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タップの締結構造及びタップの締結方法 - 特開2008−126364 | j-tokkyo
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【発明の名称】 タップの締結構造及びタップの締結方法
【発明者】 【氏名】関 明

【要約】 【課題】工作機械の旋盤やボ−ル盤などでタッピング加工を行う際の、過負荷によるタップの損傷や、把持力不足による空振りを防止する、タップの締結構造及びタップの締結方法を提供する。

【解決手段】タップTの把持するタップホルダ12の外周に3等分のねじ孔を設けてセットボルト18、19を挿入、2つはハイス鋼や工具鋼などを焼き入れした部材からなる全部の部位に、またはタップTを保持する部位の一部に設け、他の1つはベアリング球のような硬質部材からなる鋼球を先端に回動自在に埋設するとともに、これら3つのセットボルトの先端は平面形状とすることで、タップのシャンク部tへの当接状態が線当りとなるような構造とした。また、タップTを捩れなどのない良好な状態に把持するために、まず2つの硬質な部材からなるセットボルト18、19でタップのシャンク部tを支持し、次いで先端が回動自在な鋼球を具備したセットボルトによって押圧する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップホルダのホルダ孔に向けて半径方向に貫通するねじ孔から内側に向けて螺合する複数のセットボルトでタップを保持するタップの締結構造であって、前記複数のセットボルトの内、1つは先端に回動自在なベアリング鋼球を埋設し、他のセットボルトはハイス鋼を硬化処理した部材または工具鋼からなる部材を全部の部位に、またはタップを保持する部位の一部に設けてなることを特徴とするタップの締結構造。
【請求項2】
前記複数のセットボルトの先端は平面形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のタップの締結構造。
【請求項3】
前記複数のセットボルトの内、1つは先端に回動自在なベアリング鋼球を埋設し、他の2つセットボルトはハイス鋼を硬化処理した部材または工具鋼からなる部材を全部の部位に、またはタップを保持する部位の一部に設け、これら3つのセットボルトはタップホルダの円周方向に3等分されたホルダ孔にそれぞれ螺合されることを特徴とする請求項1及び2記載のタップの締結構造。
【請求項4】
タップホルダのホルダ孔に向けて半径方向に貫通するねじ孔から内側に向けて螺合する複数のセットボルトでタップを保持するタップの締結方法であって、前記複数のセットボルトの内、1つは先端に回動自在なベアリング鋼球を埋設し、他のセットボルトはハイス鋼を硬化処理した部材または工具鋼からなる部材を全部の部位に、またはタップを保持する部位の一部に設けてなり、前記ホルダ孔内に押通されたタップのシャンク部の押圧.支持は、先に前記複数のハイス鋼を硬化処理した部材または工具鋼からなるセットボルトで支持し、次いで先端に回動自在なベアリング鋼球を埋設したセットボルトで押圧することを特徴とする締結方法。
【請求項5】
タップホルダのホルダ孔に向けて半径方向に貫通するねじ孔から内側に向けて螺合する複数のセットボルトでタップを保持するタップの締結構造であって、前記複数のセットボルトは、タップホルダの円周方向に3等分されたホルダ孔にそれぞれ螺合される3つのセットボルトからなり、該セットボルトのそれぞれは先端に回動自在なベアリング鋼球を埋設したことを特徴とするタップの締結構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルチャックなどに装着し、ワ−クに穿設された孔、特に袋孔にタッピング加工を行うのに適したタップの締結構造及びタップの締結方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボ−ル盤の主軸や旋盤の芯押台にコレットホルダを装着し、該コレットホルダにタップホルダを介してタップを把持させてタッピング加工を行う場合、該タップをタッピングに必要な切削力以上の負荷がかかった時に、該タップの折損やタップシャンク部への傷付を防止すべく、該タップが空回りするように工夫した構造のものとして、該タップの先端にリン青銅からなるセットボルトを備えたものがある(例えば特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−141130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術は、タップホルダのホルダ孔にタップシャンク部を挿入した後、このシャンク部を2つ以上に配設したセットボルトのリン青銅部で押圧し、タッピングに必要以上の力が加った時に、タップだけが空回りし、タップの折損を防止するものである。すなわち、タップに必要以上の力が加わると、該タップのシャンク部を押圧しているリン青銅部が軟質のため、摩擦保持できずに磨耗によって滑ってしまうという、この原理を利用しているものであるが、この効果は比較的ねじ径の小さなタップ、例えばM6×ピッチ1.0のようなタップには比較的効果があるが、ねじ径の比較的大きなタップ、例えばM18M×ピッチ2.5のものではセットボルトを比較的強い力で締め付けて、リン青銅部をタップのシャンク形状に倣った面当り形状に変形させても、タッピングの大きなトルクによってタップのシャンク部との間に滑りが生じ、タップ自体がワ−クとともに回転してしまい、良好なタッピング加工が行われない、といった問題がある。
【0004】
更に、セットボルトの先端が比較的軟質のリン青銅であるため、初めのタッピング加工などでは問題はないものの、繰り返して作業を行うと、ワ−クのタップ孔とタップとの僅かな軸線の不一致や、切削時の振動などで、セットボルトのリン青銅部がタップシャンク部との接触によって変形し、ガタ付が発生することでタッピング加工の途中でタップが空回りしたり、あるいは小型のタップにおいてはその振動によって、タップ自体が折損したりする不具合が発生する恐れがある。
【0005】
そこで本発明は、ワ−クに穿設された袋孔や貫通孔へのタッピング加工において、小径のタップから比較的大径のタップを用いたタッピング加工が、タップの折損や空回りといった不具合がなく、良好に実施することができるタップの締結構造及び締結方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、それまでの複数のセットボルトの内、1つはべアリング球のような硬質部材からなる鋼球を先端に回動自在に埋設し、他のセットボルトはハイス鋼などを焼入れなどで硬化処理した部材または工具鋼からなる部材を全部の部位に、またはタップを保持する部位の一部に設けたことで、タップホルダのホルダ孔に挿入されたタップのシャンク部に対し、比較的強い力で締め付けても磨耗による滑りが生じないようにしたものである。
【0007】
請求項2に記載した発明は、タッピング加工が確実に行われるために、且つタッピング時にねじ切りトルク以上の負荷がかかった時に、容易にタップが空回り可能なように、またタッピングが完了し、タップを抜取るときなど、負荷が解消された時にはタップが空回りしないように、3つのセットボルトの支持面をタップシャンク部表面で且つタップの軸方向に線当りで接触するように平面形状としたものである。
【0008】
請求項3に記載した発明は、タップのシャンク部分を押圧するセットボルトの配設位置及び配設数であって、シャンク部を均一にバランス良く押圧するために、タップホルダの外周からホルダ孔に向かって等分に配設され、且つその数も3等分して配設することで、前記請求項1及び2の効果を高めるものである。
【0009】
請求4項に記載した発明は、複数のセットボルトの内、1つはベアリング球のような硬質部材からなる鋼球を先端に回動自在に埋設し、他のセットボルトはハイス鋼などを焼入れなどで硬化処理を施した部材または工具鋼からなる部材を全部の部位に、またはタップを保持する部位の一部に設けた構造からなり、そのセットボルトによるタップTの締結方法は、まず2つの工具鋼などからなる硬質のセットボルトで先に軽くタップのシャンク部を支持し、次いで先端に鋼球を設けたセットボルトで強固にシャンク部を押圧することで、先端の鋼球が押圧位置の変化に追従して回動し、押圧されるタップに偏心やねじれを生じさせず、安定した姿勢でタップを保持するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、タップホルダに複数取付けられたタップのシャンク部表面に当接するセットボルトの先端面が硬質であるため、タッピング中にその先端面に押圧力による変形が生じず、タッピング時にタップの軸線とタップ孔との軸線に僅かなズレや又はタッピング時に振動が発生してもタップシャンク部とセットボルトの当接面に何ら隙間などの発生がなく、確固としてタップが保持されることで、タップTの折損やタッピング中の空回りといった不具合が発生しない。
また、硬質なセットボルトが、確固としてタップのシャンク部を押圧.支持するため、ワ−クの正回転時における過負荷によるタップの空回り後、ワ−クの逆回転によるタップの抜取時に行っていた再度のセットボルトの締付けを行うことなくタップを抜き取ることができ、作業性を向上するものである。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、タップシャンク部表面を押圧する複数のセットボルトの先端面が平面形状であるため、タップシャンクの軸線方向に常に線当りで当接.支持することで、点当りによる保持力より、強めにシャンク部を保持することができ、且つ面当りに比べて保持力を低めにすることができるため、タップへの過負荷発生時には、容易にタップを空回りさせることができるとともに、過負荷解消時には、タッピング時とほぼ同様にタップを保持.回転させることができる。
また、セットボルトがタップシャンク部に線当りで当接.支持していても、全てのセットボルト及びタップのシャンク部が硬質であるため、タップシャンク部にひっかき傷を発生させることがなく、また、セットボルトにも、変形や磨耗をほとんど生じさせることがない。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、タップシャンク部表面を押圧.支持するセットボルトがタップホルダの外周に均等に3等分した位置に配設されているため、常に安定した3点支持が行われ、タッピング中における振動などを効果的に抑制する。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、小径のタップにおけるタッピング加工や大径のタップにおけるタッピング加工においても、先に2つの硬質部材からなるセットボルトでタップのシャンク部を支持させ、ついで先端が回転自在な鋼球を埋設したセットボルトで締付けて押圧する、といった簡単な手順とすることで、これまでの複数本のセットボルトそれぞれの締付け調整に比べ、作業が簡略でき、しかも熟練作業を必要としないで、効果の高い確実なタッピング加工が実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次ぎに、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、タッピング用の孔1を有したワ−クWを把持した旋盤2のチャック3の軸線と一致して、芯押し台4が配設され、該芯押台4のホルダ5のテ−パ部6には一般的なドリルチャック7のア−バ部8がテ−パ嵌合される。ドリルチャック7の本体部9にはドリルなどのシャンク部を把持するための開閉動自在な分割された複数の爪10と、該爪10を開閉動させるための回動部材11を有し、該爪10にはタップTを把持したタップホルダ12が把持される。
【0015】
タップホルダ12のドリルチャック7への把持は、あらかじめタップホルダ12のシャンク部13の外径より大きく開放させた爪10へ該シャンク部13を挿通しておき、次いで図示しないチャックハンドルで回動部材11を回転させると、該爪10が閉動作を行うことで把持される。この時爪10、10間に把持されたタップホルダ12のシャンク部13が、タッピング時における過負荷によって爪10で空回りしないように、シャンク部13には止めねじ14がその頭部15を複数の爪10間のスリットS内に突出される。尚、本実施例においては、該止めねじ14が、タッピング時における振動によって、作動しないように、更に下方から止めねじ14´螺合する、所詮ダブルねじ構造としている。
【0016】
このように空回りしないように把持されたタップホルダ12に把持されたタップTの把持構造は、図1及び図2に示すように、タップホルダ12の軸線方向に同じ距離の外周位置から、該タップホルダ12の軸線中心に穿設されたタップホルダ孔16に向かって、均等分割位置にタッピングされたねじ孔17に螺合された3つのセットボルト18.19.19によって押圧.把持される。
3つのセットボルト18.19.19のうち、2つのセットボルト19.19はハイス鋼や工具鋼などの高硬度材料からなり、焼入れなどの硬化処理によってタップTと当設する部分や又は全部を硬度化し、他の1つのセットボルト18は先端が自由に回動可能に埋設されたベアリング球のような鋼球からなり、3つのセットボルト18.19.19とも、タップTのシャンク部tと当接する部位は平面形状に形成されている。
【0017】
以上のようなタップの締結構造の作用等を説明する。図1に示すようなタッピング加工開始状態とするためには、作業者が芯押台4にドリルチャック7を取付ける。次にドリルチャック7の爪10内にタップホルダ12のシャンク部13を止めねじ14の頭部15が爪10、10間のスリットSに介挿されるように挿通し、次いで図示しないチャックハンドルによって回動部材11回動させることでタップホルダ12を確固として把持する。タップホルダ12の把持が完了すると、該タップホルダ12の軸線中心に穿設されたタップホルダ孔16に、該孔16より少し小径のシャンク部外径を有するタップTを挿通する。
この時、タップホルダ12に穿設されたねじ孔17に予め螺合されている3つのセットボルト18.19.19の内、ハイス鋼などからなる硬質のセットボルト19.19の2つをねじ込み、タップTのシャンク部tを支持する。尚セットボルト18.19.19の締結または緩みは図2に示すように、端部に設けられた孔H等に、該孔H等に合致する図示しないレンチ等を嵌合して行われる。
タップホルダ12の孔16にタップTが挿通され、そのシャンク部tが2つのセットボルト19.19によって線当り状態で支持されると、次いで先端に回動自在な鋼球を備えたセットボルト18を比較的強い力で締付け、タップTのシャンク部tに押圧させるが、この時、セットボルト18の先端部に埋設されている鋼球がシャンク部tの押圧部位に追従するように回動することから、タップTをタップホルダ孔16に対し、線当りで当接し、捩れなどを発生させない自然な状態で押圧.保持する。
【0018】
このようにしてタップTがタップホルダ12に把持されると、次いで作業者が芯押台4のハンドル20を回転させ、ホルダ5をワ−クWに向かって前進動させる。そしてタップTが前進動を行い、回転しているワ−クWに当接すると、そのねじ部によってタッピング加工が開始され、その後は芯押台4が自動で進むことによってタッピングが行われ、該ワ−クWの孔1の底部21にタップTが届くと、該タップTはタッピングトルク以上の過負荷によって、3点支持されているセットボルト18.19.19の支持箇所で空回りし、それ以上のタッピング加工を停止するとともに、タップTにかかる過負荷を防止する。
タップTが空回りし、必要なタッピングが行われると、作業者はそれまでのワ−クWの回転とは逆の回転を旋盤2に行わせ、それによってタップTは前述とは逆に、製作されたねじとの噛合いによって芯押台4とともに後退動する。
尚、ワ−クWの正回転での過負荷による空回り後、ワ−クWの逆回転によるタップTの後退動作は、ワ−クWの正回転でのタッピング時のトルクに比べ、ワ−クWの逆回転時には、ほとんどトルクがかからないために、セットボルト18.19.19に押圧されていたタップTが過負荷によって空回りしても、ワ−クWの逆回転時には、セットボルト18.19.19のそのままの押圧状態でタップTは空回りすることなくタップホルダ12に保持されるものである。
【0019】
本発明は、以上の如くタップの締結構造及び締結方法によってタッピング加工を行うものであるが、タップTをタップホルダ12に取付ける順序は上記手順通りでなくとも良い。例えばあらかじめタップTをタップホルダ12に取付けておき、次いで芯押し台4に取付けたドリルチャック7にタップホルダ12を取付けても良い。
【0020】
また、前記ハイス鋼などからなる硬質の2つのセットボルト19.19はタップホルダ12のホルダ孔16に挿通されたタップTのシャンク部tを支持させた状態で、接着剤などで固定化すればタップの交換などの作業時には先端に鋼球を埋設したセットボルト18だけの締付けや緩め作業だけで良いため、更に作業効率を高めることができる。
【0021】
尚、本発明は上述した実施態様に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施態様に種々の変更を加えたものを含む、例えばタップTを保持するために前記セットボルト19.19の代りに、先端に回動自在な鋼球を備えたセットボルト18.18を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態におけるタップのタップホルダへの取付け状態を示す正面図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】図1のB−B線断面図
【符号の説明】
【0023】
4 芯押台
7 ドリルチャック
12 タップホルダ
13 タップホルダシャンク部
18 セットボルト
19 セットボルト
T タップ
t タップシャンク部
W ワ−ク
【出願人】 【識別番号】306021055
【氏名又は名称】関 明
【出願日】 平成18年11月21日(2006.11.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−126364(P2008−126364A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−313825(P2006−313825)