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放電加工機及び放電加工機の熱変位補正方法 - 特開2008−36739 | j-tokkyo
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【発明の名称】 放電加工機及び放電加工機の熱変位補正方法
【発明者】 【氏名】英 博

【要約】 【課題】放電加工機において、複雑な機構を有することなく容易に、かつ効果的に所定方向の相対変位量を抑制する。

【構成】放電加工機1は、電極6と被加工物Wとの極間Dに放電を発生させ、放電エネルギにより被加工物Wの加工を行う放電加工機1において、電極6と被加工物Wとの所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する前記所定方向の熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う電極6と被加工物Wとの前記所定方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と被加工物との極間に放電を発生させ、放電エネルギにより前記被加工物の加工を行う放電加工機において、
前記電極と前記被加工物との所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する前記所定方向における熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う前記電極と前記被加工物との前記所定方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風する送風手段を備えていることを特徴とする放電加工機。
【請求項2】
電極と被加工物との極間に放電を発生させ、放電エネルギにより前記被加工物の加工を行う放電加工機の熱変位補正方法において、
前記電極と前記被加工物との所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する前記所定方向における熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う前記電極と前記被加工物との前記所定方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風することを特徴とする放電加工機の熱変位補正方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、温度変化に伴う機械本体の熱変位を補正可能な放電加工機及び放電加工機における熱変位補正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電極と被加工物との極間に放電を発生させ、放電エネルギにより被加工物を加工する放電加工機が知られている。放電加工機を形成する機械本体の各部位は、一般的に厚さや長さ等、形状が異なるものであるため、放電加工機が温度変化の生じる環境下に設置されると、熱容量等の違いにより各部位で温度差が生じてしまう。該温度差が生じると前記各部位での熱変位量にも差が生じてしまうため、電極と被加工物との間の相対位置が変化して加工精度が低下する虞があった。そこで、従来、機械内部に外気を取り込んで機械本体の内壁と外壁との温度差を低減し、機械全体を均一な温度にして、熱変位による前記相対位置の変化を小さくする方法が開示されている。
【0003】
上記の方法には、機械本体の各部位に温度検出用センサを配設し、前記各部位の温度差を指定された範囲内にするために、機械本体に取り付けた送風ファンの回転数を変えて通風量を制御する方法(特許文献1)や、コラムとベッド内に、これらと一体の分割リブを設けることにより、コラムとベッド内部に円滑な通風を施して、主要構造体全体の温度分布を均一化する方法(特許文献2)等がある。さらに機械内部に外気を取り込むだけでは不十分な場合には、精密に温度制御された気体や液体等を機械内部で循環させる方法や、放電加工機全体をカバーで覆い外気と遮断することによって、外気温度の変化による影響を受けないようにする方法等も開示されている。
【特許文献1】特開平5−177502号公報
【特許文献2】特許平2−30812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように通風量を制御する方法や、温度制御された気体や液体を機械内部に循環させる方法は、複雑な制御機構を要するためコストがかかってしまう。放電加工機全体をカバーで覆う方法は、カバーの分のコストを必要とし、かつ機械全体が大型化してしまう。また上記方法により機械全体を均一な温度に保持することができても、機械本体の各部位は、形状の違いにより、熱応答速度すなわち温度が変化したときに各部位で全体が変化後の温度になるまでに要する時間が異なり、この時間差により熱変位量にばらつきが生じて、加工精度が低下してしまう虞がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、複雑な機構を有することなく容易に、かつ効果的に所定方向の相対変位量を抑制可能な放電加工機及び放電加工機における熱変位補正方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放電加工機は、電極と被加工物との極間に放電を発生させ、放電エネルギにより前記被加工物の加工を行う放電加工機において、
前記電極と前記被加工物との所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する前記所定方向における熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う前記電極と前記被加工物との前記所定方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風する送風手段を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の放電加工機の熱変位補正方法は、電極と被加工物との極間に放電を発生させ、放電エネルギにより前記被加工物の加工を行う放電加工機の熱変位補正方法において、
前記電極と前記被加工物との所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する前記所定方向における熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う前記電極と前記被加工物との前記所定方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風することを特徴とするものである。
【0008】
なお本発明において「電極と被加工物との所定方向の相対位置」は電極と被加工物との間の所定方向の間隔すなわち距離をいう。「所定方向の相対位置の変化」は、温度変化させたときの最大間隔と最小間隔との差をいう。「熱応答速度が遅い」は、温度が変化したときに各部位で全体が変化後の温度になるまでに要する時間が長いことをいい、「熱応答速度が速い」は、前記要する時間が短いことをいう。
【0009】
本発明において「2つの部位」は、各部位の前記所定方向における線熱膨張率(前記所定方向の全長の温度変化による変化率)が同程度であることが好ましく、具体的には、それぞれの線熱膨張率が、該2つの線熱膨張率の平均値の70%〜130%の範囲内にあることが好ましく、90%〜110%の範囲内にあればより好ましく、95%〜105%の範囲内にあればさらに好ましい。なお「部位」は複数の構成要素からなるものであっても、単一の構成要素からなるものであってもよい。「部位」が複数の構成要素からなるものである場合で、特に構成要素が離れて配置されている場合には、温度変化させる前と後とで、構成要素ごとに所定方向の全長を測定してそれら足し合わせ、温度変化させる前と後との値から所定方向の線熱膨張率を算出する。また「部位」が、例えば単一の材料によって形成された鋳物等の単一の構成材料からなるものである場合には、その材料の線熱膨張率を使用してもよい。
【0010】
本発明において「最も少なくなる風量」は、実際に最も少なくなる風量に限らず、その風量と同程度の風量、例えばその風量の±10%の範囲内の風量も含む。
【0011】
なお本願出願人により、温度変化パターンが異なっても相対位置の変化が最も少なくなる風量は同じになることが実験で確認されている。
【0012】
本発明では、前記一方の部位だけではなく、他方の部位にも所定量の外気を送風してよい。この場合、前記一方の部位に送風する外気の風量は、他方の部位に前記所定量の外気を送風したときに温度変化に伴う前記電極と前記被加工物との前記所定方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量を、予め実験的に求めて決定したものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の放電加工機及び放電加工機の熱変位補正方法によれば、電極と被加工物との所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する所定方向における熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に、予め実験的に求められた風量の外気を送風するので、熱応答速度の遅い一方の部位の熱応答速度を速くすることにより、前記一方の部位と他方の部位とを略同じ熱応答速度にすることができて、温度変化に伴う時間毎の熱変位量のばらつきを抑制できる。このとき送風する風量が温度変化に伴う電極と被加工物との所定方向の相対位置の変化が最も少なくなるように決定されたものなので効果的に相対位置の変化すなわち所定方向の相対変位量を抑制でき、放電加工機の加工精度を向上させることができる。
【0014】
また送風される風量が予め実験的に求められた一定の風量なので、風量を制御するための複雑な機構を必要としないため、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の放電加工機の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態の放電加工機1の概略構成側面図である。なお本実施形態の放電加工機1は、便宜上、電極6が位置する側を上側(図1の紙面上側)、ベッド部2が位置する側を下側(図1の紙面下側)、作業者が作業する側すなわちコラム部3とテーブル部4を介して反対側を前側(図1の紙面右側)とし、前後方向(図1中左右方向)をY軸方向、上下方向(図1中上下方向)をZ軸方向として説明する。また本明細書中では各部位において熱膨張又は熱収縮による各部位の全長の変化量を「熱変位量」とする。
【0016】
本実施形態の放電加工機1は、図1に示す如く、床面に設置されたベッド部2と、ベッド部2の上面後側に立設されたコラム部3と、ベッド部2の上面の、コラム部3よりも前側に載置され、被加工物Wが載置されるテーブル部4と、テーブル部4の上方に位置するようにコラム部3に保持されたヘッド部5と、ヘッド部5の下端に装着された電極6とから概略構成されている。ベッド部2、コラム部3、テーブル部4及びヘッド部5は線熱膨張率の等しい材料で形成された鋳物とする。
【0017】
ベッド部2は、上面が平坦に形成された直方体であって、内部にベッド部内空洞21を有している。コラム部3は、ベッド部2の上面に該上面と略直角に立設され、四角柱状で内部にコラム本体部内空洞71を有するコラム本体部7と、コラム本体部7の上端面に、上面及び下面がコラム本体部7と略直角すなわちベッド部2の上面と平行になるように配設された略直方体で、内部にコラム上部内空洞81を有するコラム上部8とから構成されている。このときベッド部2、コラム本体部7及びコラム上部8の空洞21,71,81は、別々に区画して形成されている。
【0018】
ヘッド部5は、内部に図示しないモータ等が設置され、下端に上下方向に移動可能に装着された電極6が配設されている。テーブル部4は、上面及び下面がベッド部2の上面と平行に形成され、被加工物Wが上面内で手動又は自動で移動可能に構成されている。そして被加工物Wは、内部に加工液が収容された図示しない加工槽の中に配置される。
【0019】
上記のように構成された放電加工機1は、加工槽に収容された加工液の中で、電極6と被加工物Wとの極間Dに、図示しない電源によって放電を発生させ、放電エネルギによって被加工物Wの放電加工を行う。
【0020】
本発明において特徴的なのは、電極6と被加工物Wとの所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する所定方向における熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う電極と被加工物との前記所定方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風することである。
【0021】
本実施形態の放電加工機1における前記2つの部位は、熱変位を生じることにより電極と被加工物との相対位置に変化を生じさせることから、Y軸方向は一方をベッド部2、他方をコラム上部8とヘッド部5とを組み合わせてなる上部9とし、Z軸方向は一方をコラム部3、他方をテーブル部4、被加工物W、ヘッド部5及び電極6とを組み合わせた軸部10とする。前側からみて左右方向すなわち紙面奥行き方向であるX軸方向は、放電加工機1が前側からみて左右略対称に構成されているものであるため、他の軸方向と比較して左右の熱変位量に差が生じ難いので、本実施形態では考慮しないものとする。
【0022】
先ずY軸方向の熱変位補正方法について説明する。通常、放電加工機1のベッド部2は、上面にコラム部3等が配設されるため、強度や安定性を考慮して、上部9と比較して厚み等、外形が大きく設計されている。そのためベッド部2の熱容量は、上部9の熱容量よりも大きくなり、放電加工機1の周囲において温度変化が生じた場合には、熱容量の違いにより、ベッド部2と上部9とは温度変化に差が生じる。そして温度変化に差が生じると、ベッド部2のY軸方向の全長(図1中、Y1)における熱変位量と、上部9のY軸方向の全長(図1中、Y2)における熱変位量とが異なる値となり、これにより電極6と被加工物WとのY軸方向の相対位置に変化が生じる。また上記のようにベッド部2の熱容量は、上部9の熱容量よりも大きいので、ベッド部2と上部9とを均一な温度にするために要する時間は、ベッド部2が上部9よりも多く必要となる。すなわちベッド部2は上部9よりも熱応答速度が遅い。
【0023】
そこで本実施形態の放電加工機1の熱変位補正方法は、図1に示す如く、ベッド部2本体の前壁に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う電極6と被加工物WとのY軸方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風するように設定したベッド側ファン22を取り付けて、ベッド部内空洞21に、強制的に外気を送風する。このときベッド部2本体の後壁にベッド側開口23を形成して、ベッド部内空洞21の空気の流れを良くすることにより、ベッド部2をより早く外気温に近づけて熱応答速度を早くする。
【0024】
以下、風量を決定する実験について説明する。図2にベッド側ファン22の回転数を制御して異なる風量の外気をベッド部内空洞21に送風したときの時間の経過とY軸方向の相対変位量との関係を示すグラフを示す。なお図2中の曲線の番号は、小さい番号が少ない風量の曲線であり、番号が大きくなるにつれて多い風量の曲線を示す。ここでNo1は風量が0のときの曲線を示す。また外気の温度の変化量は9℃とし、後述する図3中の外気温の曲線と同じ変化をさせた。
【0025】
図2に示す如く、外気をベッド部内空洞21に送風すると、図示しない外気温の変化と連動してY軸方向の相対変位量が変化する。少ない風量(No1〜3)のときには、ベッド部2と上部9との熱応答速度に差があるので、時間毎のベッド部2のY軸方向の全長(図1中、Y1)における熱変位量と、上部のY軸方向の全長(図1中、Y2)における熱変位量とに差が生じるため、外気温を9℃変化させたときのY軸方向の相対変位量は大きいときには14μm程度となり、Y軸方向の相対変位量を充分に抑制できない。
【0026】
多い風量(No4〜7)のときには、ベッド部内空洞21により多くの外気が送風されるので、ベッド部2がより速く外気温に近づき、ベッド部2の熱応答速度が速くなる。これにより、ベッド部2と上部9との熱応答速度の差が小さくなるので、時間毎のベッド部2のY軸方向の全長(図1中、Y1)における熱変位量と、上部9のY軸方向の全長(図1中、Y2)における熱変位量との差を小さくすることができ、外気温を9℃変化させたときのY軸方向の相対変位量を5μm以内に抑制することができる。
【0027】
ここで上記多い風量のうち風量No6,7のときには、ベッド部内空洞21に外気がより多く入るので、ベッド部2が速く外気温に近づき過ぎて、ベッド部2の方が上部9よりも熱応答速度が速くなってしまい、図2に示す如く、曲線の時間周期における位相が逆転する。本実験においては風量No5又は風量No6のときに、Y軸方向の相対変位量が最も抑制されているが、放電加工機1にさらに高い加工精度が要求されている場合には、風量No5と風量No6との間で風量を細かく設定し、Y軸方向の相対変位量がさらに抑制される値を求めることができる。
【0028】
ここで、図3に上記のように決定された風量の外気をベッド側ファン22によってベッド部内空洞21に送風したときの時間の経過とY軸方向の相対変位量との関係を示すグラフを示す。このとき外気の温度の変化量は9℃とし、詳しくは、2℃/時で9℃上昇させ、2時間経過後に2℃/時で9℃降下させた。さらに2時間経過後2℃/時で9℃上昇させ、8時間経過後2℃/時で9℃降下させた。そしてさらに2時間経過後2℃/時で9℃上昇させ、2時間経過後2℃/時で9℃降下させた。なお図3中ファン無しの曲線は、上述した図2中のNo1の曲線と同じデータである。
【0029】
図3に示す如く、ベッド側ファン22が取り付けられていない放電加工機1では、外気温の変化に連動してY軸方向の相対変位量が14μm程度まで上昇した。ベッド部2にベッド側ファン22を取り付けた放電加工機1では、外気温の変化とは時間周期における位相が逆転してY軸方向の相対変位量は4μm以内で変化した。
【0030】
このように、前述のように決定された風量の外気をベッド側ファン22によってベッド部内空洞21に送風することにより、ベッド部2の熱応答速度を速くすることができるため、ベッド部2と上部9との熱応答速度の差を小さくすることができ、ベッド部2と上部9との時間毎のY軸方向の熱変位量の差を小さくできる。これによりY軸方向の相対変位量が抑制されるので、放電加工機1の加工精度を向上させることができる。また風量は一定であるため、風量を制御するための複雑な機構を必要としないことにより、コストを低減することができる。さらに風量は温度変化に伴う電極6と被加工物WとのY軸方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量なので、効果的に前記相対位置の変化すなわちY軸方向の相対変位量を抑制でき、放電加工機1の加工精度を向上させることができる。
【0031】
次にZ軸方向の熱変位補正方法について説明する。通常、放電加工機1のコラム部3は、ヘッド部5を介して電極6を所定位置に保持するため、強度や安定性を考慮して、上述した軸部10と比較して外形が大きく設計されている。そのためコラム部3の熱容量は、軸部10の熱容量よりも大きくなり、放電加工機1の周囲において温度変化が生じた場合には、熱容量の違いにより、コラム部3と軸部10とは温度変化に差が生じる。そして温度変化に差が生じると、コラム部3のZ軸方向の大きさ(図1中、Z1)における熱変位量と、軸部10のZ軸方向の大きさ(図1中、Z2)における熱変位量とが異なる値となり、これにより電極6と被加工物WとのZ軸方向の相対位置に変化が生じる。また上記のようにコラム部3の熱容量は、軸部10の熱容量よりも大きいので、コラム部3と軸部10とを均一な温度にするために要する時間は、コラム部3が軸部10よりも多く必要となる。すなわちコラム部3は軸部10よりも熱応答速度が遅い。
【0032】
そこで本実施形態の放電加工機1の熱変位補正方法は、図1に示す如く、コラム本体部7本体の後壁下端部に、予め実験的に求められた、温度変化に伴う極間DのZ軸方向の相対位置の変化が最も少なくなる風量の外気を送風するように設定したコラム側ファン72を取り付けて、コラム本体部内空洞71に、強制的に外気を送風する。このときコラム本体部7本体の後壁上端部にコラム側開口73を形成して、コラム本体部内空洞71の通風をより活性させる。なお本実施形態の放電加工機1は、上述したY軸方向の熱変位補正への影響を低減するために、コラム側ファン72による通風はコラム本体部内空洞71のみに行なうものとする。また風量については、上述したY軸方向と同様の実験方法にて決定するものとし、Z軸方向の実験方法についての説明は省略する。なおZ軸方向の実験は、被加工物Wを加工液に浸した状態で行い、加工液の温度をコラム部7の温度と同じ温度に制御する等、実際の加工状態と同様の構成にして行うものとする。
【0033】
図4に上述のように構成された本実施形態の放電加工機1において、外気の温度を9℃変化させたときの時間の経過とY軸方向及びZ軸方向の相対変位量との関係を示すグラフを示す。図4に示す如く、Y軸方向の相対変位量は略4.0μm以内に抑制することができ、Z軸方向の相対変位量は略2.5μm以内に抑制することができた。
【0034】
上述のように本実施形態の放電加工機1及び放電加工機1の熱変位補正方法によれば、電極6と被加工物Wとの所定方向の相対位置に変化を生じさせる2つの部位のうち、温度変化に対する前記所定方向の熱応答速度の遅い一方の部位の内部又は外面に外気を送風するので、熱応答速度の遅い一方の部位の熱応答速度を速くすることにより、前記一方の部位と他方の部位とを略同じ熱応答速度にすることができて、温度変化に伴う時間毎の熱変位量のばらつきを抑制できる。このとき送風する風量が温度変化に伴う電極と被加工物との所定方向の相対位置の変化が最も少なくなるように決定されたものなので効果的に相対位置の変化すなわち所定方向の相対変位量を抑制でき、放電加工機の加工精度を向上させることができる。
【0035】
また送風される風量が予め実験的に求められた一定の風量なので、風量を制御するための複雑な機構を必要としないため、コストを低減することができる。よって放電加工機は、被加工物に対して高精度で加工を行うことができる。
【0036】
なお上記のY軸方向及びZ軸方向の相対変位量の測定は、一般的に使用される測定方法により求めるものとし、例えば電極6及び被加工物Wの位置に基準球を設置して測定する方法が使用される。
【0037】
また本実施形態の放電加工機1は、上述したようにベッド部2とコラム本体部7にファンを取り付けたものであるが、本発明の放電加工機はこれに限られるものではなく、例えばベッド部のみにファンを取り付けてもよい。
【0038】
また本実施形態の放電加工機1は、上述したようにベッド部2前面にベッド側ファン22を取り付けたものであるが、本発明の放電加工機はこれに限られるものではなく、例えば右側面にベッド側ファンを取り付けても、左側面にベッド側ファンを取り付けてもよく、適宜設計変更可能である。
【0039】
また本実施形態の放電加工機1は、上述したようにコラム本体部7後面の下端部にコラム側ファン72を取り付けたものであるが、本発明の放電加工機はこれに限られるものではなく、例えば上端部に取り付けても、前面に取り付けてもよく、適宜設計変更可能である。
【0040】
また本実施形態の放電加工機1は、上述したようにコラム本体部及びベッド部の内部に外気を送風するものであるが、本発明の放電加工機はこれに限られるものではなく、例えば外面に外気を送風してもよい。
【0041】
また本実施形態の放電加工機1は、上記のようにC形フレームと総称される形状としたが、本発明の放電加工機及び該放電加工機における熱変位補正方法はこれに限られるものではなく、例えば左右両側にコラム本体部を備えた門形フレームと総称される形状であってもよく、適宜設計変更可能である。門形フレームの放電加工機の場合は、Z軸方向の熱変位を補正するために、左右両側のコラムにコラム側ファンを取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態の放電加工機の右側面図
【図2】異なる風量を送風したときの時間の経過とY軸方向の相対変位量との関係を示すグラフ
【図3】ファンが取り付けられた放電加工機とファンが取り付けられていない放電加工機とにおける時間の経過とY軸方向の相対変位量との関係を示すグラフ
【図4】外気の温度を9℃変化させたときの時間の経過とY軸方向及びZ軸方向の相対変位量との関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0043】
1 放電加工機
2 ベッド部
21 ベッド内空洞
22 ベッド側ファン
23 ベッド側開口
3 コラム部
4 テーブル部
5 ヘッド部
6 電極
7 コラム本体部
71 コラム本体部内空洞
72 コラム側ファン
73 コラム側開口
8 コラム上部
81 コラム上部内空洞
9 上部
10 軸部
D 極間
W 被加工物
P 作業者
【出願人】 【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史

【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛


【公開番号】 特開2008−36739(P2008−36739A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211901(P2006−211901)