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【発明の名称】 ワイヤカット放電加工装置
【発明者】 【氏名】吉田 伸一

【要約】 【課題】ワイヤ電極の先端が搬送パイプの内壁近くにあると、ワイヤ電極が座屈する。

【構成】搬送パイプ7に供給するジェットに空気を混入するエア混入手段40を設ける。搬送パイプ7に液体を供給する液体供給装置20は、液体を貯留する貯留槽21と、貯留槽21と搬送パイプ7を接続する液体供給管路300と、貯留槽21から搬送パイプ7に液体を供給するポンプ22を有する。アスピレータ30は、搬送パイプ7内の液体を吸引する。エア混入手段40は、エア供給管路400と、エア供給管路に空気を供給するエア供給源41と、電磁バルブ42と、液体供給管路300からの液体の逆流を防止する逆止弁43と、エア供給源41からの圧縮空気の流量を定めるオリフィス44とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送パイプ内に液体を供給し搬送パイプの出口側に設けられた吸引口から搬送パイプ内の液体を吸引することによって下側ワイヤガイドを通過し方向転換プーリに送り出されたワイヤ電極を搬送する搬送装置を備えたワイヤカット放電加工装置において、搬送パイプ内に供給する液体に空気を混入するエア混入手段を設けたことを特徴とするワイヤカット放電加工装置。
【請求項2】
前記エア混入手段は、エア供給源と、前記液体の逆流を防止する逆止弁と、を含んでなる請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。
【請求項3】
方向転換プーリで方向転換されたワイヤ電極を巻取りローラに導く搬送パイプと、液体を貯留する貯留槽と、前記貯留槽と前記搬送パイプを接続する液体供給管路と、前記貯留槽から前記搬送パイプに液体を供給するポンプと、前記搬送パイプ内の液体を吸引するアスピレータと、前記液体供給管路の前記貯留槽と前記搬送パイプとの間で接続するエア供給管路と、前記エア供給管路に空気を供給し前記液体供給管路の液体に空気を混入するエア供給源と、前記エア供給管路に設けられ前記液体供給管路からの液体の逆流を防止する逆止弁と、を備えたワイヤカット放電加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、下側ワイヤガイドを通過したワイヤ電極を巻取りローラまで案内する搬送装置を備えたワイヤカット放電加工装置に関する。特に、ワイヤ電極をジェットで巻取りローラまで案内する搬送装置を備えたワイヤカット放電加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ電極を下穴に挿通させワイヤ電極を張架する自動結線装置を具備したワイヤカット放電加工装置が知られている。自動結線装置は、ワイヤ電極の先端部位を切断して廃棄し、新しいワイヤ電極を下穴まで送り出して挿通させ、ワイヤ電極を下側ワイヤガイドを通過させて巻取りローラまで結線させる。
【0003】
ワイヤボビンから繰り出されるワイヤ電極はテンションを付与するテンションローラを経て被加工物に設けられた下穴に挿通される。下穴に挿通されたワイヤ電極は、下側ワイヤガイドに通される。下側ワイヤガイドに通されたワイヤ電極は、方向転換プーリでワイヤ電極の経路の方向が変えられ搬送装置に導かれる。搬送装置で搬送されるワイヤ電極は、巻取りローラに到達し巻取りローラに引き出される。
【0004】
搬送装置は、大きく分けて一対の無端ベルトを有する構成の搬送装置と搬送パイプを有する構成の搬送装置が知られている。特許文献1は、搬送パイプの出口側に設けられた吸引装置によってワイヤ電極を吸引する搬送装置および搬送パイプに空気を送り込む搬送装置を開示している。しかしながら、空気を吸引したり空気を送り込むだけではワイヤ電極を搬送する力が弱く、ワイヤ電極を確実に巻取りローラまで搬送するには十分ではない。
【0005】
そこで、搬送パイプの一端から液体を送り込み他端から液体をアスピレータによって吸引する構成としてワイヤ電極を搬送する力を大きくする構成の搬送装置がある。例えば、特許文献2は、搬送パイプの一端から液体を供給し搬送パイプの他端から吸引する装置を開示している。
【0006】
【特許文献1】特開平1−321126号公報
【特許文献2】特開2004−17187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
搬送パイプ内の液体がアスピレータによって吸引されて流れるときに、ワイヤ電極が液流の中心にあるときはワイヤ電極は問題なく送られる。しかしながら、ワイヤ電極の先端が搬送パイプの内壁近くにあると、搬送パイプの断面中心部分の流速よりも内壁近くの流速が遅いため、ワイヤ電極の先端部位がその他の部分よりも遅れて進むような状態になってワイヤ電極が搬送パイプ内で座屈する。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、ワイヤ電極の先端を搬送パイプの断面中心部分に位置させるようにして、搬送パイプ内でワイヤ電極が座屈することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のワイヤカット放電加工装置は、搬送パイプ内に液体を供給し搬送パイプの出口側に設けられた吸引口から搬送パイプ内の液体を吸引することによって下側ワイヤガイドを通過し方向転換プーリに送り出されたワイヤ電極を搬送する搬送装置を備えたワイヤカット放電加工装置において、搬送パイプ内に供給する液体に空気を混入するエア混入手段を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、前記エア混入手段は、エア供給源と、液体が前記エア供給源に流入することを防止する逆止弁と、を含んでなる。
【0011】
本発明のワイヤカット放電加工装置は、より具体的には、方向転換プーリで方向転換されたワイヤ電極を巻取りローラに導く搬送パイプと、液体を貯留する貯留槽と、前記貯留槽と前記搬送パイプを接続する液体供給管路と、前記貯留槽から前記搬送パイプに液体を供給するポンプと、前記搬送パイプ内の液体を吸引するアスピレータと、前記液体供給管路の前記貯留槽と前記搬送パイプとの間で接続するエア供給管路と、前記エア供給管路に空気を供給し前記液体供給管路の液体に空気を混入するエア供給源と、前記エア供給管路に設けられ前記液体供給管路からの液体の逆流を防止する逆止弁と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
搬送パイプ内に供給される液体に空気を供給し混入することで液体に気泡が作られワイヤ電極に振動が付与されることによってワイヤ電極の先端が搬送パイプ内を流れる液体の中心付近に引き戻されるようにされるため、ワイヤ電極が座屈しにくくなる。その結果、自動結線の動作停止が防止され、作業効率が向上する効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明のワイヤカット放電加工装置の搬送パイプに液体を供給する液体供給装置とエア混入手段を示す。図2は、本発明のワイヤカット放電加工装置の全体の概略構成を示す。
【0014】
ワイヤボビン2は、新しいワイヤ電極1を巻き回して貯留している。テンションローラ兼送出しローラ3は、加工中、走行しているワイヤ電極1に所定のテンションを付与するとともに、自動結線時にワイヤ電極1を送り出す。一対の上側ワイヤガイド4と下側ワイヤガイド5は、ワイヤ電極1を位置決め案内する。
【0015】
方向転換プーリ6は、使用済のワイヤ電極1を機外に排出するために、下側ワイヤガイド5を通過したワイヤ電極1の走行方向を変えるようにワイヤ電極を案内する。方向転換プーリ6は液体供給装置20からのジェットによって回転される。
【0016】
搬送パイプ7は、図示しない下アーム内に設けられ、下側ワイヤガイド5を通過したワイヤ電極1を巻取りローラ8に導き、使用済のワイヤ電極1を機外に案内する。方向転換プーリ6を回転させたジェットは、搬送パイプ7に導入される。したがって、下側ワイヤガイド5を通過し方向転換プーリ6に送り出されるワイヤ電極1は、搬送パイプ7内に液体を供給し搬送パイプの出口側に設けられた吸引口から搬送パイプ内の液体を吸引することによって搬送される。
【0017】
自動結線装置11は、ワイヤ電極1を切断して不要な部位を取り除き、新しいワイヤ電極1を被加工物12に設けられた下穴に送り出されるように案内する。自動結線装置11は、ワイヤ電極1を案内するガイドパイプ13とワイヤ電極1を切断する切断装置14を備えている。ガイドパイプ13には、液体供給装置20からワイヤ電極1を案内するジェットが供給される。
【0018】
搬送装置は、搬送パイプ7と、液体供給装置20と、アスピレータ30と、エア混入手段40とで構成される。搬送装置は、搬送パイプ7内に液体を供給し搬送パイプ7の出口側に設けられた吸引口15から搬送パイプ7内の液体を吸引することによってワイヤ電極を搬送する。
【0019】
液体供給装置20は、液体を貯留する清液槽100と汚液槽200とからなる貯留槽21と、ポンプ22と、エアオペレートバルブ23と、貯留槽21と方向転換プーリ6を通して搬送パイプ7とを接続する液体供給管路300中に設けられるバルブ24と、スピードコントローラ25と、逆止弁26とを含んでなる。
【0020】
液体を貯留する貯留槽21は、加工間隙に加工液を供給する加工液供給装置の加工液貯留槽を兼用できる。汚液槽100の汚液は、ポンプ27で汲み上げられフィルタ28を通して清液槽200に送られる。
【0021】
ポンプ22は、貯留槽21から自動結線装置11のガイドパイプ13と方向転換プーリ6を通して搬送パイプ7に加圧された液体を送液し供給する。エアーオペレートバルブ23は、後述するエア混入手段40のエアを駆動源とし電気的に開閉操作される。エアオペレートバルブ23は、ポンプ22から送られる液体をオンオフする。
【0022】
スピードコントローラ25は、方向転換プーリ6を通して搬送パイプ7に供給する液体の流量を調整するものである。ワイヤ電極の径が細い場合、方向転換プーリ6に供給されるジェットの勢いが強すぎるとワイヤ電極の挙動が乱れることから、スピードコントローラ25によって流量を調整する。逆止弁26は、エア混入手段40からの圧縮空気がガイドパイプ13に供給される自動結線用のジェットに混入しないようにする。
【0023】
アスピレータ30は、搬送パイプ7内の液体を吸引口15から吸引する。アスピレータ30は、逆止弁29を介してポンプ22とバルブ23に接続される。吸引された液体は、貯留槽21の汚液槽200に戻される。
【0024】
エア混入手段40は、搬送パイプ7内に供給する液体に空気を混入する。エア混入手段40は、エア供給源41と、電磁弁42と、逆止弁43と、オリフィス44とを含んでなる。エアコンプレッサ等のエア供給源41は、エア供給管路400にエアを供給し搬送パイプ7内に供給する液体に空気を混入する。電磁弁42は、エア供給源41からの圧縮空気をオンオフする。
【0025】
エア供給管路400は、液体供給管路300に貯留槽21と搬送パイプ7との間で接続する。逆止弁43は、エア供給管路400に設けられ、貯留槽21からポンプ22によって汲み上げられて液体供給管路300に流れる液体がエア供給源41に逆流することを防止する。オリフィス44は、エア供給源41からの空気の流量を一定の流量にする。
【0026】
エア混入手段40のエア供給源41から供給される圧縮空気は、エア供給管路400を通って液体供給管路300に接続する地点で液体供給管路300の液体に混入される。空気が混入された液体は多くの気泡を含んだ状態で方向転換プーリ6を通して搬送パイプ7に供給される。搬送パイプ7内に供給される気泡を含んだ液体は、ワイヤ電極1に振動を与えワイヤ電極の先端が搬送パイプ内を流れる液体の中心付近に引き戻されるようにする。
【0027】
以下に、実施の形態のワイヤカット放電加工装置の動作を説明する。加工中、ワイヤ電極1は、ワイヤボビン2から繰り出され、テンションローラ兼送出しローラ3を通り上側ワイヤガイド4を通って加工間隙に送り出される。加工間隙を通過したワイヤ電極1は、下側ワイヤガイド5を経て方向転換プーリ6によって案内される。そして、搬送パイプ7を通って巻取りローラ8に引き出される。ワイヤ電極1には、図示しない加工電源装置から通電体9,10を通して加工電流が供給される。
【0028】
ワイヤ電極1を張架し直すときは、最初にワイヤ電極1は、切断装置14によって切断される。そして、ワイヤ電極1は、テンションローラ兼送出しローラ3によって送り出される。次に、液体供給装置20から自動結線装置11のガイドパイプ13内に自動結線用のジェットが供給されると同時に方向転換プーリ6に方向転換プーリ6を回転させ搬送パイプ7内のワイヤ電極1を案内するジェットが供給される。
【0029】
エア供給源41からの圧縮空気は、電磁弁42を経てエアオペレートバルブ23に送られ、エアオペレートバルブ23を操作可能の状態にする。貯留槽21には水または水系放電加工液が貯留されている。貯留槽21からポンプ22に汲み上げられた水は、エアオペレートバルブ23を通って自動結線装置11のガイドパイプ13に結線用のジェットとして供給される。ワイヤ電極1は、ガイドパイプ13とガイドパイプ13内に供給されるジェットによって案内され、被加工物12の下穴に挿通される。下穴に挿通されたワイヤ電極1は、テンションローラ兼送出しローラ3によって送り出され下側ワイヤガイドを通過して方向転換プーリ6に到達する。
【0030】
同時に、ポンプ22によって汲み上げられた水は、液体供給管路300のバルブ24を通り、スピードコントローラ25によって流量が調整されてエア混入手段40のエア供給管路400との接続点に至る。
【0031】
一方、エア混入手段40のエア供給源41からの圧縮空気は、エア供給管路400の電磁弁42を通り、逆止弁43を経てオリフィス44で流量が調整されて液体供給管路300との接続点に至る。そして、液体供給管路300とエア供給管路400との接続点でエア混入手段40のエア供給源41からの圧縮空気が貯留槽21から送られた液体供給管路300内の加圧された水に混入される。
【0032】
空気が混入されたジェットは多くの気泡を含んだ状態で方向転換プーリ6に供給される。テンションローラ兼送出しローラ3によって送り出され方向転換プーリ6に到達したワイヤ電極1は、ジェットで回転する方向転換プーリ6と方向転換プーリ6に対向配置されたガイドブロック16に案内され方向転換し、ワイヤ電極1の先端が搬送パイプ7に導入される。
【0033】
方向転換プーリ6を回転させるジェットは、搬送パイプ7内に供給される。ワイヤ電極1は、テンションローラ兼送出しローラ3によって引き続き送り出される。搬送パイプ7内に供給される気泡を含んだジェットは、ワイヤ電極1に振動を与えワイヤ電極の先端が搬送パイプ内を流れる液体の中心付近に引き戻されるようにする。そのため、ワイヤ電極1が搬送パイプ7内で座屈するおそれが小さい。
【0034】
搬送パイプ7内のジェットはアスピレータ30によって吸引される。ワイヤ電極1は、搬送パイプ7内の液流に乗って案内され巻取りローラ8に到達する。巻取りローラ8に到達したワイヤ電極1は、巻取りローラ8に捕捉され引き出される。
【0035】
以上に説明された実施の形態のワイヤカット放電加工装置は、種々の変形、置換、組み合わせがなど応用が可能である。例えば、実施の形態のワイヤカット放電加工装置では、ジェットが方向転換プーリを通して搬送パイプに供給されるように構成されているが、直接搬送パイプに供給されるように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のワイヤカット放電加工装置の液体供給装置およびエア混入手段を示す回路図である。
【図2】本発明のワイヤカット放電加工装置の全体の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ワイヤ電極
2 ワイヤボビン
3 テンションローラ兼送出しローラ
4 上側ワイヤガイド
5 下側ワイヤガイド
6 方向転換プーリ
7 搬送パイプ
8 巻取りローラ
9,10 通電体
11 自動結線装置
12 被加工物
13 ガイドパイプ
14 切断装置
15 吸引口
16 ガイドブロック
20 液体供給装置
21 貯留槽
22 ポンプ
23 エアオペレートバルブ
24 バルブ
25 スピードコントローラ
26 逆止弁
27 ポンプ
28 フィルタ
30 アスピレータ
40 エア混入手段
41 エア供給源
42 電磁弁
43 逆止弁
44 オリフィス
100 清液槽
200 汚液槽
300 液体供給管路
400 エア供給管路
【出願人】 【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−12644(P2008−12644A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188811(P2006−188811)