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【発明の名称】 レーザ照射装置、レーザ照射方法、及びパタン描画方法
【発明者】 【氏名】山口 友之

【要約】 【課題】高い精度で加工を行うことができるレーザ照射装置を提供する。

【構成】レーザビームを出射するレーザ光源と、レーザ光源から出射したレーザビームを複数のレーザビームに分岐させる分岐装置と、分岐装置で分岐された複数のレーザビームが入射する位置に配置され、分岐装置で分岐された複数のレーザビームの各々を、複数のレーザビームに分岐させる回折光学素子とを有するレーザ照射装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射したレーザビームを複数のレーザビームに分岐させる分岐装置と、
前記分岐装置で分岐された複数のレーザビームが入射する位置に配置され、前記分岐装置で分岐された複数のレーザビームの各々を、複数のレーザビームに分岐させる回折光学素子と
を有するレーザ照射装置。
【請求項2】
前記分岐装置は、分岐された複数のレーザビームの進行方向が相互に平行になり、それらのビーム断面同士が接するように、前記レーザ光源から出射したレーザビームを複数のレーザビームに分岐させる請求項1に記載のレーザ照射装置。
【請求項3】
更に、前記分岐装置と前記回折光学素子との間のレーザビームの経路上に配置され、レーザビームの断面を整形する第1のマスクと、
前記第1のマスクの配置された位置における整形されたビーム断面を、前記回折光学素子上に結像させるズームレンズ系と
を有する請求項1または2に記載のレーザ照射装置。
【請求項4】
更に、前記分岐装置と前記第1のマスクとの間のレーザビームの光路内に配置され、ある期間レーザビームが前記第1のマスクに入射しないようにするシャッタ機構を有する請求項3に記載のレーザ照射装置。
【請求項5】
更に、照射対象物を保持するステージと、
前記回折光学素子で分岐されたレーザビームの経路上に配置され、レーザビームの断面を整形する第2のマスクと、
前記第2のマスクの配置された位置における整形されたビーム断面を、前記ステージに保持された照射対象物の表面上に転写する転写光学系と
を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ照射装置。
【請求項6】
前記分岐装置が、入射するレーザビームを第1のレーザビームと第2のレーザビームとに分岐させ、前記第1のレーザビームが前記回折光学素子により回折されて、前記ステージに保持された照射対象物上に相互に合同な複数の第1の回折像が形成され、前記第2のレーザビームが前記回折光学素子により回折されて、前記ステージに保持された照射対象物上に相互に合同な複数の第2の回折像が形成され、該第1の回折像と第2の回折像とが1対1に対応し、該第1の回折像と、それに対応する第2の回折像とが相互に接している請求項5に記載のレーザ照射装置。
【請求項7】
前記ステージは、照射対象物を保持したまま、照射対象物を等速で移動させることができ、
更に、前記シャッタ機構が、ある一定時間おきにレーザビームを前記第1のマスクに入射させるようにすることができる制御装置と
を有する請求項5または6に記載のレーザ照射装置。
【請求項8】
(a)1基のレーザ発振器から出射された原レーザビームを、第1のレーザビームと第2のレーザビームとに分岐させる工程と、
(b)前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームとを回折光学素子に入射させ、それぞれ複数のレーザビームに分岐させて、照射対象物に入射させる工程と
を有するレーザ照射方法。
【請求項9】
前記工程(b)において、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームとの進行方向が相互に平行になり、それらのビーム断面同士が接するように、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームとを前記回折光学素子に入射させる請求項8に記載のレーザ照射方法。
【請求項10】
更に、前記工程(b)が、(c)前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームの断面を整形する工程を含み、
前記工程(c)において整形されたビーム断面を、前記回折光学素子上に結像させる請求項8または9に記載のレーザ照射方法。
【請求項11】
更に、前記工程(b)が、(d)前記回折光学素子で分岐されたレーザビームの断面を整形する工程を含み、
前記工程(d)において整形されたビーム断面を、前記照射対象物上に転写させる請求項8〜10のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項12】
1基のレーザ発振器から出射された原レーザビームを、第1のレーザビームと第2のレーザビームとに分岐する工程と、
回折光学素子を介して前記第1及び第2のレーザビームを加工対象物に入射させるとき、加工対象物の表面において、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームの入射領域が、第1の方向に相互に接して並ぶように光軸調整を行う工程と、
前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームの入射位置が、前記第1の方向と交差する第2の方向に、始点から終点まで移動するように、前記加工対象物を移動させながら、前記第1のレーザビームは始点から終点まで連続的に入射させ、前記第2のレーザビームは断続的に入射させて、線状の軌跡から枝部が突出したパタンを描画する工程と
を有するパタン描画方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ照射装置、殊に複数本のレーザビームを照射対象物に照射するレーザ照射装置に関する。また、殊に複数本のレーザビームを照射対象物に照射するレーザ照射方法に関する。更に、レーザビームを用いて、パタンを描画する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下地基板の表面に密着した被転写層にレーザビームを入射させ、ビームの入射した位置の被転写層を下地基板に接着させる(転写する)技術が知られている。被転写層の一部を転写した後、転写していない部分の被転写層を剥離することにより、下地基板上に、被転写層からなる凸部を残すことができる。
【0003】
図4に、被転写層が転写されて形成された凸状パタンの一例を示す。Y軸に平行な複数の直線状パタン100Yが、ピッチPxでX軸方向に並び、X軸方向に平行な直線状パタン100Xが、ピッチPyでY軸方向に並んでいる。相互に交差する直線状パタン100X及び100Yにより、格子パタン100が構成される。本図に示す格子状パタン100は、たとえば平面型画像表示装置の画素を画定する。なお、後の説明のために、隣り合う直線状パタン100Y間に位置する直線状パタン100Xを枝部101と定義する。
【0004】
レーザビームを照射して、図4に示したパタンを描画するパタン描画方法が種々提案されている。ここで、Y軸に平行な直線状パタン100Yを描画し、その後X軸に平行な直線状パタン100Xを描画すると、両者の交差箇所において、既に転写されたパタン上に再度レーザビームが照射される。この二度目の照射により、転写されているパタンがダメージを受けてしまう。
【0005】
この問題を回避しつつ、図4に示したパタンを描画することのできるレーザ照射装置、及びそのレーザ照射装置に用いられるレーザ光源の構成が開示されている。(たとえば、特許文献1参照。)特許文献1に記載のレーザ照射装置には、「レーザビームを出射する第1のレーザ発振器及び第2のレーザ発振器と、前記第1のレーザ発振器から出射したレーザビームと、前記第2のレーザ発振器から出射したレーザビームとの進行方向が相互に平行になり、両者のビーム断面同士が接するように2本のレーザビームの光路を変化させて出射する光路合成器とを含む」レーザ光源が用いられる。
【0006】
図5は、回折光学素子(Diffractive Optical Element;DOE)を含んで構成されるレーザ照射装置の概略図である。
【0007】
図示のレーザ照射装置は、2基のレーザ発振器51、52、断面整形結像光学系53、及びDOE54を含んで構成される。レーザ発振器51及び52は、用いられるレーザ媒質が等しく、相互に等しい波長のレーザビーム、たとえばNd:YLFレーザの2倍高調波を出射することができる。断面整形結像光学系53は、たとえばレーザビームを透過させる貫通孔を備えるマスクと、貫通孔の形状を結像させることのできる結像光学系とを含んで構成される。DOE54は、入射したレーザビームを複数本、たとえば100本のレーザビームに分岐させる。断面整形結像光学系53とDOE54とは、断面整形結像光学系53に含まれる貫通孔の形状が、DOE54上に結像されるような位置関係に配置される。
【0008】
レーザ発振器51及び52から、それぞれパルスレーザビーム10a及び10b(Nd:YLFレーザの2倍高調波)が、同じパルス幅で出射される。パルスレーザビーム10a及び10bは、断面整形結像光学系53を経て、DOE54に入射する。本図には、透過した貫通孔の形状を結像させてDOE54に入射するレーザビーム10a、10bのビーム断面53a、53bを示した。2つのパルスレーザビーム10a、10bの断面は相互に接している。なお、ビーム断面53a、53bの図は、ビームの進行方向に沿って見た図である。
【0009】
パルスレーザビーム10a、10bは、DOE54で複数のビームに分岐されて、ビーム入射面55に入射する。本図には、ビーム入射面55に入射するレーザビーム10a、10bのビーム入射領域54a、54bを、ビームの進行方向に沿って見た図として示した。
【0010】
たとえばビーム入射領域54a、54bは、DOE54に近い入射位置においては、相互に接している。しかしビームの入射位置がDOE54から遠くなるにしたがって、両者は次第に離れていく場合がある。すなわちビームの入射位置によって、両者の相対的位置関係にずれが生じることがある。
【0011】
この現象は、レーザ発振器51及び52の個体差による発振波長のばらつきに起因する。出射するレーザビーム10a及び10bが、ともにNd:YLFレーザの2倍高調波であるといっても、両者の波長は僅かに異なることがある。また、DOE54の回折率は、入射ビームの波長に強く依存する。このためDOE54によるレーザビーム10aと10bとの分岐ピッチに差異が生じ、その結果、ビーム入射領域54a及び54bの相対的位置関係が、ビームの入射位置によって相違することがある。
【0012】
【特許文献1】国際公開公報2005−084873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高い精度で加工を行うことができるレーザ照射装置及びレーザ照射方法を提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、高い精度で描画を行うことができるパタン描画方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一観点によれば、レーザビームを出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射したレーザビームを複数のレーザビームに分岐させる分岐装置と、前記分岐装置で分岐された複数のレーザビームが入射する位置に配置され、前記分岐装置で分岐された複数のレーザビームの各々を、複数のレーザビームに分岐させる回折光学素子とを有するレーザ照射装置が提供される。
【0016】
また、本発明の他の観点によれば、(a)1基のレーザ発振器から出射された原レーザビームを、第1のレーザビームと第2のレーザビームとに分岐させる工程と、(b)前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームとを回折光学素子に入射させ、それぞれ複数のレーザビームに分岐させて、照射対象物に入射させる工程とを有するレーザ照射方法が提供される。
【0017】
上述のレーザ照射装置またはレーザ照射方法を用いると、回折光学素子で分岐されたレーザビームは、入射領域の相対的位置関係を入射位置によらず一定に保ったまま、照射対象物に入射するので、高い精度で加工を行うことができる。
【0018】
更に、本発明の他の観点によれば、1基のレーザ発振器から出射された原レーザビームを、第1のレーザビームと第2のレーザビームとに分岐する工程と、回折光学素子を介して前記第1及び第2のレーザビームを加工対象物に入射させるとき、加工対象物の表面において、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームの入射領域が、第1の方向に相互に接して並ぶように光軸調整を行う工程と、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームの入射位置が、前記第1の方向と交差する第2の方向に、始点から終点まで移動するように、前記加工対象物を移動させながら、前記第1のレーザビームは始点から終点まで連続的に入射させ、前記第2のレーザビームは断続的に入射させて、線状の軌跡から枝部が突出したパタンを描画する工程とを有するパタン描画方法が提供される。
【0019】
このパタン描画方法によれば、高い精度で描画を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高い精度で加工を行うことができるレーザ照射装置及びレーザ照射方法を提供することができる。
【0021】
また、高い精度で描画を行うことができるパタン描画方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1(A)及び(B)を参照して、第1の実施例によるレーザ照射装置について説明する。
【0023】
図1(A)は、第1の実施例によるレーザ照射装置の概略図である。1基のレーザ発振器59がレーザビームを出射し、出射したレーザビームは、ハーフミラー62に入射する。
【0024】
ハーフミラー62は、入射したビームを2本のレーザビーム60a、60bに分岐する。ハーフミラー62を透過したレーザビーム60aは、シャッタ機構64aに入射し、ハーフミラー62で反射されたレーザビーム60bは、全反射ミラー63a、63b、63cにより反射されて、シャッタ機構64bに入射する。
レーザビーム60a、60bの各光路上には、ビームエキスパンダ61が配置される。ビームエキスパンダ61は、入射するレーザビームのビーム径を拡大し、平行光線束として出射する。
【0025】
ここで、全反射ミラー63a、63b、63cのいずれか1つ、たとえば全反射ミラー63aは、入射するレーザビーム60bの一部を直進させ、残りの一部を反射するように配置される。したがってシャッタ機構64bに入射するレーザビーム60bの断面径は、シャッタ機構64aに入射するレーザビーム60aの断面径よりも小さくなる。なお、直進したレーザビーム60bの一部は、ダンパに吸収される。また、全反射ミラー63a、63b、63cは、レーザビーム60a及び60bの断面が相互に接して、平行にシャッタ機構64a、64bに入射するように配置される。
【0026】
シャッタ機構64a、64bは、たとえばレーザビームを直線偏光にする偏光板、ポッケルス効果を呈する電気光学変調素子(Electro-Optic Modulator, EOM)、及び入射するレーザビームのうち、P成分を透過し、S成分を反射するポーラライザを含んで構成される。
【0027】
偏光板で直線偏光とされたレーザビームは、EOMに入射する。EOMは、例えばLiTaO 等の一軸性の異方性結晶から製作され、電界を加えると屈折率が変化する電気光学効果を利用して、偏光の位相を高速で変化させる事ができる。EOMを経たレーザビームは、ポーラライザに入射する。
【0028】
ポーラライザに入射したレーザビームのP成分は、そのままこれを透過、直進する。一方、S成分は反射され、ビームダンパに吸収される。EOMでレーザビームの偏光方向を制御することにより、ポーラライザで反射する状態(遮光状態)と、ポーラライザを透過する状態(透光状態)が切り替えられる。その結果、シャッタ機構64a、64bは、それぞれレーザビーム60a、60bの透過/遮蔽を選択的に行うことができる。
【0029】
シャッタ機構64a、64bを透過したレーザビーム60a、60bは、マスク65でビーム断面を整形されて、ズームレンズ系66に入射する。マスク65については、後に詳述する。
【0030】
ズームレンズ系66は、マスク65により整形されたビーム断面をDOE54上に結像させる。DOE54は、入射したレーザビームを複数本、たとえば100本のレーザビームに分岐させる。ビームレンズ系66とDOE54とは、マスク65で整形されたビーム断面が、DOE54上に結像されるような位置関係に配置される。
【0031】
本図には、マスク65で整形されたビーム断面の形状を結像させてDOE54に入射するレーザビーム60a、60bのビーム断面66a、66bを示した。2つのパルスレーザビーム60a、60bの断面は相互に接している。なお、ビーム断面66a、66bの図は、ビームの進行方向に沿って見た図である。
【0032】
パルスレーザビーム60a、60bは、DOE54で複数のビームに分岐されて、分岐されたビームごとに、XYステージ69上に載置されている照射対象物68に入射する。照射対象物68上には、DOE54上に結像されたマスク65による整形ビーム断面が、ビーム断面ごとに結像される。本図には、照射対象物68に入射するレーザビーム60a、60bのビーム入射領域67a、67bを、ビームの進行方向に沿って見た図として示した。
【0033】
照射対象物68上のビーム入射領域67a、67bの配置は、DOE54により決定される。たとえば複数(たとえば100個)のビーム入射領域67a、67bの組が1本の直線に沿って配列される。この配列方向をX軸方向、レーザビームの伝搬する方向をZ軸方向として、右手系であるXYZ直交座標系を画定する。なお、上述のXYステージ69は、照射対象物68をX軸方向及びY方向に移動させることができる。
【0034】
制御装置70が、XYステージ69とシャッタ機構64a、64bとの間に接続されている。制御装置70は、XYステージ69の動作と、シャッタ機構64a、64bによるレーザビーム60a、60bの透過/遮蔽とを同期させることができる。
【0035】
図1(B)に、マスク65の概略的な平面図を示す。マスク65は、たとえばレーザビームを遮光する板状部材に、矩形状の貫通孔65aを備え、入射したレーザビームのビーム断面を整形する。
【0036】
本図には、入射するレーザビーム60a、60bを点線で示した。レーザビーム60a、60bは、それぞれ矩形状の貫通孔65aにより、矩形状に切り出される。前述のように、レーザビーム60aの断面径は、レーザビーム60bのそれよりも大きいため、切り出されるレーザビームの矩形状断面についても、その長さについては、レーザビーム60aの方が、レーザビーム60bよりも長い。
【0037】
図1(A)を参照して説明したように、第1の実施例によるレーザ照射装置は、1基のレーザ発振器から出射したレーザビームが分岐した2本のレーザビームの組を、DOEで更に多数に分岐し、照射対象物に入射させる。DOEで分岐される2本のレーザビームの波長は同一であるため、両者の照射対象物上のビーム入射領域の相対的位置関係は、ビーム入射位置によらず、常に一定である。このため、高い加工精度で加工を行うことができる。
図2に、レーザビームを照射して描画するパタンの一例を示す。
【0038】
第1の実施例によるレーザ照射装置を用いて行うレーザ加工の一例として、図2に示すパタンを描画するパタン描画方法を説明する。
【0039】
図1(A)に示したXYステージ69に、下地基板の表面に被転写層の密着した照射対象物68を載置する。
【0040】
図1(A)及び(B)を参照して説明したビームの入射態様となるように、すなわち照射対象物68の表面において、レーザビーム60aの入射領域67aと、レーザビーム60bの入射領域67bとが、X軸方向に相互に接して並ぶように装置の光軸を調整する。
【0041】
レーザ発振器59から連続波のレーザビームを出射しながら、XYステージ69により、照射対象物68をY軸方向に等速で移動させる。
【0042】
シャッタ機構64bは、常に透光状態としておく。これにより、DOE54で分岐された複数(たとえば100本)のレーザビーム60bが照射対象物68の被転写層に入射し、たとえば100本の連続部90を描画する。すなわち、入射領域67bの軌跡として、連続部90が描かれる。
【0043】
シャッタ機構64aは、遮光を常態とし、XYステージ69による照射対象物68の移動に対し、断続的(周期的)に透光状態とする。シャッタ機構64aを透光状態としたときに、DOE54で分岐されたたとえば100本のレーザビーム60aが照射対象物68の被転写層に入射し、連続部90から分岐した断続部91が描画される。
【0044】
第1の実施例によるレーザ照射装置を用いると、照射対象物68上のビーム入射領域67a、67bの相対的位置関係は、ビーム入射位置によらず、常に一定である。したがって、連続部90と断続部91とが分離したり、ある箇所に重複してレーザビームが照射されたりすることがない。このため、高い精度で、高品質の描画を行うことができる。
【0045】
図3(A)及び(B)を参照して、第2の実施例によるレーザ照射装置について説明する。
【0046】
図3(A)は、第2の実施例によるレーザ照射装置の概略図である。第1の実施例によるレーザ照射装置とは、DOE54で分岐された多数のレーザビーム60a、60bが入射するズームレンズ73、第2マスク71、及び、第2マスク71の位置における像を照射対象物68上に結像する結像レンズ72を備えている点において異なる。また、第2の実施例によるレーザ照射装置のレーザ発振器59は、たとえば連続波のレーザビームを出射する。
【0047】
第2の実施例によるレーザ照射装置は、マスク65の像をDOE54面に結像させて分岐するとともに、分岐したレーザビームが入射する第2マスク71の像を照射面に結像させる。すなわち、第2の実施例によるレーザ照射装置は、マスクの像をリレー転送して照射面に結像させるレーザ照射装置である。
【0048】
図3(B)に、第2マスク71の概略的な平面図を示す。第2マスク71は、たとえばレーザビームを遮光する板状部材に、X軸方向に延在する細長い長方形の貫通孔71aを備え、入射したレーザビーム60a、60bのビーム断面66a、66bを整形する。
【0049】
第2マスク71は、図3(A)に示したDOE54で分岐されたレーザビーム60a、60bが、貫通孔71aを通過する位置に配置される。
【0050】
本図には、第2マスク71に入射するレーザビーム60a、60bのビーム断面66a、66bを点線で示した。DOE54で分岐されたレーザビーム60a、60bのすべての組は、それぞれ隣り合う組と、ビーム断面66a、66bを接するように、第2マスク71に入射する。すなわち、DOE54によって分岐されたレーザビーム60a、60bは、X軸方向に延在する細長い入射領域を形成して、第2マスク71に入射する。そして貫通孔71a以外の部分で遮光されることにより、断面形状を一層細長く整形されて、第2マスク71を出射する。
【0051】
再び図3(A)を参照する。レーザビーム60a、60bは、第2マスク71で整形されたビーム断面(個々のビーム断面66a、66bのX軸方向への連続からなるビーム断面)の形状を、結像レンズ72により結像されて、照射対象物68に入射する。
【0052】
第2の実施例によるレーザ照射装置においても、第1の実施例の場合と同様、1基のレーザ発振器59から出射したレーザビームが分岐した2本のレーザビームの組を、DOE54で更に多数に分岐し、照射対象物に入射させるため、両者の照射対象物上のビーム入射領域の相対的位置関係は、ビーム入射位置によらず、常に一定である。したがって、DOE54で分岐された多数のレーザビーム60a、60bは、個々のレーザビーム60a、60bのビーム入射領域67a、67bが相互に境界を接し、X軸方向に連なるような態様で、照射対象物68に入射する。本図には、照射対象物68に入射するレーザビーム60a、60bのビーム入射領域67a、67bを、ビームの進行方向に沿って見た図として示した。
【0053】
第2の実施例によるレーザ照射装置を用いて行うレーザ加工の一例として、図4に示すパタンを描画するパタン描画方法を説明する。
【0054】
図3(A)に示したXYステージ69に、下地基板の表面に被転写層の密着した照射対象物68を載置する。
【0055】
図3(A)及び(B)を参照して説明したビームの入射態様となるように、すなわち照射対象物68の表面において、レーザビーム60aの入射領域67aと、レーザビーム60bの入射領域67bとが、X軸方向に相互に接して並ぶように装置の光軸を調整する。
【0056】
レーザ発振器59から連続波のレーザビームを出射しながら、XYステージ69により、照射対象物68をY軸方向に等速で移動させる。
【0057】
シャッタ機構64bは、常に透光状態としておく。これにより、DOE54で分岐された複数(たとえば100本)のレーザビーム60bが照射対象物68の被転写層に入射し、たとえば100本の直線状パタン100Yを描画する。すなわち、入射領域67bの軌跡として、直線状パタン100Yが描かれる。
【0058】
シャッタ機構64aは、遮光を常態とし、XYステージ69による照射対象物68の移動に対し、断続的(周期的)に透光状態とする。シャッタ機構64aを透光状態としたときに、DOE54で分岐されたたとえば100本のレーザビーム60aが照射対象物68の被転写層に入射し、直線状パタン100Yから分岐した枝部101が描画される。すなわちレーザビーム60aの入射領域67aの、X軸方向の長さが、枝部101の長さとなる。ある直線状パタン100Yから分岐した枝部101は、隣り合う直線状パタン100Yまで到達し、X軸に平行な直線状パタン100Xを形成する。このように、照射対象物68を一方向に移動させることにより、格子状のパタンを描画することができる。
【0059】
第2の実施例によるレーザ照射装置を用いると、照射対象物68上のビーム入射領域67a、67bの相対的位置関係は、ビーム入射位置によらず、常に一定である。したがって、直線状パタン100Yと枝部101とが分離したり、ある箇所に重複してレーザビームが照射されたりすることがない。このため、高い精度で、高品質の描画を行うことができる。
【0060】
以上、実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0061】
レーザ照射装置及びレーザ照射方法は、複数本のレーザビームを照射対象物に照射して行うレーザ加工に利用することができる。
【0062】
また、パタン描画方法は、配線基板の印刷や、画像表示装置の画素の画定に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(A)は、第1の実施例によるレーザ照射装置の概略図であり、(B)は、マスク65の概略的な平面図である。
【図2】レーザビームを照射して描画するパタンの一例を示す図である。
【図3】(A)は、第2の実施例によるレーザ照射装置の概略図であり、(B)は、第2マスク71の概略的な平面図である。
【図4】被転写層が転写されて形成された凸状パタンの一例を示す図である。
【図5】回折光学素子(Diffractive Optical Element;DOE)を含んで構成されるレーザ照射装置の概略図である。
【符号の説明】
【0064】
10a、10b レーザビーム
51、52 レーザ発振器
53 断面整形結像光学系
53a、53b ビーム断面
54 DOE
54a、54b ビーム入射領域
55 ビーム入射面
59 レーザ発振器
60a、60b レーザビーム
61 ビームエキスパンダ
62 ハーフミラー
63a、63b、63c 全反射ミラー
64a、64b シャッタ機構
65 マスク
65a 貫通孔
66 ズームレンズ系
66a、66b ビーム断面
67a、67b ビーム入射領域
68 照射対象物
69 XYステージ
70 制御装置
71 第2マスク
71a 貫通孔
72 結像レンズ
73 ズームレンズ
90 連続部
91 断続部
100 格子状パタン
100X、100Y 直線状パタン
101 枝部
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100091340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 敬四郎

【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄

【識別番号】100141302
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 伸一


【公開番号】 特開2008−774(P2008−774A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171295(P2006−171295)