トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 レーザー切断加工時のスクラップ除去方法及びスクラップ除去装置
【発明者】 【氏名】山本 陽一

【要約】 【課題】レーザー切断加工時のスクラップ除去方法及びスクラップ除去装置において、設備全体の大型化を抑えると共にスクラップ片の排出を容易にし、かつコストを抑える。

【構成】ワークWの切断除去部にレーザー加工ヘッド36により線材挿通孔Wbを形成し、該線材挿通孔Wbを通じてワークWの袋状部内へ巻き癖を有するバネ線材11を供給し、該バネ線材11に前記切断除去部の裏側で発条体11aを形成させると共に、レーザー切断加工により前記切断除去部をスクラップ片とした後には、前記バネ線材11により前記スクラップ片を吊り下げて前記袋状部の外部に取り出し、かつ前記バネ線材11を回収して前記スクラップ片から抜き取ることで、該スクラップ片を前記袋状部の外部に排出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの袋状部にレーザー切断加工装置によるレーザー切断加工をする際、該加工により生じたスクラップ片を前記袋状部の外部に排出する方法であって、
前記ワークの切断除去部に、前記レーザー切断加工装置のレーザー加工ヘッドにより線材挿通孔を形成し、該線材挿通孔を通じて前記袋状部内へ巻き癖を有する線材を供給し、該線材に前記切断除去部の裏側で発条体を形成させると共に、前記切断除去部の周囲に前記レーザー加工ヘッドによりレーザー切断加工を施して該切断除去部を前記スクラップ片とした後には、前記線材により前記スクラップ片を吊り下げて前記袋状部の外部に取り出し、かつ前記線材を回収して前記スクラップ片から抜き取ることで、該スクラップ片を前記袋状部の外部に排出することを特徴とするレーザー切断加工時のスクラップ除去方法。
【請求項2】
ワークの袋状部にレーザー切断加工装置によるレーザー切断加工をする際、該加工により生じたスクラップ片を前記袋状部の外部に排出する装置であって、
前記レーザー切断加工装置のレーザー加工ヘッドに隣接する線材給排口より巻き癖を有する線材を給排する線材給排手段と、前記レーザー加工ヘッドに対して前記線材給排口を移動させる給排口移動手段と、前記ワークに対して前記線材給排口を進退させる給排口進退手段とを備え、
前記ワークの切断除去部に形成した線材挿通孔に対し、前記給排口進退手段により前記線材給排口を近接させ、前記線材給排手段により前記線材挿通孔を通じて前記袋状部内へ前記線材を供給し、該線材に前記切断除去部の裏側で発条体を形成させると共に、前記切断除去部の周囲に前記レーザー加工ヘッドによりレーザー切断加工を施して該切断除去部を前記スクラップ片とした後には、前記線材により前記スクラップ片を吊り下げて前記袋状部の外部に取り出し、かつ前記線材給排手段により前記線材を回収して前記スクラップ片から抜き取ることで、該スクラップ片を前記袋状部の外部に排出することを特徴とするレーザー切断加工時のスクラップ除去装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークの袋状部に対するレーザー切断加工時のスクラップ除去方法及びスクラップ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、箱型構造部品をレーザーにより孔開け加工する際に、発生したスクラップ片が箱型構造部品内に落下することを防止する技術が開示されている。これは、ワイヤ切断装置及び自動溶接装置を用いて一定寸法に切断したワイヤを切断箇所に予め溶着し、孔開け加工の途中で切断を一時停止して前記ワイヤをクランプ装置でクランプすることで、切断完了時にスクラップ片が箱型構造部品内に落下することを防止する。
特許文献2には、被加工物をレーザーにより孔開け加工する際に、発生したスクラップ片を被加工物内から磁力又はエア吸引力により取り除く技術が開示されている。
特許文献3には、レーザーロボットにより切断加工する際に、発生したスクラップ片を外部に排出する技術が開示されている。これは、レーザー加工ヘッドにスクラップ片を吸引、捕捉するための負圧搬送手段及び電磁石磁極棒を配設し、切断終了直前に電磁石を励磁すると共に切断終了と同時に磁極棒でスクラップ片を磁着し、次いで負圧搬送手段を作動させると共に電磁石磁極棒を消磁することで、負圧搬送手段によりスクラップ片を外部に排出する。
【特許文献1】特開平4−143089号公報
【特許文献2】実公平4−42078号公報
【特許文献3】特開平6−344173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の技術は、孔開け加工毎に切断箇所に新規のワイヤを溶着する必要があるため、作業が煩雑でかつワイヤ分のコストが嵩むという問題がある。また、ワイヤ切断装置や自動溶接装置をレーザー加工装置に併設する必要があるため、設備全体が大型化するという問題がある。
上記特許文献2の技術は、被加工物内にスクラップ片が落下した際に該スクラップ片の位置ずれが生じた場合には、スクラップ片の取り出し時に被加工物と干渉して該スクラップ片が取り出し難くなるという問題がある。
上記特許文献3の技術は、レーザー加工ヘッドが大型化し、かつ電磁石磁極棒の励磁装置や負圧搬送手段の負圧発生装置が必要となるため、設備全体が大型化するという問題がある。
そこでこの発明は、レーザー切断加工時のスクラップ除去方法及びスクラップ除去装置において、設備全体の大型化を抑えると共にスクラップ片の排出を容易にし、かつコストを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、ワーク(例えば実施例のワークW)の袋状部にレーザー切断加工装置(例えば実施例のレーザー切断加工装置1)によるレーザー切断加工をする際、該加工により生じたスクラップ片(例えば実施例のスクラップ片Wc)を前記袋状部の外部に排出する方法であって、前記ワークの切断除去部(例えば実施例の切断除去部Wa)に、前記レーザー切断加工装置のレーザー加工ヘッド(例えば実施例のレーザー加工ヘッド36)により線材挿通孔(例えば実施例の線材挿通孔Wb)を形成し、該線材挿通孔を通じて前記袋状部内へ巻き癖を有する線材(例えば実施例のバネ線材11)を供給し、該線材に前記切断除去部の裏側で発条体(例えば実施例の発条体11a)を形成させると共に、前記切断除去部の周囲に前記レーザー加工ヘッドによりレーザー切断加工を施して該切断除去部を前記スクラップ片とした後には、前記線材により前記スクラップ片を吊り下げて前記袋状部の外部に取り出し、かつ前記線材を回収して前記スクラップ片から抜き取ることで、該スクラップ片を前記袋状部の外部に排出することを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、ワーク(例えば実施例のワークW)の袋状部にレーザー切断加工装置(例えば実施例のレーザー切断加工装置1)によるレーザー切断加工をする際、該加工により生じたスクラップ片(例えば実施例のスクラップ片Wc)を前記袋状部の外部に排出する装置であって、前記レーザー切断加工装置のレーザー加工ヘッド(例えば実施例のレーザー加工ヘッド36)に隣接する線材給排口(例えば実施例の線材給排口6a)より巻き癖を有する線材(例えば実施例のバネ線材11)を給排する線材給排手段(例えば実施例の線材給排装置20)と、前記レーザー加工ヘッドに対して前記線材給排口を移動させる給排口移動手段(例えば実施例の給排口移動装置14)と、前記ワークに対して前記線材給排口を進退させる給排口進退手段(例えば実施例の給排口昇降装置13)とを備え、前記ワークの切断除去部(例えば実施例の切断除去部Wa)に形成した線材挿通孔(例えば実施例の線材挿通孔Wb)に対し、前記給排口進退手段により前記線材給排口を近接させ、前記線材給排手段により前記線材挿通孔を通じて前記袋状部内へ前記線材を供給し、該線材に前記切断除去部の裏側で発条体(例えば実施例の発条体11a)を形成させると共に、前記切断除去部の周囲に前記レーザー加工ヘッドによりレーザー切断加工を施して該切断除去部を前記スクラップ片とした後には、前記線材により前記スクラップ片を吊り下げて前記袋状部の外部に取り出し、かつ前記線材給排手段により前記線材を回収して前記スクラップ片から抜き取ることで、該スクラップ片を前記袋状部の外部に排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載した発明によれば、ワークの切断除去部に形成した線材挿通孔を通じて袋状部内へ線材を供給し、該線材に切断除去部の裏側で発条体を形成させることで、切断除去部がスクラップ片となった後にはこれを線材により吊下可能とし、かつ該スクラップ片を袋状部の外部に取り出すと共に線材を回収してこれをスクラップ片から抜き取ることで、該スクラップ片を袋状部の外部に排出可能となる。
すなわち、線材給排装置を主にスクラップ除去装置を簡素に構成でき、設備全体の大型化を抑えると共にスクラップ片の排出を容易かつ確実に行うことができる。また、所定回数のレーザー切断加工に対して同一の線材を繰り返し用いることができ、加工コストの低減を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1と同様の作用効果に加え、ワークに対して線材給排口を進退させることで、線材挿通孔に線材を確実に挿通できると共に、その後に線材給排口をレーザー加工ヘッドと共に比較的自由に移動させることが可能となり、簡素な構成で様々な形状のレーザー切断加工に対応できる。このとき、レーザー加工ヘッドからのレーザー光線が線材を横断しないように線材給排口を移動させつつレーザー切断加工を行うことが可能となり、レーザー加工ヘッドが切断除去部外周を往復動等しなくとも一度の周回のみで全周をカットすることが可能となり、加工コストのさらなる低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1に示すレーザー切断加工装置1は、多関節ロボット1aのアーム先端部にレーザー光線照射用のレーザー加工ヘッド36を支持してなるもので、ワークWの袋状部にレーザー切断加工を施した際に該加工により生じたスクラップ片Wcを前記袋状部の外部に排出するためのスクラップ除去装置12を備える。以下、図中矢印FRは前方を、矢印LHは左方を、矢印UPは上方を示すものとする。
【0009】
多関節ロボット1aのアームは、レーザー加工ヘッド36側の第一アーム3a部及び土台側の第二アーム3b部を主としてなる。
図2を併せて参照し、第一アーム3a部の先端には、略L字型に屈曲した板状の支持部材2の立面部2bが取り付けられる。支持部材2の平面部2aには、レーザー加工ヘッド36及びスクラップ除去装置12における後述の給排口昇降装置13等が支持される。
【0010】
レーザー加工ヘッド36は、支持部材2の平面部2aから下方に延びる円筒状をなし、その上端部が軸線中心で回転自在となるように平面部2aに支持される。レーザー加工ヘッド36の下端はレーザー照射部36aとされ、該レーザー照射部36aから下方に向けて前記軸線上でレーザー光線が照射される。レーザー加工ヘッド36の上端部は平面部2a上に位置し、該上端部には従動ギヤ4が同軸固定される。平面部2a上には、前記従動ギヤ4に不図示の駆動ギヤを噛み合わせるサーボモータ10が支持される。レーザー加工ヘッド36の上端からは、レーザー光線導入用の光ファイバーケーブル5が上方に延出する。
【0011】
図5,6を併せて参照し、スクラップ除去装置12は、ワークWに形成した線材挿通孔Wbを通じて袋状部内に巻き癖を有するバネ線材11を供給し、該バネ線材11に袋状部内で巻き形状を形成させることで、レーザー切断加工により生じたスクラップ片Wcをバネ線材11により吊下可能とし、該スクラップ片Wcを袋状部外に除去可能とする。バネ線材11は、無負荷の状態かつ常温下で巻き形状を形成するべく巻き癖がつけられたバネ鋼製のものであるが、昇温により前記巻き癖を発生させる形状記憶合金製のものや、前記何れかの特性を有する樹脂製のものであってもよい。
【0012】
バネ線材11は、線材給排装置20から繰り出され又は巻き取られる。線材給排装置20は、第一アーム3a部の基端部上に支持される駆動部20aから、バネ線材11を摺動自在に挿通させる可撓性を有するガイドパイプ6を延出してなる。ガイドパイプ6は、レーザー加工ヘッド36の上端部内を通過した後、その先端側が支持部材2の平面部2aの下方においてレーザー加工ヘッド36と隣接して配置される。なお、支持部材2の立面部2bの上端部には、光ファイバーケーブル5及びガイドパイプ6を遊挿させるガイド枠2cが設けられる。
【0013】
支持部材2の平面部2aの下方には、上下に延びる昇降シリンダ7が光ファイバーケーブル5及びガイドパイプ6と隣接して配置される。昇降シリンダ7は、その上側にシリンダ本体7aを、下側にピストンロッド7bを配置してなり、シリンダ本体7aの上端部がレーザー加工ヘッド36に支持されると共に、ピストンロッド7bの下端部にはこれと略直交する支持板8が取り付けられる。支持板8にはこれを貫通するガイドパイプ6が支持され、該ガイドパイプ6の先端部が支持板8の下方に突出する。ガイドパイプ6の下端開口は、バネ線材11を供給又は回収する線材給排口6aとされる。この線材給排口6aが、昇降シリンダ7及び支持板8を主とする給排口昇降装置13により昇降可能とされる。
【0014】
ここで、レーザー加工ヘッド36がワークWに対してレーザー切断加工を行う状態において、ガイドパイプ6の下端開口(線材給排口6a)は、昇降シリンダ7の伸長動作によりワークW表面に当接可能であり、かつ昇降シリンダ7の短縮動作によりワークW表面から離間する。すなわち、前記給排口昇降装置13の作動により、線材給排口6aがワークWに対して進退可能である。
【0015】
また、前記サーボモータ10の作動により従動ギヤ4と共にレーザー加工ヘッド36がその軸回りに回転すると、該レーザー加工ヘッド36と共にこれと隣接する昇降シリンダ7及びガイドパイプ6も一体に回転し、もってレーザー加工ヘッド36に対する相対位置を前後左右に変化させる。すなわち、サーボモータ10及び従動ギヤ4を主とする給排口移動装置14により、ガイドパイプ6の線材給排口6aがレーザー加工ヘッド36のレーザー照射部36a周りを回転移動可能である。
【0016】
図3,4に示すように、線材給排装置20の駆動部20aは、基板21上に両側壁22a,22c及びこれらに渡る中央壁22bを立設して平面視略コ字型の支持フレーム22を形成し、該支持フレーム22の中央壁22bの外側に駆動モータ23を支持してなる。支持フレーム22の内側には、駆動モータ23の駆動軸23aに取り付けられた駆動ローラ24が配設される。駆動モータ23の駆動軸23aの先端部は、両側壁22a,22cに跨って取り付けられた軸受け板25の軸受け25aに回転自在に支持される。
【0017】
支持フレーム22における一方の側壁22cの上端部には、従動ローラ26を支持する支持アーム27の一端部が、ブラケット28を介して揺動可能に支持される。また、支持フレーム22における他方の側壁22aの上端部には、前記支持アーム27の他端部に挿通される支持棒29の下端部がブラケット30を介して揺動可能に支持される。支持棒29の上部はネジ部29aとされ、該ネジ部29aにはナット部材31が螺着される。ナット部材31下面の上受け部材32と支持アーム27他端部上面の下受け部材33との間には、所定のコイルスプリング34が縮設される。
【0018】
従動ローラ26の外周下端は駆動ローラ24の外周上端の直上に位置し、従動ローラ26にコイルスプリング34の弾性力が作用することで、従動ローラ26下端が駆動ローラ24上端に押圧状態で当接する。駆動ローラ24の外周には、バネ線材11をその断面の半分程度のみ入り込ませるV字溝24aが形成される。支持フレーム22における前記一方の側壁22cには前記ガイドパイプ6の基端部が貫通支持され、前記他側の側壁22aには不図示の線材収納部から延びる上流側ガイドパイプ35の先端部が貫通支持される。
【0019】
ガイドパイプ6の基端及び上流側ガイドパイプ35の先端は互いに対向しており、上流側ガイドパイプ35内から延びるバネ線材11は、前記V字溝24aに入り込んだ状態で両ローラ24,26に挟持され、かつその下流側でガイドパイプ6内に挿通される。そして、駆動モータ23の作動により両ローラ24,26が回転駆動してバネ線材11を何れかのガイドパイプ6,35側に送ることで、前記ガイドパイプ6の線材給排口6aからバネ線材11が供給又は回収される。
【0020】
次に、上記レーザー切断加工装置1によりワークWの袋状部にレーザー切断加工を行うと共に、該加工により生じたスクラップ片Wcを前記袋状部の外部に排出する工程について説明する。
まず、図5に示すように、多関節ロボット1aの作動により、ワークWの袋状部の切断除去部(スクラップ形成部)Waの略中央部の上方にレーザー加工ヘッド36先端のレーザー照射部36aを移動させ、該レーザー照射部36aからレーザー光線を照射して前記切断除去部Waの略中央部に線材挿通孔Wbを形成する。このとき、ガイドパイプ6は、その先端の線材給排口6aをワークW表面から離間させている。
【0021】
次いで、図6に示すように、多関節ロボット1aの作動により線材挿通孔Wbの上方からレーザー加工ヘッド36を退避させると共に該線材挿通孔Wbの上方にガイドパイプ6先端の線材給排口6aを移動させた後、昇降シリンダ7の伸長作動により前記線材給排口6aをワークW表面に当接させる。この状態で、前記駆動部20aの駆動モータ23を作動させて両ローラ24,26によりバネ線材11をガイドパイプ6内に送り込むことで、ガイドパイプ6先端の線材給排口6aからバネ線材11が繰り出され、該バネ線材11が線材挿通孔Wbを通じて袋状部内に供給される。
【0022】
袋状部内に供給されたバネ線材11は、切断除去部Waの裏面側(内面側)で直ちに巻き形状を形成する。このバネ線材11が袋状部内に所定長さだけ供給されると、該バネ線材11が切断除去部Waの裏面側で発条状に巻回して発条体11aを形成し、充分な弾発力をもって切断除去部Waの裏面に当接する。
【0023】
次いで、図7に示すように、昇降シリンダ7の短縮作動によりガイドパイプ6の線材給排口6aをワークW表面から離間させると共に、図8に示すように、多関節ロボット1aの作動によりレーザー加工ヘッド36のレーザー照射部36aを切断除去部Wa外周の切断開始位置の上方に移動させる。このとき、ガイドパイプ6の線材給排口6aとワークWの線材挿通孔Wbとの間に渡るバネ線材11が撓むと共にその一部が袋状部の内外に出入りすることで、線材給排口6aと線材挿通孔Wbとの間の相対位置の変化に対応できる。また、袋状部内へのバネ線材11の供給長さを充分に確保しておくことで、切断除去部Wa裏面への弾発力を低下させることもない。
【0024】
次いで、レーザー照射部36aからレーザー光線を照射しつつ多関節ロボット1aを作動させて切断除去部Wa外周のレーザー切断加工を開始する。このとき、図9に示すように、レーザー加工ヘッド36の切断除去部Wa外周の周回に同期するように、前記給排口移動装置14のサーボモータ10の作動によりレーザー加工ヘッド36と共にガイドパイプ6を回転させ、レーザー照射部36a周りに線材給排口6aを回転移動させることで、レーザー照射部36a、線材給排口6a、及び線材挿通孔Wbの相対位置関係を略一定に保つことが可能であり、レーザー光線がバネ線材11を横断し切断することを防止できる。
【0025】
なお、図9に示すように、平面視円形状の切断除去部Waであれば、その略中心部に形成した線材挿通孔Wbから外周までの距離が全周に渡ってほとんど変化しないが、図10に示すように、例えば平面視方形状の切断除去部Waであれば、その略中心部に形成した線材挿通孔Wbから外周までの距離が比較的大きく変化する。このような変化に対しても、前述の如くガイドパイプ6の線材給排口6aとワークWの線材挿通孔Wbとの間に渡るバネ線材11が撓むと共に袋状部の内外に出入りすることで対応可能である。
【0026】
また、切断除去部Waの全周を切断する際には、レーザー加工ヘッド36がその軸回りに略一回転することとなるが、切断加工後にレーザー加工ヘッド36の逆転動作を行うか、あるいは全周切断前に一端レーザー光線の照射を停止してレーザー加工ヘッド36の逆転動作を行うことで、特別な構造を用いることなく光ファイバケーブル5やバネ線材11の捻れを抑えることが可能である。また、レーザー加工ヘッド36の自転を切断除去部Wa外周の周回に完全に同期させず、例えば断続的に自転させる等によっても、レーザー光線がバネ線材11を横断しないようにレーザー加工ヘッド36とガイドパイプ6との位相をコントロール可能である。
【0027】
レーザー加工ヘッド36が前記切断開始位置の上方に戻り、切断除去部Wa全周の切断加工が終了すると、該切断除去部WaがワークWから独立したスクラップ片Wcとなる。このとき、スクラップ片Wcがその裏面側に形成された発条体11aの弾発力により保持されてバネ線材11からの抜けが防止されることで、該スクラップ片Wcをバネ線材11により吊り下げて袋状部内への落下を防止できる。
【0028】
そして、多関節ロボット1aの作動によりバネ線材11に吊下されたスクラップ片Wcを不図示の排出トレイ上に移動させた後、線材給排装置20の作動によりバネ線材11を回収してこれをスクラップ片Wcから抜き取ることで、スクラップ片Wc裏面側の発条体11aを消失させてその保持を解除し、該スクラップ片Wcを排出トレイに落下させて排出可能である。
なお、上述の工程を繰り返して複数のワークWに対する切断加工を行った後、バネ線材11の巻き癖が弱まった場合には、該バネ線材11の先端側を所定長さだけカットしてその新規部分を順次繰り出して使用すればよい。
【0029】
以上説明したように、上記実施例におけるスクラップ除去方法は、ワークWの袋状部にレーザー切断加工装置1によるレーザー切断加工をする際、該加工により生じたスクラップ片Wcを前記袋状部の外部に排出する方法であって、前記ワークWの切断除去部Waに、前記レーザー切断加工装置1のレーザー加工ヘッド36により線材挿通孔Wbを形成し、該線材挿通孔Wbを通じて前記袋状部内へ巻き癖を有するバネ線材11を供給し、該バネ線材11に前記切断除去部Waの裏側で発条体11aを形成させると共に、前記切断除去部Waの周囲に前記レーザー加工ヘッド36によりレーザー切断加工を施して該切断除去部Waを前記スクラップ片Wcとした後には、前記バネ線材11により前記スクラップ片Wcを吊り下げて前記袋状部の外部に取り出し、かつ前記バネ線材11を回収して前記スクラップ片Wcから抜き取ることで、該スクラップ片Wcを前記袋状部の外部に排出するものである。
【0030】
この構成によれば、ワークWの切断除去部Waに形成した線材挿通孔Wbを通じて袋状部内へバネ線材11を供給し、該バネ線材11に切断除去部Waの裏側で発条体11aを形成させることで、切断除去部Waがスクラップ片Wcとなった後にはこれをバネ線材11により吊下可能とし、かつ該スクラップ片Wcを袋状部の外部に取り出すと共にバネ線材11を回収してこれをスクラップ片Wcから抜き取ることで、該スクラップ片Wcを袋状部の外部に排出可能となる。
すなわち、線材給排装置20を主にスクラップ除去装置12を簡素に構成でき、設備全体の大型化を抑えると共にスクラップ片Wcの排出を容易かつ確実に行うことができる。また、所定回数のレーザー切断加工に対して同一のバネ線材11を繰り返し用いることができ、加工コストの低減を図ることができる。
【0031】
また、上記実施例におけるスクラップ除去装置12は、ワークWの袋状部にレーザー切断加工装置1によるレーザー切断加工をする際、該加工により生じたスクラップ片Wcを前記袋状部の外部に排出する装置であって、前記レーザー切断加工装置1のレーザー加工ヘッド36に隣接する線材給排口6aより巻き癖を有するバネ線材11を給排する線材給排装置20と、前記レーザー加工ヘッド36に対して前記線材給排口6aを移動させる給排口移動装置14と、前記ワークWに対して前記線材給排口6aを進退させる給排口昇降装置13とを備え、前記ワークWの切断除去部Waに形成した線材挿通孔Wbに対し、前記給排口昇降装置13により前記線材給排口6aを近接させ、前記線材給排装置20により前記線材挿通孔Wbを通じて前記袋状部内へ前記バネ線材11を供給し、該バネ線材11に前記切断除去部Waの裏側で発条体11aを形成させると共に、前記切断除去部Waの周囲に前記レーザー加工ヘッド36によりレーザー切断加工を施して該切断除去部Waを前記スクラップ片Wcとした後には、前記バネ線材11により前記スクラップ片Wcを吊り下げて前記袋状部の外部に取り出し、かつ前記線材給排装置20により前記バネ線材11を回収して前記スクラップ片Wcから抜き取ることで、該スクラップ片Wcを前記袋状部の外部に排出するものである。
【0032】
この構成によれば、上記スクラップ除去方法と同様の作用効果に加え、ワークWに対して線材給排口6aを進退させることで、線材挿通孔Wbにバネ線材11を確実に挿通できると共に、その後に線材給排口6aをレーザー加工ヘッド36と共に比較的自由に移動させることが可能となり、簡素な構成で様々な形状のレーザー切断加工に対応できる。このとき、レーザー加工ヘッド36からのレーザー光線がバネ線材11を横断しないように線材給排口6aを移動させつつレーザー切断加工を行うことが可能となり、レーザー加工ヘッド36が切断除去部Wa外周を往復動等しなくとも一度の周回のみで全周をカットすることが可能となり、加工コストのさらなる低減を図ることができる。
【0033】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば上記実施例では、ガイドパイプ6の線材給排口6aをレーザー加工ヘッド36のレーザー照射部36aに対して上下にのみ相対移動可能(昇降可能)とし、前後左右にはガイドパイプ6及びレーザー加工ヘッド36を一体的に水平移動させるようにしたが、これに対し、ガイドパイプ6をレーザー加工ヘッド36に対して相対的に昇降かつ水平移動可能に構成してもよい。この場合、図11に示すように、ガイドパイプ6の線材給排口6aをワークWの線材挿通孔Wbに当接させた状態でレーザー切断加工を行うことができ、切断除去部Wa(スクラップ片Wc)をガイドパイプ6先端と袋状部内の発条体11aとで常時安定して保持した状態で、レーザー切断加工及びスクラップ片Wcの排出作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施例におけるスクラップ除去装置を装着した多関節ロボットを示す斜視図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1のB部拡大正面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】上記スクラップ除去装置によりレーザー切断加工時にスクラップ片を除去する工程の第一作動説明図である。
【図6】上記工程の第二作動説明図である。
【図7】上記工程の第三作動説明図である。
【図8】上記工程の第四作動説明図である。
【図9】上記レーザー切断加工時の流れを(a)〜(d)の順で示す作用説明図である。
【図10】図9と異なるワークに対するレーザー切断加工時の流れを(a)〜(d)の順で示す作用説明図である。
【図11】上記実施例の応用例を示す図8に相当する作動説明図である。
【符号の説明】
【0035】
W ワーク
Wa 切断除去部
Wb 線材挿通孔
Wc スクラップ片
1 レーザー切断加工装置
6a 線材給排口
11 バネ線材(線材)
11a 発条体
13 給排口昇降装置(給排口進退手段)
14 給排口移動装置(給排口移動手段)
20 線材給排装置(線材給排手段)
36 レーザー加工ヘッド


【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−757(P2008−757A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169896(P2006−169896)