トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 電気光学装置及び電気光学装置の製造方法、ならびに電子機器
【発明者】 【氏名】黒木 泰宣

【要約】 【課題】スクライブするときに、レーザ光による損傷を受けにくい電気光学装置及び電気光学装置の製造方法、ならびに電子機器を提供すること。

【構成】基板52を分断して、端面55dを有する対向短冊基板55を形成する。次に、対向短冊基板55と素子マザー基板62とを接合する。接合後、V対向切断面68と、V素子切断面67及びH素子切断面をスクライブする。スクライブでは、基板52と基板63との内部に集光レンズ8を用いてレーザ光56を集光して照射し、改質部57を形成する。改質部57の中心にはクラック部58が形成され、クラック部58を配列して形成してスクライブする。このとき、素子マザー基板62において、対向短冊基板55のV対向切断面68と対向する場所には、素子、配線、端子のない場所を設定する。その後、配列して形成されたクラック部58を押圧し、張力を加えて分断する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、第2基板とを接合して形成する電気光学装置の製造方法であって、
前記第1基板が複数行且つ複数列形成されている第1マザー基板を分断して、前記第1基板が一行形成されている第1短冊基板を形成する第1基板第1形成工程と
前記第1短冊基板と前記第2基板が複数行且つ複数列形成されている第2マザー基板とを接合する接合工程と、
前記第1短冊基板を分断して、前記第1基板を形成する第1基板第2形成工程と、
前記第2マザー基板を分断して前記第2基板を形成する第2基板形成工程とを有し、
第1基板第2形成工程では、前記第1短冊基板にレーザ光を照射して改質部を形成し、分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記第1短冊基板において、第1マザー基板を分断して形成される辺の一部と対向する、前記第2マザー基板の場所には、レーザ光の照射により損傷する部材が配置されていることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記損傷する前記部材は、電極又は配線であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記第1基板第1形成工程では、前記第1マザー基板にレーザ光を照射して改質部を形成し、分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記第2基板形成工程では、前記第2マザー基板にレーザ光を照射して改質部を形成し、分断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記第1短冊基板及び前記第2マザー基板にはマークが形成され、
前記接合工程において、前記第1短冊基板に形成されているマークと、前記第2マザー基板に形成されているマークとを用いて、前記第1短冊基板と前記第2マザー基板との相対位置を合わせて接合することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置を表示部に備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法、ならびに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光透過性のある基板を品質良く切断するために、レーザ光を基板に照射して基板内部に改質領域(以下、改質部と称す。)を形成するレーザスクライブ方法が特許文献1に開示されている。それによると、パルス幅が1μs以下のレーザ光を出射し、集光レンズで基板内部に集光し、集光点におけるピークパワー密度を1×108(W/cm2)以上にする。これにより、加工対象物の内部に多光子吸収による改質部を形成するものである。
【0003】
また、このレーザスクライブ方法において、加工対象物の内部に形成される改質部あるいはこれを起点として形成される改質部の大きさは、集光レンズの特性と、レーザ光のピークパワー密度に依存する。例えば、上記特許文献1に示されたガラス(厚さ700μm)に対してYAGレーザを用いて切断する実施例では、集光レンズの開口数が0.55の場合、ピークパワー密度がおよそ1×1011(W/cm2)では、改質部の大きさは、およそ100μmである。また、ピークパワー密度がおよそ5×1011(W/cm2)では、およそ250μmである。基板の内部に改質部を配列して形成し、改質部を押圧することで、基板を改質部に沿って品質良く分断することができる。
【0004】
液晶表示装置などの表示装置は、外形が矩形の1対の基板を用いて、1対の基板の間に液晶や発光素子を配置して形成されることが多い。
【0005】
【特許文献1】特開2002−192371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1対の基板を接合した後に、基板にレーザ光を照射してスクライブするとき、レーザ光により形成される改質部を透過するレーザ光が存在する。集光レンズに近い場所に位置する基板に形成される改質部を透過するレーザ光は、集光レンズから離れている場所に位置する基板を照射する。集光レンズから離れている場所に位置する基板に、配線、端子、電気素子などが配置されているとき、改質部を透過するレーザ光はこれらを照射する。レーザ光を照射される配線、端子、電気素子は、レーザ光により損傷を受ける可能性がある。損傷を受ける配線、端子、電気素子は、電気的機能を正常に機能できなくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、スクライブするときに、レーザ光による損傷を受けにくい電気光学装置及び電気光学装置の製造方法、ならびに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電気光学装置の製造方法は、第1基板と、第2基板とを接合して形成する電気光学装置の製造方法であって、第1基板が複数行且つ複数列形成されている第1マザー基板を分断して、第1基板が一行形成されている第1短冊基板を形成する第1基板第1形成工程と第1短冊基板と第2基板が複数行且つ複数列形成されている第2マザー基板とを接合する接合工程と、第1短冊基板を分断して、第1基板を形成する第1基板第2形成工程と、第2マザー基板を分断して第2基板を形成する第2基板形成工程とを有し、第1基板第2形成工程では、第1短冊基板にレーザ光を照射して改質部を形成し、分断することを特徴とする。
【0009】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1マザー基板には第1基板が、複数行且つ複数列形成されている。第1基板第1形成工程では、第1マザー基板が分断され、第1短冊基板が形成される。第1マザー基板には第1基板が複数行形成されており、各行毎に分断される為、第1短冊基板には、1行分の第1基板が形成されている状態となる。
【0010】
第2マザー基板にも、第2基板が複数行且つ複数列形成されており、接合工程では、第1短冊基板と第2マザー基板とを接合する。続いて、第1基板第2形成工程において、第1短冊基板にレーザ光を照射して改質部を形成し、分断して、第1基板を形成する。第2基板形成工程では、第2マザー基板を分断して第2基板を形成する。
【0011】
一方、第1マザー基板と第2マザー基板とを接合し、第1マザー基板にレーザ光を照射して、電気光学装置の辺を形成する場合には、第1マザー基板を通過するレーザ光が第2マザー基板を照射する。第2マザー基板及び、第2マザー基板に形成されている素子、配線等の部材は、レーザ光が照射され、損傷を受ける可能性がある。
【0012】
本発明では、第1マザー基板から第1短冊基板が形成された後に、第1短冊基板と第2マザー基板とが接合される。従って、第1短冊基板と第2マザー基板とを接合した後、第1マザー基板を分断して形成された第1短冊基板の辺に、レーザ光を第1短冊基板に照射して改質部を形成する必要がない。
【0013】
つまり、第1基板第2形成工程にて、第1短冊基板における辺と対向する第2マザー基板の場所には、レーザ光が照射する必要がない為、第2マザー基板及び、第2マザー基板に素子、配線等の部材が形成されているとき、形成されている素子、配線等の部材には、レーザ光が照射され、損傷を受けることがない。
【0014】
さらに、第2マザー基板がレーザ光を通過する材料からなり、第2マザー基板において、第1基板と逆側に、第3の基板、素子、配線等の部材が形成されている場合がある。
このときにも、レーザ光を第1短冊基板に照射して改質部を形成する必要がない為、レーザ光が第2マザー基板を透過して、第2マザー基板において、第1基板と逆側に、配置されている第3の基板、素子、配線等の部材を照射して、損傷を与える可能性がない。その結果、電気光学装置は品質の良い装置とすることができる。
【0015】
本発明の電気光学装置の製造方法は、第1短冊基板において、第1マザー基板を分断して形成される辺の一部と対向する、第2マザー基板の場所には、レーザ光の照射により損傷する部材が配置されていることを特徴とする。
【0016】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1短冊基板において、第1基板第1形成工程で形成される辺の一部と対向する、第2マザー基板の場所には、レーザ光の照射により損傷する部材が配置されている。第1短冊基板の辺と対向する、第2基板の場所には、レーザ光を照射する必要がない。従って、第2マザー基板にレーザ光が照射されて、レーザ光の照射による損傷を受ける部材が配置されているときにも、レーザ光の照射により、損傷を受けることがない。その結果、電気光学装置は品質の良い装置とすることができる。
【0017】
本発明の電気光学装置の製造方法では、損傷する部材は、電極又は配線であることを特徴とする。
【0018】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1短冊基板において、第1基板第1形成工程で形成される辺の一部と対向する、第2マザー基板の場所には、レーザ光を照射する必要がない。従って、第1短冊基板の辺に対向する、第2マザー基板の場所に電極又は配線を配置することができる。従って、電極、配線の配置を設計し易い電気光学装置の製造方法とすることができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の製造方法は、第1基板第1形成工程では、第1マザー基板にレーザ光を照射して改質部を形成し、分断することを特徴とする。
【0020】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1基板第1形成工程では、第1マザー基板にレーザ光が照射され、改質部が形成されて、分断される。従って、第1基板第1形成工程では、乾式で分断することができる。また、分断するときに、基板の破片が分離することが少ないことから、洗浄が不要となる。つまり、第1マザー基板を濡らすことなく外形の一部を形成することができる。第1マザー基板に、洗浄により性能が劣化する可能性のある膜が形成されているときにも、洗浄することなく外形の一部を形成することができる。その結果、電気光学装置は品質の良い装置とすることができる。
【0021】
本発明の電気光学装置の製造方法は、第2基板形成工程では、第2マザー基板にレーザ光を照射して改質部を形成し、分断することを特徴とする。
【0022】
この電気光学装置の製造方法によれば、第2基板形成工程では、第2マザー基板にレーザ光が照射され、改質部が形成されて、分断される。従って、分断するときに、基板の破片が分離することが少ない。基板の破片が電極及び製造装置等に付着して不具合を生じることを少なくすることができる。その結果、電気光学装置は品質の良い装置とすることができる。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法では、第1短冊基板及び第2マザー基板にはマークが形成され、接合工程において、第1短冊基板に形成されているマークと、第2マザー基板に形成されているマークとを用いて、第1短冊基板と第2マザー基板との相対位置を合わせて接合することを特徴とする。
【0024】
この電気光学装置の製造方法によれば、第1短冊基板及び第2マザー基板にはマークが形成されている。接合工程において、第1短冊基板に形成されているマークと、第2マザー基板に形成されているマークとを用いて、第1短冊基板と第2マザー基板とは、相対位置を合わせて接合される。従って、第1短冊基板と第2マザー基板とは位置精度良く所定の位置に接合される。その結果、電気光学装置は品質の良い装置とすることができる。
【0025】
本発明の電気光学装置は、上記に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造されていることを特徴とする。
【0026】
この電気光学装置によれば、電気光学装置は、第2基板に素子、配線が形成されているとき、レーザ光により損傷を殆ど受けることなく製造される。従って、品質良く製造される電気光学装置とすることができる。
【0027】
本発明の電子機器は、上記に記載の電気光学装置を表示部に備えることを特徴とする。
【0028】
この電子機器によれば、電子機器は、表示部に上記の電気光学装置を備えている。この電気光学装置は、第2基板がレーザ光により損傷を殆ど受けることなく製造され、品質良く製造されている。従って、この電子機器は、表示部に第2基板がレーザ光により損傷を受けることなく製造され、品質良く製造される電気光学装置を備えている電子機器とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施例について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
【0030】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るレーザスクライブ方法について図1〜図10に従って説明する。
【0031】
最初にレーザ照射装置について説明する。図1は、レーザ照射装置の構成を示す概略図である。
図1に示すように、レーザ照射装置1は、レーザ光を出射するレーザ光源2と、出射されたレーザ光をワークに照射する光学経路部3と、光学経路部3に対してワークを相対的に移動させるテーブル部4と、動作を制御する制御装置5を主として構成されている。
【0032】
レーザ光源2は、出射するレーザ光を加工対象物の内部に集光して多光子吸収による改質部を形成できる光源であれば良い。例えば、レーザ光源2は、本実施形態において、LD励起Nd:YAG(Nd:Y3Al512)のレーザ媒質からなり、第3高調波(波長:355nm)のQスイッチパルス発振のレーザ光を出射する発光条件を採用している。パルス幅はおよそ14ns(ナノ秒)、パルス周期は10kHz、出力はおよそ60μJ/パルスのレーザ光を出射する発光条件を採用している。
【0033】
光学経路部3はダイクロイックミラー6を備えている。ダイクロイックミラー6は、レーザ光源2から照射されるレーザ光の光軸7上に配置されている。ダイクロイックミラー6はレーザ光源2から照射されるレーザ光を反射して、光軸7の進行方向を変更する。ダイクロイックミラー6に反射したレーザ光が通過する光軸7上に集光レンズ8が配置されている。テーブル部4にはワーク9が配置され、集光レンズ8を通過したレーザ光がワーク9に照射されるようになっている。
【0034】
集光レンズ8はレンズ支持部10により、レンズ移動機構11に支持されている。レンズ移動機構11は、図示しない直動機構を有し、集光レンズ8を光軸7方向に移動させて、集光レンズ8を通過したレーザ光が集光する位置を移動可能としている。
直動機構は、例えばZ方向に延びるネジ軸(駆動軸)と、同ネジ軸と螺合するボールナットを供えたネジ式直動機構であって、その駆動軸が所定のパルス信号を受けて所定のステップ単位で正逆転する図示しないZ軸モータに連結されている。そして、所定のステップ数に相当する駆動信号がZ軸モータに入力されると、Z軸モータが正転又は反転して、レンズ移動機構11が同ステップ数に相当する分だけ、光軸7方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0035】
集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通過する光軸7の延長線上にあって、ダイクロイックミラー6に対して集光レンズ8と反対側には、撮像装置12を備えている。撮像装置12は、例えば、図示しない同軸落射型光源とCCD(Charge Coupled Device)が組み込まれたものである。同軸落射型光源から出射した可視光は、集光レンズ8を透過してワーク9を照射する。撮像装置12は、集光レンズ8とダイクロイックミラー6とを通してワーク9を撮像することが可能となっている。
【0036】
テーブル部4は、基台15を備えている。基台15の光学経路部3側には、レール16が凸設して配置されており、レール16上にはX軸スライド17が配置されている。X軸スライド17は、図示しない直動機構を備え、レール16上のX方向に移動可能となっている。直動機構は、レンズ移動機構11が備える直動機構と同様な機構であり、所定のステップ数に相当する駆動信号に対応してX軸スライド17が同ステップ数に相当する分だけ、X方向に沿って往動又は復動するようになっている。
【0037】
X軸スライド17の光学経路部3側にはレール18が凸設して配置されており、レール18上にはY軸スライド19が配置されている。Y軸スライド19は、X軸スライド17と同様な直動機構を備え、レール18上をY方向に移動可能となっている。
【0038】
Y軸スライド19の光学経路部3側には、ステージ20が配置され、ステージ20の上面には図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。そして、ワーク9を載置すると、チャック機構によって、ワーク9がステージ20の上面における所定の位置に位置決めされて固定されるようになっている。
【0039】
制御装置5は、メインコンピュータ24を備えている。メインコンピュータ24は内部に図示しないCPU(Central Processing Unit)やメモリーを備えている。CPUはメモリー内に記憶されたプログラムソフトに従って、レーザ照射装置1の動作を制御するものである。
メインコンピュータ24は、図示しない入出力インターフェースを備え、入力装置25、表示装置26、レーザ制御装置27、レンズ制御装置28、画像処理装置29、ステージ制御装置30と接続されている。
【0040】
入力装置25は、レーザ加工の際に用いられる各種加工条件のデータを入力する装置であり、表示装置26はレーザ加工時の各種情報を表示する装置である。CPUは、入力される各種加工条件とプログラムソフトとに従って、レーザ加工を行い、加工状況を表示装置26に表示する。操作者が表示装置26に表示される各種情報を見て、レーザ加工状況を確認して操作するようになっている。
【0041】
レーザ制御装置27は、レーザ光源2を駆動するパルス信号のパルス幅、パルス周期、出力の開始と停止、等を制御する装置であり、メインコンピュータ24の制御信号により制御される。
レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11の移動、停止を制御する装置である。レンズ移動機構11には、移動距離を検出可能な図示しない位置センサが内蔵されており、レンズ制御装置28は、この位置センサの出力を検出することにより、集光レンズ8の光軸7方向の位置を認識する。レンズ制御装置28は、レンズ移動機構11にパルス信号を送信し、レンズ移動機構11を所望の位置に移動することができるようになっている。
【0042】
画像処理装置29は、撮像装置12から出力される画像データを演算する機能を備えている。ステージ20にワーク9を配置し、撮像装置12で撮像した画像を観察するとき、レンズ移動機構11を操作して、集光レンズ8とワーク9との距離を変えることにより画像が鮮明になるときとぼやけるときが存在する。集光レンズ8を移動して、ワーク9のステージ20側の面に焦点が合うときと、ワーク9の光学経路部3側の面に焦点が合うときに、撮像される画像が鮮明になる。一方、焦点が合っていないとき、撮像される画像は、ぼやけた画像となる。
【0043】
集光レンズ8を光軸7の方向に移動して、撮像装置12が撮像する画像が鮮明になるときの集光レンズ8の位置を、内蔵する位置センサで検出することにより、ワーク9の厚みを測定することが可能となる。
【0044】
撮像装置12で撮像するときに焦点が合う合焦点位置と、レーザ光を照射したときに、集光レンズ8により集光される集光位置との差の距離を計測することで、合焦点位置と集光位置の差の距離であるオフセット距離を知ることができる。例えば、透明な2枚の基板を重ねた物をワーク9としてステージ20に設置し、2枚の基板の接触部に撮像装置12の焦点が合うように集光レンズ8を移動する。次に、レーザ光を照射して改質部を形成する。2枚の基板の接触部と改質部との距離を計測することでオフセット距離を設定することができる。
【0045】
集光レンズ8を光軸7方向に移動して、ワーク9の光学経路部3側の面に撮像装置12の焦点を合わせる。レーザ光を照射したい位置とオフセット距離とで集光レンズ8の移動距離を演算し、演算した移動距離に対応する距離分、集光レンズ8を移動させる。この方法でワーク9における所定の深さにレーザ光を集光することが可能となる。
【0046】
ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報の取得と移動制御を行う。X軸スライド17とY軸スライド19とには図示しない位置センサが内蔵されており、ステージ制御装置30は位置センサの出力を検出することにより、X軸スライド17とY軸スライド19との位置を検出する。ステージ制御装置30は、X軸スライド17とY軸スライド19との位置情報を取得し、メインコンピュータ24から指示される位置情報とを比較し、差に相当する距離に対応して、X軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して移動する。ステージ制御装置30はX軸スライド17とY軸スライド19とを駆動して、所望の位置にワーク9を移動することが可能となっている。
【0047】
レーザ制御装置27がレーザ光源2を制御しレーザ光を発光させる。画像処理装置29がワーク9の面に対する光軸方向の位置を検出する。レンズ制御装置28がレーザ光を集光する光軸方向の位置を制御する。ステージ制御装置30がワーク9をXY方向に移動して、ワーク9にレーザ光が照射される位置を制御する。上述した制御を行い所望の位置にレーザ光を集光して照射することが可能となっている。
【0048】
ここで、多光子吸収による改質部の形成について説明する。集光レンズ8によって集光されたレーザ光は、ワーク9に入射する。そして、ワーク9がレーザ光を透過する材料であっても、材料の吸収バンドギャップより光子のエネルギーが非常に大きいときには、ワーク9は光子エネルギーを吸収する。これを多光子吸収と呼び、レーザ光のパルス幅を極めて短くすることでエネルギーを高めて、多光子吸収をワーク9の内部に起こさせると、多光子吸収のエネルギーが熱エネルギーに転化せずに、永続的な構造変化が誘起された領域が形成される。
【0049】
本実施形態では、この構造変化領域を改質部と呼ぶ。改質部のうち、大きく構造変化した結果、クラックが形成された領域をクラック部と呼ぶ。尚、材料の種類によっては、例えば石英ガラスなどの場合には、クラック部は、空洞状のクラックが形成される場合もある。
【0050】
このような改質部を形成するためのレーザ光の照射条件は、加工対象物ごとにレーザ光の出力やパルス幅、パルス周期、レーザスキャン速度等の設定が必要になる。特に、レーザ光源2が照射するレーザ光の出力は、ダイクロイックミラー6や集光レンズ8のような光軸7上に配置される透過性物質による吸収で減衰することを考慮する必要がある。従って、実際の加工対象物を用いた予備試験を実施して、最適な照射条件を導くことが望ましい。
【0051】
(液晶表示装置)
次に液晶表示装置について説明する。図2は、液晶表示装置の模式平面図であり、図3は、図2の液晶表示装置のA−A’線に沿う模式断面図である。
【0052】
図2及び図3において、本実施形態の電気光学装置としての液晶表示装置33は、対をなす第2基板としてのTFTアレイ基板34と第1基板としての対向基板35とが熱硬化性の封止材であるシール36によって貼り合わされ、このシール36によって区画される領域内に封入された液晶37からなる液晶層を狭持している。シール36は、基板面内の領域において閉ざされた枠形状に形成されている。
【0053】
シール36を形成する場所の内側で対向基板35の液晶37側の面には、遮光性材料で配線を隠すための周辺見切り38が形成されている。シール36の外側の場所には、データ線駆動回路39及び電極としての実装端子40がTFTアレイ基板34の辺34a(図2中下側の辺)に沿って形成されており、この辺34aに隣接する辺34b及び辺34c(図2中左右の辺)に沿って走査線駆動回路41が形成されている。データ線駆動回路39、実装端子40及び走査線駆動回路41はアルミニウムを素材とする配線42aにより電気的に接続されている。TFTアレイ基板34の残る辺34d(図2中上側の辺)には、2つの走査線駆動回路41の間を接続するための配線42bが設けられている。また、対向基板35のコーナー部の4箇所においては、TFTアレイ基板34と対向基板35との間で電気的導通をとるための基板間導通材43が配設されている。
【0054】
また、液晶表示装置33はカラー表示用として構成しており、対向基板35において、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタ44R,44G,44Bが図示しない保護膜とともに形成されている。カラーフィルタ44R,44G,44Bの各フィルタ素子の間には、遮光膜45が形成されており、カラーフィルタ44R,44G,44Bを通過しない光は遮光膜45が遮断するようになっている。さらに、カラーフィルタ44R,44G,44BのTFTアレイ基板34側には対向電極46と配向膜47とが配置されている。
【0055】
液晶は、該液晶を挟持する電極に電圧を印加すると液晶分子の液晶の傾き角度が変化する性質を持っており、TFTのスイッチング動作により、液晶にかける電圧をコントロールして液晶の傾き角度を制御し、画素毎に光を透過させたり遮ったりする動作を行う。それにより、透過した光は、画素毎に相対して設置される赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色フィルタを有するカラーフィルタを透過することで、画素毎に対応する各色フィルタの色を色光として透過する。なお、光が液晶により遮られた画素に対応する色フィルタには当然光は入射しないため、黒色となる。このようにTFTのスイッチング動作により、液晶をシャッタとして動作させることにより、画素毎に光の透過をコントロールし、画素を明滅させることにより、カラー映像を表示させることができる。
【0056】
このような構造を有する液晶表示装置33の画像を表示する領域には、複数の画素がm行n列のマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素の各々には、画素信号をスイッチングするTFT(スイッチング素子)が形成されている。画素信号を供給するデータ線(ソース配線)がTFTのソース電極に電気的に接続され、走査信号を供給する走査線(ゲート配線)がTFTのゲート電極に電気的に接続され、TFTのドレイン電極に画素電極48が電気的に接続されている。画素電極48はカラーフィルタ44R,44G,44Bの各フィルタ素子と対向する場所に形成されている。走査線が接続されるTFTのゲート電極には、所定のタイミングで、走査線からパルス信号の走査信号が供給される。
【0057】
画素電極48は、TFTのドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFTを一定期間だけオン状態とすることにより、データ線から供給される画素信号が各画素の画素電極48に所定のタイミングで供給される。このようにして画素電極48に供給された所定レベルの画素信号の電圧レベルは、図3に示す対向基板35の対向電極46との間で保持され、画素信号の電圧レベルに応じて、液晶37の光透過量が変化する。液晶表示装置33はカラーフィルタを備えており、カラーフィルタ44R,44G,44Bを透過する光を液晶37からなる液晶層を挟持する電極に印加する画像信号により制御することで、液晶表示装置33はカラー画像を表示することができる。
【0058】
画素電極48の対向基板35側には配向膜49が配置されている。配向膜47と配向膜49とにはその表面に溝状の凹凸が形成されており、配向膜47と配向膜49との間に充填された液晶37は、溝状の凹凸に沿って配列して形成される。
【0059】
TFTアレイ基板34及び対向基板35において、液晶37と反対側の面には、図示しない偏光シートが配置され、偏光シート及び液晶37の作用により、液晶表示装置33を透過する光透過量が変化するようになっている。
【0060】
(基板の分断方法)
次に上述した液晶表示装置33における基板の分断方法について図4〜図10にて説明する。図4は、基板の分断方法のフローチャートであり、図5〜10は基板の分断方法を説明する図である。
【0061】
図4のフローチャートにおいて、ステップS1は対向マザー基板の第1スクライブ工程に相当し、対向基板35をスクライブする工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は対向マザー基板の第1分断工程に相当し、対向基板35を分断する工程である。ステップS1及びステップS2を合わせて、ステップS11とする。ステップS11は第1基板第1形成工程に相当し、対向基板35における外形の一部分を形成する工程である。次にステップS3に移行する。
【0062】
ステップS3は接合工程に相当し、TFTアレイ基板34と対向基板35とを接合する工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は対向短冊基板の第2スクライブ工程に相当し、対向基板35の外形が形成されていない場所をスクライブする工程である。次にステップS5に移行する。ステップS5は素子マザー基板の第1スクライブ工程に相当し、TFTアレイ基板34の一部をスクライブする工程である。次にステップS6に移行する。ステップS6は素子マザー基板の第2スクライブ工程に相当し、TFTアレイ基板34において、ステップS5でスクライブされた部分以外の残りの部分をスクライブする工程である。次にステップS7に移行する。
【0063】
ステップS7は素子マザー基板の第1分断工程に相当し、ステップS6にてスクライブされている場所を分断する工程である。次にステップS8に移行する。ステップS8は対向短冊基板の第2分断工程に相当し、ステップS4にてスクライブされている場所を分断する工程である。次にステップS9に移行する。ステップS9は素子マザー基板の第2分断工程に相当し、ステップS5にてスクライブされている場所を分断する工程である。ステップS4及びステップS8とを合わせて、ステップS12とする。ステップS12は第1基板第2形成工程に相当し、対向短冊基板をスクライブして分断する工程である。又、ステップS5〜ステップS7、及びステップS9とを合わせて、ステップS13とする。ステップS13は第2基板形成工程に相当し、素子マザー基板をスクライブして分断する工程である。以上の工程で、液晶表示装置33が形成される。
【0064】
次に、図5〜図10を用いて、図4に示したステップと対応させて、製造方法を詳細に説明する。図5(a)は、対向基板が区画形成されたマザー基板である対向マザー基板を示す模式図である。図5(b)は、図5(a)のB−B’線に沿った模式断面図である。
【0065】
図5(a)及び図5(b)に示すように、第1マザー基板としての対向マザー基板51は円板状に形成されている基板52に周辺見切り38、カラーフィルタ44、遮光膜45が形成されている。さらに、周辺見切り38、カラーフィルタ44、遮光膜45の表面には、光透過性及び通電性のある対向電極46が形成されている。対向電極46の表面には、配向膜47が形成され、表面に凹凸を形成する配向処理が施されている。基板52は、光透過性のある材質であれば良く、例えば、本実施形態では石英ガラスを採用している。
【0066】
対向マザー基板51に配列して形成される周辺見切り38において、両端の周辺見切り38の外側には、一対のマークとしての位置決めマーク53が形成されており、ステップS3において用いられる。
【0067】
本実施形態においては、対向マザー基板51から第1短冊基板としての対向短冊基板55を形成する。対向マザー基板51から対向短冊基板55を切出すために分断する予定の面をH対向切断面54とする。H対向切断面54は一点鎖線で示した基板52の切断面であり、図5(a)のX軸方向に延在する切断面である。54a,54b,54c,54d,54eはそれぞれH対向切断面54であり、55a,55b,55cはそれぞれ対向短冊基板55である。
【0068】
ステップS11では、対向マザー基板51をH対向切断面54に沿って分断し、第1基板としての対向短冊基板55を形成する。対向短冊基板55のH対向切断面54aは、図3に示す対向基板35の辺35dに対応し、H対向切断面54bは対向基板35の辺35aに対応する。図3に示す液晶表示装置33の対向基板35は、図5の対向基板片35bと対応し、対向短冊基板55には、対向基板片35bが一列に配列して形成されるように、H対向切断面54が設定される。
【0069】
図6(a)及び図6(b)はステップS1に対応する図である。図6(a)に示すように、集光レンズ8を用いて、レーザ光56を対向マザー基板51の内部に集光して照射する。レーザ光56が集光される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。
【0070】
集光レンズ8と対向マザー基板51とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。このとき、集光レンズ8と対向マザー基板51とは、対向マザー基板51の平面方向に図5に示すH対向切断面54に沿って相対移動する。続いて、レーザ光56を集光する場所を基板52の厚み方向に移動する。移動した後、集光レンズ8と対向マザー基板51とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。これを繰り返し、対向マザー基板51における総てのH対向切断面54に改質部57を配列して形成する。
【0071】
図6(b)に示す様に、その結果、対向マザー基板51における総てのH対向切断面54に改質部57が形成され、改質部57の中央部にはクラック部58が形成される。これにより、H対向切断面54にクラック部58が配列して形成されたクラック面59が形成される。
【0072】
図6(c)及び図6(d)はステップS2に対応する図である。図6(c)に示す様に、続いて、対向マザー基板51を弾性材からなる台60の上に配置し、クラック面59と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。対向マザー基板51は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。対向マザー基板51は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0073】
図6(d)に示す様に、その結果、対向マザー基板51は、いくつかの対向短冊基板55に分断される。対向短冊基板55は分断されて、辺としての端面55dが形成される。
【0074】
図7(a)及び図7(b)はステップS3に対応する図である。図7(a)は液晶表示パネルが区画形成されたマザー基板を示す模式図である。図7(a)は、対向基板側から見た平面図であり、図7(b)は、図7(a)のC−C’線に沿った模式断面図である。
【0075】
図7(a)及び図7(b)に示す様に、第2マザー基板としての素子マザー基板62は円板状に形成されている基板63に画素電極48が形成され、画素電極48の表面には配向膜49が配置されている。配向膜49には配向処理が施されている。基板63には図示しないトランジスタ素子が形成され、各画素電極48とデータ線駆動回路39及び図2に示す走査線駆動回路41と電気的に接続されている。基板63には、実装端子40が形成されており、データ線駆動回路39及び図2に示す走査線駆動回路41と電気的に接続されている。
【0076】
基板63上にシール36の材料であるシール材36aを枠形状に塗布する。シール材36aを塗布する方法は、シール36を所望の形状に塗布できれば良く、例えば、本実施形態においては、スクリーン印刷法を採用している。シール材36aは、固化後に接着力が得られ、液晶37に接触して劣化しない材料であれば良く、例えば、本実施形態においては、熱硬化性のエポキシ樹脂を採用している。
【0077】
枠形状にシール材36aを塗布した後、シール材36aの内側にディスペンサを用いて液晶37を塗布する。図示しない真空チャンバに基板63を配置して、真空チャンバ内を脱気して真空にする。真空中で、対向短冊基板55と素子マザー基板62との相対位置を合わせて押圧する。
このとき、基板63には、図5に示す位置決めマーク53と対応する場所にマークとしての位置決めマーク64が形成されている。対向短冊基板55に形成されている位置決めマーク53と素子マザー基板62に形成されている位置決めマーク64とを合わせて、対向短冊基板55と素子マザー基板62との相対位置を合わせる。
【0078】
一つの素子マザー基板62には、複数の対向短冊基板55に対応する形状にシール材36aが塗布されており、一つの素子マザー基板62に複数の対向短冊基板55を配置する。素子マザー基板62に対向短冊基板55を押圧した後、真空チャンバ内に空気を流入する。大気圧により対向短冊基板55と素子マザー基板62とが加圧される。
【0079】
対向短冊基板55と素子マザー基板62との相対位置を保持した状態で加熱し、シール材36aを固化してシール36を形成する。対向短冊基板55と素子マザー基板62とがシール36を介して接合されているマザー基板65が完成し、ステップS3が完了する。
【0080】
マザー基板65から液晶表示装置33を切出すために分断する予定の面をそれぞれ、H素子切断面66、V素子切断面67、V対向切断面68と表記する。H素子切断面66は、一点鎖線で示した素子マザー基板62の切断面であり、図7(a)のX軸方向に延在する切断面である。V素子切断面67は、一点鎖線で示した素子マザー基板62の切断面であり、図7(a)のY軸方向に延在する切断面である。V対向切断面68は、一点鎖線で示した対向短冊基板55の切断面であり、図7(a)のY軸方向に延在する切断面である。図7(a)に示した、66a,66b,66cは、それぞれH素子切断面66であり、67a,67b,67cは、それぞれV素子切断面67であり、68a,68b,68cは、それぞれV対向切断面68である。
【0081】
図8(a)及び図8(b)はステップS4に対応する図である。図8(a)に示すように、集光レンズ8を用いて、レーザ光56を対向短冊基板55の内部に集光して照射する。レーザ光56が集光される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。
【0082】
集光レンズ8と対向短冊基板55とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。このとき、集光レンズ8と対向短冊基板55とは、対向短冊基板55の平面方向に図7に示すV対向切断面68に沿って相対移動する。続いて、レーザ光56を集光する場所を基板52の厚み方向に移動する。移動した後、集光レンズ8と対向短冊基板55とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。これを繰り返し、対向短冊基板55における総てのV対向切断面68に改質部57が配列して形成されたクラック面70を形成する。
【0083】
図8(b)に示す様に、その結果、対向短冊基板55における総てのV対向切断面68に改質部57が配列して形成されたクラック面70が形成される。
【0084】
図8(c)及び図8(d)はステップS5に対応する図である。図8(c)に示すように、集光レンズ8を用いて、レーザ光56を素子マザー基板62の内部に集光して照射する。レーザ光56が集光される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。
【0085】
集光レンズ8と素子マザー基板62とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。このとき、集光レンズ8と素子マザー基板62とは、素子マザー基板62の平面方向に図7に示すV素子切断面67に沿って相対移動する。続いて、レーザ光56を集光する場所を基板63の厚み方向に移動する。移動した後、集光レンズ8と素子マザー基板62とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。これを繰り返し、素子マザー基板62における総てのV素子切断面67に改質部57が配列して形成されたクラック面71を形成する。
【0086】
図8(d)に示す様に、その結果、素子マザー基板62における総てのV素子切断面67に改質部57が配列して形成されたクラック面71が形成される。
【0087】
図9(a)及び図9(b)はステップS6に対応する図である。図9(a)に示すように、集光レンズ8を用いて、レーザ光56を素子マザー基板62の内部に集光して照射する。レーザ光56が集光される場所には、改質部57が形成され、改質部57の中央にはクラック部58が形成される。
【0088】
集光レンズ8と素子マザー基板62とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。このとき、集光レンズ8と素子マザー基板62とは、素子マザー基板62の平面方向に図7に示すH素子切断面66に沿って相対移動する。続いて、レーザ光56を集光する場所を基板63の厚み方向に移動する。移動した後、集光レンズ8と素子マザー基板62とを相対的に、移動しながら、レーザ光56を照射し、改質部57を配列して形成する。これを繰り返し、素子マザー基板62における総てのH素子切断面66に改質部57が配列して形成されたクラック面72を形成する。
【0089】
図9(b)に示す様に、その結果、素子マザー基板62における総てのH素子切断面66に改質部57が配列して形成されたクラック面72が形成される。
【0090】
図9(c)及び図9(d)はステップS7に対応する図である。図9(c)に示す様に、素子マザー基板62を弾性材からなる台60の上に配置し、クラック面72と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。素子マザー基板62は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。素子マザー基板62は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0091】
図9(d)に示す様に、その結果、素子マザー基板62は、いくつかの短冊基板73に分断される。
【0092】
図10(a)及び図10(b)はステップS8に対応する図である。図10(a)に示す様に、続いて、対向短冊基板55を弾性材からなる台60の上に配置し、クラック面70と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。対向短冊基板55は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。対向短冊基板55は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
図10(b)に示す様に、その結果、対向短冊基板55に形成されている総てのV対向切断面68のクラック面70が分断される。
【0093】
図10(c)及び図10(d)はステップS9に対応する図である。図10(c)に示す様に、続いて、素子マザー基板62を弾性材からなる台60の上に配置し、クラック面71と対向する場所を、加圧部材61を用いて押圧する。素子マザー基板62は台60に沈み込み、クラック部58に張力が作用する。素子マザー基板62は、台60と接する面に近いクラック部58を起点として破断が進行し、分断する。
【0094】
図10(d)に示す様に、その結果、素子マザー基板62に形成されているV素子切断面67のクラック面71が分断され、短冊基板73からいくつかの液晶表示装置33が形成される。
【0095】
図3に示すTFTアレイ基板34及び対向基板35に図示しない偏光シートを貼り付けて液晶表示装置33が完成する。
【0096】
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、ステップS11の第1基板形成工程では、対向マザー基板51において、端面55dを含む外形の一部が形成され、対向短冊基板55が形成される。続いて、対向短冊基板55と素子マザー基板62とが接合される。対向短冊基板55と素子マザー基板62とが接合された後、対向短冊基板55をスクライブする為に、ステップS11でスクライブ及び分断して形成した図7(b)に示す端面55dにレーザ光を照射してスクライブすることは無い。
【0097】
素子マザー基板62において、端面55dと対向する場所には、配線42aが形成されている。この配線42aには、端面55dを形成するためにレーザ光を照射されることがない為、配線42aが損傷を受けることがない。
【0098】
(2)本実施形態によれば、データ線駆動回路39、実装端子40及び走査線駆動回路41はアルミニウムを素材とする配線42aにより電気的に接続されており、レーザ光の照射を受けると損傷して断線する可能性がある。本実施形態の効果(1)に記載の通り、この配線には、端面55dを形成するためにレーザ光を照射されることがない為、損傷を受けることがない。従って、端面55dを形成するために、配線42aが断線されることがない。
【0099】
(3)本実施形態によれば、対向短冊基板55に位置決めマーク53が形成され、素子マザー基板62に位置決めマーク64が形成されている。ステップS3において、位置決めマーク53と位置決めマーク64とを用いて、対向短冊基板55と素子マザー基板62との相対位置を合わせることから、位置精度よく位置合わせをすることができる。
【0100】
(4)本実施形態によれば、ステップS11で対向短冊基板55を形成して、ステップS3において、素子マザー基板62と接合している。対向短冊基板55には、複数の液晶表示装置33に対応するカラーフィルタ44、遮光膜45、対向電極46等が形成されている。対向基板35を個々に分断してから素子マザー基板62に接合する場合に比べて、1回の接合工程により複数の対向基板35を接合できることから、対向基板35を接合する回数を減らすことができる為、生産性良く製造できる。
【0101】
(5)本実施形態によれば、ステップS12の第1基板第2形成工程において、レーザ光を照射する光軸上に配線、素子、実装端子40、シール36等が配置されない状態で、レーザ光を照射している。従って、この液晶表示装置33は、配線、素子、実装端子40、シール36等がレーザ光により損傷を受けることなく製造され、品質良く製造される電気光学装置とすることができる。
【0102】
(6)本実施形態によれば、レーザ光を用いて基板の内部にクラック部58を配列して形成し、スクライブしている。従って、ガラス粉の発生を少なくスクライブすることができる。
(第2の実施形態)
【0103】
次に、上記の第1の実施形態の液晶表示装置33を備えた電子機器について説明する。
図11は、パーソナルコンピュータに液晶表示装置を搭載した例を示す概略斜視図である。図11に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピュータ80の本体は情報を表示する表示装置81を備えている。この表示装置81に、第1の実施形態により製造された液晶表示装置33が配設されている。パーソナルコンピュータ80に配置されている表示装置81は上記の実施形態により製造され、表示装置81における基板は、基板に配置されている素子等がレーザ光により損傷を受けずにスクライブされて分断されている。従って、パーソナルコンピュータ90は、基板に配置されている素子等がレーザ光により損傷を受けずにスクライブされて分断されている液晶表示装置33を、表示部に備えた電子機器となっている。
【0104】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、対向マザー基板51にレーザ光を用いてスクライブし、対向短冊基板55を形成したが、これに限らない。ガラスカッタ(ガラススクライバ)を用いて対向マザー基板51を分断しても良い。ここで、ガラスカッタは、ダイヤモンド片又は、超硬合金片や表面にダイヤモンドや超硬合金等の硬質の素材を備えて形成された輪を用いて、基板上を加圧しながら移動することで、基板に傷をつけ、クラックを形成する刃工具を示す。
【0105】
ガラスカッタを用いてスクライブする方法は、基板の表面にクラックを形成するだけであり、レーザ光を用いて改質部を配列して形成し、スクライブする方法に比べて短い時間で製造することができる。その結果、生産性良くスクライブして分断することができる。
【0106】
(変形例2)
前記第1の実施形態では、対向マザー基板51にレーザ光を用いてスクライブし、対向短冊基板55を形成したが、これに限らない。ダイサー式切断機を用いて切断しても良い。切断する端面を位置精度良く形成することができる。
【0107】
(変形例3)
前記第1の実施形態では、ステップS3の接合工程で素子マザー基板62と対向短冊基板55とを接合している。素子マザー基板62において、対向短冊基板55の端面55dと対向する場所には、配線が配置されていたが、これに限らない。データ線駆動回路39、実装端子40、走査線駆動回路41等のいずれの素子があっても、レーザ光を照射されないことから、損傷を受けずにスクライブして、分断することができる。
【0108】
(変形例4)
前記第1の実施形態では、対向マザー基板51から対向短冊基板55を形成して、素子マザー基板62と接合したが、これに限らない。対向マザー基板51から個々の液晶表示装置33に対応する対向基板35を形成して、素子マザー基板62と接合しても良い。
【0109】
(変形例5)
前記第1の実施形態では、ステップS4〜ステップS6でスクライブして、ステップS7〜ステップS9で分断したが、これに限らない。ステップS4の後、ステップS8を行って、対向短冊基板55を分断する。つぎに、ステップS5〜ステップS7を行い、ステップS9を行って、素子マザー基板62を分断しても良い。つまり、スクライブする工程と分断する工程を交互に行っても良い。改質部57が経時変化する前に分断できることから、品質良く分断できる。
【0110】
(変形例6)
前記第1の実施形態では、TFTアレイ基板34及び対向基板35に石英ガラスを用いたが、これに限らない。光透過性があり、液晶表示装置33を構成できる脆性材料であれば良く、例えば、石英ガラスの他に、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)等のホウ珪酸ガラス、OA−10(日本電気硝子社製)等の無アルカリガラス、ネオセラム(登録商標)等の耐熱結晶化ガラス、光学ガラス、水晶等を挙げることができる。
【0111】
(変形例7)
前記第1の実施形態では、液晶表示装置33に本発明の基板の分断方法を用いたが、液晶表示装置33以外の電気光学装置にも用いることができる。基板を備えた電気光学装置として、例えば、プラズマディスプレイ、有機EL(ELECTROLUMINESCENCE)ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等における基板の分断手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、基板を分断する工程で面取りされる基板を備えた電気光学装置を提供することができる。
【0112】
(変形例8)前記第2実施形態で、液晶表示装置33をパーソナルコンピュータ80の表示部81に用いたが、これに限定されない。例えば、電子ブック、携帯電話、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル等の電子機器の画像表示手段として好適に用いることができる。いずれの場合でも、表示部に低いレーザ光強度でスクライブして分割された液晶表示装置33を備えた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】第1の実施形態に係るレーザ照射装置の構成を示す概略図。
【図2】液晶表示装置の模式平面図。
【図3】液晶表示装置の模式断面図。
【図4】基板の分断方法のフローチャート。
【図5】対向マザー基板の模式図。
【図6】基板の分断方法を説明する図。
【図7】マザー基板の模式図。
【図8】基板の分断方法を説明する図。
【図9】基板の分断方法を説明する図。
【図10】基板の分断方法を説明する図。
【図11】第2の実施形態に係るパーソナルコンピュータを示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0114】
33…電気光学装置としての液晶表示装置、34…第2の基板としてのTFTアレイ基板、35…第1の基板としての対向基板、40…電極としての実装端子、42a…配線、51…第1マザー基板としての対向マザー基板、53,64…マークとしての位置決めマーク、55…第1短冊基板としての対向短冊基板、55d…辺としての端面、56…レーザ光、57…改質部、62…第2マザー基板としての素子マザー基板。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉

【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦


【公開番号】 特開2008−755(P2008−755A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169740(P2006−169740)