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【発明の名称】 微細凹部の加工方法
【発明者】 【氏名】▲高▼嶋 和彦

【氏名】太田 稔

【氏名】上原 義貴

【氏名】滝本 好夫

【氏名】渡辺 秀徳

【氏名】福村 輝雄

【要約】 【課題】被加工物における円形孔の内周面に微細凹部を形成するに際し、被加工物が高硬度材であっても微細凹部を良好に形成することができ、従来では適用困難であった直径の小さい円形孔にも適用可能である微細凹部の加工方法を提供する。

【解決手段】シリンダブロックCBにおけるシリンダボアBの内周面に微細凹部Pを形成するに際し、外周部に少なくとも1個の凸状電極3を設けた電極ヘッド2を用い、シリンダボアB内に電極ヘッド2を配置して内周面と凸状電極3の間に電圧を印加することで、放電加工によりシリンダボアBの内周面に微細凹部Pを形成するようにし、高硬度材のシリンダブロックCBでも微細凹部Pを良好に形成することができると共に、電極ヘッド2の構造を簡単で小型なものにして直径の小さいシリンダボアBにも適用可能にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物における円形孔の内周面に多数の微細凹部を形成するに際し、外周部に少なくとも1個の凸状電極を設けた電極ヘッドを用い、円形孔内に電極ヘッドを配置して円形孔の内周面と凸状電極の間に電圧を印加することにより、円形孔の内周面に微細凹部を形成することを特徴とする微細凹部の加工方法。
【請求項2】
被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線回りに回転させながら円形孔の内周面と凸状電極の間に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項3】
被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線回りに回転させながら円形孔の内周面と凸状電極の間に断続的に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項4】
円形孔の内周面に対して1周分の微細凹部を形成した後、電圧の印加を停止して被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線に沿う方向に所定距離移動させ、その後、次の1周分の微細凹部の形成と被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方の軸線方向の移動とを繰り返し行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項5】
被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線に沿う方向に移動させながら円形孔の内周面と凸状電極の間に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項6】
被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線に沿う方向に移動させながら円形孔の内周面と凸状電極の間に断続的に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項7】
円形孔の内周面に対して軸線に沿う方向の1列分の微細凹部を形成した後、電圧の印加を停止して被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線回りに所定角度回転させ、その後、次の1列分の微細凹部の形成と被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方の軸線回りの回転とを繰り返し行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項8】
被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線回りに回転させるとともに軸線に沿う方向に移動させながら、円形孔の内周面と凸状電極の間に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項9】
被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線回りに回転させるとともに軸線に沿う方向に移動させながら、円形孔の内周面と凸状電極の間に断続的に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項10】
円形孔の内周面と凸状電極の間に印加する電圧を変化させながら微細凹部を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項11】
円形孔の内周面と凸状電極の間の距離を変化させながら微細凹部を形成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の微細凹部の加工方法。
【請求項12】
外周部に多数の凸状電極を規則的配置で設けた電極ヘッドを用いたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の微細凹部の加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車用エンジンのシリンダブロックにおけるシリンダボア内周面のように、被加工物における円形孔の内周面(摺動面)に油溜りとして機能する多数の微細凹部を形成するのに用いられる微細凹部の加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、微細凹部の加工には、被加工物における円形孔の内周面に微細凹部を形成するものがあった(特許文献1参照)。この加工では、外周部に微細凹部形成用の凸部を有する加工ローラを用い、円形孔内に加工ローラを配置して、同円形孔の内周面に加工ローラを押付けて転動させることにより、内周面に微細凹部を連続的に形成する。
【0003】
このような加工ローラを用いた微細凹部の加工は、機械加工であるため、例えばショットブラスト等によって微細凹部を形成する場合に比べて、微細凹部を高精度に且つ効率良く形成することができ、生産性の向上や製造コストの低減を実現するうえで非常に有効なものとなっている。
【特許文献1】特開2005−319476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような従来の微細凹部の加工では、超硬、超硬以外の硬質金属やアルミナ及び窒化珪素等のセラミックスなどを材料とした高硬度の加工ローラを用いている。このため、被加工物の材料がアルミニウム、鋳鉄及び軟鋼等であれば、塑性加工による微細凹部の形成が容易であるが、被加工物の材料が超硬や超硬以外の硬質金属のように高硬度になると、塑性加工による微細凹部の形成が困難になるという問題点があった。
【0005】
また、被加工物における円形孔の内周面に微細凹部を形成する場合、加工ローラ及びその支持手段を円形孔内に配置する必要があるため、直径が小さい円形孔には適用が困難であるという問題点があり、これらの問題点を解決することが課題であった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、被加工物における円形孔の内周面に微細凹部を形成する方法であって、被加工物の材料が高硬度であっても円形孔の内周面に微細凹部を良好に形成することができると共に、従来では適用が困難であった直径の小さい円形孔にも適用することが可能である微細凹部の加工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の微細凹部の加工方法は、請求項1に記載しているように、被加工物における円形孔の内周面に多数の微細凹部を形成するに際し、外周部に少なくとも1個の凸状電極を設けた電極ヘッドを用い、円形孔内に電極ヘッドを配置し、円形孔の内周面と凸状電極の間に所定の間隙を介して電圧を印加することにより、放電加工により円形孔の内周面に微細凹部を形成する構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
また、微細凹部の加工方法は、上記構成に加えて、被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線回りに回転させ、又は被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の軸線に沿う方向に移動させながら微細凹部を形成し、さらに、電圧を連続的に印加あるいは断続的に印加させて微細凹部を形成し、さらに、被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方を円形孔の半径方向に移動させて円形孔の内周面と凸状電極の距離を変化させたり、電圧の大きさを変化させたりすることができる。なお、当該加工方法は、油や水等の加工液中あるいは加工液を用いない気中放電でも行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の微細凹部の加工方法によれば、被加工物における円形孔の内周面に微細凹部を形成するに際し、被加工物が表面に導電性を有する高硬度材料であっても、円形孔の内周面に微細凹部を良好に且つ効率良く形成することができると共に、凸状電極を有する電極ヘッドの構成を簡単に且つ小型にすることが容易であるから、従来では適用が困難であった直径の小さい円形孔にも充分に適用することが可能になり、各種被加工物に対する適用範囲を大幅に拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の微細凹部の加工方法に適用可能な加工装置の一実施例を示す図である。
【0011】
図示の微細凹部の加工装置は、自動車用エンジンのシリンダブロックを被加工物とし、円形孔であるシリンダボアBの内周面に放電加工により微細凹部Pを形成するものであって、昇降可能な主軸ヘッド(図示せず)と、主軸ヘッドから垂下した状態でモータにより回転駆動される主軸1と、主軸1の下側において水平面内で互いに直交する二軸方向に移動可能な被加工物載置用のテーブル(図示せず)と、主軸1の下部に同軸状に装着して一体で回転する電極ヘッド2を備えている。
【0012】
上記の加工装置では、回転駆動される主軸1が、シリンダブロック(被加工物)CB及び電極ヘッド2の少なくとも一方をシリンダボア(円形孔)Bの軸線回りに回転させる回転駆動手段に相当し、この実施例では電極ヘッド2を回転させる。また、昇降可能な主軸ヘッドが、シリンダブロック(被加工物)CB及び電極ヘッド2の少なくとも一方をシリンダボア(円形孔)Bの軸線に沿う方向に移動させる軸線方向移動手段に相当し、この実施例では電極ヘッド2を移動させる。さらに、水平移動するテーブルが、シリンダブロック(被加工物)CB及び電極ヘッド2の少なくとも一方をシリンダボア(円形孔)Bの半径方向に移動させる半径方向移動手段に相当し、この実施例ではシリンダブロック(被加工物)CBを移動させる。
【0013】
電極ヘッド2は、シリンダボアBの直径よりも小さい直径を有する円柱状を成すと共に、その外周部に少なくとも1つの凹部形成用の凸状電極3を有している。この実施例の電極ヘッド2は、円周方向に90度間隔で且つ軸線に沿う方向に一定間隔で多数の凸状電極3を配列したものであって、シリンダボアBに同軸状に挿入した状態で、シリンダボアBの内周面と各凸状電極3との間に一定の間隙を形成する。
【0014】
なお、凸状電極3は、ディンプル状の微細凹部Pを形成する突起型や溝状の微細凹部Pを形成する鍔型とすることができ、突起型の場合には、図示例の如く電極ヘッド2の円周方向や軸線に沿う方向に所定間隔で設けることができ、鍔型の場合には、軸線に沿う方向において単段若しくは複数段に設けることができる。
【0015】
上記の微細凹部の加工装置において、シリンダボアBの内周面に微細凹部を形成するに際しては、シリンダボアBの軸線と電極ヘッド2の中心軸とが一致するように位置決めをした後、電極ヘッド2をシリンダボアB内に下降させて所定の加工開始位置で停止させる。
【0016】
その後、電極ヘッド2の各凸状電極3とシリンダボアBの内周面との間に所定の電圧を印加する。これにより、凸状電極3とシリンダボアBの内周面との間で放電が起こり、図2に示すように、放電加工によってシリンダボアBの内周面にディンプル状の微細凹部Pが形成される。
【0017】
このように、上記の微細凹部の加工装置及び加工方法によれば、シリンダボアBの内周面に多数の微細凹部Pを高効率で且つ高精度に形成することができ、加えて、多数の凸状電極3を有する電極ヘッド2の採用により、シリンダボアBの内周面の全面に対して規則的な配列の微細凹部Pを短時間で形成することができる。
【0018】
また、上記の微細凹部の加工装置及び加工方法では、凸状電極3とシリンダボアBの内周面すなわち被加工面との間に放電が起これば、高硬度な材料であっても微細凹部を形成することが可能であり、例えば、超硬合金のような極めて高硬度な材料であっても微細凹部を容易に形成することができる。
【0019】
そして、上記の微細凹部の加工装置及び加工方法によってシリンダボアBの内周面に微細凹部Pが形成されたシリンダブロックCBは、多数の微細凹部Pが油溜りとして有効に機能してピストンとの摺接面である内周面の低フリクション化を実現し、ひいてはエンジンの高出力化にも貢献し得るものとなる。
【0020】
さらに、上記の微細凹部の加工装置は、電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線回りに回転させながらシリンダボアBと各凸状電極3との間に電圧を印加することにより、図3に示すように、シリンダボアBの円周方向に長い微細凹部Pを形成することができ、円周方向に配列した各微細凹部Pを互いに連続させて溝状の微細凹部にすることも可能である。
【0021】
また、上記の微細凹部の加工装置は、電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線回りに回転させながら、シリンダボアBと各凸状電極3との間に電圧を断続的に印加することで、シリンダボアBの円周方向に対してより多くの微細凹部Pを形成することができる。
【0022】
そして、上記のように断続的に電圧を印加するのに加えて、シリンダボアBの内周面に対して1周分の微細凹部Pを形成した後、電圧の印加を停止して主軸ヘッドとともに電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線に沿う方向に所定距離移動させ、その後、次の1周分の微細凹部Pの形成と電極ヘッド2の軸線方向の移動とを繰り返し行うことにより、図4に示すように、シリンダボアBの内周面のより広い範囲に対して、円周方向及び軸線に沿う方向に配列した多数のディンプル状の微細凹部Pを形成することができる。
【0023】
図5は、本発明の微細凹部の加工方法に適用可能な加工装置の他の実施例を示す図である。図示の微細凹部の加工装置は、図1に示す実施例のものと比べると、電極ヘッド2の直径が、シリンダボアBの直径よりも充分に小さいものとなっている。
【0024】
この場合、シリンダボアBの内周面に微細凹部を形成するには、主軸1により電極ヘッド2を軸線回りに回転させると共に、被加工物載置用のテーブルにより電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線回りに回転させて、シリンダボアBの内周面と各凸状電極3との間に電圧を連続的又は断続的に印加する。
【0025】
つまり、シリンダボアBの内周面と各凸状電極3との間隙を一定に保ちつつ、同内周面に沿って電極ヘッド2が転動するように動作制御を行う。また、電極ヘッド2の軸線方向の移動を組み合わせることもできる。これにより、図6に示すように、円周方向及び軸線に沿う方向に配列した多数のディンプル状の微細凹部Pを形成することができる。
【0026】
また、上記の微細凹部の加工装置及び加工方法では、電極ヘッド2の軸線回りの回転と、軸線に沿う方向の移動とを同時に行いつつ、シリンダボアBの内面と凸状電極3との間に連続的又は断続的に電圧を印加することも可能であり、これにより、図7に示すように、シリンダボアBの軸線に対して傾斜した微細凹部Pを形成することもできる。
【0027】
図8は、本発明の微細凹部の加工方法に適用可能な加工装置のさらに他の実施例を示す図である。図示の微細凹部の加工装置における電極ヘッド2は、図1に示す実施例のものとほぼ同じ直径を有すると共に、複数の凸状電極3を軸線方向に1列だけ備えたものとなっている。
【0028】
上記の微細凹部の加工装置は、シリンダボアBの内周面に微細凹部Pを形成するに際して、先の実施例と同様に、電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線回りや軸線に沿う方向に適宜移動させると共に、シリンダボアB及び各凸状電極3との間に連続的又は断続的に電圧を印加することで、先の各実施例と同様に、図9(a)に示す如くシリンダボアBの内周面に多数の微細凹部Pを形成することができる。
【0029】
そしてさらに、上記の微細凹部の加工装置は、複数の凸状電極3を軸線方向に1列だけ備えているので、シリンダボアB内において電極ヘッド2を半径方向に移動させることが可能であり、電極ヘッド2を回転させながら、凸状電極3とシリンダボアBの内周面との距離を変化させることで、図9(b)に示すように、シリンダボアBの円周方向において深さが変化する断面形状の微細凹部Pを形成することができる。このような電極ヘッド2の半径方向の移動は、当然のことながら図5に示す加工装置でも可能である。
【0030】
また、上記の微細凹部の加工装置は、シリンダボアBの内周面と凸状電極3の間に印加する電圧の大きさを変化させながら微細凹部Pを形成することによっても、微細凹部Pの大きさや深さを変えることができる。
【0031】
なお、上記の各実施例では、電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線回りに回転させ、この動作に加えて、電極ヘッド2を軸線に沿う方向や半径方向に移動させるものとしたが、電極ヘッド2における凸状電極3の数や配置によっては、電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線に沿う方向に移動させ、この動作に加えて、電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線回りや半径方向に選択的に移動又は同時に移動させるようにしても良い。
【0032】
また、シリンダボアBの内周面に対して軸線に沿う方向の1列分の微細凹部Pを形成した後、電圧の印加を停止して電極ヘッド2をシリンダボアBの軸線回りに所定角度回転させ、その後、次の1列分の微細凹部Pの形成と電極ヘッド2の軸線回りの回転とを繰り返し行うようにしたり、シリンダボアBの内周面と凸状電極3との間に連続的又は断続的に電圧を印加したりすることによっても、シリンダボアBの内周面の広い範囲に対してディンプル状や溝状の微細凹部Pを規則的に形成することができる。
【0033】
このように、本発明の微細凹部の加工方法は、外周部に少なくとも1個の凸状電極を設けた電極ヘッド、又は外周部に多数の凸状電極を規則的配置で設けた電極ヘッドを用い、放電加工により微細凹部を形成するものであるから、先述の如く被加工物が高硬度材から成るものであっても、微細凹部を良好に形成することができる。
【0034】
そして、本発明の微細凹部の加工方法は、図示例からも明らかなように、電極ヘッドの構造を簡単で小型にすることが可能であるから、従来では適用が困難であった直径の小さい円形孔に対してもその内周面に微細凹部を容易に形成することができ、シリンダブロック以外の各種被加工物に対する適用範囲に拡大し得ることとなる。
【0035】
また、本発明の微細凹部の加工方法は、上記の電極ヘッドを用い、被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方の円形孔の軸線回りの回転、被加工物及び電極ヘッドの少なくとも一方の円形孔の軸線に沿う方向の移動、円形孔の内周面と凸状電極との間における連続的な電圧の印加、及び電圧の断続的な印加を組み合わせることで、円形孔の内周面に、ディンプル状や溝状の微細凹部、方向が異なる溝状の微細凹部、ディンプル状の微細凹部と溝状の微細凹部の組み合わせ、及び大きさが不均一な微細凹部を意図的に形成することが可能となり、これに加えて、被加工物と電極ヘッドの距離や電圧の大きさを変えることで、大きさや深さの異なる微細凹部を形成することができ、様々な形態の微細凹部を形成し得るものとなる。
【0036】
さらに、本発明の微細凹部の加工方法は、上記の各実施例で説明した装置を用いると共に、電極と被加工物の間を絶縁する加工液中に電極ヘッドや被加工物を配置して、加工液中での放電加工を行うことができる。この加工液には基本的に油を用いるが、加工液に水やその他の液体を用いたり、加工液を使用しない気中放電でも加工可能である。
【0037】
なお、本発明の微細凹部の加工方法及びこれに適用可能な加工装置は、その構成が上記各実施例のみに限定されることはなく、構成の細部を適宜変更することができ、また、シリンダボア以外の円形穴の内周面に微細凹部を形成する場合に適用可能であると共に、強いて言えば被加工物の外面に微細凹部を形成することも可能である。さらに、この種の微細凹部の加工では、円形穴の内周面に微細凹部を形成した後、ホーニング等により微細凹部の周囲に生じた材料の盛り上がりを除去することも、円形穴の内周面の品質をより一層高めるうえで有効である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の微細凹部の加工方法に適用可能な加工装置の一実施例を説明する水平断面図(a)及び垂直断面図(b)である。
【図2】図1に示す加工装置で形成した微細凹部の一例を示す正面図である。
【図3】図1に示す加工装置で形成した微細凹部の他の例を示す正面図である。
【図4】図1に示す加工装置で形成した微細凹部のさらに他の例を示す正面図である。
【図5】本発明の微細凹部の加工方法に適用可能な加工装置の他の実施例を説明する水平断面図(a)及び垂直断面図(b)である。
【図6】図5に示す加工装置で形成した微細凹部の一例を示す正面図である。
【図7】図5に示す加工装置で形成した微細凹部の他の例を示す正面図である。
【図8】本発明の微細凹部の加工方法に適用可能な加工装置のさらに他の実施例を説明する水平断面図(a)及び垂直断面図(b)である。
【図9】図8に示す加工装置で形成した微細凹部の一例を示す正面図(a)及び電圧を変化させて形成した微細凹部の断面図(b)である。
【符号の説明】
【0039】
2 電極ヘッド
3 凸状電極
B シリンダボア(円形孔)
CB シリンダブロック(被加工物)
P 微細凹部
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成18年12月21日(2006.12.21)
【代理人】 【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲


【公開番号】 特開2008−155293(P2008−155293A)
【公開日】 平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願番号】 特願2006−343880(P2006−343880)