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【発明の名称】 ねじ切り用ダイス及び該ダイスを備えたねじ切り用工作機械
【発明者】 【氏名】石原 伸明

【氏名】壁谷 佳晃

【氏名】立木 久元

【要約】 【課題】ねじを切るのに必要な切削トルクを小さくし、ダイスのねじ刃にかかる負荷を低減することによりダイスの寿命を延ばすことができるねじ切り用ダイスを提供する

【解決手段】ねじ刃が形成されるねじ型部の内径を被ねじ切り物品の外径に形成する雄ねじの寸法に合わせて調節するための割り溝を有するダイスにおいて、ねじ型部の内径を所望の寸法と、所望の寸法より拡径した寸法と、に変えることができるコマを割り溝に組み込んでなることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ刃が形成されるねじ型部の内径を被ねじ切り物品の外径に形成する雄ねじの寸法に合わせて調節するための割り溝を有するダイスにおいて、ねじ型部の内径を所望の寸法と、所望の寸法より拡径した寸法と、に変えることができるコマを割り溝に組み込んでなることを特徴とするねじ切り用ダイス。
【請求項2】
前記コマの形状は楕円形である請求項1記載のねじ切り用ダイス
【請求項3】
請求項1または2記載のダイスと、該ダイスを固定するためのホルダと、被ねじ切り物品を回転させる装置とを備えてなるねじ切り用工作機械。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ切り用ダイス及び該ダイスを備えたねじ切り用工作機械に関する。さらに詳しくは、金属の丸棒や管等の被ねじ切り物品の外周に雄ねじを切るねじ切り用ダイス及び該ダイスを備えたねじ切り用工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の丸棒や管等の外周に雄ねじを切る工具として、図6に示すような中央部に複数のねじ型部101と、外周部の1箇所に割り溝102を有するダイス104がある。複数の各ねじ型部101は、ダイス104の中心線を中心とする同心円状に等間隔で並ぶ同一形状のもので、各々ねじ切り用ねじ刃106が形成されている。このねじ刃106を有するねじ型部101の個数は通常3〜5個であり、ねじを切る際に生成される切り屑を排出するための切り屑孔107もねじ型部101と同数有する。ダイス104を使用するときは、一点破線で図示するダイスハンドル105に固定し、手動で回転させて雄ねじを切る。
【0003】
割り溝102にはねじ型部101の内径を調節するための調節ねじ103を挿入することができ、調節ねじ103を回転させ、割り溝102の幅を変えることにより、ねじ型部101の内径を変えることができる。この際、割り溝102の幅は調節ねじ103により固定されてはいないが、ダイス104自体の緊縛力により、被ねじ切り物品を挿入する時に外径が広がることはない。このようなダイスで雄ねじを切る場合、あらかじめ調節ねじ103によりねじ刃106の内径を被ねじ切り物品の外径に形成する雄ねじの所望の寸法にしておき、一度の切削で雄ねじを形成する。所定の長さまで雄ねじを切り終えたら、ダイス104を逆回転させて被ねじ切り物品から外す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ダイス104により雄ねじを切る場合、一度の切削でねじ形状を形成しようとするがために、一度のねじ切りに必要な切削量が多くなる。それ故に大きな切削トルクが必要であり、ダイス104のねじ刃106にかかる負荷が大きく、ダイス104の寿命を短くする原因となっている。
【0005】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、ねじを切るのに必要な切削トルクを小さくし、ダイスのねじ刃にかかる負荷を低減することによりダイスの寿命を延ばすことができるねじ切り用ダイス及び該ダイスを備えたねじ切り用工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ねじ刃が形成されるねじ型部の内径を被ねじ切り物品の外径に形成する雄ねじの寸法に合わせて調節するための割り溝を有するダイスにおいて、ねじ型部の内径を所望の寸法と、所望の寸法より拡径した寸法と、に変えることができるコマを割り溝に組み込んでなることを特徴としている。
【0007】
また、本発明のねじ切り用工作機械は、前記ダイスと、該ダイスを固定するためのホルダと、被ねじ切り物品を回転させる装置とを備えてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ねじを切るのに必要な切削トルクを小さくし、ダイスのねじ刃にかかる負荷を低減することによりダイスの寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明におけるダイスは、手動雄ねじ切り用のものに限らず、雄ねじを切る工作機械にも用いることができる。以下、添付図面に基づいて本発明のねじ切り用ダイス及び該ダイスを備えたねじ切り用工作機械を詳細に説明する。本実施の形態は、図2に示すコマ3を図1のようにダイス2の割り溝1に組み込んだものである。割り溝1には、図2に示すコマ3の楕円部分7を組み込むことができるコマ形状の凹部が形成される。コマ3は、図2に示すように、把手部分6と、楕円部分7により構成され、楕円部分には、短軸8と長軸9がある。本実施の形態では、図1ではコマ3を径方向から組み込んでいるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、軸方向から割り溝に組み込むことも可能である。図6に示されるように、通常のダイス104で雄ねじを切る場合には、ダイス104をダイスハンドル105に固定し、ダイスを被ねじ切り物品に当接させ、所定の周方向に回転移動させながら雄ねじを切り、雄ねじが所定の長さまで切れたら、ダイスを逆回転させて被ねじ切り物品から外す。この際、ダイス104のねじ型部101の内径は常に一定である。
【0010】
本実施の形態では、ダイス2を被ねじ切り物品に当接させ、所定の周方向に回転移動させながら雄ねじを切る時に、コマ3の楕円部分7の短軸8を割り溝1の断面に対して平行に、言い換えれば、楕円部分7の長軸9を割り溝1に対して垂直にする。即ち、ねじ刃が形成されるねじ型部13の内径を大きくした状態にする。この状態で所定の長さまで雄ねじを切る。所定の長さまで雄ねじを切り終えたら、楕円部分7の長軸9が割り溝1の断面に対して平行になるようにコマ3を回し、ダイス2を逆回転させる。ここで、楕円部分7の長軸9を割り溝1の断面に対して平行にした状態におけるダイス2のねじ型部13の内径が、所望のねじ型部の内径である。このように、コマ3を用いてダイス2のねじ型部13の内径を2段階に可変とすることにより、2回に分けて雄ねじを所望の外径に切ることができ、これにより、ダイス2のねじ刃への負荷、切削トルクの軽減を実現できる。この実施の形態における楕円の長軸と短軸の長さはそれぞれ2.5mmと1.5mmであるが、短軸の長さはねじ型部の内径が所望の寸法になるように設定され、長軸の長さは、最初のねじ切り量が所望の寸法の40〜60%程度になるように設定されている。
【0011】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。本実施の形態にかかわるダイスは、コマ3を軸方向から割り溝に組み込んでいる。このダイスは、図3乃至図5に示すように、雄ねじを切る工作機械に用いることができる。本発明によるダイスを工作機械に用いる場合、本実施の形態では、図3に示すように、ダイス4をホルダ5に固定し、水平方向に移動可能にされる六角ソケット11を備えたインパクトレンチ10により被ねじ切り物品12を回転させ、雄ねじを切っている。所定の長さまで雄ねじを切り終えたら、ダイス4に組み込まれたコマ3を回転させ、ダイス4のねじ型部の内径を所望の寸法にした後、インパクトレンチ10を逆回転させてねじ切りを完了する。本実施の形態では、コマ3の回転は手動で行っているが、これを自動で行うこともできる。また、本実施の形態ではダイスを固定し、被ねじ切り物品を回転させているが、被ねじ切り物品を固定し、ダイスを回転させても同様に工作機械に本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】割り溝に楕円形のコマを組み込んだ、本発明にかかるダイスを示す図である。
【図2】本発明に用いる楕円形のコマの拡大図である。
【図3】楕円形のコマを軸方向から組み込んだ本発明にかかるダイスで、工作機械に用いることができるよう、当該ダイスを固定した状態図である。
【図4】本発明の他の実施の形態にかかわるダイスを用いた工作機械である。
【図5】図5の工作機械で雄ねじを切っている状態図である。
【図6】ねじで割り溝の幅を調節するダイスをダイスハンドルに装着した状態図である。
【符号の説明】
【0013】
1 割り溝
2 ダイス
3 コマ
4 ダイス
5 ホルダ
6 コマの把手部分
7 コマの楕円部分
8 楕円部分の短軸
9 楕円部分の長軸
10 インパクトレンチ
11 六角ソケット
12 被ねじ切り物品
13 ねじ型部

【出願人】 【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
【出願日】 平成19年3月9日(2007.3.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−221354(P2008−221354A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−59555(P2007−59555)