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【発明の名称】 スタッドガン
【発明者】 【氏名】増田 文一郎

【要約】 【課題】コンデンサ充放電式のスタッド溶接装置において、永久磁石を採用するスタッドガンのプラグは、使っているうちにピン保持力が落ちてくるだけでなく、それが原因でピンの溶着力が低下し作業効率も低下するという問題があった。これは、スタッド溶接時の大電流の通電でプラグに高熱が発生して、永久磁石の磁束密度が乱されて吸着力が低下するためである。さらにはプラグの給電面で発生する不要なスパークが給電面を酸化膜で汚し、プラグとしての寿命を縮めていた。

【構成】永久磁石を中央にしてその給電面を除く円周を還元材物質でもって覆い、さらにはその給電面を除く周縁を放熱材金属でもって覆うように構成したことを特徴とするプラグを提供する。これによりプラグに発生する高熱や酸化膜が低減されて、永久磁石の吸着力低下を防止し、よってピン溶接の作業効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を採用するスタッドガンにおいて、永久磁石を中央にしてその給電面を除く円周を還元材物質でもって、さらにその給電面を除く周縁を放熱材金属でもって覆うように構成したプラグからなることを特徴とするスタッドガン。
【請求項2】
還元材物質が酸化チタンでもって構成したプラグからなることを特徴とする請求項1記載のスタッドガン。
【請求項3】
放熱材金属がアルミ材でもって構成したプラグからなることを特徴とする請求項1記載のスタッドガン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ充放電式のスタッド溶接装置におけるスタッドガンの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、耐蝕塗装が施された鉄骨材や鉄板などの鉄鋼材からなる建物や空調ダクトなどの構築物に対し、その表面に保温材や耐火断熱材が被覆されている。その断熱材の被覆固定に広く用いられているのがスタッドガンによるピン溶接である。本発明はこのコンデンサ充放電式のスタッド溶接装置におけるスタッドガンの改良に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、空調ダクトなどの場合はその外周に保温材や耐火断熱材を仮被着し、その断熱材にダクトピンの脚を差し込む。次いでコンデンサ充放電式の溶接装置に接続されるスタッドガンのプラグでダクトピンを押え、ダクトピンの脚の先端をダクトに圧接した状態で、該プラグの給電面を介し瞬時に大電流を通電して、ダクトピンの先端とダクトとの間にスパークを発生させて溶接される。いわゆるダクトピンをスタッド溶接によってダクトに取り付けて断熱材を被覆固定する方法が行われている。
【0004】
通常、このように用いられるダクトピンは、導電性の材質から構成された直径20から30mm程の円盤状の皿部とそれに立設された直径1.5〜2.0mm程のロット状の脚とが一体的に成型されている。このダクトピンは、構築物の大きさや作業手順にもよるが、先ず、仮被着した断熱材に対しダクトピンの脚が拾乃至数十本差し込まれる。
【0005】
次に、上記のダクトピンの円盤状の皿部にスタッドガンのプラグを押し当て、該プラグの給電面を介してダクトピンに大電流を瞬間的に通電させる。そしてダクトピンの先端とダクトとの間にスパークを発生させてスタッド溶接がなされる。この際、スタッドガンのプラグでダクトピンの皿部を確実に保持すること、また、確実に大電流をダクトピンに通電させることの必要性から、スタッドガンは強力な永久磁石を採用したプラグで構成されている。
【0006】
ところが、通常ピン溶接と呼ばれる作業において、前記したように断熱材に差し込まれた拾乃至数十本のダクトピンに対し、次から次へと連続的に大電流を瞬間に通電させていく連続操作は、スタッドガンのプラグにとっては過酷な状況におかれる。すなわち、この通電の連続操作でプラグに高熱が発生する。この高熱は永久磁石の特性である吸着力を低下させ、しいてはダクトピンの保持力を低下させるという欠陥が生じる。その結果、ダクトピンの皿部とこれに接するプラグの給電面との間隙で無駄なスパークが発生して、充分な大電流がダクトピンの先端に流れにくくしている。そのことが要因となり、ピン溶接に良好なスパークが発生され得ず、溶接不良のダクトピンが発生、ひいては断熱材の固定強度の低下を招くことに成る。
【0007】
さらには、ダクトピンの皿部とこれに接するプラグの給電面との接触不良から発生するスパークが、該プラグの給電面を酸化物で汚すという結果となる。この酸化物の膜は、溶接不良のダクトピンを発生させるだけでなくプラグの寿命も短くしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にしてなされたものであり、その課題を解決するためのものである。本発明はプラグに永久磁石を採用するスタッドガンにおいて、永久磁石を中央にしてそのプラグの給電面を除く円周を還元材物質でもって覆い、さらにそのプラグの給電面を除く周縁を放熱材金属でもって覆うように構成したプラグからなるスタッドガンの改良をその要旨とするものである。
【0009】
すなわち、本発明は、スタッドガンにおけるプラグが永久磁石であること。このプラグの寿命を延ばし、ダクトピンの良好な且つ安定した強度を持続・確保し得るため、プラグに溜まる高熱とプラグの給電面での不良なアークで発生する酸化膜を取り除く物質や金属材で永久磁石の周縁を覆うように設けて構成することにより、スタッドガンのプラグに発生する高熱の放熱と酸化膜を還元化させる構造を有するスタッド溶接に優れたスタッドガンを提供することにある。
【0010】
本発明でいう永久磁石とは、スタッド溶接に使うダクトピンを強力に吸着するものであれば、サマリウム、ネオジム、アルニコなどの材質からなるものから選択すればよく特に制限はないが、温度耐性の強いものが好ましい。
【0011】
また、永久磁石の形状にあっては、円柱型、円盤型、リング型、角型など特に制限はないが、ダクトピンの皿部をプラグの吸着磁力で強力に保持するものが好ましい。
したがって、ダクトピンの形状に応じて、該永久磁石の形状も選択すれば足りる。
【0012】
また、本発明でいう還元材物質とは、プラグの給電面での不良なスパークから発生する酸化膜を還元する機能を有する酸化・還元材物質から選べば特に制限はないが、成型加工性の高い酸化チタンが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に従うスタッドガンにあっては、プラグの永久磁石にたまる高熱と通電面を汚す酸化物を、永久磁石の周縁を覆う還元材物質と放熱材金属とで除去もしくは軽減せしめ永久磁石の吸着力の寿命を高め、結果的にスタッド溶接の作業効率を高めることが出来る。
【発明の実施するための最良の形態】
【0014】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のスタッドガンを示す概念図であって、1のスタッドガン本体部と2のグリップ部と3のプラグ部とから構成されている。そしてグリップ部の下端から出ているコードでコンデンサ充放電式のスタッド溶接装置に接続されている。
【0015】
次の図2は、プラグ部3の概念図であって、5は永久磁石であり、6はその永久磁石の中央にしてその通電面3′を除く円周を覆ってなる還元材物質であり、さらに7はその通電面3′を除く還元材物質6の周縁を覆ってなる放熱材金属である。8はスタッドガン本体部1に接続するコネクターである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明のスタッドガンを示す概念図
【図2】 同スタッドガンのプラグ部を示す概念図
【符号の説明】
【0017】
1・・・スタッドガン本体部
2・・・スタッドガンのグリップ部
3・・・スタッドガンのプラグ部
3′・・プラグ部の給電面
5・・・永久磁石
6・・・還元材物質
7・・・放熱材金属
8・・・コネクター
【出願人】 【識別番号】594077367
【氏名又は名称】一文機工株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6495(P2008−6495A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−203911(P2006−203911)