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【発明の名称】 ワイヤ放電加工機に於けるワイヤ電極の傾斜角度を測定する方法、及びワイヤ電極の傾斜角度設定装置を有するワイヤ放電加工機
【発明者】 【氏名】林 泰

【要約】 【課題】ワイヤ放電加工で、テーパ加工の加工精度を向上させるため、ワイヤ電極に付与された傾斜角度を簡易かつ確実に測定出来る新しい測定冶具と測定手法とを提供すること。

【構成】XYテーブル上に水平に設置可能な導体の直方体状物で、一側端面に垂直及び水平方向に位置ずれし、かつ側端面に直角に異なる長さで延在する一対の接触子を有する測定台を設け、一対の接触子間外の一つの基準位置から、垂直ワイヤ電極と所望角度傾斜させた傾斜ワイヤ電極とにより、夫々一対の接触子に順次、4度にわたり接触感知させてその座標値を採取記憶し、得られた接触感知の位置座標データと予め用意したデータ及びプログラムとから測定された傾斜角度を演算により求める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に間隔を置いて配置される一対のガイド間に張架されて走行するワイヤ電極と、水平方向のXYテーブル上に載置された被加工体との間に間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、前記一方のガイドを水平方向に移動設置することによりワイヤ電極を傾斜させてテーパ加工をする前記ワイヤ電極の設定傾斜角度を測定する方法に於いて、
前記XYテーブル上に水平に設置可能な直方体状物から成り、一側端面に垂直及び水平方向に位置ずれすると共に前記側端面に直角に異なる長さで延在するように伸びる接触側縁を持った一対の接触子を有する測定台を設け、
垂直位置出しされた前記ワイヤ電極を前記水平な方向の前記一対の接触子間外の基準座標位置から、前記延在方向の位置を順次に異ならせて前記各接触子に移動接触感知させてその各座標値を記憶し、
次いで前記一方のガイドを、ワイヤ電極に前記垂直方向に対する所定の傾斜を与えるために水平方向に所定座標距離位置決め移動させて設定し、該傾斜が付与されたワイヤ電極を前記基準座標位置から順次に移動させて各接触子と接触感知させてその各座標値を測定記憶し、
前記得られた接触感知の位置座標データと予め用意したデータ及びプログラムから前記測定された傾斜角度を演算により求めることを特徴とするワイヤ電極の設定傾斜角度の測定方法。
【請求項2】
垂直方向に間隔を置いて配置される一対のガイド間に張架されて走行するワイヤ電極と、水平方向のXYテーブル上に載置された被加工体との間に間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、前記一方のガイドを水平方向に移動設置することによりワイヤ電極を傾斜させてテーパ加工をする前記ワイヤ電極の設定傾斜角度を測定して角度を補償するようにしたワイヤ放電加工機に於いて、
前記XYテーブル上に水平に設置可能な直方体状物から成り、一側端面に垂直及び水平方向に位置ずれすると共に前記側端面に直角に異なる長さで延在するように伸びる接触側縁を持った一対の接触子を有する測定台を設け、
垂直位置出しされた前記ワイヤ電極を前記水平な方向の前記一対の接触子間外の基準座標位置から、前記延在方向の位置を順次に異ならせて前記各接触子に移動接触感知させてその各座標値を記憶する手段と、
次いで前記一方のガイドを、ワイヤ電極に前記垂直方向に対する所定の傾斜を与えるために水平方向に所定座標距離位置決め移動させて設定し、該傾斜が付与されたワイヤ電極を前記基準座標位置から順次に移動させて各接触子と接触感知させてその各座標値を測定記憶する手段と、
前記得られた接触感知の位置座標データと予め用意したデータ及びプログラムから前記測定された傾斜角度を演算により求め、前記付与角度補償のために前記一方のガイドの移動手段を制御する手段を有することを特徴とするワイヤ放電加工機。
【請求項3】
前記XYテーブル上に水平に設置可能な導体の直方体状物からなり、一側端面に垂直及び水平方向に位置ずれすると共に前記側端面に直角に異なる長さで突出するように延在する接触側縁を持った一対の接触子を有することを特徴とする請求項1及び2に記載のワイヤ放電加工機のワイヤ電極の傾斜角度測定及びワイヤ電極への付与角度補償機能付きワイヤ放電加工機に用いる測定台。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ放電加工機に於いて目的等に応じ所望テーパ加工のために一対のガイド間に張架されたワイヤ電極に付与設定された傾斜角度を測定する方法及び測定に応じ設定されている傾斜角度を所定傾斜角度に設定し直す設定装置を有するワイヤ放電加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
加工電極と被加工体間の間歇放電による放電加工を、板状等の被加工体に対するワイヤ電極による糸鋸状の切断加工に適用したワイヤ放電加工は広く知られ普及して来て居り、また、前記切断加工の際にワイヤ電極を所定角度傾斜させた状態とし、加工の進行方向等により傾斜方向や傾斜角度を制御して、所謂テーパ加工を行うことも既に広く知られている。
【0003】
そして、このテーパ電極によるテーパ加工が精度よく行なわれるようにガイド間張架のワイヤ電極に、一方のガイドを水平方向に所定の距離位置決め移動させることにより付与設定された傾斜角度を測定チェックする技術、さらには測定・検知に応じて傾斜角度を補正することも知られている。
【0004】
【特許文献1】実開昭62−088529号公報
【特許文献2】実開平03−103119号公報
【特許文献3】特開平06−015529号公報
【特許文献4】特開昭58−028424号公報
【特許文献5】特開昭61−182729号公報
【0005】
図2の(A)及び(B)は、前述目的に応じて付与設定された一対のガイド間のワイヤ電極の傾斜角度θ、及びテーパ加工の作成プログラム等との関係で必要となるテーブル表面Tと下ガイドGLのガイド支点間の距離TL,及びテーブル表面Tと上ガイドGUのガイド支点間の距離TUなどの測定のために慣用されている冶具1の斜視図(A)と、該測定冶具1を用いてワイヤ電極Eを接触感知させて前述測定のための座標データを得る測定方法の説明図(B)である。
【0006】
図に於いて測定冶具1は導電体から成り、やや偏平な直方体状物で、テーブル表面Tに辺縁を好ましくはテーブル移動方向の軸と平行に位置決めして設置され、テーブル端縁に臨む一側端面には、垂直及び水平方向に位置ずれした一対の接触子1U、1Lが、側端面から垂直で互に平行に、前記テーブルの端縁外へと突出している。
【0007】
上ガイドGUと下ガイドGLの間を張架状態で、通常上から下へと走行されるワイヤ電極Eは、テーパ加工のワイヤ電極に対する傾斜角度付与設定の前に、適宜の手段によるワイヤ電極Eの垂直度位置出しが為されて居り、該垂直に位置出しされたワイヤ電極Eが、テーブルとの間の相対水平方向の移動により、前記側端面から所望距離離隔した前記一対の接触子1U、1L間のほぼ中間の停止位置S又は所定の基準の位置Sに位置決めされ、該位置SのXY平面上の座標値を検知し記憶する。
【0008】
次いで、前記測定冶具1の側端面が、テーブルTのX軸と平行に設置されているものとすると、最初の工程[1]としてテーブルTをX軸マイナスの向きにワイヤ電極Eが接触子1Uと接触感知するまで移動させて停止させる。なお、図2(B)では、ワイヤ電極EとテーブルT間の移動が相対移動であるところから、固定の測定冶具1に対してワイヤ電極E(ガイドGU、GL)が移動して行って接触感知により停止した状態として示されているが、動作としては冶具1側が移動しても実質的に同一のものである。そしてこの相対移動は、前記の位置SからX軸プラスの方向に距離X1の位置にあり、この座標値を検知し記憶し、必要に応じ一旦前記位置Sまで戻るものとする。
【0009】
次の工程[2]として、テーブルTをX軸プラス方向にワイヤ電極Eが他方の下接触子1Lと接触感知する迄移動させ、停止させる。このときテーブルTは、接触子1L先縁が、前記位置Sまで距離X2移動しており、この接触検知による移動の座標値を検知し記憶する。そしてここで次での行程への移行に際し、ワイヤ電極Eを前記位置Sに相対的に戻し位置決めするのが好ましい。
【0010】
ここで、ワイヤ電極Eに、図示の場合X軸方向に平行に角度θ傾斜させて角度θのテーパ加工を行うために、前述位置Sの位置に垂直に位置決めしてあるワイヤ電極Eの上ガイドGUをX軸と平行なU軸駆動によりU軸に平行に距離Uマイナス移動させてワイヤ電極EをX軸方向に角度θ傾斜させ、検知、記憶させる。
【0011】
次いで、このU軸の駆動による上ガイドGUの移動位置決め設定が、予定したテーパ角度θの設定となっているかを検知測定するために、工程[3]として傾斜ワイヤ電極EIをテーブルTマイナス駆動により移動させて、接触子1Uと接触感知停止させ、移動距離AX1の移動に応ずる座標値を検知し、記憶した後前記位置Sに戻す。
【0012】
そして、最後の工程[4]として、前記位置Sにある傾斜ワイヤ電極EI(この位置Sにあるのは、下ガイドGLの支点で、上ガイドGUの支点は、位置SからX軸マイナス方向の距離Uの位置にある。)が下接触子1Lと接触感知するまでテーブルをプラスに移動させて、停止させ、距離AX2移動に応ずる座標値を検知し記憶し、傾斜ワイヤ電極EIを位置Sに一旦戻して置く。
【0013】
ワイヤ電極Eと測定冶具1の一対の接触子1U、1L間の接触感知による上下のガイドGU、GL等の座標値等の測定データの取得は以上であって、以上の外に測定冶具1の接触子1U、1L間の高さ間隔Hは完全に既知の値であるが、前記テーブル表面Tと上ガイドGU支点及び下ガイドGL支点間の各距離TL、TUは現実のワイヤ電極の傾斜角θの入手が必要である。前者はガイドのデータ等からほぼ既知値に近いもので、後者は誤差が少なくない可能性がある。
【0014】
しかして、図2の(B)に記入したように、ワイヤ電極Eの傾斜角度θは、垂直ワイヤ電極EVと傾斜ワイヤ電極EIが共に接触子1Uと接触したときに、テーブル表面Tとによって形成される三角形の正接分子γの値を検知出来れば、付与設定された傾斜角度θは、
式 θ=tan−1γ/H ・・・・・・(1)
によって与えられることが判る。
【0015】
そして、この正接の分子「γ」は、
垂直ワイヤ電極EVと傾斜ワイヤ電極EIが共に接触子1Uと接触したとき、共に接触子1Lと接触したときの下ガイドGLの支点を含む水平線によりテーパ角度を含んで形成される各三角形の各正接分子α、βとから、
式 γ=α−β ・・・・・・・(2)
が成立することが明らかである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そして、この各「α」及び「β」は、加工精度を損なわないためにワイヤ電極Eの径(R:半径)の余弦値を考慮に入れた前記測定図形からの計算により、
式 α=|(AX1+R/cosθ)−(X1+R)|・・・・(3)
式 β=|(X2+R)−(AX2+R/cosθ)|・・・・(4)
として求められるが、前記(2)式の計算結果は、
式 γ=α−β
=(|AX1|+|AX2|)−(|X1|+|X2|)+2R(1/cosθ−1)・・・・(5)
となって、ワイヤ電極Eの径成分が残り、傾斜角度θを正確に検知し得ないまま、前記TL及びTUをデータより選定してテーパ加工に移行しなければならず、テーパ加工の加工精度が目的通りに精密に行なわれないと言う問題があった。
【0017】
そこで本発明は、前記測定冶具の接触子及びワイヤ電極と測定冶具の接触子との接触感知を繰り返す測定方法、手順を改良変更することにより、前述付与設定された傾斜角度の正接に於ける分子がワイヤ電極の径成分を残存させることなく演算して得られ、測定データから目的とする不知値を計算により容易に正しく求めることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述の本発明の目的は、(1)垂直方向に間隔を置いて配置される一対のガイド間に張架されて走行するワイヤ電極と、水平方向のXYテーブル上に載置された被加工体との間に間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、前記一方のガイドを水平方向に移動設置することによりワイヤ電極を傾斜させてテーパ加工をする前記ワイヤ電極の設定傾斜角度を測定する方法に於いて、
前記XYテーブル上に水平に設置可能な直方体状物から成り、一側端面に垂直及び水平方向に位置ずれすると共に前記側端面に直角に異なる長さで延在するように伸びる接触側縁を持った一対の接触子を有する測定台を設け、
垂直位置出しされた前記ワイヤ電極を前記水平な方向の前記一対の接触子間外の基準座標位置から、前記延在方向の位置を順次に異ならせて前記各接触子に移動接触感知させてその各座標値を記憶し、
次いで前記一方のガイドを、ワイヤ電極に前記垂直方向に対する所定の傾斜を与えるために水平方向に所定座標距離位置決め移動させて設定し、該傾斜が付与されたワイヤ電極を前記基準座標位置から順次に移動させて各接触子と接触感知させてその各座標値を測定記憶し、
前記得られた接触感知の位置座標データと予め用意したデータ及びプログラムから前記測定された傾斜角度を演算により求めるワイヤ電極の設定傾斜角度の測定方法とすることにより達成される。
【0019】
また、前述の本発明の目的は、(2)垂直方向に間隔を置いて配置される一対のガイド間に張架されて走行するワイヤ電極と、水平方向のXYテーブル上に載置された被加工体との間に間歇放電を発生させて加工するワイヤ放電加工であって、前記一方のガイドを水平方向に移動設置することによりワイヤ電極を傾斜させてテーパ加工をする前記ワイヤ電極の設定傾斜角度を測定して角度を補償するようにしたワイヤ放電加工機に於いて、
前記XYテーブル上に水平に設置可能な直方体状物から成り、一側端面に垂直及び水平方向に位置ずれすると共に前記側端面に直角に異なる長さで延在するように伸びる接触側縁を持った一対の接触子を有する測定台を設け、
垂直位置出しされた前記ワイヤ電極を前記水平な方向の前記一対の接触子間外の基準座標位置から、前記延在方向の位置を順次に異ならせて前記各接触子に移動接触感知させてその各座標値を記憶する手段と、
次いで前記一方のガイドを、ワイヤ電極に前記垂直方向に対する所定の傾斜を与えるために水平方向で所定座標距離位置決め移動させて設定し、該傾斜が付与されたワイヤ電極を前記基準座標位置から順次に移動させて各接触子と接触感知させてその各座標値を測定記憶する手段と、
前記得られた接触感知の位置座標データと予め用意したデータ及びプログラムから前記測定された傾斜角度を演算により求め、前記付与角度補償のために前記一方のガイドの移動手段を制御する手段を有することを特徴とするワイヤ放電加工機とすることにより達成される。
【0020】
また、前述の本発明の目的は、(3)前記XYテーブル上に水平に設置可能な導体の直方体状物からなり、一側端面に垂直及び水平方向に位置ずれすると共に前記側端面に直角に異なる長さで突出するように延在する接触側縁を持った一対の接触子を有する測定台を備えた前記(1)又は(2)に記載のワイヤ電極の傾斜角度測定方法及び付与ワイヤ傾斜角度補償機能付きワイヤ放電加工機とすることにより達成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ワイヤ電極の傾斜を測定する冶具としての測定台に改良を加え、ワイヤ電極と測定台の接触子との接触感知の動作は、前述した従来例の場合と同じく4回で、冶具の4箇所で接触感知を行っているが、冶具接触子部の改良もあって、ワイヤ電極の接触子に対する接触感知の相対移動は、前述従来例のように一対の接触子の間の位置をスタート位置とするのではなく、一対の接触子の間外のワイヤ電極の傾斜方向の冶具からさらに同一方向に離隔した一定の位置を基準座標位置として、前記4回の接触感知を全ての一定基準座標位置をスタート位置として、冶具の接触子の4箇所に全て同一の方向から近接接触、開離を繰り返えさせて行うことができ、測定動作を単純化することができる。
【0022】
そして、後に説明するが、接触感知による座標位置データの取得を、全て前記基準座標位置と言う一定の、かつ、同一の方向からの座標位置データとして得たことにより、ワイヤ電極の傾斜角度を計算する式中からワイヤ電極の径成分の項が相殺されて傾斜角度が精密に求めることが出来、そして更にワイヤ電極の径成分を考慮したテーブル表面Tと上ガイド支点間距離TUとテーブル表面Tと下ガイドの支点間の距離も精密に求まって決めることができ、テーパ加工の加工精度を格段に向上させることが出来る結果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1の(A)及び(B)は、本発明の実施例を、前述従来例の図2の(A)及び(B)に夫々符合させて示した実施例冶具1の斜視図(A)と、該測定冶具1を用いてワイヤ電極Eと接触感知させて、傾斜角度θ等を計算する座標データを得る測定方法の説明図(B)で、前述図2で図示説明したものと同一又は実質的同一若しくは同等機能物には、同一の符号が付与され、重複する説明などが省略されている場合がある。
【0024】
また、図1(B)及び図2(B)は、夫々図1(A)及び図2(A)を左側前方から見た図と同一ではなく、似せて書かれているに停るが、図(A)及び(B)は互に機能としては同一のものである。例えば、図2のものの左右の接触子1Uと1Lとは、(A)と(B)とでは互に冶具本体1が裏返しの関係にあるが、互に機能上は問題がなく、又図1のものでは冶具本体1の一側端面から直角に異なる長さで延在するよう突出して伸びる接触側縁を持った一対の接触子1U、1Lの測定に使用する前記接触側縁などの位置関係などが、図1(A)と(B)とでは左右が逆に記載されている等相違しているが、機能などが異なる訳ではない。
【実施例】
【0025】
図1の(A)及び(B)に於いて、測定冶具本体1は、上下のガイドGU、GL間を張架状態で軸方向に更新走行するワイヤ電極Eに付与すべき傾斜角度の傾斜の方向に、一側端面(前面)に直角に異なる長さ突出して延在するように伸びる接触側縁1Ue、1Leを持った一対の接触子1U、1Lを向けて平行に配置するものであるが、図では前記接触子1U、1L部を水平方向のXYテーブルTの一方の軸の端縁から直角方向に突出延在させて配置することにより、垂直出しされたワイヤ電極EV、及び一方のガイドGUの前記直角方向の所定距離移動により傾斜させたワイヤ電極EIが、前記接触子1U、1Lの接触側縁1Ue、1Leに対し近接接触移動がし易い配置とするものである。そして、前記一対の接触子1U、1Lの接触側縁1Ue、1Leの接触線の軸の位置は、前記前面の直角方向から見て垂直及び水平方向に互に位置ずれした関係の位置にあるものである。
【0026】
前記一対の上下のワイヤガイドGU、GL間のワイヤ電極E、及び前記上下のワイヤガイドGU、GLのワイヤ電極Eの支点の位置は、前記従来例の場合と同様に適宜の手段、手法により垂直度位置出しが為されて居り、該垂直に位置出しされたワイヤ電極Eが、テーブルTとの間の相対水平移動により、前述テーブルT上に設置された測定冶具1を正面から見て左側方の、冶具1左端縁から所望離隔した所定の基準の位置Sに位置決めされ、該位置SのXY平面上の座標値を検知し記憶する。
【0027】
次いで、前記測定冶具1の一側端面である前面が、前述のようにテーブルX軸に平行に取り付けられているとすると、最初の工程[1]としてテーブルTをX軸マイナスの向きに(図では、垂直ワイヤ電極EVをX軸プラスの向きに)、ワイヤ電極Eが接触子1Lの接触側縁1Leと接触感知するまで移動させて停止させる。そして、この移動は垂直ワイヤ電極EVの前記基準位置SからのX軸プラス方向への移動であり、接触感知により距離X1の移動で停止してこの座標値を検知して、記憶し、垂直ワイヤ電極EVを前記基準位置Sに移動させて戻すものである。
【0028】
次ぎの工程[2]は、接触感知が、垂直ワイヤ電極EVと接触子1Lとではなく他方の接触子1U側との間で行なわれるように、先ずテーブルTをY軸マイナス方向に比較的微小の所定距離移動位置決めした後、垂直ワイヤ電極EVを前記基準位置SからX軸プラスの向きに接触子1Uの接触側縁1Ueと接触する迄相対移動させて接触感知させ、座標値を検知して記憶し、垂直ワイヤ電極EVを前記基準位置Sに戻すものである。
【0029】
次の工程[3]は、前記垂直ワイヤ電極EVを傾斜したテーパワイヤ電極EIとして接触感知させるものであるから、前記テーパワイヤ電極EIに接触感知を接触子1Uの側との間で先に行うのであれば、前述前の工程[2]の終了のまま垂直ワイヤ電極EVに対する傾斜角度付与の工程に移行させて進めて行くことも可能であるが、図示実施例では、前の工程[2]で、基準位置Sに移動させて戻した垂直ワイヤ電極EVをY軸マイナス方向に移動させてX軸座標位置だけでなくY軸座標位置も最初の基準位置にあるように移動位置決めさせるものである。
【0030】
このように処理した後、ワイヤ電極Eに図示の場合X軸方向に平行に角度θ傾斜させて角度θのテーパ加工を行うために、前記位置Sの位置に垂直に位置決めしてあるワイヤ電極Eの上ガイドGUをX軸と平行なU軸駆動によりU軸に平行に距離Uマイナスに移動位置決めさせることによりワイヤ電極EをX軸方向に角度θ傾斜させたことになるので、このデータを検知し記憶させる。
【0031】
次いで、このU軸駆動による上ガイドGUの移動位置決め設定が、予定したテーパ角度の設定になっているか否かを検知測定するために、接触感知の工程[3]の段階に移行して、傾斜ワイヤ電極EIを、テーブルTをX軸マイナス方向の駆動により移動させて、接触子1Lの接触側縁1Leと接触感知停止させ、この時の移動距離AX1に応ずる座標値を検知し、記憶した後、前記接触感知の出発点の位置Sに戻すのである。
【0032】
そして、最後の接触感知の工程[4]の前に前述接触感知工程[2]の前と同様に、テーブルをY軸マイナス方向に所定の距離移動位置決めして接触感知の工程[4]に移行する準備した後、X軸方向の基準位置Sにある傾斜ワイヤ電極EIをテーブルTとのX軸方向の相対移動により、接触子1Uの接触側縁1Ueと接触感知させて停止させ、このときの基準位置Sからの移動距離AX2に応ずる座標値を検知し、記憶した後、必要に応じて、傾斜ワイヤ電極EIを前記基準位置S、さらには、最初の測定開始の工程[1]開始の位置に戻して測定工程の接触感知の工程を終了するものである。
【0033】
垂直及び傾斜ワイヤ電極EV、EIと測定冶具1の一対の接触子1U、1Lの接触側縁1Ue、1Le間の接触感知による上下のガイドGU、GLまたはその支点等の位置座標値等の測定データの取得は以上であって、以上の外測定冶具1の接触子1U、1Lの接触側縁1Ue、1Le間の高さ間隔Hは完全な既知値であるが、前記テーブル表面Tと上ガイドGU支点、及び下ガイドGL支点間の各距離TL、TUは、例えば、特許文献4、5等に詳記されているように、前記U軸移動でワイヤ電極Eに付与された傾斜角度θに依存するものであるから、使用中の上ガイドGU、及び下ガイドGLにつき、前記付与傾斜角度θと各距離TL,TUとの関係データを持っていたとしても、前記傾斜ワイヤ電極Eの傾斜角度θの測定による正確な実際の角度θ値の決定が必要なものである。
【0034】
しかして、前記図1の(A)に既に記入してある所から明らかなように、前述U軸駆動によりワイヤ電極Eに実際に与えられた傾斜角度θは、
式 θ=tan−1γ/H ・・・・・・(6)
で与えられ、この正接の分子「γ」も、
式 γ=α−β ・・・・・・(7)
と、形式的には、前述従来例の場合と同様な形態で与えられることが判る。
【0035】
ここで、前記「α」及び「β」を、前述測定図形(B)によって得られた形状及び座標値データと、ワイヤ電極の径(R:半径)の余弦値を考慮に入れた計算により求めると、
式 α=|(AX1+R/cosθ)−(X1+R)|・・・・(8)
式 β=|(AX2+R/cosθ)−(X2+R)|・・・・(9)
となり、この式(8)及び式(9)を式(7)に代入すると、
式 γ=α−β
=|(AX1−X1)−(AX2−X2)| (10)
となって、ワイヤ電極の径の余弦成分が消え、前記「γ」が前述、接触感知によって得た座標値データから前記式(6)を用いて簡単で、正確に得られ、前記上下のガイドGU、GLのワイヤ電極Eの傾斜角度によって変化する各支点のテーブル表面Tからの距離TU、及びTLも同様に各次式(11)、(12)によって、簡単に正確な値として得られることになる。
式 TL=α×γ/H ・・・・・・・・(11)
式 TU=(U−α)×γ/H・・・・・・・・(12)
【0036】
このように、本発明によれば、ワイヤ電極に一方のガイドを水平2軸(U、V)駆動によって与えられたテーパ加工のためのワイヤ電極の実際の傾斜角度を、新しい測定冶具と接触感知の手法により、正確に、しかも極めて簡易に計測することができ、テーパ加工のより高精度加工の実現に寄与するものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、ワイヤ放電加工のテーパ加工の加工精度の確実な向上を簡易に可能にするからワイヤ放電加工の一層の普及を促進させる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明実施例の説明図で、図1の(A)は測定冶具の斜視図、図1の(B)は、(A)の冶具を用いた測定手法の説明図である。
【図2】従来例の説明図で、図2の(A)は測定冶具の斜視図、図2の(B)は、(A)の冶具を用いた測定手法の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
E ワイヤ電極
EV 垂直ワイヤ電極
EI 傾斜ワイヤ電極
GU 上ガイド
GL 下ガイド
1 測定冶具
1U、1L 一対の接触子
1Ue、1Le 接触側縁
S 基準位置
T テーブル及びテーブル表面
TU テーブル表面と上ガイド支点間の距離
TL テーブル表面と下ガイド支点間の距離
H 接触側縁間の高さ距離
【出願人】 【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−30139(P2008−30139A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204728(P2006−204728)