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【発明の名称】 ねじ溝研削方法および装置
【発明者】 【氏名】久野 篤

【氏名】竹内 幸一郎

【要約】 【課題】ボールねじ軸に形成されたねじ溝の螺旋溝面の面性状を向上できるねじ溝研削方法および装置を提供する。

【解決手段】ボールBが転動するねじ溝Wgが螺旋状に形成されたボールねじ軸Wと、ねじ溝のボール転動面Wbを含む螺旋溝面Wsを研削する砥石Gとを、ボールねじ軸の回転に同期してボールねじ軸の軸方向に相対移動させるとともに、研削抵抗による撓みを防止するためにボールねじ軸をレストシュー45、46で支持して、砥石によりねじ溝の螺旋溝面を研削するねじ溝研削方法にして、レストシューを砥石によって研削された螺旋溝面のボール転動面以外の部分に当接させた状態でボールねじ軸の回転に同期してボールねじ軸の軸方向に相対移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に転動ボールが転動するねじ溝が螺旋状に形成されたボールねじ軸と、前記ねじ溝のボール転動面を含む螺旋溝面を研削する砥石とを、前記ボールねじ軸の回転に同期して前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動させるとともに、研削抵抗による撓みを防止するために前記ボールねじ軸をレストシューで支持して、前記砥石により前記ねじ溝のボール転動面を含む螺旋溝面を研削するねじ溝研削方法にして、
前記レストシューを前記砥石によって研削された螺旋溝面の前記ボール転動面以外の部分に当接させた状態で前記ボールねじ軸の回転に同期して前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動させることを特徴とするねじ溝研削方法。
【請求項2】
外周に転動ボールが転動するねじ溝を螺旋状に形成したボールねじ軸を回転可能に支持するワーク支持装置と、該ワーク支持装置に支持されたボールねじ軸を回転駆動するねじ軸回転駆動装置と、前記ねじ溝のボール転動面を含む螺旋溝面を研削する砥石を回転駆動可能に支承する砥石台と、該砥石台を前記ワーク支持装置に対して前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動させる軸方向移動装置と、前記砥石台を前記ワーク支持装置に対して前記ボールねじ軸の半径方向に相対移動させる半径方向移動装置と、研削抵抗による撓みを防止するために前記ボールねじ軸をレストシューで支持するレスト装置と、前記ボールねじ軸の回転に同期して前記砥石台が前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動するように前記ねじ軸回転駆動装置及び前記軸方向移動装置を同期して作動させる同期作動手段を備えたねじ溝研削装置において、
前記レスト装置は前記砥石台に設けられ、前記レストシューは、前記砥石によって研削された螺旋溝面の前記ボール転動面以外の部分に当接するように配置されていることを特徴とするねじ溝研削装置。
【請求項3】
請求項2において、前記レスト装置は、前記砥石台に上下方向に移動可能に装架され、駆動装置によって上下移動されるレスト本体と、該レスト本体に前後方向に移動可能に装架され、駆動装置によって前後移動される進退部材を備え、前記レストシューは、前記進退部材に設けられ前記螺旋溝面の前記ボール転動面以外の部分に、下方から当接する下方レストシューと砥石Gの反対側から当接する後方レストシューとからなることを特徴とするねじ溝研削装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記レストシューの前端面の両側縁部には、前記砥石によって研削された溝両側の螺旋溝面に前記ボール転動面から谷側に外れた部分で当接する当接部が形成されていることを特徴とするねじ溝研削装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項において、前記ボールねじ軸は、中央部に前記ねじ溝が螺旋状に形成され、一端部にラックが形成され、他端部に連結軸が形成されたラック同軸型電動パワーステアリング装置のボールねじ軸であることを特徴とするねじ溝研削装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじ軸に形成されたねじ溝を研削するねじ溝研削方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラックシャフトと同軸的に電動モータを配設したラック同軸型電動パワーステアリング装置においては、例えば、ステアリングシャフトの回転によって軸方向移動されるラックシャフトとボールねじ軸とを一体にし、このボールねじ軸に転動ボールを介して螺合するボールナットを、電動モータのモータシャフトに固定し、モータシャフトの回転運動をラックシャフトの軸方向運動に変換するボールねじ装置を備えている。
【0003】
この種の電動パワーステアリング装置に用いられるボールねじ軸のねじ溝の研削加工は、ねじ溝形状に補合する形状の総形の砥石車を用いて、ボールねじ軸の回転に同期して、ボールねじ軸と砥石車とをボールねじ軸の軸方向に相対移動させて行うようにしている。
【0004】
特許文献1には、ボールねじ軸等のように径寸法に対して長さ寸法の大きいワークにねじ溝を研削する装置が記載されている。この長尺ワークのねじ溝研削装置は、ねじ溝を有する長尺ワークの両端をセンタ支持する一対の端部支持部材と、この端部支持部材で支持された長尺ワークのねじ溝の螺旋溝面を研削する砥石に対向してねじ溝の螺旋溝面を支持するワークレストとを備えたものである。ワークレストは、長尺ワークの半径方向に進出位置が調整され、先端に形成された支持溝にワークの軸方向に移動自在に収容されたボール状部材が、ねじ溝の螺旋溝面に当接する。そして、ワークの軸方向に対する送りを砥石の移動で行う場合、ワークレストは砥石台と共通の移動台に載置され砥石と共に移動される。この構成によれば、長尺ワークは常にねじ溝の最も砥石に近い軸方向位置でワークレストにより支持され、ワークレストと砥石に挟まれながら研削されることになる。そのため、加工力などによる撓みがワークレストで防止され、砥石とワークレストとで規制された寸法に溝径を維持しながら研削が行われる。したがって、軸方向の全長に等径にねじ溝の螺旋溝面を仕上げることができ、またワーク外径面の精度に影響されずに螺旋溝面を仕上げることができる。
【特許文献1】特開平9−323217号公報(段落〔0009〕〜〔0011〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近時、自動車においては、車両室内の静粛性が厳しく要求されるので、ラック同軸型電動パワーステアリング装置に使用されるボールねじ軸のねじ溝は、ボール転動面に傷が付かないように研削することが強く求められている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている長尺ワークのねじ溝研削装置では、砥石によって研削されたねじ溝の螺旋溝面にレストのボール状部材が当接するので、螺旋溝面の一部であるボール転動面に傷が付くことがある。ボール転動面に傷が付いたボールねじ軸に転動ボールを介してボールナットが螺合されたボールねじ装置は、ボールがボール転動面の傷部分を転動することにより振動が誘発され、かかる振動により異音を生じることとなる。
【0007】
本発明は、上記した要望に応えるもので、ボールねじ軸に形成されたねじ溝の螺旋溝面の面性状を向上できるねじ溝研削方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、外周に転動ボールが転動するねじ溝が螺旋状に形成されたボールねじ軸と、前記ねじ溝のボール転動面を含む螺旋溝面を研削する砥石とを、前記ボールねじ軸の回転に同期して前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動させるとともに、研削抵抗による撓みを防止するために前記ボールねじ軸をレストシューで支持して、前記砥石により前記ねじ溝のボール転動面を含む螺旋溝面を研削するねじ溝研削方法にして、前記レストシューを前記砥石によって研削された螺旋溝面の前記ボール転動面以外の部分に当接させた状態で前記ボールねじ軸の回転に同期して前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動させることである。
【0009】
請求項2に係る発明の特徴は、外周に転動ボールが転動するねじ溝を螺旋状に形成したボールねじ軸を回転可能に支持するワーク支持装置と、該ワーク支持装置に支持されたボールねじ軸を回転駆動するねじ軸回転駆動装置と、前記ねじ溝のボール転動面を含む螺旋溝面を研削する砥石を回転駆動可能に支承する砥石台と、該砥石台を前記ワーク支持装置に対して前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動させる軸方向移動装置と、前記砥石台を前記ワーク支持装置に対して前記ボールねじ軸の半径方向に相対移動させる半径方向移動装置と、研削抵抗による撓みを防止するために前記ボールねじ軸をレストシューで支持するレスト装置と、前記ボールねじ軸の回転に同期して前記砥石台が前記ボールねじ軸の軸方向に相対移動するように前記ねじ軸回転駆動装置及び前記軸方向移動装置を同期して作動させる同期作動手段を備えたねじ溝研削装置において、前記レスト装置は前記砥石台に設けられ、前記レストシューは、前記砥石によって研削された螺旋溝面の前記ボール転動面以外の部分に当接するように配置されていることである。
【0010】
請求項3に係る発明の特徴は、 請求項2において、前記レスト装置は、前記砥石台に上下方向に移動可能に装架され、駆動装置によって上下移動されるレスト本体と、該レスト本体に前後方向に移動可能に装架され、駆動装置によって前後移動される進退部材を備え、前記レストシューは、前記進退部材に設けられ前記螺旋溝面の前記ボール転動面以外の部分に、下方から当接する下方レストシューと砥石Gの反対側から当接する後方レストシューとからなることである。
【0011】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項2又は3において、前記レストシューの前端面の両側縁部には、前記砥石によって研削された溝両側の螺旋溝面に前記ボール転動面から谷側に外れた部分で当接する当接部が形成されていることである。
請求項5に係る発明の特徴は、請求項2乃至4のいずれか1項において、前記ボールねじ軸は、中央部に前記ねじ溝が螺旋状に形成され、一端部にラックが形成され、他端部に連結軸が形成されたラック同軸型電動パワーステアリング装置のボールねじ軸であることである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、レストシューを砥石によって研削された螺旋溝面のボール転動面以外の部分に当接させた状態でボールねじ軸の回転に同期してボールねじ軸の軸方向に相対移動させるので、ボール転動面にレストシューとの接触によって傷が付くことがない。これにより、本発明に係るねじ溝研削方法により螺旋溝面が研削されたボールねじ軸に、転動ボールを介してボールナットが螺合されたボールねじ装置は、ボールがボール転動面のレストシューによって付けられた傷部分を転動することにより振動が誘発されることがなく、かかる振動により異音を生じることがない。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、レストシューは、砥石によって研削された螺旋溝面のボール転動面以外の部分でボールねじ軸と当接し、このレストシューを備えたレスト装置は砥石台に設けられている。これにより、砥石台がボールねじ軸の回転に同期してボールねじ軸の軸方向に相対移動されると、レストシューは砥石によって研削された螺旋溝面のボール転動面以外の部分に当接した状態で砥石台とともに相対移動されるので、ボール転動面にレストシューとの接触によって傷が付くことがない。そして、ボールねじ軸は砥石に近い軸方向位置でレストシューによって常に支持され、レストシューと砥石に挟まれながら研削されるので、ボールねじ軸の撓みがワークレストで防止され、ねじ溝を高精度に研削することができる。
【0014】
これにより、本発明に係るねじ溝研削装置により螺旋溝面が研削されたボールねじ軸に、転動ボールを介してボールナットが螺合されたボールねじ装置は、ボールがボール転動面のレストシューによって付けられた傷部分を転動すること、或いは加工誤差の大きいボール転動面を転動することにより振動が誘発されることがなく、従って、かかる振動により異音を生じることがない。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、レスト本体が砥石台に上下方向に移動可能に装架され、該レスト本体に進退部材が前後方向に移動可能に装架され、該進退部材に、螺旋溝面のボール転動面以外の部分に、下方から当接する下方レストシューと砥石の反対側から当接する後方レストシューとを設けたので、ボール転動面をレストシューとの接触によって傷が付くことがなく高精度に研削することができる簡素な構成で安価に研削盤を提供することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、レストシューの前端面の両側縁部に形成された当接部が、溝両側の螺旋溝面にボール転動面から谷側に外れた部分で当接するので、当接部と両螺旋溝面との当接部における共通接線とねじ軸の軸方向とのなす角度が小さくなり、レストシューが両螺旋溝面に対してねじ軸の軸方向に僅かに逃げることができ、研削加工中に微小なピッチ誤差等を吸収することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、中央部にねじ溝が螺旋状に形成され、一端部にラックが形成され、他端部に連結軸部が形成されたラック同軸型電動パワーステアリング装置のボールねじ軸のねじ溝の螺旋溝面であって、砥石によって研削された螺旋溝面のボール転動面以外の部分にレストシューが当接される。これにより、ボールねじ軸は、砥石台に設けられてレスト装置のレストシューによって、砥石に近い軸方向位置で常に支持され、レストシューと砥石に挟まれながら研削されるので、ボールねじ軸の撓みがワークレストで確実に防止され、ねじ溝を高精度に研削することができる。
【0018】
これにより、本発明に係るねじ溝研削装置により螺旋溝面が研削されたボールねじ軸を備えたラック同軸型電動パワーステアリング装置は、ボールがボール転動面のレストシューによって付けられた傷部分を転動すること、或いは加工誤差の大きいボール転動面を転動することにより振動が誘発されることがなく、従って、かかる振動により異音を生じることがないので、車両室内での静粛性が高く操舵フィーリングが良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1、2において、10は本実施の形態に係るねじ溝研削装置であり、ベッド11と、ベッド11上に載置されボールねじ軸Wを回転駆動可能に支持するワーク支持装置12と、ベッド11上にボールねじ軸Wの軸方向及び半径方向に移動可能に装架された砥石台13と、砥石台13に回転駆動可能に支承されボールねじ軸Wに形成されたねじ溝Wgのボール転動面Wsを研削する砥石Gと、研削抵抗によるボールねじ軸Wの撓みを防止するためにボールねじ軸Wをレストシュー45、46で支持するレスト装置15とを備えている。
【0020】
ボールねじ軸Wは、例えば、ラック同軸型電動パワーステアリング装置に使用されるボールねじ軸であり、溝の両側に螺旋溝面Wsを有するねじ溝Wgが螺旋状に形成され、一端部にラックWrが形成され、他端部に連結軸Wcが形成されている。ねじ溝Wgの軸方向の断面形状は、例えば図3に示すように、両円弧の半径Rが交差するように両円弧の中心O1、O2が互いにボールねじ軸Wの軸方向に僅かに変位された円弧C1、C2と、両円弧C1、C2をねじ溝Wgの谷側底部で半径方向に逃がして連結する逃げ溝Dとからなっている。ボールねじ軸Wと図略のナットとの間に介在される鋼製のボールBが、溝両側の螺旋溝面Wsをなす2つの円弧C1、C2の中央部分のボール転動面Wbを転動するように構成されている。
【0021】
ワーク支持装置12は、ねじ溝研削装置10のベッド11上に所定距離離間して設置された主軸台16及び心押台17によって構成され、主軸台16には、ボールねじ軸Wの一端を把持するチャック18を取付けた主軸19が回転可能に軸承されサーボモータ20によって回転駆動されるようになっている。
【0022】
心押台17には、ボールねじ軸Wの他端を支持する心押センタ21を取付けた心押軸22がZ軸方向に進退可能に支持され、図略の進退用シリンダによって進退されるようになっている。ボールねじ軸Wは心押軸22の進退によって、他端に設けられたセンタ穴を心押センタ21によって支持され、一端をチャック18に把持されてサーボモータ20の回転により回転される。主軸19、チャック18、サーボモータ20等によって、ワーク支持装置12に支持されたボールねじ軸Wを回転駆動するねじ軸回転駆動装置24が構成されている。
【0023】
ベッド11上には、スライド25が一対のリニアガイド26によってボールねじ軸Wの軸方向と平行な方向(Z軸方向)に移動可能に案内支持されている。スライド25はサーボモータ27によってボールねじ28を介してZ軸方向に移動される。スライド25上には砥石台13が一対のリニアガイド30によってボールねじ軸Wの半径方向と平行な水平方向(X軸方向)に移動可能に装架され、サーボモータ31によってボールねじ29を介してX軸方向に移動される。
【0024】
スライド25、リニアガイド26、サーボモータ27、ボールねじ28等によって、砥石台13をワーク支持装置12に対してボールねじ軸Wの軸方向に移動させる軸方向移動装置32が構成されている。リニアガイド30、ボールねじ29、サーボモータ31等によって、砥石台13をワーク支持装置12に対してボールねじ軸Wの半径方向に移動させる半径方向移動装置33が構成されている。
【0025】
砥石台13には砥石軸34がワーク支持装置12側に設けられた軸受部35により両端部を回転可能に軸承され、モータ36によってベルト47を介して回転駆動されるようになっている。砥石軸34の中央部には砥石Gがボールねじ軸Wと対向して固定されている。
【0026】
レスト装置15は、砥石台13の前側に、軸受部35と並んで設けられている。砥石台13の前端面37には、レスト本体38が一対のリニアガイド39により上下方向に移動可能に装架され、サーボモータ40によってボールねじを介して上下動される。即ち、レスト本体38上面に固定されたサーボモータ40によって回転駆動されるボールねじがレスト本体38に回転可能に軸承され、このボールねじに螺合するナットが砥石台13の前端面に固定されている。レスト本体38の下端には、水平方向に延在するガイド部41が設けられ、ガイド部41には進退部材42が一対のリニアガイドにより前後方向に移動可能に装架され、サーボモータ43によってボールねじを介してボールねじ軸Wに対して進退移動される。
【0027】
進退部材42には、シュー取付け部44が上方に向けて突設され、シュー取付け部44には、砥石Gからねじ溝Wgに作用する研削力によるボールねじ軸Wの撓みを防止するように、ボールねじ軸Wのねじ溝Wgの螺旋溝面Wsに下方から当接する下方レストシュー45と、螺旋溝面Wsに砥石Gの反対側から当接する後方レストシュー46とが設けられている。
【0028】
後方レストシュー46は、図4に示すように、砥石Gによって研削された螺旋溝面Wsの中のボール転動面Wb以外の部分に当接するように、砥石Gが当接する箇所からねじ溝Wgの半ピッチずれた位置に砥石Gと対向して配置されている。螺旋溝面Wsが研削されたボールねじ軸Wは、鋼製のボールBを介してボールナットが螺合されてボールねじ装置を構成する。螺旋溝面Wsの中のボールが転動するボール転動面Wbに傷が付くと、ボールが傷部分を転動することにより振動を誘発し異音を発生する。ボール転動面Wbに傷が発生しないように、後方レストシュー46の前端面の両側縁部には、砥石Gによって研削された両螺旋溝面Wsにボール転動面Wbから谷側に外れた部分で当接する当接部46a、46bが形成されている。
【0029】
下方レスト45は、砥石Gによって研削された螺旋溝面Wsの中のボール転動面Wb以外の部分に下方から当接するように、砥石Gが当接する箇所からねじ溝Wgの1/4ピッチずれた位置に配置されている。図3において参照番号に括弧を付けて示したように、下方レストシュー45の前端面の両側縁部にも、砥石Gによって研削された両螺旋溝面Wsにボール転動面Wbから谷側に外れた部分で当接する当接部45a、45bが形成されている。
【0030】
数値制御装置48は、NCデータに基づいてサーボモータ20、27を回転制御し、砥石台13が主軸19の回転に同期してZ軸方向に移動され、砥石Gはねじ溝Wgの螺旋溝面Wsを螺旋状に研削する。砥石台13に設けられたレスト装置15の下方および後方レストシュー45、46も砥石Gによって研削された螺旋溝面Wsのボール転動面Wb以外の部分に当接した状態でボールねじ軸Wの回転に同期してボールねじ軸Wの軸方向に移動する。
【0031】
次に、上記実施の形態の作動について説明する。工作物Wを主軸19のチャック18に回転方向の位相決めを行って把持し後端部を心押台17の心押センタ21で挟持して起動釦を押すと、数値制御装置48は図5に示すプログラムを実行する。サーボモータ27が数値制御装置48からの指令により回転駆動され、スライド25がボールネジ28を介してZ軸方向に移動され、砥石車Gがボールねじ軸Wのねじ溝Wgの始端部と対向する研削開始位置に割出される(ステップS1)。
【0032】
次にサーボモータ20、27がねじ溝創生NCデータにより同時2軸制御されて回転され、砥石台13はボールねじ軸Wの回転に同期してボールねじ軸Wの軸方向に移動され、ボールねじ軸Wと砥石車Gとの間でねじ溝創成運動が行われる(ステップS2)。これと同時に、サーボモータ31が回転され、砥石台13がワーク支持装置12に向かってX方向に前進位置に前進され、砥石車Gが工作物Wに向かって切り込まれる(ステップS3)。
【0033】
ねじ溝Wgの始端部分の螺旋溝面Wsが砥石Gにより研削されると、サーボモータ40、43が回転され、レスト本体38が上昇されるとともに、進退部材42が後退され、下方および後方レストシュー45、46の当接部45a、45bおよび46a、46bが砥石Gによって研削された両螺旋溝面Wsにボール転動面Wbから谷側に外れた部分で当接する(ステップS4)。
【0034】
このようにして、下方および後方レストシュー45、46は砥石Gによって研削された螺旋溝面Wsのボール転動面Wb以外の部分に当接した状態で砥石台13とともに移動されるので、ボールねじ軸Wは砥石Gに近い軸方向位置で下方および後方レストシュー45、46によって支持されて研削され、ボールねじ軸Wの撓みが防止されてねじ溝Wgが高精度に研削される。このとき、ボール転動面Wbには下方および後方レストシュー45、46が接触しないので傷が付くことがない。また、下方および後方レストシュー45、46の前端両側縁部に設けられた当接部45a、45bおよび46a、46bが、砥石Gによって研削された両螺旋溝面Wsに当接しているので、両螺旋溝面Wsからの力が下方および後方レストシュー45、46の前端両側縁部にバランスよく作用し、下方および後方レストシュー45、46が安定した状態でボールねじ軸Wを支持することができる。
【0035】
さらに、下方および後方レストシュー45、46の当接部45a、45bおよび46a、46bは、砥石Gによって研削された両螺旋溝面Wsにボール転動面Wbから谷側に外れた部分で当接するので、当接部45a、45bおよび46a、46bと両螺旋溝面Wsとの当接部における共通接線とねじ軸Wの軸方向とのなす角度が小さくなり、レストシュー45、46が両螺旋溝面Wsに対してねじ軸Wの軸方向に僅かに逃げることが可能となり、研削加工中に微小なピッチ誤差等を吸収することができる。
【0036】
また、研削加工中に供給されるクーラントがねじ軸Wgの回転につれて両螺旋溝面Ws間の逃げ溝Dを通って下方および後方レストシュー45、46の前端背面まで十分供給されるので、当接部45a、45bおよび46a、46bと両螺旋溝面Wsとの間で焼き付きを生じることがない。
【0037】
砥石Gがねじ軸Wgを終端まで研削すると、サーボモータ31が逆回転され、砥石台13が後退位置に後退されて砥石車Gがねじ軸Wgから離脱し、サーボモータ40、43が逆回転され、レスト本体38及び進退部材42が離脱位置に移動され、下方および後方レストシュー45、46の当接部45a、45bおよび46a、46bが砥石Gによって研削された螺旋溝面Wsから離脱する(ステップS5)。
【0038】
続いて、ステップS1〜S5が所定回数繰り返され、ねじ軸Wgが所定寸法に仕上げられる。この間、ステップS3において、砥石台13は、前回の前進位置より切込み量だけ前方の前進位置まで前進され、ステップS4において、レスト本体38、進退部材42が前回の上昇位置、後退位置より切込み量だけ上昇した上昇位置、後退した後退位置まで移動され、ボールねじ軸Wは砥石Gに近い軸方向位置で下方および後方レストシュー45、46によって支持されてねじ軸Wgを砥石Gによって研削される。
【0039】
上記実施の形態では、下方および後方レストシュー45、46の当接部45a、45bおよび46a、46bは、砥石Gによって研削された両螺旋溝面Wsにボール転動面Wbから谷側に外れた部分で当接するようにしているが、ボール転動面Wbから山側に外れた部分で当接するようにしてもよい。
【0040】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0041】
上記実施の形態では、ワーク支持装置12をZ軸方向に移動しないようにベッド11上に設け、砥石台13をZ軸方向に移動させているが、砥石台13をZ軸方向に移動しないように設け、ワーク支持装置12をZ軸方向に移動させるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、数値制御装置48によりサーボモータ20、27を同時2軸制御させて砥石台13をボールねじ軸Wの回転に同期して軸方向に移動させ、ボールねじ軸Wと砥石車Gとの間でねじ溝創成運動を行わせているが、砥石台13が載置されたスライド25をZ軸方向に移動させるボールねじ28と主軸19とを回転連結させることにより、砥石台13をボールねじ軸Wの回転に同期して軸方向に移動させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態を示すねじ溝研削装置を示す平面図。
【図2】レスト装置を備えた砥石台の側面図。
【図3】砥石により研削されたねじ軸をレストシューで支持する状態を示す図。
【図4】ねじ溝の螺旋溝面にレストシューが当接した状態を示す図。
【図5】ねじ溝を研削するプログラムを示す図。
【符号の説明】
【0044】
10…ねじ溝研削装置、11…ベッド、12…ワーク支持装置、13…砥石台、15…レスト装置、16…主軸台、17…心押台、18…チャック、19…主軸、20,27,31,40,43…サーボモータ、21…心押センタ、22…心押軸、24…ねじ軸回転駆動装置、25…スライド、26,30,39…リニアガイド、28…ボールねじ、29…砥石台、32…軸方向移動装置、33…半径方向移動装置、34…砥石軸、35…軸受部、36…モータ、37…前端面、38…レスト本体、41…ガイド部、42…進退部材、44…シュー取付け部、45…下方レストシュー、46…後方レストシュー、46a,46b…当接部、48…数値制御装置、W…ボールねじ軸、Wg…ねじ溝、Ws…螺旋溝面、Wb…ボール転動面、G…砥石。
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
【出願日】 平成19年5月10日(2007.5.10)
【代理人】 【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩


【公開番号】 特開2008−279540(P2008−279540A)
【公開日】 平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願番号】 特願2007−125570(P2007−125570)