トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 レーザ加工装置およびレーザ加工方法
【発明者】 【氏名】鍵谷 和彦

【要約】 【課題】ワークの加工品質を向上することができるレーザ加工装置を提供する。

【構成】ワークにレーザ光を照射しつつ、当該レーザ光を加工経路に沿って移動させることにより当該ワークを加工するレーザ加工装置であって、加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークにレーザ光を照射しつつ、当該レーザ光を加工経路に沿って移動させることにより当該ワークを加工するレーザ加工装置であって、
前記加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量を制御することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
前記レーザ加工装置は、
レーザ光をワークに照射するための光学系と、
前記照射されるレーザ光を加工経路に沿って移動させる移動手段と、
前記加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域での前記レーザ光による前記ワークへの入熱量を制御する制御手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記端領域での入熱量が前記加工経路の主領域での入熱量よりも小さくなるように入熱量を変化させる際に、前記端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、入熱量を緩やかに変化させることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記端領域での前記レーザ光のスポットの大きさを調整することにより、前記入熱量を制御することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記端領域でのレーザ光のスポット径が前記加工経路の主領域でのスポット径よりも大きくなるようにレーザ光のスポット径を変化させる際に、前記端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、スポット径を緩やかに変化させることを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記レーザ光を透過する複数のレンズと、当該複数のレンズのうち少なくとも一つのレンズを光軸方向に移動させ、当該レーザ光の焦点距離を変更するレンズ駆動手段と、を含み、
前記制御手段は、前記レンズ駆動手段を制御して、前記スポットの大きさを調整することを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記端領域での前記レーザ光の移動速度を調整することにより、前記入熱量を制御することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記端領域でのレーザ光の移動速度が前記加工経路の主領域での移動速度よりも大きくなるようにレーザ光の移動速度を変化させる際に、前記端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、移動速度を緩やかに変化させることを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記レーザ光を反射するミラーと、当該ミラーを回動させることにより前記レーザ光を移動させるミラー駆動手段と、を含み、
前記制御手段は、前記ミラー駆動手段を制御して、前記レーザ光の移動速度を調整することを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
前記ミラーおよび前記ミラー駆動手段と前記光学系とは筐体に収容されて加工ヘッドをなし、
前記移動手段は、前記加工ヘッドを外部から移動させる駆動ロボットをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のレーザ加工装置。
【請求項11】
前記移動手段は、前記光学系を移動させる駆動ロボットを含み、
前記制御手段は、前記駆動ロボットを制御して、前記レーザ光の移動速度を調整することを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工装置。
【請求項12】
前記光学系にレーザ光を供給するレーザ発振手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記レーザ発振手段のレーザ出力を調整することにより、前記入熱量を制御することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記端領域でのレーザ出力が前記加工経路の主領域でのレーザ出力よりも小さくなるようにレーザ出力を変化させる際に、前記端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、レーザ出力を緩やかに変化させることを特徴とする請求項12に記載のレーザ加工装置。
【請求項14】
前記加工経路の主領域の長さが必要な加工長さになるように、前記入熱量が変化する領域の長さに応じて、前記加工経路を補正する補正手段をさらに有し、
前記移動手段は、前記補正された加工経路に沿って前記レーザ光を移動させることを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工装置。
【請求項15】
ワークにレーザ光を照射しつつ、当該レーザ光を加工経路に沿って移動させることにより当該ワークを加工するレーザ加工方法であって、
前記加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量を制御することを特徴とするレーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。本発明は、特に、ワークへの入熱量を制御するレーザ加工装置およびレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の組立工程において、スポット溶接に代わりレーザ溶接が採用されている。レーザ溶接技術としては、ロボットに加工ヘッドが取り付けられ、加工ヘッドが移動されるとともに、ワーク表面に沿ってレーザ光が走査されるリモート溶接技術が知られている(たとえば、特許文献1)。リモート溶接技術によれば、レーザ光がワーク上を自在に移動することができるため、加工の自由度が増加するとともに、加工時間が短縮される。
【0003】
しかしながら、レーザ光が走査されるリモート溶接技術では、レーザ光が斜めにワークに照射されるため、とりわけ、溶接経路の端領域において溶接深さが不安定となり、溶接強度、すなわち、加工品質が劣化するという問題がある。
【0004】
したがって、溶接深さが不安定な領域を見込んで、溶接領域が延長されているのが現状であり、このことは、溶接時の熱量および溶接時間などを増大させるのみならず、溶接されるワークの美観を損なわせてしまっている。
【特許文献1】特開2005−177862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、ワークの加工品質を向上することができるレーザ加工装置およびレーザ加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
本発明のレーザ加工装置は、ワークにレーザ光を照射しつつ、当該レーザ光を加工経路に沿って移動させることにより当該ワークを加工するレーザ加工装置であって、前記加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明のレーザ加工方法は、ワークにレーザ光を照射しつつ、当該レーザ光を加工経路に沿って移動させることにより当該ワークを加工するレーザ加工方法であって、前記加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法によれば、加工経路の端領域でのワークへの入熱量が制御されるため、当該端領域での加工が安定化される。その結果、ワークの加工品質が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法をレーザ溶接に適用した場合を例にとって説明する。また、図中、同様の部材には同一の符号を用いた。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるレーザ加工装置の概略構成を示す図である。本実施の形態のレーザ加工装置は、これまでのスポット溶接と比較して、溶接冶具が直接的にワークと接触することなく、ワークから離れた位置からレーザ光を用いてワークを溶接するものである。
【0012】
図1に示されるとおり、本実施の形態のレーザ加工装置は、加工ヘッド100、ロボット200、レーザ発振器300、および制御装置400を有する。
【0013】
加工ヘッド100は、ワークにレーザ光を照射するとともに、レーザ光を移動させるものである。加工ヘッド100は、光ファイバケーブル110を介してレーザ発振器300に接続され、レーザ発振器300から導入されるレーザ光をワーク表面に照射する。また、加工ヘッド100は、筐体の内部に光学系を有しており、後述する制御装置400により制御されてレーザ光のスポット径を調整するとともに、レーザ光を自在に移動させることができる。加工ヘッド100についての詳細な説明は後述する。
【0014】
ロボット200は、加工ヘッド100を多軸方向に移動させるものである。本実施の形態のロボット200は、多関節型のアームロボットであって、加工ヘッド100は、アーム先端部に取り付けられている。ロボット200は、教示作業によって与えられた動作経路の教示データにしたがって、加工ヘッド100を移動させる。また、ロボット200は、加工ヘッド100を移動させることにより、レーザ光を移動させることができる。言い換えれば、本実施の形態では、加工ヘッド100およびロボット200は、レーザ光を移動させる移動手段として機能する。なお、ロボット200自体は、一般的な多関節型のアームロボットであるため、詳細な説明は省略する。
【0015】
レーザ発振器300は、加工ヘッド100にレーザ光を供給するものである。レーザ発振器300は、レーザ光を発振するレーザ発振部310、レーザ発振部310を制御する発振器制御部320、および発振器制御部320に出力波形信号を入力する信号発生器330を有する。信号発生器330から入力される出力波形にしたがって、レーザ発振部310から出力されるレーザ光の出力は制御される。また、レーザ発振器300は、制御装置400からのオン・オフ指令信号にしたがって、レーザ光を出力する。本実施の形態において、レーザ発振器300は、たとえば、YAGレーザ発振器であって、光ファイバケーブル110を介して加工ヘッド100にレーザ光を供給する。
【0016】
制御装置400は、制御手段として、レーザ光によるワークへの入熱量を制御するものである。制御装置400は、加工ヘッド100を制御する加工ヘッド制御部410、ロボット200を制御するロボット制御部420、および入熱量を制御するための各種処理を実行する集合制御部430を有する。また、制御装置400は、信号発生器330を介して、レーザ発振器300に接続されている。
【0017】
次に、図2を参照して、本実施の形態における加工ヘッド100について詳細に説明する。図2は、本実施の形態のレーザ加工装置における加工ヘッドを説明するための図である。図2に示されるとおり、本実施の形態の加工ヘッド100は、光ファイバケーブル110から入射されるレーザ光を透過する複数のレンズ120、レーザ光を反射する複数のミラー130、および駆動モータ140を有する。
【0018】
複数のレンズ120のうち、一のレンズ120bは、レンズ駆動手段としての第1駆動モータ140aによって制御され、光軸方向に移動する。第1駆動モータ140aは、制御装置400の加工ヘッド制御部410により制御される。このような構成にすると、レンズ120bが移動されることにより、ワークに照射するレーザ光の焦点距離、すなわち、レーザ光のスポット径を調整することができる。
【0019】
複数のミラー130のうち、第1および第2ミラー130b,130cは、ミラー駆動手段としての第2および第3駆動モータ140b,140cによって制御され、それぞれ異なる軸を中心に回動する。第2および第3駆動モータ140b,140cは、制御装置400の加工ヘッド制御部410により制御される。このような構成にすると、第1および第2ミラー130b,130cが回動することにより、レーザ光の射出方向を自在に振り分けられ、レーザ光はワーク表面を自在に移動することができる。また、ミラー130b,130cの回動速度を制御することにより、レーザ光の移動速度を調整することができる。
【0020】
以上のとおり構成される本実施の形態のレーザ加工装置によれば、加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量が制御される。本実施の形態では、端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、端領域でのレーザ光のスポット径が調整されることにより、ワークへの入熱量が制御される。以下、図3〜図6を参照して、本実施の形態におけるレーザ加工方法について詳細に説明する。
【0021】
図3は、本実施の形態のレーザ加工装置におけるレーザ加工処理を示すフローチャートである。図3に示す処理は制御装置400により実行され、制御装置400からの指令に基づいて、加工ヘッド100、ロボット200、およびレーザ発振器300は動作する。上述したとおり、本実施の形態では、端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光のスポット径を調整することにより、レーザ光によるワークへの入熱量を制御する。より具体的には、端領域でのレーザ光のスポット径が加工経路の主領域でのスポット径よりも大きくなるようにレーザ光のスポット径を変化させる際に、レーザ光の照射角度が垂直に近いほど、スポット径が緩やかに変化するようにスポット径が調整され、単位時間当たりのワークへの入熱量が制御される。
【0022】
なお、本実施の形態において、加工ヘッド100は、ロボット200により駆動されてワーク表面を移動しつつ、ミラー130b,130cを駆動させてレーザ光を自在に移動させる。すなわち、本実施の形態では、加工ヘッド100とロボット200とは協調制御される。教示データに基づいて、加工ヘッド100とロボット200とが協調制御される処理自体は、一般的な制御技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0023】
図3に示されるとおり、本実施の形態のレーザ加工処理によれば、まず、加工経路の端領域に照射されるレーザ光の照射角度が取得される(ステップS101)。より具体的には、レーザ加工装置の加工動作が設定されている教示データから、加工経路の始端領域および終端領域に照射されるレーザ光の照射角度が取得される。
【0024】
次に、取得された照射角度に対応する制御時間が算出される(ステップS102)。本実施の形態では、予め求められている照射角度と制御時間との関係式に基づいて、照射角度に対応する制御時間が算出される。より具体的には、図4に示されるとおり、レーザ光の照射角度が大きいほど、大きな制御時間(たとえば、制御時間Tc)が算出される。すなわち、レーザ光の照射角度が垂直に近いほど、レーザ光のスポット径が緩やかに変化するように大きな制御時間が算出される。なお、本実施の形態では、教示データ上の加工始点Sおよび加工終点Eにおける照射角度に基づいて、第1および第2の制御時間T,Tが算出される。
【0025】
次に、算出された制御時間に基づいて、レンズ120bの移動速度が算出される(ステップS103)。上述したとおり、レンズ120bがレーザ光の光軸に沿って移動されることにより、ワーク表面におけるレーザ光のスポット径が調整される。本実施の形態では、レーザ光のスポット径が、始端領域において、第2のスポット径Sから、第2のスポット径Sよりも小さい第1のスポット径Sに第1の制御時間Tで変化し、終端領域において、第1のスポット径Sから第2のスポット径Sに第2の制御時間Tで変化するように、レンズ120bの移動速度が算出される。
【0026】
次に、ステップS102に示す処理で算出された第1の制御時間Tに基づいて、準備点S’が算出される(ステップS104)。本実施の形態では、図5に示されるとおり、加工ヘッド100の移動方向において、教示データ上の加工始点Sよりも手前の未加工領域に準備点S’が設定され、レーザ加工装置は、設定された準備点S’からレーザ加工を開始する。このような準備点S’は、レーザ光のスポットの移動速度と制御時間との積から得られる加工延長領域が始点Sの手前に付与されることにより算出される。このような構成にすると、ワークへの入熱量が制御されて溶接加工が不安定となる領域に対応する加工長さが補正されることにより、必要な溶接領域が得られる。言い換えれば、始点Sから終点Eに対応する教示データ上の溶接領域で、溶接深さ(溶け込み深さ)が安定した溶接状態を得ることができる。なお、本実施の形態では、集合制御部430が、加工延長領域を算出して加工経路を補正する補正手段として機能する。
【0027】
次に、算出された準備点S’に基づいて、レーザ光の照射角度が再計算され(ステップS105)、再計算された照射角度が加工ヘッド100に出力される(ステップS106)。より具体的には、図5に示されるとおり、加工ヘッド100を移動させることなく準備点S’にレーザ光を照射することができるように、教示データにおける始点Sでの照射角度θに基づいて、準備点S’でのレーザ光の照射角度θが再計算される。このような構成にすると、準備点S’から始点Sまでの加工延長領域を、ミラー130の回動動作に起因するレーザ光の移動のみを利用して加工することができるため、ロボット200の動作を変更することなく容易に加工することができる。
【0028】
以上のとおり、ステップS101〜ステップS106に示す処理によれば、端領域でのレーザ光の照射角度に基づいて、スポット径の制御時間が算出される。そして、算出された制御時間に基づいて、レンズの移動速度が算出される。以下の処理では、算出されたレンズの移動速度に基づいて、ワーク表面におけるレーザ光のスポット径が調整されつつ、ワークが溶接加工される。
【0029】
ステップS107以下の処理では、まず、加工ヘッド100が加工開始位置に到達したか否かが判断される(ステップS107)。本実施の形態では、予め記憶されている教示データに基づいて、たとえば、ロボット200の位置を検出することにより、加工ヘッド100が開始位置に到達したか否かが判断される。加工ヘッド100が開始位置に到達していない場合(ステップS107:NO)、加工ヘッド100が開始位置に到達するまで待機する。
【0030】
一方、加工ヘッド100が開始位置に到達した場合(ステップS107:YES)、ステップS103に示す処理で算出されたレンズ120bの移動速度に基づいて駆動指令信号が出力される(ステップS108)。本実施の形態では、制御装置400から出力される駆動指令信号にしたがって第1駆動モータ140aが制御され、レンズ120bの移動速度が調整されることにより、ワークに照射されるレーザ光のスポット径が調整される。その結果、加工経路の始端領域において、ワークに照射されるレーザ光のスポットが準備点S’から始点Sまで第1の制御時間Tで移動しつつ、レーザ光のスポット径が第2のスポット径Sから第1のスポット径Sまで変化する。そして、スポット径が第1のスポット径Sに維持された状態で、始点Sから終点Eに向かって加工経路の主領域をレーザ光のスポットが移動される。
【0031】
次に、加工ヘッド100が加工終了位置に到達したか否かが判断される(ステップS109)。加工ヘッド100が終了位置に到達していない場合(ステップS109:NO)、加工ヘッド100が終了位置に到達するまで、処理が繰り返される。
【0032】
一方、加工ヘッド100が終了位置に到達した場合(ステップS109:YES)、ステップS103に示す処理で算出されたレンズ120bの移動速度に基づいて駆動指令信号が出力され(ステップS110)、処理が終了される。その結果、加工経路の終端領域において、ワークに照射されるレーザ光のスポットが終点Eから処理点E’まで第2の制御時間Tで移動しつつ、レーザ光のスポット径が第1のスポット径Sから第2のスポット径Sまで変化する。
【0033】
以上のとおり、図3に示すフローチャートの処理によれば、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度に基づいて、端領域でのレーザ光のスポット径が調整され、ワークへの入熱量が制御される。より具体的には、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度がワークに対して垂直に近い場合、スポット径が緩やかに変化するようにレンズ移動速度が調整され、ワークへの入熱量を小さくすることができる。一方、端領域でのレーザ光の照射角度がワークに対して水平に近い場合、スポット径が急速に変化するようにレンズ移動速度が調整され、ワークへの入熱量を大きくすることができる。
【0034】
図6は、レーザ光のスポット径を制御することによって、加工経路の端領域でのワークへの入熱量を制御するレーザ加工装置の動作を説明するための図である。上述したとおり、図3に示すフローチャートの処理において制御装置400から出力される指令信号に基づいて、加工ヘッド100、ロボット200、およびレーザ発振器300は動作する。
【0035】
図6に示されるとおり、本実施の形態では、始点Sから終点Eに向かって照射角度が小さくなっており、当該照射角度に基づいて、端領域での入熱量が制御される。より具体的には、準備点S’から始点Sに向かって、スポット径が緩やかに小さくなるように、レンズ120bの移動速度が調整される。一方、終点Eから処理点E’に向かって、スポット径が急速に大きくなるように、レンズ120bの移動速度が調整される。この間、ロボット200の移動速度(ロボット移動速度)およびミラー130の回動速度は所定の値に維持され、レーザ光の移動速度(スポット移動速度)も所定の値に維持される。
【0036】
以上のとおり、本実施の形態のレーザ加工装置によれば、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、レーザ光のスポット径が調整され、当該端領域でのワークへの入熱量が制御される。その結果、レーザ光の照射角度が大きい端領域ではワークへの入熱量が抑制され、レーザ光の照射角度が小さい端領域では、ワークへの入熱量が増大され、端領域での溶接状態が安定化される。また、余分な溶接を実施することなく、滑らかな溶接ビードが得られる。
【0037】
なお、本実施の形態では、レンズ120bを光軸に沿って移動させることにより、レーザ光のスポット径を調整した。しかしながら、加工ヘッド110の位置をワークの法線方向に移動させることにより、レンズ120bを移動させることなく、スポット径を調整することもできる。
【0038】
以上のとおり、説明された本実施の形態は、以下の効果を奏する。
【0039】
本実施の形態のレーザ加工装置は、ワークにレーザ光を照射しつつ、当該レーザ光を加工経路に沿って移動させることにより当該ワークを加工するレーザ加工装置であって、加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量を制御する。したがって、加工経路の端領域でのワークへの入熱量が制御されるため、当該端領域での加工が安定化される。その結果、ワークの加工品質が向上される。また、端領域での穴の発生が抑制され、端領域の美観が確保される。さらに、入熱量の減衰距離が適当に設定されるため、未加工部分を最小限に留めつつ、穴の発生が抑制される。
【0040】
制御装置は、端領域での入熱量が加工経路の主領域での入熱量よりも小さくなるように入熱量を変化させる際に、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、入熱量を緩やかに変化させる。したがって、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、ワークへの入熱量が低減されるため、端領域での加工が安定化される。
【0041】
制御装置は、端領域でのレーザ光のスポット径を調整することにより、入熱量を制御する。したがって、レーザ光の移動速度およびレーザ発振器の出力を変更することなく、ワークへの入熱量を容易に制御することができる。
【0042】
制御装置は、端領域でのレーザ光のスポット径が加工経路の主領域でのスポット径よりも大きくなるようにレーザ光のスポット径を変化させる際に、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、スポット径を緩やかに変化させる。したがって、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、ワークへの入熱量が低減されるため、端領域での加工が安定化される。
【0043】
制御装置は、レンズを移動させる駆動モータを制御して、スポットの大きさを調整する。したがって、ロボットの動作を変更することなく、加工ヘッド内部の光学系を調整することにより、ワークへの入熱量を容易に制御することができる。
【0044】
制御装置は、加工経路の主領域の長さが必要な加工長さになるように、入熱量が変化する領域の長さに応じて、加工経路を補正する。したがって、溶け込み深さが浅くなる領域が補正され、必要な加工長を確保することができる。さらに、レーザ溶接加工において、溶接強度が増大し、加工品質がさらに向上される。
【0045】
本実施の形態のレーザ加工方法は、ワークにレーザ光を照射しつつ、当該レーザ光を加工経路に沿って移動させることにより当該ワークを加工するレーザ加工方法であって、加工経路の少なくとも一方の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、当該端領域でのレーザ光によるワークへの入熱量を制御する。したがって、加工経路の端領域でのワークへの入熱量が制御されるため、当該端領域での加工が安定化される。その結果、ワークの加工品質が向上される。また、端領域での穴の発生が抑制され、端領域の美観が確保される。
【0046】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、レーザ光のスポット径を調整することにより、ワークへの入熱量を制御した。本実施の形態では、レーザ光の移動速度を調整することにより、ワークへの入熱量を制御する。
【0047】
図7は、本実施の形態のレーザ加工装置におけるレーザ加工処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は制御装置400により実行され、制御装置400からの指令に基づいて、加工ヘッド100、ロボット200、およびレーザ発振器300は動作する。上述したとおり、本実施の形態では、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、レーザ光の移動速度を調整することにより、レーザ光によるワークへの入熱量を制御する。より具体的には、端領域でのレーザ光の移動速度が加工経路の主領域での移動速度よりも大きくなるようにレーザ光の移動速度を変化させる際に、レーザ光の照射角度が垂直に近いほど、当該端領域でのレーザ光の移動速度が緩やかに変化するようにレーザ光の移動速度が調整されることにより、単位時間当たりのワークへの入熱量が制御される。なお、本実施の形態におけるレーザ加工装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
図7に示されるとおり、本実施の形態のレーザ加工処理によれば、まず、加工経路の端領域に照射されるレーザ光の照射角度が取得され(ステップS201)、取得された照射角度に対応する制御時間が算出される(ステップS202)。本実施の形態では、予め求められている照射角度と制御時間との関係式に基づいて、照射角度に対応する制御時間が算出される。より具体的には、図8に示されるとおり、レーザ光の照射角度が大きいほど、大きな制御時間(たとえば、制御時間Tc)が算出される。すなわち、レーザ光の照射角度が垂直に近いほど、レーザ光の移動速度が緩やかに変化するように大きな制御時間が算出される。なお、本実施の形態では、教示データ上の加工始点Sおよび加工終点Eにおける照射角度に基づいて、第1および第2の制御時間T,Tが算出される。
【0049】
次に、算出された制御時間に基づいて、第1および第2ミラー130b,130cの回動速度が算出される(ステップS203)。上述したとおり、第1および第2ミラー130b,130cの少なくとも一方の回動速度が制御されることにより、レーザ光のスポットの移動速度が調整される。本実施の形態では、レーザ光のスポットの移動速度が、始端領域において、第2の速度Vから、第2の速度Vよりも小さい第1の速度Vに第1の制御時間Tで変化し、終端領域において、第1の速度Vから第2の速度Vに第2の制御時間Tで変化するように、ミラー130の回動速度が算出される。
【0050】
次に、ステップS202に示す処理で算出された第1の制御時間Tに基づいて、準備点S’が算出される(ステップS204)。そして、算出された準備点S’に基づいて、レーザ光の照射角度が再計算され(ステップS205)、再計算された照射角度が加工ヘッド100に出力される(ステップS206)。
【0051】
以上のとおり、ステップS201〜ステップS206に示す処理によれば、端領域でのレーザ光の照射角度に基づいて、レーザ光の移動速度の制御時間が算出される。そして、算出された制御時間に基づいて、ミラーの回動速度が算出される。以下の処理では、算出されたミラーの回動速度に基づいて、ワーク表面におけるレーザ光の移動速度が調整されつつ、ワークが溶接加工される。
【0052】
ステップS207以下の処理では、まず、加工ヘッド100が加工開始位置に到達したか否かが判断される(ステップS207)。加工ヘッド100が開始位置に到達していない場合(ステップS207:NO)、加工ヘッド100が開始位置に到達するまで待機する。
【0053】
一方、加工ヘッド100が開始位置に到達した場合(ステップS207:YES)、ステップS203に示す処理で算出されたミラー130の回動速度に基づいて駆動指令信号が出力される(ステップS208)。本実施の形態では、制御装置400から出力される駆動指令信号にしたがって駆動モータ140が制御されることにより、ワークに照射されるレーザ光のスポットの移動速度が調整される。その結果、加工経路の始端領域において、ワークに照射されるレーザ光のスポットが準備点S’から始点Sまで第1の制御時間Tで移動しつつ、レーザ光のスポットの移動速度が第2の速度Vから第1の速度Vまで変化する。そして、移動速度が第1の速度Vに維持された状態で、始点Sから終点Eに向かって加工経路の主領域をレーザ光のスポットが移動される。
【0054】
次に、加工ヘッド100が加工終了位置に到達したか否かが判断される(ステップS209)。加工ヘッド100が終了位置に到達していない場合(ステップS209:NO)、加工ヘッド100が終了位置に到達するまで、処理が繰り返される。
【0055】
一方、加工ヘッド100が終了位置に到達した場合(ステップS209:YES)、ステップS203に示す処理で算出されたミラー130の回動速度に基づいて駆動指令信号が出力され(ステップS210)、処理が終了される。その結果、加工経路の終端領域において、ワークに照射されるレーザ光のスポットが終点Eから処理点E’まで第2の制御時間Tで移動しつつ、レーザ光のスポットの移動速度が、第1の速度Vから第2の速度Vまで変化する。
【0056】
以上のとおり、図7に示すフローチャートの処理によれば、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度に基づいて、端領域でのレーザ光の移動速度が調整され、ワークへの入熱量が制御される。より具体的には、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度がワークに対して垂直に近い場合、スポットの移動速度が緩やかに変化するように駆動モータが制御され、ワークへの入熱量を小さくすることができる。一方、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度がワークに対して水平に近い場合、スポットの移動速度が急速に変化するように駆動モータが制御され、ワークへの入熱量を大きくすることができる。
【0057】
図9は、レーザ光の移動速度を制御することによって、溶接端領域でのワークへの入熱量を制御するレーザ加工装置の動作を説明するための図である。上述したとおり、図7に示すフローチャートの処理において制御装置400から出力される指令信号に基づいて、加工ヘッド100、ロボット200、およびレーザ発振器300は動作する。
【0058】
図9に示されるとおり、本実施の形態では、始点Sから終点Eに向かって照射角度が小さくなっており、当該照射角度に基づいて、端領域での入熱量が制御される。より具体的には、準備点S’から始点Sに向かって、スポットの移動速度、すなわち、溶接速度がゆっくりと小さくなるように、ミラー130の回動速度が調整される。一方、終点Eから処理点E’に向かって、スポットの移動速度が比較的急速に大きくなるように、ミラー130の回動速度が調整される。この間、レンズ120bの移動速度は所定の値に維持され、レーザ光のスポット径も所定の値に維持される。
【0059】
以上のとおり、本実施の形態のレーザ加工装置によれば、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、レーザ光のスポットの移動速度が調整され、端領域でのワークへの入熱量が制御される。その結果、レーザ光の照射角度が大きい端領域ではワークへの入熱量が抑制され、レーザ光の照射角度が小さい端領域ではワークへの入熱量が増大され、加工経路の端領域での溶接状態が安定化される。また、余分な溶接を実施することなく、滑らかな溶接ビードが得られる。
【0060】
なお、本実施の形態では、ミラー130の回動速度を制御することにより、レーザ光の移動速度を調整した。しかしながら、図10に示されるとおり、ロボット200の移動速度を制御して加工ヘッド110の移動速度を調整することにより、ミラーの回動速度を制御することなく、レーザ光の移動速度を調整することもできる。この場合、レーザ光の移動速度の制御時間に基づいて、ミラー130の回動速度に代わって、ロボット200の移動速度が算出されることを除いては、図7に示すフローチャートと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0061】
以上のとおり、説明された本実施の形態は、第1の実施の形態における効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0062】
制御装置は、端領域でのレーザ光の移動速度を調整することにより、入熱量を制御する。したがって、レーザ光のスポット径およびレーザ発振器の出力を制御することなく、入熱量を容易に制御することができる。
【0063】
制御装置は、端領域でのレーザ光の移動速度が加工経路の主領域での移動速度よりも大きくなるようにレーザ光の移動速度を変化させる際に、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、移動速度を緩やかに変化させる。したがって、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、ワークへの入熱量が低減されるため、端領域での加工が安定化される。
【0064】
制御装置は、ミラーを回動させる駆動モータを制御して、レーザ光の移動速度を調整する。したがって、ロボットの動作を変更することなく、加工経路の端領域での加工ヘッド内部のミラーの動作を調整することにより、ワークへの入熱量を容易に制御することができる。
【0065】
制御装置は、駆動ロボットを制御して、レーザ光の移動速度を調整する。したがって、加工ヘッド内部のミラーの動作を変更することなく、ロボットの移動速度を調整することにより、ワークへの入熱量を容易に制御することができる。また、加工経路の端領域でのロボットの移動速度の増加量に応じて、加工時間が短縮される。
【0066】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、レーザ光の出力(パワー)を調整することにより、ワークへの入熱量を制御する。
【0067】
図11は、本実施の形態のレーザ加工装置におけるレーザ加工処理を示すフローチャートである。図11に示す処理は制御装置400により実行され、制御装置400からの指令に基づいて、加工ヘッド100、ロボット200、およびレーザ発振器300は動作する。上述したとおり、本実施の形態では、端領域でのレーザ光の照射角度に応じて、端領域でのレーザ光の出力を調整することにより、レーザ光によるワークへの入熱量を制御する。より具体的には、端領域でのレーザ出力が加工経路の主領域でのレーザ出力よりも小さくなるようにレーザ出力を変化させる際に、レーザ光の照射角度が垂直に近いほど、当該端領域でのレーザ光の出力が緩やかに変化するようにレーザ光の出力が調整されることにより、単位時間当たりのワークへの入熱量が制御される。なお、本実施の形態におけるレーザ加工装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0068】
図11に示されるとおり、本実施の形態の加工処理によれば、まず、加工経路の端領域に照射されるレーザ光の照射角度が取得され(ステップS301)、取得された照射角度に対応する制御時間が算出される(ステップS302)。本実施の形態では、予め求められている照射角度と制御時間との関係式に基づいて、照射角度に対応する制御時間が算出される。より具体的には、図12に示されるとおり、レーザ光の照射角度が大きいほど、大きな制御時間(たとえば、制御時間Tc)が算出される。すなわち、レーザ光の照射角度が垂直に近いほど、レーザ光の出力が緩やかに変化するように大きな制御時間が算出される。なお、本実施の形態では、教示データ上の加工始点Sおよび加工終点Eにおける照射角度に基づいて、第1および第2の制御時間T,Tが算出される。
【0069】
次に、算出された制御時間に基づいて、レーザ光の出力波形が算出される(ステップS303)。本実施の形態では、レーザ光の出力が、加工経路の始端領域において、第2の出力Pから、第2の出力Pよりも大きい第1の出力Pまで第1の制御時間Tで変化し、終端領域において、第1の出力Pから第2の出力Pに第2の制御時間Tで変化するように、レーザ発振器300の出力波形が算出される。なお、本実施の形態では、信号発生器330を介してレーザ発振器300に出力波形が入力される。
【0070】
次に、ステップS302に示す処理で算出された第1の制御時間Tに基づいて、準備点S’が算出される(ステップS304)。そして、算出された準備点S’に基づいて、レーザ光の照射角度が再計算され(ステップS305)、再計算された照射角度が加工ヘッド100に出力される(ステップS306)。
【0071】
以上のとおり、ステップS301〜ステップS306に示す処理によれば、端領域でのレーザ光の照射角度に基づいて、レーザ光の出力の制御時間が算出される。そして、算出された制御時間に基づいて、レーザ光の出力波形が算出される。以下の処理では、算出されたレーザ光の出力波形に基づいて、ワーク表面におけるレーザ光の出力が調整されつつ溶接加工が実行される。
【0072】
ステップS307以下の処理では、まず、加工ヘッド100が加工開始位置に到達したか否かが判断される(ステップS307)。加工ヘッド100が開始位置に到達していない場合(ステップS307:NO)、加工ヘッド100が開始位置に到達するまで待機する。
【0073】
一方、加工ヘッド100が開始位置に到達した場合(ステップS307:YES)、ステップS303に示す処理で算出されたレーザ光の出力波形に基づいて指令信号が出力される(ステップS308)。本実施の形態では、出力される指令信号にしたがって、レーザ発振器300の出力が制御され、ワークに照射されるレーザ光の出力が調整される。その結果、加工経路の始端領域において、ワークに照射されるレーザ光のスポットが準備点S’から始点Sまで第1の制御時間Tで移動しつつ、レーザ光の出力が、第2の出力Pから第1の出力Pまで変化する。そして、レーザ出力が第1の出力Pに維持された状態で、始点Sから終点Eに向かって加工経路の主領域をレーザ光のスポットが移動される。
【0074】
次に、加工ヘッド100が加工終了位置に到達したか否かが判断される(ステップS309)。加工ヘッド100が終了位置に到達していない場合(ステップS309:NO)、加工ヘッド100が終了位置に到達するまで、処理が繰り返される。
【0075】
一方、加工ヘッド100が終了位置に到達した場合(ステップS309:YES)、ステップS303に示す処理で算出されたレーザ光の出力波形に基づいて指令信号が出力され(ステップS310)、処理が終了される。その結果、加工経路の終端領域において、ワークに照射されるレーザ光のスポットが終点Eから処理点E’まで第2の制御時間Tで移動しつつ、レーザ光の出力が第1の出力Pから第2の出力Pまで変化する。
【0076】
以上のとおり、図11に示すフローチャートの処理によれば、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度に基づいて、端領域でのレーザ光の出力が調整され、ワークへの入熱量が制御される。より具体的には、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度がワークに対して垂直に近い場合、レーザ光の出力が緩やかに変化するようにレーザ発振器300が制御され、ワークへの入熱量を小さくすることができる。一方、加工経路の端領域でのレーザ光の照射角度がワークに対して水平に近い場合、レーザ光の出力が急速に変化するようにレーザ発振器300が制御され、ワークへの入熱量を大きくすることができる。
【0077】
図13は、レーザ発振器のレーザ出力を調整することによって、溶接経路の端領域でのワークへの入熱量を制御するレーザ加工装置の動作を説明するための図である。上述したとおり、図10に示すフローチャートの処理において制御装置400から出力される指令信号に基づいて、加工ヘッド100、ロボット200、およびレーザ発振器300は動作する。
【0078】
図13に示されるとおり、本実施の形態では、始点Sから終点Eに向かって照射角度が小さくなっており、当該照射角度に基づいて、端領域での入熱量が制御される。より具体的には、準備点S’から始点Sに向かって、レーザ光の出力が緩やかに大きくなるように、レーザ発振器300のレーザ出力が調整される。一方、終点Eから処理点E’に向かって、レーザ光の出力が急速に小さくなるように、レーザ発振器のレーザ出力が調整される。この間、ロボット200の移動速度、レンズ120bの移動速度、およびミラー130の回動速度は、所定の値に維持され、レーザ光の移動速度およびスポット径も所定の値に維持される。
【0079】
以上のとおり、本実施の形態のレーザ加工装置によれば、加工経路の端領域の角度に応じて、レーザ光の出力が調整され、加工経路の端領域でのワークへの入熱量が制御される。その結果、レーザ光の照射角度が大きい端領域ではワークへの入熱量が抑制され、レーザ光の照射角度が小さい端領域ではワークへの入熱量が増大され、加工経路の端領域での溶接状態が安定化される。また、余分な溶接を実施することなく、滑らかな溶接ビードが得られる。
【0080】
以上のとおり、説明された本実施の形態は、第1および第2の実施の形態における効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0081】
制御装置は、レーザ発振器のレーザ出力を調整することにより、入熱量を制御する。したがって、ロボットの動作および加工ヘッド内部の光学系の動作を変更することなく、ワークへの入熱量を容易に制御することができる。
【0082】
制御装置は、端領域でのレーザ出力が加工経路の主領域でのレーザ出力よりも小さくなるようにレーザ出力を変化させる際に、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、レーザ出力を緩やかに変化させる。したがって、端領域でのレーザ光の照射角度が垂直に近いほど、ワークへの入熱量が低減されるため、端領域での加工が安定化される。
【0083】
以上のとおり、第1〜第3の実施の形態において、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法を説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、省略することができることはいうまでもない。
【0084】
たとえば、本実施の形態では、ロボットと加工ヘッドとが協調制御され、加工ヘッドが移動されるとともに、加工ヘッド内部のミラーが駆動されてレーザ光が移動された。しかしながら、加工ヘッドが停止した状態でミラーが駆動されてレーザ光が移動されることもできる。
【0085】
また、本実施の形態では、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法をレーザ溶接加工に適用した。しかしながら、本発明のレーザ加工装置およびレーザ加工方法を、レーザ切断加工およびレーザ穴開け加工などに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるレーザ加工装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すレーザ加工装置における加工ヘッドを説明するための図である。
【図3】図1に示すレーザ加工装置におけるレーザ加工処理を示すフローチャートである。
【図4】図3に示すフローチャートにおける制御時間算出処理を説明するための図である。
【図5】図3に示すフローチャートにおける準備点算出処理を説明するための図である。
【図6】図1に示すレーザ加工装置の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるレーザ加工処理を示すフローチャートである。
【図8】図7に示すフローチャートにおける制御時間算出処理を説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるレーザ加工装置の動作を説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるレーザ加工処理を示すフローチャートである。
【図12】図11に示すフローチャートにおける制御時間算出処理を説明するための図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態におけるレーザ加工装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0087】
100 加工ヘッド、
200 ロボット、
300 レーザ発振器、
400 制御装置。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄

【識別番号】100110995
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰男

【識別番号】100114649
【弁理士】
【氏名又は名称】宇谷 勝幸


【公開番号】 特開2008−779(P2008−779A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171525(P2006−171525)