トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 ワイヤ放電加工装置
【発明者】 【氏名】喜夛 秀明

【氏名】大友 陽一

【氏名】安達 章人

【要約】 【課題】シール板の摺動抵抗の下部アームへの影響を軽減し、且つメンテナンス不備による加工精度不良を防ぐ。

【解決手段】側面に長孔を有し、加工液を貯溜する加工槽と、該加工槽の前記長孔を閉塞すると共に、この長孔閉塞部に貫通孔を有し加工槽に対し長孔と平行に摺動するシール板と、加工槽とシール板を長孔と直角に貫通し、ワイヤ電極を案内するためのワイヤガイドを装着した下部アームと、該下部アームが固定され、長孔と平行に移動可能なサドルと、該サドルの両側面に固定され、シール板とバネ要素を介して接触するように配設された2本の支持アームと、バネ要素の変位量を検知する検出手段と、を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に長孔を有し、加工液を貯溜する加工槽と、
該加工槽の前記長孔を閉塞すると共に、この長孔閉塞部に貫通孔を有し前記加工槽に対し前記長孔と平行に摺動するシール板と、
前記加工槽と前記シール板を前記長孔と直角に貫通し、ワイヤ電極を案内するためのワイヤガイドを装着した下部アームと、
該下部アームが固定され、前記長孔と平行に移動可能なサドルと、
該サドルの両側面に固定され、前記シール板とバネ要素を介して接触するように配設された2本の支持アームと、
前記バネ要素の変位量を検知する検出手段と、
を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
【請求項2】
前記シール板の摺動抵抗の増加を前記バネ要素を介して前記検出手段で検知し、作業者にメンテナンス時期を伝える機能を備えたことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
【請求項3】
支持アームは、シール板に設けられた突起部にバネ要素を介して左右から接触することを特徴とする請求項1または2に記載のワイヤ放電加工装置。
【請求項4】
側面に長孔を有し、加工液を貯溜する加工槽と、
該加工槽の前記長孔を閉塞すると共に、この長孔閉塞部に貫通孔を有し前記加工槽に対し前記長孔と平行に摺動するシール板と、
前記加工槽と前記シール板を前記長孔と直角に貫通し、ワイヤ電極を案内するためのワイヤガイドを装着した下部アームと、
該下部アームが固定され、前記長孔と平行に移動可能なサドルと、
該サドルの両側面に固定され、前記シール板に設けられた突起部に左右から接触するように配設された2本の支持アームと、
前記サドルを駆動させるモータの電流値を検出し、該電流値変化により、前記シール板の摺動抵抗が増加したことを検出する検出手段と、
を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
【請求項5】
支持アームは、サドルのX軸重心点に固定されることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載のワイヤ放電加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、上下に配置された一対のワイヤ電極案内アームが、被加工物を載置し加工液を貯溜する加工槽に対して、X軸方向及びY軸方向に相対移動するワイヤ放電加工装置において、加工槽と下部アームのシール機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工機は、一般に放電加工液を貯溜する加工槽の側面に、ワイヤ電極を保持、通過させる下部アームの貫通孔を形成し、該貫通孔を閉塞するために加工槽外側に取付けられたシール板を設け、下部アームがX軸方向に移動する場合、シール板も下部アームとともに加工槽に対してスライドしながら移動する。
ここで、下部アームがシール板と接触しながら移動した場合、シール板の摺動抵抗が下部アームに影響し実際に加工を行う下部アーム先端の下部ワイヤガイドの位置に誤差が生じることが知られている。
また、シール板に加工屑が付着し、シール板の摺動抵抗が増加した場合も同様の誤差が生じることが知られている。
そのために、シール板と下部アームを支承する支承台を一体として、シール板の摺動抵抗が直接下部アームにかからないようにする構造が提案されている。(例えば特許文献1)
また、シール機構部を箱型の装置で覆い、その中に清浄補給水を流入することで、シール機構部を汚染から守る構造が提案されている。
(例えば特許文献2)
【0003】
【特許文献1】特開平5−301125号公報
【特許文献2】特開平7−60550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような方法の場合、下部アームとシール板が一体となって移動することで、軸移動に伴う下部アームにかかる負荷は小さくできるが、シール板の摺動抵抗は加工屑の付着によって増加するため、定期的なメンテナンスは必要となる。
仮に、作業者がメンテナンス時期を忘れて加工を続けた場合、シール板の摺動抵抗増加による加工精度不良が発生してしまうおそれがある。
また、特許文献2のような方法の場合、シール板に付着する加工屑を少なくすることはできるが、完全に防ぐことはできず、シール板のメンテナンスは必要であり、同様にメンテナンス不備による加工精度不良が発生する可能性がある。
また、加工の条件によってシール板に付着する加工屑は異なるため、それによってシール板の摺動抵抗の増え方も異なるが、毎回同じ周期でメンテナンスをすると、無駄なメンテナンスを行ってしまう問題がある。
【0005】
この発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、シール板の摺動抵抗の下部アームへの影響を軽減し、且つメンテナンス不備による加工精度不良を防ぐことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に関わるワイヤ放電加工装置は、側面に長孔を有し、加工液を貯溜する加工槽と、該加工槽の長孔を閉塞すると共に、この長孔閉塞部に貫通孔を有し加工槽に対し長孔と平行に摺動するシール板と、加工槽とシール板を長孔と直角に貫通し、ワイヤ電極を案内するためのワイヤガイドを装着した下部アームと、該下部アームが固定され、長孔と平行に移動可能なサドルと、該サドルの両側面に固定され、シール板とバネ要素を介して接触するように配設された2本の支持アームと、バネ要素の変位量を検知する検出手段と、を備え、且つシール板の摺動抵抗が増加した場合、検出手段にてその増加を検知するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、シール板摺動抵抗の増加を検出し事前に作業者に知らせることが可能であり、メンテナンス不備による加工精度不良を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態におけるワイヤ放電加工装置を上部から見た、加工槽、シール機構の構成を示す図である。
図において、1は加工液を貯溜する加工槽、2はワイヤボビン、3はワイヤボビン2から供給されるワイヤ電極、4は被加工物、5はステンレス鋼を利用し被加工物4を設置する定盤、6はワイヤ電極3が通過する下部ノズル、7はワイヤ電極3を保持、通過させる下部アーム、8は加工槽1の側面の貫通孔を閉塞するシール板であり、X軸方向へ軸移動する際は、シール板8は下部アーム5と共に加工槽1に対して摺動しながら移動する。9はサドル、10はサドル9およびサドル9上に取り付けられるコラム(図示省略)からなる構造体のX軸重心に駆動力を及ぼすように配設されたX軸駆動用のサーボモータ、11はシール板6の摺動抵抗を構造体のX軸重心で受けるための支持アームであり、左右の支持アームと共にサドル側面に2点で固定されている。12は支持アーム11上に固定され、シール板8の摺動抵抗をシール板8に設けられた突起部から受けて変位するバネ要素であり、支持アーム11は前記突起部に、バネ要素12を介して左右から接触している。13はバネ要素10の変位量を検出するための検出手段、14は下部ノズル4を経由して張架されるワイヤ電極を回収する回収ローラ、15は加工後のワイヤ電極を回収する回収箱であり、加工は加工槽1内の上部ノズル(図示省略)、下部ノズル6の間に配置した被加工物4とワイヤ電極3の間に加工液を介して放電を発生させて放電加工が行われる。
【0009】
図2は、図1に示したワイヤ放電加工機上面図を図中矢印Aの方向からの側面図を示したものであり、バネ要素12の変位に応じて検出手段13が検出する様子を示した図である。
【0010】
次にワイヤ放電加工機の動作について説明する。
被加工物1とワイヤ電極3との間に電圧を印加し、上部ノズル(図示省略)と下部ノズル6より噴出される加工液を介して放電を行わせ、被加工物を溶融除去することにより加工を進める。
このとき、ワイヤ電極3も放電加工にともない放電部分が溶融、劣化するので加工の進行とともに新しいワイヤ電極3が加工部に供給されるように、加工中はワイヤボビン2に巻回されたワイヤ電極3が、下部アーム7、回収ローラ14を経由して回収箱15に送り続けられる。
【0011】
なお、軸の移動は、被加工物4の上下に一対に配置されワイヤ電極3を案内する上部アーム(図示省略)と下部アーム7が、加工槽1と相対的に移動することで行われる。
このとき、X軸方向に移動する場合、下部アーム7と共に、シール板8も支持アーム11を介して加工槽1に対してスライドしながら移動する。
なお、このX軸方向の移動に際しては、下部アーム7とシール板8の間に隙間を保つように支持アーム11とシール板8に設けられた突起部が接触しており、シール板8の摺動抵抗を支持アーム11を介して構造体X軸重心で受ける機構であるため、シール板8の摺動抵抗による下部アーム7およびサドル9のヨーイングを抑制するとともに、前記ヨーイングの加工精度への影響を小さくすることができる。
【0012】
また、放電加工によって発生する加工屑がシール板8に付着し、シール板8の摺動抵抗が増加した場合、例えば図2にように摺動抵抗の増加によるバネ要素の変位量を検出手段で検知し、この検出信号は、放電加工機の制御装置(NC)に取り込まれ、機械操作画面上にアラームを発生させることで、作業者にシール板8のメンテナンス時期を知らせることができる。シール板の摺動抵抗と機械精度誤差は図3のような関係であり、本実施例では10kgfの摺動抵抗でバネ要素の変位量が5mmとなり検出手段で検知できるように取り付けられている。
【0013】
本実施の形態によれば、シール板の摺動抵抗を構造体のX軸重心で受けることで下部アームおよびサドルのヨーイングを抑制し、これによる加工精度誤差を少なくするとともに、シール板の摺動抵抗が増加した場合、それを検出し作業者にメンテナンス時期を伝えることで、シール板のメンテナンス不備による加工精度不良を防ぐ効果がある。
【0014】
実施の形態2.
また、シール板の摺動抵抗増加の検出手段として、X軸方向のサーボモータの電流値を利用してもよい。
具体的には、加工屑の付着によりシール板の摺動抵抗が増加しモータへかかる負荷が大きくなると、モータトルクを上げる必要があるためサーボモータの電流値が増加する。
このときのサーボモータの電流値を見れば、実施の形態1で用いる検出手段13とバネ要素12が不要となるほか、変化する電流値に対し、しいき値を数段階に設定することで、シール板の摺動抵抗の変化をより詳しく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明にかかるワイヤ放電加工装置の構成図である。
【図2】ワイヤ放電加工機上面図を図中矢印Aの方向からの側面図である。
【図3】シール板の摺動抵抗と機械精度誤差の関係を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成18年10月13日(2006.10.13)
【代理人】 【識別番号】100113077
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 省吾

【識別番号】100112210
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 忠彦

【識別番号】100108431
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 加奈子

【識別番号】100128060
【弁理士】
【氏名又は名称】中鶴 一隆


【公開番号】 特開2008−93797(P2008−93797A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−279680(P2006−279680)