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【発明の名称】 異種金属の接合方法及び接合構造
【発明者】 【氏名】宮本 健二

【氏名】中川 成幸

【氏名】福島 晃

【要約】 【課題】異種金属を接合して成る部材において、異種金属接触による腐食(電食)を防止することができ、耐食性及び接合強度に優れた異材継手を安価に得ることができる異種金属の接合方法と、このような方法による接合構造を提供する。

【構成】異種金属を重ね接合するに際して、重ね合わせた異種金属材料1及び2の間に、接合予定部位1aを囲むようにシール材5を配置した状態で溶接する。このとき、望ましくは、材料1の接合面に、接合予定部位1aを取り囲むように凹部3a又は凸部4aを形成して、この凹部3a又は凸部4aの周囲にシール材5を配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種金属から成る材料を重ね接合するに際して、重ね合わせた両材料の間に、接合予定部位を囲んでシール材を配置した状態で溶接することを特徴とする異種金属の接合方法。
【請求項2】
上記両材料の少なくとも一方の接合面における接合予定部位に凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載の異種金属の接合方法。
【請求項3】
上記凸部が湾曲面を有していることを特徴とする請求項2に記載の異種金属の接合方法。
【請求項4】
上記両材料の少なくとも一方の接合面に、上記接合予定部位を囲繞する凹部又は凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載の異種金属の接合方法。
【請求項5】
重ね合わせた両材料の間に、接合部に相当する部位に貫通孔を備えたシート状シール材を介在させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の異種金属の接合方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の方法によって得られる接合構造であって、重ね合わせた両材料間に、接合部を囲んでシール材が介在していることを特徴とする異種金属の接合構造。
【請求項7】
上記接合部が点状をなし、該点状接合部を囲んで凹部又は凸部が形成され、該凹部又は凸部の周囲にシール材が介在していることを特徴とする請求項6に記載の異種金属の接合構造。
【請求項8】
上記接合部が点状をなし、複数の点状接合部を囲んで凹部又は凸部が形成され、該凹部又は凸部の周囲にシール材が介在していることを特徴とする請求項6に記載の異種金属の接合構造。
【請求項9】
上記接合部が線状をなし、該線状接合部を囲んで凹部又は凸部が形成され、該凹部又は凸部の周囲にシール材が介在していることを特徴とする請求項6に記載の異種金属の接合構造。
【請求項10】
上記凹部又は凸部が押し潰され、周囲のシール材が両材料に密着していることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つの項に記載の異種金属の接合構造。
【請求項11】
接合部の周囲に凹部を備え、該凹部の接合部側の縁が接合面に対して略垂直に立ち上がっていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つの項に記載の異種金属の接合構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化傾向の異なる金属からなる異種材料の接合方法と、このような方法によって得られる異種金属の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車車体には、従来から鋼材が広く使用されているが、これに加えて、近年、車体の軽量化を目的として、アルミニウム合金などの軽金属の利用が進んでおり、アルミニウム合金等で形成された車体部材(例えば、アルミニウム合金製ルーフパネル等)の車体への適用が行われている。
【0003】
これら部材の接合部位に上記のような異種金属を組み合わせて用いると、異種金属が互いに接触して電気的に導通するために腐食が促進されることが知られている。
このような異種金属の接触による腐食は、金属のイオン化傾向の違いによってこれら金属間に電位差が生じ、腐食電流が流れることによって発生するとされており、従来、異種金属接触による腐食を防止するために、以下のような対策が知られている。
【0004】
すなわち、特許文献1には、例えばスチール製の第1の部材と、例えばアルミニウムやその合金から成る第2の部材を両部材の間にシール材を介在させた状態で、例えばリベットや補強部材などの接合手段によって接合するようにした車体部材の接合構造が提案されている。
また、特許文献2には、鉄系材料とアルミニウム又はアルミニウム合金材料が接合された部材をフルオロ錯イオン及び亜鉛イオンを含有する溶液中に浸漬して、接合部近傍に緻密かつ強固で密着性が高く、しかもアルミニウムと鉄との中間的なイオン化傾向を有する金属亜鉛を析出させ、もって接合部における異種金属接触耐食性を向上させることが記載されている。
【特許文献1】特開2000−272541号公報
【特許文献2】特開2005−154844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、両材料の融点や線膨張係数が異なることから、スポット溶接等の溶融接合を避け、リベットやボルトなどの機械的締結を採用しているため、接合された部材の重量やコストが増加するという問題点がある。
また、特許文献2に記載の技術においては、接合された部材をフルオロ錯イオン及び亜鉛イオンを含有する溶液中に浸漬するようにしているが、接合材表面に析出した亜鉛だけでは、自動車部品に求められる耐食性能を十分に満足させることができないばかりでなく、自動車の生産工程の過程において、車体部品をこのような溶液中に浸漬する工程を組み込むことは、浸漬タンク等の新たな設備投資を必要とし、コストが増加することが問題となる。
【0006】
本発明は、従来の異種金属の接合技術における上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、異種金属接触による腐食を防止することができ、耐食性及び接合強度に優れた異材継手を安価に得ることができる異種金属の接合方法と、このような方法による接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、重ね合わせた異種金属材料の間の接合部が形成される部位以外の部分にシール材を介在させることによって、上記目的が解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は上記知見に基づくものであって、本発明の異種金属の接合方法においては、異種金属から成る材料を重ね接合するに際して、重ね合わせた両材料の間に、接合予定部位を囲むようにシール材を配置したうえで、溶接することを特徴としている。
また、本発明の異種金属の接合構造は、このような方法によって得られるものであって、重ね合わせた両材料間に、接合部を囲んだ状態にシール材が介在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異種金属材料を重ね接合するに際して、重ね合わせた両材料の間に、接合予定部位を囲むようにシール材を配置し、この状態で溶接するようにしていることから、イオン化傾向の異なる金属同士が接触したり、接合部にシール材が残存したりするようなことがなく、耐食性及び接合強度に優れた異種金属継手を低コストに作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の異種金属の接合方法や接合構造について、さらに詳細かつ具体的に説明する。
【0011】
本発明の異種金属接合方法においては、上記したように、重ね合わせた異種金属材料の間に、接合予定部位を囲むように、言い換えると接合部が形成される位置を避けて、その周りにシール材を配置し、接合部位にシール材がない状態で溶接するようにしているので、接合界面にシール材が残存することによる継手強度の低下が防止されると共に、シール材によってイオン化傾向の異なる金属同士の接触を防止することができ、強度と耐食性の両立が可能となる。このとき、新たな設備の増設なども特に必要とせず、シール材のコストや、その配置工数など、コストアップ要因も最小限に抑えることができる。
【0012】
本発明の接合方法において、上記シール材としては、例えば、エポキシ樹脂系、合成ゴム系、合成ゴム/PVC系材料などを用いることができ、このような材料を溶液状にして被接合材料の接合面に塗布したり、シート状にしたものを両材料の間に挟んだりすることができる。
この場合、シール材の塗布に際しては、被接合材の接合予定部位、つまり接合部が形成される位置を避けて塗布することが必要であり、シート状のシール材には、接合予定部位に相当する個所に貫通孔を予め形成しておくことが必要となる。
【0013】
なお、本発明の目的を達成できるものであれば、これらに限定されることはない。
また、当該シール材に接着機能を有する材料を用いることによって、電食を防止するシール効果に加えて、接合強度を向上させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の接合方法においては、被接合材の接合予定部位に接合面側に突出する凸部を形成したり、被接合材の接合面に凸部や凹部を接合予定部位を取り囲む状態に形成したりすることが望ましく、このような凸部や凹部を接合面に予め形成しておくことによって、シール材塗布の位置決めや、塗布量の制御、貫通孔を備えたシート状シール材の位置決めが容易なものとなり、作業効率の向上、工数低減などが可能になる。
なお、被接合材の接合予定部位に形成する凸部の形状としては、例えば円弧状に湾曲した面を備えていることが望ましく、これによって、接合面に介在する酸化皮膜や接合過程で生じる種々の反応生成物などの接合部からの排出性が向上し、高強度な接合部を得ることができる。
【0015】
本発明の異種金属の接合方法において、溶接方法については特に限定されることはなく、抵抗溶接、レーザ溶接、高周波溶接などの溶融溶接だけでなく、摩擦攪拌接合、超音波接合、拡散接合などの固相接合まで、種々の溶接施工方法の適用が可能であり、接合施工方法に限定されるものではない。
【0016】
本発明の異種金属の接合構造は、重ね合わせた異種金属材料の間に、接合部を囲んだ状態にシール材が介在しているものであって、上記した本発明の接合方法によって得ることができ、上記したように、優れた耐食性と強度を兼ね備えたものとなる。
【0017】
本発明の接合構造においては、接合部を点(スポット)状のものとし、この点状接合部を囲んで凹部又は凸部が形成され、当該凹部又は凸部の周囲にシール材が介在するようにすることができ、次に述べる複数の点接合部を纏めて取り囲む構造に較べて、接合部により近い位置にシール材を配置することができるので、より高い防水、耐食性能を発揮させることができる。
一方、上記した凹部又は凸部を隣接する複数の点状接合部の周囲を囲むように設けることもでき、この場合には、シール材によって複数の点接合部を纏めて外気と遮断することができることから、作業効率が向上することになる。
【0018】
さらには、接合部を線状のものとし、この線状接合部を囲んで凹部又は凸部が形成され、当該凹部又は凸部の周囲にシール材が介在するようにすることもでき、連続した線接合や、断続線状(ステッチ)の接合においても、優れた耐食性と強度を両立させることが可能になる。
【0019】
また、上記凹部又は凸部を押し潰し、その周囲に介在するシール材を両材料に密着させることもでき、このような接合構造とすることによって、両材料、接合部、シール材相互の密着性が高まり、より高い防水、耐食性能を発揮することができるようになる。
さらに、接合部の周囲に形成した凹部の接合部側の縁を接合面に対して略垂直に立ち上がり、接合部の内部にシール材が侵入していかない構造とすることができ、これによって接合後の接合界面にはシール材が残存せず、しかも接合部に近い位置にシール材を位置させることができるので、より高い防水、耐食性能を発揮することができ、強度低下の防止と優れた耐食性を両立することが可能となる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。例えば、下記実施例においては、アルミニウム合金と亜鉛めっき鋼板の接合例を示したが、異種金属の組み合わせとしては、上記組み合わせ以外にも、マグネシウム合金とアルミニウム合金、鋼材とマグネシウム合金など、電食が問題となる全ての異種金属接合に適用することができる。
また、次に述べるように、点接合には抵抗スポット溶接、線接合には抵抗シーム溶接といった接合工法を用いたが、接合工法に関してもこれらのみに限定される訳ではなく、このような重ね接合が実施可能な全ての接合工法を適用することができる。
【0021】
図1及び図2は、本発明の実施例に用いた抵抗スポット溶接装置及び抵抗シーム溶接装置の全体構造をそれぞれ示すものであって、ここでは、いずれも交流電源タイプのものを使用し、板厚0.55mmの亜鉛めっき鋼板1と板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金板材2を接合した。
【0022】
(実施例1)
図3(a)及び(b)に示すように、亜鉛めっき鋼板1の接合面側に、凹部3aを接合予定部位1aを囲むようなリング状に形成し、この凹部3aの内側を除く外側部分に、エポキシ樹脂系接着剤をシール材5としてを塗布した。
なお、この凹部3aの接合予定部位側の内側縁Wは、接合面に対してほぼ垂直に立ち上がっており、凹部3aの内側、すなわち接合予定部位1aの内部にシール材4が侵入していかない構造となっている。
【0023】
そして、アルミニウム合金材2と重ねあわせ、図1に示した抵抗スポット溶接装置を用いて、300kgfの加圧力を加えながら、24000Aの交流電流を0.24秒間通電することによって、両材料1,2を接合予定部位1aにおいてスポット溶接したのち、形成された溶接ナゲット部6(接合部)の周囲にリング状に突出した部分(凹部3aの裏面側)を矢印方向に押し潰しシール材5を両材料1,2に密着させた。
【0024】
この実施例においては、亜鉛めっき鋼板1に凹部3aを設けたことによって、シール材5を塗布する際の位置決め、塗布量の制御が容易となり作業効率が向上した。そして、凹部3aを点接合部6の周囲を囲んで設けることによって、接合部6に近い位置にシール材5を配置することができるのでより高い防水、耐食性能を発揮することができた。
そして、この場合、接合部6に近い側の縁Wが接合面に対して略垂直に立ち上がっていることから、シール材が侵入せず、接合後の接合界面にシール剤が残存することがなく、しかも、上記のように接合部6に近い位置にシール5を配置することができるので、より高い防水、耐食性能を発揮することができた。
【0025】
さらに、接合部6の周囲を囲んで設けた凹部3aを表面側から押し潰しシール材5を被接合材料1,2に密着させることによって、被接合材料1,2及び接合部6とシール材5の密着性が高まり、より高い防水、耐食性能を発揮することができた。
これらの結果、接合界面におけるシール材残存による強度低下の防止と優れた耐食性を両立することができた。
【0026】
なお、この実施例においては、図3(b)に示したように、亜鉛めっき鋼板1の接合面に、接合予定部位1aを取り囲む凹部3aを形成した例を示したが、図3(c)に示すように、亜鉛めっき鋼板1に、接合面側に突出する凸部4aを接合予定部位1aを囲むリング状に形成しても同様の効果が得られることが確認されている。
【0027】
(実施例2)
図4(a)及び(b)に示すように、亜鉛めっき鋼板1の接合面側に、凹部3bを複数の接合予定部位1a(図では2個所)を囲むような矩形状に形成し、この凹部3bの内側を除く外側部分に、上記同様のシール材4を塗布した。
そして、これ以降は、上記実施例1と同様に、両材料1,2を接合予定部位1aにおいてスポット溶接したのち、凹部3bによる突出部を表面側から押し潰し、同様にシール材5を被接合材料1,2に密着させた。
【0028】
この実施例においては、上記同様の効果が得られると共に、凹部3bを複数の接合予定部位1aを囲んで設けたことによって、シール材によって複数の接合部6を纏めて外気と遮断できるため、作業効率が向上した。
【0029】
なお、上記凹部3bに換えて、図4(c)に示すように、亜鉛めっき鋼板1に、接合面側に突出する凸部4bを複数の接合予定部位1aを囲むように矩形状に形成するようになすことも可能である。
【0030】
(実施例3)
図5(a)及び(b)に示すように、亜鉛めっき鋼板1の接合面側に、凹部3cを線状の接合予定部位1aに沿って、これを囲むような矩形状に形成し、この凹部3cの内側を除く外側部分に、上記同様のシール材4を塗布した。
そして、アルミニウム合金材2と重ねあわせ、図2に示した抵抗シーム溶接装置を用いて、両ローラ電極の間に400kgfの一定な加圧力を加え、30000Aの交流電流を通電しながら、1.8m/分の速度で、両材料1,2を接合予定部位1aにおいてシーム溶接したのち、形成された溶接線16(接合部)の周囲に突出した凹部3cの裏面側を矢印方向に押し潰しシール材5を両材料1,2に密着させた。
【0031】
このように、凹部3cを線状をなす接合予定部位1aを囲むように、当該接合予定部位1aに沿って伸びる長尺矩形状に形成することによって、シーム溶接についてもシール材残存による強度低下の防止と、異種金属接触による耐食性劣化の防止を両立することができた。
なお、上記凹部3cに換えて、図5(c)に示すように、接合面側に突出する凸部4cを線状の接合予定部位1aを囲む矩形状に形成しても同様の効果が得られることは、上記実施例1,2と全く同様である。
【0032】
(実施例4)
図6(a)及び(b)は、本発明の第4の実施例に関する説明図であって、ここでは、板厚0.8mmの亜鉛めっき鋼板から成るハット型断面部材1と、板厚1.0mmの6000系アルミニウム合金板材2とをシート状のシール材15を介してスポット溶接する例を示している。
【0033】
アルミニウム合金板材2の両端部の接合予定部位には、図6(b)に示すように、接合面側に突出する円弧状の凸部2aがそれぞれ形成してあり、シート状をなすシール材15には、上記接合予定部位、すなわち凸部2aに相当する位置に貫通孔15aが予め設けてある。
次に、アルミニウム合金板材2の両端部に、シール材15を載置し、板材2の凸部2aがシール材15の貫通孔15aに嵌合するように位置合せをし、この上に亜鉛めっき鋼板部材1のフランジ部を重ねた。
【0034】
そして、図1に示したような抵抗スポット溶接装置を用いて300kgfの加圧力を加えながら、20000Aの交流電流を0.24秒間通電することによって、両材料1,2を接合予定部位(凸部2a)においてそれぞれスポット溶接することによって接合した。
当該実施例においては、シール材として接合予定部位に相当する箇所に貫通孔15aを備えたシート状のものを用いることによって、シール材の塗布工程が省略でき、しかも両材料間に挟み込むだけで、一度に多数の接合部に対して耐食機能を付与することができる。また、凸部2aによって、シート状シール材15の位置決めが容易にできるようになり、高い生産性のもとに、シール材残存による強度低下の防止と優れた耐食性を両立することができた。
【0035】
このような凸部2aの突出面をなだらかな円弧状の湾曲面とすることによって、鋼板表面にめっき層として存在する亜鉛とアルミニウムの共晶溶融物やアルミニウムの酸化皮膜、その他接合過程で生ずる種々の反応生成物などの接合界面からの排出性を向上して、より強固な接合が可能になる。
なお、ここでは、アルミニウム合金板材2の接合面に凸部2aを設けた例を示したが、鋼材1の側や、これらの両方に凸部を設けても構わない。
【0036】
(比較例)
実施例1で使用した亜鉛めっき鋼板1とアルミニウム合金板材2を用いて、接合面にシール材を塗布することなく、実施例1と同様の条件でスポット溶接した(比較例1)。
一方、上記亜鉛めっき鋼板1の接合予定部位をも含めた接合面全体にシール材5を塗布した状態で、同様の条件でスポット溶接し(比較例2)、これらを比較した。その結果を図7(a)及び(b)に示す。
【0037】
シール材を塗布することなく接合した場合には、図7(a)に示すように、接合部に拡散反応層Dが生成されると共に、その周囲にめっき層の亜鉛とアルミニウムの共晶溶融物Eの排出が認められ、良好な接合状態が確認されたが、両材料のイオン化傾向の相違によって両材料間に電位差が生じ、腐食電流が流れることによって腐食が生じる。
これに対し、接合面全体にシール材5を塗布した状態で接合した場合には、水等の浸入を防ぎ、耐食性能は得られるものの、図7(b)に示すように、拡散反応層が部分的に形成されているに過ぎなく、接合界面にシール材5が残存しているため、接合強度が低下してしまい、これらの場合は共に、接合界面におけるシール材残存による強度低下の防止と、電食による耐食性劣化の防止の両立を実現することができない。表1に、これら比較例と、本発明の上記実施例1の性能を比較して示す。
【0038】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例に用いた抵抗スポット溶接装置の構成を示す概略ずである。
【図2】本発明の実施例に用いた抵抗シーム溶接装置の構成を示す概略ずである。
【図3】本発明の実施例1により得られた接合部の平面図(a)、断面図(b)及び凹部に替えて凸部を形成した場合の断面図(c)である。
【図4】本発明の実施例2により得られた接合部の平面図(a)、断面図(b)及び凹部に替えて凸部を形成した場合の断面図(c)である。
【図5】本発明の実施例3により得られた接合部の平面図(a)、断面図(b)及び凹部に替えて凸部を形成した場合の断面図(c)である。
【図6】本発明の第4の実施例における接合要領を示す斜視図(a)及び断面図(b)である。
【図7】比較例としてシール材を用いることなく溶接して得られる接合構造(a)と、シール材を接合面の全体に塗布して溶接した接合構造(b)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 亜鉛めっき鋼板
1a 接合予定部位
2 アルミニウム合金材
2a 凸部
3a、3b、3c 凹部
4a、4b、4c 凸部
5、15 シール材
6、16 接合部
15a 貫通孔
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲


【公開番号】 特開2008−754(P2008−754A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169567(P2006−169567)