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【発明の名称】 電着内歯車型砥石の振れ調整方法および振れ調整装置
【発明者】 【氏名】藤嵜 和寛

【氏名】遠藤 裕章

【要約】 【課題】研削装置に取付ける際の、円環状の内周面に砥粒層が電着された電着内歯車型砥石の中心軸線と研削装置の回転軸線を一致させる振れ調整作業を短時間で容易に可能とする電着内歯車型砥石の振れ調整方法および振れ調整装置を提供すること。

【構成】円環状をなす台金2の内周面に歯車型の研削部3が形成され、前記台金2の中心軸線Oを中心とした円環状の調整面8を有する電着内歯車型砥石1の前記中心軸線Oと研削装置Oの回転軸線Xを一致させるための振れ調整装置30であって、前記台金2に形成されて、前記中心軸線Oを中心とした調整面8に対向させて、台金2を回転軸線X廻りに回転させながら回転軸線Xに対する径方向に調整面8に向けて接近、当接自在とされる押圧ローラ32を備え、押圧ローラ32は調整面8を押圧して電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと研削装置の回転軸線Xを一致させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状をなす台金の内周面に超砥粒を電着した砥粒層を有する歯車型の研削部が形成されてなる電着内歯車型砥石を、前記台金がなす円環の前記中心軸線と該台金を回転駆動して研削を行なう研削装置の駆動部の回転軸線とを一致させるように振れ調整するための電着内歯車型砥石の振れ調整方法であって、
前記台金に形成されて、前記中心軸線を中心とした円環の調整面に、押圧部材を対向させて、前記台金を前記回転軸線廻りに回転させながら、前記押圧部材を前記回転軸線に対する径方向に前記調整面に向けて接近させて該調整面に当接させ、さらに前記押圧部材を前記調整面に押圧して前記電着内歯車型砥石の中心軸線と前記研削装置の回転軸線を一致させることを特徴とする電着内歯車型砥石の振れ調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整方法であって、
前記調整面が前記台金の一方の端面側に形成され、前記中心軸線を中心に形成された円筒面状をなす内周面とされることを特徴とする電着内歯車型砥石の振れ調整方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整方法であって、
前記回転軸線廻りに回転された前記台金の振れ量をテスタにより検出することを特徴とする電着内歯車型砥石の振れ調整方法。
【請求項4】
円環状をなす台金の内周面に超砥粒を電着した砥粒層を有する歯車型の研削部が形成されてなる電着内歯車型砥石を、前記台金がなす円環の前記中心軸線と該台金を回転駆動して研削を行なう研削装置の駆動部の回転軸線とを一致させるように振れ調整するための電着内歯車型砥石の振れ調整装置であって、
前記台金に形成されて、前記中心軸線を中心とした円環の調整面に対向させて、前記台金を前記回転軸線廻りに回転させながら前記回転軸線に対する径方向に前記調整面に向けて接近、当接自在とされる押圧部材を備え、
前記押圧部材は前記調整面を押圧して前記電着内歯車型砥石の中心軸線と前記研削装置の回転軸線を一致させることを特徴とする電着内歯車型砥石の振れ調整装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整装置であって、
前記押圧部材は押圧ローラとされ、
前記押圧ローラは、前記回転軸線に平行な軸線廻りに回転自在とされていることを特徴とする電着内歯車型砥石の振れ調整装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整装置であって、
前記回転軸線廻りに回転された前記台金の振れ量を検出するテスタを備えていることを特徴とする電着内歯車型砥石の振れ調整装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークとなる歯車の外周に形成された歯面を研削する電着内歯車型砥石の中心軸線を、この電着内歯車型砥石を取付ける研削装置の回転軸線と一致するように調整する電着内歯車型砥石の振れ調整方法および振れ調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、台金の内歯面に、ワークとなる歯車の外周に形成された歯面を研削するための歯型が形成された内歯車型砥石の中心軸線と、研削装置の回転機構の回転軸線とを一致させる場合、研削装置に取り付けた内歯車型砥石を上記回転軸線廻りに回転させながら、内歯面をドレスギヤによってドレッシングして、内歯面をなす形状を上記回転軸線を中心とした位置に成形することで中心軸線と回転軸線を一致させていた。
【0003】
ところが、例えば、特許文献1に記載された電着内歯車型砥石のような場合、内歯を形成する概略環状の台金の内歯面に硬質のCBN等を含む硬質砥粒が電着されており、内歯面をドレッシングして所定の寸法、形状に成形して電着内歯車型砥石の中心軸線と研削装置の回転軸線とを一致させることが困難である。
【0004】
そのため、CBN砥粒を電着して内歯面が所定の寸法、形状とされた台金の中心軸線を、研削装置の駆動部の回転軸線に一致させて取り付けることが必要とされる。しかし、内歯車型砥石の台金は円環状で、台金上に中心軸線が形成されないために、中心軸線と上記駆動部の回転軸線とを突き合わせるための指標を設けることができず、電着内歯車型砥石の中心軸線と上記駆動部の回転軸線とが一致したかどうかを確認することは非常に困難である。
【0005】
そこで、例えば、図5に示すように、電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと上記駆動部の回転軸線Xとが一致したかどうかを確認するために、台金2に基準面8を設けて、その基準面8をテスタ20で接触して電着内歯車型砥石1を回転させたときの振れ量を検出し、その振れ量を電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと上記回転軸線Xとの偏心量の代用特性として電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと上記回転軸線Xとの偏心量を検出する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平8−118145号公報
【特許文献2】特開2006−15416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術を用いて、電着内歯車型砥石の中心軸線と上記回転軸線との偏心量を、テスタにより内歯車型砥石の振れ量として検出することができたとしても、内歯車型砥石の中心軸線と研削装置の回転軸線を一致させて研削装置に取付けることは容易ではなく、振れ調整に多くの時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、円環状をなす台金の内周面にCBN砥粒等の超砥粒の砥粒層が電着された電着内歯車型砥石を、電着内歯車型砥石の中心軸線と研削装置の回転軸線を一致させて研削装置に取付ける際の振れ調整作業を短時間で容易に行なうことが可能な電着内歯車型砥石の振れ調整方法および振れ調整装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載された発明は、円環状をなす台金の内周面に超砥粒を電着した砥粒層を有する歯車型の研削部が形成されてなる電着内歯車型砥石を、前記台金がなす円環の前記中心軸線と該台金を回転駆動して研削を行なう研削装置の駆動部の回転軸線とを一致させるように振れ調整するための電着内歯車型砥石の振れ調整方法であって、前記台金に形成されて、前記中心軸線を中心とした円環の調整面に、押圧部材を対向させて、前記台金を前記回転軸線廻りに回転させながら、前記押圧部材を前記回転軸線に対する径方向に前記調整面に向けて接近させて該調整面に当接させ、さらに前記押圧部材を前記調整面に押圧して前記電着内歯車型砥石の中心軸線と前記研削装置の回転軸線を一致させることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、円環状をなす台金の内周面に超砥粒を電着した砥粒層を有する歯車型の研削部が形成されてなる電着内歯車型砥石を、前記台金がなす円環の前記中心軸線と該台金を回転駆動して研削を行なう研削装置の駆動部の回転軸線とを一致させるように振れ調整するための電着内歯車型砥石の振れ調整装置であって、前記台金に形成されて、前記中心軸線を中心とした円環の調整面に対向させて、前記台金を前記回転軸線廻りに回転させながら前記回転軸線に対する径方向に前記調整面に向けて接近、当接自在とされる押圧部材を備え、前記押圧部材は前記調整面を押圧して前記電着内歯車型砥石の中心軸線と前記研削装置の回転軸線を一致させることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る電着内歯車型砥石の振れ調整方法及び振れ調整装置によれば、電着内歯車型砥石を所定の押圧力が加わることによって微動する程度に研削装置の回転機構に対して仮固定し、台金がなす円環の中心軸線を中心として形成された調整面に押圧部材を対向させる。その後、電着内歯車型砥石の台金を回転させながら、押圧部材を上記回転軸線に対する径方向に移動させて調整面に接近させて、調整面に当接、押圧するとともに研削装置の駆動部の回転軸線に対する台金の振れ量を検知する。
【0011】
このとき、調整面が前記特許文献2に記載された電着内歯車型砥石のように調整面が内周面により構成されている場合には、中心軸線が回転軸線と一致せずに偏心していると、上記回転軸線を挟んで上記中心軸線の反対に位置する調整面が上記回転軸線に近接することとなり、この近接した部位の調整面を押圧部材によって押圧して調整面を上記回転軸線から離間させる方向に台金が移動されることによって台金の中心軸線と上記回転軸線が接近され、振れ量が大きい場合、当初、中心軸線と回転軸線の偏心量が大きい方向における調整面が回転軸線に近接している側のみで始まり、振れ調整が進行するにつれて、調整面全周にわたることとなる。
【0012】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整方法であって、前記調整面が前記台金の一方の端面側に形成され、前記中心軸線を中心に形成された円筒面状をなす内周面とされることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る電着内歯車型砥石の振れ調整方法によれば、調整面が、台金の中心軸線を中心に形成された円筒面状をなす内周面とされ、調整面が円弧状の凹部とされるので押圧部材による押圧を容易かつ安定して行なうことができる。
【0014】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整方法であって、前記回転軸線廻りに回転された前記台金の振れ量をテスタにより検出することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項4又は請求項5に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整装置であって、前記回転軸線廻りに回転された前記台金の振れ量を検出するテスタを備えていることを特徴とする。
【0016】
この発明に係る電着内歯車型砥石の振れ調整方法及び振れ調整装置によれば、テスタにより検出した上記回転軸線に対する台金の振れ量が許容範囲になるまで台金の調整面を押圧部材で押圧することにより、電着内歯車型砥石の中心軸線と研削装置の回転軸線を略一致させることができる。この場合、台金の中心軸線と前記回転軸線の偏心量がテスタにより振れ量として検出されるので、振れ量を定量的に検出することが可能となり、その結果、振れ量を許容範囲内に正確かつ容易に納めることが可能となり、調整にあたってのコストを削減することができる。
【0017】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載の電着内歯車型砥石の振れ調整装置であって、前記押圧部材は押圧ローラとされ、前記押圧ローラは、前記回転軸線に平行な軸線廻りに回転自在とされていることを特徴とする。
【0018】
この発明に係る電着内歯車型砥石の振れ調整装置によれば、押圧部材が上記回転軸線に平行に回転自在とされる押圧ローラとされるので、押圧ローラが調整面と線接触するとともに、押圧ローラが調整面に対して回転するため、台金に押圧方向以外の周方向に移動されるのが抑制され、台金を押圧ローラが押圧する方向に正確に移動させることができる。また、押圧に際して大きな力を加えられた場合であっても、押圧ローラが回転しているので調整面と押圧ローラとの間に摩耗の原因となる摩擦が生じることが抑制される。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る電着内歯車型砥石の振れ調整方法および振れ調整装置によれば、円環の中心軸線を中心とした調整面に押圧部材を当接させて台金を研削装置の駆動部の回転軸線廻りに回転させながら、回転軸線に対する台金の振れ量をテスタにより検出し、振れ量が許容範囲になるまで押圧するので、電着内歯車型砥石の中心軸線と研削装置の駆動部の回転軸線とを一致させる調整を容易に行なうことができる。
その結果、歯車の外周の歯面を電着内歯車型砥石によって所定の寸法、形状に高精度に成形することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1ないし図3は、本発明の電着内歯車型砥石の振れ調整装置の一実施形態を示すものであり、図1において、符号1は振れ調整装置により振れ調整される電着内歯車型砥石を、符号30は、振れ調整装置を示している。また、符号Oは、電着内歯車型砥石1及び台金2の中心軸線を、符号Xは、研削装置の回転機構(駆動部)11の回転軸線を示している。
【0021】
電着内歯車型砥石1は、中心軸線Oを中心とした円環状をなす工具鋼等の金属材料により形成された台金2を備え、この台金2の内周面には、歯車型の研削部3が形成されている。
研削部3は、図3に示すように、台金2の径方向に凹凸とされるとともに中心軸線O方向に延在する歯型4が、台金2の内周面に周方向に複数形成されており、その表面には、CBN砥粒やダイヤモンド砥粒等の超砥粒をNi等の金属めっき相に分散して電着により固着した砥粒層5が形成されており、砥粒層5が形成された状態の歯型4は、この電着内歯車型砥石1によって研削される歯車Wの外周の歯面と噛合して、歯車Wの歯面を所定の寸法、形状に成形可能な寸法、形状とされている。
【0022】
台金2の一方の端面側6には、台金2の中心軸線Oと同軸に形成された円環状壁部7が形成されており、この円環状壁部7の内周面は、本実施形態の電着内歯車型砥石1における円環状の調整面8とされており、この調整面8は研削部3の一方の端面側6の端部まで延在している。
【0023】
円環状壁部7は、中心軸線Oを含む断面が図2に示すように方形をなすようにしており、調整面8を構成する内周面は中心軸線Oを中心とした円筒面状とされ、その内径すなわち基準径Dは前記研削部3の歯型4の歯底径dよりも大きくされている。また、台金2の外周面は、円環状壁部7の部分も含めて同一径とされ、中心軸線Oを中心とした円筒面状とされている。台金2の一方の端面側6の端面10と台金2の他方の端面側の端面9は、中心軸線Oに垂直な平坦面とされている。
【0024】
電着内歯車型砥石1は、図4に示すように研削装置の回転機構11に取り付けられて回転軸線Xの廻りに回転させられることにより、図1に2点鎖線で示したようにワークとしての歯車Wの外周の歯面を研削するようになっている。
ここで、図4において符号12で示すのは、この電着内歯車型砥石1が取り付けられる研削装置の回転機構11の取付金具であり、この取付金具12もまた円環状とされ、その中心軸線Oと回転軸線Xとを一致させて歯車Wの軸線C(図1参照)と交差角を持たせるように研削装置の機上に軸受け13を介して支持され、図示されない駆動手段によって該回転軸線Xの廻りりに回転駆動される。
そして、前記電着内歯車型砥石1は、この取付金具12の内周に、その中心軸線Oが、回転機構11の回転軸線Xと同軸となるように着脱可能に取り付けられる。
【0025】
すなわち、この取付金具12の内周面14は、電着内歯車型砥石1の台金2の外周が嵌挿可能な大きさの内径を有する前記回転軸線Xを中心とした円筒面状とされており、こうして取付金具12の内周面14内に電着内歯車型砥石1の台金2が嵌挿された上で、この台金2の両側の内周面14内には、台金2の外径と等しい外径と前記基準径Dよりも大きな内径とを有する断面方形のリング状のカラー15,16がそれぞれ嵌挿される。
【0026】
さらに、こうして取付金具12の内周に電着内歯車型砥石1の台金2とカラー15、16とが嵌挿された上で、前記内周面14に連なる取付金具12の両端面には、この内周面14の前記内径よりも小さく、かつカラー15、16の内径より大きな内径を有する円環状のフランジ17、18が前記回転軸線Xを中心とするように取り付けられる。
【0027】
ここで、これらのフランジ17,18には、該フランジ17,18のそれぞれにその周方向に間隔をあけて複数本の取付ボルト19が前記回転軸線Xに平行に挿通され、これらの取付ボルト19が取付金具12の前記両端面にねじ込まれることにより、該フランジ17,18はその内周部が取付金具12の前記内周面14よりも内周側にはみ出した状態で、互いに対向する方向に接近するようにして取り付けられる。
【0028】
なお、このうち一方のフランジ17は断面が方形とされているのに対し、他方のフランジ18は、その内周部が取付金具12の内周面14内に嵌挿されて一方のフランジ17側に突出する断面略L字状とされ、またその内径は前記一方のフランジ17よりも小さくされている。
【0029】
さらに、これらのフランジ17、18の前記内周面14よりも内周側にはみ出して互いに対向する端面17A、18Aは、この内周面14内に電着内歯車型砥石1およびカラー15、16を嵌挿せずに取付ボルト19をねじ込んで該フランジ17、18を取付金具12の両端面に取り付けた状態で、ともに取付金具12の前記回転軸線Xに垂直な平坦面とされ、かつこの回転軸線X方向の互いの間隔が前記カラー15、16の該回転軸線X方向の幅と電着内歯車型砥石1の台金2の前記端面9、10間の幅との和よりも僅かに小さくなるようにされている。
【0030】
従って、これら電着内歯車型砥石1とカラー15、16とを取付金具12の内周面14内に嵌挿して取付金具12にフランジ17、18を取り付けた状態(通常は、フランジ18を取り付けた取付金具12にカラー15、電着内歯車型砥石1、カラー16を順に嵌挿した上で、フランジ17を取り付ける。)で、電着内歯車型砥石1はカラー15,16を介してフランジ17,18により、その端面17A,18A間に挟み込まれるようにして取付金具12に取り付けられる。
【0031】
振れ調整装置30は、円環状の内周面からなる調整面8を有する電着内歯車型砥石1が、研削装置の回転軸線Xの廻りに回転されるとき、電着内歯車型砥石1の台金2の中心軸線Oと回転軸線Xの偏心量を、調整面8の振れ量を代用特性として検出するテスタ20と、研削装置の回転軸線Xと平行な軸線C2廻りに回転自在とされた押圧ローラ(押圧部材)31とを備え、押圧ローラ31は、調整面8に当接自在とされるとともに調整面8を押圧可能とされている。
【0032】
また、振れ調整装置30は、押圧ローラ31が、電着内歯車型砥石1の調整面8に当接されるとともに調整面8を径方向外方に押圧して、台金2の中心軸線Oと研削装置の回転軸線Xの偏心量を縮小させて、電着内歯車型砥石1の台金2の中心軸線Oと上記回転軸線Xとが許容範囲内とされ略一致するようなっている。
【0033】
押圧ローラ31は、円筒状に形成されたローラ本体32と、ローラ本体32をその両端側で支持する回転軸34、36とを備えており、ローラ本体32の円筒状部分は、台金2の調整面8を押圧する押圧部32Aとされている。
この実施形態において、押圧ローラ31は、回転機構11から離れた研削装置の機上に保持具37によって支持されており、保持具37は、センタ37A、37Bを備え、センタ37A、37Bにより歯車Wの回転軸の両端を支持するようになっている。また、押圧ローラ31は、回転自在とされるとともに押圧ローラの軸線C2が研削装置の回転軸線Xと平行になるように、センタ37A、37Bは配置されている。
【0034】
テスタ20は、回転機構11から離れた研削装置の機上に固定されるものであって、円環状壁部7内周の前記調整面8に先端が円環状壁部7の外周側に向けて付勢されて当接する軸状の接触端子20Aを備えており、この接触端子20Aの当接位置の変動が、例えば該テスタ20に設けられた検針20Bによって検出可能とされている。
テスタ20は、研削装置の回転機構11に取り付けられた電着内歯車型砥石1を、回転機構11の図示を略した図1に示されるように、上述のように回転機構11に取付金具12に電着内歯車型砥石1が取り付けられた状態で、回転軸線Xの廻りに回転させながら調整面8の振れ量を検出するようになっている。
【0035】
従って、接触端子20Aの先端を調整面8に接触させたまま取付金具12とともに電着内歯車型砥石1を回転軸線Xの廻りに回転させると、電着内歯車型砥石1の台金2の中心軸線Oが取付金具12の回転軸線Xからずれて偏心した状態で取り付けられている場合には台金2に振れが生じ、これに伴い調整面8への接触端子20A先端の当接位置が変動してこれがテスタ20によって検出される。
【0036】
すなわち、電着内歯車型砥石1の偏心した方向が取付金具12の回転軸線Xとテスタ20の接触端子20A先端とを結ぶ線上に一致したときに当接位置の変動が最も大きくなってその偏心の方向が検出されるとともに、その偏心量が検針20Bによって検出されて、電着内歯車型砥石1の振れが容易に検出されるようになっている。
【0037】
かかる振れ調整装置30によって、電着内歯車型砥石1の台金2の中心軸線Oと研削装置の回転機構11の回転軸線Xを一致させる方法について説明する。
まず、図4に示されるように、研削装置の回転機構11に設けられた取付金具12の他方の端面側に、フランジ18を挿入し、取付ボルト19により取付金具12に固定する。
次に、フランジ18側から順に、カラー16、電着内歯車型砥石1、カラー15、フランジ17を配置して、台金2が径方向に微動可能な程度にフランジ17を取付ボルト19によりねじ込むことにより、電着内歯車型砥石1を取付金具12を介して、研削装置の回転機構11に仮固定する。
【0038】
次に、保持具37を構成するセンタ37Aと37Bを、保持具37に押圧ローラ31が支持された状態にて、押圧ローラ31の軸線C2が研削装置の回転軸線Xと平行になるように配置する。このとき、保持具37は、その移動方向、すなわち押圧する方向を、回転機構11の径方向外方に設定する。
また、テスタ20の接触端子20Aを、電着内歯車型砥石1の調整面8に当接させて上記回転軸線Xに対する調整面8の振れ量を検出可能に設定する。
【0039】
次に、回転機構11の取付金具12に仮固定された電着内歯車型砥石1を、研削装置の回転軸線Xの廻りに回転させるとともに、テスタ20によって調整面8の振れ量を検出する。
電着内歯車型砥石1を上記回転軸線Xの廻りに回転させながら、回転機構11の径方向外方、すなわち、上記回転軸線Xから離間する方向に押圧ローラ31をわずかずつ移動させて、ローラ本体32の押圧部32Aを、回転軸線Xに近接した部位の調整面8に当接させる。押圧ローラ31による調整面8の押圧は、振れ量が大きい場合、当初、中心軸線Oと回転軸線Xの偏心量が大きい方向における調整面8が回転軸線Xに近接している側のみで始まり、振れ調整が進行するにつれて、調整面8全周にわたることとなる。
【0040】
引き続いて、押圧ローラ31を移動させることにより、電着内歯車型砥石1が回転されて、回転軸線Xに近接した部位の調整面8が押圧ローラ31の位置に来た時に調整面8が上記径方向外方に押圧されて、回転軸線Xから離間する方向に移動される。
その結果、調整面8を構成する円環が、回転軸線Xを中心とした位置に接近することとなり、電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと上記回転軸線Xが一致することになり、この状態で押圧ローラ31は、調整面8の全周に摺接して回転し続けることになる。
【0041】
この、電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと上記回転軸線Xが一致したか否かについては、上記中心軸線Oと上記回転軸線Xの偏心量を調整面8の振れ量を代用特性として、テスタ20により検出し、その振れ量が許容範囲内とされたときに、振れ調整が完了する。
振れ調整が完了すると、一方の端面側6に位置する取付ボルト19をねじ込んで、フランジ17により台金2を強く押圧し、電着内歯車型砥石1を取付金具12を介して研削装置の回転機構11に確実に固定する。
この状態で、電着内歯車型砥石1は、その中心軸線Oと上記回転軸線Xが一致した状態で研削装置に取付けられたこととなる。
【0042】
上記実施に形態に係る電着内歯車型砥石の振れ調整方法によれば、電着内歯車型砥石1の中心軸線Oが研削装置の回転軸線Xと一致する方向に移動され、テスタ20により検出した台金2の振れ量が許容範囲になるまで調整面8を押圧ローラ31で押圧するので、電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと回転機構11の回転軸線Xを容易かつ確実に許容範囲内に収めて、中心軸線Oと回転軸線Xを一致させることができる。
【0043】
また、調整面8が、台金2の中心軸線Oを中心として形成された内周面とされることで、調整面8が円弧状の凹部とされるので押圧ローラ31による押圧を容易かつ安定して行なうことができる。
また、押圧部材が押圧ローラ31とされるので、押圧ローラ31が調整面8と線接触して安定して調整面8を押圧することが可能とされ、また、押圧ローラ31が調整面8に対して回転接触するため、台金2を押圧方向以外の周方向に押圧、移動するのが抑制されるので、台金2を所望の方向に安定して押圧することができる。また、調整面8の押圧に際して大きな力を加えられた場合であっても、押圧ローラ31が回転しているので調整面8と押圧ローラ31との間に摩耗の原因となる摩擦が生じることが抑制される。
【0044】
また、上記実施形態に係る振れ調整装置30によれば、押圧ローラ31が調整面8に当接され、調整面8を押圧しながら台金2の中心軸線Oと上記回転軸線Xとを一致させるようになっており、そのときの台金2の中心軸線Oと上記回転軸線Xとの偏心量を台金2の振れ量としてテスタ20で検出するので、容易かつ確実に、台金2の中心軸線Oと研削装置の回転軸線Xとを一致させることができる。
【0045】
なお、上記実施の形態においては、振れ調整装置30の押圧部材である押圧ローラ31が押圧する調整面8が、電着内歯車型砥石1の円環状壁部7の内周面に形成された場合について説明したが、押圧部材が押圧して振れ調整する調整面8は、例えば、台金2の一方の端面側6又は他方の端面側に、外周が台金2の中心軸線Oを中心とした円筒形状からなる調整面を設けることにより、調整面を電着内歯車型砥石1の外周面に形成してもよい。調整面8が電着内歯車型砥石1の外周面に形成されている場合には、中心軸線Oを挟んで回転軸線Xの反対側に位置する部位の調整面8を押圧部材によって、回転軸線X方向に押圧して調整面8を上記回転軸線Xに接近させることにより、電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと記回転軸線Xとを一致させるように調整することとなる。
【0046】
上記実施の形態においては、振れ量をテスタ20によって検出する場合について説明したが、調整面8を構成する円環が、回転軸線Xを中心とした位置に接近して、押圧ローラ31は、調整面8の全周に摺接して回転し続けることを目視又はセンサにより検知することにより、電着内歯車型砥石1の中心軸線Oと上記回転軸線Xが一致するように調整してもよい。
【0047】
また、上記実施の形態においては、押圧ローラ31が、保持具37によって支持される場合について説明したが、押圧ローラ31を支持する保持具としては、押圧ローラ31を回転自在に保持して調整面8に対して接近、当接して調整面8を押圧可能とするものであればよく、ワークとされる歯車の回転軸の両端部を支持するためのワーク保持具を用いて調整してもよい。
【0048】
なお、上記実施の形態においては、振れ調整装置30の押圧部材が押圧ローラ31により構成される場合について説明したが、振れ調整装置30の押圧部材は、回転する調整面8を摺接しながら押圧可能とされる押圧ローラ31以外の部材、例えば、球体、へら状部材等を用いてもよい。
【0049】
また、前記実施形態の電着内歯車型砥石1の振れ調整においては、押圧ローラ31の押圧方向が、台金2の中心軸線Oに直交するとともに中心軸線Oを通過し、調整面8をなす円筒形状の径方向外方とされる場合について説明したが、押圧ローラ31の押圧方向は、台金2の中心軸線Oを通過している必要はなく、調整面8をなす円筒形状の径方向外方に向かう成分を有していればよい。
【0050】
また、前記実施形態の電着内歯車型砥石1においては、振れ調整装置30の押圧部材が1つの押圧ローラ31から構成される場合について説明したが、複数の押圧ローラ31を用いて振れ調整装置30を構成してもよい。
【0051】
なお、上記実施形態の電着内歯車型砥石1の振れ調整方法及び振れ調整装置30においては、テスタ20の接触端子20Aが当接して振れ量を測定する測定面と調整面8が台金2に形成された同一の内周面とされる場合について説明したが、同軸に形成された複数の内周面を有する段付き孔のひとつの内周面を測定面とし、それ以外の内周面を調整面としてもよいし、又調整面と測定面が研削部3を挟んで互いに反対の端面側に形成される構成としてもよい。
【0052】
また、上記実施に形態においては、テスタ20の接触端子20Aをこの調整面8に当接させて振れを検出する場合について説明したが、例えば光学的な非接触の手段によって調整面8の振れを検出したりすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の電着内歯車型砥石の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態の電着内歯車型砥石1の中心軸線Oに沿った部分断面図である。
【図3】図2におけるZZ断面図である。
【図4】図1に示す実施形態の電着内歯車型砥石1を取り付けた回転機構11の回転軸線Oに沿った部分断面図である。
【図5】電着内歯車型砥石の振れ量の検出に係る従来方法を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 電着内歯車型砥石
2 台金
3 研削部
5 砥粒層
6 台金2の一方の端面側
7 円環状壁部
8 基準面
11 回転機構
12 取付金具
14 取付金具12の内周面
15、16 カラー
17、18 フランジ
19 取付ボルト
20 振れ検出用テスタ
20A 接触端子
30 振れ調整装置
O 台金2の中心軸線
W 歯車(ワーク)
C 歯車Wの軸線

【出願人】 【識別番号】596091392
【氏名又は名称】三菱マテリアル神戸ツールズ株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子


【公開番号】 特開2008−44020(P2008−44020A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−218963(P2006−218963)