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複数の突起を有する構造体の製造方法、及び多孔板の製造方法 - 特開2008−142812 | j-tokkyo
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【発明の名称】 複数の突起を有する構造体の製造方法、及び多孔板の製造方法
【発明者】 【氏名】田尻 昌志

【氏名】宇田川 賢司

【氏名】中村 潤二

【要約】 【課題】複数の突起を有する構造体を容易に製造する方法を提供する。

【解決手段】櫛歯状の放電電極1を用いて被加工物2を放電加工すると、(b)に示すように、放電電極1の櫛歯を反転した表面形状を有するものになる。その後、放電電極1を90°回転し、被加工物2の既に放電加工が行われている面を再び放電加工すると、(c)に示すように、被加工物2の表面には、直方体の突起部3が多数形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
櫛歯状の電極を用いて被加工物に放電加工を行い、さらに、前記櫛歯状の電極を所定角度回転させて、前記被加工物の既に放電加工が行われた面に新たに放電加工を行うことを繰り返すことにより、前記被加工物に少なくとも2回の放電加工を行って、複数の突起を有する構造体を製造することを特徴とする複数の突起を有する構造体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の複数の突起を有する構造体の製造方法における、全ての放電加工に同一の櫛歯状の電極を用いることに代え、少なくとも1回は、異なる櫛歯状の電極を用いることを特徴とする複数の突起を有する構造体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の複数の突起を有する構造体の製造方法を使用して製造された複数の突起を有する構造体を、放電加工用の電極として使用して、平板に対して放電加工を行う工程を有することを特徴とする多孔板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の突起を有する構造体の製造方法、及び多孔板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属薄板に密に微細な孔をあける手段として電子ビーム、レーザなどの高エネルギ束加工によるもの、フォトリソエッチングによるもの、ドリルやパンチのような機械的加工によるものがある。
【0003】
例えば、特開平7−266142号公報(特許文献1)には、放電電極の少なくとも一方が、一定間隔で並んだ多数の針状電極が配置された電極板を用いて、放電加工により、小径の穴の加工を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開平7−266142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高エネルギ束加工では、1つの孔をあけるのにかかる時間は短いが、加工時に発生する蒸発物質や熱の影響で孔形状が非常悪くなり、間隔を密に詰めることができない。フォトリソエッチングでは、多数の孔を同時にあけることができるが、エッチング時に基本的に金属は等方性にエッチングされるために板厚より小さな間隔で孔をあけることはできない。ドリルやパンチなどの機械的加工方法では、孔形状は垂直で孔間隔を小さくすることができるが、同時に多数孔をあけることが困難で、大きな面積の密な多孔板を得るのにコストと時間が膨大なものになる。
【0005】
さらに高エネルギ束加工では、エネルギの入射面の開口が、出射面の開口よりも広がるラッパ状の孔形状になる。また、除去された物質が孔周辺に飛び散って、孔の形状を非常に悪くする。フォトリソエッチングでは、先にも記したように等方性エッチングされるために孔はテーパ状になる。上記に示した製作方法では、円筒状の孔をあけることはできなかった。
【0006】
このため、このような多孔板を製造するのには、放電加工により、プレートに孔あけを行うのが最も適当な方法であると考えられている。しかしながら、放電加工により、このような多孔板を製造するためには、微細な大きさの突起を多数有する放電電極を製造する必要がある。このような電極を、フライス盤や研削等の機械加工により製造することは困難である。すなわち、微細なエンドミルや砥石自体を作ることが困難であり、又、機械加工では加工抵抗が大きいため、微細な突起部が加工時に折れやすい。よって、高さの高い突起部を機械加工に製造することは、事実上不可能であると考えられていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、複数の突起を有する構造体を容易に製造する方法、及びこの構造体を用いた多孔板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための第1の手段は、櫛歯状の電極を用いて被加工物に放電加工を行い、さらに、前記櫛歯状の電極を所定角度回転させて、前記被加工物の既に放電加工が行われた面に新たに放電加工を行うことを繰り返すことにより、前記被加工物に少なくとも2回の放電加工を行って、複数の突起を有する構造体を製造することを特徴とする複数の突起を有する構造体の製造方法である。
【0009】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段の複数の突起を有する構造体の製造方法における、全ての放電加工に同一の櫛歯状の電極を用いることに代え、少なくとも1回は、異なる櫛歯状の電極を用いることを特徴とする複数の突起を有する構造体の製造方法である。
【0010】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段の複数の突起を有する構造体の製造方法を使用して製造された複数の突起を有する構造体を、放電加工用の電極として使用して、平板に対して放電加工を行う工程を有することを特徴とする多孔板の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の突起を有する構造体を容易に製造する方法、及びこの構造体を用いた多孔板の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の第1の例である複数の突起を有する構造体を、放電加工により製造する工程の概要を示す図である。
【0013】
図1において(a)は、櫛歯状の放電電極1を示す図である。この放電電極1を用いて被加工物2を放電加工すると、(b)に示すように、放電電極1の櫛歯を反転した表面形状を有するものになる。その後、放電電極1を90°回転し、被加工物2の既に放電加工が行われている面を再び放電加工すると、(c)に示すように、被加工物2の表面には、直方体の突起部3が多数形成される(実際には放電の影響で、隅が丸くなった形状となるが、以下の説明ではこれを無視する。)。直方体の断面の正方形の大きさは例えば80μm×80μm、直方体の高さは、例えば0.5〜1mmである。この場合、櫛歯のピッチを櫛歯の幅の2倍としているので、突起部3の幅と、突起部3間の凹部の幅はほぼ同一になる。このように、表面に突起部3が形成された被加工物2は、多孔板を作るときの放電電極として使用できる。
【0014】
なお、放電電極1の回転角を90°と異ならせれば、断面形状が菱形の形状を有する四角柱の突起部とすることができる。又、上記の例では、同じ櫛歯状の放電電極を2回使用したが、異なる櫛歯状の放電電極を1回ずつ使用してもよい。この場合には、断面形状が長方形や平行四辺形をした突起部を形成することができる。
【0015】
図2に、櫛歯のピッチを櫛歯の幅の2倍とした櫛歯状の放電電極を使用し、回転角度と位置を変化させた場合に形成される、突起部の形状の例を示す。角度を90°回転させた場合は、図1に示したとおりとなり、図2(a)に示すように、突起部の形状は直方体となる。角度を60°、120°変化させ、合計3回放電加工を行うと、電極の位置によって、図2(b)に示すように正三角柱の突起部が形成されたり、図2(c)に示すように正六角柱の突起部が形成されたりする。
【0016】
図3に、以上の工程に用いる櫛歯状の放電電極の製造方法の例を示す。図3(a)は、エンドミルや砥石4により、放電電極1の表面を櫛歯状とする様子を示す図である。図3(b)は、ワイヤ電極5を用いて、放電電極1に放電加工を行い、その表面を櫛歯状とする様子を示す図である。図3(c)は、棒状の放電電極6用いて、放電電極1に放電加工を行い、その表面を櫛歯状とする様子を示す図である。又、図3(d)に示すように、高さの違うプレート7と8とを交互に配置して接着し、櫛歯状の放電電極1としてもよい。
【0017】
図1に示すような放電電極1を使用して多孔板を形成する方法は、従来から公知のものであるので、その図示と説明を省略する。
【0018】
なお、本発明の方法により製造される多孔板は、医療用メンブレンフィルタ等としても使用されるばかりでなく、塗料製造、食品製造時のの濾過フィルタ等にも使用され、その用途は限定されない。又、本発明の方法により製造される複数の突起を有する構造体は、放電電極以外の用途にも使用することができ、その用途は限定されない。食品製造に使用される多孔板は、液体に溶けないものであることが望ましく、例えばチタンにより製造することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の第1の例である複数の突起を有する構造体を、放電加工により製造する工程の概要を示す図である。
【図2】櫛歯のピッチを櫛歯の幅の2倍とした櫛歯状の放電電極を使用し、回転角度と一を変化させた場合に形成される、突起部の形状の例を示す図である。
【図3】櫛歯状の放電電極の製造方法の例を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1…放電電極、2…被加工物、3…突起部、4…エンドミルや砥石、5…ワイヤ電極、6…放電電極、7…プレート、8…プレート
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成18年12月7日(2006.12.7)
【代理人】 【識別番号】110000246
【氏名又は名称】特許業務法人オカダ・フシミ・ヒラノ


【公開番号】 特開2008−142812(P2008−142812A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2006−330987(P2006−330987)