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【発明の名称】 レーザー加工機および多層プリント配線板の製造方法
【発明者】 【氏名】上野 幸宏

【要約】 【課題】被加工特性の異なる複数種類の部材が積層された加工ワーク(複数種類の部材)に対する加工を単一の工程として行なえるレーザー加工機およびこのようなレーザー加工機を用いた多層プリント配線板の製造方法を提供する。

【構成】レーザー加工機50が備える加工テーブル51に、加工ワークとしての多層プリント配線板1が固定されセットしてある。レーザー加工機50は、レーザー光LB1aを発生するレーザー発振器52、レーザー光LB2aを発生するレーザー発振器53、レーザー光LB1aのビーム条件を調整してレーザー光LB1を生成するビーム調整用光学器62、レーザー光LB2aのビーム条件を調整してレーザー光LB2を生成するビーム調整用光学器63を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー発振器が発生するレーザー光を用いて加工ワークを加工するレーザー加工機であって、ビーム条件が相互に異なる複数のレーザー光を同軸に重畳複合して加工ワークに照射する構成としてあることを特徴とするレーザー加工機。
【請求項2】
ビーム条件を時系列的に制御する構成としてあることを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工機。
【請求項3】
加工ワークを平面方向へ2次元移動するXY移動テーブル、または加工ワークを平面方向へ2次元移動し平面方向に対する傾きを調整するXYθ移動テーブルを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザー加工機。
【請求項4】
加工ワークを第1軸方向へ移動する1軸移動テーブルと、第1軸方向と交差する第2軸方向でレーザー光を走査するビーム走査用光学器とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザー加工機。
【請求項5】
前記1軸移動テーブルは、レーザー光に対する加工ワークの前記第2軸方向での傾きを調整する傾斜調整部を備えることを特徴とする請求項4に記載のレーザー加工機。
【請求項6】
前記ビーム走査用光学器は、走査位置を滞留制御する構成としてあることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のレーザー加工機。
【請求項7】
レーザー光の光路中にビーム条件を調整するビーム調整用光学器を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載のレーザー加工機。
【請求項8】
レーザー光の光路を変更する光路変更器および2つのレーザー光を複合するビーム複合器を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一つに記載のレーザー加工機。
【請求項9】
1つのレーザー光を2つのレーザー光に分離するビーム分離器を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一つに記載のレーザー加工機。
【請求項10】
ビーム条件は、前記レーザー発振器のレーザー発振条件により制御する構成としてあることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一つに記載のレーザー加工機。
【請求項11】
前記レーザー発振器を2以上備えることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一つに記載のレーザー加工機。
【請求項12】
前記レーザー発振器は、一方が赤外線レーザー発振器、他方が紫外線レーザー発振器であることを特徴とする請求項11に記載のレーザー加工機。
【請求項13】
前記レーザー発振器は、ビーム条件が異なる紫外線レーザー発振器であることを特徴とする請求項11に記載のレーザー加工機。
【請求項14】
レーザー加工機を用いて多層プリント配線板を加工する多層プリント配線板の製造方法であって、前記レーザー加工機は、請求項1ないし請求項13のいずれか一つに記載のレーザー加工機であることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を用いて加工ワークを加工するレーザー加工機およびこのようなレーザー加工機を用いて加工ワークとしての多層プリント配線板を製造する多層プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高性能化、高機能化、小型化などに対応するため、電子機器などに適用されるプリント配線板は、多層化、微細化が進んでいる。特に最近では、比較的高い配線密度を要求される多層プリント配線板が要求されている。
【0003】
このような要求に対応する製造方法の1つとして、ビルドアップ法が知られている。以下に、ビルドアップ法により4層構造とした従来例に係る多層プリント配線板の製造方法を図15ないし図20に基づいて示す。
【0004】
図15は、従来例に係る多層プリント配線板を製造するコア配線板準備工程で準備したコア配線板の概略断面を示す断面図である。
【0005】
コア配線板110は、コア絶縁層112と、コア絶縁層112の両面に形成されたコア配線パターン層113とを備える。コア配線板110は、完成状態での多層プリント配線板101(図20参照。)の内層部分となる。コア配線パターン層113は、コア絶縁層112の両面に形成された場合を示す。
【0006】
コア絶縁層112は、ガラスエポキシ樹脂板で構成され、コア配線パターン層113は、導電材料としての銅箔を適宜パターニングして形成される。コア絶縁層112は、コア絶縁層112の両面相互間を導通するための貫通孔112tを備える。また、コア配線パターン層113は、積層される次の導体層への導通を取るビアホール用のビアランド113a、貫通孔112tへの導通領域となるコア貫通孔ランド113b、コア配線パターン113c、貫通孔112tに形成されたコア貫通導体層113dを備える。
【0007】
コア配線板110は、両面銅貼り積層板を使い、通常のプリント配線板加工方法、すなわち、貫通孔加工、パネルメッキ、エッチングを経て、両面に内層回路パターン(コア配線パターン113c)、外層との接続を行なうビアランド(ビアランド113a)、コア配線板110の両面に形成された内層回路パターン同士を接続するインナービア(コア貫通導体層113d)を貫通孔112tに形成したものである。
【0008】
図16は、従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、コア配線板準備工程で準備したコア配線板に金属層形成工程で層間絶縁層を介して金属層を形成した状態の概略断面を示す断面図である。
【0009】
コア配線板110の表面に、層間絶縁樹脂層121を介して金属層122を形成する。例えば、半硬化エポキシ樹脂の片面に数μmの厚みの銅箔を積層接着した材料を加熱加圧して積層部120(層間絶縁樹脂層121、金属層122)を形成する。以下において、工程途中のものも含めて多層プリント配線板101として示す。
【0010】
図17は、従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、金属層形成工程で形成した金属層に、ビアホール形成工程でビアホールを形成した状態を示す断面図である。
【0011】
なお、理解を容易にするために、図15、図16で示した、ビアランド113a、コア配線パターン113cが含まれる部分を拡大して示し、コア配線板110の一面側のみを多層プリント配線板101として示している。
【0012】
レーザー光によって、積層部120の金属層122と層間絶縁樹脂層121に層間穴を形成しコアビアホール121hとする。レーザー加工により、ビアホール121hの底には、コア配線板110の表面に予め形成しておいたビアランド113aが露出した状態となる。
【0013】
図18は、従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、レジストパターン形成工程でレジストパターンを形成した状態を示す断面図である。
【0014】
ビアホール121hを形成した後、適切なデスミア処理、表面処理、触媒処理、無電解メッキを行い、ビアホール121hの内壁に下地導電層122aを形成する。
【0015】
その後、金属層122の表面にメッキレジスト130を形成し、フォトマスクなどを適用して露光、現像などのフォトリソグラフィ技術により、形成する層間導通部136および配線パターン137(図19参照。)の逆パターンを有する逆パターンレジスト131を形成する。
【0016】
図19は、従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、配線パターンおよび層間導通部を形成した状態を示す断面図である。
【0017】
形成した逆パターンレジスト131をマスク(露出した金属層122を電極)として、電解メッキを施すことにより層間導通部136、配線パターン137を形成する。
【0018】
図20は、従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、配線パターンおよび層間導通部を金属層から分離した状態を示す断面図である。
【0019】
層間導通部136、配線パターン137を形成した後、逆レジストパターン131を除去する。最後に、逆レジストパターン131が覆っていた金属層122をエッチング除去して、金属層122で連通していた層間導通部136、配線パターン137を分離し、機能可能な状態とすることにより多層プリント配線板101を完成させる。
【0020】
なお、多層プリント配線板101の配線パターン形成方法として、層間絶縁樹脂層121をコア配線板110に積層する際に表層に金属層122を設けない方法もある。この方法には、2種類の方法がある。
【0021】
1つは、積層した層間絶縁樹脂層121に層間穴(ビアホール121h)を加工した後、全面に金属層を無電解メッキなどで形成し、その後、上述したように逆パターンレジスト131を形成し、逆パターンレジスト131をマスクとして電解メッキを施すことにより層間導通部136、配線パターン137を形成する方法で、セミアディティブ法のバリエーションである。
【0022】
他の1つは、層間穴(ビアホール121h)を加工した後、層間絶縁樹脂層121の表面にメッキレジスト(逆パターンレジスト131)を形成し、層間導通部136、配線パターン137を直接形成するアディティブ法である。
【0023】
従来の多層プリント配線板の製造工程において、配線パターンの高密度化・高精細化傾向が進むとともに、各層の加工における層間位置合わせ精度が大きな問題となってきた。すなわち、各層に配置された信号線などを層間で接続する貫通孔やビアホールを形成する際に、貫通孔やビアホールは精度良く正しい位置に、ターゲットとなる各層の信号線や接続ランドを射抜かなければならないが、配線の高密度化・高精細化により許容される位置ズレ誤差は、どんどん減少しており、今では、十数μmを争う状況となっている。
【0024】
一方、プリント配線板を構成する素材は、エポキシやポリイミドといった樹脂、あるいはこれらをガラスなどの繊維で強化した繊維強化樹脂をベースに、銅箔などを積層接着したもので構成され、温度や湿度の影響によって、その物理的な寸法は変化しやすいものである。
【0025】
さらに、プリント配線板の加工は、エッチング液やメッキ液、あるいは、水洗といった湿潤工程やその乾燥、あるいは、樹脂の硬化や接着といった加熱工程、さらには、各種工程の前処理における物理研磨工程、表面の銅箔エッチング除去に伴う応力緩和、貫通孔やビアホールの層間穴開けによる強化繊維の切断など、材料寸法を狂わせ、歪ませる工程が非常に多い。
【0026】
例えば、従来例でも分るように、内層コア(コア配線板)を形成した上に層間絶縁樹脂層を加熱加圧により接着して積層すれば、この時点で、積層後の寸法は、内層コアのパターンを形成した際とは大きく異なってしまっている。
【0027】
さらには、材料の製造上、加工上の問題から、1つの材料、例えば、内層コアは、同じ材料、同じロット、同じ加工条件であっても、1枚1枚寸法や歪み状況が違ってしまうのが現実である。
【0028】
このように、1つ1つの工程を経る毎に、材料そのものの寸法が変わってゆく中で、都度、加工ガイドを形成し、それを基準に物理的に加工マスクをアライメントして、加工を行なう現在の手法では、位置ズレを低減することができないという問題があった。
【0029】
このような問題に対し、例えば、外層のパターン加工を行なう際に内層パターン基準で行なう方法(例えば、特許文献1参照。)や、ビアホール(層間穴)加工時にパターン形成用のガイドを同時に形成し、相対的位置ズレを減らす方法(例えば、特許文献2参照。)、貫通孔(層間穴)とビアホール(層間穴)開けを同時に行い相互の位置関係を確保する方法(例えば、特許文献3参照。)などが提案されている。
【0030】
しかし、これら従来技術は、個々にはそれなりの効果があるものの、寸法変化した材料に対し、ガイドを使って必ず位置合わせを行なうことから、あるいは、寸法や位置の補正が平均的なものにならざるを得ないことから、必ず一定量の誤差が残り、ビアズレ問題を根本的に解決するには至っていないのが現状である。
【0031】
ここで、位置合わせや寸法補正上、最も厳しい精度を要求する工程を考慮すると、ビアランドとビアホール(層間穴)の関係である。例えば、ビアランド径0.15mmに対し、ビア層間穴径が0.75mmとすると、その相対位置ズレの計算上の許容値は、37.5μmであり、実質的なランド残りシロを考慮すると、35μmにも満たないこととなる。
【0032】
一方で、このランド径設計値で、例えば、ビアランドに接続するパターン幅が0.075mmとすると、ランドとパターンの相対的位置ズレ許容値は、約75μmであり、実質電気的接続があれば良いレベルであれば、さらに許容値が大きく取れる状況がある。
【0033】
従来提案されている改善方法では、(1)ビアホール(層間穴:層間穴形成工程)とビアランド(レジストパターン形成工程)の位置関係といった最も厳しい条件の下で、加工マスクの位置合わせ作業を行っていること、(2)ビアホール形成工程(層間穴形成工程)とビアランド形成工程(レジストパターン形成工程)は別工程であり、その間に材料の寸法変化をきたす処理工程が入っていたり、少なくとも、再度加工装置に加工ワークをセットし直す工程が介在しており、加工原点を再設定する必要があること、という問題がある。
【0034】
このような状況のもとで、従来の加工プロセスを再編し、もっとも厳しい精度が要求される2つの加工プロセス(層間穴形成工程およびレジストパターン形成工程)を一度の位置合わせで行なえるように加工プロセスの組合せを変更することにより、層間穴の加工位置に対応する層間導通部の形成位置を精度良く位置合わせし、層間導通部を高精度で容易に形成することが可能な多層プリント配線板の製造方法を創案するに至った。
【0035】
つまり、ビアホールランド/スルーホールランド(層間導通部)の形成とビアホール/スルーホール(層間穴)の形成との間で、基本的に位置ずれが起こらない加工方法を案出するに至った。すなわち、スルーホールやビアホールについての穴加工とこの穴に関連する配線パターンやビアランドを形成するための少なくとも加工用レジストの形成(パターニング)を複数のレーザー光を用いた1工程として、加工原点の再設定なしに行なう加工方法(多層プリント配線板の製造方法)である。
【0036】
このような加工方法を実現するためには、ビーム条件(波長、ビーム強度、パルス幅、ビーム径など)を個別に設定した複数のレーザー光を、空間的、時間的(または時系列的)に1軸にまとめて(同軸に重畳複合して)加工を行なうためのレーザー加工機が必要となる。
【0037】
2波長のレーザー光を切り替える機構や、1つのビームをスプリットして、加工時に強度を変える機構が提案されている(例えば、特許文献4ないし特許文献6参照。)。しかしながら、これらの技術は、金属層(金属箔)、層間絶縁樹脂層、(パターン形成用)メッキレジストといった加工条件が非常に異なるものに対してそのまま適用することはできないという問題があった。
【特許文献1】特開2002−185149号公報
【特許文献2】特開2000−174434号公報
【特許文献3】特開2001−244605号公報
【特許文献4】特開2002−217550号公報
【特許文献5】特開2002−270994号公報
【特許文献6】特開2002−232150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ビーム条件が相互に異なる複数のレーザー光を同軸に重畳複合して加工ワークに照射することにより、被加工特性の異なる複数種類の部材が積層された加工ワーク(複数種類の部材)に対する加工を単一の工程として行なえるレーザー加工機を提供することを目的とする。
【0039】
また、本発明は本発明に係るレーザー加工機を用いて多層プリント配線板を加工することにより、複数種類の部材が積層された多層プリント配線板への加工が高精度かつ容易に可能な多層プリント配線板の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明に係るレーザー加工機は、レーザー発振器が発生するレーザー光を用いて加工ワークを加工するレーザー加工機であって、ビーム条件が相互に異なる複数のレーザー光を同軸に重畳複合して加工ワークに照射する構成としてあることを特徴とする。
【0041】
この構成により、ビーム条件が異なる複数のレーザー光を重畳して加工ワークに照射することから、被加工特性の異なる複数種類の部材が積層された加工ワークを高精度で容易に加工することが可能となる。
【0042】
また、本発明に係るレーザー加工機では、ビーム条件を時系列的に制御する構成としてあることを特徴とする。
【0043】
この構成により、複雑な構成をした加工ワークをより高精度に加工することが可能となる。
【0044】
また、本発明に係るレーザー加工機では、加工ワークを平面方向へ2次元移動するXY移動テーブル、または加工ワークを平面方向へ2次元移動し平面方向に対する傾きを調整するXYθ移動テーブルを備えることを特徴とする。
【0045】
この構成により、加工ワークの位置制御を容易かつ安定的に行なうことが可能となる。
【0046】
また、本発明に係るレーザー加工機では、加工ワークを第1軸方向へ移動する1軸移動テーブルと、第1軸方向と交差する第2軸方向でレーザー光を走査するビーム走査用光学器とを備えることを特徴とする。
【0047】
この構成により、高精度で効率良く加工を行なうことが可能となる。
【0048】
また、本発明に係るレーザー加工機では、前記1軸移動テーブルは、レーザー光に対する加工ワークの前記第2軸方向での傾きを調整する傾斜調整部を備えることを特徴とする。
【0049】
この構成により、精度と効率をさらに向上させた加工を行なうことが可能となる。
【0050】
また、本発明に係るレーザー加工機では、前記ビーム走査用光学器は、走査位置を滞留制御する構成としてあることを特徴とする。
【0051】
この構成により、レーザー光の走査速度の調整が可能となり、また、レーザー光の滞留走査により滞留場所で加工ワークの状態に応じた加工時間を確実に確保することが可能となるので、安定した高精度の加工が可能となる。
【0052】
また、本発明に係るレーザー加工機では、レーザー光の光路中にビーム条件を調整するビーム調整用光学器を備えることを特徴とする。
【0053】
この構成により、ビーム条件を確実かつ容易に調整し、被加工特性の異なる複数種類の部材に対応したビーム条件を容易に実現することが可能となる。
【0054】
また、本発明に係るレーザー加工機では、レーザー光の光路を変更する光路変更器および2つのレーザー光を複合するビーム複合器を備えることを特徴とする。
【0055】
この構成により、2つのレーザー光の複合を確実かつ容易に実行し、ビーム条件の異なるレーザー光を確実に同軸で重畳複合することが可能となる。
【0056】
また、本発明に係るレーザー加工機では、1つのレーザー光を2つのレーザー光に分離するビーム分離器を備えることを特徴とする。
【0057】
この構成により、レーザー光の分離を確実かつ容易に実行し、ビーム条件の異なるレーザー光を容易に生成することが可能となる。
【0058】
また、本発明に係るレーザー加工機では、ビーム条件は、前記レーザー発振器のレーザー発振条件により制御する構成としてあることを特徴とする。
【0059】
この構成により、加工ワークの状態に応じた加工を安定的かつ確実に行なうことが可能となる。
【0060】
また、本発明に係るレーザー加工機では、前記レーザー発振器を2以上備えることを特徴とする。
【0061】
この構成により、ビーム条件が相互に異なる2以上のレーザー光を極めて容易に発生させることが可能となり、加工性を向上させることができる。
【0062】
また、本発明に係るレーザー加工機では、前記レーザー発振器は、一方が赤外線レーザー発振器、他方が紫外線レーザー発振器であることを特徴とする。
【0063】
この構成により、赤外線および紫外線で構成されたレーザー光とすることが可能となり、加工ワークの状態に応じた加工形態を容易に実現することが可能となる。
【0064】
また、本発明に係るレーザー加工機では、前記レーザー発振器は、ビーム条件が異なる紫外線レーザー発振器であることを特徴とする。
【0065】
この構成により、紫外線レーザーの特性を生かした清浄度の高い高精度の加工が可能となる。
【0066】
また、本発明に係る多層プリント配線板の製造方法は、レーザー加工機を用いて多層プリント配線板を加工する多層プリント配線板の製造方法であって、前記レーザー加工機は、本発明に係るレーザー加工機であることを特徴とする。
【0067】
この構成により、加工ワークとしての多層プリント配線板の状態に応じて容易かつ安定的に加工性良く加工することが可能となる。
【発明の効果】
【0068】
本発明に係るレーザー加工機によれば、被加工特性の異なる複数種類の部材が積層された加工ワークにビーム条件が相互に異なる複数のレーザー光を同軸に重畳複合して照射することから、複数種類の部材の被加工特性に対応した最適なビーム条件で単一の工程としての加工が可能となり、加工ワークの加工を高精度で容易に行なうことができるという効果を奏する。
【0069】
例えば、本発明に係るレーザー加工機によれば、多層プリント配線板の製造工程で、ビアホール/スルーホールの穴開けと少なくともビアランド/スルーホールランド形成用のメッキレジストのパターンニングを単一の工程で行なうことが可能となることから、穴開けとパターンニングとの間での位置ズレを生じることのない、高精度の加工ができるという効果を奏する。
【0070】
また、本発明に係る多層プリント配線板の製造方法によれば、本発明に係るレーザー加工機を適用して多層プリント配線板を製造することから、スルーホール/ビアホールについての穴加工とこの穴に関連する配線パターン/ビアランドを形成するための少なくとも加工用レジスト(メッキレジスト)のパターニングを単一の工程として実施することが可能となり、高精度に位置合わせされたパターン(穴加工と加工用レジストのパターニング)を有する多層プリント配線板を製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0072】
<実施の形態1>
図1ないし図8に基づいて、実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造方法およびレーザー加工機について説明する。
【0073】
図1は、本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板を製造するコア配線板準備工程で準備したコア配線板の概略断面を示す断面図である。
【0074】
コア配線板10は、コア絶縁層12と、コア絶縁層12の両面に形成されたコア配線パターン層13とを備える。コア配線板10は、完成状態での多層プリント配線板1(図7参照。)の内層部分となる。コア配線パターン層13は、コア絶縁層12の両面に形成された場合を示すが、コア絶縁層12の少なくとも一方の表面に形成してあれば良い。
【0075】
コア絶縁層12は、例えばガラスエポキシ樹脂板で構成され、コア配線パターン層13は、例えば導電材料としての銅箔を適宜パターニングして形成される。コア絶縁層12は、例えばコア絶縁層12の両面相互間を導通するための貫通孔12tを備える。また、コア配線パターン層13は、例えば積層される次の導体層への導通を取るビアホール用のビアランド13a、貫通孔12tへの導通領域となるコア貫通孔ランド13b、コア配線パターン13c、貫通孔12tに形成されたコア貫通導体層13dを備える構成として示しているが、これに限るものではない。
【0076】
なお、同図で示すコア配線板10自体が、本発明に係る製造方法、あるいは、その他の方法で、既に多層化されていても良い。
【0077】
また、コア配線板10の製造方法は、本発明とは直接関係しないので、詳細は説明しない。例えば、市販の両面配線板材料を用いて、貫通孔層間穴開け、パネルメッキ、パターン形成を行なう方法が最も一般的であるが、これに限定される訳ではなく、金属層(銅箔)を持たない樹脂板にメッキを行なうアディティブ法、あるいは、金属層(銅箔)と樹脂板との混合形態であるセミアディティブ法でも良い。
【0078】
また、コア配線板10の製造に際しては、現在知られているあらゆる加工方法、例えば、貫通孔(層間穴)の開口をレーザーで行なう加工方法、エッチングレジストに電着樹脂を利用する加工方法などが適用可能である。構成材料についても、同様に制限はない。
【0079】
上述したとおりのコア配線板10を、本発明に係る多層プリント配線板1の製造方法の出発部材として準備する(コア配線板準備工程)。
【0080】
図2は、本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、コア配線板準備工程で準備したコア配線板に金属層形成工程で層間絶縁層を介して金属層を形成した状態の概略断面を示す断面図である。
【0081】
コア配線板10の少なくとも片面(少なくともコア配線パターン層13cが形成されている面)に、層間絶縁樹脂層21を介して金属層22を積層(形成)する(金属層形成工程)。層間絶縁樹脂層21および金属層22により積層部20が構成される。積層部20(層間絶縁樹脂層21および金属層22)をコア配線板10のどちらの面に形成するか、あるいは、両面に形成するかは、多層プリント配線板1(以下において、工程途中のものも含めて多層プリント配線板1という。)の仕様により決定される。
【0082】
同図では、コア配線板10の両面に積層部20を形成した場合を示す。本実施の形態では、層間絶縁樹脂層21としての半硬化エポキシ樹脂シートに金属層22としての1〜3μm程度の銅箔を積層した市販材料を用い、これを加熱加圧してコア配線板10に積層接着した。つまり、金属層22は、薄く形成され、金属箔の状態としてあることが好ましい。また、銅箔の他に銅箔と同等の特性を有するニッケル箔とすることも可能である。なお、金属箔の厚さは約1〜5μmとすることが加工容易性、強度、導電性などの観点から好ましい。金属層22を予め形成することにより、後の工程でのメッキ加工が容易になり、メッキ工程を簡略化することができる。また、後の工程で形成される層間導通部36、配線パターン37の導電性を補強することが可能となる(図6、図7参照。)。
【0083】
なお、層間絶縁樹脂層21と金属層22をそれぞれ個別に積層して形成することも可能であり、また、層間絶縁樹脂層21を積層した後、メッキなどにより金属層22を形成することも可能である。
【0084】
図3は、本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、金属層形成工程で形成した金属層に、メッキレジスト形成工程でメッキレジストを形成した状態を示す断面図である。
【0085】
なお、理解を容易にするために、図1、図2で示した、ビアランド13a、コア配線パターン13cを含む領域を拡大して示し、コア配線板10の一面側のみを多層プリント配線板1として示している。図示しない他の面側でも同様の処理を施して4層の多層プリント配線板1とすることが可能である。また、さらに積層を繰り返すことにより、6層、8層とさらに層数の多い多層プリント配線板1とすることも可能である。
【0086】
積層部20(金属層22)の表面(全表面)に樹脂層で構成されるメッキレジスト30を形成する(メッキレジスト形成工程)。メッキレジスト30は、市販されているアディティブプロセス用メッキレジストフィルムまたはセミアディティブプロセス用メッキレジストフィルムで良い。また、薄い粘着層をもつポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムなどをメッキレジスト30として適用することも可能である。
【0087】
メッキレジスト30は、非感光性または感光性のいずれでも適用することが可能である。いずれでも適用可能とすることにより、加工容易性を確保することが可能となる。したがって、非感光性とした場合であっても、あるいは感光性とした場合であっても、後述するレーザー光LB(図5参照。)の照射によって所定の形状(レジストパターン31。図4参照。)を形成することが可能な構成としてある。つまり、非感光性の場合はレーザー光LBでメッキレジスト30を焼却して蒸発させることにより、感光性の場合はポジタイプとネガタイプを適宜使い分けることにより所定の形状を形成することが可能である。
【0088】
図4は、本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、レジストパターン形成工程でレジストパターンを形成し、層間穴形成工程で層間穴を形成した状態を示す断面図である。以下、基本的に図3に対応させた態様での多層プリント配線板1を示している。
【0089】
図3で示したメッキレジスト30を形成した多層プリント配線板1をレーザー加工機50(図8参照。)にセット(位置決めおよび固定)し、レーザー光LB(図5参照。)によってレーザー加工することにより、メッキレジスト30をパターニング除去してレジストパターン31を形成する(レジストパターン形成工程)。
【0090】
また、併せて、貫通孔(コア貫通孔ランド13bに対応する貫通孔。ここでは不図示。)/ビアホール(ビアランド13aに対応するビアホール21h。)を含む層間穴の形成(開口)を、内層としてのコア配線板10のコア配線パターン層13(ビアランド13a、コア貫通孔ランド13b)に対応させて行なう(層間穴形成工程)。
【0091】
同図では、金属層22および層間絶縁樹脂層21を貫通する層間穴としてのビアホール21hがレジストパターン31に対応して内側に開口され、同時に、ビアホール21hと同軸でビアランド13aに対応する部分のメッキレジスト30が除去されて形成されたレジスト窓部32(および層間導通部36(図6参照。)のビアランドに対応するビアランド下地部22v)、および配線パターン37(図6参照。)に対応する部分のメッキレジスト30が除去されて形成された配線パターン用のレジスト窓部33(および配線パターン37(図6参照。)に対応する配線パターン下地部22p)が形成されている。
【0092】
この構成により、レジストパターン形成工程および層間穴形成工程について、レーザー加工機50に対する加工原点の再設定や加工ワーク(コア配線板10、多層プリント配線板1)の設置のやり直しを行なう必要がなくなり、位置合わせの手間を低減することが可能となる。
【0093】
また、レジストパターン形成工程および層間穴形成工程の両工程間での位置ズレを生じる恐れが全くなく、位置精度が極めて高い層間穴を形成することが可能となり、多層プリント配線板1の配線パターンの微細化、高精度化が可能となる。
【0094】
なお、レーザー加工機50に多層プリント配線板1(コア配線板10)をセットするときの基準点をコア配線板10(コア配線パターン層13)により特定することが可能であり、ビアランド13aとの位置合わせを精度良く確保することが可能となる。また、さらに内層のパターンあるいは基準ガイド(多層プリント配線板1(コア配線板10)に設けた基準ガイド)を基準点としても良い。
【0095】
レジストパターン形成工程および層間穴形成工程は、レーザー光LBを発生するレーザー加工機50に対するコア配線板10の位置関係を維持した状態で単一のレーザー加工工程として行われる。つまり、レジストパターン形成工程および層間穴形成工程は、コア配線板10(多層プリント配線板1)をレーザー加工機50に一度セットした状態を維持して同時的にあるいは時系列的に行われる。
【0096】
したがって、レジストパターン形成工程および層間穴形成工程は、レーザー加工としては、一度の設定で行われることから、加工原点の再設定や、加工ワーク(多層プリント配線板1)の設置をやり直す必要がなく、両工程での加工ワークの位置ズレを生じる恐れが全くなくなり、後の工程でのビアランド(層間導通部36、ビアランド下地部22v)に対応するレジスト窓部32に対する位置精度が極めて高い層間穴(ビアホール21h)を形成することが可能となる。つまり、多層プリント配線板1の層間穴加工の高精度化および微細化、さらには多層プリント配線板1の配線の高精度化および微細化が可能となる。
【0097】
なお、非感光性または感光性のいずれとする場合でも、メッキレジスト30は、耐メッキ層として機能する内層レジスト(不図示)と、レーザー光から内層レジストを保護する保護層として機能する外層レジスト(不図示)との2層構造とすることが好ましい。レーザー加工時に、メッキレジスト30の表面に汚染が発生したり、加工時の熱の影響、加工補助ガスの影響が生じたりする場合があるが、2層構造とすることにより、外層レジストにより加工熱を逃がしたり、レジスト表面の汚染や熱、ガス厚による変質・変形を防止することが可能となる。
【0098】
レジストパターン形成工程後、後述する下地導電層形成工程前に外層レジストを除去する外層レジスト除去工程を備えることにより、内層レジストを確実に保護した状態で内層レジストにより構成されたレジストパターン31を形成することから精度の高いレジストパターン31とすることが可能となる。
【0099】
また、内層レジストは感光性で構成し、外層レジストは非感光性で構成することにより、内層レジストのみがレーザー光の照射によって、必要な形状を形成できる構成とすることが好ましい。この構成により、より高精度のレジストパターン31とすることが可能となる。
【0100】
なお、層間穴形成工程で、レーザー光LBにより層間穴(例えばビアホール21h)に対するデスミア(層間穴の内部に形成された溶融樹脂、炭化樹脂などの除去)を行なうことが好ましい。
【0101】
この構成により、層間穴形成工程でデスミアを行なうことから、同一のレーザー加工機50のレーザー光を用いることとなり、生産性の高い高精度のデスミアが可能となり、信頼性の高い層間導通部36を形成することが可能となる。
【0102】
レーザー光LBのビーム形態には、種々の形態があり、使用するレーザー加工機50のタイプにより、適宜選択することが可能である。
【0103】
図5は、本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程でレーザー加工により図4で示した多層プリント配線板の概略断面とレーザー加工に用いたレーザー光のビーム状態との相関を説明する説明図である。
【0104】
多層プリント配線板1の概略断面に対応する平面状態(X軸方向およびY軸方向)でのレーザー光LBのビーム状態を示している。
【0105】
例えば、レーザー光LB(ビーム)は、ビームの中央部(レーザー光LB1)と、中央部を同軸状に囲むビームの周縁部(レーザー光LB2)とで分布が異なる形態としてある。つまり、レーザー光LB1は、ビーム条件(ビーム径、ビーム強度、波長、パルス幅、パルス数など)が金属層22(銅箔)および層間絶縁樹脂層21に対する層間穴加工に適するように設定してあり、ビアランド13aに対応する所望の形状をした例えばビアホール21hを形成する(層間穴形成工程)ことが可能としてある。なお、コア貫通孔12tに対応するコア貫通導孔ランド13bに対しても同様に層間穴(不図示)を開口することが可能である。
【0106】
また、レーザー光LB2は、ビーム条件(ビーム径、ビーム強度、波長、パルス幅、パルス数など)がメッキレジスト30を除去するのに適し、金属層22には影響しない程度に設定してあり、所望の形状をした例えばビアランド用のレジスト窓部32(レジストパターン31。ここでは図示しないレジスト窓部33もレジスト窓部32と同様にして形成することが可能である。)を形成する(レジストパターン形成工程)ことが可能としてある。
【0107】
上述したとおり、レジストパターン形成工程および層間穴形成工程で用いるレーザー光LBは、ビーム条件が相互に異なるレーザー光LB1およびレーザー光LB2を同軸に重畳複合してある。つまり、ビームの中央部(レーザー光LB1)が金属層22および層間絶縁樹脂層21に対する層間穴加工に適した穴開け加工用ビームとしてのビーム条件に設定してあり、ビームの中央部を同軸状に囲むビームの周縁部(レーザー光LB2)がメッキレジスト30を除去するのに適したメッキレジスト加工用ビームとしてのビーム条件に設定してあり、レジストパターン形成工程および層間穴形成工程を単一工程として処理することができる。
【0108】
この構成により、レーザー光LB(レーザー光LB1およびレーザー光LB2。以下、個々のレーザー光LB1、レーザー光LB2などを区別する必要がない場合は、単にレーザー光LBとすることがある。)の照射を繰り返すことなく、ビアランド(ビアランド13a)/貫通孔ランド(コア貫通孔ランド13b)に相当する箇所に対するメッキレジストの除去とビアホール/貫通孔に対応する層間穴の開口とを同時に行なうことが可能となる。
【0109】
上述したレーザー光LBを有するレーザー加工機50を適用することにより、単一工程(レーザー光の単一パス)として同時的に、層間穴形成工程およびレジストパターン形成工程の処理を多層プリント配線板1に対して施すことが可能となる。つまり、レーザー光LBを一回走査させることで、金属層22および層間絶縁樹脂層21に対する層間穴加工(例えばビアホール21hを開口する。)とレジスト窓部32を形成することが可能である。この場合、金属層22を加工する時間と層間絶縁樹脂層21を加工する時間で、時系列的にビーム強度、パルス幅などを細かく調整することも可能である。
【0110】
また、上述したレーザー加工時に、ビアホール(ビアホール21h)/貫通孔(不図示)内の樹脂残渣除去、ビアホール(ビアホール21h)内壁の仕上げをレーザー光LBによって同時に行なうことも可能である。
【0111】
なお、レーザー光LBを発生するレーザー加工機50については、図8でさらに説明する。また、その他のレーザー加工機50(およびレーザー加工方法)については、実施の形態2(図9)以降でさらに説明する。
【0112】
図6は、本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、層間導通部および配線パターンを形成した状態を示す断面図である。
【0113】
図4の状態とした後は、セミアディティブ法として公知となっている手法で層間導通部36(ビア導通部/図示しない貫通孔導通部)や配線パターン37を形成する。すなわち、適切なメッキ前処理を行い、少なくともビアホール21hの内壁に無電解メッキ法による下地導電層(不図示)を形成し(下地導電層形成工程)、次に、レジストパターン31をマスクとしてメッキを施す。
【0114】
つまり、ビアホール21hの内壁に形成した下地導電層およびビアホール21hに対応するレジストパターンとしてのレジスト窓部32、配線パターン用のレジスト窓部33に対応する金属層22(ビアランド下地部22v、配線パターン下地部22p)を電極として電解メッキ法により層間導通部36および配線パターン37を形成する(層間導通部形成工程)。
【0115】
なお、層間導通部36は、レジスト窓部32によりビアランド13aに対応するビアランドとして形成されている。したがって、層間導通部36は、ビアおよびビアランドとして機能させることが可能である。
【0116】
つまり、層間穴としてのビアホール21hおよびメッキレジスト30が除去された部分としてのレジスト窓部32、33にメッキを施して層間導通部36および配線パターン37を形成する。なお、電解メッキの代わりに無電解メッキ法によっても同様に形成することが可能である。
【0117】
図4で示したとおり、層間穴(ビアホール21h)を形成する工程(ビアホール形成工程)とレジストパターン形成工程(層間導通部36のビアランドに対応するレジスト窓部32を形成するレジストパターン形成工程)とはレーザー加工機50への一度の設置で処理されることから、これらの工程相互間では多層プリント配線板1の位置合わせの再設定(加工原点の再設定)を行なう必要がない。
【0118】
したがって、ビアホール21h形成(層間穴形成)と層間導通部36形成(ビアランド形成)とは精度良く位置合わせして行なうことが可能となり、層間穴(ビアホール21h)形成工程と層間導通部36(ビアランド)形成工程の間での位置ズレを生じることがないという効果を奏する。
【0119】
つまり、ビアホール21hのパターンに対して層間導通部36のパターン(ビアホール21h、ビアランド用のレジスト窓部32)を同一レーザー加工機50による同時的または連続的なレーザー加工工程として形成することから、ビアホール21hとビアランド(ビアランド用パターンとしてのレジスト窓部32)との間に位置ズレ(ビアズレ)を生じることがなくなる。
【0120】
図7は、本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、レジストパターンおよびレジストパターンが覆っていた金属層を除去して層間導通部および配線パターンを分離した状態を示す断面図である。
【0121】
層間導通部形成工程の後、レジストパターン31(メッキレジスト30)を除去し、レジストパターン31が覆っていた金属層22をエッチングにより除去して層間導通部36を分離する(層間導通部分離工程)。
【0122】
上述した図1ないし図7の各工程により、多層プリント配線板1を製造(完成)することができる。
【0123】
本実施の形態では、下地となる金属層22のエッチング加工のしやすさと加工設備の便宜を考慮して、金属層22として層間導通部36および配線パターン37を形成する金属と同じ銅(銅箔)を用いた。なお、層間導通部36、配線パターン37を構成する金属と異種の金属(例えばニッケルなど)を用いた場合には、形成した層間導通部36、配線パターン37のパターン形状や線幅を損なうことなく、マイグレーション対策とすることができる。
【0124】
図8は、図5に示した製造工程に適用するレーザー光を発生する本発明に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【0125】
レーザー加工機50が備える加工テーブル51に、加工ワークとしての多層プリント配線板1が固定されセット(設置、載置)してある。レーザー加工機50は、レーザー光LB1aを発生するレーザー発振器52、レーザー光LB2aを発生するレーザー発振器53、レーザー光LB1aのビーム条件を調整してレーザー光LB1を生成するビーム調整用光学器62、レーザー光LB2aのビーム条件を調整してレーザー光LB2を生成するビーム調整用光学器63を備える。
【0126】
レーザー光LB1a、LB2aの基本的なビーム条件としての波長、パルス幅、パルス数、ビーム強度、ビームオンオフなどは、レーザー発振器52、53のレーザー発振条件を変更することにより制御(調整)される。また、レーザー発振器52、53の動作を安定化し、ビーム条件の調整を容易にするために、ビーム調整用光学器62、63によってもビーム径、ビーム強度、ビームオンオフなどのビーム条件を制御(調整)する構成としてある。つまり、ビーム調整用光学器62、63は、必要なビーム径、ビーム強度分布を有するレーザー光LB1、LB2を得るように、制御可能なシャッター、光音響素子、コリメータなどの光学器材で適宜構成される。
【0127】
なお、ビーム条件の調整はレーザー加工機50に制御用のコンピュータプログラムを予めインストールしてレーザー発振器52、53およびビーム調整用光学器62、63を加工中に制御(調整)することで行なうことが可能である。また、レーザー加工機50は、コンピュータプログラムにより制御され、レーザー発振器52、53、ビーム調整用光学器62、63、後述する各種の光学部材(例えば、ビーム調整用光学器62a、62b、63a、63b。ビーム走査用光学器70。図8および他の実施の形態に係る図9ないし図14参照。)を加工中に適宜制御(調整)する構成としてある。
【0128】
ビーム調整用光学器62が生成した穴開け加工用ビームとしてのレーザー光LB1は、光路変更器としてのミラー64により光路を変更されハーフミラーとしてのミラー65を介して集束光学器66に導光され、集束光学器66から多層プリント配線板1に照射される。
【0129】
ビーム調整用光学器63が生成したメッキレジスト加工用ビームとしてのレーザー光LB2は、ビーム複合器としてのミラー65により光路を変更され、集束光学器66を介して多層プリント配線板1に照射される。つまり、ミラー65は、レーザー光LB1とレーザー光LB2とを同軸に重畳複合する。また、集束光学器66は、レーザー光LBを最終的に調整、集束して加工に必要なビーム状態とする。
【0130】
したがって、レーザー発振器52によって金属層22および層間絶縁樹脂層21に対する層間穴(ビアホール21h)を形成するレーザー光LB1を発生し、また、レーザー発振器53によってメッキレジスト30に対するレジストパターン(レジスト窓部32、33)形成を行なうレーザー光LB2を発生する。なお、レジスト窓部33を形成する場合は、レーザー光LB1をビーム調整用光学器62(例えば上述したシャッター)で遮光するか、レーザー発振器52の発振を停止するなどにより、レーザー光LB2のみを多層プリント配線板1に照射する形態とし、レジスト窓部33およびビアホール21hを形成する場合とは異なる時間に照射するように構成して時系列的な制御とすれば良い。
【0131】
つまり、本実施の形態では、ビーム条件が相互に異なる複数のレーザー光LBを同軸に重畳複合して加工ワークに照射する構成としてある。なお、レーザー光LBを同軸に重畳複合するとは、2つのレーザー光LBが同時に重畳される場合に限らず、時系列的に異なる時間に重畳される場合を含む。
【0132】
この構成により、被加工特性が大きく異なる複数種類の部材(加工対象)が積層された加工ワーク(被加工物)を1度の設定で同時(あるいは時系列的)に加工することが可能となる。
【0133】
なお、穴開け加工用ビーム(レーザー光LB1)を発生するレーザー発振器52としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、YLFレーザーなどの赤外線レーザー、または、YAGレーザー、YALレーザーなどの紫外線レーザーを適用することが可能である。また、メッキレジスト加工用ビーム(レーザー光LB2)を発生するレーザー発振器53としては、マキシマレーザー、YAGレーザー、YALレーザーなどの紫外線から可視光領域のレーザーを適用することが可能である。
【0134】
なお、レーザー発振器52およびレーザー発振器53の波長は上述した場合に限らず、適宜設定することが可能であり、また、適宜組み合わせることが可能である。また、加工ワークの表面状態(被加工物の種類)が感光性レジストである場合は、必要に応じてレーザー光LBの照射によるレジスト感光を施すことも可能である。
【0135】
多層プリント配線板1の全面に対する加工は、加工テーブル51をXY方向に移動させながら、加工するパターンに応じて必要な領域へレーザー光LBを照射することで時系列的に行なう。したがって、加工テーブル51は、多層プリント配線板1を平面方向(XY方向)へ2次元移動するXY移動テーブルであることが好ましい。また、多層プリント配線板1を設置したときの水平方向に対する傾きを調整する程度に回転可能なXYθ移動テーブルであることが好ましい。これらの構成により、加工ワークの位置制御を容易かつ安定的に高精度で行なうことが可能となる。なお、X方向を例えば第1軸方向、Y方向を例えば第2軸方向と規定することが可能である(図10参照)。
【0136】
<実施の形態2>
図9は、本発明の実施の形態2に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【0137】
本実施の形態は、実施の形態1と同様に2つのレーザー発振器(レーザー発振器52、53)、および2つのビーム調整用光学器(ビーム調整用光学器62、63)を用いる。実施の形態1と同一の構成には同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0138】
本実施の形態では、ビーム調整用光学器62が生成したレーザー光LB1とビーム調整用光学器63が生成したレーザー光LB2とを同軸に重畳複合する光学部材としてプリズム67を適用してある。つまり、プリズム67は、光路変更器およびビーム複合器として機能する。この構成によっても、実施の形態1と同様のビーム条件を有するレーザー光LBを多層プリント配線板1に照射することが可能となる。
【0139】
また、プリズム67を用いることから構成部材としての光学部材を低減することが可能となり、機構部の構成を簡略化することができる。
【0140】
<実施の形態3>
図10、図11に基づいて実施の形態3に係るレーザー加工機の構成概要について説明する。
【0141】
図10は、本発明の実施の形態3に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。図11は、図10に示したレーザー加工機でのレーザー光のオンオフ状態と多層プリント配線板に対する走査位置との関係を示す説明図である。
【0142】
本実施の形態に係るレーザー加工機50は、実施の形態1、実施の形態2と同様に2つのレーザー発振器(レーザー発振器54、55)、および2つのビーム調整用光学器(ビーム調整用光学器62、63)を備える。実施の形態1、実施の形態2と同一の構成には同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0143】
本実施の形態では、レーザー発振器54はレーザー光LB3aを発生し、レーザー発振器55はレーザー光LB4aを発生する。ビーム調整用光学器62、63は、それぞれ対応するレーザー光LB3a、LB4aのビーム条件を調整して本実施の形態で必要とされるビーム径、ビーム強度分布を有するレーザー光LB3、LB4をそれぞれ生成する。
【0144】
レーザー光LB3は、ハーフミラーとしてのミラー65を通過し、集束光学器66を介してビーム走査用光学器70に導光される。他方、レーザー光LB4は、光路変更器としてのミラー64およびビーム複合器としてのミラー65により光路を変更され集束光学器66を介してビーム走査用光学器70に導光される。したがって、レーザー光LB3およびレーザー光LB4は、ミラー65により同軸に重畳複合されて多層プリント配線板1に照射される。
【0145】
ビーム走査用光学器70は、ガルバノミラー71とf−θレンズ72で構成してある。したがって、ビーム走査用光学器70に導光されたレーザー光LB3、LB4は、ガルバノミラー71を回転方向Rmで回転することにより多層プリント配線板1上を走査方向Syで走査される。加工テーブル51は、第1軸方向(X方向:紙面に対して垂直方向)のみへ移動する1軸移動テーブルとしてあり、第2軸方向(Y方向:走査方向Sy)でのレーザー光LBの走査(多層プリント配線板1上での走査)はガルバノミラー71とf−θレンズ72を適用した光路変更器としてのビーム走査用光学器70により行なう構成としてある。
【0146】
加工テーブル51は、レーザー光LBに対する多層プリント配線板1の第2軸方向での傾きを回転方向Rtで回転することにより調整する傾斜調整部51dを備える。ビーム走査用光学器70により走査されるレーザー光LBに対する多層プリント配線板1の傾きを傾斜調整部51dにより低減することが可能となり、さらに高精度の加工が可能となる。
【0147】
また、本実施の形態でのレーザー光LB3、レーザー光LB4は、実施の形態1、実施の形態2の場合でのレーザー光LB1およびレーザー光LB2のビーム径、ビーム強度分布と同様のビーム径としてある。
【0148】
本実施の形態では、所定の位置にレーザー光LBが走査されたときに、その位置での加工を実現するために、ビーム走査用光学器70は、必要に応じて滞留走査(ドウエル動作)を行なう構成としてあり、加工するパターンに応じて必要な領域で必要な加工時間を確保(滞留走査)して加工を確実に実行できる形態としてある。つまり、走査位置を滞留制御する構成としてある。
【0149】
次に、レーザー光LB3、レーザー光LB4の走査形態について説明する。まず、加工対象が存在する位置でX方向を固定する。その状態で、走査方向Syの開始点SP1から終了点SP2までY方向(走査方向Sy)でレーザー光LBの走査を行なう。例えば、図11に示すとおり、レーザー光LB3、レーザー光LB4共にオフ状態でレジスト窓部33に対応する位置までY方向で走査する。
【0150】
次に、レジスト窓部33に対応する位置でレーザー光LB4をオン状態、レーザー光LB3をオフ状態としてメッキレジスト30を加工してレジスト窓部33を形成する。つまり、レーザー光LB4は、メッキレジスト加工用ビームとして作用するようにビーム調整用光学器63により調整してある。レジスト窓部33を形成する間は、レーザー光LBは、走査を停止する滞留走査(ドウエル動作)を行なう構成としてある。つまり、走査位置を滞留制御する構成としてある。
【0151】
レジスト窓部33を形成した後、レーザー光LB3、レーザー光LB4共に再度オフ状態としてY方向での走査を再開し、レジスト窓部32(ビアホール21h)に対応する位置まで走査する。次に、レジスト窓部32に対応する位置でレーザー光LB4をオン状態、レーザー光LB3をオフ状態としてメッキレジスト30を加工してレジスト窓部32を形成する。このとき、レーザー光LB4は、レジスト窓部32に対応する領域(第2軸方向:Y方向)で滞留走査を行なう。
【0152】
また、レジスト窓部32に対してビアホール21hが対応していることから、ビアホール21hに対応させてレーザー光LB3を適宜のタイミング(例えば、レジスト窓部32が形成された直後。あるいは、同時にオン状態として加工することも可能である。)でオン状態とし、レーザー光LB4に対して同軸に重畳複合する。つまり、オン状態としたレーザー光LB3をレーザー光LB4に対して同軸に重畳複合することにより、メッキレジスト30の加工に加えて金属層22および層間絶縁樹脂層21を加工しビアホール21h(層間穴)を形成する。つまり、レーザー光LB3は、穴開け加工用ビームとして作用するようにビーム調整用光学器64により調整してある。
【0153】
上述したとおり、レジスト窓部33、レジスト窓部32、ビアホール21hを形成するときに、X方向を固定して開始点SP1から終了点SP2までY方向に行なう走査は、レーザー光LBの加工箇所に応じて滞留走査の形態として行なう構成としてある。
【0154】
この構成により、ミラー65により同軸に重畳複合されたレーザー光LB3およびレーザー光LB4は、集束光学器66を介してビーム走査用光学器70により走査されることからレーザー光LB相互の位置合わせを完全に同一にすることができる。したがって、レジスト窓部32、33に対するビアホール21hの位置精度を確実に向上させ、高精度で位置合わせすることが可能となる。
【0155】
<実施の形態4>
金属層22(例えば、銅箔)を加工するには、一般的にかなり大きな大きなエネルギー、例えば3J/cm2以上を必要とする。一方、その直下の層間絶縁樹脂層21を加工するには、それより一桁程度小さいエネルギーで良い。つまり、単一強度のレーザー光LBで、金属層22および層間絶縁樹脂層21の両方を加工すると、層間絶縁樹脂層21に対してかなりのエネルギー過多となり、加工精度の確保が困難になるなどの問題が生じる。
【0156】
したがって、加工ワーク(多層プリント配線板1)の表面に金属層22を有するセミアディティブ工法における層間穴形成工程でレーザー加工を行なう場合は、加工上の工夫を施すことが必要となる。
【0157】
本実施の形態では、加工上の工夫としてレーザー光LBのビーム強度を調整する構成としてある。つまり、金属層22に対する加工を行なうときと層間絶縁樹脂層21に対する加工を行なうときとでビーム強度などのビーム条件を変更する形態としてある。
【0158】
図12は、本発明の実施の形態4に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。実施の形態1ないし実施の形態3と同一の構成には同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0159】
本実施の形態では、レーザー発振器を2台(レーザー発振器54、55)として、レーザー発振器54により金属加工用ビーム(レーザー光LB5)および層間絶縁樹脂加工用ビーム(レーザー光LB6)を生成し、また、レーザー発振器55によりメッキレジスト加工用ビーム(レーザー光LB7)を生成する。つまり、ビーム条件が異なる2以上のレーザー光LBを極めて容易に発生させることが可能となる。なお、レーザー光LBの波長は適宜設定することが可能であり、本実施の形態では、レーザー発振器54、55を赤外線レーザー発振器とすることが可能である。
【0160】
つまり、本実施の形態に係るレーザー加工機50は、3ビームを生成し、3ビームのレーザー光LBの重畳複合を空間的(同軸)および時系列的に行なうことにより多層プリント配線板1に対する加工を行なう。
【0161】
レーザー発振器54が発生したレーザー光LB5aは、ハーフミラーとしてのミラー68を通過し、レーザー光LB5bとしてビーム調整用光学器62aに導光される。ビーム調整用光学器62aは、レーザー光LB5bのビーム条件を調整してレーザー光LB5を生成する。
【0162】
レーザー光LB5は、ハーフミラーとしてのミラー65aを通過してハーフミラーとしてのミラー65bに導光される。ミラー65bは、レーザー光LB5に対する光路変更器として作用し、レーザー光LB5を集束光学器66に導光して多層プリント配線板1に照射し、多層プリント配線板1の金属層22(銅箔)の穴開け加工を行なう。つまり、ビーム調整用光学器62aは、レーザー光LB5が金属層22を加工できるようにビーム条件を調整する。
【0163】
また、レーザー発振器54から出たレーザー光LB5aは、ミラー68により光路を変更されレーザー光LB6aとされる。つまり、ミラー68は、ビーム分離器(ビームスプリッタ)として機能し、レーザー光LB5aからレーザー光LB6aを分離する。
【0164】
レーザー光LB6aは、光路変更器としてのミラー64aにより光路を変更されてビーム調整用光学器63aに導光される。ビーム調整用光学器63aは、レーザー光LB6aのビーム条件を調整してレーザー光LB6を生成する。レーザー光LB6は、光路変更器としてのミラー64bにより光路変更されてミラー65aに導光される。
【0165】
ミラー65aは、レーザー光LB6に対する光路変更器として機能し、レーザー光LB6の光路を変換することによりレーザー光LB5とレーザー光LB6とを同軸に重畳複合する。つまり、ミラー65aは、レーザー光LB5とレーザー光LB6とを複合するビーム複合器として機能し、レーザー光LB5に対して同軸となるレーザー光LB6を生成してミラー65bへ導光する。
【0166】
レーザー光LB6に対する光路変更器としてのミラー65bは、レーザー光LB6を集束光学器66に導光して多層プリント配線板1に照射し、多層プリント配線板1の層間絶縁樹脂層21の穴開け加工を行なう。つまり、ビーム調整用光学器63aは、レーザー光LB6が層間絶縁樹脂層21を加工できるようにビーム条件を調整する。
【0167】
レーザー光LB6のビーム強度は少なくとも金属層22を加工するレーザー光LB5よりも弱くしてあり、層間絶縁樹脂層21を加工するのに適切な値としてある。つまり、ビーム調整用光学器63aは、アッテネッタ−を含むフィルター系としてある。
【0168】
なお、レーザー光LB5により金属層22が除去されたタイミングで(つまり、金属層22を除去した後に)、レーザー光LB6を生成する。したがって、レーザー光LB5を生成するとき、レーザー光LB6の生成はビーム調整用光学器63aにより時系列的に停止され、レーザー光LB6を生成するとき、レーザー光LB5の生成はビーム調整用光学器62aにより時系列的に停止される構成としてある。なお、レーザー光LB5、LB6の生成のオンオフは、レーザー発振器54、55のオンオフによって制御することも可能である。
【0169】
レーザー光LB5およびレーザー光LB6は、上述したとおり、時系列的に制御される構成としてある。レーザー光LB5およびレーザー光LB6は、ビーム条件(ビーム強度)を調整する機構以外では完全に同一の位置状態(同軸に対する空間的な重畳複合)にできることから、高精度に位置合わせした状態で層間穴(ビアホール21h)を形成することが可能となる。
【0170】
また、レーザー発振器55が発生したレーザー光LB7は、メッキレジスト加工用ビームであり、被加工物が均質であることから、実施の形態1の場合と同様、ストレートな光学系としてありレーザー光LB7は、光路変更器としてのミラー64cにより光路を変更されミラー65bおよび集束光学器66を介して多層プリント配線板1に照射される。つまり、レーザー光LB7は、ビーム複合器としてのミラー65bによりレーザー光LB5、LB6と同軸に重畳複合する形態としてある。
【0171】
なお、このときのレーザー光LB(ビーム条件)の生成での時系列は、メッキレジスト加工用としてのレーザー光LB7、穴開け加工(金属層加工)用としてのレーザー光LB5、穴開け加工(層間絶縁樹脂層加工)用としてのレーザー光LB6の順とする。
【0172】
したがって、レーザー発振器54で発生されたレーザー光LB5、LB6による加工に対して、適切なタイミング(同時または時系列的)でレーザー発振器55によりレーザー光LB7のオン状態、オフ状態を制御することにより、メッキレジスト30を加工してレジスト窓部32、33を形成することが可能となる。また、加工テーブル51の精度がそのままレジスト窓部32、33のビアホール21hに対する位置合わせ精度となることから、レジスト窓部32、33、ビアホール21h相互間の位置合わせを高精度に行なうことが可能となる。
【0173】
<実施の形態5>
本実施の形態は、実施の形態4の応用であり、レーザー発振器の使い方やビーム条件の調整の形態を変更した実施例としてある。
【0174】
上述したとおり、金属層22の穴開け加工には大きなエネルギーを必要とし、そのエネルギー量は、層間絶縁樹脂層21の穴開け加工に必要なものとは大きく異なる。
【0175】
したがって、金属層22の穴開け加工には、大出力が得られる炭酸ガスレーザーのような赤外線レーザーを利用するのが好ましい。ところが、炭酸ガスレーザーを使用して層間絶縁樹脂層21の穴開け加工を行なった場合、樹脂の溶融や加工した穴内に炭化物が残渣として残る傾向があり、デスミアと呼ばれるこれら残渣除去工程を別途必要とし、また、ビアホール・スルーホールの信頼性低下にもつながっていた。
【0176】
このような事情から、近年では、樹脂加工時に残渣の心配が少ないYAGなどの紫外線レーザーを利用する傾向となっている。
【0177】
しかしながら、紫外線レーザーは、経済的に得られる出力レベル(ビーム強度)や、金属に対する加工性の問題から、現実には、適用が必ずしもうまくいくわけではなく、大抵の場合は、加工対象となる金属箔を予め、エッチング等で、数μmまで薄く加工しておいたり、高価な極薄銅箔を使ったりせざるを得なかった。
【0178】
本実施の形態に係るレーザー加工機50は、レーザー発振器を2台備えることから、異なる2つの波長を有するレーザー光LBを使い分けることができ、さらに、実施の形態4と同様に、ビーム強度などのビーム条件を時系列的に切り替えることが可能である。
【0179】
つまり、レーザー加工機50は、複数のレーザー光LB相互の波長を異ならせて、一方のレーザー発振器が紫外線レーザーを発生し、他方のレーザー発振器が赤外線レーザーを発生する構成としてある。したがって、赤外線レーザーおよび紫外線レーザーの組合せで構成されたレーザー光LBとすることが可能となり、加工ワークの状態に応じた加工性の良い加工形態を容易に実現することが可能となる。
【0180】
その他の基本構成は、実施の形態4と同様であるので、レーザー加工機50の構成としては、図12の構成を適用して説明する。
【0181】
図13は、本発明の実施の形態5に係るレーザー加工機によるレーザー光の生成状態を説明する説明図であり、(A)はレーザー光のオンオフ状態と多層プリント配線板に対する走査位置との関係を示し、(B)は加工時間の進行に伴うレーザー光のオンオフ切替についてのタイミング図である。同図(A)は、レーザー光の構成が異なる点を除いて図11と同様であるので、適宜説明を省略する。
【0182】
本実施の形態では、実施の形態4と異ならせて、レーザー発振器54を樹脂加工に適したYAGなどの紫外線レーザー発振器とし、レーザー発振器55を金属加工に適した炭酸ガスなどの赤外線レーザー発振器として構成する。
【0183】
したがって、レーザー発振器54により、層間絶縁樹脂加工用ビーム(レーザー光LB9)とメッキレジスト加工用ビーム(レーザー光LB8)を生成することが可能となる。つまり、ビーム調整用光学器62a、63aは、導光されたレーザー光LBのビーム条件を調整することにより、レーザー光LB8およびレーザー光LB9を生成する構成としてある。また、レーザー発振器55により、金属加工用ビーム(レーザー光LB10)を生成する構成としてある。
【0184】
レーザー発振器55によるレーザー光LB10を金属加工用(銅箔加工用)ビームとすることにより、赤外線レーザーを用いた最適条件で、従来困難であった銅箔加工を行なうことが可能となる。したがって、銅箔を予めエッチングする工程や、極薄銅箔などが不要となり、銅箔加工を容易かつスム−スに行なうことができる。
【0185】
例えば、ビアホール21hを形成する場合、まずレーザー光LB8によりレジスト窓部32が形成される。次に、同図(B)のタイミング図で示すように、多層プリント配線板1を同位置に配置した状態として、加工時間T=T1でレーザー光LB10をオン状態として金属層22に対応する部分のビアホール21hを形成する。金属層22の加工が終了した時点(加工時間T=T2)でレーザー光LB10はオフ状態とされ、代わりにレーザー光LB9がオン状態とされ層間絶縁樹脂層21に対応する部分のビアホール21hが形成される。層間絶縁樹脂層21の加工が終了した時点(加工時間T=T3)でレーザー光LB9はオフ状態とされレジスト窓部32、ビアホール21hに対する加工が終了する。
【0186】
上述したとおり、本実施の形態においても、レーザー光LBの重畳複合を空間的(同軸)および時系列的に行なうことにより多層プリント配線板1の状態に応じた適切な特性を有するレーザー光LBを適用して加工することが可能となり、清浄度の高い高精度の加工が可能となる。
【0187】
なお、本実施の形態では、レーザー発振器54を紫外線レーザー発振器とし、レーザー発振器55を赤外線レーザー発振器として構成したが、レーザー発振器55をレーザー発振器54と共に紫外線レーザー発振器として構成することも可能である。2つのレーザー発振器54、55を紫外線レーザー発振器として構成することにより紫外線レーザー光の特性をさらに生かした清浄度の高い高精度の加工が可能となる。
【0188】
<実施の形態6>
本実施の形態は、1台のレーザー発振器を用いてビーム条件が異なる複数のレーザー光LBを同軸に重畳複合して加工ワークに照射する構成としたものである。上述したとおり、金属層22と層間絶縁樹脂層21とは被加工特性が大きく異なる。したがって、それぞれに適切な波長を有するレーザー光LBを割り当てるのが理想ではある。
【0189】
しかしながら、金属層22としての銅箔を薄く形成することにより金属層22の加工を容易にすること、多層プリント配線板1に対して表面処理を施し、レーザー光LBの吸収率を向上させることなどの改善策も提案されてきている。また、高出力で、発振条件を瞬時に変えることができるレーザー発振器も入手が容易になってきている。
【0190】
このような背景から、本実施の形態では、1台のレーザー発振器から発生されたレーザー光LBを時系列的、空間的に分割して、光強度やフォーカス、ビーム径などのビーム条件を別々に調整して生成した複数のレーザー光LBを多層プリント配線板1に照射する構成としてある。
【0191】
図14は、本発明の実施の形態6に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【0192】
レーザー発振器56はレーザー光LB11aを発生する。レーザー光LB11aは、ハーフミラーとしてのミラー68aを通過し、レーザー光LB11とされる。レーザー光LB11は、光路変更器としてのミラー64cで光路を変更されハーフミラーとしてのミラー65bを介して集束光学器66に導光され、金属加工用ビームとして多層プリント配線板1に照射されて多層プリント配線板1の金属層22(銅箔)の穴開け加工を行なう。
【0193】
また、レーザー光LB11aは、ミラー68aにより光路を変更されレーザー光LB11bとされる。つまり、ミラー68aは、ビーム分離器として機能し、レーザー光LB11aからレーザー光LB11bを分離する。
【0194】
レーザー光LB11bは、ハーフミラーとしてのミラー68bを通過し、レーザー光LB13aとしてミラー64aに導光され、光路変更器としてのミラー64aにより光路を変更されビーム調整用光学器63bに導光される。また、レーザー光LB11bは、ミラー68bにより光路を変更されレーザー光LB12aとしてビーム調整用光学器62bに導光される。つまり、ミラー68bは、ビーム分離器として機能し、レーザー光LB11bからレーザー光LB12aを分離する。
【0195】
ビーム調整用光学器62bは、レーザー光LB12aのビーム条件を調整してレーザー光LB12を生成する。レーザー光LB12は、ハーフミラーとしてのミラー65aを介してミラー65bに導光され、光路変更器としてのミラー65bにより光路を変更され集束光学器66に導光され、層間絶縁樹脂加工用ビームとして多層プリント配線板1に照射されて多層プリント配線板1の層間絶縁樹脂層21の穴開け加工を行なう。したがって、ミラー65bは、レーザー光LB11およびレーザー光LB12を同軸で重畳複合する構成としてある。
【0196】
ビーム調整用光学器63bは、レーザー光LB13aのビーム条件を調整してレーザー光LB13を生成する。レーザー光LB13は、光路変更器としてのミラー64bにより光路を変更されミラー65aに導光される。
【0197】
レーザー光LB13に対する光路変更器としてのミラー65aは、レーザー光LB13の光路を変換することによりレーザー光LB12とレーザー光LB13とを同軸に重畳複合するビーム複合器として機能し、レーザー光LB12に対して同軸のレーザー光LB13を生成してミラー65bへ導光する。
【0198】
また、レーザー光LB12、レーザー光LB13は、レーザー光LB11に対してもミラー65bにより同軸に重畳配置される。つまり、ミラー65bは、レーザー光LB11およびレーザー光LB12、レーザー光LB13に対してビーム複合器として機能する。
【0199】
レーザー光LB13に対する光路変更器としてのミラー65bは、メッキレジスト加工用ビームとしてのレーザー光LB13を集束光学器66に導光して多層プリント配線板1に照射し、多層プリント配線板1のメッキレジスト30を加工してレジスト窓部32、33を形成する。
【0200】
つまり、レーザー発振器56から出たレーザー光LBは、ビーム分離器としてのミラー68aで、まず2つに分解される。第1のビームとしてのレーザー光LB11は、そのまま多層プリント配線板1の金属層22(銅箔)の金属加工用ビーム(穴開け加工用ビーム)とされる。第2のビームとしてのレーザー光LB11bは、時系列的に制御されて多層プリント配線板1の層間絶縁樹脂層21の層間絶縁樹脂加工用ビーム(穴開け加工用ビーム)としてのレーザー光LB12と多層プリント配線板1のメッキレジスト30を加工してレジスト窓部32、33を形成するメッキレジスト加工用ビームとしてのレーザー光LB13とされる。
【0201】
なお、このときの時系列の順は、レーザー光LB13によるメッキレジスト加工、次にレーザー光LB11による穴開け加工(金属加工)、さらにレーザー光LB12による穴開け加工(層間絶縁樹脂加工)とする。
【0202】
また、ビームの分割合成(分離複合)は、例えば、第1のビームをメッキレジスト加工用、第2のビームを金属層と層間絶縁樹脂層の加工用など、適宜組合せを変更することが可能である。
【0203】
なお、上述した(実施の形態1ないし実施の形態6)とおり、ミラー64、64a、64b、64c、(65、65a、65b)、プリズム67は、レーザー光LBの光路を変更する光路変更器として機能し、ミラー65、65a、65b、プリズム67は、2つのレーザー光LBを同軸に重畳複合するビーム複合器として機能し、ミラー68、68a、68bは、1つのレーザー光LBを2つのレーザー光LBに分離するビーム分離器として機能するが、適宜その他の組合せとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板を製造するコア配線板準備工程で準備したコア配線板の概略断面を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、コア配線板準備工程で準備したコア配線板に金属層形成工程で層間絶縁層を介して金属層を形成した状態の概略断面を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、金属層形成工程で形成した金属層に、メッキレジスト形成工程でメッキレジストを形成した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、レジストパターン形成工程でレジストパターンを形成し、層間穴形成工程で層間穴を形成した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程でレーザー加工により図4で示した多層プリント配線板の概略断面とレーザー加工に用いたレーザー光のビーム状態との相関を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、層間導通部および配線パターンを形成した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、レジストパターンおよびレジストパターンが覆っていた金属層を除去して層間導通部および配線パターンを分離した状態を示す断面図である。
【図8】図5に示した製造工程に適用するレーザー光を発生する本発明に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【図11】図10に示したレーザー加工機でのレーザー光のオンオフ状態と多層プリント配線板に対する走査位置との関係を示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【図13】本発明の実施の形態5に係るレーザー加工機によるレーザー光の生成状態を説明する説明図であり、(A)はレーザー光のオンオフ状態と多層プリント配線板に対する走査位置との関係を示し、(B)は加工時間の進行に伴うレーザー光のオンオフ切替についてのタイミング図である。
【図14】本発明の実施の形態6に係るレーザー加工機の構成概要を示す概念図である。
【図15】従来例に係る多層プリント配線板を製造するコア配線板準備工程で準備したコア配線板の概略断面を示す断面図である。
【図16】従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、コア配線板準備工程で準備したコア配線板に金属層形成工程で層間絶縁層を介して金属層を形成した状態の概略断面を示す断面図である。
【図17】従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、金属層形成工程で形成した金属層に、ビアホール形成工程でビアホールを形成した状態を示す断面図である。
【図18】従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、レジストパターン形成工程でレジストパターンを形成した状態を示す断面図である。
【図19】従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、配線パターンおよび層間導通部を形成した状態を示す断面図である。
【図20】従来例に係る多層プリント配線板の製造工程での概略断面であり、配線パターンおよび層間導通部を金属層から分離した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0205】
1 多層プリント配線板
21 層間絶縁樹脂層
21h ビアホール
22 金属層
30 メッキレジスト
31 レジストパターン
50 レーザー加工機
51 加工テーブル(XY移動テーブル、XYθ移動テーブル、1軸移動テーブル)
51d 傾斜調整部
52、53、54、55、56 レーザー発振器
62、62a、62b ビーム調整用光学器
63、63a、63b ビーム調整用光学器
64、64a、64b、64c ミラー(光路変更器)
65、65a、65b ミラー(光路変更器、ビーム複合器)
65、65a、65b ミラー(ビーム複合器)
67 プリズム(光路変更器、ビーム複合器)
68、68a、68b ミラー(ビーム分離器)
70 ビーム走査用光学器
LB、LB1〜LB13 レーザー光
X 第1軸方向
Y 第2軸方向
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗


【公開番号】 特開2008−796(P2008−796A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173064(P2006−173064)