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【発明の名称】 基板及びその分断方法、電気光学装置及びその製造方法、ならびに電子機器
【発明者】 【氏名】黒木 泰宣

【要約】 【課題】レーザスクライブするとき、レーザ光による損傷が防止できる基板及びその分断方法、電気光学装置及びその製造方法、電子機器を提供すること。

【構成】基板39に光透過性の導電膜からなる配線41及び電極端子42等を形成する。基板38と基板39とを接着剤37にて接合する。基板38において、配線41及び電極端子42と対向する場所に分断予定線55a,55bを設定する。レーザ光56を集光レンズ8にて集光し、基板38に設定されている分断予定線55a,55bに沿って、照射する。基板38内にレーザ光56が集光して照射される場所には改質部57が形成される。集光レンズ8と基板38とを相対的に移動して改質部57を配列して形成する。改質部57が配列されているスクライブ面59a,59bに沿って応力を加え、基板38を分断する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を分断する基板の分断方法であって、
前記基板にレーザ光を透過する導電膜を形成する導電膜形成工程と、
前記基板に前記レーザ光を照射して、前記基板の内部に改質部を形成するスクライブ工程と、
前記改質部を押圧して前記基板を分断する分断工程とを有し、
前記導電膜の少なくとも一部は、前記スクライブ工程において前記レーザ光が照射される場所に、形成されることを特徴とする基板の分断方法。
【請求項2】
第1の基板と、第2の基板とを接合して、第1の基板を分断する基板の分断方法であって、
前記第2の基板にレーザ光を透過する導電膜を形成する導電膜形成工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを接合する接合工程と、
前記第1の基板に前記レーザ光を照射して、前記第1の基板の内部に改質部を形成するスクライブ工程と、
前記改質部を押圧して前記第1の基板を分断する分断工程とを有し、
前記導電膜の少なくとも一部は、前記スクライブ工程において前記レーザ光が照射される場所に、形成されることを特徴とする基板の分断方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基板の分断方法であって、
前記導電膜はITO膜であることを特徴とする基板の分断方法。
【請求項4】
請求項2〜3のいずれか一項に記載の基板の分断方法であって、
前記第2の基板に金属膜を形成する金属膜形成工程を有し、
前記金属膜の少なくとも一部は、前記スクライブ工程において前記レーザ光が照射されない場所に、形成されることを特徴とする基板の分断方法。
【請求項5】
請求項1に記載の基板の分断方法であって、前記スクライブ工程において、前記改質部は、前記基板の少なくとも一つの面の近傍に形成することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の基板の分断方法であって、前記スクライブ工程において、前記改質部は、前記第1の基板の少なくとも一つの面の近傍に形成することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項7】
請求項2〜4,6のいずれか一項に記載の基板の分断方法であって、
前記スクライブ工程では、前記レーザ光は、前記第1の基板を透過して前記第2の基板を照射し、前記第2の基板の内部に改質部を形成することを特徴とする基板の分断方法。
【請求項8】
光透過性の第1の基板と、第2の基板とを接合して第1の基板を分断する電気光学装置の製造方法であって、
請求項2〜4,6のいずれか一項に記載の基板の分断方法を用いて形成することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記導電膜は、配線であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記導電膜は、電極端子であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記電気光学装置はスイッチング素子を有し、前記導電膜は、前記スイッチング素子と電気的に接続されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項12】
請求項2〜7のいずれか一項に記載の基板の分断方法で分断されていることを特徴とする基板。
【請求項13】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電気光学装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、基板及びその分断方法、電気光学装置及びその製造方法、ならびに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光透過性のある基板を品質良く切断するために、レーザ光を基板に照射して基板内部に改質領域(以下、改質部と称す。)を形成するレーザスクライブ方法が特許文献1に開示されている。それによると、パルス幅が1μs以下のレーザ光を出射し、集光レンズで基板内部に集光し、集光点におけるピークパワー密度を1×108(W/cm2)以上にする。これにより、加工対象物の内部に多光子吸収による改質部を形成するものである。
【0003】
また、このレーザスクライブ方法において、加工対象物の内部に形成される改質部あるいはこれを起点として形成される改質部の大きさは、集光レンズの特性と、レーザ光のピークパワー密度に依存する。例えば、上記特許文献1に示されたガラス(厚さ700μm)に対してYAGレーザを用いて切断する実施例では、集光レンズの開口数が0.55の場合、ピークパワー密度がおよそ1×1011(W/cm2)では、改質部の大きさは、およそ100μmである。また、ピークパワー密度がおよそ5×1011(W/cm2)では、およそ250μmである。基板の内部に改質部を配列して形成し、改質部を押圧することで、基板を改質部に沿って品質良く分断することができる。
【0004】
液晶表示装置などの表示装置は、外形が矩形の1対の基板を用いて、1対の基板の間に液晶や発光素子を配置して形成されることが多い。その製造方法において、トランジスタなどのスイッチング素子の表示装置に対応するパターンを複数配列した素子マザー基板と、共通電極等の表示装置に対応するパターンを複数配列した対向マザー基板とを貼り合せて、分断する方法が広く採用されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−192371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
素子マザー基板と対向マザー基板とを貼り合せて、対向マザー基板にレーザ光を照射して改質部を形成するとき、レーザ光の一部が対向マザー基板を通過して、素子マザー基板を照射する。素子マザー基板には、配線、端子等が配置されており、レーザ光により損傷を受ける可能性があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、レーザスクライブするとき、レーザ光による損傷が防止できる基板及びその分断方法、電気光学装置及びその製造方法、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の基板の分断方法は、基板を分断する基板の分断方法であって、基板にレーザ光を透過する導電膜を形成する導電膜形成工程と、基板にレーザ光を照射して、基板の内部に改質部を形成するスクライブ工程と、改質部を押圧して基板を分断する分断工程とを有し、導電膜の少なくとも一部は、スクライブ工程においてレーザ光が照射される場所に、形成されることを特徴とする。
【0009】
この基板の分断方法によれば、基板に、レーザ光を透過する導電膜を形成する。基板は光透過性を有し、基板の内部にレーザ光を照射して改質部を配列して形成する。分断工程では、改質部を押圧して、基板を分断する。
【0010】
基板には、導電膜が形成されている。基板にレーザ光を照射するとき、レーザ光の一部は、導電膜を照射する可能性がある。レーザ光が導電膜を照射するとき、レーザ光は導電膜を通過することから、導電膜は、レーザ光により損傷を受けにくくなっている。従って、基板に形成される導電膜は、レーザ光により損傷を殆ど受けることなく、基板はスクライブされ、分断される。
尚、スクライブは、レーザ光を基板内部に集光して照射し、改質部を配列して形成することを示す。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の基板の分断方法は、第1の基板と、第2の基板とを接合して、第1の基板を分断する基板の分断方法であって、第2の基板にレーザ光を透過する導電膜を形成する導電膜形成工程と、第1の基板と第2の基板とを接合する接合工程と、第1の基板にレーザ光を照射して、第1の基板の内部に改質部を形成するスクライブ工程と、改質部を押圧して第1の基板を分断する分断工程とを有し、導電膜の少なくとも一部は、スクライブ工程においてレーザ光が照射される場所に、形成されることを特徴とする。
【0012】
この基板の分断方法によれば、第2の基板に、レーザ光を透過する導電膜を形成する。第1の基板と、第2の基板とを接合して、第1の基板をスクライブする。第1の基板は光透過性を有し、第1の基板の内部にレーザ光を照射して改質部を配列して形成する。分断工程では、改質部を押圧して、第1の基板を分断する。
【0013】
第1の基板にレーザ光を照射するとき、第1の基板は光透過性であることから、レーザ光の一部は、第1の基板を通過する可能性がある。レーザ光が第1の基板を通過する場合、通過するレーザ光は、第2の基板を照射する。第2の基板には、レーザ光を透過する導電膜が形成されており、第2の基板を照射するレーザ光が導電膜を照射するとき、レーザ光は導電膜を通過することから、導電膜は、レーザ光により損傷を受けにくくなっている。従って、第2の基板に形成される導電膜は、レーザ光により損傷を殆ど受けることなく、第1の基板はスクライブされ、分断される。
【0014】
本発明の基板の分断方法では、導電膜はITO膜であることを特徴とする。
【0015】
この基板の分断方法によれば、導電膜はITO(Indium Tin Oxide)膜である。ITO膜は、酸化亜鉛系、酸化インジウム系、酸化スズ系など、他の透明導電膜に比べて、単位面積当りの抵抗が低いことから、電流を流し易く、電磁波のノイズの影響を受けにくくなる。従って、ノイズに強い導電膜とすることができる。
【0016】
本発明の基板の分断方法は、第2の基板に金属膜を形成する金属膜形成工程を有し、金属膜の少なくとも一部は、スクライブ工程においてレーザ光が照射されない場所に、形成されることを特徴とする。
【0017】
この基板の分断方法によれば、第2の基板の導電膜が形成される場所において、レーザ光が照射されない場所の少なくとも一部には、金属膜が形成されている。金属膜が形成される場所において、レーザ光が照射されない場所では、金属膜がレーザ光により損傷を受けることがない。
【0018】
金属膜は、ITO膜に比べて、電気抵抗が低いことから、膜に電流を流すときに電圧降下を少なくすることができる。従って、電流を流す場所をITO膜で形成する場合に比べて、電力損失を少なくすることができる。
【0019】
本発明の基板の分断方法では、スクライブ工程において、改質部は、基板の少なくとも一つの面の近傍に形成することを特徴とする。
【0020】
ここで、「一つの面の近傍」について説明する。基板の厚さ方向にレーザ光を照射して改質部を形成するとき、形成される改質部において基板の厚さ方向の長さを改質部長さとする。「一つの面の近傍」とは、基板の一つの面との距離が改質部長さの2倍以内の領域を示す。照射するレーザ光の強さによって、改質部長さが変わることから、「一つの面の近傍」についても、照射するレーザ光の強さによって変わることとなる。
【0021】
また、「改質部は、基板の少なくとも一つの面の近傍に形成する。」とは、改質部の一部が、「一つの面の近傍」の領域に形成することを示す。
【0022】
この基板の分断方法によれば、改質部は基板における一つの面の近傍に形成される。基板の面の近傍に改質部を形成するとき、レーザ光は、面の近傍に集光する為、レーザ光が照射される場所に形成されている導電膜は、損傷を受け易い状態にある。しかし、導電膜は光透過性を有することから、損傷を殆ど受けない。
【0023】
本発明の基板の分断方法では、スクライブ工程において、改質部は、第1の基板の少なくとも一つの面の近傍に形成することを特徴とする。
【0024】
この基板の分断方法によれば、改質部は第1の基板における一つの面の近傍に形成される。第1の基板において、第2の基板側の面の近傍に改質部を形成するとき、レーザ光は、面の近傍に集光する為、レーザ光は、第1の基板を通過し易くなる。レーザ光が第1の基板を通過して、第2の基板を照射するとき、第2の基板において、レーザ光が照射される場所に形成されている導電膜は、光透過性を有することから、損傷を殆ど受けない。
【0025】
改質部が第1の基板における少なくとも一つの面の近傍に形成される。基板を分断するとき、配列して形成される改質部に沿って分断される。基板の面の近傍に、改質部が形成されているとき、改質部に沿って分断される。改質部は配列して形成され、改質部に沿って分断されることから、分断される断面は、改質部が形成されている面の近傍まで、凹凸が少なく分断される。
【0026】
本発明の基板の分断方法は、スクライブ工程では、レーザ光は、第1の基板を透過して第2の基板を照射し、第2の基板の内部に改質部を形成することを特徴とする。
【0027】
この基板の分断方法によれば、第2の基板の内部に改質部を形成するとき、レーザ光が第1の基板を透過して、第2の基板を照射する。第2の基板において、レーザ光が照射される場所には、光透過性の導電膜が形成されているが、レーザ光を透過することから損傷を殆ど受けずに、第2の基板の内部を照射する。第1の基板と第2の基板とに、同じ第1の基板側からレーザ光を照射し、第1の基板と第2の基板との内部に改質部を形成することから、第1の基板及び第2の基板を反転する必要がない。従って、反転する工程を必要とする場合に比べて、生産性良くスクライブすることができる。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、光透過性の第1の基板と、第2の基板とを接合して第1の基板を分断する電気光学装置の製造方法であって、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成することを特徴とする。
【0029】
この電気光学装置によれば、電気光学装置は、上記に記載の基板の分断方法を用いて形成される。電気光学装置を構成する第2の基板には光透過性の導電膜が生成される。第1の基板を分断するとき、改質部を形成する為に用いるレーザ光により、第2の基板に形成されている導電膜は、損傷を受けにくくなっている。従って、第1の基板を分断するときに、第2の基板の導電膜は損傷が防止できる電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0030】
本発明の電気光学装置の製造方法では、導電膜は、配線であることを特徴とする。
【0031】
この電気光学装置によれば、第2の基板に形成されている導電膜は配線であることから、この配線は、光透過性の導電膜となっている。従って、第1の基板を分断するときに、第1の基板に照射するレーザ光により、第2の基板の配線は損傷が防止できる電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0032】
本発明の電気光学装置の製造方法では、導電膜は、電極端子であることを特徴とする。
【0033】
この電気光学装置によれば、第2の基板に形成されている導電膜は電極端子であることから、この電極端子は、光透過性の導電膜となっている。従って、第1の基板を分断するときに、第2の基板の電極端子は損傷が防止できる電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0034】
本発明の電気光学装置の製造方法では、電気光学装置はスイッチング素子を有し、導電膜は、スイッチング素子と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0035】
この電気光学装置によれば、電気光学装置はスイッチング素子を有している。スイッチング素子は、電気信号を元に電流の流れを切り替えて、表示素子に流す電流を制御している。個々の表示素子に電流を供給する配線を形成する方法に比べて、配線の数を減らすことができることから、配線の設計をしやすい電気光学装置とすることができる。
【0036】
スイッチング素子に電気信号を供給する配線のうち少なくとも一部は光透過性の導電膜により形成される。第1の基板を分断するとき、光透過性の導電膜により形成されている配線は、レーザ光により損傷を受けにくくなっていることから、スイッチング素子に品質良く電気信号を供給できる電気光学装置とすることができる。
【0037】
本発明の基板は、上記に記載の基板の分断方法で分断されていることを特徴とする。
【0038】
この基板によれば、基板は上記の基板の分断方法で分断されている。基板は、第1の基板と第2の基板とを有し、第2の基板には導電膜が形成されている。この導電膜は、第1の基板を分断するときに用いられるレーザ光により損傷を受けにくい。従って、この基板において、第2の基板に形成される導電膜の損傷が防止できる基板とすることができる。
【0039】
本発明の電気光学装置は、上記に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする。
【0040】
この電気光学装置によれば、電気光学装置は上記の電気光学装置の製造方法を用いて製造されている。電気光学装置は、光透過性の導電膜を有し、基板を分断するときに、レーザ光による損傷を受けにくい導電膜となっている。従って、基板を分断するときに、基板に形成されている導電膜の損傷が防止できる基板を備えている電気光学装置とすることができる。
【0041】
本発明の電子機器は、上記に記載の電気光学装置を表示部に備えることを特徴とする。
【0042】
この電子機器によれば、電子機器は上記の電気光学装置を備えている。この電気光学装置は、レーザ光を用いて基板をスクライブして分断するとき、基板に形成されている導電膜は、レーザ光による損傷を受けにくい導電膜となっている。従って、基板に形成されている導電膜は、レーザ光により損傷を受けることが少ない。従って、スクライブ工程で、レーザ光による損傷が防止できる導電膜を備えた電気光学装置を有する電子機器とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0044】
(第1の実施形態)
本実施形態では、光透過性の導電膜を形成し、レーザスクライブ法によってスクライブして分断する場合の例を説明する。ここでは、本発明の特徴的な製造方法について説明する前にレーザ照射装置について説明する。
【0045】
(レーザ照射装置)
図1は、レーザ照射装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、レーザ照射装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させるテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。
【0046】
レーザ光源2は、出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、レーザ光源2は、本実施形態において、LD励起Nd:YAG(Nd:Y3Al512)のレーザ媒質からなり、第3高調波(波長:355nm)のQスイッチパルス発振のレーザ光を出射する発光条件を採用している。パルス幅はおよそ14ns(ナノ秒)、パルス周期は10kHz、出力はおよそ60μJ/パルスのレーザ光を出射する発光条件を採用している。
【0047】
光学経路部3はダイクロイックミラー6を備えている。ダイクロイックミラー6は、レーザ光源2から照射されるレーザ光の光軸7上に配置されている。ダイクロイックミラー6はレーザ光源2から照射されるレーザ光を反射して、光軸7の進行方向を変更する。ダイクロイックミラー6に反射したレーザ光が通過する光軸7上に集光レンズ8が配置されている。テーブル部4にはワーク9が配置され、集光レンズ8を通過したレーザ光がワーク9に照射されるようになっている。
【0048】
集光レンズ8はレンズ支持部10により、レンズ移動機構11に支持されている。レンズ移動機構11は、図示しない直動機構を有し、集光レンズ8を光軸7方向に移動させて、集光レンズ8を通過したレーザ光が集光する位置を移動可能としている。
【0049】
直動機構は、例えばZ方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを供えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する図示しないZ軸モータに連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がZ軸モータに入力されると、Z軸モータが正転又は反転して、レンズ移動機構11が同ステップ数に相当する分だけ、光軸7方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0050】
集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通過する光軸7の延長線上にあって、ダイクロイックミラー6に対して集光レンズ8と反対側には、撮像装置12を備えている。撮像装置12は、例えば、図示しない同軸落射型光源とCCD(Charge Coupled Device)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光レンズ8を透過してワーク9を照射する。撮像装置12は、集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通してワーク9を撮像することが可能となっている。
【0051】
テーブル部4は、基台15を備えている。基台15の光学経路部3側には、レール16が凸設して配置されており、レール16上にはX軸スライド17が配置されている。X軸スライド17は、図示しない直動機構を備え、レール16上のX方向に移動可能となっている。直動機構は、レンズ移動機構11が備える直動機構と同様な機構であり、所定のステップ数に相当する駆動信号に対応してX軸スライド17が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0052】
X軸スライド17の光学経路部3側にはレール18が凸設して配置されており、レール18上にはY軸スライド19が配置されている。Y軸スライド19は、X軸スライド17と同様な直動機構を備え、レール18上をY方向に移動可能となっている。
【0053】
Y軸スライド19の光学経路部3側には、ステージ20が配置され、ステージ20の上面には図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、ワーク9を載置すると、チャック機構によって、ワーク9がステージ20の上面の所定の位置に位置決めされ固定されるようになっている。
【0054】
制御装置5は、メインコンピュータ24を備えている。メインコンピュータ24は内部に図示しないCPU(Central Processing Unit)やメモリーを備えている。CPUはメモリー内に記憶されたプログラムソフトに従って、レーザ照射装置1の動作を制御するものである。
メインコンピュータ24は、図示しない入出力インターフェースを備え、入力装置25、表示装置26、レーザ制御装置27、レンズ制御装置28、画像処理装置29、ステージ制御装置30と接続されている。
【0055】
入力装置25は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する装置であり、表示装置26はレーザ加工時の各種情報を表示する装置である。CPUは、入力される各種加工条件とプログラムソフトとに従って、レーザ加工を行い。加工状況を表示装置26に表示する。操作者が表示装置26に表示される各種情報を見て、レーザ加工状況を確認して操作するようになっている。
【0056】
レーザ制御装置27は、レーザ光源2を駆動するパルス信号のパルス幅、パルス周期、出力の開始と停止、等を制御する装置であり、メインコンピュータ24の制御信号により制御される。
レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11の移動、停止を制御する装置である。レンズ移動機構11には、移動距離を検出可能な図示しない位置センサが内蔵されており、レンズ制御装置28は、この位置センサの出力を検出することにより、集光レンズ8の光軸7方向の位置を認識する。レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11にパルス信号を送信し、レンズ移動機構11を所望の位置に移動することができるようになっている。
【0057】
画像処理装置29は、撮像装置12から出力される画像データを演算する機能を備えている。ステージ20にワーク9を配置し、撮像装置12で撮像した画像を観察するとき、レンズ移動機構11を操作して、集光レンズ8とワーク9との距離を変えることにより画像が鮮明になるときとぼやけるときが存在する。集光レンズ8を移動して、ワーク9のステージ20側の面に焦点が合うときと、ワーク9の光学経路部3側の面に焦点が合うときに、撮像される画像が鮮明になる。一方、焦点が合っていないとき、撮像される画像は、ぼやけた画像となる。
【0058】
集光レンズ8を光軸7の方向に移動して、撮像装置12が撮像する画像が鮮明になる集光レンズ8の位置を、内蔵する位置センサで検出することにより、ワーク9の厚みを測定することが可能となる。
【0059】
撮像装置12で撮像するときに焦点が合う合焦点位置と、レーザ光を照射したときに、集光レンズ8により集光される集光位置との差の距離を計測することで、合焦点位置と集光位置の差の距離であるオフセット距離を知ることができる。例えば、透明な2枚の基板を重ねた物をワーク9としてステージ20に設置し、2枚の基板の接触部に撮像装置12の焦点が合うように集光レンズ8を移動する。次に、レーザ光を照射して改質部を形成する。2枚の基板の接触部と改質部の距離を計測することでオフセット距離を設定することができる。
【0060】
集光レンズ8を光軸7方向に移動して、ワーク9の光学経路部3側の面に撮像装置12の焦点を合わせる。レーザ光を照射したい位置とオフセット距離とで集光レンズ8の移動距離を演算し、演算した移動距離に対応する距離分、集光レンズ8を移動させる。この方法でワーク9における所定の深さにレーザ光を集光することが可能となる。
【0061】
ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報の取得と移動制御を行う。X軸スライド17とY軸スライド19とには図示しない位置センサが内蔵されており、ステージ制御装置30は位置センサの出力を検出することにより、X軸スライド17とY軸スライド19との位置を検出する。ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報を取得し、メインコンピュータ24から指示される位置情報とを比較し、差に相当する距離に対応して、X軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して移動する。ステージ制御装置30はX軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して、所望の位置にワーク9を移動することが可能となっている。
【0062】
レーザ制御装置27がレーザ光源2を制御しレーザ光を発光させる。画像処理装置29がワーク9の面の光軸方向の位置を検出する。レンズ制御装置28がレーザ光を集光する光軸方向の位置を制御する。ステージ制御装置30がワーク9をXY方向に移動して、ワーク9にレーザ光が照射される位置を制御する。上述した制御を行い所望の位置にレーザ光を集光して照射することが可能となっている。
【0063】
ここで、多光子吸収による改質部の形成について説明する。集光レンズ8によって集光されたレーザ光は、ワーク9に入射する。そして、ワーク9がレーザ光を透過する材料であっても、材料の吸収バンドギャップよりも光子のエネルギーが非常に大きいとき、ワーク9は光子エネルギーを吸収する。これを多光子吸収と言い、レーザ光のパルス幅を極めて短くすることでエネルギーを高めて、多光子吸収をワーク9の内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、永続的な構造変化が誘起された領域が形成される。
【0064】
本実施形態では、この構造変化領域を改質部と呼ぶ。改質部のうち、大きく構造変化した結果複数のクラックが形成された領域をクラック部と呼ぶ。尚、材料の種類によっては、例えば石英などの場合には、クラック部は複数のクラックにならず、空洞が形成される場合もある。
【0065】
このような改質部を形成するためのレーザ光の照射条件は、加工対象物ごとにレーザ光の出力やパルス幅、パルス周期、レーザスキャン速度等の設定が必要になる。特に、レーザ光源2が照射するレーザ光の出力は、ダイクロイックミラー6や集光レンズ8のような光軸7上に配置される透過性物質による吸収で減衰することを考慮する必要がある。従って、実際の加工対象物を用いた予備試験を実施して、最適な照射条件を導くことが望ましい。
【0066】
(基板の分断方法)
次に本発明の基板の分断方法について図2〜図4にて説明する。図2は、基板の分断方法のフローチャートであり、図3〜図4は基板の分断方法を説明する図である。
【0067】
図2のフローチャートにおいて、ステップS1は導電膜形成工程に相当し、第2の基板にレーザ光に対して透過性のある導電膜を配線、電極として形成する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は、接合工程に相当し、第1の基板と第2の基板とを接合する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3はスクライブ工程に相当し、第1の基板にレーザ光を用いて、第1の基板の内部にレーザ光を照射して改質部を配列して形成し、スクライブする工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は分断工程に相当し、配列して形成されている改質部に応力を加えて分断する工程である。
【0068】
次に、図3〜図4を用いて、図2に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図3(a)は、本実施形態で形成された接合基板の模式平面図である。図3(b)は接合基板のA−A’線から見た模式側面図である。図3(a)及び図3(b)に示す様に、接合基板34は、第1の基板35と第2の基板36とが接着剤37を介して接合されている。第1の基板35は基板38を備え、第2の基板36は基板39を備えている。基板38と基板39とは、レーザ光に透過性のある材質からなり本実施形態では、例えば、石英ガラスを採用している。
【0069】
第2の基板36において、基板39の表面には、基板39の長手方向と直交する方向に一対の電極端子40a,40bが形成され、導電膜としての配線41により電気的に接続されている。同様に、電極端子40a,40bの隣には、一対の導電膜としての電極端子42a,42bが形成され、配線43により電気的に接続されている。電極端子40a,40b,42a,42b及び、配線41,43はレーザ光に対して光透過性の導電膜により形成されている。光透過性の導電膜は、酸化亜鉛系、酸化インジウム系、酸化スズ系などの膜で光が透過する厚みであれば良く、本実施形態では、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜を採用している。
【0070】
基板39の表面には、3端子のトランジスタ44とトランジスタ45とが形成されている。トランジスタ44とトランジスタ45とは、配線46aにより電気的に接続されている。基板39の端面39a側には、電極端子47及び電極端子48が配置されている。電極端子47とトランジスタ44とは、配線46b及び配線49を介して電気的に接続されている。同様に、電極端子48とトランジスタ45とは、配線46e及び配線50を介して電気的に接続されている。
【0071】
基板39の端面39a側には、電極端子51及び電極端子52が配置されている。電極端子51は、トランジスタ44と配線46cを介して電気的に接続され、電極端子52は、トランジスタ45と配線46dを介して電気的に接続されている。
【0072】
基板39の端面39b側には、電極端子53が配置され、電極端子53とトランジスタ44及びトランジスタ45とは、配線46a及び配線54を介して電気的に接続されている。
【0073】
金属膜としての配線46a〜配線46eと、電極端子47と、電極端子48と、電極端子53とは金属からなる膜により形成されている。本実施形態においては、例えば、アルミニウムを採用している。また、導電膜としての配線49と、配線50と、配線54と、電極端子51及び電極端子52とは、レーザ光に対して光透過性の導電膜により形成されている。光透過性の導電膜は、本実施形態では、例えば、ITO膜を採用している。
【0074】
図3(c)及び図3(d)は、ステップS1に対応する図である。図3(c)は基板39の平面図であり、図3(d)は基板39の側面図である。図3(c)及び図3(d)に示す様に、基板39に、トランジスタ44,45及び、電極端子40a,40b,42a,42b,47,48,51,52,53及び、配線41,43,46a〜46e,49,50,54を形成する。トランジスタ44,45及び、電極端子40a,40b,42a,42b,47,48,51,52,53及び、配線41,43,46a〜46e,49,50,54の形成方法は、フォトリソグラフィ法等の公知の方法を用いて形成可能であり、説明を省略する。
【0075】
図3(a)に示す基板38にて分断されている線に相当する線を分断予定線とし、基板38を分断する分断予定線を図3(c)に示す分断予定線55a及び分断予定線55bとする。分断予定線55a及び分断予定線55bは、基板39の長手方向に延在する仮想線であり、一点鎖線で示す線である。
【0076】
図3(e)及び図4(a)はステップS2に対応する図である。図3(e)に示す様に、基板39に接着剤37を塗布する。接着剤37は、図3(c)に示す分断予定線55aと分断予定線55bとに挟まれた領域に塗布する。塗布方法は、塗布厚みと塗布位置が精度良く塗布できれば良く、本実施形態では、例えば、スクリーン印刷法を採用している。接着剤37は、基板と基板とを接着できるものであれば良く、基板の材質に合わせて選択する。本実施形態では、例えば、接着剤37にエポキシ系接着剤を採用している。
【0077】
図4(a)に示すように、基板39に塗布した接着剤37に重ねて基板38を配置し押圧する。続いて、押圧されて形成された接合基板34を乾燥して、接着剤37を固化する。
【0078】
図4(b)及び図4(c)はステップS3に対応する図である。図4(b)に示す様に、集光レンズ8で集光したレーザ光56を基板38の内部に照射する。基板38の内部において、レーザ光56が照射された場所には、改質部57が形成される。改質部57の中央部には、空洞となったクラック部58が形成される。
【0079】
集光レンズ8と基板38とを相対的に移動して、レーザ光56を基板38の内部に照射して改質部57を配列して形成する。基板38において、第2の基板36側の面38aに近い場所には1段目の改質部57aが形成される。1段目の改質部57aは、クラック部58が面38aと交差しない範囲で近くに形成するのが、望ましい。少なくとも、クラック部58と面38aとの距離は、クラック部58の長手方向の長さの10倍以内に形成するのが望ましい。クラック部58と面38aとの距離は、クラック部58の長手方向の長さの2倍以内(面の近傍)に形成するのがさらに望ましい。
【0080】
形成されている1段目の改質部57aに対して、基板38の厚み方向に隣接する場所に、2段目の改質部57bを形成する。2段目の改質部57bについても、集光レンズ8からレーザ光56を基板38の内部に集光して照射し、2段目の改質部57b形成する。同様に、3段目、4段目と配列の段数を重ねて配列する。
【0081】
図4(c)に示すように、その結果、改質部57が配列した面が形成される。レーザ光56は、図3(c)に示す分断予定線55a及び分断予定線55bに沿って照射される。その結果、分断予定線55aに沿って形成されるスクライブ面59aと分断予定線55bに沿って形成されるスクライブ面59bが形成される。
【0082】
図4(d)はステップS4に対応する図である。図4(d)に示す様に、第1の基板35を弾性材からなる台60の上に配置する。分断予定線55aに形成されたスクライブ面59aに対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。基板38は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。基板38は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0083】
同様に、分断予定線55bに形成されたスクライブ面59bに対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。基板38は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。基板38は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0084】
図3(b)に示す様に、その結果、第1の基板35は図4(c)に示すスクライブ面59a及びスクライブ面59bで分断され接合基板34が形成される。
【0085】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第2の基板36において、電極端子42a,42b,51,52及び、配線41,49,50,54はレーザ光を透過する導電膜から形成されている。第1の基板35にレーザ光56を照射するとき、第1の基板35は光透過性であることから、レーザ光56の一部は、第1の基板35を通過する可能性がある。レーザ光56が第1の基板35を通過する場合、通過するレーザ光56は、第2の基板36を照射する。第2の基板36において、分断予定線55a及び分断予定線55bと対向する場所には、レーザ光56を透過する導電膜により形成されている電極端子42a,42b,51,52及び配線41,49,50,54が配置されている。第2の基板36を照射するレーザ光56が電極端子42a,42b,51,52及び、配線41,49,50,54を照射するとき、レーザ光56は電極端子42a,42b,51,52及び、配線41,49,50,54を通過することから、電極端子42a,42b,51,52及び、配線41,49,50,54は、レーザ光56により損傷を受けにくくなっている。従って、第2の基板36に形成される電極端子42a,42b,51,52及び、配線41,49,50,54は、レーザ光56により損傷を殆ど受けることなく、第1の基板35はスクライブされ、分断される。
【0086】
(2)本実施形態によれば、電極端子40a,40b,42a,42b,51,52及び、配線41,43,49,50,54は導電膜により形成されている。本実施形態においては、導電膜は、ITO膜を採用している。ITO膜は、酸化亜鉛系、酸化インジウム系、酸化スズ系など、他の透明導電膜に比べて、単位面積当りの抵抗が低いことから、電流を流し易く、電磁波のノイズの影響を受けにくくなる。従って、ノイズに強い導電膜とすることができる。
【0087】
(3)本実施形態によれば、第2の基板36のレーザ光が照射されない場所には、金属膜からなる電極端子47,48,53及び配線46a〜配線46eが形成されている。電極端子47,48,53及び配線46a〜配線46eが形成されている場所には、レーザ光56が照射されないことから、電極端子47,48,53及び配線46a〜配線46eがレーザ光56により損傷を受けることがない。
【0088】
金属膜は、ITO膜に比べて、電気抵抗が低いことから、膜に電流を流すときに電圧降下を少なくすることができる。従って、電流を流す場所をITO膜で形成する場合に比べて、電力損失を少なくすることができる。
【0089】
(4)本実施形態によれば、改質部57は第1の基板35における面38aに近い場所に形成される。第1の基板35において、第2の基板36側の面38aに近い場所に1段目の改質部57aを形成するとき、レーザ光56は、面38aに近い場所に集光する為、レーザ光56は、第1の基板35を通過し易くなる。レーザ光56が第1の基板35を通過して、第2の基板36を照射するとき、第2の基板36において、レーザ光56が照射される場所に形成されている導電膜は、光透過性を有することから、損傷を受けにくくなっている。
【0090】
改質部57が第1の基板35における少なくとも一つの面38aに近い場所に形成される。第1の基板35が改質部57に沿って分断されるとき、改質部57が面38aに近い場所まで形成されている為、分断される断面は凹凸が少なく分断される。
【0091】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した基板の分断方法の一実施形態について、図2及び図5〜図7にて説明する。図2は、基板の分断方法のフローチャートであり、図5〜図7は基板の分断方法を説明する図である。第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、第1の基板に加えて、第2の基板についても、レーザ光を用いてスクライブし、分断する点である。
【0092】
図2のフローチャートにおいて、各ステップの内容は第1の実施形態と同じであり、説明を省略する。
【0093】
図5(a)は、ステップS1に対応する図であり、第1の実施形態における、図3(c)に対応する図である。図5(a)に示す様に、第2の基板65には、同じパターンが2つ並べて形成されている。又、第1の実施形態の図3(c)においては、金属膜からなる電極端子47,48,53が、基板39に形成されている。一方、第2の実施形態の図5(a)においては、第2の基板65は、光透過性の導電膜であるITO膜からなる導電膜としての電極端子66,67,68が基板69に形成されている。
【0094】
ステップS2にて接合する第1の基板72を分断する予定線を設定し、分断予定線70a,70b,70c,70dとする。同様に、第2の基板65を分断する予定線を設定し、分断予定線71とする。分断予定線70a〜分断予定線70d及び分断予定線71は、基板69の長手方向に延在する仮想線であり、一点鎖線で示す線である。
【0095】
図5(b)はステップS2に相当する図である。基板69に接着剤37を塗布する。接着剤37は、分断予定線70aと分断予定線70bとに挟まれた領域及び、分断予定線70cと分断予定線70dとに挟まれた領域に塗布する。続いて、第1の基板72と第2の基板65とを接着し、乾燥する。第1の基板72は、光透過性の性質を有し、外形寸法が基板69と同じ寸法となっている。
【0096】
図5(c)及び図6(a)〜図6(c)はステップS3に相当する図である。図5(c)に示す様に、集光レンズ8を用いてレーザ光56を集光し、基板69の内部に照射する。レーザ光56が集光して照射される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中心にはクラック部58が形成される。集光レンズ8と基板69とを相対移動し、改質部57を配列して形成する。レーザ光56は、図5(a)に示す分断予定線71に沿って照射され、改質部57は、分断予定線71に沿って基板69の厚さ方向に多段に形成される。
【0097】
図6(a)に示す様に、その結果、分断予定線71に沿って、改質部57が多段に配置されているスクライブ面73が形成される。
【0098】
図6(b)に示す様に、続いて、集光レンズ8を用いてレーザ光56を集光し、第1の基板72の内部に照射する。レーザ光56は、図5(a)に示す分断予定線70a〜分断予定線70dに沿って照射され、改質部57は、分断予定線70a〜分断予定線70dに沿って第1の基板72の厚さ方向に多段に形成される。
【0099】
図6(c)に示す様に、その結果、分断予定線70a〜分断予定線70dに沿って、改質部57が多段に形成され、分断予定線70a〜分断予定線70dに対応して、スクライブ面74a〜スクライブ面74dが形成される。
【0100】
図7(a)及び図7(b)は、ステップS4に対応する図である。図7(a)に示す様に、基板69を弾性材からなる台60の上に配置する。分断予定線71に沿って形成されたスクライブ面73に対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。基板69は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。基板69は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0101】
図7(b)に示す様に、続いて、第1の基板72を弾性材からなる台60の上に配置する。分断予定線70a〜分断予定線70dに沿って形成されたスクライブ面74a〜スクライブ面74dに対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。第1の基板72は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。第1の基板72は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。以上の工程により、第1の基板72と第2の基板65とが接合され、分断されて、分離される。
【0102】
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態における効果(1)〜効果(4)に加え、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、第2の基板65の内部に改質部57を形成するとき、レーザ光56が第1の基板72を透過して、第2の基板65を照射する。第2の基板65において、レーザ光56が照射される場所には、光透過性の導電膜からなる電極端子40a,40b,42a,42b,51,52,66,67,68が形成されている。電極端子40a,40b,42a,42b,51,52,66,67,68は、レーザ光56を透過することから損傷を殆ど受けずに、レーザ光56は、第2の基板65の内部を照射する。第1の基板72と第2の基板65とを同じ第1の基板72側からレーザ光56を照射して、第1の基板72と第2の基板65との内部に改質部57を形成することから、第1の基板72及び第2の基板65を反転する必要がない。従って、反転する工程を必要としないことから生産性良くスクライブすることができる。
【0103】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した液晶表示装置の製造方法の一実施形態について図8〜図16を用いて説明する。
本実施形態では、本発明の基板の分断方法を用いて液晶表示装置を製造する場合の例を説明する。ここで、本発明の特徴的な製造方法について説明する前に、液晶表示装置について順次説明する。
【0104】
(液晶表示装置)
まず、液晶表示装置について説明する。図8は、液晶表示装置の模式平面図であり、図9は、図8の液晶表示装置のB−B’線に沿う模式断面図である。
【0105】
図8及び図9において、本実施形態の電気光学装置としての液晶表示装置81は、対をなすTFTアレイ基板82と対向基板83とが熱硬化性の封止材であるシール84によって貼り合わされ、このシール84によって区画される領域内に封入された液晶85からなる液晶層を備えている。シール84は、基板面内の領域において閉ざされた枠形状に形成されている。
【0106】
シール84の内側で対向基板83の液晶85側の面には、遮光性材料で配線を隠すための周辺見切り86が形成されている。シール84の外側の場所には、データ線駆動回路87及び電極端子88がTFTアレイ基板82の辺82a(図8中下側の辺)に沿って形成されており、この辺82aに隣接する辺82b及び辺82c(図8中左右の辺)に沿って走査線駆動回路89が形成されている。データ線駆動回路87、電極端子88及び走査線駆動回路89は光透過性の導電膜である配線90aにより電気的に接続されている。TFTアレイ基板82の残る辺82d(図8中上側の辺)には、2つの走査線駆動回路89の間を接続するための光透過性の導電膜である配線90bが設けられている。電極端子88及び配線90a,90bは、レーザ光に対して光透過性のある導電膜であれば良く、本実施形態では、例えば、ITO膜を採用している。また、対向基板83のコーナー部の4箇所においては、TFTアレイ基板82と対向基板83との間で電気的導通をとるための基板間導通材91が配設されている。
【0107】
また、液晶表示装置81はカラー表示用として構成しており、対向基板83において、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ92R,92G,92Bが保護膜とともに形成されている。カラーフィルタ92R,92G,92Bの各フィルタ素子の間には、遮光膜93が形成されており、カラーフィルタ92R,92G,92Bを通過しない光は遮光膜93が遮断するようになっている。さらに、カラーフィルタ92R,92G,92Bの保護膜のTFTアレイ基板82側には対向電極94と配向膜95とが配置されている。
【0108】
液晶は、該液晶を挟持する電極に電圧を印加すると液晶分子の液晶の傾き角度が変化する性質を持っており、TFTのスイッチング動作により、液晶にかける電圧をコントロールして液晶の傾き角度を制御し、画素毎に光を透過させたり遮ったりする動作を行う。それにより、透過した光は、画素毎に相対して設置される赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色フィルタを有するカラーフィルタを透過することで、画素毎に対応する各色フィルタの色を色光として透過する。なお、光が液晶により遮られた画素に対応する色フィルタには当然光は入射しないため、黒色となる。このようにTFTのスイッチング動作により、液晶をシャッタとして動作させることにより、画素毎に光の透過をコントロールし、画素を明滅させることにより、カラー映像を表示させることができる。
【0109】
このような構造を有する液晶表示装置81の画像を表示する領域には、複数の画素がm行n列のマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素の各々には、画素信号をスイッチングするスイッチング素子であるTFT(Thin Film Transistor)が形成されている。画素信号を供給するデータ線(ソース配線)がTFTのソース電極に電気的に接続され、走査信号を供給する走査線(ゲート配線)がTFTのゲート電極に電気的に接続され、TFTのドレイン電極に画素電極96が電気的に接続されている。画素電極96はカラーフィルタ92R,92G,92Bの各フィルタ素子と対向する場所に形成されている。走査線が接続されるTFTのゲート電極には、所定のタイミングで、走査線からパルス信号の走査信号が供給される。
【0110】
画素電極96は、TFTのドレイン電極に電気的に接続されており、TFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線から供給される画素信号が各画素の画素電極96に所定のタイミングで供給される。このようにして画素電極96に供給された所定レベルの画素信号の電圧レベルは、図9に示す対向基板83の対向電極94との間で保持され、画素信号の電圧レベルに応じて、液晶85の光透過量が変化する。液晶表示装置81はカラーフィルタを備えており、カラーフィルタ92R,92G,92Bを透過する光を液晶85からなる液晶層を挟持する電極に印加する画像信号により制御することで、液晶表示装置81はカラー画像を表示することができる。
【0111】
画素電極96の対向基板83側には配向膜97が配置されている。配向膜95と配向膜97とにはその表面に溝状の凹凸が形成されており、配向膜95と配向膜97との間に充填された液晶85は、溝状の凹凸に沿って配列して形成される。
【0112】
TFTアレイ基板82及び対向基板83において、液晶85と反対側の面には、偏光シート98,99が配置され、偏光シート98,99及び液晶85の作用により、液晶表示装置81を透過する光透過量が変化するようになっている。
【0113】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、上述した液晶表示装置81における基板の分断方法について図10〜図17にて説明する。図10は、液晶表示装置の製造方法のフローチャートであり、図11〜17は液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
【0114】
図10のフローチャートにおいて、ステップS11はTFTアレイマザー基板の素子、配線、電極形成工程に相当し、TFTアレイマザー基板に素子、配線、電極等を形成する工程である。次にステップS12に移行する。ステップS12は接合工程に相当し、TFTアレイマザー基板と対向マザー基板とを接合する工程である。次にステップS13に移行する。ステップS13は対向マザー基板の第1スクライブ工程に相当し、対向マザー基板の一方向にスクライブする工程である。次にステップS14に移行する。ステップS14は対向マザー基板の第2スクライブ工程に相当し、対向マザー基板において、ステップS13でスクライブした方向と直交する方向にスクライブする工程である。次にステップS15に移行する。
【0115】
ステップS15はTFTアレイマザー基板の第1スクライブ工程に相当し、TFTアレイマザー基板の一方向にスクライブする工程である。次にステップS16に移行する。ステップS16はTFTアレイマザー基板の第2スクライブ工程に相当し、TFTアレイマザー基板において、ステップS15でスクライブした方向と直交する方向にスクライブする工程である。次にステップS17に移行する。ステップS17は対向マザー基板の分断工程に相当し、対向マザー基板を分断する工程である。次にステップS18に移行する。ステップS18はTFTアレイマザー基板の分断工程に相当し、TFTアレイマザー基板を分断する工程である。以上の工程により、液晶表示装置81が形成される。
【0116】
次に、図11〜図17を用いて、図10に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図11(a)は、TFTアレイ基板が区画形成されたマザー基板であるTFTアレイマザー基板を示す模式図である。図11(b)は、図11(a)のC−C’線に沿った模式断面図である。
【0117】
図11(a)及び図11(b)はステップS11に対応する図である。図11(a)及び図11(b)に示すように、基板及び第2の基板としてのTFTアレイマザー基板102は円板状に形成されている基板103の一つの面103aには、画素電極96が配列して形成され、画素電極96を覆う様に、配向膜97が形成され、表面に凹凸を形成する配向処理が施されている。基板103は、光透過性のある材質であれば良く、例えば、本実施形態では石英ガラスを採用している。
【0118】
TFTアレイマザー基板102には、各画素電極96に対応して図示しないTFTが配列して形成され、画素電極96とTFTとが電気的に接続されている。TFTに信号を送信するデータ線駆動回路87及び走査線駆動回路89とが形成され、TFTと、データ線駆動回路87及び走査線駆動回路89とを電気的に接続する配線104が形成されている。配線104は、アルミニウムを素材として採用されている。データ線駆動回路87と走査線駆動回路89とに対して外部から信号を入力する為の電極端子88が形成され、データ線駆動回路87及び走査線駆動回路89と電極端子88とを電気的に接続する配線90aが形成されている。配線90a,90b及び電極端子88は光透過性の導電膜により形成され、本実施形態では、導電膜にITO膜が採用されている。
【0119】
TFTアレイマザー基板102に形成されている以上の回路、素子、配線等は公知の方法により製造されており、説明を省略する。
【0120】
図12〜図13はステップS12に対応する図である。図12(a)に示す様に、基板103にシール材105を塗布する。シール材105は固化時に基板を接着可能であり、液晶に対して、影響を及ぼさない材料であれば良く、本実施形態では熱硬化性のエポキシ樹脂を採用している。シール材105は図8に示すシール84の様に、枠形状に塗布する。
【0121】
図12(b)に示す様に、基板103において、枠形状に塗布されているシール材105の内側にディスペンサを用いて液晶85を塗布する。図示しない真空チャンバに、液晶85が塗布されている基板103を配置して、真空チャンバ内を脱気して真空にする。
【0122】
図13(a)は、マザー基板を示す模式図であり、図13(b)は、図13(a)のD−D’線に沿った模式断面図である。図13(a)及び図13(b)に示すように、真空にした真空チャンバ中で、第1の基板としての対向マザー基板106とTFTアレイマザー基板102との相対位置を合わせて押圧する。対向マザー基板106には、図9に示すカラーフィルタ92R,92G,92B、遮光膜93、対向電極94が基板107に形成されている。TFTアレイマザー基板102に対向マザー基板106を押圧した後、真空チャンバ内に空気を流入する。大気圧によりTFTアレイマザー基板102と対向マザー基板106とが加圧される。
【0123】
対向マザー基板106とTFTアレイマザー基板102との相対位置を保持した状態で加熱して乾燥し、シール材105を固化してシール84を形成する。対向マザー基板106とTFTアレイマザー基板102とがシール84を介して接合されたマザー基板108が完成し、ステップS12が終了する。
【0124】
図8に示す液晶表示装置81を形成する為に、対向マザー基板106を分断する予定の面をH対向切断面109、V対向切断面110とし、TFTアレイマザー基板102を分断する予定の面をH素子切断面111、V素子切断面112と表記する。
H対向切断面109は、一点鎖線で示した対向マザー基板106の切断面であり、図13(a)のX軸方向に延在する切断面である。図13(a)に示した、109a,109b,109c,109d,109eは、それぞれH対向切断面109である。
【0125】
V対向切断面110は、一点鎖線で示した対向マザー基板106の切断面であり、図13(a)のY軸方向に延在する切断面である。図13(a)に示した、110a,110b,110cは、それぞれV対向切断面110である。
【0126】
H素子切断面111は、一点鎖線で示したTFTアレイマザー基板102の切断面であり、図13(a)のX軸方向に延在する切断面である。図13(a)に示した、111a,111b,111cは、それぞれH素子切断面111である。
【0127】
V素子切断面112は、一点鎖線で示したTFTアレイマザー基板102の切断面であり、図13(a)のY軸方向に延在する切断面である。V素子切断面112は、V対向切断面110と対向する場所に位置し、図13(a)に示した、112a,112b,112cは、それぞれV素子切断面112である。
【0128】
図14(a)〜図14(b)はステップS13に対応する図である。図14(a)に示す様に、対向マザー基板106の基板107の内部に、集光レンズ8でレーザ光56を集光して照射する。レーザ光56が集光して照射される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。集光レンズ8と基板107とを相対的に移動してレーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。まず、基板107において、TFTアレイマザー基板102側の面107bの近くに改質部57を配列して1段目の改質部57aを、基板107のV対向切断面110に沿って形成する。続いて、1段目と隣接する場所に改質部57を配列して2段目の改質部57bを形成する。3段目以降についても、同様の方法で、改質部57を配列して形成する。
【0129】
図13(a)に示す様に、TFTアレイマザー基板102において、V対向切断面110と対向する場所の近くには配線90aと配線90bとが形成されている。レーザ光56をV対向切断面110に沿って照射するとき、対向マザー基板106を通過するレーザ光56が、配線90aと配線90bとを照射する可能性がある。配線90aと配線90bとは、光透過性の導電膜により形成されていることから、レーザ光56は、配線90aと配線90bとを通過する。従って、配線90aと配線90bとが、レーザ光56により損傷を受けにくくなっている。
【0130】
図14(b)に示す様に、その結果、基板102のV対向切断面110総てに改質部57が配列して形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。
【0131】
図14(c)〜14(d)はステップS14に対応する図である。図14(c)に示す様に、対向マザー基板106の基板107の内部に、集光レンズ8でレーザ光56を集光して照射する。レーザ光56が集光して照射される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。ステップS13と同様に、集光レンズ8と基板107とを相対移動して、レーザ光56を照射し、改質部57が、基板107のH対向切断面109に沿って配列して形成される。
【0132】
図13(a)に示す様に、TFTアレイマザー基板102において、H対向切断面109と対向する場所の近くには電極端子88と配線90bとが形成されている。レーザ光56をH対向切断面109に沿って照射するとき、対向マザー基板106を通過するレーザ光56が、電極端子88と配線90bとを照射する可能性がある。電極端子88と配線90bとは、光透過性の導電膜により形成されていることから、レーザ光56は、電極端子88と配線90bとを通過する。従って、電極端子88と配線90bとが、レーザ光56により損傷を受けにくくなっている。
【0133】
図14(d)に示す様に、その結果、基板106のH対向切断面109総てに改質部57が配列して形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。
【0134】
図15(a)〜15(b)はステップS15に対応する図である。図15(a)に示す様に、TFTアレイマザー基板102の基板103の内部に、集光レンズ8でレーザ光56を集光して照射する。レーザ光56が集光して照射される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。ステップS13と同様に、集光レンズ8と基板103とを相対移動して、レーザ光56を照射し、改質部57が、基板103のV素子切断面112に沿って配列して形成される。
【0135】
図13(a)に示す様に、TFTアレイマザー基板102において、V素子切断面112の近くには配線90aと配線90bとが形成されている。レーザ光56をV素子切断面112に沿って照射するとき、TFTアレイマザー基板102を通過するレーザ光56が、配線90aと配線90bとを照射する可能性がある。配線90aと配線90bとは、光透過性の導電膜により形成されていることから、レーザ光56は、配線90aと配線90bとを通過する。従って、配線90aと配線90bとが、レーザ光56により損傷を受けにくくなっている。
【0136】
図15(b)に示す様に、その結果、基板103のV素子切断面112総てに改質部57が配列して形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。
【0137】
図15(c)〜15(d)はステップS16に対応する図である。図15(c)に示す様に、TFTアレイマザー基板102の基板103の内部に、集光レンズ8でレーザ光56を集光して照射する。レーザ光56が集光して照射される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。ステップS13と同様に、集光レンズ8と基板103とを相対移動して、レーザ光56を照射し、改質部57が、基板103のH素子切断面111に沿って配列して形成される。
【0138】
図13(a)に示す様に、TFTアレイマザー基板102において、H素子切断面111の近くには電極端子88と配線90bとが形成されている。レーザ光56をH素子切断面111に沿って照射するとき、TFTアレイマザー基板102を通過するレーザ光56が、電極端子88と配線90bとを照射する可能性がある。電極端子88と配線90bとは、光透過性の導電膜により形成されていることから、レーザ光56は、電極端子88と配線90bとを通過する。従って、電極端子88と配線90bとが、レーザ光56により損傷を受けにくくなっている。
【0139】
図15(d)に示す様に、その結果、基板103のH素子切断面111総てに改質部57が配列して形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。ステップS13〜ステップS16の工程により、H対向切断面109、V対向切断面110、H素子切断面111、V素子切断面112の総ての面に沿って改質部57が配列して形成される。
【0140】
図16(a)〜16(d)はステップS17に対応する図である。図16(a)に示す様に、続いて、マザー基板108を弾性材からなる台60の上に配置する。マザー基板108の対向マザー基板106が台60と接する様に配置し、TFTアレイマザー基板102において、V対向切断面110に配列して形成されているクラック部58と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。対向マザー基板106は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。対向マザー基板106は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
図16(b)に示す様に、その結果、対向マザー基板106は、V対向切断面110で分断される。
【0141】
図16(c)に示す様に、続いて、TFTアレイマザー基板102において、H対向切断面109に配列して形成されているクラック部58と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。対向マザー基板106は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。対向マザー基板106は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0142】
図16(d)に示す様に、その結果、対向マザー基板106は、H対向切断面109で分断され、いくつかの対向基板片107aに分割される。
【0143】
図17(a)に示す様に、続いて、マザー基板108のTFTアレイマザー基板102が台60と接する様に配置する。対向マザー基板106において、V素子切断面112に配列して形成されているクラック部58と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。TFTアレイマザー基板102は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。TFTアレイマザー基板102は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
図17(b)に示す様に、その結果、TFTアレイマザー基板102は、V素子切断面112で分断される。
【0144】
図17(c)に示す様に、続いて、対向マザー基板106において、H素子切断面111に配列して形成されているクラック部58と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。TFTアレイマザー基板102は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。TFTアレイマザー基板102は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0145】
図17(d)に示す様に、その結果、TFTアレイマザー基板102は、H素子切断面111で分断され、いくつかのTFTアレイ基板片103bに分割される。以上の工程により、マザー基板108が分割されて、図8に示す液晶表示装置81の形状に形成され、図9に示す偏光シート98,99を接着して液晶表示装置81が完成する。
【0146】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、液晶表示装置81を構成するTFTアレイマザー基板102において、H対向切断面109及びV対向切断面110と対向する場所の近くには、電極端子88及び配線90a,90bが形成されている。電極端子88及び配線90a,90bは、光透過性の導電膜により形成されている。
【0147】
対向マザー基板106を分断するとき、改質部57を形成する為に用いるレーザ光56を照射するとき、TFTアレイマザー基板102に形成されている電極端子88及び配線90a,90bは、光透過性であることから損傷を受けにくくなっている。従って、対向マザー基板106を分断するときに、TFTアレイマザー基板102に形成されている電極端子88及び配線90a,90bの損傷が防止できる液晶表示装置81の製造方法とすることができる。
【0148】
(2)本実施形態によれば、液晶表示装置81を構成するTFTアレイマザー基板102において、H素子切断面111及びV素子切断面112の近くには、電極端子88及び配線90a,90bが形成されている。電極端子88及び配線90a,90bは、光透過性の導電膜により形成されている。
【0149】
TFTアレイマザー基板102を分断するとき、改質部57を形成する為に用いるレーザ光56を照射するとき、TFTアレイマザー基板102に形成されている電極端子88及び配線90a,90bは、光透過性であることから損傷を受けにくくなっている。従って、TFTアレイマザー基板102を分断するときに、TFTアレイマザー基板102に形成されている電極端子88及び配線90a,90bの損傷が防止できる液晶表示装置81の製造方法とすることができる。
【0150】
(3)本実施形態によれば、液晶表示装置81はスイッチング素子(TFT)を有している。スイッチング素子は、電気信号を元に電流の流れを切り替えて、画素電極96に流す電流を制御している。画素電極96個々に電流を供給する配線を形成する方法に比べて、配線の数を減らすことができることから、配線の設計をしやすい液晶表示装置81とすることができる。
(第4の実施形態)
【0151】
次に、上記の第3の実施形態の液晶表示装置81を備えた電子機器について説明する。
図18は、パーソナルコンピュータに液晶表示装置を搭載した例を示す概略斜視図である。図18に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピュータ120の本体は、情報を表示する表示部に、表示装置121を備えている。この表示装置121に、第3の実施形態により製造された液晶表示装置81が配置されている。パーソナルコンピュータ120に配置されている表示装置121は上記した第3の実施形態により製造され、表示装置121における基板は、基板に配置されている素子等がレーザ光により損傷を殆ど受けずにスクライブされて分断されている。従って、パーソナルコンピュータ120は、基板に配置されている素子等がレーザ光により損傷を殆ど受けずにスクライブされて分断されている液晶表示装置81を、表示部に備えた電子機器となっている。
【0152】
尚、本発明は上述した第1〜第4の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
【0153】
(変形例1)
前記第1及び、第2の実施形態では、第1の基板35,71と第2の基板36,65との2枚の基板を接合して実施しているが、基板を3枚以上接合して実施するときにも、同様の方法にて実施できる。そのとき、前記第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0154】
(変形例2)
前記第1及び、第2の実施形態では、第1の基板35,71にレーザ光56を照射する場所と対応する第2の基板36,65の近くの場所に形成する配線及び実装端子を、光透過性の導電膜により形成している。第2の基板36,65に限らず、第1の基板35,71において、配線及び実装端子を形成し、その配線及び実装端子のうち、レーザ光56が照射される可能性のある場所の配線及び実装端子は、光透過性の導電膜により形成しても良い。そのとき、前記第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0155】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、第1の基板35及び、第2の基板36に石英ガラスを用い、前記第2の実施形態では、第1の基板71及び、第2の基板65に石英ガラスを用いている。前記第3の実施形態では、対向マザー基板106とTFTアレイマザー基板102に石英ガラスを用いている。これに限らず、光透過性があり、液晶表示装置81を構成できる脆性材料であれば良い。例えば、石英ガラスの他に、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)等のホウ珪酸ガラス、OA−10(日本電気硝子社製)等の無アルカリガラス、ネオセラム(登録商標)等の耐熱結晶化ガラス、光学ガラス、水晶等を挙げることができる。
【0156】
(変形例4)
前記第3の実施形態では、液晶表示装置81に本発明の基板の分断方法を用いたが、液晶表示装置81以外の電気光学装置にも用いることができる。基板を備えた電気光学装置として、例えば、プラズマディスプレイ、有機EL(ELECTROLUMINESCENCE)ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等における基板の分断手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、基板を分断する工程でレーザ光56により配線や実装端子の損傷が防止できる基板を備えた電気光学装置を提供することができる。
【0157】
(変形例5)
前記第4の実施形態で、液晶表示装置81をパーソナルコンピュータ120の表示装置121に用いたが、これに限定されない。例えば、電子ブック、携帯電話、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル等の電子機器の画像表示手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、表示装置121に、基板を分断する工程でレーザ光56により配線や実装端子の損傷が防止できる基板を備えた液晶表示装置81を有する電子機器を提供することができる。
【0158】
(変形例6)
前記第1〜第2の実施形態では、レーザ光源2にYAGレーザを用いたが、フェムト秒レーザを用いても良い。出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、チタンサファイアを固体光源とするレーザ光をフェムト秒のパルス幅で出射するいわゆるフェムト秒レーザを採用しても良い。発光条件及び集光レンズの条件の例としては、パルスレーザ光は、波長分散特性を有しており、中心波長が800nmであり、その半値幅はおよそ20nmである。またパルス幅はおよそ300fs(フェムト秒)、パルス周期は1kHz、出力はおよそ700mWである。集光レンズは、この場合、倍率が100倍、開口数(NA)が0.8、WD(Working Distance)が3mmの対物レンズを採用しても良い。
【0159】
(変形例7)
前記第3の実施形態では、ステップS13及びステップS14において、対向マザー基板106をスクライブした後、マザー基板108を反転して、TFTアレイマザー基板102をスクライブした。対向マザー基板106をスクライブした後、マザー基板108を反転せず、マザー基板108側からTFTアレイマザー基板102にレーザ光56を照射してスクライブしても良い。マザー基板108を反転する工程を削減できることから、生産性良く製造する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】第1の実施形態に係るレーザ照射装置の構成を示す概略図。
【図2】基板の分断方法のフローチャート。
【図3】(a)〜(e)は、基板の分断方法を説明する図。
【図4】(a)〜(d)は、基板の分断方法を説明する図。
【図5】(a)〜(c)は、第2の実施形態に係る基板の分断方法を説明する図。
【図6】(a)〜(c)は、基板の分断方法を説明する図。
【図7】(a)及び(b)は、基板の分断方法を説明する図。
【図8】第3の実施形態に係る液晶表示装置の模式平面図。
【図9】液晶表示装置の模式断面図。
【図10】液晶表示装置の製造方法のフローチャート。
【図11】(a)及び(b)は、液晶表示パネルが区画形成されたTFTアレイマザー基板を示す模式図。
【図12】(a)及び(b)は、液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図13】(a)及び(b)は、液晶表示パネルが区画形成されたマザー基板を示す模式図。
【図14】(a)〜(d)は、液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図15】(a)〜(d)は、液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図16】(a)〜(d)は、液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図17】(a)〜(d)は、液晶表示装置の製造方法を説明する図。
【図18】第4の実施形態に係るパーソナルコンピュータを示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0161】
35,72…第1の基板、36,65…第2の基板、41,46a,46b,46c,46d,46e,49,50,54,90a,90b…導電膜としての配線、42a,42b,47,48,51,52,53,66,67,68,88…導電膜としての電極端子、56…レーザ光、57…改質部、81…電気光学装置としての液晶表示装置、102…基板及び第2の基板としてのTFTアレイマザー基板、106…第1の基板としての対向マザー基板、120…電子機器としてのパーソナルコンピュータ。

【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦


【公開番号】 特開2008−770(P2008−770A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171008(P2006−171008)