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【発明の名称】 半田ペースト
【発明者】 【氏名】境 忠彦

【氏名】前田 憲

【要約】 【課題】ファインピッチ部品を対象として、簡便・低コストの工法で良好な半田接合性を確保することができる半田ペーストを提供することを目的とする。

【構成】錫(Sn)または錫の合金より成るコア粒子6A、6B、6Cの表面に銀(Ag)の被膜7A、7B、7cを形成した半田粒子4A、4B、4Cを酸化膜除去能力を有する樹脂成分3aに含有させて成る半田ペースト3において、コア粒子の粒径分布が平均粒径が3μm〜7μmであって且つ90%以上の粒子が1μm〜9μmの範囲に含まれるように分級操作を行い、さらに半田粒子の1〜4wt%を占める量の銀の膜でコア粒子を覆うように被膜を形成する。これにより、半田粒子の表面の酸化膜の生成を防止するとともに半田接合時の半田濡れ性を向上させることができ、微細電極への印刷性を確保して簡便・低コストの工法でファインピッチ部品を対象として良好な半田接合性を確保することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子の表面に被膜を形成した半田粒子を酸化膜除去能力を有する樹脂成分に含有させて成る半田ペーストであって、
前記コア粒子は、第1の金属を球状の粒子に成形し、平均粒径が3μm〜7μmの範囲であって且つ75%以上の粒子が1μm〜9μmの範囲に含まれる粒径分布に分級することによって得られ、
前記被膜は、前記第1の金属の融点よりも高い融点を有し自然酸化膜を生じにくく且つ前記第1の金属と合金を形成可能な第2の金属より成り、前記被膜が前記半田粒子の全体に占める量を、前記第1の金属と第2の金属とによって形成される合金の融点が前記第1の金属の融点よりも低くなるような範囲としたことを特徴とする半田ペースト。
【請求項2】
前記第1の金属は、錫(Sn)または錫を主成分とし鉛(Pb)を含まない合金であり、前記第2の金属は銀(Ag)であることを特徴とする請求項2記載の半田ペースト。
【請求項3】
前記第1の金属は、0.8wt%未満の銅(Cu)を含むことを特徴とする請求項2記載の半田ペースト。
【請求項4】
前記被膜は、銀を前記コア粒子の表面に無電解還元型メッキ法によって付着させて成ることを特徴とする請求項2記載の半田ペースト。
【請求項5】
前記銀の量は、前記半田粒子の1〜4wt%を占めることを特徴とする請求項2記載の半田ペースト。
【請求項6】
前記樹脂成分は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5記載の半田ペースト。
【請求項7】
前記樹脂成分は、半田接合用のフラックスであることを特徴とする請求項1乃至5記載の半田ペースト。
【請求項8】
前記コア粒子の最大粒径が15μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7記載の半田ペースト。
【請求項9】
コア粒子の表面に被膜を形成した半田粒子を酸化膜除去能力を有する樹脂成分に含有させて成る半田ペーストであって、
前記コア粒子は、錫(Sn)または錫を主成分とし鉛(Pb)を含まない合金を球状の粒子に成形し、平均粒径が3μm〜7μmの範囲であって且つ75%以上の粒子が1μm〜9μmの範囲に含まれる粒径分布に分級することによって得られ、
前記被膜は、これらのコア粒子の表面を前記半田粒子の1〜4wt%を占める量の銀(Ag)の膜で覆って形成されたことを特徴とする半田ペースト。
【請求項10】
前記銀の膜は、銀を前記コア粒子の表面に無電解還元型メッキ法によって付着させて成ることを特徴とする請求項9記載の半田ペースト。
【請求項11】
前記銀の量は、前記半田粒子の1〜4wt%を占めることを特徴とする請求項9記載の半田ペースト。
【請求項12】
前記樹脂成分は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項9乃至11記載の半田ペースト。
【請求項13】
前記樹脂成分は、半田接合用のフラックスであることを特徴とする請求項9乃至11記載の半田ペースト。
【請求項14】
前記コア粒子の最大粒径が15μm以下であることを特徴とする請求項9乃至13記載の半田ペースト。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に半田接合するために用いられる半田ペーストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する方法として、半田粒子を樹脂成分に含有させてペースト状とした半田ペーストを半田接合材として用いる表面実装工法が知られている。この方法によれば、半田ペーストを基板にスクリーン印刷することにより接合対象部位に一括して半田を供給することができ、さらに部品搭載後には基板をリフロー装置によって加熱することにより、複数の部品を一括して基板に半田接合することができ、簡便・低コストの実装工法が実現されるという利点がある。
【0003】
このような、電子部品の半田接合に用いられる半田ペーストとして、従来よりコアとなる半田粒子の表面を異種金属の保護膜で覆った構成の半田粒子を用いるものが提案されている(特許文献1〜5参照)。これらはいずれも溶融して半田接合部を構成する半田成分を、銀など大気暴露によって酸化されにくい金属の被膜によって覆うことにより、リフロー時の半田濡れ性を確保して接合性を向上させることを目的としたものである。これらのうち、特許文献2〜5では、いずれも合金中に鉛成分を含まないいわゆる鉛フリーの半田粒子が用いられている。
【特許文献1】特開平5−154687号公報
【特許文献2】特開平8−164496号公報
【特許文献3】特開2001−321983号公報
【特許文献4】特開2002−120086号公報
【特許文献5】特開2002−331385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年電子機器の小型化に伴い、電子部品を基板に接合する電極間ピッチはますますファイン化し、100μm以下の狭小なピッチで形成された微細な電極に部品の端子を半田接合することが求められるようになってきている。しかしながら上述の特許文献例に示す半田ペーストは、いずれも含有される半田粒子の粒径が最小でも10μm以上のものを使用していたため、微細な電極に安定して半田ペーストを印刷することができなかった。
【0005】
このような微細な電極への印刷性を改善するためには、半田ペースト中に含有される半田粒子を微細化することが求められる。しかしながら、半田ペースト中の半田粒子の微細化には以下に述べるような課題があり、10μm以下の微細な半田粒子を半田ペーストに用いることができなかった。
【0006】
半田粒子を微細化すると、半田の重量当たりの表面積が大幅に増大する。この結果、半田粒子の表面に存在する酸化膜の量が増大することにより、半田接合過程における半田粒子相互の融合が阻害される傾向にある。このような酸化膜は、強い活性作用を有する活性剤の添加によって除去することが可能であるが、この一方で、活性剤の配合割合を増加させると残留した活性成分によって半田接合後に電極や配線回路の腐食が生じ信頼性が低下するため、活性剤のみによって酸化膜による不具合を防止することは困難であった。
【0007】
さらに、先行文献例に示すような表面を被膜で覆った構成の半田粒子をそのまま単純に10μm以下にスケールダウンすると、被膜によって酸化膜の生成を防止して濡れ性を改
善するという目的に反して、濡れ性が却って低下する場合があることが判明した。すなわち半田粒子を微細化すると前述のように、半田の重量当たりの表面積が増大し、このような微細な粒子に従来と同様に被膜を形成すると、コアとなる粒子の金属に対する被膜の金属成分の割合が相対的に増大する。この結果、被膜がコア粒子内に拡散して形成される合金の融点が上昇し、濡れ性が低下する現象が生じる場合がある。
【0008】
換言すると10μmに満たない微細な半田粒子を半田ペーストに用いる場合には、このような酸化膜の影響を低減するため単に酸化防止の被膜を設けるのみでは、必ずしも濡れ性の向上にはならないということが判明した。このように、従来の半田ペーストは、狭小なピッチで微細な電極が形成されたファインピッチ部品を対象として、簡便・低コストの工法で良好な半田接合性を確保することが困難であるという課題があった。
【0009】
そこで本発明は、ファインピッチ部品を対象として、簡便・低コストの工法で良好な半田接合性を確保することができる半田ペーストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半田ペーストは、コア粒子の表面に被膜を形成した半田粒子を酸化膜除去能力を有する樹脂成分に含有させて成る半田ペーストであって、前記コア粒子は、第1の金属を球状の粒子に成形し、平均粒径が3μm〜7μmの範囲であって且つ75%以上の粒子が1μm〜9μmの範囲に含まれる粒径分布に分級することによって得られ、前記被膜は、前記第1の金属の融点よりも高い融点を有し自然酸化膜を生じにくく且つ前記第1の金属と合金を形成可能な第2の金属より成り、前記被膜が前記半田粒子の全体に占める量を、前記第1の金属と第2の金属とによって形成される合金の融点が前記第1の金属の融点よりも低くなるような範囲とした。
【0011】
また本発明の半田ペーストは、コア粒子の表面に被膜を形成した半田粒子を酸化膜除去能力を有する樹脂成分に含有させて成る半田ペーストであって、前記コア粒子は、錫(Sn)または錫を主成分とし鉛(Pb)を含まない合金を球状の粒子に成形し、平均粒径が3μm〜7μmの範囲であって且つ75%以上の粒子が1μm〜9μmの範囲に含まれる粒径分布に分級することによって得られ、前記被膜は、これらのコア粒子の表面を前記半田粒子の1〜4wt%を占める量の銀(Ag)の膜で覆って形成された。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コア粒子を形成する第1の金属の融点よりも高い融点を有し自然酸化膜を生じにくく且つ第1の金属と合金を形成可能な第2の金属によってコア粒子の表面の被覆を形成し、この被膜が半田粒子の全体に占める量を第1の金属と第2の金属とによって形成される合金の融点が第1の金属の融点よりも低くなるような範囲とすることにより、具体的には、錫(Sn)または錫を主成分とし鉛(Pb)を含まない合金を球状の粒子に成形し、平均粒径が3μm〜7μmであって且つ75%以上の粒子が1μm〜9μmの範囲に含まれるような粒径分布にした微細粒径のコア粒子の表面を、半田粒子全体の1〜4wt%を占める量の銀の膜で覆う構成の半田粒子を用いることにより、半田粒子の表面の酸化膜の生成を防止するとともに半田接合時の半田濡れ性を向上させることができ、微細電極への印刷性を確保して簡便・低コストの工法でファインピッチ部品を対象として良好な半田接合性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の半田ペーストによってバンプが形成される基板の斜視図、図2(a)は本発明の一実施の形態の半田ペーストにおける半田粒子の構成説明図、図2(b)は本発明の一実施の形態の半田ペーストにおける半田粒子の粒径分布を示すグラフ、図3は本発明の一実施の形態の
半田ペーストの半田粒子を形成するSn−Ag系合金の平衡状態図、図4は本発明の一実施の形態の半田ペーストによるバンプ形成方法の工程説明図、図5は本発明の一実施の形態の半田ペーストによる半田接合過程における半田粒子の挙動説明図、図6は本発明の一実施の形態の半田ペーストを用いた電子部品実装方法の工程説明図である。
【0014】
まず図1を参照して、本発明の一実施の形態の半田ペーストによって部品接続用のバンプが形成される基板について説明する。図1(a)において、基板1には部品接続用の電極2が形成されている。基板1はファインピッチ部品が実装される高実装密度の基板である。電極2は100μm以下の狭い電極間ピッチpで形成されており、電極2の平面寸法a、bはいずれも数十μmのサイズとなっている。
【0015】
基板1への電子部品の実装に際しては、図1(b)に示すように、まず酸化膜除去能力を有する樹脂成分3a中に半田粒子4を含有させた構成の半田ペースト3を電極2に供給する。次いで基板1全体を加熱することにより、半田ペースト3中の半田粒子4を電極2に融着させて、図1(c)に示すように、電極2に半田バンプ5を形成する。そして基板1への電子部品の実装に際しては、実装対象の電子部品の接続用端子と電極2とを半田バンプ5を介して半田接合する。
【0016】
次に図2を参照して、半田ペースト3の構成を説明する。半田ペースト3は図2(a)に示すように、樹脂成分3aに半田粒子4A、4B、4C・・など、サイズの異なる複数の半田粒子4を含有させた構成となっている。樹脂成分3aは、活性剤を配合して酸化膜除去能力を有するようにした熱硬化性樹脂が用いられている。熱硬化性樹脂としては、主剤としてのエポキシ樹脂に硬化剤およびロジンなどの活性剤を混入したものが用いられる。これにより、半田接合の対象となる電極2の表面に大気暴露により生成した酸化膜を除去することができる。なお、樹脂成分3aとして半田接合用として一般に用いられるロジン系などのフラックスを用いてもよい。
【0017】
半田粒子4A、4B、4C・・はそれぞれ異なる粒径D1,D2,D3・・のコア粒子6A、6B、6C・・の表面に、異なる膜厚t1,t2,t3・・の被膜7A、7B、7C・・を形成したものである。以下の説明では、半田粒子4A、4B、4C・・、コア粒子6A、6B、6C・・及び被膜7A、7B、7C・・をそれぞれ半田粒子4、コア粒子6、被膜7で代表させて記述する。
【0018】
ここでコア粒子6は、第1の金属、すなわち錫(Sn)または錫を主成分とした低融点の合金より形成される。このような合金としては、錫にビスマス(Bi)や、銀(Ag)、銅(Cu)のうちのいずれか1つ以上が添加されたものを用いるのが望ましく、本実施の形態においては、0.8wt%未満の銅を添加したものを用いるようにしている。また、鉛(Pb)および亜鉛(Zn)を1wt%以上含む合金は、本実施の形態においては除外する。すなわち、環境保護の観点から使用が好ましくない鉛を排除して環境負荷を軽減するとともに、大気暴露によって酸化されやすい亜鉛を除外することにより、コア粒子6の表面に自然酸化膜が生成するのを極力防止するようにしている。
【0019】
そしてこのような合金をアトマイズ法などによって球状の粒子に成形して得られたランダムな粒径分布の粒子から、以下に説明する粒径分布を満たすよう分級操作を行った後のものが、半田ペースト3用のコア粒子6として用いられる。図2(b)に示すように、コア粒子6は、コア粒子6の粒径D1,D2,D3・・の平均値Mが、3μm〜7μmの範囲R1内に存在するような粒径分布となるように選別される。そしてさらに、全てのコア粒子6の75%以上の粒子が1μm〜9μmの範囲R2に含まれるように選別される。すなわち、コア粒子6は、鉛(Pb)を含まない第1の金属を球状の粒子に成形し、平均粒径が3μm〜7μmの範囲であって且つ全てのコア粒子6の75%以上(より好ましくは
90%以上)の粒子が、1μm〜9μmの範囲に含まれる粒径分布に分級することによって得られる。なおこの粒径分布において、コア粒子6の最大粒径は15μm以下とすることが好ましい。
【0020】
このような微細な粒径のコア粒子6を、半田ペースト3に配合される半田粒子4として用いることにより、微細な電極サイズを有する電極2を対象とする場合においても、良好な印刷性で電極2上に半田ペースト3を供給することが可能となっている。すなわち特許文献例1〜5に示したように、従来の半田ペーストにおいて用いられていた半田の粒子は、最小でも粒径が10μm程度で大部分はこの最小粒径を大きく超える粒径のものが用いられていた。このため本実施の形態に示すような、平面サイズが100μmを下回るような微細な電極を対象として、良好な印刷性を実現することはほとんど不可能であった。
【0021】
そして上述のような最大粒径が規定されたコア粒子6を用いることにより、微細な電極サイズを有する電極2を対象とする場合にあっても、印刷によって供給される半田量のばらつきを小さくすることができる。すなわち、印刷されるコア粒子6に粒径レベルが大きく異なる大型の粒子が混在すると、印刷された体積量としては略等しくても、含まれる実質の半田量には大きなばらつきを生じる結果となるが、最大粒径を規定することによりこのような半田量のばらつきを低減することが可能となる。
【0022】
次に被膜7について説明する。被膜7はコア粒子6が粒子状に成形された後、半田接合に至る過程において、大気暴露や加熱によってコア粒子6の表面に酸化膜が生成されるのを防ぐ目的で形成されるものである。そして半田接合過程においてコア粒子6が溶融した状態では、被膜7はコア粒子6の表面で固相の状態を保ってコア粒子6の表面を覆いつつ、溶融状態のコア粒子6の内部に拡散して取り込まれ、新たな半田合金を形成する。
【0023】
このため、被膜7を形成するための金属(第2の金属)としては、コア粒子6を加熱溶融させる半田接合過程での加熱温度によって溶融しない性質を有する金属、すなわち前述の第1の金属(錫または錫を主成分とする合金)の融点よりも高い融点を有し、自然酸化膜を生じにくく、且つ第1の金属と合金を形成可能な性質を有する金属種が選定される。本実施の形態ではこのような金属種として銀(Ag)を用い、銀をコア粒子6の表面に無電解還元型メッキ法によって付着させることにより、被膜7を形成するようにしている。
【0024】
この場合、被膜7を形成する銀の量を、半田粒子4の1〜4wt%を占める量に設定することにより、上述の目的のための適正な膜厚の被膜7を形成することができる。すなわち、銀の量が1wt%未満の場合には、コア粒子6を完全に覆って酸化を防ぐのに十分な量が確保されにくく、また銀の量が4wt%を超える場合には、主成分である錫(Sn)中の銀の存在により半田粒子4が脆化して接合強度の低下を招くおそれがあり、いずれも上述目的には望ましくないことが実証的に確認されている。
【0025】
なお被膜7を形成する銀の量を、上述のような粒径分布を有する半田粒子4の1〜4wt%を占める量に設定することにより、計算上は、コア粒子6の表面には2nm〜70nmの膜厚の被膜7が形成される。そしてこのような膜厚の被膜7でコア粒子6を覆うことにより、コア粒子6の表面を覆って大気暴露状態での自然酸化膜の生成を有効に防止することができ、半田接合過程において半田粒子4相互が良好に融着することが実験的に確認されている。
【0026】
以下、被膜7を形成する銀の量を1〜4wt%の範囲に設定することの意義を、図3のSn−Ag系の平衡状態図を参照して説明する。図3に示すように、Sn−Ag2成分系の共晶点はSn96.5wt%(Ag3.5wt%)であり、この組成において最も低い融点221℃を示す。すなわち、被膜7の銀の量を共晶状態における銀の量に近くなるよ
うに予め設定することにより、被膜7がコア粒子6に拡散して形成された合金の融点を、コア粒子6を形成する金属(Sn100wt%)そのものの融点(231.968℃)よりも低い温度とすることができる(図3に示す液相線c参照)。
【0027】
本実施の形態においては、銀の量が半田粒子4全体の1〜4wt%(図3に示す範囲A)を占めるように銀の配合割合を設定すると、半田粒子4が溶融固化して形成される半田バンプの融点をコア粒子6そのものの融点よりも低く設定することができる。すなわち本実施の形態においては、被膜7が半田粒子4の全体に占める量を、コア粒子6を形成する第1の金属と被膜7を形成する第2の金属とによって形成される合金の融点が、第1の金属の融点よりも低くなるような範囲としている。より好ましくは、銀の配合割合を3〜3.5wt%(図3に示す範囲B)に設定すると、Sn−Ag系合金の共晶点に極めて近い組成となり、コア粒子6の融点からの低下温度(融点差)を2℃以上確保することができる。
【0028】
なお、前述のように第1の金属として錫に0.8wt%以下の銅を添加した合金を用いる場合には、平衡状態図は3成分系となるが、この場合においても図3に示す2成分系の平衡状態図を基本的に適用することができる。すなわち、上述組成範囲の銅が存在する場合においても、コア粒子6を形成する第1の金属と被膜7を形成する第2の金属とによって形成される合金の融点が、第1の金属の融点よりも低くなる。
【0029】
次に図3を参照して、本実施の形態に示す半田ペースト3を用いて、図1に示す基板1に形成されたファインピッチ部品実装用の電極2に半田バンプ5を形成するバンプ形成方法について説明する。まず、基板1の上面に電極2を覆って半田ペースト3をスクリーン印刷によって供給する。図3(a)において、基板1の上面にはマスクプレート8が装着される。マスクプレート8には基板1における電極2の配列に対応して、パターン孔8aが設けられている。マスクプレート8の上面には半田ペースト3が供給されており、図3(b)に示すように、スキージ9をマスクプレート8の上面に沿って摺動させることにより、半田ペースト3はパターン孔8a内に充填される。この後、基板1からマスクプレート8を剥離させることにより、図3(c)に示すように、基板1の上面には、電極2を覆って所定量の半田ペースト3が供給される。
【0030】
この後、半田ペースト3が印刷された基板1をリフロー工程に送って加熱することにより、半田ペースト3中の半田粒子4が電極2に融着し、これにより電極2上には半田バンプ5が形成される。そして基板1上に電子部品を実装する部品実装工程においては、電子部品の接続用端子は、半田バンプ5を介して電極2と半田接合される。
【0031】
このバンプ形成工程における半田ペースト3中の半田粒子4の溶融挙動について、図5を参照して説明する。図5(a)は、リフロー工程における加熱が開始される時点で電極2の表面近傍に位置する半田粒子4を示している。これらの半田粒子4には、前述のようにコア粒子6の表面に被膜7が、銀の量がコア粒子6を形成する錫または錫系の合金に対して前述の割合となるような膜厚で形成されている。
【0032】
この後加熱が開始されて半田ペースト3の温度が上昇し、コア粒子6を形成する錫または錫系の合金の融点温度に到達することによりコア粒子6が溶融する。そしてコア粒子6が溶融することにより、被膜7を形成する銀は溶融状態のコア粒子6の内部へ拡散し、この拡散が進行することにより被膜7の膜厚tは次第に減少する。このとき、加熱温度は被膜7を構成する銀の融点よりも低いため、溶融状態のコア粒子6は被膜7によって表面を覆われた状態を保ち、コア粒子6は大気暴露と加熱による酸化から保護された状態にある。そして被膜7からコア粒子6内部への拡散がさらに進行して、固相状態の被膜7がほとんど消失すると、図5(c)に示すように、半田粒子4はもはや粒状の形態を維持するこ
とができず、流動化して隣接する半田粒子相互が融着するとともに、これらが融着合体した溶融半田6*は電極面2aに沿って濡れ拡がる。
【0033】
上述の過程において、被膜7からのコア粒子6内部への銀の拡散が進行するにつれて、溶融状態のコア粒子6は、Sn−Ag共晶半田の組成に近づき、これにより融点が低下する。すなわち、銀の量の割合が3〜3.5wt%(図3に示す範囲B)である場合には、融点は共晶温度である221℃に極めて近いレベルまで低下する。また銀の量が範囲Bから外れている場合においても、1〜4wt%(図3に示す範囲A)にあれば、融点温度は銀の量の増加の度合いに応じて、図3に示す液相線cに沿って低下する。
【0034】
そしてこのような融点の低下により、被膜7がコア粒子6中に拡散して形成された半田合金の融点は、リフローにおける加熱によって到達した周囲温度よりも相対的に低くなる。換言すれば、半田粒子4の接合対象である電極2においては半田粒子4が溶融した溶融半田の融点よりも高い温度まで加熱された状態が実現される。これにより、溶融半田の表面張力が急激に低下したに等しい効果が得られ、図5(c)に示す溶融半田6*の濡れ拡がり時には、良好な濡れ性が確保される。
【0035】
このように上述構成の半田ペースト3を用いたバンプ形成方法においては、基板1に半田ペースト3をスクリーン印刷により供給した後に、リフローにより電極2上で半田ペースト3の半田成分を溶融固化させるという極めて簡易な方法で半田バンプ5が形成されることから、従来において同様のファインピッチ部品用の基板の電極に半田を供給する方法として用いられていた方法、例えば金属置換反応を応用して電極に半田プリコートを行う方法(例えばスーパーソルダー:ハリマ化成(株))などと比較して、極めて安価に半田バンプを形成することができる。
【0036】
さらに上述の半田ペースト3の構成においては、コア粒子6としてアトマイジングによって製造されたランダムな粒径の金属粒子のうち、従来は使用されることなく廃棄されていた1μm〜9μmの粒径範囲を主体として用いるようにしていることから、資源の有効利用の要請に則したものとなっている。すなわちこのような微細粒径の粒子は、半田の重量当たりの表面積が大きいため、半田成分における酸化膜の割合が必然的に増大し、半田接合過程において半田粒子相互の融合が酸化膜によって阻害され、正常な半田接合を行うことが困難であるという理由からやむなく廃棄されていたものである。
【0037】
本実施の形態に示す半田ペースト3においては、このような酸化膜に起因する不具合を理由として使用から除外されていた微細なコア粒子6に、予め酸化膜を生成しにくい銀によって被膜7を形成して半田粒子4とすることにより、半田ペースト3中に含有された状態における酸化膜の存在割合を極力低く抑えるようにしている。さらに、前述のように被膜7が半田粒子4の全体に占める量を適切に設定することにより、被膜7がコア粒子6中に拡散して形成された溶融半田の融点が元のコア粒子6の融点よりも低くなるようにしている。したがって、電極2に供給された半田ペースト3を加熱溶融する過程において、半田ペースト3中の半田粒子4の濡れ性が向上し、電極2上において未溶着状態の粒子を残留させることなく、半田粒子4は電極2の表面に良好な半田接合性で溶着する。
【0038】
このとき、半田ペースト3中に含有される活性成分は、上述の溶融過程において電極2の表面の酸化膜を除去するために必要とされる量のみを配合すればよい。したがって、活性成分を多量に配合することによる不具合、すなわちバンプ形成後や部品実装後に半田接合部分に活性成分が残留することに起因して生じる腐食や絶縁性の低下などの不具合を低減することが可能となっている。このように本実施の形態に示す半田ペースト3を用いることにより、狭小なピッチで微細な電極が形成されたファインピッチ部品を対象として、簡便・低コストの工法で良好な半田接合性を確保することができる。
【0039】
なお上述例では、基板1に電子部品を実装するための半田の供給に際し、電極2に半田ペースト3を用いて半田バンプ5を形成する例を示したが、図6に示すように、電極2に供給された半田ペースト3を電子部品実装用の半田接合に直接使用するようにしてもよい。
【0040】
図6(a)において、基板1は図1,図4に示す基板1と同様であり、基板1には、電極2を覆って半田ペースト3が図4に示す方法と同様に印刷により供給される(図4(c)参照)。次いでこの状態の基板1に対して、下面に端子11が形成された電子部品10を位置合わせし、図6(b)に示すように、電子部品10を直接基板1上に搭載して端子11を半田ペースト3に接触させる。この後、図6(c)に示すように、リフローにより基板1を電子部品10とともに加熱することにより半田ペースト3中の半田粒子4が溶融し、これにより電極2と端子11とを、半田粒子4が溶融した溶融半田を介して接合する半田接合部12が形成される。
【0041】
この場合においても、前述例と同様の半田ペースト3を用いることにより、基板1には印刷によって簡便な方法で半田を供給することができるとともに、端子11と電極2との半田接合過程においては、半田粒子4が溶融した溶融半田の濡れ性が向上し、良好な半田接合性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の半田ペーストは、ファインピッチ部品を対象として、簡便・低コストの工法で良好な半田接合性を確保することができるという効果を有し、ファインピッチ部品を基板に半田接合により実装する用途に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態の半田ペーストによってバンプが形成される基板の斜視図
【図2】(a)本発明の一実施の形態の半田ペーストにおける半田粒子の構成説明図(b)本発明の一実施の形態の半田ペーストにおける半田粒子の粒径分布を示すグラフ
【図3】本発明の一実施の形態の半田ペーストの半田粒子を形成するSn−Ag系合金の平衡状態図
【図4】本発明の一実施の形態の半田ペーストによるバンプ形成方法の工程説明図
【図5】本発明の一実施の形態の半田ペーストによる半田接合過程における半田粒子の挙動説明図
【図6】本発明の一実施の形態の半田ペーストを用いた電子部品実装方法の工程説明図
【符号の説明】
【0044】
1 基板
2 電極
3 半田ペースト
3a 樹脂成分
4,4A,4B,4C 半田粒子
5 半田バンプ
6,6A,6B,6C コア粒子
7,7A,7B,7C 被膜
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成19年5月24日(2007.5.24)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−6499(P2008−6499A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2007−137421(P2007−137421)