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【発明の名称】 ワイヤ放電加工機
【発明者】 【氏名】木下 三男

【氏名】宮嶋 敬一郎

【要約】 【課題】ワイヤ電極の移動方向によってワイヤ電極の撓み量が異なる場合でも、その撓み量を補正し、高精度の加工ができるワイヤ放電加工を提供する。

【構成】ワイヤ電極の移動方向別にワイヤ電極の撓み量を測定し(25)、記憶手段(26)に記憶させておく。加工の際には、加工プログラム(21)と加工速度に基づいて各軸の移動指令を求める(22)。該移動指令より加工方向(ワイヤ電極の移動方向)を求め、該加工方向と記憶手段26に記憶する方向別撓み量、及びそのとき各軸の移動速度に基づいて各送り軸方向の撓み量を推定する(23)。この各軸毎の推定撓み量より補正量を求めて、各軸への移動指令をそれぞれ補正する(24)。加工方向によって、ワイヤ電極の撓み量が異なっても、加工方向に基づいて撓み量を補正するので、ワイヤ電極の撓み量が正確に補正され、高精度の加工ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下ワイヤガイドにワイヤ電極を張架し、ワイヤ電極と加工ワークの間に電圧を印加した状態でワイヤ電極をワークに接近させて放電を発生させ、該放電状態を監視して該放電状態に基づいて加工速度を制御して放電加工を行うワイヤ放電加工機において、
前記ワイヤガイドの前記ワークに対する相対移動方向毎に測定したワイヤ電極の測定撓み量を記憶する測定撓み量記憶手段と、
加工プログラム記憶手段に記憶された加工プログラムと、
加工プログラムと前記加工速度からワイヤガイドとワークの相対的移動指令を決定する手段と、
その相対的移動指令決定手段から通知される相対的移動指令と前記測定撓み量記憶手段に記憶された測定撓み量に基づき実際のワイヤ電極の撓み量を推定する手段と、
そのワイヤ電極の推定撓み量に基づきワイヤガイドの位置を補正する手段を具備したワイヤ放電加工機。
【請求項2】
前記実際のワイヤ電極の撓み量を推定する手段は、ワイヤガイドをワークに対して相対的に移動させる各送り軸毎にその送り軸方向の撓み量を推定し、前記ワイヤガイドの位置を補正する手段は、送り軸毎の推定撓み量に基づいて各送り軸への移動指令を補正する請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項3】
前記測定撓み量記憶手段には、ワイヤガイドをワークに対して相対的に移動させる各送り軸の正、逆移動方向毎にワイヤ電極の測定撓み量が記憶されている請求項1または請求項2に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項4】
前記実際のワイヤ電極の撓み量を推定する手段は、ワイヤ電極の測定撓み量を測定したときの加工速度と、実際の加工速度からワイヤ電極の撓み量を推定する請求項1乃至3の内いずれか1項に記載のワイヤ放電加工機。
【請求項5】
ワイヤガイドの移動方向に対するワイヤ電極の撓み量を測定する手段を具備した請求項1乃至4の内いずれか1項に記載のワイヤ放電加工機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ放電加工機に関し、放電加工時におけるワイヤ電極の撓みを補正するワイヤ放電加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工機は上下ワイヤガイドでワイヤ電極を張架し、ワイヤ電極とワーク(被加工物)の間に電圧を印加した状態でワイヤ電極をワークに接近させて放電を発生させ、その放電により発生する熱によりワイヤ電極近傍のワークを溶融させて加工を行うものである。加工プログラムで指令した加工形状通りに加工が行われるように、上下ワイヤガイドとワーク(被加工物)の相対的な位置を制御している。
しかしながら、ワイヤ電極は真鍮・銅等の細い線材であり、放電が発生するとその放電圧力等によりワイヤ電極は撓む性質を持っている。このワイヤ電極の撓みにより加工位置がワイヤガイド位置からずれ、加工精度が低下することになる。
【0003】
図13は放電加工中のワイヤ電極の状態を説明する説明図である。図13において、ワーク3はワーク置き台4上に取り付けられ、ワイヤ電極1は加工ワーク3の上方及び下方に配置された上ワイヤガイド2aと下ワイヤガイド2bにガイドされて張設されている。ワーク3とワイヤ電極1間に電圧を印加し、上下ワイヤガイド2a,2bをワーク3に対して相対移動させて加工を行うが、ワイヤ電極1は0.1〜0.3mm程度の真鍮・銅等の金属線材のため、ワイヤ電極1の放電加工部分では放電圧力等の影響を受け、ワイヤ電極1はワイヤガイドの移動方向に反対の方向に数十μ程度撓む。なお、図13では、上下ワイヤガイド2a,2bを加工ワーク3に対して、図中、矢印で示すように左方向に移動させている例を示している。従って、ワイヤ電極1はワイヤガイド2a,2bに対して撓み量だけ離れた位置を移動することになり、ワイヤガイド2a,2bを加工プログラムの指令通りに制御して移動させても、実際に加工される加工ワーク3の加工形状はプログラムした加工形状とはならない。このワイヤ電極の撓みに起因する形状誤差は、コーナ部の加工あるいは微小半径の円弧加工において顕著である。いわゆるコーナダレといわれる現象である。
【0004】
図14は、このコーナダレの説明図である。加工プログラムで指令された90度移動方向が変化する加工経路(加工形状)5に対して、ワイヤ電極1が放電ギャップεだけオフセットして移動させられる。ワイヤガイド2a,2bの中心の通路は符号6で示される。ワイヤ電極1がワイヤガイド2a,2bの移動方向に反対の方向に撓むことにより、移動方向が90度変化するコーナ部では、ワイヤ電極1の中心は破線6’に示すように、ワイヤガイド2a,2bの移動通路より内側を通ることになる。これによって、加工形状は、破線5’に示すように、加工プログラムで指令された加工経路5と異なり内側の経路となり、加工プログラムで指令された形状の加工が得られないという問題がある。
【0005】
このコーナダレを防止する方法として、コーナ部で直線方向に余分に切り込み加工を行うことによって、コーナ部での外角部だれ、内角部の食い込みによる形状誤差をなくし、ダイ形状の加工をしたとき、入れ子やパンチ等の製品をスムーズに嵌合できるようにしたもの(特許文献1参照)や、コーナ部で加工速度を低下させて放電圧力を減少させてワイヤ電極の撓み量を減少させ、加工精度が向上する方法(特許文献2、3参照)が知られている。
【0006】
また、円弧、コーナ部の加工において、接線方向の撓み量と円弧の半径方向の撓み量を求め、加工経路を補正するようにしたもの(特許文献4参照)、撓み量を瞬時動作電流、瞬時放電電圧も瞬時加工液圧力及び固定パラメータに基づいて求めてワイヤ案内軌道を補正する方法(特許文献5参照)、コーナ角度が鋭角の場合、コーナ部で予め決められたパターンでの補正経路を追加してコーナ部の加工を行う方法(特許文献6参照)、同様に鋭角のコーナ部において、プログラム指令の経路に補助経路を追加してコーナ部を加工する方法(特許文献7参照)等が知られている。
【0007】
ワイヤ電極の撓み量を測定する方法は、前述の特許文献4及び特許文献8で公知である。この撓み量測定方法は、指定した加工条件下で、所定加工速度で加工を行い、その途中で加工を停止する。加工を停止し放電が停止するから放電圧力がなくなり、ワイヤ電極とワークが短絡状態になる。これを短絡検知装置で検出し、この短絡が解除するまでワイヤ電極を後退させて、その後退距離を求め、該後退距離と加工条件での放電ギャップ量よりワイヤ電極の撓みを求めるものである。
【0008】
図15は、このワイヤ電極撓み量を測定方法の説明図である。図15において、ワイヤガイド2a,2bは、右方向に移動しているものとしている。ワイヤ電極1は放電加工中においては、該ワイヤ電極1とワーク3間は所定放電ギャップ量εだけ離れた状態で放電加工が行われており、上下のワイヤガイド2a,2b間に張設されたワイヤ電極1は放電圧力等により撓んだ状態で放電加工が行われている。この状態で加工を停止し、放電を停止させると、ワイヤ電極は図15で符号1’に示すように、ワーク3と接触した状態となる。そこで、ワイヤガイド2a,2bをワーク3に対して相対的に後退(それまでの加工時における進行方向とは逆方向)させ、ワイヤ電極1とワーク3の接触が解かれる位置、すなわち、短絡検知装置でワイヤ電極1とワーク3との短絡がとかれる位置まで後退させる。この後退移動量をLとすれば、このワイヤガイド2a,2bでは、ワイヤ電極1は、ワーク3との接触がとかれた位置であり、図15における符号1’のワイヤ電極の位置で、ワイヤ電極1はワイヤガイド2a,2b間で撓むことなく直線状となっている。しかし、放電加工中においては、更に、ワイヤ電極1とワーク3は、所定放電ギャップ量εだけ離れた状態であることから、放電加工中においては、「L+ε」だけ撓んでいるでいることを示している。よって、上記後退移動量Lと加工条件で決まる放電ギャップ量εよりワイヤ電極1の撓み量D0は求められる。
【0009】
【特許文献1】特開平2−100826号公報
【特許文献2】特公平2−5531号公報
【特許文献3】特公平2−11371号公報
【特許文献4】特公平1−44451号公報
【特許文献5】特開平10−34443号公報
【特許文献6】特開平11−207527号公報
【特許文献7】特開平11−221719号公報
【特許文献8】特公昭62−53293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ワイヤ放電加工における加工精度を向上させるには、ワイヤ電極の撓みによる形状誤差を少なくすることが重要課題である。上述した特許文献1、7に記載されたようなコーナ部で切り込み加工を追加することによって形状誤差をなくす方法では、指令した形状以外の加工をも実施するものであり、打ち抜きの金型のダイ加工等に限定されるものである。また、特許文献2、3に記載されたコーナ部で加工速度を低下させてワイヤ電極の撓み量を減少させ、加工精度を向上させる方法は、加工時間が長くなるという問題があり、しかも、加工速度を落としすぎると、放電ギャップが増加して逆に切り込みを生じさせる場合が生じる。
【0011】
また、特許文献5、6に記載されたワイヤ電極の撓み量を推定し、この推定撓み量で加工経路を補正する方法では、ワイヤ電極の撓み量を正確に推定できなければ、切り残し、切り込みが生じるという問題がある。
従来、ワイヤ電極の撓み量はワイヤガイドの移動方向にかかわらず一定とされていた。しかし、ワイヤ電極の撓み量は、ワイヤガイドの移動方向により変化することを本発明者は発見した。ワイヤ電極の送り出しリールおよび巻取りリールは、ワイヤ放電加工機のコラムに取り付けられており、このワイヤ電極の送り出し、巻取り方向への移動に対しては、ワイヤ電極の弾性変形の影響を受け、変化が大きい。このことから、正確にワイヤ電極の撓み量を推定するには、このワイヤガイドの移動方向(ワイヤ電極のワークに対する相対移動方向)を考慮する必要がある。
【0012】
そこで、本発明の目的は、ワイヤ電極の移動方向を考慮してワイヤ電極の撓み量を推測することによって、ワイヤ電極位置を補正し、高精度の加工ができるワイヤ放電加工を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願請求項1に係る発明は、上下ワイヤガイドにワイヤ電極を張架し、ワイヤ電極と加工ワークの間に電圧を印加した状態でワイヤ電極をワークに接近させて放電を発生させ、該放電状態を監視して該放電状態に基づいて加工速度を制御して放電加工を行うワイヤ放電加工機において、前記ワイヤガイドの前記ワークに対する相対移動方向毎に測定したワイヤ電極の測定撓み量を記憶する測定撓み量記憶手段と、加工プログラム記憶手段に記憶された加工プログラムと、加工プログラムと前記加工速度からワイヤガイドとワークの相対的移動指令を決定する手段と、その相対的移動指令決定手段から通知される相対的移動指令と前記測定撓み量記憶手段に記憶された測定撓み量に基づき実際のワイヤ電極の撓み量を推定する手段と、そのワイヤ電極の推定撓み量に基づきワイヤガイドの位置を補正する手段を備えるものとし、ワイヤ電極の撓み量が加工方向によって変化する場合でも正確に撓み補正ができ、加工精度を向上させた。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、前記ワイヤ電極の撓み量を推定する手段で、ワイヤガイドをワークに対して相対的に移動させる各送り軸毎にその送り軸方向の撓み量を推定し、前記ワイヤガイドの位置を補正する手段で、送り軸毎の推定撓み量に基づいて各送り軸への移動指令を補正するものとした。更に、請求項3に係る発明は、前記測定撓み量記憶手段に、ワイヤガイドをワークに対して相対的に移動させる各送り軸の正、逆移動方向毎にワイヤ電極の測定撓み量を記憶するようにした。
【0015】
請求項4に係る発明は、前記実際のワイヤ電極の撓み量を推定する手段によって、ワイヤ電極の測定撓み量を測定したときの加工速度と、実際の加工速度からワイヤ電極の撓み量を推定するものとした。また、請求項5に係る発明は、ワイヤ放電加工機に、ワイヤガイドの移動方向に対するワイヤ電極の撓み量を測定する手段を具備するものとした。
【発明の効果】
【0016】
加工方向に基づいてワイヤ電極撓みの補正量を求めて、補正するようにしたから、加工方向によってワイヤ電極の撓みが異なっても、正確にその撓みを補正できる。よって、高精度のワイヤ放電加工ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は本実施形態のワイヤ放電加工機の概要を説明する説明図である。ワイヤ放電加工機のコラム等にはワイヤ電極送り出しリール10、ワイヤ電極巻取りリール11が設けられ、ワイヤ電極送り出しリール10から送り出されたワイヤ電極1はガイドローラ13を介して上ワイヤガイド2aでガイドされ、ワーク置き台4に載置取り付けられたワーク3の加工部を通過し、下ワイヤガイド2bでガイドされ、ガイドローラ14を介してワイヤ電極巻取りリール11で巻き取られるよう構成されている。ワーク3が取り付けられたワーク置き台4はX軸サーボモータMx、Y軸サーボモータMyによって直交するX軸、Y軸方向に駆動される。また、上ワイヤガイド2aは、Z軸サーボモータMzによってX,Y軸と直交するZ軸方向に駆動され、ワーク3の厚さ等によって上ワイヤガイド2aの位置を調整できるように構成されている。更に、上ワイヤガイド2aはU軸サーボモータMu,V軸サーボモータMvによって直交するU,V軸方向に駆動され、ワーク3に対してテーパ加工を可能としている。
【0018】
ワイヤ電極1とワーク3間には放電加工電源30より給電ローラ12を介して電圧が印加され、ワイヤ電極1とワーク3間に放電を生じせしめて放電加工を行う。また、ワイヤ電極1とワーク3間には短絡検知装置31も接続され、ワイヤ電極1とワーク3の短絡、すなわち、接触を検出するようにしている。符号20は、このワイヤ放電加工機の制御装置であり、この実施形態では数値制御装置で構成されている。この制御装置20によってX,Y,Z,U,V軸の各サーボモータMx,My,Mz,Mu,Mvに移動指令を出力しワーク3をワイヤ電極1に対して相対的に移動させて加工を行う。また、放電加工電源30により、加工速度が求められ制御装置20に入力されるようになっている。また、ワイヤ電極1とワーク3の接触、短絡を検出するときは、短絡検知装置31より短絡検知信号が入力されるように構成されている。なお、符号15は、放電加工領域に冷却水を供給するノズルである。
【0019】
なお、上述したワイヤ放電加工機の構成は、従来のワイヤ放電加工機の構成と変わりはなく同一であることから、図1では概略的に示している。また、上述したように、本実施形態では、U軸,V軸のサーボモータMu,Mvを駆動制御することによって、上下ワイヤガイド2a,2bの位置を偏在させてテーパ加工を実施することも可能であるが、説明を簡単にするため、上下ワイヤガイド2a,2bが同位置にある垂直加工の場合について以下説明する。さらに、ワイヤガイド2a,2bに対する加工ワーク3の相対移動は、ワイヤガイド2a,2bまたは加工ワーク3のいずれの移動を制御してもよく、図1で示す例では、ワーク3を移動させる例を示したが、説明を分かり易く、かつ簡単にするためにワイヤガイド2a,2bを移動させる例で以下説明する。
【0020】
図2は、本実施形態における制御装置20の制御機能を示す機能ブロック図である。
従来のワイヤ放電加工機の制御装置と比較し、ワイヤ電極撓み量推定手段23,ワイヤ電極撓み補正手段24,移動方向別ワイヤ電極撓み量測定手段25、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26が設けられている点で従来と相違するものである。
ワイヤ放電加工機ではワイヤ電極1とワーク3間の放電状態を監視し、この放電状態に基づいて最適な加工速度で、ワイヤ電極をワークに対して相対移動させて加工を行っている。放電状態の監視としては、通常、ワイヤ電極とワーク間のギャップ電圧を検出し、該ギャップ電圧が一定になるように加工速度を制御するサーボ送り制御でワイヤ電極1をワーク3に対して相対移動させている方法が一般的である。さらには、ワイヤ電極1とワーク3間に発生する単位時間当たりの放電回数や放電電流の積分値などを監視し、これら放電回数や放電電流の積分値が所定値になるように加工速度を制御する方法も開発されている。図1、図2に示した例では、放電加工電源30で放電状態を監視して加工速度を求める制御装置に通知するようにした例を示しているが、放電加工電源30では、ギャップ電圧や単位時間当たりの放電回数、放電電流積分値等を検出し、これらを制御装置20に送信し、制御装置20が、このギャップ電圧や単位時間当たりの放電回数、放電電流積分値に基づいて加工速度を求めるようにしてもよいものである。
【0021】
いずれにしても、加工速度(ワイヤ電極1のワーク3に対する相対送り速度であり、実質的には上下ワイヤガイド2a,2bのワーク3に対する送り速度である)は、放電状態によって制御されるものであり、ワイヤ電極1とワーク3が短絡状態になった場合は加工速度として負の値とし、ワイヤ電極1を加工通路に沿って逆行させるいわゆる後退制御を行う。また、コーナ加工部で加工条件を低下させると同時に加工速度も下げる等の制御もなされる。したがって、加工中のワイヤ電極の撓み量Dは加工速度によって変化する。しかも、上述したように、ワイヤ電極の送り出し、巻取り方向に起因して、このワイヤ電極の撓み量Dは、ワイヤ電極の送り方向によって異なる。例えば、ワイヤ電極の送り出し、巻取り方向がX軸方向であれば、ワイヤ電極の移動方向がX軸方向であれば、その撓み量Dも大きくなる。そのため、本実施形態では送り方向毎にワイヤ電極の撓み量Dを推定するようにしている。
【0022】
そして、このワイヤ電極の撓み量Dは、テスト加工により、加工速度F0で加工し、そのときの撓み量がD0であったとき、実際の加工時の加工速度Fのときには、次の(1)式で撓み量Dを推測する。
【0023】
D=D0・Func(F/F0) ・・・(1)
ここでの関数Func は、加工速度を変えてテスト加工を行い実験的に求めればよい。図3は、テスト加工によって求めた関数Funcの例を示すグラフである。
そこで、本実施形態では、移動方向別ワイヤ電極撓み量測定手段25によって、撓み量Dを推測するための基準となる、所定速度F0における撓み量D0を測定し、この測定撓み量を移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶しておくものとしている。しかも、前述したように、この撓み量Dは、ワーク3に対する上下ワイヤガイド2a,2b(ワイヤ電極1)の相対移動方向によって異なることから、送り軸のX軸、Y軸方向毎にこの基準となる撓み量を測定し記憶する。
【0024】
このワイヤ電極撓み量測定方法は、前述した特許文献4,8で公知で従来から行われている。この従来から実施されている図15で説明した方法により実施するものであるが、本実施形態では、この撓み量測定方法をワーク3に対する上下ワイヤガイド2a,2bの相対送り方向軸毎、すなわち、X軸,Y軸毎に実施して、X軸方向の撓み量、Y軸方向の撓み量を求めるものである。
【0025】
この測定方法は、図15と共に説明したように、所定速度F0でワーク3に対する上下ワイヤガイド2a,2b(ワイヤ電極1)を移動させ放電加工を行い、加工が安定した状態で、加工を停止して放電を停止させ、短絡検知装置31でワイヤ電極1とワーク3との短絡がとかれる位置まで上下ワイヤガイド2a,2bを今での進行方向とは逆方向に後退させ、短絡検知装置31で短絡が解除となる位置までの後退移動量Lを求め、該移動量に加工条件で決まる放電ギャップ量εを加算して撓み量Dを求める。
【0026】
D=L+ε ・・・(2)
本実施形態では、この撓み量Dを送り軸のX軸,Y軸の送り方向毎に求めるものである。図7は、移動方向別ワイヤ電極撓み量測定手段25として、この制御装置20のプロセッサが実施する移動方向別ワイヤ電極撓み量測定処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0027】
移動方向別ワイヤ電極撓み量測定は、制御装置20に移動方向別ワイヤ電極撓み量測定指令を図示していない入力手段より入力して、実施させることもできるが、加工プログラム中で補助機能(たとえばM80)を指令することにより自動的に行うようにすれば、実際の加工条件にあったワイヤ電極の撓み量を測定することができる。
【0028】
移動方向別ワイヤ電極撓み量測定指令が入力されると、制御装置20のプロセッサは図7に示す処理を開始する。まず、所定の加工条件でX軸のサーボモータMxを駆動し、X軸+方向に所定の加工速度F0x+で移動させて放電加工を実施し、放電加工が安定した状態で、加工を停止し、X軸サボモータMxを逆転させてワイヤガイド2a,2bを後退させて、短絡検知装置31で短絡が検知差なくなるまでの後退移動量Lを求め、該移動量Lに加工条件によって決まる放電ギャップ量εを加算して、X軸+方向への移動時の撓み量D0x+を求め、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26としてのメモリに、図4に示すように、加工方向X+と、加工速度F0x+、及び求めた測定撓み量D0x+を記憶する(ステップ100)。この場合、ワイヤ電極1の撓みの方向は負の方向であるから、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶される撓み量D0x+は負の値が記憶される。
【0029】
次に、X軸のサーボモータMxをX軸−方向に所定の加工速度F0x-で駆動し、同様に撓み量D0x-を測定し、図4に示すように、加工方向X−と、加工速度D0x-、及び求めた測定撓み量D0x-を移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶する(ステップ101)。この場合、ワイヤ電極1の撓みの方向は正の方向であるから、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶される撓み量D0x-は正の値が記憶される。
さらに、Y軸のサーボモータMyをY軸+方向に所定の加工速度F0y+で駆動し、同様に撓み量D0y+を測定し、加工方向Y+と、加工速度F0y+(負の値)、測定撓み量D0y+を、また、Y軸のサーボモータMyをY軸−方向に所定の加工速度F0y-で駆動し、同様に撓み量D0y-を測定し、加工方向Y−と、加工速度F0y-、測定撓み量D0y-(正の値)を移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶する(ステップ102、103)。なお、加工送り速度を軸が異なってもまた方向が異なっても同一速度F0(=F0x+=F0x-=F0y+=F0y-)とし、決まった同一の速度とした場合には、この速度F0は、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に必ずしも記憶させる必要はない。この場合は、加工方向と該方向に対応する撓み量を記憶させておけばよい。
【0030】
こうして、図4に示すような移動方向別の撓み量が求められ、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に格納した後、実際の加工を開始する。
実際の加工は、加工プログラム記憶手段21に格納されている加工プログラムと放電加工電源30で求められた加工速度に基づいて、従来と同様にワイヤガイド移動指令決定手段22が、所定周期(分配周期)毎の移動量の移動指令を求め送り軸のX,Y軸サーボモータMx,Myに出力して該X,Y軸サーボモータMx,Myを駆動して放電加工を行うが、本実施形態では、この移動指令に対してワイヤ電極撓み補正量を加算して補正された移動指令を各サーボモータMx,Myに出力することになる。
【0031】
ワイヤ電極撓み補正量は、ワイヤ電極撓み量推定手段23で送り軸毎に推定され、ワイヤ電極撓み量補正手段24によって各送り軸のX,Y軸の移動指令を補正するように構成されている。
ワイヤ電極撓み量推定手段23は、ワイヤガイド移動指令決定手段22から出力される所定周期毎(分配周期毎)各軸移動指令量に基づいて各送り軸毎の速度成分Fx,Fyを求める。すなわち、ワイヤガイド移動指令決定手段22で求められる所定周期(分配周期)TにおけるX軸への移動指令がΔx、Y軸への移動指令がΔyとすると、X,Y軸の移動速度は、
Fx=Δx/T
Fy=Δy/T
として求められる。なお、X,Y軸の移動指令Δx、Δyは符号を有しており、X,Y軸の移動速度Fx、Fyも符号を有している。こうして求められた速度成分Fx,Fyと、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26で記憶する加工方向毎の加工速度と撓み量に基づいて上述した(1)式の演算を行って各送り軸毎の補正量を求める。たとえば、速度成分Fx、Fyが、ともに+方向の場合、は次のようになる。
【0032】
Dx=D0x+・Func(Fx/F0x+)
Dy=D0y+・Func(Fy/F0y+)
こうして各送り軸毎の撓み量補正量Dx,Dyがワイヤ電極撓み量推定手段23で推定されると、ワイヤ電極撓み補正手段24で各軸の移動指令を補正することになるが、実際の加工における補正処理は、図5に示すように、ワイヤ電極1は撓み量だけワイヤガイドから移動方向後方に離れているので、逆にその量だけワイヤガイド2a,2bを進めればよい。すなわち、ワイヤガイド2a,2bを、移動方向にワイヤ電極1の撓み量Dx,Dyだけ移動させるベクトル(−Dx、−Dy)が、ワイヤ電極1の撓み補正ベクトルとなる。
【0033】
しかし、ワイヤガイド2a,2bの移動方向が急激に変化しても実際のワイヤ電極1の撓みは追従できないので、ワイヤ電極1の撓み補正ベクトルの変化量を制限する必要がある。図6は、この撓み補正ベクトルの変化量の制限の説明図である。
【0034】
図6において、前周期における補正ベクトルがVold、当該周期での補正ベクトルがVnewとすると、この2つのベクトルVold、Vnewの差の変化量Ddifが所定制限値Dlimを越えている場合は、当該周期での補正ベクトルVnewを前周期における補正ベクトルがVoldから制限値Dlimだけ変化した補正ベクトルとすることによって、急激な変化を防止するようにしている。
【0035】
図8は、ワイヤ電極撓み量推定手段23として、制御装置20のプロセッサが所定周期(分配周期)毎に実施するワイヤ電極撓み量推定処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0036】
まず、ワイヤガイド移動指令決定手段22によって、加工プログラムと加工速度に基づいて求められた当該周期における各送り軸のX軸への移動指令の移動量Δx、Y軸への移動指令の移動量Δyを、該移動量を求める所定周期(分配周期)Tで除して、X軸、Y軸の速度成分Fx,Fyを求める(ステップ200)。次に、X軸の送り速度成分Fxの符号に合わせて、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶するX軸の加工速度F0x(=F0x+またはF0x-)、撓み量D0x(=D0x+またはD0x-)を読み出し(ステップ201)、X軸方向ワイヤ電極撓み量Dxを(1)式の演算を行って求める。すなわち、
Dx=D0x・Func(Fx/F0x)
として求める(ステップ202)。
【0037】
また、Y軸の送り速度Fyの符号に合わせて、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶するY軸の加工速度F0y(=F0y+またはF0y-)、撓み量D0y(=D0y+またはD0y-)を読み出し(ステップ203)、軸方向ワイヤ電極撓み量Dxを(1)式の演算を行って求める(ステップ204)。
【0038】
Dy=D0y・Func(Fy/F0y)
こうして求めたX,Y軸方向ワイヤ電極撓み量Dx,Dyをワイヤ電極撓み量補正手段24に出力する(ステップ205)。
【0039】
なお、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶するデータが、加工方向(移動方向)と撓み量Dのみで、この撓み量Dを求めたときの加工速度(送り速度)が加工方向(移動方向)に関係なく、所定の速度F0で、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶されていない場合は、各軸方向のワイヤ電極撓み量Dは、ステップ202,204で次のようにして求められる。
Dx=D0x・Func(Fx/F0)
Dy=D0y・Func(Fy/F0)
図9は、ワイヤ電極撓み補正手段24として、制御装置20のプロセッサが図8に示したワイヤ電極撓み量推定処理の周期(分配周期)と同一の周期毎に実施するワイヤ電極撓み量補正処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【0040】
ワイヤ電極撓み量推定手段23のステップ205の処理によって送られてきたX,Y軸方向のワイヤ電極撓み量Dx,Dyの符号を反転して、Dxnew=−Dx,Dynew=−Dyとして新ワイヤ電極補正ベクトル(Dxnew,Dynew)を求め、レジスタに記憶する(ステップ300)。
求めた新ワイヤ電極補正ベクトル(Dxnew,Dynew)と、レジスタに記憶する前周期のワイヤ電極補正ベクトル(Dxold,Dyold)より、その差分Dxdif,Dydifを求める(ステップ301)。
Dxdif=Dxnew−Dxold
Dydif=Dynew−Dyold
この差分の距離Ddifを求める(ステップ302)。
【0041】
Ddif=√(Dxdif2+Dydif2
求められた距離Ddifと予め設定されているワイヤ電極撓み補正の制限値Dlimを比較し、求められた距離Ddifが制限値Dlim以下であれば、ステップ305に進み、求められた距離Ddifが制限値Dlimを越えていれば、ステップ304の処理を行った後、ステップ305に進む。
【0042】
ステップ304では、新ワイヤ電極補正ベクトル(Dxnew,Dynew)と、前周期のワイヤ電極補正ベクトル(Dxold,Dyold)との差のベクトルの方向で、大きさが制限値Dlimになるような差ベクトルとなるような制限されたワイヤ電極撓み補正ベクトルを求め、新ワイヤ電極補正ベクトル(Dxnew,Dynew)とする。
(Dxnew,Dynew)=(Dxold,Dyold)+(Dxdif,Dydif)×(Dlim/Ddif)
こうして求めた制限されたワイヤ電極撓み補正ベクトル(Dxnew,Dynew)をレジスタに記憶する新ワイヤ電極補正ベクトルを置き換える。なお、求められた距離Ddifが制限値Dlim以下であれば、ステップ300で求めた新ワイヤ電極補正ベクトル(Dxnew,Dynew)がそのまま新ワイヤ電極補正ベクトルである。
【0043】
求められた新ワイヤ電極補正ベクトル(Dxnew,Dynew)と前周期のワイヤ電極補正ベクトル(Dxold,Dyold)の差の各軸方向成分(Δx,Δy)を求め各軸方向のワイヤ電極撓み補正量を求めて出力し、各軸への移動指令をこの補正量で補正して各軸のサーボモータMx,Myを駆動する(ステップ305)。
【0044】
δx=Dxnew−Dxold
δy=Dynew−Dyold
次に、新ワイヤ電極補正ベクトル(Dxnew,Dynew)を前周期のワイヤ電極補正ベクトル(Dxold,Dyold)としてレジスタに格納して当該処理周期の処理を終了する。
【0045】
Dxold=Dxnew
Dyold=Dynew
こうして、送り軸のX軸、Y軸の移動方向毎にワイヤ電極撓み補正量を求めて、それぞれの軸への移動指令をこの補正量で補正して、補正された移動指令でX、Y軸のサーボモータMx,Myをそれぞれ駆動制御する。これにより、正確にワイヤ電極の撓み補正ができる。
図10は、90度屈曲するコーナ部でのワイヤ電極撓み補正をした場合、ワイヤガイド2a,2b、ワイヤ電極1の移動通路の説明図である。ワイヤ電極1はX軸方向に移動し、その後、90度移動方向を変えてY軸方向に移動してコーナ部を加工する例である。コーナ部の屈曲点に到達したときは、ワイヤ電極1はX軸−方向に撓んでおり、ワイヤガイド2a、2bの中心点がP1の位置で、撓んだワイヤ電極1はQ1の位置にある。補正ベクトルはV1である。そこで、ワイヤ電極1の移動方向がX軸方向からY軸方向に変わると、ステップ300で求められる補正ベクトルはDxnew=0、Dynew=D0yとなる。図10ではこれをV’として表示している。補正ベクトルV1とV’の差分の距離が大きいことから、新たな制限された補正ベクトルがステップ304で求められる。この補正ベクトルは、例えば、図10でV2のようになる。以下、順次補正ベクトルがV3,V4,…となりワイヤ電極1はQ1,Q2,Q3,…と移動、X軸方向の撓み補正量が0となって、P2の位置に移動し、以後、Y軸方向に移動することになる。
【0046】
図11は、コーナ部が円弧であるときのワイヤガイド2a、2bとワイヤ電極1の移動通路を示す図である。この場合も図10で示した90度屈曲するコーナ部と同様にワイヤガイド2a、2b及びワイヤ電極1は移動するものであり、プログラムで指令されたコーナ部が円弧である点に起因する点のみが相違するものである。
【0047】
上述した実施形態では、ワイヤ電極をワークに対して相対的に移動させる送り軸毎の方向別(移動方向が90度異なる毎)にワイヤ電極撓み量を測定して記憶する方法を開示した。しかし、送り方向(移動方向、加工方向)が所定角度毎に撓み量を測定し記憶することにより、さらに高精度のワイヤ撓み量の推定できるようにしてもよい。たとえば、送り方向が45度毎に測定して記憶することにより、さらに高精度のワイヤ撓み量の推定が可能である。この実施形態の場合、図7に示した移動方向別ワイヤ電極撓み量測定処理は、移動方向が45度毎変えて撓み量を測定することになる。すなわち、X軸+方向(角度θ=0度)、X軸+でY軸+の45度の方向(θ=45度)、Y軸+方向(θ=90度)、X軸−でY軸+の45度の方向(θ=135度)、X軸−方向(θ=180度)、X軸−でY軸−の45度の方向(θ=225度)、Y軸−方向(θ=270度)、X軸+でY軸−の45度の方向(θ=315度)の8方向の撓み量がその方向別に測定され、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26されることになる。この場合、加工速度(送り速度)Fは移動方向が異なっても同一速度F0で行うものとする。
【0048】
ワイヤ電極撓み量推定手段23による撓み量推定処理は図8に示す処理の代わりに、図12の処理に変わる。
まず、当該周期における各送り軸のX軸への移動指令の移動量Δx、Y軸への移動指令の移動量Δyより、移動方向θ(=tan-1(Δy/Δx))を求めると共に、該移動量を求める所定周期(分配周期)Tで除して、X軸、Y軸の速度成分Fx,Fyを求める(ステップ400)。次に、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶する移動方向毎のワイヤ電極撓み量より、移動方向θにおける撓み量D0を求める。移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に移動方向θと同じ方向の撓み量が記憶されていれば、その値を撓み量D0とし、記憶されていなければ移動方向θの前後の記憶されている角度における撓み量より内挿補間して該移動方向θにおける撓み量D0を求める。例えば、θ=30度であれば、移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段26に記憶されたθ=0度とθ=45度の撓み量より内挿補間して移動方向θ=30度の撓み量D0を算出する(ステップ401)。
【0049】
次に移動方向θに基づいて、求めた撓み量D0をX軸方向、Y軸方向の撓み量成分D0x、D0yを算出する。
ステップ400で求めた各軸速度成分Fx、Fyとステップ402で求めた各軸撓み量成分D0x、D0y、移動方向別ワイヤ電極撓み量測定処理時の送り速度F0、及び移動速度から撓み量を求める関数に基づいて各軸の撓み量Dx,Dyを求める(ステップ403,404)。
【0050】
Dx=D0x・Func(Fx/F0)
Dy=D0y・Func(Fy/F0)
こうして求めたX,Y軸方向ワイヤ電極撓み量Dx,Dyをワイヤ電極撓み量補正手段24に出力する(ステップ405)。
【0051】
ワイヤ電極撓み補正手段24によるワイヤ電極撓み補正処理については、第1の実施形態と同様であり、図9に示す処理フローチャートと同一の処理を行ってワイヤ電極撓み補正を行う。
【0052】
また、上述した各実施形態では、垂直加工の場合についてのみ開示したが、上下ワイヤガイドの移動方向について、それぞれ独立に同様のワイヤ電極の撓み補正を行えば、容易にテーパ加工にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のワイヤ放電加工機の一実施形態の概要を説明する説明図である。
【図2】同実施形態における制御装置の制御機能を示す機能ブロック図である。
【図3】同実施形態における加工速度とワイヤ撓み量との関係を示す関数の説明図である。
【図4】同実施形態における加工方向毎のワイヤ電極撓み量を記憶する移動方向別ワイヤ電極撓み量記憶手段の記憶内容の説明図である。
【図5】同実施形態におけるワイヤ電極の撓み量よりワイヤ電極の撓み補正ベクトルを求める説明図である。
【図6】同実施形態における撓み補正ベクトルの変化量の制限を説明する説明図である。
【図7】同実施形態における移動方向別ワイヤ電極撓み量測定処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】同実施形態における制御装置のプロセッサが所定周期毎に実施するワイヤ電極撓み量推定処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図9】同実施形態における制御装置のプロセッサが所定周期毎に実施するワイヤ電極撓み量補正処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図10】90度屈曲するコーナ部で、本発明のワイヤ電極撓み補正をした場合、ワイヤガイド、ワイヤ電極の移動通路の説明図である。
【図11】コーナ部が円弧であるとき、本発明のワイヤ電極撓み補正をした場合のワイヤガイドとワイヤ電極の移動通路を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態における制御装置のプロセッサが所定周期毎に実施するワイヤ電極撓み量推定処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【図13】放電加工中のワイヤ電極の状態を説明する説明図である。
【図14】ワイヤ電極の撓みによるコーナ部加工におけるコーナダレの説明図である。
【図15】ワイヤ電極撓み量の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ワイヤ電極
2a 上ワイヤガイド
2b 下ワイヤガイド
3 ワーク
4 ワーク置き台
5 加工経路
6 ワイヤガイド中心通路
10 ワイヤ電極送り出しリール
11 ワイヤ電極巻取りリール
12 給電ローラ
13,14 ガイドローラ
15 冷却水用ノズル
Mx X軸サーボモータ
My Y軸サーボモータ
Mz Z軸サーボモータ
Mu U軸サーボモータ
Mv V軸サーボモータ
20 制御装置(数値制御装置)
30 放電加工電源
31 短絡検知装置
【出願人】 【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
【出願日】 平成18年8月1日(2006.8.1)
【代理人】 【識別番号】100082304
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 松司

【識別番号】100088351
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 秀雄

【識別番号】100093425
【弁理士】
【氏名又は名称】湯田 浩一

【識別番号】100102495
【弁理士】
【氏名又は名称】魚住 高博


【公開番号】 特開2008−36720(P2008−36720A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−210091(P2006−210091)