位置決め治具8bから取り外し、ワーク7bを次のステーションに移送する。
【0018】
各ワーク7a、7b、7cの各加工が完了した時点で、加工ロボット20又は人手により、次のワーク7a,7b,7cをそれぞれワーク位置決め治具8a、8b、8cに取り付けする。また、図2のように、ワーク位置決め治具8aがワーク加工位置に静止している状態で、ワーク7aを加工し、加工完了後に、そのワーク7aをワーク位置決め治具8aから取り外し、次のワークをワーク位置決め治具8aを取り付けて、加工を行うステップを繰り返してもよい。
【0019】
こうして、加工ロボット20を用いて、回転部材5を回転させ、ワーク位置決め治具8a、8b、8cの交換を行いながら、異なる種類のワークに連続的に加工を施すことができる。そして、加工ロボットを動力源として利用して、回転部材5を回転させるようにしたので、アクチュエータが不要となり、回転治具機構のコストダウンを図ることが可能になる。
【0020】
なお、上述の実施の形態では、3種類のワーク位置決め治具8a、8b、8cを用いているが、ワーク位置決め治具の種類は1種類でもよい。この場合は、以下のような動作となる。まず、図7(A)に示すように、回転部材5にワーク位置決め治具8aを取り付け、ワーク位置決め治具8aが左に60度傾いた位置に回転部材5を静止させ、ワーク位置決め治具8aにワーク7aを取り付ける。
【0021】
そして、図7(B)に示すように、加工ロボット20を用いて回転部材5を時計方向に回転させ、ワーク位置決め治具8aが右に60度傾いた位置に回転部材5を静止させる。この位置がワーク加工位置であり、加工ロボット20により、ワーク7aに加工を施す。加工完了した後、加工ロボット20はワーク7aをワーク位置決め治具8aから取り外す。そして、図7(C)に示すように、加工ロボット20により回転部材5を反時計回りに逆回転させ、図7(A)の元に位置に戻す。そして、再び、ワーク位置決め治具8aに次のワーク7aを取り付ける。以上のステップを繰り返し行う。
【0022】
次に、本発明の第2の実施の形態による回転治具機構について説明する。第1の実施の形態による回転治具機構においては、水平な中心軸を中心として回転部材5を回転させているが、この実施の形態は、垂直な中心軸を中心として回転テーブルを回転させるものである。
【0023】
図8に示すように、垂直な中心軸30を中心として回転する回転テーブル31の外周部上にワーク位置決め治具32を取り付ける。そのワーク位置決め治具32にワーク33を取り付け、加工ロボット20により回転テーブル31を回転させて、ワーク加工位置までワーク33を回転移動させる。
【0024】
そして、そのワーク加工位置で、加工ロボット20のアーム21に取り付けられた加工装置22を用いてワーク33に加工を施す。加工ロボット20が回転テーブル31を回転させる機構としては、例えば、第1の実施の形態の回転制御板9を中心軸に取り付けることによって構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態による回転治具機構の正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による回転治具機構の第1の部分側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による回転治具機構の第2の部分側面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による回転治具機構の正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による回転治具機構の動作を説明する第1の部分側面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による回転治具機構の動作を説明する第2の部分側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態による回転治具機構の動作を説明する第3の部分側面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態による回転治具機構の平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 基台 2 支柱 3 軸受
4 中心軸 5 回転部材
6a、6b、6c 治具取付面 7a、7b、7c ワーク
8a、8b、8c ワーク位置決め治具 9 回転制御板
10a、10b、10c 貫通孔 11 クランプ板
11a、11b、11c 切り欠き部 12 シリンダー
13 クランプピン 14a、14b、14c 溝
20 加工ロボット 21 アーム 22 加工装置
23 回転操作ピン 30 中心軸 31 回転テーブル
32 ワーク位置決め治具 33 ワーク
【出願人】 【識別番号】591077704
【氏名又は名称】東亜工業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦


【公開番号】 特開2008−849(P2008−849A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172969(P2006−172969)