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【発明の名称】 透明難燃性放電加工液
【発明者】 【氏名】北村 友彦

【要約】 【課題】加工性に優れ、透明で難燃性を有する導電率の低い放電加工液を提供すること。

【解決手段】40℃における動粘度が1〜5mm2/sの鉱油及び/又は合成油からなる基油と(A)イオン性界面活性剤aを0.1〜10質量%、(B)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5以上の非イオン性界面活性剤bを0.1〜30質量%、(C)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5未満の非イオン性界面活性剤cを5.0〜40質量%、(D)水を8〜30質量%含む透明難燃性放電加工液である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
40℃における動粘度が1〜5mm2/sの鉱油及び/又は合成油からなる基油と(A)イオン性界面活性剤aを0.1〜10質量%、(B)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5以上の非イオン性界面活性剤bを0.1〜30質量%、(C)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5未満の非イオン性界面活性剤cを5.0〜40質量%、(D)水を8〜30質量%含むことを特徴とする透明難燃性放電加工液。
【請求項2】
さらに、20℃における導電率が500nS/cm以下であって、80℃における導電率が10000nS/cm以下、及び40℃における動粘度が1〜15mm2/sである請求項1に記載の透明難燃性放電加工液。
【請求項3】
さらに、(E)金属不活性化剤を0.01〜1.00質量%含む請求項1または2に記載の透明難燃性放電加工液。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工液に関する。さらに詳しくは、加工性に優れ、透明で難燃性を有する導電率の低い放電加工液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
放電加工に用いる加工油としては、従来より絶縁性の高い炭化水素系油が用いられてきた。しかしながら、従来の炭化水素系油は、加工時に生じた切削粉や同油から遊離した炭素などにより、使用に伴なって加工速度が低下して生産効率が低下することがあった。
また、比抵抗の低下に伴なって印加電圧を高めると、加工面が荒れたり、電極の消耗が速まったりするという問題を有していた。
さらに、炭化水素系油は一般に引火点が低く、使用にあたっては充分な引火防止対策を施す必要があり、特に大量に用いる場合には、その対策に要する費用および労力が無視できないという問題もあった。
【0003】
そこで、従来の炭化水素系油が有する問題点を解決する放電加工液として、たとえば絶縁性油に水を添加したエマルジョン型の電気加工液が各種提案されている(特許文献1、又は2参照)。しかし、前記放電加工液が油中水滴型エマルジョンであるときには、比抵抗が殆ど0になってしまうので放電加工が困難になり、無理に放電加工をしようとすると、印加電圧を上昇させねばならず、電極に掛る負荷が大きいことによる電極の短寿命化を一層促進する。
さらに、エマルジョンであるが故に、放電加工液の引火点が低く火災の発生の危険が多く、その上、粘度が高く加工時に混入する切削粉や炭素粒の除去が困難である。
【0004】
また、前記透明放電加工液が水中油滴型のエマルジョンであるときは、水が連続相であるから、電解加工ができても放電加工をすることはできない。いずれにしても、前記放電加工液は、水を含んでいるため、ある程度その引火性を低減することは可能であるが、その引火点は依然として低く、従来の炭化水素系油が有する問題を完全に解消するにはいたらない。
【0005】
さらに、鉱油及び/又は合成油と水とからなる混合物に、界面活性剤を添加することにより、引火点が高く、比抵抗の低下が小さく、加工速度の低下や加工面の荒れ、電極の消耗などの問題を解消し、作業性にも優れた透明な放電加工液が得られることが開示されている(特許文献3参照)。この技術により多くの上記問題点は解消されるが、導電率や加工速度等についてさらに改良する余地が残されている。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−6416号公報
【特許文献2】特開昭58−181522号公報
【特許文献3】特開昭63−74523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような従来の技術の問題点を解決した、加工性に優れ、透明で難燃性を有する導電率の低い放電加工液を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記状況に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の物性を有する鉱油および/または合成油と特定の割合の水とからなる混合物に、イオン性界面活性剤とHLBが特定の値以上の非イオン性界面活性剤及びHLBが特定の値未満の非イオン性界面活性剤をそれぞれ特定量混合することによって導電率が低く、透明な放電加工液が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1) 40℃における動粘度が1〜5mm2/sの鉱油及び/又は合成油からなる基油と(A)イオン性界面活性剤aを0.1〜10質量%、(B)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5以上の非イオン性界面活性剤bを0.1〜30質量%、(C)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5未満の非イオン性界面活性剤cを5.0〜40質量%、(D)水を8〜30質量%含むことを特徴とする透明難燃性放電加工液、
(2) さらに、20℃における導電率が500nS/cm以下であって、80℃における導電率が10000nS/cm以下、及び40℃における動粘度が1〜15mm2/sである上記(1)の透明難燃性放電加工液、及び
(3) さらに、(E)金属不活性化剤を0.01〜1.00質量%含む上記(1)または(2)の透明難燃性放電加工液、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加工性に優れ、透明で難燃性を有する導電率の低い放電加工液を提供することができる。具体的には
1.難燃性を有し、危険物としての取り扱いの必要性がなく、放電加工にあたって引火防止対策を軽微なもので済ませることができる。
2.加工速度が向上する。
3.電極の消耗が少ない。
4.加工液を長期に使用しても導電率の上昇が殆ど無い。
5.透明で作業性に優れる。
以上のように、本発明の透明難燃性放電加工液は、形彫放電加工、ワイヤカット放電加工等のいわゆる放電系と呼ばれる電気加工に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の好ましい透明難燃性放電加工液(以下放電加工液と称することがある)は、必須成分として40℃における動粘度が1〜5mm2/sの鉱油及び/又は合成油からなる基油と(A)イオン性界面活性剤aを0.1〜10質量%、(B)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5以上の非イオン性界面活性剤bを0.1〜30質量%、(C)親水性−疎水性バランス(HLB)が8.5未満の非イオン性界面活性剤cを5.0〜40質量%、(D)水を8〜30質量%含むことが必要である。
【0012】
本発明の放電加工液に用いられる基油である前記鉱油としては、40℃における動粘度が1〜5mm2/sの範囲にあるパラフィン系油、ナフテン系油などを挙げることができる。これらのパラフィン系油、ナフテン系油などは石油留分を精製して得られるものである。また、前記合成油としては、40℃における動粘度が1〜5mm2/sの範囲にある炭化水素系合成油、二塩基酸エステル、シリケートエステル、リン酸エステル、ネオペンチルポリオールエステル等のエステル系合成油、ポリグリコール系合成油、ポリフェニルエーテル系合成油、シリコーン系合成油などを挙げることができる。
このような鉱油および前記合成油としては、軽質鉱油、α−オレフィンオリゴマーなどを商業的に容易に入手することができる。前記基油の放電加工液に含まれる好ましい含有量としては40〜80質量%である。
前記鉱油および前記合成油のうち、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記鉱油及び/又は合成油の動粘度を1〜5mm2/sの範囲にすることによって、皮膚のかぶれや悪臭等を抑えると共に、放電加工により出る加工屑の排出に対しても容易に沈殿し加工性に影響を与えることはない。
【0013】
(A)成分であるイオン性界面活性剤aとしては、例えば、アニオン型、カチオン型及び両性型界面活性剤のいずれでもよく、具体的には、炭素数7〜40個のカルボン酸、例えば炭素数7〜30個の脂肪酸、該脂肪酸のダイマー酸、炭素数2〜36個のジカルボン酸、該カルボン酸の金属塩又はアルカノールアミン塩、ナフテン酸の金属塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アミン塩、アンモニウム塩、アミノ酸類などが挙げられる。これらのうち1種以上を液体組成物中に配合することができるが、特にアニオン型界面活性剤が好ましい。
(B)成分であるHLBが8.5以上の非イオン性界面活性剤bとしては、例えば、ポリオキシエチレン(n=5)オクチルフェニルエーテル(HLB=9)、ポリオキシエチレン(n=5)ラウリルエーテル(HLB=9)、ポリオキシエチレン(n=10)ベヘニルエーテル(HLB=9)、ポリオキシエチレン(n=10)デシルテトラデシルエーテル(HLB=9)、ポリオキシエチレン(n=10)コレステリルエーテル(HLB=9)、ポリオキシエチレン(n=8)グリセリルモノイソステアレート(HLB=9)、モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB=9)、ポリオキシエチレン(n=10)オレイルエーテル(HLB=10)、ポリオキシエチレン(n=10)オクチルドデシルエーテル(HLB=10)、ポリオキシエチレン(n=30)グリセリルトリイソステアレート(HLB=10)、ジイソステアリン酸デカグリセリル(HLB=10)、ポリオキシエチレン(n=10)モノイソステアレート(HLB=11)、ポリオキシエチレン(n=10)モノオレエート(HLB=11)、ポリオキシエチレン(15)イソステアリルエーテル (HLB=12)、ポリオキシエチレン(n=20)オレイルエーテル(HLB=14)、ポリオキシエチレン(n=20)モノオレイン酸ソルビタン(HLB=15)等の脂肪酸エステル型又はアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
尚、nはエチレンオキサイドの付加モル数である。
【0014】
(B)成分のHLBは8.5以上であることが必要であるが、好ましくは9以上である。HLBの上限値については特に制限はないが、通常20程度である。
また、(B)成分の含有量は0.1〜30質量%であることが必要であるが、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
上記(B)成分の界面活性剤bは、単独で用いることも、また、二種以上を併用して用いることができる。
【0015】
次に、(C)成分のHLBが8.5未満の非イオン性界面活性剤cとしては例えば、ポリオキシエチレン(n=5)ノニルフェニルエーテル(HLB=8)、ポリオキシエチレン(n=10)デシルペンタデシルエーテル(HLB=8)、ポリオキシエチレン(n=6)モノイソステアレート(HLB=8)、ポリオキシエチレン(n=6)モノオレエート(HLB=8)、ポリオキシエチレン(n=5)オレイルエーテル(HLB=6)、ポリオキシエチレン(n=10)硬化ヒマシ油(HLB=6)、ポリオキシエチレン(n=30)硬化ヒマシ油トリイソステアレート(HLB=6)、モノステアリン酸ジグリセリル(HLB=6)、ポリオキシエチレン(n=5)セチルエーテル(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=6)ステアリルエーテル(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=5)ヘキシルデシルエーテル(POE=7)、POE(n=5)イソステアリルエーテル(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=8)ジラウレート(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=5)モノステアレート(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=12)ジイソステアレート(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=12)ジオレエート(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=20)グリセリルトリイソステアレート(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=20)グリセリルトリオレエート(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=20)硬化ヒマシ油モノイソステアレート(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=40)テトラオレイン酸ソルビタン(HLB=7)、ポリオキシエチレン(n=8)ジイソステアレート(HLB=5)、ポリオキシエチレン(n=8)ジオレエート(HLB=5)、ポリオキシエチレン(n=3)グリセリルモノイソステアレート(HLB=5)、モノイソステアリン酸グリセリン(HLB=5)等の脂肪酸エステル型又はアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
上記(C)成分の界面活性剤cは、単独で用いることも、また、二種以上を併用して用いることができる。
【0016】
(C)成分のHLBは8.5未満であることが必要であるが、好ましくは8未満である。HLBの下限値については特に制限はないが、通常1程度である。
また、(C)成分の含有量は5〜40質量%であることが必要であるが、好ましくは7〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
本発明の透明難燃性放電加工液は(A)成分の界面活性剤a、(B)成分の界面活性剤b及び(C)成分の界面活性剤cを混合して用いることが重要であり、(A)成分の含有量0.1〜10質量%、(B)成分の含有量0.1〜30質量%、(C)成分の含有量5〜40質量%の範囲内で混合することによって、水に溶解することが可能となり透明性を維持することができると共に放電加工液の導電率を低く維持することができ、長時間使用しても加工性能が低下しない透明で難燃性の放電加工液を得ることができる。
【0017】
(D)成分の水は、充分に精製された蒸留水が好ましいが、この発明の目的を阻害しない限り、微量の不純物を含むものであってもよく、例えば、水道水を用いることもできる。
(D)成分の含有量は8〜30質量%であることが必要であるが、好ましくは9〜20質量%である。
(D)成分の含有量を上記範囲にすることによって、本発明の放電加工液の難燃性を確保し、放電加工液の粘度の上昇を抑え優れた加工性を得ることができる。
【0018】
本発明の透明難燃性放電加工液は、20℃における導電率が500nS/cm以下であることが必要であり、好ましくは300nS/cm以下、さらに好ましくは100nS/cm以下である。比抵抗は導電率と逆数の関係にあり、導電率が大きくなると比抵抗が小さくなる。比抵抗が小さくなると前述のように放電加工が困難になり、加工速度が遅くなり、無理に放電加工をしようとすると、印加電圧を上昇させねばならず、電極に掛る負荷が大きいことによる電極の短寿命化を一層促進する。
さらに、本発明の透明難燃性放電加工液は、80℃における導電率が10000nS/cm以下であることが必要であり、好ましくは8000nS/cm以下、さらに好ましくは5000nS/cm以下である。
さらに、本発明の透明難燃性放電加工液の40℃における動粘度が1〜15mm2/sであることが必要であり、好ましくは2〜12mm2/s、より好ましくは3〜10mm2/sである。
40℃における動粘度の値を上記範囲にすることによって皮膚のかぶれや悪臭等を抑えると共に、放電加工により出る加工屑の排出を容易にし、加工性に影響を与えることはなく、さらにフィルターの通油性の低下を抑えることができる。
【0019】
さらに、本発明の放電加工液には(E)成分の金属不活性化剤を0.01〜1.00質量%含むことが好ましい。
上記範囲の金属不活性化剤を加えることによって、放電加工機の電極として通常銅が使用されるため、放電加工液中に微量混入してくる銅等の金属酸化物の酸化触媒としての作用を抑制することができる。
金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール及びチアジアゾール等が挙げられる。
【0020】
さらに本発明の透明難燃性放電加工液には本発明の効果を損なわない範囲で、所望により、防錆剤、消泡剤及び酸化防止剤を添加することができる。
前記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。また、上記界面活性剤又は抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
また、前記消泡剤としては、シリコーン油、フルオロシリコーン油及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、防錆剤及び消泡剤含有量は、防錆及び消泡効果などの面から、放電加工液全量に基づき、通常0.01〜5質量%程度である。
【0021】
さらに、前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4'−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4'−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2'−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール;2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N'−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;2,2'−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。これらの中で、特にビスフェノール系及びエステル基含有フェノール系のものが好適である。
【0022】
また、アミン系酸化防止剤としては、例えばモノオクチルジフェニルアミン;モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系、4,4'−ジブチルジフェニルアミン;4,4'−ジペンチルジフェニルアミン;4,4'−ジヘキシルジフェニルアミン;4,4'−ジヘプチルジフェニルアミン;4,4'−ジオクチルジフェニルアミン;4,4'−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系、テトラブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジフェニルアミン;テトラオクチルジフェニルアミン;テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系、及びナフチルアミン系のもの、具体的にはα−ナフチルアミン;フェニル−α−ナフチルアミン;さらにはブチルフェニル−α−ナフチルアミン;ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン;ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン;オクチルフェニル−α−ナフチルアミン;ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのアルキル置換フェニル−α−ナフチルアミンなどが挙げられる。これらの中でジアルキルジフェニルアミン系及びナフチルアミン系のものが好適である。
本発明においては、前記フェノール系やアミン系の酸化防止剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、酸化防止効果及び経済性のバランスなどの面から、放電加工液全量に基づき、通常0.01〜5質量%程度である。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜2、比較例1〜6
表1に示す組成の放電加工液を調製した。
【0024】
【表1】


「注」
*1.PETORONATE-L、 Witco Chem.社製
*2.ナロアクティー−HN160、三洋化成社製
*3.ナロアクティー−HN140、三洋化成社製
*4.ナロアクティー−HN100、三洋化成社製
*5.エマルゲンLS106、花王社製
*6.nはエチレンオキサイドの付加モル数
*7.ユニルーブ75DE25、日本油脂社製
【0025】
得られた放電加工液の20℃における導電率、80℃における導電率、40℃における動粘度を測定した。測定は以下の方法に基づいておこなった。
1.<20℃における放電加工液の導電率の測定>
50mLビーカーに試料油40gを入れる。スターラーで攪拌(100rpm)している試料油の中に導電率計(Model:AOC−10、メーカー:DENKI KAGAKU KEIKI JAPAN)の電極(電極:pH複合電極、TYPE:GST−573lc、メーカー:DENKI KAGAKU KEIKI TOA CORPORATION)を浸し、導電率計の表示が一定になった時の値を読み取る。
尚、放電加工実験後の導電率も同様の方法にて行なった。測定結果を第2表に示す。
2.<80℃における放電加工液の導電率の測定>
50mLビーカーに試料油40gを入れる。ビーカーをヒーターにのせ、スターラーで攪拌(100〜200rpm)しながら、昇温速度10℃/分で加温する。液温が80℃になったときの導電率計(Model:AOC−10、メーカー:DENKI KAGAKU KEIKI JAPAN)の値を読み取る。測定結果を第2表に示す。
2.<40℃における動粘度を測定>
JIS K 2242に準じて40℃で測定した。測定結果を第2表に示す。
【0026】
次に、得られた放電加工液を用いて形彫放電加工実験を行った。
尚、加工機として三菱電機社製放電加工機DIAX M35S、電極:タフピッチ銅(10×10×100mm)、加工材としてS55C(30×30×40mm)を用いた。
放電加工実験は以下の2条件で行ない、加工条件1及び2における加工速度、加工条件2における電極消耗率及び加工条件1で放電加工を行なった後の放電加工液の導電率を測定した。測定結果を第2表に示す。
*条件1:ピーク電流:15A、パルス幅:256μSec.休止幅:256μSec.加工時間:5分
*条件2:ピーク電流:5.5A、パルス幅:16μSec.休止幅:16μSec.加工時間:10分
尚、加工速度は加工前後のワークの質量変化により算出した。数値の大きい程加工性が良いことを示す。
また、電極消耗率は加工前後の電極の質量変化に基づいて下記式にて算出した。
電極消耗率(%)=[電極の減少質量(g)/0.00893]/[加工材の減少質量/0.00787]・・・・・・・(I)
【0027】
【表2】


【0028】
第2表から次のようなことがわかる。
実施例1及び2は比較例に比べ導電率が低く加工性に優れる。また、イオン性界面活性剤aやHLBの異なる非イオン性界面活性剤b及び非イオン性界面活性剤cを適切に配合することで導電率が低くなると共に透明な放電加工液が得られる。
イオン交換水のみの比較例3は加工試験後の導電率が大きく変化しているが、基油+界面活性剤a+界面活性剤b+界面活性剤c+水系の実施例1、2、比較例1及び基油+界面活性剤a+界面活性剤b+水系の比較例2では加工試験後の導電率の変化はほとんど見られない。但し、比較例1及び2の導電率は高く加工速度が劣る。
【0029】
また、放電加工液(実施例1、2及び比較例1)の難燃性について確認をするため、クリーブランド オープン カット法、JIS K−2265に準拠して引火点を測定した。しかしながら、クリーブ ランド カット法によってはその引火点が検出されず、非常に高い引火点を有していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の透明難燃性放電加工液は、加工性に優れ、透明で難燃性を有し導電率が低く、加工液を長期に使用しても導電率の上昇が殆ど無く、形彫放電加工、ワイヤカット放電加工等のいわゆる放電系と呼ばれる電気加工に好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
【出願日】 平成19年9月27日(2007.9.27)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保

【識別番号】100081765
【弁理士】
【氏名又は名称】東平 正道


【公開番号】 特開2008−105172(P2008−105172A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2007−250921(P2007−250921)