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【発明の名称】 ロータリーカッタ制御装置
【発明者】 【氏名】奥野 章子

【要約】 【課題】切断する材料の無駄を低減することが可能なロータリーカッタ制御装置を提供する。

【解決手段】ロータリーカッタ制御装置100−1は、製品を得るための切断処理を行う前に短い長さの廃材を得るための前処理を行う場合に、切断長設定部41−1が、製品を得るための設定長(固定)、カッター周長及び補正された設定長のうちのいずれかを切断長として設定する。この場合、設定長(固定)が切断長として設定された場合には、前処理においても製品を得ることができる。これにより、前処理において廃材を少なくすることができるから、材料1の効率的かつ有効な切断処理を実現することができ、材料の無駄を少なくすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料をロータリーカッタに向けて走行させ、製品を得るために予め設定された設定長を切断長としてロータリーカッタに材料を切断させるロータリーカッタ制御装置において、
製品としての切断が行われる材料の開始位置からロータリーカッタにおける材料の切断位置までの間の、製品としての切断が行われる前処理における長さの材料に対し、前記製品を得るための設定長で切断したときの材料残り長を算出する材料残り算出手段と、
前記材料残り長、ロータリーカッタの周長、ロータリーカッタが材料を切断するために必要な最小加速距離、及び該最小加速距離を得るための位置に対応したワークアングル限界距離に基づいて、前記前処理における長さの材料に対する切断パターンのケースを特定するケース特定手段と、
前記材料残り長及び切断パターンのケースにより、運転を開始する際のロータリーカッタの初期位置を特定し、該初期位置に位置決めさせるための位置決め信号を出力するカッター初期位置特定手段と、
前記製品を得るための設定長を第1の設定長、ロータリーカッタの周長を第2の設定長、及び、前記ロータリーカッタの初期位置により補正された設定長または前記ロータリーカッタの周長と最小加速距離とを加算した距離により補正された設定長を第3の設定長とした場合に、これらの設定長のうちのいずれかを切断長として選択し、該切断長を出力する切断長選択手段とを備え、
前記カッター初期位置特定手段により出力された位置決め信号により、ロータリーカッタを初期位置に位置決めし、前記切断長選択手段により出力された切断長になるように、ロータリーカッタに材料を切断させることを特徴とするロータリーカッタ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリーカッタ制御装置において、
さらに、前記ケース特定手段により特定された、材料残り長がワークアングル限界距離よりも長い場合のケースについて、カッター周長切替信号を生成して出力するカッター周長切替信号生成手段と、
前記製品を得るための設定長と、製品としての切断が行われる材料の開始位置をトラッキングした場合の該開始位置とロータリーカッタにおける材料の切断位置との間のトラッキング距離とを比較し、前記設定長よりもトラッキング距離の方が小さい場合に、補正設定値切替信号を生成して出力する補正設定値切替信号生成手段とを備え、
前記切断長選択手段が、前記カッター周長切替信号を入力した場合にカッター周長を切断長として選択し、前記補正設定値切替信号を入力した場合に補正した設定値を切断長として選択することを特徴とするロータリーカッタ制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーカッタ制御装置に関し、特に、ロータリーカッタにより所定の長さにシート状の材料を切断する場合において、材料の無駄を低減するための制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続的に高速に送られる鋼板、アルミニウム板、紙、段ボール等のシート状の材料を所定の長さに切断するためには、例えば、回転する刃物を、走行する材料に追従させて切断を行うローターカッタが用いられる。
【0003】
図1は、ロータリーカッタ制御装置を含む全体の制御対象を示す概略図である。この制御対象は、ロータリーカッタ2によりシート状の材料1を所定の切断長にて切断するものであり、シート状の材料1を切断する1対のロータリーカッタ2、ロータリーカッタ2の主軸3に設けられた減速ギヤー4、ロータリーカッタ2を駆動するための電動機5、電動機5の回転速度及び回転角(すなわち、ロータリーカッタ2の主軸3の回転速度及び回転角)を検出するためのパルスを発生するパルスジェネレータ(PG)6、電動機5を駆動制御するための駆動制御回路7、走行するシート状の材料1の移動量を検出するための測長ロール8、この移動量を検出するためのパルスを発生するパルスジェネレータ9、ロータリーカッタ2によるシート状の材料1の切断が完了したことを検出する切断完了センサ10、シート状の材料1上のマークを検出するマークセンサ11、及び、ロータリーカッタ2を回転制御するためのロータリーカッタ制御装置100により構成される。
【0004】
ここで、マークセンサ11が検出するシート状の材料1上のマークは、切断位置の基準を示しており、ロータリーカッタ制御装置100は、そのマーク位置またはマーク位置から所定の距離の位置で、シート状の材料1をロータリーカッタ2に切断させるようになっている。
【0005】
図2は、図1に示した従来のロータリーカッタ制御装置の構成を示すブロック図である。この従来のロータリーカッタの制御装置100−Pは、定尺切断回路部40、停止距離設定部60及び比較部53を備えている。定尺切断回路40は、ロータリーカッタ2が材料1を切断するための切断長を設定する切断長設定部41−P、切断長設定部41−Pから切断長を入力し、後述する切断完了検出回路43から切断完了のタイミング信号を入力し、切断完了のタイミングで、入力した切断長を実際の切断処理の演算に用いる第1演算部42、切断完了センサ10から検出信号を入力して切断完了信号を出力する切断完了検出回路43、この切断完了信号に基づいてタイミング信号を発生するタイミング信号発生部44、ロータリーカッタ2の周長を設定する周長設定部45、パルスジェネレータ9からパルスを入力し材料1の移動量(シート走行距離)を検出するシート走行距離検出回路46、パルスジェネレータ6からパルスを入力しロータリーカッタ2の回転数を検出するモータ回転数検出回路47、第2演算部48、D/A変換器49、関数発生器50、F/V(周波数/電圧)変換器51、演算増幅器52、及び、マークセンサ11から検出信号を入力してマーク検出信号を切断長設定部41−Pに出力するマーク検出回路54を備えている。停止距離設定部60は、停止距離設定部61、可逆カウンタ62、D/A変換器63、関数発生器64、及び第1比較部65を備えている。
【0006】
尚、定尺切断回路部40、停止距離設定部60及び比較部53の各機能、及びこのロータリーカッタ制御御装置100−P等を含む制御対象の詳細については、特許文献1,2を参照されたい。また、材料1上のマーク位置とロータリーカッタ2による切断位置とを高精度に一致させるための装置については、特許文献3を参照されたい。
【0007】
このロータリーカッタ制御装置100−Pは、切断長設定部41−Pにより設定された切断長になるように、材料1の移動量及びロータリーカッタ2の回転量を算出して駆動信号を生成し、駆動制御回路7に出力することにより、ロータリーカッタ2を回転制御して材料1をその切断長で切断する。このような切断長の材料1を製品として得るための運転を開始するには、まず、ロータリーカッタ2が材料1を切断できるように、材料1を設置する。そして、オペレータの運転開始操作があると、材料1はロータリーカッタ2側へ走行し(図1を参照)、マークセンサ11が材料1上のマークを検出した後に、そのマーク位置を基準にして切断処理が開始される。この場合、切断処理が開始されるまでは、材料1の切断が行われないまま走行する。このため、比較的長い大きさの廃材が生じてしまい、その廃材の処理が困難になるという問題があった。
【0008】
この問題を解決するために、製品としての切断が開始する前においても材料1を所定の長さに切断する前処理が行われる。具体的には、ロータリーカッタ制御装置100−Pは、材料1が設置された後に運転が開始すると、予め設定された前処理切断長を切断長設定部41−Pが出力し、この前処理切断長になるように駆動信号を生成し、駆動制御回路7に出力してロータリーカッタ2を回転制御する。そして、マークセンサ11からのマーク検出信号を入力すると、そのマーク位置を基準にした切断処理を行うために、そのマーク位置以降の切断処理において、切断長設定部41−Pが製品として設定した切断長を出力し、その切断長の製品を得るために、ロータリーカッタ2を回転制御する。これにより、運転開始直後において、材料1が切断されないまま走行することがなく、予め設定された前処理切断長の廃材を生成するから、その廃材の処理が困難になるという問題を解決することができる。
【0009】
このように、従来のロータリーカッタ制御装置100−Pは、製品を得るための切断処理を行う前に、短い長さの廃材を得るための前処理を行う。しかしながら、前処理において廃材が生じてしまうことから、材料1が無駄になるという問題があった。材料1を効率的かつ有効に切断するためには、廃材をできる限り少なくし、材料の無駄を低減することが望ましい。特許文献4には同様の課題を解決するための手法が記載されている。しかし、この手法は、ロータリーカッタ2を回転制御して材料1を切断するものではなく、制御対象が異なるため、この手法を図1に示した制御対象へそのまま適用することはできない。
【0010】
【特許文献1】特開2001−129790号公報
【特許文献2】特公昭61−33679号公報
【特許文献3】特開昭58−28496号公報
【特許文献4】特開2001−300634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、切断する材料の無駄を低減することが可能なロータリーカッタ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、材料をロータリーカッタに向けて走行させ、製品を得るために予め設定された設定長を切断長としてロータリーカッタに材料を切断させるロータリーカッタ制御装置において、製品としての切断が行われる材料の開始位置からロータリーカッタにおける材料の切断位置までの間の、製品としての切断が行われる前処理における長さの材料に対し、前記製品を得るための設定長で切断したときの材料残り長を算出する材料残り算出手段と、前記材料残り長、ロータリーカッタの周長、ロータリーカッタが材料を切断するために必要な最小加速距離、及び該最小加速距離を得るための位置に対応したワークアングル限界距離に基づいて、前記前処理における長さの材料に対する切断パターンのケースを特定するケース特定手段と、前記材料残り長及び切断パターンのケースにより、運転を開始する際のロータリーカッタの初期位置を特定し、該初期位置に位置決めさせるための位置決め信号を出力するカッター初期位置特定手段と、前記製品を得るための設定長を第1の設定長、ロータリーカッタの周長を第2の設定長、及び、前記ロータリーカッタの初期位置により補正された設定長または前記ロータリーカッタの周長と最小加速距離とを加算した距離により補正された設定長を第3の設定長とした場合に、これらの設定長のうちのいずれかを切断長として選択し、該切断長を出力する切断長選択手段とを備え、前記カッター初期位置特定手段により出力された位置決め信号により、ロータリーカッタを初期位置に位置決めし、前記切断長選択手段により出力された切断長になるように、ロータリーカッタに材料を切断させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、さらに、前記ケース特定手段により特定された、材料残り長がワークアングル限界距離よりも長い場合のケースについて、カッター周長切替信号を生成して出力するカッター周長切替信号生成手段と、前記製品を得るための設定長と、製品としての切断が行われる材料の開始位置をトラッキングした場合の該開始位置とロータリーカッタにおける材料の切断位置との間のトラッキング距離とを比較し、前記設定長よりもトラッキング距離の方が小さい場合に、補正設定値切替信号を生成して出力する補正設定値切替信号生成手段とを備え、前記切断長選択手段が、前記カッター周長切替信号を入力した場合にカッター周長を切断長として選択し、前記補正設定値切替信号を入力した場合に補正した設定値を切断長として選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、切断する材料の無駄を低減することが可能なロータリーカッタ制御装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態によるロータリーカッタ制御装置の構成を示すブロック図である。このロータリーカッタ制御装置100−1は、図1に示したロータリーカッタ制御装置100に相当し、図2に示した従来のロータリーカッタ制御装置100−Pと比較すると、切断長設定部41−1の構成が異なる点で相違する。切断長設定部41−1は、マーク検出回路54からマーク検出信号を、切断完了検出回路43から切断完了信号をそれぞれ入力し、切断長を第1演算部42に、カッター位置決め信号を停止距離設定部61に出力する。
【0016】
図4は、図3に示したロータリーカッタ制御装置100−1における切断長設定部41−1の構成を示すブロック図である。この切断長設定部41−1を備えたロータリーカッタ制御装置100−1を図1に示した制御対象に適用することにより、運転開始してから材料1上のマーク以降に本来の製品としての切断処理を行うまでの間(前処理の間)、製品としての切断を含む所定の長さの切断を行い、材料の無駄を低減することを実現する。具体的には、図1を参照して、まず、オペレータは、運転を開始する前にロータリーカッタ2により材料1が切断されるように材料1を設置する。この場合、マークセンサ11が材料1上のマークを検出できる位置に材料1を設置する。以下、このように設置された材料1において、マークセンサ11が検出できる位置のマークを真のマークという。
【0017】
そして、ロータリーカッタ制御装置100−1は、オペレータによる運転開始操作により運転が開始すると、まず、カッター位置決め信号を出力してロータリーカッタ2の初期位置決めを行う。そして、その初期位置決めが完了すると、前処理の間に、製品としての切断を含む所定の長さの切断処理を行うために、切断処理毎の切断長を生成して出力する。そして、前処理の後は、本来の製品としての切断処理を行うために、製品を得るための予め設定された設定長(固定)を切断長として出力する。
【0018】
図4において、切断長設定部41−1は、材料残り算出手段101、カッター初期位置特定手段102、ケース特定手段103、カッター周長切替信号生成手段104、真マーク有無判定手段(補正設定値切替信号生成手段)105及び切断長選択手段106を備えている。以下、これらの手段について詳細に説明する。
【0019】
まず、運転を開始してから本来の製品としての切断処理を行うまでの間に、切断長設定部41−1により出力される切断長について説明する。切断長設定部41−1により出力される切断長には、以下の3つがある。
(1)設定長(固定)・・・これは、材料1を切断して製品を得る場合の、その製品の切断長である。
(2)カッター周長・・・これは、ロータリーカッタ2の円周に相当する切断長である。
(3)補正された設定長・・・これは、設定長(固定)に対し、真のマークの位置で切断できるように補正した切断長である。この補正された設定長は、所定の条件において、真のマーク手前の切断処理に用いられる。
切断長設定部41−1は、前述の(1)〜(3)のいずれかの切断長を第1演算部42に出力する。第1演算部42は、切断長を入力し、この入力した切断長を、タイミング信号発生部44から切断完了のタイミング信号を入力したタイミングで、次の切断処理を行うための演算に用いる。そして、切断長設定部41−1は、第1演算部42が次の切断処理の演算を開始した直後に、新たな切断長に更新する。(1)の場合の切断によって製品を得ることができるが、(2)(3)の場合の切断によっては製品を得ることができず、切断された材料1は廃材となる。
【0020】
図5は、図4に示した切断長設定部41−1により設定される切断長を説明する図である。この図は、前処理の間における切断長の推移を示している。図5に示すように、切断長設定部41−1は、ケース1〜4の4つのケースの切断パターンにより、材料1を切断するための切断長を所定のタイミングにて切り替えて出力する。尚、マークセンサ11とロータリーカッタ2(ロータリーカッタ2における材料1の切断を開始する位置)との間の距離(センサ距離)を2000mm、カッター周長を687.1mmとする。
【0021】
ケース1は、材料1を切断して製品を得るための設定長(固定)を990mmとしたケースである。切断長設定部41−1は、運転を開始してロータリーカッタ2の初期位置決めを始めると、設定長(固定)990mmを切断長として出力する。ロータリーカッタ2の初期位置決めが完了した後、材料1が走行しロータリーカッタ2が回転することにより、まず、材料1が30mmの長さ(NG)に切断される。そして、切断長設定部41−1は、切断完了信号を入力する前に設定長(固定)900mmを切断長として出力しているから、切断完了信号を入力した後の切断処理では、材料1が900mmの製品としての長さ(OK)に切断される。そして、切断完了信号を入力する前に、補正された設定長980mmを切断長として出力し、切断完了信号を入力すると、材料1が真のマーカ位置で980mmの長さ(NG)に切断される。ここで、OKのときは製品となり、NGのときは廃材となる。
【0022】
ケース2は、材料1を切断して製品を得るための設定長(固定)を720mmとしたケースである。切断長設定部41−1は、運転を開始してロータリーカッタ2の初期位置決めを始めると、設定長(固定)720mmを切断長として出力する。ロータリーカッタ2の初期位置決めが完了した後、材料1が走行しロータリーカッタ2が回転することにより、まず、材料1が560mmの長さ(NG)に切断される。そして、切断長設定部41−1は、切断完了信号を入力する前に設定長(固定)720mmを切断長として出力しているから、切断完了信号を入力した後の切断処理では、材料1が720mmの製品としての長さ(OK)に切断される。そして、切断完了信号を入力する前に、設定長(固定)720mmを切断長として出力し、切断完了信号を入力すると、材料1が真のマーカ位置で720mmの製品としての長さ(OK)に切断される。
【0023】
ケース3は、材料1を切断して製品を得るための設定長(固定)を670mmとしたケースである。切断長設定部41−1は、運転を開始してロータリーカッタ2の初期位置決めを始めると、カッター周長687.1mmを切断長として出力する。ロータリーカッタ2の初期位置決めが完了した後、材料1が走行しロータリーカッタ2が回転することにより、まず、材料1が30mmの長さ(NG)に切断される。そして、切断長設定部41−1は、切断完了信号を入力する前にカッター周長687.1mmを切断長として出力しているから、切断完了信号を入力した後の切断処理では、材料1が687.1mmの長さ(NG)に切断される。そして、切断完了信号を入力する前に、設定長(固定)670mmを切断長として出力し、切断完了信号を入力した後の切断処理では、材料1が670mmの製品としての長さ(OK)に切断される。そして、切断完了信号を入力する前に、補正された設定長612.9mmを切断長として出力し、切断完了信号を入力した後の切断処理では、材料1が真のマーカ位置で612.9mmの長さ(NG)に切断される。
【0024】
ケース4は、材料1を切断して製品を得るための設定長(固定)を1100mmとしたケースである。切断長設定部41−1は、運転を開始してロータリーカッタ2の初期位置決めを始めると、カッター周長687.1mmを切断長として出力する。ロータリーカッタ2の初期位置決めが完了した後、材料1が走行しロータリーカッタ2が回転することにより、まず、材料1が212.9mmの長さ(NG)に切断される。そして、切断長設定部41−1は、切断完了信号を入力する前にカッター周長687.1mmを切断長として出力しているから、切断完了信号を入力した後の切断処理では、材料1が687.1mmの長さ(NG)に切断される。そして、切断完了信号を入力する前に、設定長(固定)1100mmを切断長として出力し、切断完了信号を入力すると、材料1が1100mmの製品としての長さ(OK)に切断される。
【0025】
このように、運転開始直後の1回目の切断処理のために用いる切断長は、ケース1,2の場合に設定長(固定)が選択され、ケース3,4の場合にカッター周長が選択されるが、材料1は、ロータリーカッタ2の初期位置決めによる刃物の位置に依存した長さに切断されることになる。その後、切断完了のタイミングにおいて、第1演算部42が、切断長設定部41−1から出力されている切断長を次の切断処理の演算のために使用する。その直後に、切断長設定部41−1は切断長を更新する。
【0026】
次に、切断長設定部41−1の各手段について説明する。図4に戻って、材料残り算出手段101は、設定長(固定)及びセンサ距離を入力し、材料残り長を算出し、この材料残りをカッター初期位置特定手段102及びケース特定手段103に出力する。図8は、材料残り算出手段101の処理を示すフローチャート図である。図8に示すように、材料残り算出手段101は、乗算及び除算(ステップS81)、整数化の演算(ステップS82)、乗算及び除算(ステップS83)、減算(ステップS84)をそれぞれ行い、材料残り長を算出する。
【0027】
図4に戻って、ケース特定手段103は、材料残り算出手段101から材料残り長を入力し、予め設定された最小加速距離、ワークアングル限界距離及びカッター周長を用いて、比較処理により切断パターンのケースを特定し、特定したケース番号をカッター周長切替信号生成手段104及びカッター初期位置特定手段102に出力する。カッター初期位置特定手段102は、材料残り算出手段101から材料残り長を、ケース特定手段103からケース番号を入力し、カッター初期角度位置を特定し、位置決め開始信号及びカッター位置決め信号を出力する。
【0028】
図6は、ケース特定手段103により特定されるケース1〜4を説明する図である。また、図7は、ケース特定手段103の処理を示すフローチャート図である。図6において、原点Cを0度、最小角度加速位置Aを+30.718度、切断開始位置Bを+15度、切断完了位置Dを−15度、ワークアングル限界位置Eを−30.718度とし、ロータリーカッタ2は時計と反対の向きに回転するものとする。ここで、最小加速角度位置Aは、ロータリーカッタ2により材料1を切断するために必要な最低限の初期位置である。最小加速角度位置Aよりも切断開始位置B側にロータリーカッタ2の刃が初期位置決めされた場合には、ロータリーカッタ2が切断を行うのに十分な速度を得ることができず、ジャムアップしてしまい、適切な切断処理を行うことができない。切断開始位置B及び切断完了位置Dは、この間に刃が存在する場合に材料1が切断中であることを意味する位置である。刃が切断完了位置Dに存在する場合は、図1に示した切断完了センサ10により検出信号が出力される。ワークアングル限界位置Eは、最小加速角度位置Aに対応する位置である。
【0029】
また、最小加速角度は、時計と反対向きにおいて最小加速角度位置Aから切断開始位置Bまでの間の角度15.718度であり、その角度に対応する最小加速距離は、30mmである(図6(1)の太線の矢印の間の距離)。また、ワークアングル限界角度は、時計と同じ向きにおいて切断開始位置Bからワークアングル限界位置Eまでの間の角度314.2度であり、その角度に対応するワークアングル限界距離は、599.8mmである(図6(2)太点線及び太実線の矢印の間の距離)。また、カッター周長角度+最小加速角度は、時計と同じ向きにおいて切断開始位置Bから1周してさらに最小加速角度位置Aまでの間の角度375.718度であり、その角度に対応するカッター周長+最小加速距離は、717.1mmである(図6(3)太点線及び太実線の矢印の間の距離)。
【0030】
図7において、ケース特定手段103は、材料残り長と最小加速距離30mmとを比較し(ステップS71)、材料残り長が最小加速距離以下である場合に、ケース1であると特定する。図6(1)では、設定長(固定)=990mmの場合に、材料残り長が以下の式により20mmであるから、これは切断開始位置Bを始点とした太実線で示した範囲内の値を意味し、ケース1となる。尚、センサ距離は2000mmである(図5を参照)。
2000−2×990=20mm
この場合、カッター初期位置特定手段102は、材料残り長20mmを30mmとみなしてリミットをかけ、ロータリーカッタ2の刃が原点Cを基準として最小加速角度位置Aの+30.718度に位置決めされるように、カッター位置決め信号を出力する。
【0031】
また、ケース特定手段103は、材料残り長とワークアングル限界距離599.8mmとを比較し(ステップS72)、材料残り長がワークアングル限界距離以下である場合に、ケース2であると特定する。図6(2)では、設定長(固定)=720mmの場合に、材料残り長が以下の式により560mmであるから、これは切断開始位置Bを始点とした太実線で示した範囲内の値を意味し、ケース2となる。
2000−2×720=560mm
この場合、カッター初期位置特定手段102は、ロータリーカッタ2の刃が、材料残り長560mmに対応する角度である、原点Cを基準として−51度に位置決めされるように、カッター位置決め信号を出力する。
【0032】
また、ケース特定手段103は、材料残り長とカッター周長+最小加速距離=717.1mmとを比較し(ステップS73)、材料残り長がカッター周長+最小加速距離以下である場合に、ケース3であると特定する。図6(3)では、設定長(固定)=670mmの場合に、材料残り長が以下の式により660mmであるから、これは切断開始位置Bを始点とした太実線で示した範囲内の値を意味し、ケース3となる。
2000−2×670=660mm
この場合、カッター初期位置特定手段102は、材料残り長660mmに対応する角度位置が、時計と同じ向きにおいてワークアングル限界位置Eと最小加速角度位置Aとの間の角度位置であるから、リミットをかけ、ロータリーカッタ2の刃が原点Cを基準として最小加速角度位置Aの+30.718度に位置決めされるように、カッター位置決め信号を出力する。
【0033】
また、ケース特定手段103は、材料残り長がカッター周長+最小加速距離717.1mmよりも大きい場合に、ケース4であると特定する。図6(4)では、設定長(固定)=1100mmの場合に、材料残り長が以下の式により900mmであるから、これは切断開始位置Bを始点とした太実線で示した範囲内の値を意味し、ケース4となる。
2000−1×1100=900mm
この場合、カッター初期位置特定手段102は、ロータリーカッタ2の刃が、材料残り長900mmからカッター周長687.1mmを減算した212.9mmに対応する角度である、原点Cを基準として+126.9度に位置決めされるように、カッター位置決め信号を出力する。
【0034】
図9は、カッター初期位置特定手段102及びケース特定手段103の処理を示すフローチャート図である。図9に示すように、カッター初期位置特定手段102及びケース特定手段103は、乗算及び除算(ステップS91)、減算(ステップS92)、比較処理(ステップS93)、スイッチ処理(ステップS94)、リミット処理(ステップS95)、加算(ステップS96)、反転処理(ステップS97)、加算(ステップS98)をそれぞれ行い、カッター初期位置特定手段102が、右回りの位置決めパルス信号及び左回りの位置決めパルス信号を生成する。また、カッター初期位置特定手段102は、図6において、ロータリーカッタ2の刃が、時計の反対向きにおいて最小加速角度位置Aからワークアングル限界位置Eまでの間を通過しないようにロータリーカッタ2の回転方向を特定し、右回りの位置決めパルス信号または左回りの位置決めパルス信号をカッター位置決め信号として出力する。
【0035】
ステップ93では、ステップ91により算出された材料残り長のパルス数換算値とワークアングル限界距離のパルス数換算値とを比較し(図7に示したステップ72の処理を行い)、材料残りがワークアングル限界距離を超えている場合に、すなわちケース3または4の場合に、ケース3,4の信号(GT)が出力される。
【0036】
ステップ95では、位置決めパルス数換算値が、ワークアングル限界距離のパルス数換算値を上限とし、最小加速距離のパルス数換算値を下限とした場合に、これらの数値で制限される。また、ステップ96では、ステップ95までの位置決めパルス数換算値の計算が、ロータリーカッタ2の切断開始位置Bを基準に行われていたのに対し、ロータリーカッタ2の角度位置決めを行うためのカッター位置決め信号は、原点Cを基準に行われることから、その補正分のパルス数を加算する。
【0037】
図4に戻って、カッター周長切替信号生成手段104は、切断完了検出回路43から切断完了信号を、ケース特定手段103からケース番号を、カッター初期位置特定手段102から位置決め開始信号をそれぞれ入力し、カッター周長切替信号を生成し、切断長選択手段106に出力する。この信号により、切断長選択手段106において、カッター周長が切断長として選択される。
【0038】
図10は、カッター周長切替信号生成手段104の処理を示すフローチャート図である。図10に示すように、カッター周長切替信号生成手段104は、論理積の演算(ステップS101)及びラッチ処理(ステップS102)をそれぞれ行い、カッター周長切替信号を生成する。具体的には、カッター周長切替信号生成手段104は、ケース番号3,4(3または4)の信号または位置決め開始信号を入力すると、カッター周長切替信号をラッチしてオンする。そして、切断完了信号を入力すると、カッター周長切替信号のラッチを解除してオフする。
【0039】
図4に戻って、真マーク有無判定手段105は、切断完了検出回路43から切断完了信号を、マーク検出回路54からマーク検出信号をそれぞれ入力し、運転が開始してからの真のマーク位置を、測長ロール8のパルス信号から算出された材料1の移動量によりトラッキングし、真のマーク位置とロータリーカッタ2との間の距離(真のマークのトラッキング距離)を求める。そして、切断完了信号の入力タイミングにて、設定長(固定)と真のマーク位置のトラッキング距離とを比較し、設定長(固定)及び予め設定された許容範囲(例えば10mm)を加算した値よりも真のマーク位置のトラッキング距離の方が小さい場合に、真マーク有信号(補正設定値切替信号)を出力する(真マーク有信号をオンする)。これ以外の場合は真マーク有信号を出力する(真マーク有信号をオフする)。このようにして、真マーク有無判定手段105は、ケース1の場合に、2回目の切断完了のタイミングにおいて(切断完了のタイミングにより、第1演算部42が、入力した切断長により切断処理の演算を開始した後のタイミングにおいて)、真マーク有信号を出力する。ケース3の場合は、3回目の切断完了のタイミングにおいて(切断完了のタイミングにより、第1演算部42が、入力した切断長により切断処理の演算を開始した後のタイミングにおいて)、真マーク有信号を出力する。その信号により、切断長選択手段106において、補正された設定値が切断長として選択される。
【0040】
切断長選択手段106は、カッター周長切替信号生成手段104からカッター周長切替信号を、真マーク有無判定手段105から真マーク有信号をそれぞれ入力し、設定長(固定)、カッター周長及び補正された設定長のうちのいずれかを切断長として選択し、出力する。ここで、設定長(固定)は、製品毎に予め設定された値であり、カッター周長も予め設定された値である。補正された設定長は、前述したケース1,3の場合に用いる値であり、切断長選択手段106は、ケース1の場合、最小加速距離から材料残りを減算して補正値を求め、設定長(固定)からその補正値を減算し、その結果を補正された設定値とする。ケース3の場合、カッター周長と最小加速距離の加算結果から材料残りを減算して補正値を求め、設定長(固定)からその補正値を減算し、その結果を補正された設定値とする。
【0041】
図5に示したケース1の場合は、切断長選択手段106は、最小加速距離30mmから材料残り20mmを減算して補正値10mmを求める。そして、設定長(固定)990mmから補正値10mmを減算し、補正された設定値980mmを求める。また、図5に示したケース3の場合は、切断長選択手段106は、カッター周長+最小加速距離717.1mmから材料残り660mmを減算して補正値57.1mmを求める。そして、設定長(固定)670mmから補正値57.1mmを減算し、補正された設定値612.9mmを求める。
【0042】
図11は、切断長選択手段106の処理を示すフローチャート図である。図11に示すように、切断長選択手段106は、2つのスイッチ処理(ステップS111,112)をそれぞれ行い、切断長を選択する。尚、図11にはメモリが図示されておらず、切断長が出力されるタイミングは示していない。ステップ111では、切断長選択手段106は、カッター周長切替信号の入力がある場合に(オンの場合に)カッター周長を選択し、カッター周長切替信号の入力がない場合に(オフの場合に)設定長(固定)を選択する。また、ステップ112では、切断長選択手段106は、真マーク有信号の入力がある場合に(オンの場合に)、ステップ111により選択されたカッター周長または設定長(固定)を選択し、真マーク有信号の入力がない場合に(オフの場合に)補正された設定長を選択する。つまり、カッター周長切替信号及び真マーク信号がオフの場合に設定長(固定)を選択し、カッター周長切替信号がオン及び真マーク信号がオフの場合にカッター周長を選択し、カッター周長切替信号がオフ及び真マーク信号がオンの場合に補正された設定長を選択する。
【0043】
以上のように、本発明の実施の形態によるロータリーカッタ制御装置100−1によれば、製品を得るための切断処理を行う前に、短い長さの廃材を得るための前処理を行う場合に、切断長設定部41−1が、製品を得るための設定長(固定)、カッター周長及び補正された設定長のうちのいずれかを切断長として設定する。この場合、設定長(固定)が切断長として設定された場合には、前処理においても製品を得ることができる。これにより、前処理において廃材を少なくすることができるから、材料1の効率的かつ有効な切断処理を実現することができ、材料の無駄を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】ロータリーカッタ制御装置を含む全体の制御対象を示す概略図である。
【図2】従来のロータリーカッタ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態によるロータリーカッタ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図3のロータリーカッタ制御装置における切断長設定部の構成を示すブロック図である。
【図5】図4の切断長設定部により設定される切断長を説明する図である。
【図6】ケース1〜4を説明する図である。
【図7】ケース特定手段の処理を示すフローチャート図である。
【図8】材料残り算出手段の処理を示すフローチャート図である。
【図9】カッター初期位置特定手段及びケース特定手段の処理を示すフローチャート図である。
【図10】カッター周長切替信号生成手段の処理を示すフローチャート図である。
【図11】切断長選択手段の処理を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0045】
1 シート状の材料
2 ロータリーカッタ
3 主軸
4 減速ギヤー
5 電動機
6 パルスジェネレータ
7 駆動制御回路
8 測長ロール
9 パルスジェネレータ
10 切断完了センサ
11 マークセンサ
40 定尺切断回路部
41 切断長設定部
42 第1演算部
43 切断完了検出回路
44 タイミング信号発生部
45 周長設定部
46 シート走行距離検出回路
47 モータ回転数検出回路
48 第2演算部
49,63 D/A変換器
50,64 関数発生器
51 F/V変換器
52 演算増幅器
53 第2比較部
54 マーク検出回路
60 停止距離設定部
61 停止距離設定部
62 可逆カウンタ
65 第1比較部
100 ロータリーカッタ制御装置
101 材料残り算出手段
102 カッター初期位置特定手段
103 ケース特定手段
104 カッター周長切替信号生成手段
105 真マーク有無判定手段
106 切断長選択手段
【出願人】 【識別番号】390014384
【氏名又は名称】日本リライアンス株式会社
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸


【公開番号】 特開2008−105147(P2008−105147A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−291479(P2006−291479)