トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 ギヤホーニング加工方法及び装置
【発明者】 【氏名】吉井 博

【氏名】竹ノ下 明

【氏名】河本 憲二

【要約】 【課題】ギヤホーニングを能率的に且つ高精度に行い、ドレスインターバル個数を増大させる。

【解決手段】この発明はギヤホーニング加工において、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギヤホーニング加工において、
a.ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度を6〜30m/secにする こと、
b.ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度を8000〜30000rpmにするこ と、
c.ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度を2500〜15000rp mにすること、
の条件のいずれか1の条件又は2以上の条件を充たすギヤホーニング加工方法。
【請求項2】
ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度を9〜30m/secにする請求項1のギヤホーニング加工方法。
【請求項3】
ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度を10000〜30000rpmにする請求項1のギヤホーニング加工方法。
【請求項4】
ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度を3000〜15000rpmにする請求項1のギヤホーニング加工方法。
【請求項5】
被削歯車を保持する歯車軸とギヤホーニング砥石を保持する砥石軸を備え、歯車軸と砥石軸のいずれか一方又は両方を回転駆動させてギヤホーニングを行うギヤホーニング加工装置において、
a.ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度が6〜30m/secである こと、
b.ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度が8000〜30000rpmであるこ と、
c.ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度が2500〜15000rp mであること、
の条件のいずれか1の条件又は2以上の条件を充たすギヤホーニング加工装置。
【請求項6】
ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度が9〜30m/secである請求項5のギヤホーニング加工装置。
【請求項7】
ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度が10000〜30000rpmである請求項5のギヤホーニング加工装置。
【請求項8】
ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度が3000〜15000rpmである請求項5のギヤホーニング加工装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は歯車の焼入れ後の歯面仕上げ加工であるギヤホーニング加工方法及び装置に関する。
ギヤホーニングの方式は、内歯車形状のギヤホーニング砥石を使用する内歯式ギヤホーニングと外歯車形状のギヤホーニング砥石を使用する外歯式ギヤホーニングがある。また駆動方式によりギヤホーニング砥石と被削歯車両方を同期駆動する同期式ギヤホーニングと片方のみを駆動し他方を噛み合いにより連れ回りさせる連れ回り式ギヤホーニングがあるが、いずれのギヤホーニングにも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
一般に歯車のホーニング加工装置は被削歯車を保持する歯車軸とギヤホーニング砥石を保持する砥石軸とを備えており、上記回転式ギヤホーニングと連れ回り式ギヤホーニングとにより、両軸が共に回転駆動されるか、一方のみが回転駆動されるかのいずれかに分かれる。
【0003】
また歯車のギヤホーニング加工は、特許文献1に示されるように焼入れ硬化後の歯車に対し歯面の研削加工を行い、効率よく歯面精度や歯面粗さを良くする加工法である。この加工は歯車形のギヤホーニング砥石を用い、焼き入れ硬化した被削歯車と軸交差角を与えた状態で噛合わせて回転させることで、被削歯車の歯面を微細に研削し、歯面精度や歯面粗さを良くして騒音が低減する歯車を製造可能にするものである。
【0004】
ギヤホーニング加工の概要を図1、図2、図4を参照して説明する。工具は被削歯車に要求される精度を可能とするダイヤモンドを電着したドレスギヤ30、ギヤホーニング砥石、例えば内歯車形状のギヤホーニング砥石1を使用する。まず最初にギヤホーニング砥石を成形するドレス加工を行う。ドレスギヤ30とギヤホーニング砥石1をある軸交差角を持たせ噛合わせて回転しドレスギヤ30の歯面をギヤホーニング砥石1に転写する。
【0005】
次に被削歯車2を加工するギヤホーニング加工を行う。被削歯車2とギヤホーニング砥石1を噛合わせて回転させ、ギヤホーニング砥石1の歯面を被削歯車2に転写する。図4のように被削歯車2の歯面に、噛合い回転と軸交差角によるすべりが生じ被削歯車の歯面16がギヤホーニング加工され、きれいに精度よく仕上げられる。
【0006】
そして、上記特許文献1に示されるように、ギヤホーニング加工における歯車製作のコストダウン化の為の方法やギヤホーニング加工の精度向上の方法などが提案されている。
【特許文献1】特開2003−71701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般にギヤホーニング加工は、被削歯車とギヤホーニング砥石を軸交差角6を持たせて噛み合わせ回転することによりその噛合い回転と軸交差角によるすべりが生じ被削歯車の歯面がギヤホーニング加工される。そしてそのすべり速度は、一般の通常砥石を使う円筒研削等では30m/sec以下程度であるのに対し、従来のギヤホーニング加工においては、すべり速度は概ね3m/sec以下程度で、研削加工の1/10以下であった。その為、歯面加工能力が小さく、加工精度が満足できない場合があった。
【0008】
また、連れ回り式ギヤホーニングにおいてはギヤホーニング砥石と被削歯車を噛み合わせて片方を駆動し他方を連れ回りさせる方式なので、噛み合い率が悪い場合には回転変動を生じて正規の噛み合いができないため、正確に転写できず加工精度が満足できない場合があった。
【0009】
また、ギヤホーニング加工を何回か繰り返すとギヤホーニング砥石の歯面が汚れ,砥粒の破砕が発生し精度維持ができなくなり、ドレスギヤでギヤホーニング砥石をドレスすること(ドレス加工)により新しい歯面が成形され、ギヤホーニング加工が再度可能となる。ドレス加工と次のドレス加工の間でギヤホーニング加工できる被削歯車の個数をドレスインターバル個数という。そのドレスインターバル個数をいかに多くするかが大きな課題である。
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、ギヤホーニング加工による歯車製作のスピードアップとコストダウン化、ギヤホーニング加工の精度向上を図るギヤホーニングの加工方法及び装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の方法は第1にギヤホーニング加工において、
a.ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度を6〜30m/secにする こと、
b.ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度を8000〜30000rpmにするこ と、
c.ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度を2500〜15000rp mにすること、
の条件のいずれか1の条件又は2以上の条件を充たすことを特徴としている。
【0012】
第2に、ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度を9〜30m/secにすることを特徴としている。
【0013】
第3に、ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度を10000〜30000rpmにすることを特徴としている。
【0014】
第4に、ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度を3000〜15000rpmにすることを特徴としている。
【0015】
また上記方法を実施するための本発明の装置は、第1に被削歯車を保持する歯車軸とギヤホーニング砥石を保持する砥石軸を備え、歯車軸と砥石軸のいずれか一方又は両方を回転駆動させてギヤホーニングを行うギヤホーニング加工装置において、
a.ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度が6〜30m/secである こと、
b.ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度が8000〜30000rpmであるこ と、
c.ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度が2500〜15000rp mであること、
の条件のいずれか1の条件又は2以上の条件を充たすことを特徴としている。
【0016】
第2に、ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度が9〜30m/secであることを特徴としている。
【0017】
第3に、ギヤホーニング加工時の被削歯車の回転速度が10000〜30000rpmであることを特徴としている。
【0018】
第4に、ギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石の回転速度が3000〜15000rpmであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
以上のように構成される本発明の方法によれば次のような効果を奏するものである。
(1)ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度を6〜30m/sec(望 ましくは9〜30m/sec)にするか、被削歯車の回転速度を8000〜3000 0rpm(望ましくは9000〜30000rpm)にするか、ギヤホーニング砥石 の回転速度を2500〜15000rpm(望ましくは3000〜15000rpm )にするかのいずれかの条件を充たすことにより、歯車の加工精度を向上させるとと もに加工速度(加工能率)の向上及び加工コストの低減を実現することができる。
(2)上記条件のうち被削歯車の回転速度、ギヤホーニング砥石の回転速度を上記のよう に高くした場合は特に回転変動が緩和若しくは解消することが精度向上をもたらす。 また高速回転により遠心力が増大し、研削粉のギヤホーニング砥石への付着が抑え られて、ギヤホーニング砥石の歯面の汚れが少なくなり、切れ味が持続し砥粒の破砕 が抑えられてドレスインターバル個数が大幅に改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するためのギヤホーニングの方法は、前述のように内歯車の砥石を使用する内歯式ギヤホーニングと外歯車の砥石を使用する外歯式ギヤホーニングがある。また駆動方式によりギヤホーニング砥石と被削歯車両方を同期駆動する同期式ギヤホーニングと片方のみを駆動し他方を噛み合いにより連れ回りさせる連れ回り式ギヤホーニングがある。
【0021】
まず、内歯車の砥石を使用する内歯式ギヤホーニングから説明する。内歯式ギヤホーニングに用いられる内歯式ギヤホーニング加工機の構成を概略的に図1、図2に示す。内歯式ギヤホーニング加工機は、ギヤホーニング砥石1と、被削歯車2を支持しつつその送りを行うテーブル3と、被削歯車2をテーブル3に支持させるためのワーク軸13とを有している。
【0022】
ギヤホーニング砥石1は内歯形のものであり、被削歯車2は外歯形のものであって、ギヤホーニング砥石1は、その内歯において被削歯車2の外歯と軸交差角をもたせて噛み合いつつ回転することにより、被削歯車2の外歯の歯面をギヤホーニング加工する。
【0023】
次に外歯車の砥石を使用する外歯式ギヤホーニングを説明する。外歯式ギヤホーニングに用いられる外歯式ギヤホーニング加工機の構成を概略的に図3に示す。外歯式ギヤホーニング加工機は、内歯式ギヤホーニング加工機の内歯のギヤホーニング砥石1を、外歯のギヤホーニング砥石4に置き換えた構成のものである。
【0024】
ギヤホーニング砥石4は外歯形のものであり、被削歯車5は外歯形のものであって、ギヤホーニング砥石4は、その外歯において被削歯車5の軸交差角をもたせて外歯と噛み合いつつ回転することにより、被削歯車5の外歯の歯面をギヤホーニング加工する。
【0025】
まず被削歯車の加工面のすべり速度を高速化する場合について説明する。ギヤホーニング加工は、前述のように被削歯車とギヤホーニング砥石を軸交差角6を持たせて噛み合わせ回転することにより、図4のようにその噛合い回転と軸交差角によるすべりが生じ被削歯車の歯面がギヤホーニング加工される。そのすべり速度は、一般の通常砥石を使う円筒研削等では30m/sec以下程度であるが、従来のギヤホーニング加工においては、せいぜい3m/sec以下程度で、研削加工の1/10以下であった。そのため、歯面加工能力が小さく、加工精度が満足できない場合があった。
【0026】
そこで、ギヤホーニング加工時の被削歯車の加工面のすべり速度をできるだけ通常の研削のすべり速度の領域に近づけることが必要となる。実験の結果、すべり速度を6〜30m/sec以上にすると飛躍的に精度が向上することがわかった。これは従来のギヤホーニング加工の場合の約3倍以上のすべり速度である。特にすべり速度を9m/sec以上にすると、研削性が向上し、歯面加工能力が大きくなり、正確な転写が可能となり加工精度を満足できる。当然ながらギヤホーニング加工機を所要のすべり速度にできる構成、すなわちギヤホーニング砥石軸と被削歯車軸の回転可能回転数を所要のすべり速度を可能とする回転数まで回転できる構成とした。
【0027】
次に被削歯車の回転速度を高速化する場合について説明する。前述のように連れ回り式ギヤホーニングにおいてはギヤホーニング砥石と被削歯車を噛み合わせて片方を駆動し他方を連れ回りさせる方式なので、ギヤホーニング加工時噛み合い率が悪い場合には回転変動を生じて正規の噛み合いができない為正確に転写できず加工精度が満足できない場合があった。
【0028】
そのため、ギヤホーニング砥石回転速度及び被削歯車の回転速度を従来より大幅に高速にすることによりギヤホーニング砥石及び被削歯車の慣性力が増し噛み合い率に関係なく回転変動が解消し噛み合い変動がなく正確に転写でき精度も向上した。実験の結果、被削歯車の回転数を8000〜30000rpm,(望ましくは10000〜30000rpm)にすれば、回転変動が非常に少なくなり噛み合い変動がなく正確に転写でき精度よいギヤホーニング加工ができる。当然ながらギヤホーニング加工機の被削歯車軸の回転可能回転数を所要の30000rpm以上まで回転できる構成とした。
【0029】
さらにギヤホーニング砥石の回転速度を高速化する場合について説明する。前述のようにギヤホーニング加工を何回か繰り返すとギヤホーニング砥石の歯面が汚れ,砥粒の破砕が発生し精度維持ができなくなり、ドレスインターバル個数が少なくなるという課題があった。
【0030】
そのため、従来ギヤホーニング砥石回転が1000rpm程度以下の回転数で加工していたが、ギヤホーニング砥石回転を2500〜15000rpm(望ましくは従来の約3倍以上の3000rpm以上)の高速回転にすることにより遠心力が大きくなり、研削粉(加工粉)が飛ばされ研削粉のギヤホーニング砥石への付着が抑えられて、ギヤホーニング砥石の歯面が汚れなくなり,切れ味が持続し砥粒の破砕が抑えられて精度が長く維持できドレスインターバル個数が大幅に改善できた。ドレスインターバルでの精度維持の状態を示す一つの指標である加工後のOBD寸法(歯厚)の変化が非常に小さく抑えられた。これは切れ味が持続し砥粒の破砕が抑えられて精度が長く維持できているからである。また、当然ながらギヤホーニング加工機のギヤホーニング砥石軸の回転可能回転数を所要の2500〜15000rpmまで回転できる構成とした。
【0031】
その他一般にギヤホーニング砥石のドレス加工を繰り返すとやがて幾何学的位置変化による精度変化によりギヤホーニング砥石が使用できなくなる。所謂ギヤホーニング砥石の寿命となる。そしてそのギヤホーニング砥石の寿命(使い代)は被削歯車とギヤホーニング砥石の諸元により異なるが、使い代が0.5mmしかないものもあり、寿命も非常に短い。
【0032】
さらに、ギヤホーニング砥石の製造方法(歯付け方法)はギヤホーニング砥石の歯を一歯ずつ加工している。内歯のギヤホーニング砥石の歯付け加工は図6に示すように、図示していない歯付け加工機を用い、この加工機内にある歯付け加工用ホィール55で一歯ずつ加工する。同様に、外歯のギヤホーニング砥石も一歯ずつ加工している。この様にギヤホーニング砥石は使い代が少ないのに従来製作にコストの掛かる方法をとっている。従ってギヤホーニング砥石のコストを如何に低減するかは、大きな課題である。
【0033】
そこでこの実施形態ではギヤホーニング砥石のコストを低減する課題に対して、ギヤホーニング砥石が低コストでできる製作方法又は加工機械を提供するものである。歯車の創成の方法を用いてホーニング砥石を高速で加工できる。またギヤホーニング加工機内でギヤホーニング砥石を成形する方法を用いれば、別途ギヤホーニング砥石の加工機を用意する必要もない。また砥石寿命の終わったギヤホーニング砥石を再生する方法も提供している。以下これらの実施形態につき説明する。
【0034】
この実施形態で示すギヤホーニング砥石の製作方法及び加工装置は、
A.ギヤホーニング加工に使用するギヤホーニング砥石をウォーム状の工具で成形するこ と
B.ギヤホーニング加工に使用するギヤホーニング砥石を歯車状の工具で成形すること
C.ギヤホーニング加工に使用するギヤホーニング砥石において、該ギヤホーニング砥石 の歯を除去し、新たに歯付けすること
D.ギヤホーニング加工に使用するギヤホーニング砥石をギヤホーニング加工機内で成形 すること
をそれぞれ特徴としている。
次に上記A〜Dの点につき詳細に説明する。
【0035】
先ず上記Aの実施形態を説明する。従来のギヤホーニング砥石の製造方法(歯付け方法)は前述のようにギヤホーニング砥石の歯を一歯ずつ加工している。そこで歯車を加工する歯車創成運動を採用した歯切り加工機のように歯車創成運動を採用してギヤホーニング砥石の歯を高速歯切りする。例えば、図5のようにウォーム状のホィール21を工具として用いギヤホーニング砥石22を創成歯切りする。工具は例えばダイヤモンドを電着したものでもいいし、ほかの材料、電着以外の方法で製作したものでもよい。従来の一歯ずつ加工する方法に比べて、10倍以上の高速で加工できる。当然ながら当該ギヤホーニング砥石加工機は歯車創成運動を採用してギヤホーニング砥石の歯を歯切りできる構成とした。
【0036】
次に上記Bの実施形態を示すと、前述のように従来のギヤホーニング砥石の製造方法(歯付け方法)はギヤホーニング砥石の歯を一歯ずつ加工している。そこで歯車の噛合い運動を応用した歯車加工機のように歯車の噛合い運動を応用しギヤホーニング砥石の歯を高速歯切りする。なおギヤホーニング加工機も歯車の噛合い運動を応用した歯車加工機である。
【0037】
例えば、図3のように歯車形状の工具35を用いギヤホーニング砥石4を歯切りする。工具は例えばダイヤモンドを電着したものでもいいし、ほかの材料、電着以外の方法で製作したものでもよい。当然ながら当該ギヤホーニング砥石加工機は歯車の噛合い運動を応用してギヤホーニング砥石の歯を歯切りできる構成とした。
【0038】
次に上記Cの実施形態を示すと、前述のようにギヤホーニング砥石の使い代は非常に少ない。従来、使い終わった砥石は廃棄されていた。そこで使い終わった砥石の歯部分を除去し、歯を除去したギヤホーニング砥石素材寸法に合わせてギヤホーニング砥石の歯車諸元を新設計し新たに歯付けを行って、再使用する。したがって、何度でも再生して使用できるので非常に経済的である。
【0039】
さらに上記Dの実施形態を示すと、ギヤホーニング砥石を歯付けするのにギヤホーニング加工機内で歯付けする。ギヤホーニング砥石をギヤホーニング加工機のギヤホーニング砥石軸に取り付けたままで、歯付けする。その為、ギヤホーニング砥石の芯とギヤホーニング砥石軸の芯が同芯になる。従来のように機外で歯付けすると、ギヤホーニング砥石軸に機外で歯付けしたギヤホーニング砥石を取り付けた時、当然ギヤホーニング砥石軸芯とギヤホーニング砥石の芯が同芯にならない。
【0040】
そのためギヤホーニング砥石を同芯にし、加工ができるように余分のドレス加工が必要であった。またギヤホーニング加工機内で、ギヤホーニング砥石を成形する方法を用いれば、別途ギヤホーニング砥石の加工機を用意する必要もない。歯付け方法は、例えば、従来の一歯ずつ歯付け加工する方法、ウォーム状のホィールを工具として用い創成歯切り加工する方法、歯車形状の工具を用い歯車の噛合い運動を応用した歯付け加工する方法のいずれでもいいし、その他の方法でもよい。当然ながら当該ギヤホーニング加工機はギヤホーニング加工機内で、ギヤホーニング砥石を歯付けできる構成とした。
【0041】
ギヤホーニング加工機は歯付け加工のために特別の軸を付加してもよいが、特別の軸を付加しなくてもよい。例えば、同期式ギヤホーニングで、一歯ずつ歯付け加工する方法またはウォーム状のホィールを工具として用い創成歯付け加工する方法の場合は、ギヤホーニング砥石軸(ギヤホーニング砥石取付)と被削歯車軸(工具取付)がほぼ直交しなければならないので、ギヤホーニング砥石軸または被削歯車軸をギヤホーニング加工時に比べさらに約90度旋回できる構成とすれば、ギヤホーニング砥石を歯付けできる。また、例えば歯車形状の工具を用い歯車の噛合い運動を応用した歯付け加工する方法を採用すれば、ギヤホーニング加工機はそのままでギヤホーニング砥石を歯付けできる。
次に本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0042】
図3に示すような外歯ギヤホーニングでの、精度比較例を以下に示す。下記例に示すようにすべり速度、各軸回転数を高速にすることにより、格段の精度向上がはかられることが明らかである。
(a)被削歯車諸元例
モジュール1、圧力角20°、歯数39、ねじれ角0°、ピッチ円径39mm
(b)ギヤホーニング砥石諸元例
歯数125、ねじれ角22°、ピッチ円径135mm
加工条件例(1)
砥石回転数 3400rpm
被削歯車回転数 10897rpm
すべり速度 9m/sec
加工条件例(2)
砥石回転数 1000rpm
被削歯車回転数 3205rpm
すべり速度 2.6m/sec
加工精度例を、図7(a),(b)に示す。右歯面の歯形精度でスケールは横軸が歯面の歯底から歯先の位置を10倍で示し、縦軸はインボリュート曲線との差を500倍で示す。同図(b)の加工条件例(1)の時のほうが、理想のインボリュート曲線に近い歯面形状になっている。歯形に凹が無く歯先の丸みも小さい。同図(a)の加工条件例(2)の時では、歯形に大きな凹が生じ歯先の丸みも大きい。
【実施例2】
【0043】
同様に以下の精度比較例を示す。すべり速度、各軸回転数を高速にすることにより、格段の精度向上がはかられることが明らかである。
(a)被削歯車諸元例
モジュール1、圧力角20°、歯数27、ねじれ角0°、ピッチ円径27mm
(b)ギヤホーニング砥石諸元例
歯数178、ねじれ角19.8°、ピッチ円径189mm
加工条件例(3)
砥石回転数 3000rpm
被削歯車回転数 19778rpm
すべり速度 10.1m/sec
加工条件例(4)
砥石回転数 300rpm
被削歯車回転数 1978rpm
すべり速度 1.0m/sec
加工精度例を図8(a),(b)に示す。右歯面の歯形精度でスケールは横軸が歯面の歯底から歯先の位置を10倍で示し、縦軸はインボリュート曲線との差を1000倍で示す。加工条件例(3)の時のほうが狙い精度に近い歯面形状になっている。また歯形に凹が無く歯先の丸みも小さい。加工条件例(4)の時では歯形に大きな凹が生じ歯先の丸みも大きい。
【実施例3】
【0044】
この実施例はドレスインターバル100個の時のOBD寸法変化の比較例を示す。砥石軸を高速にすることにより、OBD寸法変化を小さく抑えることができる。
(a)被削歯車諸元例
モジュール1、圧力角20°、歯数27、ねじれ角0°、ピッチ円径27mm
(b)ギヤホーニング砥石諸元例
歯数178、ねじれ角19.8°、ピッチ円径189mm
加工条件例とOBD寸法変化例(1)
砥石回転数 3000rpm
被削歯車回転数 19778rpm
ドレスインターバル100個の時のOBD寸法変化 18マイクロメートル
加工条件例とOBD寸法変化例(2)
砥石回転数 300rpm
被削歯車回転数 1978rpm
ドレスインターバル100個の時のOBD寸法変化 47マイクロメートル
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】内歯式ギヤホーニングにおける、ドレス時及びギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石とドレスギヤ及びギヤホーニング砥石とワークとの噛合状態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A線での断面図である。
【図3】外歯式ギヤホーニングにおける、ドレス時及びギヤホーニング加工時のギヤホーニング砥石とドレスギヤ及びギヤホーニング砥石とワークとの噛合状態を示す概略斜視図である。
【図4】被削歯車の歯面上の加工時のすべりを表す模式図である。
【図5】ギヤホーニング砥石の創成歯切り状態を示す概略斜視図である。
【図6】従来の内歯のギヤホーニング砥石の歯付け加工を示す概略斜視図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ実施例1の加工条件(1),(2)の加工精度データ例である。
【図8】(a),(b)はそれぞれ実施例2の加工条件(3),(4)の加工精度データ例である。
【符号の説明】
【0046】
1 内歯のギヤホーニング砥石
2 被削歯車
3 テーブル
4 外歯のギヤホーニング砥石
5 被削歯車
6 軸交差角
16 歯面
21 ウォーム状の歯付け加工用ホィール
23 ドレスギヤ
30 ドレスギヤ
35 歯車形状の歯付け加工用工具
55 歯付け加工用ホィール
【出願人】 【識別番号】501343259
【氏名又は名称】清和鉄工株式会社
【出願日】 平成18年10月31日(2006.10.31)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠


【公開番号】 特開2008−114305(P2008−114305A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−297079(P2006−297079)