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【発明の名称】 歯合わせ装置及び歯車加工機械
【発明者】 【氏名】蔵敷 博之

【要約】 【課題】歯合わせ時間の短縮を図ることができる歯合わせ装置及び歯車加工機械を提供する。

【解決手段】砥石13と歯車状のワークWとを噛み合わせ、これらを相対的に回転させて歯車加工を行うに先立って、砥石13とワークWとが噛み合い可能な回転位相関係になるように歯合わせを行う歯合わせ装置であって、ワークWの軸方向に移動可能に支持され、ワークWをその軸回りに回転させる回転テーブル18側に押し付けて、ワークWを回転可能に保持するテールストック16と、テールストック16に設けられ、テールストック16がワークWを保持したときに、ワークWと対向して回転位相を検出するセンサ33とを備えるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転工具と被加工歯車とを噛み合わせ、これらを相対的に回転させて歯車加工を行うに先立って、前記回転工具と前記被加工歯車とが噛み合い可能な回転位相関係になるように歯合わせを行う歯合わせ装置であって、
前記被加工歯車の軸方向に移動可能に支持され、前記被加工歯車をその軸回りに回転させるワーク回転手段側に押し付けて、前記被加工歯車を回転可能に保持するワーク保持手段と、
前記ワーク保持手段に設けられ、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車と対向して、前記被加工歯車の回転位相を検出する回転位相検出手段とを備える
ことを特徴とする歯合わせ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の歯合わせ装置において、
前記回転位相検出手段は前記被加工歯車を挟んで前記回転工具の反対側に配置される
ことを特徴とする歯合わせ装置。
【請求項3】
請求項1に記載の歯合わせ装置において、
前記回転位相検出手段を、前記被加工歯車の回転位相を検出する検出位置から退避させる退避手段を備える
ことを特徴とする歯合わせ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の歯合わせ装置において、
前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車の軸方向における加工誤差を吸収する加工誤差吸収手段を備える
ことを特徴とする歯合わせ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の歯合わせ装置を備えた
ことを特徴とする歯車加工機械。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、回転工具と被加工歯車とが噛み合い可能な回転位相関係になるように歯合わせを行う歯合わせ装置及び歯車加工機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転工具により被加工歯車を加工するものとして、歯車研削盤やホブ盤等の歯車加工機械が提供されている。このような歯車加工機械においては、回転工具と被加工歯車とを別々の駆動モータによって同期制御し、回転工具と被加工歯車とを噛み合せて歯車加工を行っている。
【0003】
また、歯車加工機械においては、回転工具と被加工歯車とを噛み合わせるに先立って、回転工具の歯先(山)及び歯溝(谷)と、被加工歯車の歯先(山)及び歯溝(谷)とが、噛み合い可能な回転位相関係になるようにするための「歯合わせ」の工程を行っている。この歯合わせ工程では、タッチプローブ等の接触式センサや近接センサ等の非接触式センサによって、回転工具と被加工歯車との回転位相を検出し、この検出結果に基づいて、それらの回転位相のずれ量を修正して、回転工具と被加工歯車との回転位相を補正するようにしている。
【0004】
このような、センサにより被加工歯車の歯先及び歯溝を読み取り、回転工具と被加工歯車との回転を割り出して歯合わせを行うようにした歯合わせ装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−25333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の歯合わせ装置においては、被加工歯車の回転位相を検出するセンサが、回転工具側、即ち、回転工具を回転可能に支持するコラム側に設けられているため、歯合わせ動作が複雑になり、歯合わせ時間の増加に繋がっていた。
【0007】
つまり、従来の歯合わせ装置において歯合わせ動作を行う場合には、センサにより被加工歯車の回転位相を検出するときには、センサの検出に悪影響を与えないような位置に、回転工具を一端退避させなくてはならず、次いで、その回転位相検出後には、センサをその検出位置から退避位置に移動させると共に、回転工具を退避位置から加工位置に移動させなければならない。この結果、加工位置と退避位置との間における回転工具の往復動作、及び、検出位置と退避位置との間におけるセンサの往復動作の分、歯合わせ動作に要する時間がかかってしまっていた。
【0008】
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、歯合わせ時間の短縮を図ることができる歯合わせ装置及び歯車加工機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する第1の発明に係る歯合わせ装置は、
回転工具と被加工歯車とを噛み合わせ、これらを相対的に回転させて歯車加工を行うに先立って、前記回転工具と前記被加工歯車とが噛み合い可能な回転位相関係になるように歯合わせを行う歯合わせ装置であって、
前記被加工歯車の軸方向に移動可能に支持され、前記被加工歯車をその軸回りに回転させるワーク回転手段側に押し付けて、前記被加工歯車を回転可能に保持するワーク保持手段と、
前記ワーク保持手段に設けられ、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車と対向して、前記被加工歯車の回転位相を検出する回転位相検出手段とを備える
ことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第2の発明に係る歯合わせ装置は、
第1の発明に係る歯合わせ装置において、
前記回転位相検出手段は前記被加工歯車を挟んで前記回転工具の反対側に配置される
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第3の発明に係る歯合わせ装置は、
第1の発明に係る歯合わせ装置において、
前記回転位相検出手段を、前記被加工歯車の回転位相を検出する検出位置から退避させる退避手段を備える
ことを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第4の発明に係る歯合わせ装置は、
第1乃至3のいずれかの発明に係る歯合わせ装置において、
前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車の軸方向における加工誤差を吸収する加工誤差吸収手段を備える
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第5の発明に係る歯車加工機械は、
請求項1乃至4のいずれかに記載の歯合わせ装置を備えた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明に係る歯合わせ装置によれば、回転工具と被加工歯車とを噛み合わせ、これらを相対的に回転させて歯車加工を行うに先立って、前記回転工具と前記被加工歯車とが噛み合い可能な回転位相関係になるように歯合わせを行う歯合わせ装置であって、前記被加工歯車の軸方向に移動可能に支持され、前記被加工歯車をその軸回りに回転させるワーク回転手段側に押し付けて、前記被加工歯車を回転可能に保持するワーク保持手段と、前記ワーク保持手段に設けられ、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車と対向して、前記被加工歯車の回転位相を検出する回転位相検出手段とを備えることにより、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持すると共に、前記回転位相検出手段による回転位相の検出を行うことができるので、歯合わせ時間の短縮を図ることができる。
【0015】
第2の発明に係る歯合わせ装置によれば、第1の発明に係る歯合わせ装置において、前記回転位相検出手段は前記被加工歯車を挟んで前記回転工具の反対側に配置されることにより、前記回転位相検出手段が前記回転工具の歯合わせ動作に関与することがないので、その動作を簡素化することができると共に、前記被加工歯車の切屑が前記回転位相検出手段に付着することがないので、前記回転位相検出手段の損傷を防止することができる。
【0016】
第3の発明に係る歯合わせ装置によれば、第1の発明に係る歯合わせ装置において、前記回転位相検出手段を、前記被加工歯車の回転位相を検出する検出位置から退避させる退避手段を備えることにより、前記回転位相検出手段が前記回転工具の歯合わせ動作に関与することがないので、その動作を簡素化することができると共に、前記被加工歯車の切屑が前記回転位相検出手段に付着することがないので、前記回転位相検出手段の損傷を防止することができる。
【0017】
第4の発明に係る歯合わせ装置によれば、第1乃至3のいずれかの発明に係る歯合わせ装置において、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車の軸方向における加工誤差を吸収する加工誤差吸収手段を備えることにより、その軸方向に加工誤差が生じた前記被加工歯車を保持した場合であっても、前記回転位相検出手段を一定の前記検出位置に配置させることができるので、高精度に回転位相の検出を行うことができる。
【0018】
第5の発明に係る歯車加工機械によれば、第1乃至4のいずれかの発明に係る歯合わせ装置を備えるものであって、回転工具と被加工歯車とを噛み合わせ、これらを相対的に回転させて歯車加工を行うに先立って、前記回転工具と前記被加工歯車とが噛み合い可能な回転位相関係になるように歯合わせを行う歯合わせ装置を有し、前記被加工歯車の軸方向に移動可能に支持され、前記被加工歯車をその軸回りに回転させるワーク回転手段側に押し付けて、前記被加工歯車を回転可能に保持するワーク保持手段と、前記ワーク保持手段に設けられ、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車と対向して、前記被加工歯車の回転位相を検出する回転位相検出手段とを備え、前記回転位相検出手段は前記被加工歯車を挟んで前記回転工具の反対側に配置され、また、前記回転位相検出手段を、前記被加工歯車の回転位相を検出する検出位置から退避させる退避手段を備え、更に、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持したときに、前記被加工歯車の軸方向における加工誤差を吸収する加工誤差吸収手段を備えている。これにより、前記ワーク保持手段が前記被加工歯車を保持すると共に、前記回転位相検出手段による回転位相の検出を行うことができるので、歯合わせ時間の短縮を図ることができる。また、前記回転位相検出手段が前記回転工具の歯合わせ動作に関与することがないので、その動作を簡素化することができると共に、前記被加工歯車の切屑が前記回転位相検出手段に付着することがないので、前記回転位相検出手段の損傷を防止することができる。更に、その軸方向に加工誤差が生じた前記被加工歯車を保持した場合であっても、前記回転位相検出手段を一定の前記検出位置に配置させることができるので、高精度に回転位相の検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る歯合わせ装置を図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の第1実施例に係る歯合わせ装置を備えた歯車研削盤の要部側面図、図2はセンサの取付構造を示した概略図、図3はワークに対する砥石とセンサとの位置関係を示した図である。
【0021】
図1に示すように、歯車加工機械である歯車研削盤1のベッド11上には、コラム12がX方向(水平方向)に移動可能に支持されている。コラム12の前面には、円筒状をなし、且つ、その外周面において螺旋状のねじ山が形成される砥石(回転工具)13が水平軸回りで回転可能に支持されており、この砥石13は、コラム12に対し、Y方向(水平方向)、Z方向(上下方向)に移動可能に支持されると共に、A方向に旋回可能に支持されている。そして、この砥石13を後述する歯車状のワーク(被加工歯車)Wに噛み合わせることにより、歯車研削を行うようになっている。
【0022】
更に、ベッド11上には、コラム12の前面と対向するようにカウンタコラム14が立設されている。カウンタコラム14のコラム12と対向する前面には、ガイド部材15が取り付けられており、このガイド部材15にはテールストック16がZ方向に昇降可能に支持されている。そして、テールストック16の下端には、略円錐状のテールストックセンタ17がテールストック16に対して垂直軸回りで回転可能に支持されている。
【0023】
テールストック16の下方には、ベッド11上において、円盤状の回転テーブル(ワーク回転手段)18がC方向に(鉛直軸回り)回転可能に支持されている。回転テーブル18の上部には略円錐状の取付治具19が着脱可能に支持されており、更に、この取付治具19の上部にはワークWが着脱可能となっている。
【0024】
なお、テールストックセンタ17の中心軸、回転テーブル18の中心軸、及び取付治具23の中心軸は同軸上に配置されている。つまり、取付治具23上に装着されたワークWに対し、その上方からテールストック16を下降させて、テールストックセンタ17をワークWの中心孔Wa(図3参照)に嵌入することにより、当該ワークを保持することができる。これにより、回転テーブル18を回転させることで、テールストックセンタ17及び取付治具19と共に、保持したワークWをC方向に回転可能となる。
【0025】
図1乃至図3に示すように、テールストック16のカウンタコラム14(ガイド部材15)側には、段部16aが形成されている。テールストック16の段部16aにはロッド41の上端が取り付けられており、このロッド41の下端には支持板31及び支持ロッド32を介してセンサ(回転位相検出手段)33が支持されている。センサ33は、近接センサ等の非接触式センサであって、ワークWの回転位相を検出するものである。
【0026】
支持板31には貫通孔31aが形成されており、この貫通孔31aの上部及び下部にはリング部材34が設けられている。一方、ロッド41は、上端側に形成される大径部41aと、下端側に形成され大径部41aよりも小径をなす小径部41bと、大径部41aと小径部41bとの間に形成されるフランジ部41cとを有している。
【0027】
そして、ロッド41の小径部41bは、支持板31の貫通孔31a及びリング部材34内に摺動可能に貫通支持されている。ロッド41のフランジ41cと上方のリング部材34との間における小径部41bの外側には、ばね35が圧縮状態で配置されている。これにより、支持板31はばね35の付勢力によりロッド41に対して下方に付勢された状態となっている。また、支持板31の一端には上述した支持ロッド32を介してセンサ33が支持されており、支持板31の他端の下方には、カウンタコラム14の前面下方に支持されるストッパ36が配置されている。
【0028】
即ち、テールストック16が下降すると、当該テールストック16に設けられる支持板31がストッパ36に当接することとなり、テールストック16の下限位置が設定されている。これにより、ロッド41の下端(小径部41b)は下降基準位置Rに配置され、センサ33は保持されたワークWと対向するように配置される。
【0029】
ここで、コラム12のX方向への移動、砥石13におけるY,Z方向への移動及びA方向への揺動や回転駆動、テールストック17のZ方向への昇降、テーブル18(ワークW)のC方向への回転駆動、センサ33の回転位相の検出等は、図示しないNC装置により制御されるようになっている。即ち、これらを制御することにより、ワークWに対し研削加工を施すことができる。
【0030】
なお、支持部材31、支持ロッド32、ばね35、ストッパ36、ロッド41等は、加工誤差吸収手段を構成するものである。
【0031】
次に、歯車研削盤1における歯合わせ動作及び研削加工について説明する。
【0032】
先ず、ワークWを取付治具19上に装着し、テールストック16を下降させる。このようにテールストック16を下降させると、支持板31がストッパ36に当接して当該テールストック16が下限位置に配置される。これにより、テールストックセンタ17がワークWの中心孔Waに嵌入して当該ワークWが保持されると共に、センサ33がその保持されたワークWと対向する検出位置に配置される。
【0033】
そして、センサ33が検出位置に配置された状態で、回転テーブル18を回転させてワークWの1つの歯先(山)の位置を計測した後、逆回転させてその1つの歯先の隣の歯先の位置を計測し、これらの計測結果に基づいて、その歯先間におけるC方向の回転位相を検出する。次いで、NC装置により、この検出したワークWの歯先間におけるC方向の回転位相から、当該歯先間の歯溝(谷)におけるC方向の回転位相を演算する。
【0034】
続いて、この演算されたセンサ33と対向したワークWの歯溝におけるC方向の回転位相、ワークWの諸元(歯数、ねじれ角等)、センサ33のワークWにおける検出高さ、センサ角度(砥石13側からの相対的なC方向の回転角度)等から、砥石13側のワークWの歯溝におけるC方向の回転位相を演算する。そして、砥石13に対するこの演算した砥石13側のワークWの歯溝におけるC方向の回転位相のずれ量を求め、この回転位相のずれ量の分だけワークWを補正回転させて、砥石13とワークWとの歯合わせを行う。
【0035】
その後、砥石13の回転と回転テーブル18のC方向への回転とを同期させ、同時に、コラム12をX方向に移動させ、砥石13をY,Z方向に移動させると共に、A方向に旋回させることにより、砥石13がワークWに噛み合い、当該ワークWに研削加工が施される。
【0036】
ここで、ワークには微小ではあるが加工誤差が生じることがあり、上述したように、ワークを鉛直軸回りのC方向で回転させて研削する場合には、ワークの高さ寸法、即ち、歯幅寸法に加工誤差が生じると、Z方向におけるセンサの検出位置にばらつきが出てしまい、高精度に検出することができない。
【0037】
そこで、本発明に係る歯合わせ装置においては、支持板31とロッド41との間にばね35を配置することにより、仮にワークWの高さ方向に加工誤差が生じても、センサ33はZ方向において常に同じ位置に配置されるようになっている。
【0038】
つまり、図2に示すように、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも大きい場合には、その寸法が大きくなった分、テールストック16の下限位置は、ワーク所定寸法加工時のそれよりも若干上方に変更され、これに伴い、ロッド41の下端も下降基準位置Rよりも上方に位置する基準上方位置R1までしか下降しない。しかしながら、支持板31は、ばね35の付勢力によりロッド41に対して下方に付勢されているので、ストッパ36と当接することになる。これにより、センサ33は、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも大きい場合であっても、その高さ寸法が所定寸法に加工されている場合と同じように、Z方向において同じ位置に配置されることになる。
【0039】
一方、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも小さい場合には、その寸法が小さくなった分、テールストック16の下限位置は、ワーク所定寸法加工時のそれよりも若干下方に変更される。このとき、支持板31がストッパ36に当接すると共に、ロッド41の下端はばね35の付勢力に抗して下降基準位置Rよりも下方に位置する基準下方位置R2まで下降する。即ち、支持板31はストッパ36によりその下降が規制されるものの、ロッド41だけが下降することになる。これにより、センサ33は、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも小さい場合であっても、その高さ寸法が所定寸法に加工されている場合と同じように、Z方向において同じ位置に配置されることになる。
【0040】
よって、支持板31とロッド41との間にばね35を配置することにより、ワークWの高さ寸法の加工誤差が吸収され、センサ33の検出位置はZ方向において一定に保持される。
【0041】
また、センサ33をテールストック16に支持させているので、歯合わせ動作を行う場合には、センサ33の検出時においても砥石13を一端退避させる必要もない。この結果、歯合わせ動作に要する時間が短縮される。しかも、図3に示すように、センサ33をワークWを挟んで砥石13の反対側に設けているので、砥石13からセンサ33までの距離が長く形成でき、研削時におけるワークWの切屑やクーラントの供給及び飛散によるセンサ33への損傷が防止される。
【0042】
従って、センサ33をテールストック16に支持させることにより、テールストック16がワークWを保持すると共に、センサ33によりワークWの回転位相の検出を行うことができるので、歯合わせ時間の短縮を図ることができる。
【0043】
また、センサ33をワークWを挟んで砥石13の反対側に配置させることにより、センサ33が砥石13の歯合わせ動作に関与することがないので、その動作の簡素化を図ることができ、歯合わせ時間の更なる短縮を図ることができる。しかも、砥石13からセンサ33までの距離を十分に保つことができるので、研削時におけるワークWの切屑やクーラントの供給及び飛散によるセンサ33への損傷を防止することができる。
【0044】
更に、支持板31とロッド41との間にばね35を設けることにより、ワークWの高さ寸法に加工誤差が生じても、その加工誤差の分だけ吸収することができるので、センサ33を一定の検出位置に配置させることができる。この結果、高精度な回転位相の検出を行うことができる。
【実施例2】
【0045】
図4は本発明の第2実施例に係る歯合わせ装置を備えた歯車研削盤の要部側面図、図5はセンサの取付構造を示した概略図、図6はワークに対する砥石とセンサとの位置関係を示した図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同様の構造及び機能を有する部材については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0046】
図4乃至図6に示すように、歯車加工機械である歯車研削盤2におけるテールストック16の側面には、シリンダ51が設けられており、このシリンダ51はZ方向に摺動するロッド52を備えている。ロッド52の下端には支持板31及び支持ロッド32を介してセンサ33が支持されている。
【0047】
ロッド52は、上端側に形成される大径部52aと、下端側に形成され大径部52aよりも小径をなす小径部52bと、大径部52aと小径部52bとの間に形成されるフランジ部52cとを有している。
【0048】
そして、ロッド52の小径部52bは、支持板31の貫通孔31a及びリング部材34内に摺動可能に貫通支持されている。ロッド52のフランジ52cと上方のリング部材34との間における小径部52bの外側には、ばね35が圧縮状態で配置されている。これにより、支持板31はばね35の付勢力によりロッド52に対して下方に付勢された状態となっている。
【0049】
即ち、テールストック16が下降すると、当該テールストック16に設けられる支持板31がストッパ36に当接することとなり、テールストック16の下限位置が設定されている。これにより、ロッド52の下端(小径部52b)は下降基準位置Rに配置され、センサ33は保持されたワークWと対向するように配置される。また、テールストック16が下限位置に配置されるときに、シリンダ51を駆動してロッド52を伸縮させることにより、センサ33が検出位置S1と退避位置S2との間を移動する。
【0050】
ここで、コラム12のX方向への移動、砥石13におけるY,Z方向への移動及びA方向への揺動や回転駆動、テールストック17のZ方向への昇降、テーブル18(ワークW)のC方向への回転駆動、センサ33の回転位相の検出、シリンダ51の駆動等は、図示しないNC装置により制御されるようになっている。即ち、これらを制御することにより、ワークWに対し研削加工を施すことができる。
【0051】
なお、支持部材31、支持ロッド32、ばね35、ストッパ36、シリンダ51、ロッド52等は、加工誤差吸収手段を構成するものである。
【0052】
次に、歯車研削盤2における歯合わせ動作及び研削加工について説明する。
【0053】
先ず、ワークWを取付治具19上に装着し、シリンダ51のロッド52を伸長させたまま、テールストック16を下降させる。このようにテールストック16を下降させると、支持板31がストッパ36に当接して当該テールストック16が下限位置に配置される。これにより、テールストックセンタ17がワークWの中心孔Waに嵌入して当該ワークWが保持されると共に、センサ33がその保持されたワークWと対向する検出位置S1に配置される。
【0054】
そして、センサ33が検出位置S1に配置された状態で、回転テーブル18を回転させてワークWの1つの歯先(山)の位置を計測した後、逆回転させてその1つの歯先の隣の歯先の位置を計測し、これらの計測結果に基づいて、その歯先間におけるC方向の回転位相を検出する。次いで、NC装置により、この検出したワークWの歯先間におけるC方向の回転位相から、当該歯先間の歯溝(谷)におけるC方向の回転位相を演算する。
【0055】
続いて、この演算されたセンサ33と対向したワークWの歯溝におけるC方向の回転位相、ワークWの諸元(歯数、ねじれ角等)、センサ33のワークWにおける検出高さ、センサ角度(砥石13側からの相対的なC方向の回転角度)等から、砥石13側のワークWの歯溝におけるC方向の回転位相を演算する。そして、砥石13に対するこの演算した砥石13側のワークWの歯溝におけるC方向の回転位相のずれ量を求め、この回転位相のずれ量の分だけワークWを補正回転させて、砥石13とワークWとの歯合わせを行う。
【0056】
その後、シリンダ51を駆動してロッド52を短縮させて、センサ33を検出位置S1から退避位置S2に上昇させる。次いで、砥石13の回転と回転テーブル18のC方向への回転とを同期させ、同時に、コラム12をX方向に移動させ、砥石13をY,Z方向に移動させると共に、A方向に旋回させることにより、砥石13がワークWに噛み合い、当該ワークWに研削加工が施される。
【0057】
ここで、ワークには微小ではあるが加工誤差が生じることがあり、上述したように、ワークを鉛直軸回りのC方向で回転させて研削する場合には、ワークの高さ寸法、即ち、歯幅寸法に加工誤差が生じると、Z方向におけるセンサの検出位置S1にばらつきが出てしまい、高精度に検出することができない。
【0058】
そこで、本発明に係る歯合わせ装置においては、支持板31とロッド52との間にばね35を配置することにより、仮にワークWの高さ方向に加工誤差が生じても、センサ33はZ方向において常に同じ位置に配置されるようになっている。
【0059】
つまり、図2に示すように、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも大きい場合には、その寸法が大きくなった分、テールストック16の下限位置は、ワーク所定寸法加工時のそれよりも若干上方に変更され、これに伴い、ロッド52の下端も下降基準位置Rよりも上方に位置する基準上方位置R1までしか下降しない。しかしながら、支持板31は、ばね35の付勢力によりロッド52に対して下方に付勢されているので、ストッパ36と当接することになる。これにより、センサ33は、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも大きい場合であっても、その高さ寸法が所定寸法に加工されている場合と同じように、Z方向において同じ位置に配置されることになる。
【0060】
一方、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも小さい場合には、その寸法が小さくなった分、テールストック16の下限位置は、ワーク所定寸法加工時のそれよりも若干下方に変更される。このとき、支持板31がストッパ36に当接すると共に、ロッド52の下端はばね35の付勢力に抗して下降基準位置Rよりも下方に位置する基準下方位置R2まで下降する。即ち、支持板31はストッパ36によりその下降が規制されるものの、ロッド52だけが下降することになる。これにより、センサ33は、ワークWの高さ寸法が所定寸法よりも小さい場合であっても、その高さ寸法が所定寸法に加工されている場合と同じように、Z方向において同じ位置に配置されることになる。
【0061】
よって、支持板31とロッド52との間にばね35を配置することにより、ワークWの高さ寸法の加工誤差が吸収され、センサ33の検出位置S1はZ方向において一定に保持される。
【0062】
また、センサ33をテールストック16に支持させているので、歯合わせ動作を行う場合には、センサ33の検出時においても砥石13を一端退避させる必要もない。この結果、歯合わせ動作に要する時間が短縮される。しかも、回転位相の検出が完了したセンサ33を退避位置S2に上昇させているので、砥石13からセンサ33までの距離が長く形成でき、研削時におけるワークWの切屑やクーラントの供給及び飛散によるセンサ33への損傷が防止される。
【0063】
なお、上述した動作においては、シリンダ51のロッド52を伸長したまま、テールストック16を降下させて、センサ33を検出位置S1に配置させるようにしたが、シリンダ51のロッド52を短縮したまま、テールストック16を降下させて、センサ33を一端退避位置S2に配置させた後、検出位置S1に下降させても構わない。また、シリンダ51及びロッド52に加えて、センサ33をワークWの径方向外方へ退避させる退避機構を更に備えてもよく、あるいは、この退避機構だけを設けるようにしても構わない。
【0064】
従って、センサ33をテールストック16に支持させることにより、テールストック16がワークWを保持すると共に、センサ33によりワークWの回転位相の検出を行うことができるので、歯合わせ時間の短縮を図ることができる。
【0065】
また、センサ33を検出位置S1と退避位置S2との間で昇降させるシリンダ51を設け、センサ33が回転位相の検出を行わないとき、即ち、歯合わせ時や研削時には、当該センサ33を退避位置S2に配置させることにより、センサ33が砥石13の歯合わせ動作に関与することがないので、その動作の簡素化を図ることができ、歯合わせ時間の更なる短縮を図ることができる。しかも、砥石13からセンサ33までの距離を十分に保つことができるので、研削時におけるワークWの切屑やクーラントの供給及び飛散によるセンサ33への損傷を防止することができる。
【0066】
更に、支持板31とシリンダ51のロッド52との間にばね35を設けることにより、ワークWの高さ寸法に加工誤差が生じても、その加工誤差の分だけ吸収することができるので、センサ33を一定の検出位置に配置させることができる。この結果、高精度な回転位相の検出を行うことができる。
【0067】
なお、上述した実施例では、支持板31とロッド41またはロッド52との間にばね35を設けるようにしたが、必ずしも、このばね35を設けなくてもよく、ロッド41またはロッド52の下端を支持板31に固定しても構わない。また、ねじ状の砥石を用いて歯車状のワークを研削する歯車研削盤に、本発明に係る歯合わせ装置を適用するようにしたが、例えば、ねじ状のホブカッタを用いて歯車状のワークを加工するホブ盤等の歯車加工機械に適用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
被加工歯車に歯形誤差及び歯筋誤差が生じたときに、両誤差を的確に修正するようにした歯車研削盤等の歯車加工機械に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施例に係る歯合わせ装置を備えた歯車研削盤の要部側面図である。
【図2】センサの取付構造を示した概略図である。
【図3】ワークに対する砥石とセンサとの位置関係を示した図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る歯合わせ装置を備えた歯車研削盤の要部側面図である。
【図5】センサの取付構造を示した概略図である。
【図6】ワークに対する砥石とセンサとの位置関係を示した図である。
【符号の説明】
【0070】
1,2 歯車研削盤
11 ベッド
12 コラム
13 砥石
14 カウンタコラム
15 ガイド部材
16 テールストック
17 テールストックセンタ
18 回転テーブル
19 取付治具
31 支持板
32 支持ロッド
33 センサ
34 リング部材
35 ばね
36 ストッパ
41 ロッド
51 シリンダ
52 ロッド
W ワーク
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成19年2月6日(2007.2.6)
【代理人】 【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎

【識別番号】100074480
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 忠敬

【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸

【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋


【公開番号】 特開2008−188717(P2008−188717A)
【公開日】 平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願番号】 特願2007−26394(P2007−26394)