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【発明の名称】 ねじ溝切削方法および装置
【発明者】 【氏名】堀川 秀治

【氏名】平川 文一

【要約】 【課題】ねじ軸のボールねじ溝の面性状を向上できるねじ溝切削方法および装置を提供する。

【解決手段】ボールねじ溝11を螺旋状に形成したねじ軸10を回転可能に支持するねじ軸支持手段31と、ねじ軸支持手段に支持されたねじ軸を回転するねじ軸回転手段33と、ボール転動面を切削する砥石21を取付けた砥石軸53をボール転動の略中心を通る軸線の回りに回動可能に支持する砥石支持手段32と、砥石支持手段をねじ軸回転手段に対して同期してねじ軸の軸線方向に相対移動させる相対移動手段と、砥石支持手段に支持された砥石軸を所定角度往復回動するオシレーション作動手段60とによって構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に転動ボールが転動するボールねじ溝を螺旋状に形成したねじ軸と、前記ボールねじ溝のボール転動面を切削する砥石とを、前記ねじ軸の回転に同期して前記ねじ軸の軸線方向に相対移動させて、前記砥石によって前記ボールねじ溝のボール転動面を切削するねじ溝切削方法にして、
前記砥石を、前記ボールねじ溝のボール転動面を転動する前記転動ボールの略中心を通る軸線の回りに所定角度範囲でオシレーション動作させて前記ボールねじ溝のボール転動面を切削するようにしたことを特徴とするねじ溝切削方法。
【請求項2】
外周に転動ボールが転動するボールねじ溝を螺旋状に形成したねじ軸を回転可能に支持するねじ軸支持手段と、該ねじ軸支持手段に支持された前記ねじ軸を回転するねじ軸回転手段と、前記ボールねじ溝のボール転動面を切削する砥石を取付けた砥石軸を前記転動ボールの略中心を通る軸線の回りに回動可能に支持する砥石支持手段と、該砥石支持手段を前記ねじ軸回転手段に対して同期して前記ねじ軸の軸線方向に相対移動させる相対移動手段と、前記砥石支持手段に支持された前記砥石軸を所定角度範囲でオシレーション動作するオシレーション作動手段とによって構成したことを特徴とするねじ溝切削装置。
【請求項3】
請求項2において、前記砥石は、前記転動ボールの曲率にほぼ一致する曲率を有する少なくとも1つの砥石部材からなり、この砥石部材によって前記ボールねじ溝の2か所のボール転動面を同時に切削するようにしたことを特徴とするねじ溝切削装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、前記オシレーション作動手段は、前記ボールねじ溝に前記転動ボールが接触する接触角度より僅かに大きな角度領域だけ前記砥石軸を往復回動させるように構成されていることを特徴とするねじ溝切削装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4の何れか1項において、前記オシレーション作動手段は、モータと、該モータによって偏心回転される偏心部材と、該偏心部材の偏心運動を前記砥石軸の往復回動運動に変換するクランク機構とによって構成したことを特徴とするねじ溝切削装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ軸の外周に形成したボールねじ溝を切削するねじ溝切削方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラックシャフトと同軸的に電動モータを配設したラック同軸型電動パワーステアリング装置においては、例えば、ステアリングシャフトの回転によって軸方向移動されるラックシャフトにボールねじシャフトを一体に設け、このボールねじシャフトに転動ボールを介して螺合するボールナットを、電動モータのモータシャフトに固定し、モータシャフトの回転運動をラックシャフトの軸方向運動に変換するボールねじ装置を備えている。
【0003】
この種の電動パワーステアリング装置に用いられるボールねじシャフトのボールねじ溝の仕上加工は、例えば、特許文献1に記載されているように、ボールねじ溝形状に補合する形状の総形の砥石車を用いて、ボールねじシャフトの回転に同期して、ボールねじシャフトと砥石車とをボールねじシャフトの軸線方向に相対移動させて行うようにしている。
【特許文献1】特開平5−138438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、ボールねじ溝を総形の砥石車を用いて研削するだけでは、砥石車に研削されたボールねじ溝の研削面にリード方向の研削スジが発生して、ボールねじ溝の面性状を向上することが難しく、転動ボールの円滑な転動作用を向上するうえで限界を生ずる恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、ねじ軸のボールねじ溝の面性状を向上できるねじ溝切削方法および装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、外周に転動ボールが転動するボールねじ溝を螺旋状に形成したねじ軸と、前記ボールねじ溝のボール転動面を切削する砥石とを、前記ねじ軸の回転に同期して前記ねじ軸の軸線方向に相対移動させて、前記砥石によって前記ボールねじ溝のボール転動面を切削するねじ溝切削方法にして、前記砥石を、前記ボールねじ溝のボール転動面を転動する前記転動ボールの略中心を通る軸線の回りに所定角度範囲でオシレーション動作させて前記ボールねじ溝のボール転動面を切削するようにしたことを特徴とするねじ溝切削方法である。
【0007】
請求項2に係る発明の特徴は、外周に転動ボールが転動するボールねじ溝を螺旋状に形成したねじ軸を回転可能に支持するねじ軸支持手段と、該ねじ軸支持手段に支持された前記ねじ軸を回転するねじ軸回転手段と、前記ボールねじ溝のボール転動面を切削する砥石を取付けた砥石軸を前記転動ボールの略中心を通る軸線の回りに回動可能に支持する砥石支持手段と、該砥石支持手段を前記ねじ軸回転手段に対して同期して前記ねじ軸の軸線方向に相対移動させる相対移動手段と、前記砥石支持手段に支持された前記砥石軸を所定角度範囲でオシレーション動作するオシレーション作動手段とによって構成したことを特徴とするねじ溝切削装置である。
【0008】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2において、前記砥石は、前記転動ボールの曲率にほぼ一致する曲率を有する少なくとも1つの砥石部材からなり、この砥石部材によって前記ボールねじ溝の2か所のボール転動面を同時に切削するようにしたことを特徴とするねじ溝切削装置である。
【0009】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項2または請求項3において、前記オシレーション作動手段は、前記ボールねじ溝に前記転動ボールが接触する接触角度より僅かに大きな角度領域だけ前記砥石軸を往復回動させるように構成されているねじ溝切削装置である。
【0010】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項2ないし請求項4の何れか1項において、前記オシレーション作動手段は、モータと、該モータによって偏心回転される偏心部材と、該偏心部材の偏心運動を前記砥石軸の往復回動運動に変換するクランク機構とによって構成したねじ溝切削装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、砥石を、ボールねじ溝のボール転動面を転動する転動ボールの略中心を通る軸線の回りに所定角度往復回動させてボールねじ溝のボール転動面を切削するようにしたので、砥石がボールねじ溝を一方向からだけでなく所定角度にわたる多方向から磨いた状態となり、ボールねじ溝のボール転動面の面性状を向上することができる。これにより、砥石による切削後にボールねじ溝に残るスジが多方向からの磨きによって鏡面化され、ボール転動面を転動する転動ボールの転動性能を向上することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、ねじ軸を回転可能に支持するねじ軸支持手段と、砥石を取付けた砥石軸を転動ボールの略中心を通る軸線の回りに回動可能に支持する砥石支持手段と、砥石支持手段をねじ軸回転手段に対して同期してねじ軸の軸線方向に相対移動させる相対移動手段と、砥石支持手段に支持された砥石軸を所定角度範囲でオシレーション動作する砥石オシレーション作動手段とを備えているので、ボールねじ溝のボール転動面の面性状を向上できるねじ溝切削を行えるねじ溝切削装置を容易に具現化することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、砥石は、転動ボールの曲率にほぼ一致する曲率を有する少なくとも1つの砥石部材からなり、この砥石部材によってボールねじ溝の2か所のボール転動面を同時に切削するようにしたので、転動ボールが転動するボール転動面を効率的に仕上切削することができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、オシレーション作動手段は、ボールねじ溝に転動ボールが接触する接触角度より僅かに大きな角度領域だけ往復回動させるように構成されているので、転動ボールが転動するボール転動面を効率的に仕上切削することができるとともに、往復回動運動の高速化が可能となる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、オシレーション作動手段は、モータと、モータによって偏心回転される偏心部材と、偏心部材の偏心運動を砥石軸の往復回動運動に変換するクランク機構とによって構成したので、砥石の往復回動運動を簡単な構成によって実現できるとともに、往復回動運動の高速化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の超仕上における切削方法を、図1および図2に基づいて説明する。
【0017】
図1において、10は、外周に螺旋状のボールねじ溝11を形成したねじ軸を示し、ねじ軸10は、後述する構成のねじ軸支持手段によってねじ軸10の軸線方向(Z軸方向)に平行な軸線の回りに回転可能に支持され、サーボモータ13を駆動源とするねじ軸回転手段によって回転されるようになっている。ねじ軸10に形成されたボールねじ溝11の溝形状は、図2に示すように、曲率半径R1の2つの円弧C1、C2を中間部で交差させた形状、すなわち、ゴシックアーチ形状をなし、図略のナットとの間に介在される転動ボール14が、2つの円弧C1、C2上のボール転動面15、16を転動するように構成されている。ねじ軸10のボールねじ溝11は、公知の適宜な研削方法でゴシックアーチ形状に研削される。
【0018】
図3(a)は、予めゴシックアーチ形状に研削されたボールねじ溝11のボール転動面15,16を、仕上切削する切削方法を示すものである。ボール転動面15,16を仕上切削する砥石21は、転動ボール14が接触する領域よりも少し広い領域である2つの円弧C1、C2上のボール転動面15、16を同時に切削する切削面23a、24aを有する2つの砥石部材23、24からなっている。砥石21は、ボールねじ溝11のボール転動面15,16を転動する転動ボール14の中心を通り、ねじ軸10の回転軸線方向(Z軸方向)に交差し、ボールねじ溝11のリード方向である軸線O1の回りに回動可能な砥石保持部材25に保持されている。砥石21を構成する2つの砥石部材23、24の各切削面23a、24aは、転動ボール14の半径よりも僅かに大きい回転半径を有し、かつ転動ボール14の曲率よりも僅かに大きい曲率を有している。
【0019】
砥石保持部材25は、図4に示すように、後述する構成のオシレーション作動手段によって所定の角度範囲θで往復回動(オシレーション動作)されるようになっている。また、砥石保持部材25は、図1に示すように、ねじ軸10の回転軸線方向(Z軸方向)に移動可能に支持され、上記したサーボモータ13により同期手段27を介して駆動されるボールねじ機構26を介してZ軸方向に送り制御されるようになっている。かかる同期手段27によって、ねじ軸10の回転と砥石保持部材25の送りが同期制御される。すなわち、ねじ軸10のボールねじ溝11のリードに応じて、砥石保持部材25は、ねじ軸10の回転に同期して送り制御され、ボールねじ溝11の2つボール転動面15、16(図3参照)に、常に2つの砥石部材23、24の切削面23a、24aが対応するように制御される。
【0020】
ボールねじ溝11の2つの円弧C1、C2上の各ボール転動面15,16を仕上切削する場合には、図3の状態において、ねじ軸10がサーボモータ13によって比較的低速で回転制御されるとともに、このねじ軸10の回転に同期して、砥石保持部材25が比較的低速でZ軸方向に送り制御される。同時に、砥石保持部材25により、所定の押圧力で砥石部材23,24の各切削面23a、24aを各ボール転動面15,16に押付けた状態で、オシレーション作動手段によって、図4に示すように、軸線O1の回りに高速で所定角度θ往復回動され、これによってボールねじ溝11の2つのボール転動面15、16が、所定の角度範囲に亘って同時にオシレーション切削される。
【0021】
上記したねじ溝切削方法によれば、転動ボール14が転動するボール転動溝15,16の面性状を向上することができ、転動ボール14の転動性能を向上できるようになる。オシレーション切削終了後、砥石保持部材25を図3に示す状態に保持してボール転動溝15,16を切削するようにしてもよい。従って、このように仕上切削されたねじ軸10を、電動パワーステアリング装置のボールねじシャフトとして用いれば、転動ボール14がボール転動溝15,16を円滑に転動されることにより、操舵フィーリングを向上できるようになる。
【0022】
なお、この実施の形態では、砥石21として、図3(a)に示す2つの砥石部材23、24を用いたが、図3(b)に示すように1つの砥石部材21aであってもよい。
【0023】
次に、上記したねじ溝切削方法を実現するためのねじ溝切削装置の具体的構成について、図5ないし図7に基づいて説明する。
【0024】
図5において、30はねじ溝切削装置を示し、当該ねじ溝切削装置30は、主として、工作物としてのねじ軸10を回転可能に支持するねじ軸支持手段31と、砥石21を支持する砥石支持手段32と、ねじ軸10を回転駆動するねじ軸回転手段33と、砥石支持手段32をZ軸方向に送り制御するボールねじ送り機構34とによって構成されている。
【0025】
ねじ軸支持手段31は、ねじ溝切削装置30のベッド35上に所定距離離間して設置された主軸台37および心押台38とによって構成され、主軸台37には、ねじ軸10の一端を支持する主軸センタ39を取付けた主軸40が回転可能に支持されている。主軸40の回転は、主軸40に取付けられ、ねじ軸10の一端に係合する駆動金具41を介してねじ軸10に伝達される。主軸40は、ベッド35上に設置されたサーボモータ43によってタイミングベルト伝動手段44を介して回転駆動される。かかるサーボモータ43とタイミングベルト伝動手段44とによって、ねじ軸回転手段33を構成している。
【0026】
ねじ軸10は、例えば、電動パワーステアリング装置に用いられるボールねじシャフトのようなもので、ボールねじシャフト上にはゴシックアーチ形状をしたボールねじ溝11(図2〜図4参照)が螺旋状に形成されている。
【0027】
一方、心押台38には、ねじ軸10の他端を支持する心押センタ45を取付けた心押軸46がZ線方向に進退可能に支持され、図略の進退用シリンダによって進退されるようになっている。ねじ軸10は心押軸46の進退によって、主軸センタ39と心押センタ45との間に支持され、サーボモータ43の回転によって駆動金具41を介して回転される。
【0028】
また、ベッド35上には、砥石台48が一対のリニアガイド49、50によってねじ軸10の軸線方向と平行な方向(Z軸方向)に移動可能に案内支持されている。ベッド35上には、砥石台48の移動方向と平行にボールねじ軸51が回転可能に支持され、ボールねじ軸51に螺合するボールナット52が砥石台48に取付けられている。かかるボールねじ軸51とボールナット52とによって、ボールねじ送り機構34を構成している。
【0029】
ボールねじ軸51の一端は、主軸台37内に設けられたギヤトレーンからなる同期機構27Aを介して主軸40に連結され、サーボモータ43の回転によって、主軸40が回転されるとともに、この回転に同期してボールねじ軸51が回転されるようになっている。これにより、サーボモータ43の回転によって、砥石台48は、ねじ軸10のボールねじ溝11のリードに応じて、ねじ軸10の回転に同期してZ軸方向に送り制御される。上記したボールねじ送り機構34と、サーボモータ43と、同期機構27Aとによって、請求項における相対移動手段を構成している。
【0030】
砥石台48上には、砥石支持手段32が設置され、砥石支持手段32には砥石軸53がねじ軸10の軸線と交差する水平軸線O1の回りに回転可能に支持されている。かかる水平軸線O1は、ねじ軸10の軸線に直角に交わる直角線に対して、ボールねじ溝11のリード角分だけ傾斜され、ねじ軸10の上部においてボールねじ溝角度と平行をなしており、かつその軸心高さは、ねじ軸10の上部のボールねじ溝11を転動する転動ボール14の仮想中心(図2および図3に示すO1)と同じ高さに設定されている。
【0031】
砥石軸53の先端には、砥石保持部材25を構成する砥石ヘッド55が旋回軸56を介してねじ軸10の軸線と平行な軸線の回りに旋回可能に支持され、定圧用シリンダ57によって、図6の実線で示す切削位置と、2点鎖線で示す逃がし位置に旋回するようになっている。砥石ヘッド55には、砥石21が着脱可能に保持されている。砥石21は、図3に示すように、ゴシックアーチ形状からなるボールねじ溝11の2つの円弧部C1、C2上のボール転動面15,16を切削する板状の2つの砥石部材23、24を備えている。砥石部材23、24の先端には、上記した転動ボール14の半径よりも僅かに大きい半径を有する切削面23a、24aが形成され、この切削面23a、24aは、転動ボール14の曲率よりも僅かに大きい曲率を有している。これにより、砥石ヘッド55の切削位置(図6の実線に示す状態)において、2つの砥石部材23、24により、ボールねじ溝11の2つのボール転動面15、16が同時に切削される。
【0032】
砥石軸53の後端には、砥石軸53を所定の角度範囲θに亘って往復回動、すなわち、オシレーション動作させるオシレーション作動手段60が設けられている。オシレーション作動手段60は、図5および図7に示すように、砥石台48に設置されたオシレーション用モータ61と、オシレーション用モータ61によって回転される回転軸61aに設けられた偏心回転可能な偏心軸62と、この偏心軸62と砥石軸53の後端とを連結するクランクアーム63とベルクランク64からなるクランク機構65とによって構成されている。これにより、オシレーション用モータ61の高速回転により、偏心軸62とクランク機構65を介して砥石軸53が所定の角度範囲θで高速でオシレーション動作されるようになる。
【0033】
次に、上記した構成からなるねじ溝切削装置30の動作について説明する。かかるねじ溝切削装置30による切削の前工程において、ねじ軸10の外周には、図2に示すようなゴシックアーチ形状のボールねじ溝11が公知の方法で研削もしくは旋削加工される。ゴシックアーチ形状のボールねじ溝11が加工されたねじ軸10が、ねじ軸支持手段31の主軸センタ39と心押センタ45との間に支持される。
【0034】
一方、砥石部材23、24からなる砥石21を保持した砥石ヘッド55が、定圧用シリンダ57によって旋回軸56の回りに旋回され、図6の実線で示す切削位置に位置決めされる。その状態で、サーボモータ43によってねじ軸10が回転されるとともに、この回転に同期して砥石支持手段32を設置した砥石台48が、ボールねじ溝11のリードに応じて同期的に送り制御される。すなわち、サーボモータ43の回転によって、主軸40および駆動金具41を介してねじ軸10が所定の回転速度で回転駆動されるとともに、同期機構27Aを介してボールねじ軸51が主軸40の回転に同期して回転駆動され、砥石支持手段32がねじ軸10の軸線方向(Z軸方向)に送り制御される。これにより、図3に示すように、2つの砥石部材23、24の切削面23a、24aによって、螺旋状のボールねじ溝11の各ボール転動面15、16を連続して切削できる。
【0035】
この際、同時に、オシレーション用モータ61が駆動されて、偏心軸62が偏心回転され、この偏心軸62の偏心回転がクランク機構65によって砥石軸53の往復回動運動に変換されるので、砥石部材23、24は、図4に示すように、所定の角度範囲θで高速でオシレーション動作(往復回動)され、ボール転動面15、16をオシレーションしながら切削加工する。これによって、砥石部材23、24がボールねじ溝11を一方向からだけでなく所定角度にわたる多方向から磨いた状態となるので、ボール転動面15、16の面性状を大幅に向上することができる。
【0036】
上記した実施の形態においては、ねじ軸10の回転に同期して、砥石支持手段32を、ねじ軸10の軸線方向(Z軸方向)に送り制御する例について述べたが、砥石支持手段32をZ軸方向に固定し、ねじ軸10を螺旋状に沿って回転しながら軸線方向に移動させるようにしてもよい。
【0037】
また、上記した実施の形態においては、ねじ軸10を回転する主軸40と、砥石21を支持する砥石支持手段32とを、機械的な同期機構27Aによって同期させるようにしたが、例えば、主軸40を回転するモータと、砥石支持手段32を送り制御するモータとを電気的に同期制御させることもできる。
【0038】
さらに、上記した実施の形態においては、オシレーション作動手段60を、オシレーション用モータ60によって偏心回転される偏心軸62と、この偏心軸62の偏心回転を、砥石軸53のオシレーション運動(往復揺動運動)に変換するクランク機構65とによって構成したが、オシレーション作動手段60の構成は、実施の形態で述べたものに限定されるものではなく、各種の構成を採り得るものである。
【0039】
斯様に、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態を示すねじ溝切削方法の概要図である。
【図2】ねじ軸のボールねじ溝の形状を示す図である。
【図3】ねじ軸のボールねじ溝のボール転動面の切削加工状態を示す図である。
【図4】砥石のオシレーションを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態を示すねじ溝切削装置の平面図である。
【図6】図5のねじ溝切削装置の側面図である。
【図7】図5の矢印7方向から見た図である。
【符号の説明】
【0041】
10・・・ねじ軸、11・・・ボールねじ溝、13・・・サーボモータ、14・・・転動ボール、15、16・・・ボール転動面、21・・・砥石、23、24・・・砥石部材、23a、24b・・・切削面、25・・・砥石保持部材、27・・・同期手段、27A・・・同期機構、30・・・ねじ溝切削装置、31・・・ねじ軸支持手段、32・・・砥石支持手段、33・・・ねじ軸回転手段、34・・・ボールねじ送り機構、35・・・ベッド、37・・・主軸台、38・・・心押台、39、45・・・センタ、40・・・主軸、43・・・サーボモータ、44・・・ベルト伝動手段、48・・・砥石台、53・・・砥石軸、55・・・砥石ヘッド、60・・・オシレーション作動手段、61・・・オシレーション用モータ、62・・・偏心軸、65・・・クランク機構、O1・・・回動中心、θ・・・角度範囲。
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
【出願日】 平成18年9月29日(2006.9.29)
【代理人】 【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩

【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総


【公開番号】 特開2008−87090(P2008−87090A)
【公開日】 平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願番号】 特願2006−269256(P2006−269256)