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【発明の名称】 電極ガイドに対する電極挿通方法および装置
【発明者】 【氏名】横道 茂治

【要約】 【課題】電極ガイドに対する電極挿通をより確実にする電極挿通方法および装置の提供と、加工液中の汚液の電極ガイドへの侵入および加工液中の金属イオンが還元されて電極ガイドへ付着を防止して安定した電極送りを可能にし、かつ加工精度を向上させる細穴放電加工方法および装置の提供。

【構成】棒状電極39の上部を保持する電極ホルダ手段27と、前記棒状電極の下部をガイドする電極ガイド手段41とを有し、前記電極ホルダ手段によって前記棒状電極を回転させながらワークに対して給送する細穴放電加工装置1において、前記電極ガイド手段の下部を係脱可能な真空吸引ヘッド205に係合し、該真空吸引ヘッドにより前記棒状電極を吸引しながら前記電極ガイド手段に挿通させることを特徴とする電極ガイドに対する電極挿通方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状電極の上部を保持する電極ホルダ手段と、前記棒状電極の下部をガイドする電極ガイド手段とを有し、前記電極ホルダ手段によって前記棒状電極を回転させながらワークに対して給送する細穴放電加工装置において、前記電極ガイド手段の下部を係脱可能な真空吸引ヘッドに係合し、該真空吸引ヘッドにより前記棒状電極を吸引しながら前記電極ガイド手段に挿通させることを特徴とする電極ガイドに対する電極挿通方法。
【請求項2】
棒状電極の上部を保持する電極ホルダ手段と、前記棒状電極の下部をガイドする電極ガイド手段とを有し、前記電極ホルダ手段によって前記棒状電極を回転させながらワークに対して給送する細穴放電加工装置において、前記電極ガイド手段の下部に係脱可能な真空吸引ヘッドを設けると共に、前記棒状電極が前記電極ガイド手段を貫通したことを検出する電極貫通検出手段を設けたことを特徴とする電極ガイドに対する電極挿通装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電極ガイドに対する電極挿通装置において、前記真空吸引ヘッドは前記電極ガイド手段の下部と係合可能な上方向に開口した凹部を有し、前記電極ガイド手段下部と前記凹部との係合により形成される密閉空間内の空気を排出する排気手段とを設けてなり、前記電極貫通検出手段は前記真空吸引ヘッドに前記棒状電極の下端部に接触可能な検知電極を設けると共に、該検知電極と前記棒状電極の下端部との接触により形成される電気回路に前記棒状電極と前記検知電極との電気的導通を検出する導通検出器を設けてなることを特徴とする電極ガイドに対する電極挿通装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は細穴放電加工方法および装置、並びに電極ガイドに対する電極挿通方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
細穴加工用の放電加工装置では一般的に棒状またはパイプ状の細長い電極を主軸部に回転自在に支承し、その主軸部を主軸送りモータにより回転される送りねじによって上下に移動させ、電極の下端部をワークに近づけ放電を発生させることによって細穴をせん孔する構成となっている。そして、電極の下端部は正確な位置にガイドするために電極ガイドによってガイドされるようになっている。
【0003】
また、電極の下端部をガイドする電極ガイドに棒状(またはパイプ状)の細長い電極を挿通する手段として、棒状電極の上部から水ジェットを棒状電極を包囲するように噴射させて電極ガイドまで給送することが行われている。
【0004】
なお棒状電極を使用する微細な細穴加工では、電極の放電による溶断を防止するため加工液(通常は水または純水)を充満した加工槽中にワークを載置した状態で加工する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の如き従来の細穴放電加工方法および装置においては、加工部からの汚液が電極ガイド内に侵入し電極ガイドがつまって長時間の安定した電極送りができず、例えば2時間程度の連続加工または穴数1,000個程度の連続加工が限界であった。さらに、加工液中の金属イオンが還元されて電極ガイドに付着して、電極ガイドの穴が徐々に小さくなり、長時間の安定した電極送りができなくなるという問題があった。
【0006】
また、電極ガイドに対する電極挿通は、電極径が0.01mm〜0.03mm程度の微細なものになると座屈して挿通を失敗することもある。
【0007】
本発明は上述の如き問題を解決するためになされたものであり、本発明の課題は、微細な棒状電極の電極ガイドに対する電極挿通をより確実にする電極挿通方法および装置の提供と、加工液中に生じる汚液の電極ガイドへの侵入および加工液中の金属イオンが還元されて電極ガイドへ付着するのを防止して安定した電極送りを可能にし、かつ加工精度を向上させる細穴放電加工方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段として請求項1に記載の電極ガイドに対する電極挿通方法は、棒状電極の上部を保持する電極ホルダ手段と、前記棒状電極の下部をガイドする電極ガイド手段とを有し、前記電極ホルダ手段によって前記棒状電極を回転させながらワークに対して給送する細穴放電加工装置において、前記電極ガイド手段の下部を係脱可能な真空吸引ヘッドに係合し、該真空吸引ヘッドにより前記棒状電極を吸引しながら前記電極ガイド手段に挿通させることを要旨とするものである。
【0009】
請求項2に記載の電極ガイドに対する電極挿通装置は、棒状電極の上部を保持する電極ホルダ手段と、前記棒状電極の下部をガイドする電極ガイド手段とを有し、前記電極ホルダ手段によって前記棒状電極を回転させながらワークに対して給送する細穴放電加工装置において、前記電極ガイド手段の下部に係脱可能な真空吸引ヘッドを設けると共に、前記棒状電極が前記電極ガイド手段を貫通したことを検出する電極貫通検出手段を設けたことを要旨とするものである。
【0010】
請求項3に記載の電極ガイドに対する電極挿通装置は、請求項2に記載の電極ガイドに対する電極挿通装置において、前記真空吸引ヘッドは前記電極ガイド手段の下部と係合可能な上方向に開口した凹部を有し、前記電極ガイド手段下部と前記凹部との係合により形成される密閉空間内の空気を排出する排気手段とを設けてなり、前記電極貫通検出手段は前記真空吸引ヘッドに前記棒状電極の下端部に接触可能な検知電極を設けると共に、該検知電極と前記棒状電極の下端部との接触により形成される電気回路に前記棒状電極と前記検知電極との電気的導通を検出する導通検出器を設けてなることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、請求項2、請求項3の発明によれば、真空吸引ヘッドによる吸引動作により、棒状電極を下方に引っ張りながら電極ガイドへ送り込むので、電極径が0.01mm〜0.03mm程度の微細なものでも、座屈することなく確実に挿通させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面によって説明する。
【0013】
図1、図2は本発明に係る細穴放電加工装置の正面図と側面図である。細穴放電加工装置1の基台3上にワークWを固定するワークテーブル5が設けてあり、このワークテーブル5上にワークWを収容する加工槽7が設けてある。また、前記ワークテーブル5の後方(図2の右方)には、ワークテーブル5より上方に延伸するコラム9(a,b)が設けてある。
【0014】
上述のコラム9(a,b)の上部には、X方向(図1において左右方向)へ移動位置決め自在のX軸キャリッジ11が設けてあり、このX軸キャリッジ11上には、前記X方向に直交するY方向へ移動位置決め自在のY軸キャリッジ13が設けてある。
【0015】
図3を参照するに、上述のY軸キャリッジ13の前端(図2における左側端部)には、スライドベース17が上下動可能に係合してある。このスライドベース17には、Z軸スライド19が図示省略のガイドに上下動自在に係合してある。
【0016】
前記スライドベース17には、Z方向に延伸するZ軸送りねじ21が回転自在に軸支してあり、このZ軸送りねじ21の上方の端部には、Z軸送りねじ21を回転駆動するサーボモータ23が設けてある。また、このZ軸送りじ21には、前記Z軸スライド19に取り付けたナット24が螺合してある。
【0017】
したがって、図示省略の制御装置の制御の下に、上述のサーボモータ23によってZ軸送りねじ21を適宜に回転駆動することにより、Z軸スライド19をZ方向の所望の位置に移動することができる。
【0018】
上述のZ軸スライド19の下部には、ワンタッチカプラ25を備えた電極ホルダ手段27が回転自在に設けてある。また、この電極ホルダ手段27には、Z軸スライド19の上部に延伸する中空の回転軸29がワンタッチカプラ25を介して固定してあり、その回転軸29の上端部には、回転軸駆動用のタイミングプーリの如きプーリ31が設けてある。また、前記中空の回転軸29の上端部には、ロータリジョイント33を介して図示省略の給水装置に管路35を介して連結してある。また、プーリ31は電極回転用の電極モータ37に設けた駆動プーリ(図示省略)に駆動ベルト(図示省略)を介して連結してある。
【0019】
したがって、給水装置から供給される水は、中空の回転軸29の中空部を通って電極ホルダ手段27に供給されることになる。また、電極ホルダ手段27は、電極回転用の電極モータ37によって回転駆動することができる。
【0020】
前記電極ホルダ手段27の下方には、棒状電極39の先端部をガイドする電極ガイド手段41が設けてある。この電極ガイド手段41は、前記スライドベース17の下端部に一体的に設けた支持板43にボルトなどの締結部材45により固定してある。
【0021】
前記電極ホルダ手段27は、図4に示すように、微細な棒状電極39の端部を保持するコレット47を備えており、このコレット47は、コレット47を保持するコレットホルダ49に設けた下方に開口するコレット保持穴51に着脱可能に挿入してある。また、このコレット保持穴51には、前記回転軸29の中空穴に連通する水路53が設けてある。
【0022】
前記コレット保持穴51の上部とコレット47との間には、コレット47とほぼ同径の環状スペーサ55が挿入してあり、この環状スペーサ内部に前記水路53からの水を貯留する貯留室57が形成してある。
図4および図5に示すように、コレット47の外周には、前記貯留室57からコレット47の先端部47hに連通する4本の水路溝59が設けてある。
【0023】
なお、コレット47の先端部47hには、先端部47hが容易に弾性変形できるように、コレット47のチャック穴61に至る十文字状の割溝63が設けてある。また、前記コレットホルダ49の下部外周には、前記ワンタッチカプラ25の下端部に当接する鍔状の係止部65が設けてある。
【0024】
前記コレットホルダ49の下端部には、コレット47の先端のテーパ部に係合してコレット47を締め付けるコレット固定部材67が設けてある。このコレット固定部材67は、コレットホルダ49の下端部の雄ねじ69に螺合する雌ねじ71を備えており、このコレット固定部材67を回動することによって、コレット47の開放または固定を行うことができる。
【0025】
また、上述のコレット固定部材67には、前記コレット47の4本の水路溝59から下方に流出する水を水ジェットWJにして棒状電極39を包囲するように噴射させるジェットノズル73が設けてある。
【0026】
一方、前記電極ガイド手段41には、図6に示すように、前記電極ホルダ手段27に装着した棒状電極39の下端部をワークに対して垂直にガイドする電極ガイド75を備えた電極ガイドスリーブ77が設けてある。
【0027】
さらに詳細には、電極ガイドスリーブ77の下部は、電極ガイドスリーブ77の胴部に比較して小径の小径部77aが形成してあり、この小径部77aにセラミックス製の電極ガイド75を圧入して電極ガイドスリーブ77と一体的にしてある。これはセラミックス製の電極ガイド75は耐磨耗性は大きいが脆いため、靱性の大きい材質(例えば金属)で製作した電極ガイドスリーブ77でセラミックス製の電極ガイド75を保護するためである。
【0028】
前記スライドベース17の下端部に設けた前記支持板43には、上部に鍔部78を備えた電極ホルダ79がボルトなどの締結部材(図示省略)により固定してある。電極ホルダ79には前記電極ガイドスリーブ77その他を装着するための上方に開口する装着穴81が設けてある。この装着穴81の底部には前記装着穴81より小径の小穴83が設けてある。
【0029】
前記電極ガイドスリーブ77は、電極ホルダ79の底部に電極ガイドスリーブ77の段部を当接させると共に、底部の小穴83から小径部77aが突出するように電極ホルダ79に装着してある。
【0030】
前記電極ガイドスリーブ77の軸心部には、前記電極ガイド75と同軸のインナースリーブ85が嵌合してある。インナースリーブ85の軸心には、前記電極ガイド75の電極ガイド穴径より若干大きい電極案内穴87が設けてある。このインナースリーブ85の上端面は前記電極ガイドスリーブ77の上面と同一水準であって、インナースリーブ85の上端面には、インナースリーブ85の上端面から前記電極案内穴87に収束する漏斗状の流体案内部89が形成してある。前記電極ガイドスリーブ77の上端面の外周は若干大きめな面取りが施してある。
【0031】
前記電極ガイドスリーブ77上部にはスペーサ91が設けてある。スペーサ91の下面には前記電極ガイドスリーブ77の上面の面取りに係合する下方に凹の座繰り穴96が設けてあり、上面には上方に凸の凸部98が形成してある。
【0032】
前記スペーサ91には、スペーサ91の下面に設けた装着穴92にセラミックス製の上部電極ガイド101が前記電極ガイド75と同軸に装着してある。
【0033】
なお、前記スペーサ91の座繰り穴96を電極ガイドスリーブ77の面取り部に係合させたときに、上部電極ガイド101の下端面がインナースリーブ85の上端面に一致するようにスペーサ91に上部電極ガイド101を嵌合保持してある。
【0034】
また、スペーサ91の外周部に外側環状溝93を設けると共に、中心部の前記上部電極ガイド91の周囲にスペーサ91の下端に向けて開口する内側環状溝95が設けてある。そして、この二つの環状溝(93,95)の間は4本の流路97(a,b,c,d)で連通させてある。また、記電極ホルダ79の鍔部78には、前記外側環状溝93に連通する気体供給口103が設けてある。
【0035】
また、前記上部電極ガイド101を装着した前記装着穴92の上部には、前記スペーサ91の上部に開放する開口94が設けてある。
【0036】
したがって、気体供給源(図示省略)から気体供給口103に供給された気体は、外側環状溝93、流路97(a,b,c,d)、内側環状溝95を経由して前記インナースリーブ85の流体案内部89に供給される。
【0037】
流体案内部89に供給された気体は、インナースリーブ85の電極案内穴87を通って前記電極ガイド75に供給されることになる。なお、電極ガイド75を通過する電極と電極ガイド75とのクリアランスは0.001〜0.002mm程であり、放電加工中にはこのクリアランスを介して気体が加工液(通常は水道水または純水)中に放出される。
【0038】
また、前記スペーサ91の上部の装着穴81には雌ねじが形成してあり、この雌ねじ部に雄ねじを備えた固定部材105が螺合してある。なお、固定部材105の下面には、前記スペーサ91の上面の凸部98に対応する凹部100が形成してある。
【0039】
固定部材105を前記電極ホルダ79上部の雌ねじ部に適宜に螺合させることにより、前記電極ガイドスリーブ77と前記スペーサ91とを前記電極ホルダ79の装着穴81の所定の位置に押圧固定することができる。
【0040】
また、固定部材105の上部は、前記電極ホルダ79の装着穴81の外部に突出した状態であり、固定部材105の上部には上方に開口する漏斗状の流体案内部107が形成してある。この漏斗状の流体案内部107の底部には前記スペーサ91の上部に設けた開口94に対面する小穴109が設けてある。なお、開口94および小穴109は前記棒状電極棒状39および水ジェットの水が通過可能な大きさを有している。
【0041】
上記構成の細穴放電加工装置において細穴の放電加工を行う場合、電極ホルダ手段27のコレット47に棒状電極39の上部を装着し、給水装置から電極ホルダ手段27へ給水すれば、電極ホルダ手段27の貯留室57、コレット47の外周の水路溝を経て、電極の周囲を包囲する水ジェットがジェットノズル73から噴出され、0.010〜0.200mm程度の微細な棒状電極39を電極ホルダ手段から電極ガイド手段41まで、電極ガイドとの摩擦による反力によって曲がることなく一直線に給送することができる。
【0042】
また、電極を水ジェットで包んでいるため、電極の回転により発生する電極の撓み(縄跳び現象)を抑えることができ、精度の高い細穴加工を行うことができる。
【0043】
さらに、加工中に電極ガイド手段の電極ガイドに気体を供給し、電極ガイドから加工液中に気体を放出させながら細穴放電加工を行うことにより、電極を気体で支持する態様となり、電極ガイドと電極との摩擦抵抗を微小なものにすることができる。
【0044】
上述の電極ガイドに供給する気体には、通常はコストがかからない空気を使用するが、空気以外に例えば、窒素、水素、酸素、アルゴン、ヘリウム、炭酸ガスなどの気体を使用することが可能である。また、供給する気体の温度は低温の方が良好であり望ましくは4°C前後がよい。供給する気体の圧力は電極ガイド手段の気体供給口103部でのゲージ圧力で0.05〜1.00(kg/cm2)程度が望ましい。
【0045】
上述の如く、加工中の電極ガイド部へ気体を供給することにより、加工部からの汚液が電極ガイド内に侵入しないので電極ガイドがつまることがなく、長時間の安定した電極送りが可能となる。
【0046】
また、加工液中の金属イオンが還元されて電極ガイドに付着するのを気体によって遮断するため、電極ガイドの穴が徐々にが小さくなることを防止することができる。その結果長時間の安定した電極送りが可能となった。
【0047】
また、従来は電極ガイドとワークとの距離が0.3〜0.5mmを必要とするところを0.05〜0.20mmに短縮できるため加工精度が向上する。具体的には、電極径0.03mmを使用したときの最小加工穴直径が0.060mm程度であったものが、本発明では0.050〜0.052mmの範囲に収めることが可能となった。
【0048】
なお、本発明の実施の形態においては前記電極ホルダ手段に水ジェットを発生させるジェットノズルを設け、棒状電極を水ジェットでガイドすると同時に回転させながらワークに対して給送する細穴放電加工装置の例にして説明したが、棒状電極を電極ガイド手段へガイドするのに水ジェットを使用しないものも知られている。
【0049】
例えば、電極ホルダ手段と電極ガイド手段との間に、棒状電極をガイドする2個の中間ガイド手段を上下方向に適宜な距離をおいて配置したものもある。この中間ガイド手段は 電極ホルダが下降するときには電極ホルダとの干渉を回避するために水平方向へ退避可能に設けてある。
【0050】
また、本発明は直径が0.2mm以下0.01mmまでの電極を使用する細穴加工において効果が大きい。
【0051】
図7は本発明に係る電極ガイドに対する電極挿通装置201を前述の細穴放電加工装置1に適用した例を示したものである。
【0052】
電極挿通装置201は細穴放電加工装置1の加工槽7内の適宜な位置に設置してある。適宜な位置とは、ワークWを加工する加工位置の近傍であり、電極挿通装置201は加工位置にできる限り近接した位置に設置する方が望ましい。
【0053】
上記電極挿通装置201には、前記電極ガイド手段41下部に係脱可能な真空吸引ヘッド205が設けてある。この真空吸引ヘッド205には、上方向に開口した円筒状の凹部203が形成してあり、凹部203は前記電極ガイド手段41を構成する電極ホルダ79の下部と、Z軸方向に摺動可能にかつ気密状態に係合できるように設けてある。
【0054】
なお、気密を保つための手段として、実施例では凹部203の内径部にシール部材207が装着してあるが、シール部材207を使用する代わりに係合部の嵌合クリアランスを小さく設定しても実用に耐える性能を得ることが可能である。
【0055】
上述の真空吸引ヘッド205の凹部203と電極ホルダ79の下部との係合により、電極ホルダ79下端部と凹部203との間に形成される密閉空間209内の空気を排出するために、凹部203の底部に設けた排気孔211に管路213を介して排気手段215が接続してある。
【0056】
実施例の排気手段215は、空圧源217から高速に流出する空気を利用して、密閉空間209内の空気をサイレンサ219を介して排出するアスピレータ(aspirator)式の真空吸引装置を示してあるが真空ポンプを使用しても構わない。
【0057】
次に、前記電極ガイド手段41を貫通したことを検出するための電極貫通検出手段221の構成について説明する。
【0058】
図7に示した状態において、前記真空吸引ヘッド205の凹部203内底で、かつ電極ガイド75のほぼ真下に、前記棒状電極が前記電極ガイド手段を貫通したことを電気的導通により検出するための検知電極223が配置してある。
【0059】
検知電極223は、導線225を介して直流電源227のマイナス側に接続してあり、この直流電源のプラス側は導線229を介して前記電極ガイド手段41の上方に位置する前記棒状電極39に摺動可能に接続してある。したがって、前記棒状電極39の下端部が検知電極223に接触することによって、直流電源227からの電流が導線229、棒状電極39、導線225を流れる電気回路が形成される。
【0060】
また、前記直流電源227と並列に導通検出器231が設けてある。導通検出器231は、前記棒状電極39と検知電極223との接触による電圧降下を検出して導通を検出するようになっている。
【0061】
なお、導通検出器231は棒状電極39と検知電極223との接触により回路を流れるる電流を検出するようにしても構わない。また、真空吸引ヘッド205を導体で製作し、真空吸引ヘッド205と直流電源227のマイナス側を導線233および225を介して接続すれば、前記真空吸引ヘッド205自体を検知電極223の代わりとして使用することもできる。
【0062】
以下、上述の細穴放電加工装置1において、上記構成の電極挿通装置201を使用して棒状電極39を電極ガイド手段41に挿通する場合の動作について説明する。
【0063】
始めに、前記スライドベース17に設けた電極ガイド手段41が電極挿通装置201の直上に来るように、スライドベース17のX軸およびY軸を適宜に駆動して移動位置決めする。
【0064】
次いで、前記Z軸スライド19を下降させ、電極ガイド手段41を構成する前記電極ホルダ79の下部が真空吸引ヘッド205の上部に係合する位置まで挿入する。
【0065】
続いて、上述の棒状電極39の下端部が電極ガイド手段41を構成する上部電極ガイド101と下方の電極ガイド75に挿通するように、前記棒状電極39を装着した電極ホルダ手段27をZ軸を制御しながら下降させると同時に、排気手段215を作動させて真空吸引ヘッド205内の空気を排出し、棒状電極39を吸引することにより、電極ガイド(101,75)への挿通を強力にアシストする。
【0066】
上述の如く、真空吸引ヘッド205による吸引動作により、棒状電極39を下方に引っ張りながら上方から送り込むので、電極径が0.01mm〜0.03mm程度の微細なものでも、座屈することなく確実に電極ガイド(101,75)を挿通させることができる。
【0067】
また、棒状電極39が電極ガイド75を貫通すれば、下端部が検知電極223に到達して接触し、前述の導通検出器231により電極ガイド75を貫通したことが検出される。
【0068】
前記棒状電極39が前記電極ガイド手段を貫通したことが検出されたら、前記電極ガイド手段41を加工位置へ移動させて放電加工を実施することができる。
【0069】
なお、上述の電極ガイド手段41への棒状電極39の挿通においては、棒状電極39の周囲を包囲する水ジェットによるガイドは使用していないが、水ジェットを併用することも勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る細穴放電加工装置の正面図。
【図2】本発明に係る細穴放電加工装置の右側面図。
【図3】図2における、Z軸スライド部の拡大図。
【図4】図3における、A部の拡大説明図。
【図5】図4におけるコレット47をC−C線に沿って断面した図。
【図6】図3における、B部の拡大説明図。
【図7】本発明に係る電極ガイドに対する電極挿通装置の説明図。
【符号の説明】
【0071】
1 細穴放電加工装置
3 基台
5 ワークテーブル
7 加工槽
9(a,b) コラム
11 X軸キャリッジ
13 Y軸キャリッジ
17 スライドベース
19 Z軸スライド
21 Z軸送りねじ
23 サーボモータ
24 ナット
25 ワンタッチカプラ
27 電極ホルダ手段
29 回転軸
31 プーリ
33 ロータリジョイント
35 管路
37 電極モータ
39 棒状電極
41 電極ガイド手段
43 支持板
45 締結部材
47 コレット
49 コレットホルダ
51 コレット保持穴
53 水路
55 環状スペーサ
57 貯留室
59 水路溝
61 チャック穴
63 割溝
65 係止部
67 固定部材
69 雄ねじ
71 雌ねじ
73 ジェットノズル
75 電極ガイド
77 電極ガイドスリーブ
77a 小径部
79 電極ホルダ
81 装着穴
83、109 小穴
85 インナースリーブ
87 電極案内穴
89、107 流体案内部
91 スペーサ
92 装着穴
93 外側環状溝
94 開口
95 内側環状溝
96 座繰り穴
97 流路
98 凸部
100 凹部
101 上部電極ガイド
103 気体供給口
105 固定部材
201 電極挿通装置
205 真空吸引ヘッド
207 シール部材
209 密閉空間
211 排気孔
215 排気手段
217 空圧源
219 サイレンサ
221 電極貫通検出手段
223 検知電極
225、229 導線
227 直流電源
231 導通検出器
WJ 水ジェット
W ワーク
【出願人】 【識別番号】000128429
【氏名又は名称】株式会社エレニックス
【出願日】 平成19年11月29日(2007.11.29)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄


【公開番号】 特開2008−62383(P2008−62383A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2007−308720(P2007−308720)