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【発明の名称】 ワイヤカット放電加工方法
【発明者】 【氏名】石村 朋子

【要約】 【課題】NCプログラムの編集なしに、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用に作成されたNCプログラムを自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で使用できるようにすること。

【構成】NCプログラム中にワイヤ電極を切断するまたはワイヤ電極を挿通結線するNCコードがあったときにNCプログラムの実行を一時中断させる。同時に、表示装置の画面上に一時中断を表示させる。そして、手作業によってワイヤ電極を切断するまたはワイヤ電極を挿通結線する作業を行なう。作業終了後にNCプログラムの一時中断した次の箇所からNCプログラムの実行を再開させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用のNCプログラムを実行させNCプログラムに従って各装置に所要の動作をさせるワイヤカット放電加工方法において、前記NCプログラム中にワイヤ電極を切断するまたはワイヤ電極を挿通結線するNCコードがあったときに前記NCプログラムの実行を一時中断させる工程と、表示装置の画面上に一時中断を表示させる工程と、手作業によってワイヤ電極を切断するまたはワイヤ電極を挿通結線する作業を行なう工程と、NCプログラムの一時中断した次の箇所からNCプログラムの実行を再開させる工程と、を有するワイヤカット放電加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機におけるワイヤカット放電加工方法に関する。特に、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機で有効なNCプログラムを自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で実行するワイヤカット放電加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御ワイヤカット放電加工機は、予め作成されたNCプログラムを解読し、解読された順番にNCプログラムを実行しワイヤカット放電加工を行なう。NCプログラムには、NCコードが含まれており、NCコードの命令に従い移動制御装置、加工液制御装置、加工電源装置のような各装置に所要の動作をさせる。
【0003】
ところで、ワイヤカット放電加工では、被加工物を挟んで設けられる一対のワイヤガイド間にワイヤ電極を張架する必要がある。例えば、不慮のワイヤ電極の断線のときにワイヤ電極の断線した先端部位を切断して結線し張架させる。あるいは予め決まった箇所でワイヤ電極を一旦切断して別の加工開始孔にワイヤ電極を挿通して結線し張架させる。ワイヤカット放電加工機の中には、自動的にワイヤ電極を切断したりワイヤ電極を挿通結線する自動結線装置を備えているものがある。
【0004】
決まった箇所で自動結線装置を使用してワイヤ電極を切断して挿通結線させる場合は、予めNCプログラム中にワイヤ電極を切断させるNCコードとワイヤ電極を挿通結線させるNCコードをプログラムしておく必要がある(特許文献1参照)。一方、自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機では、決まった箇所でワイヤ電極を切断して挿通結線させる場合は、予めNCプログラム中の決まった箇所にNCプログラムの実行を一時停止するNCコードを挿入させておく必要がある。
【0005】
同じ加工を行なう場合、自動結線装置を動作させる以外は、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用のNCプログラムと自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機用のNCプログラムは同じであるから、それぞれのワイヤカット放電加工機ごとにNCプログラムを作成することは手間である。
【0006】
【特許文献1】特許第3571093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用に作成されたNCプログラムを自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で実行させようとした場合、NCプログラム中にワイヤ電極を切断するNCコードやワイヤ電極を挿通結線するNCコードが存在すると自動結線装置がないために実行することができないから、無視して次のNCコードを実行するように構成されている。
【0008】
ワイヤ電極を切断したり挿通結線したりするNCコードが実行されずに次のNCコードを実行しようとすると、不具合が発生する。例えば、ある加工箇所でワイヤ電極が切断されずに次の加工箇所に移行しそこで加工をしようとすると加工が不能に陥る。
【0009】
したがって、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用に作成されたNCプログラムを自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で実行させようとした場合、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用に作成されたNCプログラムのワイヤ電極を切断するNCコードやワイヤ電極を挿通結線するNCコードの前後にNCプログラムの実行を一時中断するNCコードを追加挿入するなどNCプログラムを書き換える必要がある。
【0010】
多数個取り加工のようにワイヤ電極の切断とワイヤ電極の挿通結線を行なう箇所が多数ある場合は、NCプログラムの編集に多大な手間と時間を要する。その上、このNCプログラムを再び自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機で実行させようとすると、NCプログラムの実行を一時中断するNCコードを取り除かなければならない。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、NCプログラムの編集なしに、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用に作成されたNCプログラムを自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のワイヤカット放電加工方法は、自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用のNCプログラムを実行させNCプログラムに従って各装置に所要の動作をさせるワイヤカット放電加工方法において、前記NCプログラム中にワイヤ電極を切断するまたはワイヤ電極を挿通結線するNCコードがあったときに前記NCプログラムの実行を一時中断させる工程と、表示装置の画面上に一時中断を表示させる工程と、手作業によってワイヤ電極を切断するまたはワイヤ電極を挿通結線する作業を行なう工程と、NCプログラムの一時中断した次の箇所からNCプログラムの実行を再開させる工程と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機でワイヤ電極を切断したりワイヤ電極を挿通結線したりするNCコードがあった場合には自動的に一時中断させ、手作業で結線作業を行なった後にNCプログラムの一時中断した次の箇所からNCプログラムの実行を再開させるので、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用に作成されたNCプログラムであっても自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機で加工することができる。その結果、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工機用に作成されたNCプログラムを自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機に使用することができ、NCプログラムの作成の手間を減らし、作業効率を向上させる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明のワイヤカット放電加工方法を示すフローチャートである。図2は、本発明のワイヤカット放電加工方法を実施する装置を示すブロック図である。以下、図1のフローチャートを用いて本発明のワイヤカット放電加工方法を説明する。
【0015】
作業前に、設定手段1を用いて自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機においてNCコードにワイヤ電極の切断(T90)とワイヤ電極の挿通結線(T91)があった場合に、一時中断する設定をオンにする(S1)。設定手段1は、具体的には、キーボードやディスプレイに設けられたタッチパネルのような入力装置と設定値を記憶する記憶装置を含んでなる。
【0016】
NCプログラムの実行を開始させると、演算装置の解読手段2は、NCプログラムを順に解読する(S2)。そして、実行手段3は、解読された順番にNCデータに基づいてNCプログラムを実行し、移動制御装置、加工液制御装置、加工電源装置のような各装置4に所要の動作をさせる(S4)。
【0017】
設定手段1によって一時中断する設定がオンになっているときは、中断手段5は、実行手段3が実行しようとするNCコードをチェックする。そして、NCコードに「T90」(ワイヤ電極の切断)または「T91」(ワイヤ電極の挿通結線)があった場合は(S3)、NCプログラムの実行を中断する(S5)。同時に、中断手段5は、中断のメッセージを表示装置6に表示させるとともに、NCプログラムの一時中断と再開を行なう「HALT」キーをオンの状態にする(S6)。
【0018】
このことによって、NCプログラム中に一時停止のNCコードがなくてもNCプログラムの解読と実行の再開が可能な状態でNCプログラムの実行を一時中断することができる。また、作業者は、中断のメッセージが表示されることによって、ワイヤ電極の切断ないしワイヤ電極の挿通結線においてNCプログラムの実行が一時中断していることを認識することができ、ワイヤ電極の切断ないしワイヤ電極の挿通結線の作業を行なうことができる。なお、実施の形態では、NCプログラムの実行を中断するとともに次のNCプログラムの解読を中断するようにしている。
【0019】
NCコードに「T90」または「T91」が存在し、NCプログラムの実行を一時中断したときは、作業者がワイヤ電極を切断する作業を行なう。または、ワイヤ電極を下穴に通してワイヤ電極を結線させる作業を行なう(S7)。
【0020】
ワイヤ電極の切断またはワイヤ電極の挿通結線の作業が終了したら、作業者は再開手段7によってNCプログラムの実行を再スタートさせる(S8)。具体的には、「HALT」キーを押圧することによってNCプログラムの実行を再開させる。このとき、NCプログラムの一時中断した「T90」または「T91」の次のブロックからNCプログラムの実行を再開させる。そして、ステップS3からステップS7までの作業をNCプログラムが終了するまで繰返し行なう(S9)。
【0021】
本発明は、自動結線装置を備えていないワイヤカット放電加工機に関わらず、パレットチェンジャなど自動で作業を行なう装置を備えていないワイヤカット放電加工機に応用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、ワイヤカット放電加工に利用される。本発明のワイヤカット放電加工方法は、作業効率を向上させる効果を奏し、ワイヤカット放電加工の発展に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のワイヤカット放電加工方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明のワイヤカット放電加工方法を実施する装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1 設定手段
2 解読手段
3 実行手段
4 各装置
5 中断手段
6 表示装置
7 再開手段
【出願人】 【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−846(P2008−846A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172779(P2006−172779)