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【発明の名称】 プロセスステージ及び該プロセスステージを備えたレーザ加工装置
【発明者】 【氏名】遠入 尚亮

【氏名】藤山 聡

【要約】 【課題】レーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージを提供する。

【構成】透明又は半透明の加工対象物に所定の方向からレーザ光を照射し、前記加工対象物の所定の箇所を加工するために、前記加工対象物を載置し移動させるためのプロセスステージにおいて、少なくとも前記レーザ光の照射面の所定の領域を黒系色とし、前記領域の材質をセラミックス系とすることにより上記課題を解決する。また、前記レーザ光の照射面の面粗度を0.3μm以下にすることにより上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明の加工対象物に所定の方向からレーザ光を照射し、前記加工対象物の所定の箇所を加工するために、前記加工対象物を載置し移動させるためのプロセスステージにおいて、
少なくとも前記レーザ光の照射面の所定の領域を黒系色とし、前記領域の材質をセラミックス系とすることを特徴とするプロセスステージ。
【請求項2】
前記レーザ光の照射面の面粗度を0.3μm以下にすることを特徴とする請求項1に記載のプロセスステージ。
【請求項3】
前記請求項1又は前記請求項2に記載のプロセスステージと、
前記加工対象物を加工するためのレーザ光を照射するレーザ発振器と、
予め設定された加工条件に基づいて前記プロセスステージの移動及び前記レーザ発振器からのレーザ光の出射を制御する制御手段とを有することを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスステージ及び該プロセスステージを備えたレーザ加工装置に係り、特に簡易にレーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージ及び該プロセスステージを備えたレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工装置を用いて、ガラス等の透明又は半透明である加工対象物に対するレーザ加工を行う場合、加工対象物をプロセスステージ上に載置し、加工対象物におけるレーザ光の照射地点への移動を行った後、レーザ発振器等から所定のパワーのレーザ光を出射させて加工対象物へ照射することで所定の加工を行っている。
【0003】
ここで、レーザ光の照射により加工対象物の加工を行う際、レーザ光が透明又は半透明である加工対象物を透過して、プロセスステージの表面にも照射されるため、ステージ表面が損傷してしまうことがある。そこで、従来ではステージの損傷を防止するため、ステージ表面にガラス板やテフロン(登録商標)等の耐性のある材料を取り付ける等の技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−309576号公報
【特許文献2】特開2002−144070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来技術において、特許文献1には加工ステージの表面層に耐熱性樹脂を設け、その耐熱性樹脂が白色又は透明であることが示されている。しかしながら、白色にした場合には、耐熱性樹脂からの反射光により加工対象物に影響を与える恐れがある。また、透明にした場合であっても、結局その下にある加工ステージにレーザ光が照射されることになり損傷を避けられない。また、特許文献1は、耐熱性樹脂を表面に形成する必要が生じる。
【0005】
また、特許文献2は、テーブルの上面に、受光板を配置する面として受光板載置面を形成し、ここに受光板を載置固定し、更にテーブルの上面に受光板よりも高い位置にレーザ加工ステージをスペーサ部で支えるといった複雑な構成が必要となる。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、簡易にレーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージ及び該プロセスステージを備えたレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は、透明又は半透明の加工対象物に所定の方向からレーザ光を照射し、前記加工対象物の所定の箇所を加工するために、前記加工対象物を載置し移動させるためのプロセスステージにおいて、少なくとも前記レーザ光の照射面の所定の領域を黒系色とし、前記領域の材質をセラミックス系とすることを特徴とする。これにより、加工対象物を通過したレーザ光がプロセスステージ表面で反射した反射光により加工対象物が損傷してしまうのを防止することができる。したがって、簡易にレーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージを提供することができる。
【0008】
更に、本発明は、前記レーザ光の照射面の面粗度を0.3μm以下にすることが好ましい。これにより、プロセスステージの加工面の表面粗さを小さくし、より滑らかな表面にすることで加工対象物を通過したレーザ光のプロセスステージによる熱の吸収を抑制することができる。
【0009】
また、本発明は、前記請求項1又は前記請求項2に記載のプロセスステージと、前記加工対象物を加工するためのレーザ光を照射するレーザ発振器と、予め設定された加工条件に基づいて前記プロセスステージの移動及び前記レーザ発振器からのレーザ光の出射を制御する制御手段とを有することを特徴とする。これにより、簡易にレーザ光の照射によるプロセスステージの損傷を防止し、耐久性を向上させるためのレーザ加工装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易にレーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明におけるプロセスステージ及び該プロセスステージを備えたレーザ加工装置を好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明におけるプロセスステージの一例を説明するための図である。図1に示すように、プロセスステージ10の上面には、例えばガラス板やガラス板に特殊膜を塗布した液晶用ガラス等の透過性又は半透過性のある加工対象物11が載置される。なお、プロセスステージ10には、加工対象物11を固定するために、複数の吸引孔を設け、プロセスステージ10上に載置された加工対象物11を真空吸着により固定することができる。
【0013】
ここで、本発明におけるプロセスステージ10は、載置した加工対象物11に照射され、加工対象物11を透過したレーザ光が、プロセスステージ10表面で反射して、加工対象物11を加工する等の何らかの影響を与えるのを防止するため、プロセスステージ10の色を黒系色にすることが好ましい。更に、プロセスステージ10は、セラミックス系等の材質を利用することが好ましい。
【0014】
ここで、本発明におけるセラミックス系とは、基本成分を非金属とし、また無機質の粉末等を用いて成形、焼結することで得られる多結晶質の焼結体である。したがって、プロセスステージ10の材質としては、例えばブラックアルミナ等を使用することができる。なお、実測によればセラミックスでも40%程度反射することがあるが、この反射光により加工対象物11の損傷は発生しない。これにより、低コストで簡易にレーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージを提供することができる。
【0015】
更に、本発明におけるプロセスステージ10は、複数の吸引孔の部分を除いた表面の粗さを小さくし、より滑らかな表面にすることにより、加工対象物11を通過したレーザ光によるプロセスステージ10の熱の吸収を抑制することができ、損傷を防止することができる。
【0016】
また、本発明におけるプロセスステージ10の表面(複数の吸引孔を除く表面)の平面度は、高精度なレーザ加工を行うため、平面度0.1mm(レンジ)以下で、好ましくは0.05mm以下(0.00mm以上)の平面度を有する。具体的には、プロセスステージ10のレーザ光の照射面の面粗度Ra(中心線平均粗さ)は、0.3μm以下(0.0μm以上)とすることが好ましい。これにより、プロセスステージ10上にプロセスステージ10の熱の吸収を抑制することができ、加工痕が残ることなく加工対象物11を通過したレーザ光による影響を低減することができる。
【0017】
なお、プロセスステージ10を製造する際には、プロセスステージの表面をラッピング等の処理を施すことで、予め設定された上述した平面度、面粗度を満たすプロセスステージを生成することができる。また、上述した平面度、面粗度は、加工対象物や加工に用いられるレーザ光の強度、プロセスステージ10に対するレーザ光の焦点深度等の各種加工条件により設定することができる。
【0018】
ここで、上述したプロセスステージ10の色や材質、面粗度は、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えばプロセスステージ10のレーザ光の照射面に上述の条件を満たす層をコーティングしてもよい。
【0019】
また、上述したプロセスステージ10の色、材質、面粗度については、プロセスステージ10の表面のうち、加工対象物11が載置される領域、つまり、レーザ光がプロセスステージ10に照射される可能性がある所定の領域にのみ形成されていればよく、プロセスステージ10の表面のうち、レーザ光が照射されない他の表面領域には、上述した色、材質、面粗度の条件を満たしていなくてもよい。
【0020】
このように、プロセスステージにおいて、少なくともレーザ光の照射面上の色、材質、面粗度を設定することで、簡易にレーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージを提供することができる。
【0021】
<本発明におけるプロセスステージの適用例>
本発明におけるプロセスステージは、例えばレーザ光を照射して加工対象物の穴あけや溝加工、アニール処理、溶接等の加工を行うレーザ加工装置に適用することができる。ここで、上述したプロセスステージを適用したレーザ加工装置について図を用いて説明する。図2は、本発明におけるプロセスステージを適用したレーザ加工装置の概略構成の一例を示す図である。図2に示すレーザ加工装置20は、上述したプロセスステージ10と、レーザ発振器21と、反射ミラー22と、結像レンズ23と、プロセスステージ駆動手段24と、制御手段25とを有するよう構成されている。
【0022】
プロセスステージ10は、上述したように加工対象物11を載置し所定の位置に移動させるためのステージであり、例えば複数の吸引孔31により加工対象物11の裏面を真空吸着することによって加工対象物11がプロセスステージ10上に固定されている。
【0023】
レーザ発振器21は、制御手段25からの制御信号により所定のタイミングで所定の強さのレーザ光を出射する。ここで、レーザ発振器21から出射するレーザ光としては、例えば1パルスエネルギが20mJで発振周波数が1KHz、波長が527nmのグリーンレーザ等を用いることができる。なお、レーザ光の種類については特に限定されることはなく、例えば波長が308nmのXeClエキシマレーザ等や、波長が248nmのKrFエキシマレーザ、波長が222nmのKrClエキシマレーザ、あるいはYAGレーザやCOレーザ等を用いることができる。
【0024】
また、反射ミラー22は、レーザ発振器21から出射されたレーザ光を結像レンズ23側に反射させる。結像レンズ23は、加工対象物11に照射される光の強度が所定の強度で加工面に結像されるようにレーザ光を集束するためのレンズである。つまり、結像レンズ23は、入光したレーザ光を集束させ加工対象物11に照射させる。
【0025】
また、プロセスステージ駆動手段24は、制御手段25からの制御信号によりプロセスステージ10をレーザ光の光軸に対して垂直方向(X,Y軸方向)や光軸方向(Z軸方向)、及び光軸に対して所定の傾斜角方向(θ方向)等に移動させることで、加工対象物11を所定の位置に移動する。また、例えばレーザ光の照射中に所定の方向へ所定の速度で移動させることにより、加工対象物の加工面にアニール処理等の加工を行うことができる。
【0026】
また、制御手段25は、予め設定された加工条件に基づいて、レーザ発振器21により所定のレーザ光の周波数やパワー、ショット数、パルス幅、出射タイミングで出射させたり、プロセスステージ駆動手段24によりレーザ光の光軸に対してXYZθ方向等に移動させる等の駆動タイミングの制御等を行うことでレーザ加工装置20全体を制御する。
【0027】
このように、上述したレーザ加工装置20において、上述したプロセスステージ10を適用することにより、レーザ光の照射による加工対象物11やプロセスステージ10の損傷を防止し、プロセスステージ10の耐久性を向上させるためのレーザ加工装置を提供することができる。
【0028】
上述したように本発明によれば、レーザ光の照射によるプロセスステージの損傷を防止し、更に耐久性を向上させるためのレーザ加工装置を提供することができる。また、上述したプロセスステージ及び該プロセスステージを備えたレーザ加工装置を提供することができる。
【0029】
具体的には、プロセスステージを黒系色にすると共に、材質をセラミックス系とすることにより、加工対象物を通過したレーザ光がプロセスステージ表面で反射した反射光により加工対象物が損傷してしまうのを防止することができる。したがって、簡易にレーザ光の照射による損傷を防止し、耐久性を向上させるためのプロセスステージを提供することができる。また、プロセスステージの加工面の表面粗さを小さくし、より滑らかな表面にすることにより、加工対象物を通過したレーザ光のプロセスステージによる熱の吸収を抑制することができる。
【0030】
なお、本発明は、透明、半透明の加工対象物に限定されず、他の加工対象物にも適用することができる。また、例えば加工対象物がプロセスステージ上に載置されていない状態でレーザ光が照射された場合にもプロセスステージの損傷を防止し、耐久性を向上させることができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明におけるプロセスステージの一例を説明するための図である。
【図2】本発明におけるプロセスステージを適用したレーザ加工装置の概略構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 プロセスステージ
11 加工対象物
20 レーザ加工装置
21 レーザ発振器
22 反射ミラー
23 結像レンズ
24 プロセスステージ駆動手段
25 制御手段
31 吸引孔
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦


【公開番号】 特開2008−782(P2008−782A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171851(P2006−171851)